『クルード〜アマゾンの原油流出パニック〜』 未公開映画祭

 
連載:リアル!未公開映画祭
 
リアル!未公開映画祭本日より開催!アマゾン川流域で石油流出被害に遭った原住民が大企業の責任を問う『クルード〜アマゾンの原油流出パニック〜』    
http://www.webdice.jp/dice/detail/2801/
 
辻信一氏によるレビュー。アメリカの暗部を政治、文化、スポーツなど多様な角度から捉えたドキュメンタリー全9作品一挙上映。
 
(c)2009, Crude Productions, LLC

オセロの松嶋尚子と映画評論家・町山智浩が良質なアメリカのドキュメンタリーを紹介する『松嶋×町山 未公開映画を観るTV』が遂にスクリーンに!これまで日本未公開だったドキュメンタリーにより、アメリカが抱える様々な問題が白日の下に晒される『リアル!未公開映画祭』。12月25日(土)より渋谷アップリンク・ファクトリーでスタートとなるこの映画祭のオープニングを飾る『クルード〜アマゾンの原油流出パニック〜』は、南米エクアドルのジャングルを舞台に勃発した世界最大級の環境汚染と、そこに立ち向かう原住民による訴訟の行方を追ったドキュメンタリーだ。レインフォレスト財団共同創設者であるスティングの妻トルーディ・スタイラーが住民とともに大企業の責任を追及していく。
 
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作品情報
『クルード〜アマゾンの原油流出パニック〜』
(c)2009, Crude Productions, LLC

2009年サンダンス映画祭出展作品 審査員賞ノミネート作品エクアドルの熱帯雨林で起こった「アマゾン・チェルノブイリ」とも呼ばれる石油メジャー・シェブロンによる世界最大級の環境汚染と、それに対する訴訟を追ったドキュメンタリー。
 
2009年/アメリカ/105分
監督:ジョー・バリンジャー(『メタリカ:真実の瞬間』『ブレアウィッチ2』)
製作スタッフ:Jon Kamen、Frank Scherma、Joe Berlinger
 

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グローバル経済の犠牲となったアマゾンを通して、本当の豊かさを問う── 辻信一

タイトルの「クルード」は、英語で原油を意味する「クルード・オイル」から来ているのだが、他に「ありのままの」や「露骨な」という意味があり、覆い隠されてきた醜い現実を暴露するという、このドキュメンタリー映画の意図を表現している。
日本の約3分の2の面積しかないエクアドルだが、その自然と文化は極めて多様性に富んでいる。比較的小さな地域に多数の生物種が集中する様は、研究者をして「生態系のノアの箱舟」とまで呼ばせている。数百年に及ぶ植民地主義や新植民地主義支配の下、抑圧の歴史を生き延びて様々な文化を今日に伝える先住民族は、国の人口の4割を占める。この映画の舞台である「エル・オリエンテ」と呼ばれるアマゾン源流の熱帯雨林地域は、エクアドルの自然と文化の豊かさを凝縮したような場所だと言える。
 
しかし、グローバル経済にとって、そうした豊かさは無価値に等しく、ただひとつ価値があるのは、ジャングルの下に眠る石油だった。手取り早い外貨獲得を目指すエクアドル政府の後押しを受けて、国際石油メジャー、シェブロン・テキサコによる石油の採掘が行われる。それが、「アマゾンのチェルノブイリ」ともあだ名されるほどの大規模な環境汚染を引き起こしたのは、グローバル経済の立場からすれば論理的な帰結だったと言っていい。映画に登場する企業のお抱え弁護士や学者の尊大で冷ややかな態度には、そのことが示されている。彼らの「論理」を突き崩しながら、深刻な被害を受けた現地の先住民の先頭で闘うアメリカとエクアドルの弁護士の姿を、映画は追う。
 
近年、エクアドルは、他の“途上国”と同様、累積した債務の返済に苦しみ、度々アメリカをはじめとする“先進国”や国際金融機関の圧力の下で、環境破壊型の経済開発を推し進めてきた。こうした政府を責め、石油メジャーの強欲さに叱るのは易しい。しかし、「アマゾンのチェルブイリ」の責任は単に政府や企業にあるわけではない。この映画に登場する米系企業の姿は、ほとんどそのまま日系企業に置き換えることができるだろう。そして、その背後で、石油をはじめとする天然資源を浪費する暮らしを続けているのは私たち自身なのだ。
 
それこそがまさに“クルードな真実”なのである。それとしっかりと向き合い、本当の豊かさとは何かを問い直しながら、できるところから、社会のしくみを、そして自分自身の生活を変えていくこと。この映画はそれを訴えている。
(『松嶋×町山 未公開映画祭』ホームページより)

■辻信一 プロフィール

明治学院大学教授。環境運動家。1999年に環境文化NGO「ナマケモノ倶楽部」を設立、以来そのリーダーとしてスローやGNHをキーワードにスローライフ運動を展開する。「100万人のキャンドルナイト」世話人代表。著書に『スロー・イズ・ビューティフル』(平凡社)、『ハチドリのひとしずく』(光文社)など多数。最新刊は『考える絵本7しあわせ』(大月書店)。
URL:http://www.sloth.gr.jp/tsuji/index.html

                           
 

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