1の作品-3

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381 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 14:09:13.75 ID:rGuph1l90 幽霊「日本人は日本語を間違えすぎです」 死神「私の肉しみは消えないわ」 幽霊「いや、そうではなくて・・・・・・。ほら、役不足、とかいう言葉、あるじゃないですか」 死神「ああ、それね」 幽霊「『そのような大層な仕事、この私には役不足です』なんて言ってしまったあかつきには・・・・・・」 死神「上司が気付かなければいいけどね。気付かれると、何を言うんだテメェ、と殴られても仕方ないわ」 幽霊「力不足とか、役者不足とか。まあ、一番良いのは、それに類似するようなことを言わなければいいんですけれどね」 死神「放たぬ言にたたりなし、ね。言葉はちゃんと選ばないと」 幽霊「でも、少しぐらいは自分でそういうことを考えないと。    私は困った人を助けるのも、ほどほどにしておこうと思います。    情けは人のためならず、ですからねー」 死神「言ったそばから使用方法を間違えるのはやめなさい」 386 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 14:21:51.16 ID:rGuph1l90 409 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 16:07:13.21 ID:rGuph1l90 死神「また今日も暇・・・・・・」 幽霊「あ、今日、金曜ロードショーで『もののけ姫』やりますよ」 死神「ジブリアニメはさすがに見るわ。あのクオリティは異常よ」 幽霊「まあ、私も丁度見たかったので。見ます」 死神「し、ししがみさまーっ!」 幽霊「死神さん、なんか衝撃受けると、インスパイアすごくないですか?」 死神「シャラップ! インスパイアの本来の意味は、『鼓舞する』! 日本語英語死ね、ウキイィィー!」 幽霊「駄目だこいつ・・・・・・はやくなんとかしないと」 死神「・・・・・・興奮しすぎたわ」 幽霊「まあ、あのアニメは結構面白いから、仕方ないかと」 死神「あなたに慰められると、なんか悲しくなる」 幽霊「怒っていいですか?」 死神「あはは、ごめんごめん」 幽霊「でも、主人公はヒロインの住処である森に行くたびに、いちいち断らなければならないのでしょうか。例えば、    『あのー、木を三本ほど』『ふっざけんじゃねぇぇ! こっちもやりくり大変なんだよ!』みたいに。    自然に生きる者たちと社会に生きる者たちとの間で生じた、泥臭い疎隔ですね・・・・・・」 死神「本当、あなたは、子供の夢を破砕する天才ね」 414 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 16:31:14.58 ID:rGuph1l90 死神「果たして、人が生きることに意味はあるのやら」 幽霊「食物連鎖ピラミッドから外れていますからねー。英知の結晶たる数々の道具のせいで、他の色々な動物が絶滅していますし」 死神「まあ、生物である以上、殺して生きるしかないんでしょうけれど」 幽霊「やらなきゃ俺が殺される、だから俺はテメェを殺す、といった具合ですかね」 死神「人が死んでも、その記録や記憶は残るというけれど」 幽霊「記録とか記憶って、消えるの前提ですもんねー。過去の栄華に思いを馳せないのはどうかと思いますが、    やっぱり今を生きる方が良いと私は思いますよー」 死神「退屈な70年の人生と、満たされた30年の人生なら、大抵は後者を選ぶでしょうから」 幽霊「結局、環境問題とか関係ねーですよ。    俺が生きている間は平和でいろ、死んだあとは知ったこっちゃねぇ、というのが普通だと思いますが」 死神「自分が死ねば、世界は終わる。人間って、基本的に恣意的だからね」 幽霊「ああ、そんな死神さんの凛とした姿を見ると、私の下腹部にあるコネクターがエルニーニョ現象っ」 死神「あなたの体、という名の環境は、木っ端のごとく粉砕される方が世界平和に貢献出来ると思うわ」 422 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 16:53:19.68 ID:rGuph1l90 死神「今日は、死ぬにはいい日だ」 幽霊「こんなに暗い夜だけど」 死神「今のボクには、つなぐ手があるから・・・・・・って、違うわよ」 幽霊「あ、そうなんですか。でも死神さんがそのネタを知っているとは予想外」 死神「とあるアパートの中、ヘッドフォンもつけずにエロゲーしている家があってね、それで」 幽霊「うわぁ・・・・・・」 死神「死ぬにはいい日、とは、具体的にどういう日なのかしら?」 幽霊「んー、シチュエーションによるんじゃないんですか? 雨の日だって、好きな人は好きですよ?」 死神「病弱な子が外を見ながら逝く時は、雨の方が映えるかもね」 幽霊「最近そういうサナトリウム文学、激増しましたよね。    オチつけるのが簡単ですもの。日本人の偽善精神を的確についた、ウィークポイントストライクエンターテインメント。    小技に走るか小物めが、ペペペのペッ」 死神「わ、私は知らないわよ? そんな危険な発言しちゃっても」 幽霊「でも、道ばたで刺されて死んだ際、倒れた先で野外ファックしているカッポーがいたら、ギャグになっちゃいますよねー」 死神「それは、死ぬには、この上なく嫌な日ね。