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  • 1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 20:54:08.56 ID:owiJMoI80

幽霊「ひとつ、質問です」
死神「なに?」
幽霊「どうして私のこと、切らないんですか? その鎌で、すぱーっと」
死神「だって、あなたはもう死んでいるから。浮遊霊なんてこちらの管轄外なの」

幽霊「暇です」
死神「浮遊霊にそう言われても、こちとら対応に困るんだけれど」
幽霊「なので、死神さんについていってもいいですか?」
死神「別にいいけれど。私のまわり、人が死にまくりよ? 耐えられる?」

幽霊「大丈夫です。そこはかとない愛の力で、悠久パワーを実現検証」
死神「・・・・・・変な子につかまっちゃったなあ」
幽霊「幽霊ですから。憑依は専売特許ですよ」
死神「それを言うなら専門分野」

幽霊「細かいこと気にしすぎです。だから肌理も細かいんですよ、ケッ」
死神「ほめているのか、それとも馬鹿にしているのか判別しかねるわ・・・・・・」



  • 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 21:11:41.37 ID:owiJMoI80

死神「でも、幸運なことね」
幽霊「え?」
死神「幽霊って、まだ自分が死んでいることに気付かないケースも結構あるの。あなたは自覚している分、まだまし」
幽霊「そうなんですか。まあ、自分のことぐらい把握していないと。これだから物事を多角的に見れない人は愚鈍なんです」
死神「意外に毒舌ね・・・・・・」

幽霊「でも、そんな偉そうなこと言っておきながら、私は過去の記憶がないんですよねー」
死神「矛盾娘。ご高説たれるなら、そういうのは包み隠して言いなさい」
幽霊「あはは、すいません。・・・・・・そういや私、どうして死んだんですっけ?」
死神「こちらは知らないわ。見つからないこと前提に、仕事ついでに探してあげようか?」

幽霊「や、優しいです死神さんっ。そりゃまさにツンデレってやつですね? ですね?」
死神「この子としゃべると調子が狂うわ・・・・・・」
幽霊「えー? 死神さんの方が身長ちっちゃいじゃないですか。この子呼ばわりはどうかと」
死神「人のコンプレックスを土足で踏みにじらないでくれる?」



  • 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 21:21:17.47 ID:owiJMoI80

死神「互いに、肉の身はないのよね」
幽霊「町中に立っていると、歩いている人とかこっちの身を通り抜けて、なんか変な気分になります」
死神「それは慣れでどうにでもなるわ」
幽霊「あ、死神さんの足下に、捨てられたガム発見」

死神「・・・・・・」
幽霊「無言でねめつけないでください。あなた、美人さんだから、ことに恐ろしいです」
死神「褒めても何も出ないわよ」
幽霊「見返りなんて求めてませんから。それこそが友愛なりっ」

死神「いつから私とあなたは友達になったの?」
幽霊「それは・・・・・・ふたりの瞳がかち合った時でした。つぼみがゆっくりと開くように・・・」
死神「はいはい、語り部の真似事はいいから」
幽霊「うう・・・・・・ノリが悪いです、死神さん。友たる存在ギブミーっ」

死神「・・・・・・ほら、手を取りなさいよ」
幽霊「はえ?」
死神「はい、これで友達。満足した?」
幽霊「・・・・・・死神さん」


幽霊「やっぱり、今の時代、ツンデレはもう化石化気味ですよー」
死神「・・・・・・驚いた。死神の私でも、幽霊を消したいって考えることあるんだ。出来ればこのこぶしで」



  • 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 21:25:37.87 ID:owiJMoI80

幽霊「そういえば死神さんは、いつもその黒ローブなんですか?」
死神「黒は死の象徴。悪や負の情をあらわすのよ。基本的に、そういう概念で通っている」
幽霊「へぇ・・・・・・」

死神「そうよ、だから黒人差別がはじまったんだわ。黒人が虐げられたのは、その肌の色にあったのよ。
   黒は悪魔の色、夜という不安感をもたらす色、それゆえに。
   一部の地域では、石鹸の宣伝ポスターで、黒人がそれで体を洗っている図があったわ。
   洗った部分から白くなっている図をね。汚いものが落ちた、ということを伝えるためのメタファー。
   まったく、いつから人間はこんなに・・・・・・」

幽霊「死神さん、説教くさいです・・・・・・」
死神「あ、ごめんなさい。ついつい人間否定になると興奮しちゃって」
幽霊「(無自覚Sッ!?)」
死神「ま、まあ、そういうことがあっても、私は黒が好きだから」

幽霊「そうですね。黒を着ると、スレンダーに見えますからね」
死神「・・・・・・その視線がなんか含みをもっているのは気のせい?」



  • 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 21:39:11.25 ID:owiJMoI80

幽霊「幽霊とか死神とか、ないと思っていました」
死神「そりゃそうよ。だって、実際にあろうとなかろうと、死神本人は生者と接することが出来ないんだから」
幽霊「情報、伝えられませんものねー」
死神「むしろ伝わったら、死という概念すらどこか軽く扱われるわ・・・・・・」

幽霊「なに言ってるんですか」
死神「?」
幽霊「今の時代、人間、もう死を軽く扱っているじゃないですか」
死神「ああ・・・・・・。ついムシャクシャしてやった、今は反省している」

幽霊「ムシャクシャでぶっ殺されたら、たまらないですよね」
死神「まあ、民度低迷化傾向だし。社会の荒廃ね」
幽霊「そうですねー、でも死神さん」
死神「ん?」



幽霊「社会も人間も、もうこれ以上荒廃しませんよー。底辺まで堕しているんですから。下がりようがないですー」
死神「げに恐ろしきは無自覚毒舌・・・・・・」



  • 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 21:47:30.25 ID:owiJMoI80

幽霊「そういや、気になったのですが」
死神「うん?」
幽霊「その鎌、でっかすぎませんか? 柄頭から刃の根本に至るまで、150センチメートルはありそうですが」
死神「正確には154センチメートルよ。刃の長さは・・・・・・弧を描いているから、正確に言うの面倒だけど」
幽霊「ほんとーですかー? 計算出来ないんじゃないんですかー?」

死神「実は、出来ないわ。こちとら文系なもので」
幽霊「いいわけ女、みっともないです。ケッ」
死神「・・・・・・」
幽霊「ごめんなさい、無言で鎌をふりかぶるのやめてくださいおねがいします」

死神「まったく、長さなんて別にどうでもいいじゃない」
幽霊「でもまあ、気になったものでして」
死神「私は、この鎌が大切、それだけでいいの」
幽霊「(黒髪の美少女が、あからさまな凶器に頬ずりしてる・・・・・・。しゅるれありすむっ)」

死神「ずっと共にいると、愛着も湧くというものよ」
幽霊「まあ、死神さんにとって、鎌ってアイデンティティのようなものですよね」
死神「ああ、この黒き刃のきらめきたるや、闇夜に踊りしひとつの閃光・・・・・・」
幽霊「(ただの刃物フェチッ!? しかも厨二病傾向ッ!?)」



死神「死神っていう要素自体で厨二じゃない」
幽霊「それは言っちゃ駄目です。あと、人の考えを読まないでください」



  • 48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 21:54:30.35 ID:owiJMoI80

死神「あ、そろそろドラマが始まる時間。見なくちゃ」
幽霊「え? 死神さん、テレビとか見るんですか?」
死神「人様の家にお邪魔して。壁抜け出来るし、仕事は連絡されない限りやらなくてもいいし」
幽霊「そのぉ・・・・・・人様の、プライバシーとか考えています?」

死神「私は死神よ・・・・・・。人間のことなんて、知らない、知らないのよ・・・・・・!」
幽霊「ドラマティックな台詞でごまかして、しかもあからさまに目ぇ逸らしやがりましたね?」
死神「あなたは見たくないの? 再放送、『TRICK』」
幽霊「・・・・・・ま、まあ、少しくらいお邪魔したって、ばちは当たりませんよね」

死神「電気代とか考えないでいいから、その辺りはいいわね」
幽霊「でも、見ている最中とかに、お仲間さんに仕事の連絡されたら?」

死神「呪 う わ」

幽霊「(い、一瞬空気が凍結したッ!? う、うろたえるんじゃないッ! 幽霊少女はうろたえないッ!)」
死神「だって、こんな職業やっていると、エンターテインメントのひとつやふたつ、欲しくなるのよ・・・・・・」
幽霊「そ、そうなんですかー」
死神「さあ、お邪魔しましょうか、誰かの家に」
幽霊「・・・・・・死神さん、マジギレさせないようにしよ」