あとカップルをT-LINKナックル風味に言うのやめて」 幽霊「この俺とSRXをとめられると思うなっ」 426 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 17:16:13.94 ID:rGuph1l90 幽霊「今、気付いたんですけれど」 死神「?」 幽霊「スーパーロボットの武器って、馬鹿っぽいやつが多いですよね」 死神「ちょwwwww禁句wwww」 幽霊「ゲッ○ードリルは、ただのドリルと変わらないですし、ブレスト○ァイアーは、でっかい放熱板から熱照射しているだけですし」 死神「その馬鹿さ加減を分かって、それで燃えられるのがロボットの真骨頂なのに・・・・・・」 幽霊「超電磁スピンなんて、竜巻で身動き取れない敵に、両手ドリルで回転体当たりブチかますんですよ? どっちが悪なんですか?」 死神「確かにコンバ○ラーはやりすぎだったけど・・・・・・たとえばバトルチェーンソーとか」 幽霊「リボルビングステークになると、もうアホとしか言えませんよねー」 死神「な、ナンブ中尉を馬鹿にしないで!」 幽霊「え?」 死神「こうやって、接近して、杭を相手のどてっぱらに打ち込んで!」 幽霊「ちょ、死神さん、実際に接近しないでくださいって!」 死神「装甲をぶち抜き、がら空きになった部位に、ゼロ距離からの砲撃を見舞う!」 幽霊「いや、だから抱きつかないでくださいってば!(うわ、すごくいい匂い・・・・・・)」 死神「ビバ、合理的! わかった!?」 幽霊「は、はい・・・・・・(だから顔近付けないでくださいよ! うわ、肌、白っ! 改めて見ると、すっげぇ美人!)」 死神「この距離、俺向きだ・・・・・・!」 幽霊「ゼロ距離、とられちゃいました・・・・・・。そして私の理性はスクウェアクレイモア」 431 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 17:36:56.59 ID:rGuph1l90 幽霊「死神さん、死神さん。産婦人科の病院行きましょうよ」 死神「なぁに? 赤ちゃんが生まれるところでも見たいの?」 幽霊「はい。グロテスク、と聞きましたけれど、やはり後学のために研究をしたい次第で」 死神「まあ、いいけれど・・・・・・。あなたがそんなのに興味を持つなんて意外ね?」 幽霊「そうかもしれませんね。でも見たいんです」 死神「(やけに素直ね・・・・・・?)」 幽霊「さ、行きましょう行きましょうっ」 死神「ちょ、ちょっと、引っぱらないで・・・・・・」 幽霊「はぁ・・・・・・確かに、血が多かったですけれど。色々と参考になりました」 死神「そう、ね。生命誕生の瞬間は、いかに泥臭くても、それだけで尊いものね」 幽霊「はいっ、やっぱり赤ん坊生誕の瞬は、自然の美に比肩するような、そんな雰囲気がありますねー」 死神「ま、こういう日もたまにはいいわね」 幽霊「私も、いつかそのおなかの中に死神さんとの赤ちゃんをば」 死神「無理難題にも程があろうというものね。そろそろ、頭の治療でもしましょうか?」 幽霊「せ、精神科医はまだまだ、勧誘禁止だぜ!」 死神「あなたにはそろそろ必要なものだれ?」 幽霊「あ、愛がこげちゃう!」 435 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 17:56:49.00 ID:rGuph1l90 幽霊「共生って、あるじゃないですか?」 死神「イソギンチャクとクマノミみたいな関係のこと?」 幽霊「はい。イソギンチャクはクマノミを外敵から守るかわりに、クマノミの身についたカスを食べている、とどこかで聞いたのですが」 死神「そういう考えもあれば、ただ単にクマノミが寄生しているだけ、という説もあるわね」 幽霊「はい。それで、思ったんです。真なる共生とは、一体どのようなものかと」 死神「完全なる持ちつもたれつ、ギブアンドテイクか・・・・・・。難しいわね、それは」 幽霊「寄生と共存は違いますからねー。実際、こちらが相手を利用しているだけ、というのもありますから」 死神「うーん・・・・・・あんまりいい例が思いつかないわ」 幽霊「あ、でも、ドMとドSならば、素敵素敵な共生関係が」 死神「それ、共『性』って言わない?」 447 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 19:06:34.41 ID:rGuph1l90 死神「今日の洋画は?」 幽霊「アラクニッド、とかいう、わけ分からんちんの映画です」 死神「名前からして、B級臭ぷんぷんね。まあ、暇なので見ましょうか」 幽霊「なんか嫌な予感がひしひしと・・・・・・」 死神「うっわぁ・・・・・・」 幽霊「駄目です、こりゃひどいです、B級どころかF級です」 死神「怪物がいそうな場所で、寝るものなの? おかしいわ」 幽霊「残虐性を狙ったグロ死亡シーンも、なんか唐突ですし」 死神「エンディングの駄目さ加減に至っては、どんな駄作でも比肩するものは、数少なそうね」 幽霊「駄目駄目すぎて、嫌になります・・・・・・」 死神「むしろ、キャベツアニメのように、駄目っぷりを押し出せるようなのならば良かったものの」 幽霊「いや、それって外国の人には分かってもらえないんじゃないですか?」 死神「駄目なのがいい、と言う人もいると考えて」 幽霊「・・・・・・つまり、それって、嫌よ嫌よも好きのうち、ということですね? ハァハァ、死神さんハァハァ」 死神「ちょ、何す、やめ、アッー!」 幽霊「死神さぁぁぁっ!? ぐはぁっ!? ・・・・・・ぐ、ぐぅ・・・・・・」 先輩「夜空の星が輝く陰で、私の笑いがこだまする・・・・・・っ!」 453 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 19:40:05.54 ID:rGuph1l90 幽霊「べとべとさん、先へおこし」 死神「夜闇を怖がる人間が生み出した、夜道にて出現する妖怪をうたった、怪談ね?」 幽霊「はい。夜道を歩く際、背後に何か気配を感じるのは、べとべとさんがいるせいだ、という話です。面白いですよね」 死神「誰もいない夜道を歩くと、なぁんか見られているような気がするわね、確かに」 幽霊「まあ、私はこういう存在ですから、怖くもなんともないのですが」 死神「江戸時代の人とかは、夜道を恐れたでしょうね。街灯もほとんどない時代だから」 幽霊「人って、具体的で強大な存在よりも、『よく分からないもの』を怖がりますから」 死神「それに共感性をもたせれば、ね。論文で出す具体例みたいなものよね。身近なものを挙げて、関心をひきつける演出」 幽霊「丁度、夜ですから言ってみましょうか」 死神「ふふっ、いいわね。『べとべとさん、先へおこし』」 「・・・・・・先に行くと、暗くて歩けない」 死神「!? う、うっぎゃあああああぁぁぁぁ! で、で、出たぁぁぁぁぁぁ!」 幽霊「あ、ちょ、死神さーん? ホラー苦手なんですかっ!? てか、今の声、マジですか!?」 先輩「・・・・・・裏声使って、よかった・・・・・・。後輩の可愛い姿、ゲット・・・・・・」 458 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 20:02:39.23 ID:rGuph1l90 幽霊「さあ、今日はどこに忍び込みましょうかー?」 死神「忍び込むって・・・・・・まあ、壁抜けして無断視聴しているから、大きなことは言えないけれど」 幽霊「死神さんは、どこに行きたいですか?」 死神「そうね・・・・・・。久しぶりに、プラネタリウムなんかに」 幽霊「星空なんて、山奥に行けばあるじゃないですかー」 死神「とか言いながら、ちゃっかり一緒にいるのね、あなたは」 幽霊「そりゃもう。私あるところに死神さんあり、ですよ」 死神「何が言いたいのか分からないけれど・・・・・・。まあとにかく、この人工星空、嫌いじゃないのよ」 幽霊「どうしてですか?」 死神「虚構の美、というのかしら。本物と程遠いからこそ、なんか支援したくなっちゃう」 幽霊「・・・・・・そうですね。たまには、素直に楽しみましょうか」 死神「そうそう」 幽霊「すー・・・・・・」 死神「やっぱりね、寝ちゃったか。こういう施設は、眠くなるのよね、ことに」 幽霊「んく・・・・・・」 死神「やれやれ、黙って寝ていれば、とても可愛らしいのに」 死神「・・・・・・人の数だけ、思いがある。この星空のように、か」 幽霊「・・・・・・」 死神「駄目ね。最近、あなたを北極星のような存在として見ちゃう。ごめんなさいね」 幽霊「(・・・・・・私は、それでもいいんですけれどね。ずっと動かず、揺らがず、離れず・・・・・・)」 470 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 20:43:52.49 ID:rGuph1l90 幽霊「まちぼうけー、まちぼうけー」 死神「懐かしいわね、その歌。守株(しゅしゅ)だっけ?」 幽霊「はい。まあ、過去の出来事を思うのも大事ですけれど。人間、歩を進めないと駄目ですよね」 死神「ウサギが切り株に突っ込んで、首の骨へし折るなんて、稀有なる例だもんね・・・・・・」 幽霊「ウサギに限らず、人間も、あっけないことであっという間に死んでしまいますよね」 死神「そうね・・・・・・。前なんて、急性アルコール中毒で逝った大学生と接したわ。まったく、説得が大変だったんだから」 幽霊「あはは、死神さんは、暴力が最終手段ですものね」 死神「話を聞かない輩には、鎌を振るうけれどね。あんまり力ずく、好きじゃないのよ」 幽霊「死神さんみたいな人がいたら、世界は変わっていたんでしょうか・・・・・・」 死神「・・・・・・ううん、そんなことはないわ。闘争本能は、人間の原初的本能だもの」 幽霊「嫌ですよ、嫌ですよ・・・・・・。私は、争いが、嫌いなのに」 死神「でもね、人は、争うの。だって、人は自分じゃないから。人は、恣意的だから」 幽霊「私は、死神さんとの関係を続けたいですねー。守株でも、構いませんから」 死神「・・・・・・やれやれ、私も、切り株から離れる日は遠くなりそうね」 479 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 21:03:43.12 ID:rGuph1l90 480 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 21:04:30.63 ID:rGuph1l90 482 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 21:09:43.93 ID:rGuph1l90 483 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 21:11:13.20 ID:rGuph1l90 486 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 21:16:36.15 ID:rGuph1l90 488 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 21:17:41.59 ID:rGuph1l90 491 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 21:22:20.06 ID:rGuph1l90 492 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 21:23:27.47 ID:rGuph1l90 『泥水』 友人同士である少女ふたりに、死神たる私が着目したのは、恐らく気まぐれであったのだろう。 