  • 56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 22:02:14.78 ID:owiJMoI80

幽霊「そういえば、仕事は連絡が来た時とか言いましたけれど」
死神「ええ」
幽霊「どうやって連絡取るんですか? 電話なんて取れないでしょう?」
死神「それは、服の下にこれがあるから」

幽霊「(うわ、やっぱり、すごく細かい肌理・・・・・・。しかも雪みたいに白いし)」
死神「悪趣味な紅色宝珠型ペンダント。仕組みは分からないけど、これで連絡をとるの」
幽霊「死神さん専用連絡道具ですね? かっこいいと思いますけど。死神さんによく似合いますし」
死神「そう?」

幽霊「しかも、宝珠を結ぶ紐の部分が鎖だなんて・・・・・・いけない場面を想起しちゃいそうで」
死神「あなた、もしかしてむっつり助平?」
幽霊「失礼なっ。このドストレート真っ向勝負エロをむっつりと称するなんて、ひどすぎます。罵倒にも近しき言ですっ」
死神「もうどこから突っ込んで良いのやら・・・・・・」

幽霊「突っ込むなら、私としては後ろからの方が」
死神「マニアック体験は禁則事項よ。常識的に」



  • 62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 22:09:55.27 ID:owiJMoI80

幽霊「その気になれば空を飛べるのに、歩いている時間の方が長いのはどういうことでしょう?」
死神「名残じゃないの? やっぱり、まだ、人間として生きていた感覚の方が新しいのよ」
幽霊「そういや、死神さんはよくぷわぷわ浮いてますね」
死神「別に疲れるわけじゃないしね」

幽霊「まだ、ガムのこと考えているんですか?」
死神「そんなことないじゃない。私は物事をすぐに割り切れる人間よ。ええそうだわ」
幽霊「あ、死神さんの頭上からカラスのフンが」
死神「!?」

幽霊「バックステップで避けましたか」
死神「間一髪」
幽霊「やっぱり気にしているんじゃないですか」
死神「気にしてないわ、ええ、気にしていないのよ」
幽霊「存外に意地っ張りですねえ・・・・・・。あ、足下に犬のフン」
死神「っ!? ・・・・・・って、ないじゃない」

幽霊「うへへ、死神さんをいじるのは楽しいです」
死神「さて、砥石はどこだったかしら・・・・・・」



  • 70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 22:20:45.62 ID:owiJMoI80

幽霊「死神さん、死神さん、起きてくださいよう」
死神「うう・・・・・・ん。もうちょっと寝かせてくれない?」
幽霊「今日は仮面ライダーの日ですよ。ほら、日曜の、朝八時じゃないですか」
死神「あ! そ、そうね。起こしてくれてありがとう!」
幽霊「(うわ、笑顔になるとよりいっそう美形が映えるな・・・・・・)」

死神「・・・・・・ビキビキ」
幽霊「ご、ゴルフで中止だったんですか。すいません」
死神「いいのよ。あなたは悪くないもの。悪いのはあの、ゴルフ業界よ」
幽霊「ちょ、死神さん、鎌もってどこに行くんですか」

死神「ね、分かるでしょう? 特撮は私の太陽なの」
幽霊「は、はい」
死神「そんな私の太陽を・・・・・・つぶしてくれた人には、我が呪いを・・・・・・」
幽霊「やめてくださーい! 本当にしゃれになりませんって!」

死神「放して! はなしてよぉっ! 屠ってやる、屠ってやるんだから! 私の、太陽を、空を、根絶せしめた奴原をおぉぉぉぉっ!」
幽霊「セリフだけ聞くと格好良いですけど、そいつは単なる逆恨みですってば!」
死神「ゴルフの早さに私が泣いたぁぁぁぁぁ!」



  • 80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 22:35:37.72 ID:owiJMoI80

幽霊「ものにさわれない、そんな私と死神さんですが、それでもいいことがありますよね」
死神「ええ、まあね」
幽霊「映画館とかに無料で入れるし、美術館にも。壁抜けマンセー」
死神「おかげで、新しい映画は大抵網羅しているわ。絵も暇な時なら見れるし」

幽霊「まあ、ゲーム出来ないのが痛いんですが、それでも楽しいですね、幽霊ライフ」
死神「それで、どう? なんか面白い場所とかは?」
幽霊「うーん・・・・・・テレビ目的以外では、あまり人様の家に入りたくないですからねぇ」
死神「まあ、あなたはそう考えるのでしょうね」

幽霊「あ、でも、夜のゲームセンター裏とかは好きですよ?」
死神「どうして?」
幽霊「社会的に生きる価値もない、格好ばかり飾って、群れること前提としたクズどもが、そこここにいる図は壮観です。
   いやー、いきがって煙草を吸った時の苦い表情、その無様なことといったら比類がなく」
死神「声帯に毒でも仕込んでいるのかしら・・・・・・」



幽霊「あ、でも。たまにラブホテル前で援助交際とか浮気とかの場面を見ますが、それはそれで面白くもあり」
死神「・・・・・・なんだかんだ言って、人生、私より楽しんでない?」
幽霊「生きてませんけどねー」



  • 89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 22:51:56.28 ID:owiJMoI80
90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 22:53:38.38 ID:owiJMoI80

死神「今日は何か面白い番組ある?」
幽霊「ええと、金曜ロードショーで、ターミネーター2が」
死神「み、見ましょう、是非見ましょうっ。私、好きなのよ」
幽霊「私も好きですよー。3は駄作でしたけれど」
死神「3? そんなものはないわ。ええ、ないったらないのよ。あんな黒歴史・・・・・・」

幽霊「ええと、この二丁目のところの住宅で・・・・・・」
死神「父親とかがいる家は駄目よ。CMの間に別の番組にチャンネル変えて、そのままズルズルと流れていくんだから」
幽霊「いえす、マム。この部屋の人は、ひとり暮らしですから」
死神「あ、丁度やってるわね」
幽霊「見ましょうか」


~約二時間後~


『痛いのは分かってる。ジョンを呼べ』

幽霊「く、クライマックスシーンはさすがに興奮しますね」
死神「・・・・・・(どきどきどきどき)」
幽霊「き、きました! ついにここでシュワちゃんがっ」
死神「・・・・・・(わくわくわくわく)」

・・・・・・ぷつん。

幽霊「え!?」
死神「ま、まさか・・・・・・停電!?」


幽霊&死神「う、嘘だぁぁぁぁぁぁッ!!」



幽霊「死神さーん・・・・・・もう止めましょうよ、レンタルビデオ店で、はりこみなんて」
死神「だって、だってぇ・・・・・・」



  • 95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 23:06:32.67 ID:owiJMoI80

死神「なんか、いつの間にかあなたといることが当たり前になっちゃったわね」
幽霊「ふへへぇ、これぞ人徳なり」
死神「調子に乗らないで」
幽霊「次にお前は『ぶち殺すぞヒューマン』という」
死神「ぶち殺すぞヒューマン。・・・・・・はッ!」

幽霊「ま、なんだかんだ言って、一緒にいて楽しいんですよね」
死神「そうね。・・・・・・ねぇ、待ち合わせ場所とか決めましょうか」
幽霊「え?」
死神「これからは、用事とか出来ちゃうと会えないのかもしれないし」

幽霊「うわー、うわー、逢引きですよ。嬉しいなあ、エロいなあ」
死神「またこの娘は・・・・・・」
幽霊「で、どこにします? 神社? 教会? それとも塩生産工場?」
死神「全部、あなたが消されそうな場所ね・・・・・・」

死神「まあ、あの公園から見える丘の、孤立した巨木の下にしましょう」
幽霊「なんか平凡ですねー」
死神「じゃあ、あなたはどこがいいのよ」


幽霊「そりゃもちろん近所の公園のハッテンb」
死神「私に地獄絵図を見せようとしないで」



  • 103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 23:19:01.49 ID:owiJMoI80

幽霊「死神さん、死神さん。駅前公園あたりで、大道芸をやるらしいですよ」
死神「ふぅん。興味、あるの?」
幽霊「そりゃもう。ありありですよー」
死神「ま、最近は面白い映画もないし。行きましょうか?」
幽霊「はいっ」



死神「す、すごい・・・・・・」
幽霊「すごい。当たり前の言葉ですけれど、それしか出ませんね・・・・・・」
死神「な、ナイフをジャグリングの道具にするなんて。一歩間違えば大怪我よ?」
幽霊「立脚した技術と、確立された自信がなければ、無理ですよね」