毎日のように、学校から帰る際、ふたりは一緒だったから。 ただ、ちょっと好奇心のままに観察することにした、それだけのこと。 ふたりの少女は、いつも談笑をしながら下校していた。 友達、友達、友達。そういったことをしきりに口にしていたような気がする。 そのふたりの笑顔を見て、私はなんとなく不安になった。 嫌な予感が、したからである。 勘のようなものであろうか。なんとなしに、私は、このふたりが離れることになると感じていた。 離れる、といっても、距離的なそれではない。精神的な面で、だ。 固い絆で結ばれているように見えるふたりを視界のすみにやり、いつなんどき、彼女らの関係に疎隔が生じるのか、私は気になった。 もしも離れればそれまでだろうけれど、離れなければそれはそれで僥倖だろうから。 長らくこんな仕事をやっているから、もう人間に情が湧くはずもない。 どこで誰が死んでも、私にはあまり関係がない。目先の人間が爆発四散しても、私は良心の呵責になど苛まれない。 眼前で死ぬ人間を嘆く余裕があるのならば、地球の裏側で数秒ごとに死んでいる人間のことも泣いてみろ。 と、偽善的感情に身をやつした、魯鈍なる奴原にそう語りたい所存。 それはともかくとして。 私は、興味本位でそのふたりを観察していた。気分としては、毎日決まった場所に来る猫を見るようなものだ。 いなくなればそれっきり、別のことに興味が向く。 破局というものは、あっけなく起こるものである。 友人同士だった少女の片方は、ある日、暴漢たちに袋叩きにされていた。 恐らくは、抵抗出来ないまで痛めつけ、意識朦朧としている際に蜜壷を味わい、その後捨てたりするつもりなのだろう。 容赦ない打擲(ちょうちゃく)の嵐を受けたその少女の顔には、もはや理性の色などなかった。 と、そこで、暴行を加えられていた少女の友人が、偶然ながらその現場を目撃してしまったのである。 家も近所同士、ゆえにふたりがその場にて落ち合うのは、奇跡でなく単なる偶然。 暴行を受けた少女は、その影に気付き、助けを求めた。 助けを求められた少女は――逃げ出した。 叫び、泣き、涙と鼻水をみっともなく垂れ流しながら。我が身かわいさに、少女は、友を、見捨てた。 暴行を受けた少女の顔が絶望に彩られるのと、服の破れる音が夜闇にさんざめくまでに、そう時間はかからなかった。 少女は、逝った。死体となった彼女を犯す影はいくつか。 さりとて、魂は天へと向かう。白きもやとなって、それは傍観していた私の前に現れた。 じっと、ことのなりゆきを見ていた、私の前へと。 「あなた、死神・・・・・・?」 「あら、よく分かったわね。まあ、こんなまっくろくろすけ衣装と、鎌もっていれば当然か」 「お願い、お願いよ! あの男たちと、私を裏切ったあの女に、制裁を与えて!」 「? どうして? 制裁? なんで私がそんなことしなきゃならないの?」 「あいつらの所業、見たでしょう!? あの女も私を裏切った! 友達だと、親友だと、信じていたのに・・・・・・!」 白い魂は、歯がないのに歯ぎしりする。よっぽど悔しかったのだろう。 だが、私は。 心が、自分の心が、胸中が、急速に冷えていくのを感じていた。 「殺してよ! あんなひどいことするやつら、生きていない方がいいわよ!」 「・・・・・・あなた、物事を多角的に見ることが出来ない、ガキね」 「!?」 「あのね。あなたを見捨てて逃げた友人、とか言うけれど。逆の立場なら、あなたはどうしたの?  恐怖にかられて逃げ出すのは当たり前。だって、他人の面倒ごとに自分からくちばし突っ込みたくないもの。  逃げるのは、基本よ。うらむのは勝手だけれど、あの子を殺すなんてとてもとても」 「でも・・・・・・!」 「それに。誰にだって、家族はいる。殺してよ、なんて簡単に言って良いの?  その人が失われて、葬式があって、泣きわめく家族の前で、あなたは言えるの?  私が、その人を、殺しました、と」 「ぅ・・・・・・」 「勘違いしないで。私は、死の担い手だけれど、殺人鬼じゃないの。自分の世界が正義だなんて、子供の考えもいいところよ。  他人が自分の望む通りに動く、なんて考えないで。人はあなたのマリオネットじゃないわ」 「う、ああぁぁ・・・・・・!」 「あなたが持っていた糸の先に、人形なんて一体もいないのよ。  他者は全て、自動人形。あなたが操作出来る存在なんて、いるかいないか、といった程度。  死んで悔しいのは、わずかばかりなら察すること出来るけど。もうちょっと後先考えなさい・・・・・・小娘」 白い魂は、慟哭の声を上げた。怨嗟の悲鳴を上げた。 けれど、そんなものは私には関係がない。子供が、世界を見ただけの悲鳴だ。取るに足らないものだ。 「やだよ! どうして、私が! あいつらを! 殺し・・・・・・!」 だから。私は、眉ひとつ動かさずに、仕事をする。 「次はもうちょっと賢くなりなさい。あなたみたいなイノシシ思考、嫌いじゃないけれど」 私は、鎌を一閃させて、白き魂を強制送還せしめた。 それを見届け、空を見れば。 残酷なほどに美しき黒が、そこここに蔓延していた。 友情とか、愛情とか、そういった感情は、よく分からない。 自分を綺麗な存在に見せたいがためにある、そんな言葉だと私は思う。 