死神「ちょ、ちょっと・・・・・・それ危な・・・・・・」
幽霊「わ、わわっ! きゃ、キャッチしましたよ?」
死神「匠の技、これは匠の領域・・・・・・」
幽霊「人間って、やればどこまでも出来るんですねー」

幽霊「ふぅ、面白かったです」
死神「本当、こういう人には感服するわ」
幽霊「死神さんは、ああいう大道芸とか出来ないんですか?」
死神「あの領域は無理だけれど・・・・・・」
幽霊「はいはい」

死神「投げつけた鎌をブーメラン代わりにして、キャッチするくらいしか」
幽霊「あー、はい。超人って、ベクトルが違う超人の領域が分からないんですよね」
死神「超人?」
幽霊「死神さんは、厨二のエキスパートです。ラウンドトリップ乙」
死神「なんか馬鹿にされた気がするわ」



  • 111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 23:34:26.08 ID:owiJMoI80
112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 23:35:09.45 ID:owiJMoI80
114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 23:35:57.56 ID:owiJMoI80

幽霊「今日は、どこ散歩しましょうか?」
死神「そうねぇ・・・・・・」

『熱き怒りの 嵐を抱いて! 戦うために 飛ぉび出せゲッタァァァッ!!』

幽霊「うぎゃあああぁぁっ!? な、なんですか? なんですか?」
死神「あ、はい。先輩ですか? ・・・・・・仕事ですね、分かりました」
幽霊「(あ、着信音なんだ・・・・・・。でも、なんでゲッターロボ?)」
死神「はい、はい・・・・・・。分かりました、あの繁華街付近の道路ですか」

死神「仕事よ。あなたはついていかなくてもいいわ」
幽霊「いえいえ、ここで別れると、死神さんと合流出来なくなりそうで」
死神「人が死ぬのよ? どうせ気分が悪くなるのは、目に見えているわ」
幽霊「それでもついていきます」
死神「そう? まあ・・・・・・勝手にしなさい」


幽霊「んー、なんか今日の死神さんはそっけないです」
死神「仕事モード。ただの移動にスマイルが必要? サービス業じゃないのよ、こちとら」
幽霊「ドライですねえ・・・・・・」
死神「仕方ないじゃない、仕事が仕事だし。・・・・・・はい、到着」



幽霊「・・・・・・トラックの横転事故、ですか」
死神「情報では、確か、それに巻き込まれた青い車があったはずよ」
幽霊「あ、見つけました。うわ・・・・・・血とかガラス片とか骨肉とかでぐちゃぐちゃ」
死神「あなたがそれを見て平気なところが疑問なんだけれど。私は慣れているし」

幽霊「? どうしてでしょうかね? それよりも、死神さんのお仕事はどのように?」
死神「別に。死神といったって、生身の人間をぶっ殺すんじゃないの。
魂魄(こんぱく)が剥離して、賽の河原に逝くのが基本なんだけれど、そこで迷ったり嫌がったりする魂がたまにあるから」
幽霊「そんな不逞の奴原を、その鎌でもってして、ずばばーんと」
死神「ま、そうね。たまに反撃とかされるけれど。たぶん、今回は平気でしょう」
幽霊「あ、車の中の死体から、なんか白いもやのようなものが」



死神「・・・・・・ええ、そう。とにかく、あなたは死んだのよ。すぐに、あそこに逝きなさい」
幽霊「おを、魂を説得してます。なんか格好良いです」
死神「未練? そんなもの、多かれ少なかれ、死にゆく者たちは皆あるわ。自分だけが特別と思わないで。逝きなさい」
幽霊「あ、天にのぼって・・・・・・消えちゃいました」

死神「やれやれ、なんかカウンセリングしているみたいで嫌になるわ」
幽霊「お仕事、ご苦労さまです。というか、賽の河原って本当にあったんですね」
死神「まあ、あなたたちが抱いているイメージとは・・・・・・恐らく違うでしょう、絶対違うでしょう、うん、絶対」
幽霊「な、なんかすごい嫌そうな顔してますね」

死神「・・・・・・今度、一緒に行ってみる?」
幽霊「いいんですか? いーやっはー、これってデートですよね?」
死神「えー・・・・・・」
幽霊「マジで嫌そうな顔されるとこちらもさすがに傷付くんですが」



  • 123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 23:50:57.17 ID:owiJMoI80
124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 23:51:53.98 ID:owiJMoI80

幽霊「死神さん、死神さん。面白い人があそこの家にいるんですよ」
死神「あなた、最初、プライバシーとか気にしてなかった?」
幽霊「う・・・・・・。ま、まあでも、一緒に見てくださいよー」
死神「ああ、もうっ。分かったからローブひっぱらないで。脱げちゃう」

幽霊「ほらほら、この女子大生の家です」
死神「単なるひとり暮らしの女の家じゃない。・・・・・・目立ったところも見当たらないし」
幽霊「ところがどっこい。ほら、彼女が座っている机の上にあるのは?」
死神「あるのは・・・・・・って、携帯電話じゃない。でも、なんでみっつも?」

幽霊「もうここまできたらプライバシーとか関係ねぇです。読んでみてください」
死神「はいはい。ええと・・・・・・。
   『大好きだよ また明日、会おうね』
   『もう寝た? 私も寝る。三日後のデート、楽しみだね』
   『昨日の晩は眠れなかった』
   って、三股ああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

幽霊「二股ならよく聞きますけれど、三股ってのはさすがにあまりないですよね。トリケラトプスならぬ、トリ股携帯」
死神「な、なんて恐ろしい・・・・・・。長らくこの仕事やっている私、人のことなんか基本的に考えていなかったけれど。
   この瞬間だけは、見てはいけないものを見てしまったような感覚にとらわれたわ・・・・・・」


幽霊「まー、基本的に男って馬鹿ですからねー。顔が良ければ基本的に近づきますし。
   性欲の権化ですか。脳と下半身が直結している、発情期の畜生みたいですよねー。
   でもま、畜生の方がマシですけど。年中サカってばかりじゃないんですから。男と違って。
   恋愛の執着地点のことばかり考えているから、浮気に気付かないんですよ、かーっペッ」

死神「・・・・・・誰か助けて。毒にやられて死にそう。私、死神なのに・・・・・・」



  • 131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 00:07:11.82 ID:rGuph1l90

幽霊「死神さんって、色々な死に立ち会ったんですよね?」
死神「そうね。最初は、死体を見ただけで眉をひそめたものだけれど。今では全然、何とも思わないわ」
幽霊「初期防御力やたら高いのは置いときまして。やっぱり、こたえたのはありましたか?」

死神「レイプ後に殺された、なんてケースは嫌ね。被害者は未練たらたらだから、こっちも困るし。現場の光景も最悪」
幽霊「うわ、想像するだけで嫌ですね」
死神「逆に、電車でクラッシュ後の四散マグロとかは慣れるわ。でも、首吊り系統は嫌。小便と大便垂れ流しだから」
幽霊「生理的嫌悪感を湧き立たせますね」

死神「あと、児童虐待殺人は、あまり好きじゃないわ」
幽霊「はぁ、それは意外ですね」
死神「私、子供は好きなの」
幽霊「へぇ・・・・・・」



幽霊「つまり、ロリコンってことですねっ。大丈夫です、私は死神さんがどんな性癖をもってようと」
死神「この話を、たやすくそういう流れに変えられるあなたは、色々な意味で常識を逸しているわ・・・・・・」



  • 138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 00:23:38.03 ID:rGuph1l90

幽霊「死神さん。今日はどうします?」
死神「森に行くわ。久々に、緑を見たいの」
幽霊「ういーっす、お供しますねー」



幽霊「うわ、木漏れ日が落ちに落ちていますね」
死神「綺麗でしょう? 風にさやぐ葉の擦過音が、一抹の清涼感」
幽霊「いいですね、これ。森の中って、こんなに、優しかったんですか・・・・・・」
死神「そうね。もう、綺麗で綺麗で・・・・・・。だから、たまに来るの」

幽霊「でも、さびしーですよね」
死神「?」
幽霊「土地開発とか進んで、こういう景観もいつしか失われて・・・・・・」
死神「仕方ないのよ。美景を破砕するのは、いつだって人間なのだから」

幽霊「私たちがドラマとかアニメとかを見るのも、そういった開拓精神の恩恵、と言えなくもないですね」
死神「結局、進むしかないのよ、人間は。その先にいかな穴があったとしても」
幽霊「だから」
死神「うん?」