愛は、生存本能に隷従しているだけの泥臭い感情を飾る言に過ぎないだろうし。 友愛というのも、人を利用しているだけの関係が大抵で、言葉なんてものは飾りばかりだ。 だから、私は、友情とか愛情とか、そういった言葉が嫌いだった。 自己酩酊を、何よりも忌むがゆえに。 人を利用していることを、美辞麗句という鎧にて飾り、胸を張るような愚昧なる阿呆には、なりたくなかった。 けれど。 だけれど。 だけれども。 「死神さん、何をぼうっとしているんですか?」 「あ、ごめんなさい。ちょっと昔のことでね、考えごとをしていたものだから」 「本当ですかー? なんか死神さん、エロいこと考えてそうな顔してましたよー?」 「あなたと一緒にしないでよ、もう・・・・・・」 今、私は、幽霊の少女と一緒にいる。 彼女との関係は、『友』。なんて、なんて曖昧模糊としたスタンスだろう。 そんな甘い甘い関係に、私は嫌悪するも。 「あ、そうです。死神さん、今日はピカソの『青の時代』特集をやるんですよ」 「そうなの?」 「ええ。ねぇ、見ましょうよー。ピカソの天才性と狂気が、あますところなく見られる作品が、ぞくぞくとっ」 「ちょ、分かったから、抱きつかないで! 恥ずかしいから!」 彼女の無邪気な姿に、この暗い思考が覆われてしまうことがある。 彼女の明るさに、たじろいでしまうことがある。 それは、とても不快だけれども、とても心地良くて。 どこか、あたたかくて。 もう少し、もう少しだけ。 「やれやれ・・・・・・。まあ、行きましょうか。私も興味あるし」 この、甘い甘い泥水を、すすっていたい。 529 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 22:19:51.77 ID:rGuph1l90 死神「とある漫画に書いてあったんだけれど。大きなクワガタに金を払うのはどうかと、と語っていたわ」 幽霊「そういえば、大きいクワガタムシほど好かれますよね」 死神「スケールは強さとイコールで結ばれるからね、大体」 幽霊「だから男性の股間にある正義棒も・・・・・・って、同じネタはやめましょう」 死神「ちぇっ、鎌、用意していたのに」 幽霊「それで、その漫画の中では、大きなクワガタのことをどうと?」 死神「ええとね、たくさん食べればクワガタは大きくなる。つまりはデブだ。お前らデブに大金払ってどうする、だと」 幽霊「逆に考えるんだ。デブ専だったと」 死神「獣姦ならぬ・・・・・・虫姦? デブ虫姦?」 幽霊「うわ、その発言、さすがの私でも引くんですが・・・・・・」 死神「・・・・・・何故なのかしら。私がこういうこと言って引かれるのって、理不尽な気がするわ」 幽霊「そりゃ、死神さんは外見が清純派で、中身がエロという、まるでエロゲのテンプレじみた属性が萌え萌えで」 死神「うん、あれね。あなた一回、樹海にかえってクワガタムシと戯れていなさい。この虫野郎がっ」 幽霊「ヒョーッヒョッヒョッヒョッヒョッ!」 が、案外、変化というものは唐突に、それでいて都合良く起こるものであり。 別れというものは、とかくとかく唐突に、唐突に起こるものであり。 538 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 22:39:16.04 ID:rGuph1l90 幽霊「スーパーで加工食品が並べられているのを見ると、思うのですが」 死神「うん」 幽霊「ああいうのばかり食べていると、生命というものを認識出来なくなっちゃいますよね。    ハムだって豚肉だし、ハンバーグだって色々な肉だし。赤い血を流す彼らの体を、人間は食べているんですよね」 死神「そうね。加工食品ばかりだと、生命感が認識出来なくて、いつしか食べ物に感謝しなくなるかもしれない」 幽霊「人間たちは、生き物を殺して、屠って、生きながらえていることを、いつか認識させないと駄目ですよー」 死神「生きることそのものが、多くの生命を殺すことだからね」 幽霊「飽食の時代ですから。ゴミ箱に捨てられたハンバーガーとかを見ると、なんか悲しくなります」 幽霊「まあ、ハムとかの場合は着色料とか色々と変なのぶち込んでいますし、そもそも豚の肉を使っているかどうか」 死神「それ以上は言っちゃ駄目よ。皆、ある程度は妥協して、食品購入しているんだから」 幽霊「でもミートホー○はやりすg」 死神「馬鹿・・・・・・消されるわよ」
-381 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 14:09:13.75 ID:rGuph1l90 幽霊「日本人は日本語を間違えすぎです」 死神「私の肉しみは消えないわ」 幽霊「いや、そうではなくて・・・・・・。ほら、役不足、とかいう言葉、あるじゃないですか」 死神「ああ、それね」 幽霊「『そのような大層な仕事、この私には役不足です』なんて言ってしまったあかつきには・・・・・・」 死神「上司が気付かなければいいけどね。気付かれると、何を言うんだテメェ、と殴られても仕方ないわ」 幽霊「力不足とか、役者不足とか。まあ、一番良いのは、それに類似するようなことを言わなければいいんですけれどね」 死神「放たぬ言にたたりなし、ね。言葉はちゃんと選ばないと」 幽霊「でも、少しぐらいは自分でそういうことを考えないと。    私は困った人を助けるのも、ほどほどにしておこうと思います。    情けは人のためならず、ですからねー」 死神「言ったそばから使用方法を間違えるのはやめなさい」 -409 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 16:07:13.21 ID:rGuph1l90 死神「また今日も暇・・・・・・」 幽霊「あ、今日、金曜ロードショーで『もののけ姫』やりますよ」 死神「ジブリアニメはさすがに見るわ。あのクオリティは異常よ」 幽霊「まあ、私も丁度見たかったので。見ます」 死神「し、ししがみさまーっ!」 幽霊「死神さん、なんか衝撃受けると、インスパイアすごくないですか?」 死神「シャラップ! インスパイアの本来の意味は、『鼓舞する』! 日本語英語死ね、ウキイィィー!」 幽霊「駄目だこいつ・・・・・・はやくなんとかしないと」 死神「・・・・・・興奮しすぎたわ」 幽霊「まあ、あのアニメは結構面白いから、仕方ないかと」 死神「あなたに慰められると、なんか悲しくなる」 幽霊「怒っていいですか?」 死神「あはは、ごめんごめん」 幽霊「でも、主人公はヒロインの住処である森に行くたびに、いちいち断らなければならないのでしょうか。例えば、    『あのー、木を三本ほど』『ふっざけんじゃねぇぇ! こっちもやりくり大変なんだよ!』みたいに。    自然に生きる者たちと社会に生きる者たちとの間で生じた、泥臭い疎隔ですね・・・・・・」 死神「本当、あなたは、子供の夢を破砕する天才ね」 -414 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 16:31:14.58 ID:rGuph1l90 死神「果たして、人が生きることに意味はあるのやら」 幽霊「食物連鎖ピラミッドから外れていますからねー。英知の結晶たる数々の道具のせいで、他の色々な動物が絶滅していますし」 死神「まあ、生物である以上、殺して生きるしかないんでしょうけれど」 幽霊「やらなきゃ俺が殺される、だから俺はテメェを殺す、といった具合ですかね」 死神「人が死んでも、その記録や記憶は残るというけれど」 幽霊「記録とか記憶って、消えるの前提ですもんねー。過去の栄華に思いを馳せないのはどうかと思いますが、    やっぱり今を生きる方が良いと私は思いますよー」 死神「退屈な70年の人生と、満たされた30年の人生なら、大抵は後者を選ぶでしょうから」 幽霊「結局、環境問題とか関係ねーですよ。    俺が生きている間は平和でいろ、死んだあとは知ったこっちゃねぇ、というのが普通だと思いますが」 死神「自分が死ねば、世界は終わる。人間って、基本的に恣意的だからね」 幽霊「ああ、そんな死神さんの凛とした姿を見ると、私の下腹部にあるコネクターがエルニーニョ現象っ」 死神「あなたの体、という名の環境は、木っ端のごとく粉砕される方が世界平和に貢献出来ると思うわ」 -422 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 16:53:19.68 ID:rGuph1l90 死神「今日は、死ぬにはいい日だ」 幽霊「こんなに暗い夜だけど」 死神「今のボクには、つなぐ手があるから・・・・・・って、違うわよ」 幽霊「あ、そうなんですか。でも死神さんがそのネタを知っているとは予想外」 死神「とあるアパートの中、ヘッドフォンもつけずにエロゲーしている家があってね、それで」 幽霊「うわぁ・・・・・・」 死神「死ぬにはいい日、とは、具体的にどういう日なのかしら?」 幽霊「んー、シチュエーションによるんじゃないんですか? 雨の日だって、好きな人は好きですよ?」 死神「病弱な子が外を見ながら逝く時は、雨の方が映えるかもね」 幽霊「最近そういうサナトリウム文学、激増しましたよね。    オチつけるのが簡単ですもの。日本人の偽善精神を的確についた、ウィークポイントストライクエンターテインメント。    小技に走るか小物めが、ペペペのペッ」 死神「わ、私は知らないわよ? そんな危険な発言しちゃっても」 幽霊「でも、道ばたで刺されて死んだ際、倒れた先で野外ファックしているカッポーがいたら、ギャグになっちゃいますよねー」 死神「それは、死ぬには、この上なく嫌な日ね。あとカップルをT-LINKナックル風味に言うのやめて」 幽霊「この俺とSRXをとめられると思うなっ」 -426 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 17:16:13.94 ID:rGuph1l90 幽霊「今、気付いたんですけれど」 死神「?」 幽霊「スーパーロボットの武器って、馬鹿っぽいやつが多いですよね」 死神「ちょwwwww禁句wwww」 幽霊「ゲッ○ードリルは、ただのドリルと変わらないですし、ブレスト○ァイアーは、でっかい放熱板から熱照射しているだけですし」 死神「その馬鹿さ加減を分かって、それで燃えられるのがロボットの真骨頂なのに・・・・・・」 幽霊「超電磁スピンなんて、竜巻で身動き取れない敵に、両手ドリルで回転体当たりブチかますんですよ? どっちが悪なんですか?」 死神「確かにコンバ○ラーはやりすぎだったけど・・・・・・たとえばバトルチェーンソーとか」 幽霊「リボルビングステークになると、もうアホとしか言えませんよねー」 死神「な、ナンブ中尉を馬鹿にしないで!」 幽霊「え?」 死神「こうやって、接近して、杭を相手のどてっぱらに打ち込んで!」 幽霊「ちょ、死神さん、実際に接近しないでくださいって!」 死神「装甲をぶち抜き、がら空きになった部位に、ゼロ距離からの砲撃を見舞う!」 幽霊「いや、だから抱きつかないでくださいってば!(うわ、すごくいい匂い・・・・・・)」 死神「ビバ、合理的! わかった!?」 幽霊「は、はい・・・・・・(だから顔近付けないでくださいよ! うわ、肌、白っ! 改めて見ると、すっげぇ美人!)」 