幽霊「だから、少しは森を残すんでしょうね。木を、生かしているんでしょうね。暗い未来があっても、この、木漏れ日のように」
死神「木漏れ日のように?」
幽霊「ほのかに、あたたかく、生きていたい。無意識内にそう思っているんじゃないでしょうか」
死神「・・・・・・ふふっ、意外に詩人ね。でも・・・・・・そういう考えは嫌いじゃないわ」

幽霊「・・・・・・たまには、ゆっくりと森の中で座るのも」
死神「悪くない、わね」



  • 153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 00:52:56.41 ID:rGuph1l90
154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 00:53:55.30 ID:rGuph1l90

死神「そこの中学校で体育祭やっているけれど、行く?」
幽霊「体育祭ですか。たまには、そういうのを見るのもいいですねー」
死神「飛び散る汗、ぶつかる熱意、あふれる気合。それでも勝者はひとり。うん、燃えるわ」
幽霊「萌え萌えなのですか?」
死神「・・・・・・なんか、フレーズに違和感を覚えるのは私だけ? まあ、行きましょうか」

幽霊「死神さん。この綱引きは、赤と白、どっちが勝つと思います?」
死神「私は白だと思うけれど。あなたは?」
幽霊「赤だと思います。・・・・・・賭けますか?」
死神「いいわよ。勝ったら、負けた方にひとつだけ命令出来るとか」
幽霊「うい、乗りましたっ」



死神「・・・・・・まけた」
幽霊「むふふぅ、これぞ日頃の行いの差」
死神「しょうがないわね。私から言い出したんだし。さあ、命令ひとつどうぞ」
幽霊「はいはぁーい、では」


死神「・・・・・・ねぇ、こんなので本当にいいの?」
幽霊「いいんですいいんです。ふひひ、死神さんの膝枕、やわらけー。霊体同士だと、触ること可能ですね」
死神「ちょっと恥ずかしいけれど。まあ、この程度ならいつでもしてあげるわよ」
幽霊「ま、マジですかっ? 人質ならぬ言質、とりましたよ?」
死神「はいはい」

幽霊「・・・・・・でも、なんでこんな会話しているのに、胸にこないんでしょう・・・・・・?」
死神「運動会やってる中で膝枕して、ときめくことなんて出来る? 私は出来ないわ」



  • 158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 01:06:29.38 ID:rGuph1l90
159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 01:07:20.52 ID:rGuph1l90

幽霊「死神さん、死神さん。新しい美術館がオープンしました」
死神「ふぅん。で? 何を展示しているの?」
幽霊「印象派の画家たちの作品です。ま、オーソドックスですね。クロード・モネとか」
死神「へぇ」

幽霊「行きましょうよ、行きましょうよー。ピカソとかも、サブ展示でありますからぁ」
死神「私、画家の名前はあまり知らないから。・・・・・・でもまあ、ピカソもたまにはいいか」
幽霊「やったぜっ。死神さん、愛してるぜ」
死神「はいはい、私も愛してるわ。とっとと行きましょう」
幽霊「うぅ・・・・・・死神さん、なんてドライな。まるでアクリルガッシュのようにデレデレ期が少なし・・・・・・」


幽霊「ひょー、やっぱりモネは色使いがうつくしー。あ、ゴーギャンの作品は、相変わらず重厚ですねー」
死神「ゴーギャンって、そういえば・・・・・・ゴッホと一緒にいたっけ?」
幽霊「はい。ゴッホと共同生活していたけれど、仲違いしちゃいましたよね」
死神「『役に立たない耳だな。そんな耳、切り落としてしまえ』・・・・・・か」

幽霊「罵倒は罵倒なんです。仮に軽い気持ちで言ったとしても、受け取り側がことさらに重くとらえてしまうこともあります」
死神「だから、見解の相違とかで殺人が起きたりするのよね。大抵の動機って、そんな瑣末なもの」
幽霊「でも・・・・・・私は死神さんと仲違いはしたくないですよ? 一緒に仲良くしていきたいです。ずっと」
死神「ぅえ!?」

幽霊「あれ、あれれー? 死神さん、ほっぺたがパーマネントレッドー?」
死神「苛立つからかいは、やめて」
幽霊「ほらほらー、壁じゃなくて美術作品を見てくださいよー」
死神「ああ、もう・・・・・・」