死神「この距離、俺向きだ・・・・・・!」 幽霊「ゼロ距離、とられちゃいました・・・・・・。そして私の理性はスクウェアクレイモア」 -431 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 17:36:56.59 ID:rGuph1l90 幽霊「死神さん、死神さん。産婦人科の病院行きましょうよ」 死神「なぁに? 赤ちゃんが生まれるところでも見たいの?」 幽霊「はい。グロテスク、と聞きましたけれど、やはり後学のために研究をしたい次第で」 死神「まあ、いいけれど・・・・・・。あなたがそんなのに興味を持つなんて意外ね?」 幽霊「そうかもしれませんね。でも見たいんです」 死神「(やけに素直ね・・・・・・?)」 幽霊「さ、行きましょう行きましょうっ」 死神「ちょ、ちょっと、引っぱらないで・・・・・・」 幽霊「はぁ・・・・・・確かに、血が多かったですけれど。色々と参考になりました」 死神「そう、ね。生命誕生の瞬間は、いかに泥臭くても、それだけで尊いものね」 幽霊「はいっ、やっぱり赤ん坊生誕の瞬は、自然の美に比肩するような、そんな雰囲気がありますねー」 死神「ま、こういう日もたまにはいいわね」 幽霊「私も、いつかそのおなかの中に死神さんとの赤ちゃんをば」 死神「無理難題にも程があろうというものね。そろそろ、頭の治療でもしましょうか?」 幽霊「せ、精神科医はまだまだ、勧誘禁止だぜ!」 死神「あなたにはそろそろ必要なものだれ?」 幽霊「あ、愛がこげちゃう!」 -435 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 17:56:49.00 ID:rGuph1l90 幽霊「共生って、あるじゃないですか?」 死神「イソギンチャクとクマノミみたいな関係のこと?」 幽霊「はい。イソギンチャクはクマノミを外敵から守るかわりに、クマノミの身についたカスを食べている、とどこかで聞いたのですが」 死神「そういう考えもあれば、ただ単にクマノミが寄生しているだけ、という説もあるわね」 幽霊「はい。それで、思ったんです。真なる共生とは、一体どのようなものかと」 死神「完全なる持ちつもたれつ、ギブアンドテイクか・・・・・・。難しいわね、それは」 幽霊「寄生と共存は違いますからねー。実際、こちらが相手を利用しているだけ、というのもありますから」 死神「うーん・・・・・・あんまりいい例が思いつかないわ」 幽霊「あ、でも、ドMとドSならば、素敵素敵な共生関係が」 死神「それ、共『性』って言わない?」 -447 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 19:06:34.41 ID:rGuph1l90 死神「今日の洋画は?」 幽霊「アラクニッド、とかいう、わけ分からんちんの映画です」 死神「名前からして、B級臭ぷんぷんね。まあ、暇なので見ましょうか」 幽霊「なんか嫌な予感がひしひしと・・・・・・」 死神「うっわぁ・・・・・・」 幽霊「駄目です、こりゃひどいです、B級どころかF級です」 死神「怪物がいそうな場所で、寝るものなの? おかしいわ」 幽霊「残虐性を狙ったグロ死亡シーンも、なんか唐突ですし」 死神「エンディングの駄目さ加減に至っては、どんな駄作でも比肩するものは、数少なそうね」 幽霊「駄目駄目すぎて、嫌になります・・・・・・」 死神「むしろ、キャベツアニメのように、駄目っぷりを押し出せるようなのならば良かったものの」 幽霊「いや、それって外国の人には分かってもらえないんじゃないですか?」 死神「駄目なのがいい、と言う人もいると考えて」 幽霊「・・・・・・つまり、それって、嫌よ嫌よも好きのうち、ということですね? ハァハァ、死神さんハァハァ」 死神「ちょ、何す、やめ、アッー!」 幽霊「死神さぁぁぁっ!? ぐはぁっ!? ・・・・・・ぐ、ぐぅ・・・・・・」 先輩「夜空の星が輝く陰で、私の笑いがこだまする・・・・・・っ!」 -453 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 19:40:05.54 ID:rGuph1l90 幽霊「べとべとさん、先へおこし」 死神「夜闇を怖がる人間が生み出した、夜道にて出現する妖怪をうたった、怪談ね?」 幽霊「はい。夜道を歩く際、背後に何か気配を感じるのは、べとべとさんがいるせいだ、という話です。面白いですよね」 死神「誰もいない夜道を歩くと、なぁんか見られているような気がするわね、確かに」 幽霊「まあ、私はこういう存在ですから、怖くもなんともないのですが」 死神「江戸時代の人とかは、夜道を恐れたでしょうね。街灯もほとんどない時代だから」 幽霊「人って、具体的で強大な存在よりも、『よく分からないもの』を怖がりますから」 死神「それに共感性をもたせれば、ね。論文で出す具体例みたいなものよね。身近なものを挙げて、関心をひきつける演出」 幽霊「丁度、夜ですから言ってみましょうか」 死神「ふふっ、いいわね。『べとべとさん、先へおこし』」 「・・・・・・先に行くと、暗くて歩けない」 死神「!? う、うっぎゃあああああぁぁぁぁ! で、で、出たぁぁぁぁぁぁ!」 幽霊「あ、ちょ、死神さーん? ホラー苦手なんですかっ!? てか、今の声、マジですか!?」 先輩「・・・・・・裏声使って、よかった・・・・・・。後輩の可愛い姿、ゲット・・・・・・」 -458 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 20:02:39.23 ID:rGuph1l90 幽霊「さあ、今日はどこに忍び込みましょうかー?」 死神「忍び込むって・・・・・・まあ、壁抜けして無断視聴しているから、大きなことは言えないけれど」 幽霊「死神さんは、どこに行きたいですか?」 死神「そうね・・・・・・。久しぶりに、プラネタリウムなんかに」 幽霊「星空なんて、山奥に行けばあるじゃないですかー」 死神「とか言いながら、ちゃっかり一緒にいるのね、あなたは」 幽霊「そりゃもう。私あるところに死神さんあり、ですよ」 死神「何が言いたいのか分からないけれど・・・・・・。まあとにかく、この人工星空、嫌いじゃないのよ」 幽霊「どうしてですか?」 死神「虚構の美、というのかしら。本物と程遠いからこそ、なんか支援したくなっちゃう」 幽霊「・・・・・・そうですね。たまには、素直に楽しみましょうか」 死神「そうそう」 幽霊「すー・・・・・・」 死神「やっぱりね、寝ちゃったか。こういう施設は、眠くなるのよね、ことに」 幽霊「んく・・・・・・」 死神「やれやれ、黙って寝ていれば、とても可愛らしいのに」 死神「・・・・・・人の数だけ、思いがある。この星空のように、か」 幽霊「・・・・・・」 死神「駄目ね。最近、あなたを北極星のような存在として見ちゃう。ごめんなさいね」 幽霊「(・・・・・・私は、それでもいいんですけれどね。ずっと動かず、揺らがず、離れず・・・・・・)」 -470 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 20:43:52.49 ID:rGuph1l90 幽霊「まちぼうけー、まちぼうけー」 死神「懐かしいわね、その歌。守株(しゅしゅ)だっけ?」 幽霊「はい。まあ、過去の出来事を思うのも大事ですけれど。人間、歩を進めないと駄目ですよね」 死神「ウサギが切り株に突っ込んで、首の骨へし折るなんて、稀有なる例だもんね・・・・・・」 幽霊「ウサギに限らず、人間も、あっけないことであっという間に死んでしまいますよね」 死神「そうね・・・・・・。前なんて、急性アルコール中毒で逝った大学生と接したわ。まったく、説得が大変だったんだから」 幽霊「あはは、死神さんは、暴力が最終手段ですものね」 死神「話を聞かない輩には、鎌を振るうけれどね。あんまり力ずく、好きじゃないのよ」 幽霊「死神さんみたいな人がいたら、世界は変わっていたんでしょうか・・・・・・」 死神「・・・・・・ううん、そんなことはないわ。闘争本能は、人間の原初的本能だもの」 幽霊「嫌ですよ、嫌ですよ・・・・・・。私は、争いが、嫌いなのに」 死神「でもね、人は、争うの。だって、人は自分じゃないから。人は、恣意的だから」 幽霊「私は、死神さんとの関係を続けたいですねー。守株でも、構いませんから」 死神「・・・・・・やれやれ、私も、切り株から離れる日は遠くなりそうね」 -529 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 22:19:51.77 ID:rGuph1l90 死神「とある漫画に書いてあったんだけれど。大きなクワガタに金を払うのはどうかと、と語っていたわ」 幽霊「そういえば、大きいクワガタムシほど好かれますよね」 死神「スケールは強さとイコールで結ばれるからね、大体」 幽霊「だから男性の股間にある正義棒も・・・・・・って、同じネタはやめましょう」 死神「ちぇっ、鎌、用意していたのに」 幽霊「それで、その漫画の中では、大きなクワガタのことをどうと?」 死神「ええとね、たくさん食べればクワガタは大きくなる。つまりはデブだ。お前らデブに大金払ってどうする、だと」 幽霊「逆に考えるんだ。デブ専だったと」 死神「獣姦ならぬ・・・・・・虫姦? デブ虫姦?」 幽霊「うわ、その発言、さすがの私でも引くんですが・・・・・・」 死神「・・・・・・何故なのかしら。私がこういうこと言って引かれるのって、理不尽な気がするわ」 幽霊「そりゃ、死神さんは外見が清純派で、中身がエロという、まるでエロゲのテンプレじみた属性が萌え萌えで」 死神「うん、あれね。あなた一回、樹海にかえってクワガタムシと戯れていなさい。この虫野郎がっ」 幽霊「ヒョーッヒョッヒョッヒョッヒョッ!」 -538 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/30(土) 22:39:16.04 ID:rGuph1l90 幽霊「スーパーで加工食品が並べられているのを見ると、思うのですが」 死神「うん」 幽霊「ああいうのばかり食べていると、生命というものを認識出来なくなっちゃいますよね。    ハムだって豚肉だし、ハンバーグだって色々な肉だし。赤い血を流す彼らの体を、人間は食べているんですよね」 死神「そうね。加工食品ばかりだと、生命感が認識出来なくて、いつしか食べ物に感謝しなくなるかもしれない」 幽霊「人間たちは、生き物を殺して、屠って、生きながらえていることを、いつか認識させないと駄目ですよー」 死神「生きることそのものが、多くの生命を殺すことだからね」 幽霊「飽食の時代ですから。ゴミ箱に捨てられたハンバーガーとかを見ると、なんか悲しくなります」 幽霊「まあ、ハムとかの場合は着色料とか色々と変なのぶち込んでいますし、そもそも豚の肉を使っているかどうか」 死神「それ以上は言っちゃ駄目よ。皆、ある程度は妥協して、食品購入しているんだから」 幽霊「でもミートホー○はやりすg」 死神「馬鹿・・・・・・消されるわよ」

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