《読み切り4》
高校一年の4月が終わりかけ、GWが待ち遠しくなっていたある日。
「あきた~~~」
「何にだよ」
「何って 高校生活。」
「はえーよ まだ入学して一月もたってねーじゃねーか」
そんなこといわれても飽きたものは仕方がない。
「それに楽しいことなら一杯あるって、部活とか、恋愛とか、遊びとか」
「まぁ 楽しいとは思うけど、とりあえず今のところ面白くねーんだよ」
「そんなもんかな~ あっ、やべ俺先生に呼ばれてるんだった。 じゃあな岩崎」
「あぁ ば~い」
「会長、条件に当てはまる新入生がいるとの情報が入りました。」
眼鏡をかけた男がPCをいじりながら会長と呼ばれている人に話している。
「わかった。藤原君、新入生ね じゃあ天野さん噂の方よろしくね」
どうやら藤原というのが眼鏡をかけた男の名前だそうだ。
そして天野と呼ばれたいかにも優等生らしい容姿をした女ははりきった声で
「はい、わかりました。」
「まぁ最初だから、萌葱も手伝いなさい。」
「えぇ~ でも私三年だからその新入生に噂流すの難しいよ」
「大丈夫よ あなたの精神年齢は14歳くらいだから」
「キィーーー 何よそれ私が厨二病っていいたいの! くらえー萌葱アタック」
萌葱と呼ばれた女が会長にとび蹴りをくらわせようと蹴りかかったが簡単によけられてそのまま足払いをかけられて、そのまま転んでしまった。
「そういうとこが厨二病って言うのよ」
そしてゲシゲシと会長が萌葱の背中を足で軽く踏みつけて、笑っていた。
「それにしても相変わらず踏み心地の良い背中ね」
「ごめんなさい、ごめんなさい、手伝いますから許してください。」
「仕方ないわね、ちゃんと反省しなさいよ」
「はい わかってます。 すいませんでした。」
藤原と天野が止めることなく、ため息をついている。
「先輩方じゃれあうのは後にして、そろそろ仕事しましょうよ」
藤原が会長と萌葱にため息をつきながら言い、そして2人のじゃれあいも終わった。
「じゃあ新入部員の確保といきましょうか」
会長、萌葱、藤原、天野の4人は楽しそうに自分たちの仕事に向かった。
「ハァ」
GW前のダルイ空気の中ボーっとため息をついてる俺、岩崎春人は授業もろくに聞かずにいた。
(つまんねーな、なんか面白いことないかな~)
「ねぇねぇ知ってる?」
ふと前にいる女子の声が聞こえてきた。
どうやら前の2人の女子があまりに退屈すぎて喋りだしたようだ。
たしか…天野とか言ったっけな、まじめそうなのに授業中に喋るのか……意外だな。
ちなみに俺はいまだクラスメイトの名前を完璧に覚えていないから天野の喋っている相手の名前は知らない。
「この学校って4階まであるのに階段は3階まででしょ」
「あ~知ってる知ってる。先輩が言ってたけど4階で昔自殺があったから階段を封鎖したって話でしょ。」
「それが違うのよ。 階段が封鎖されたのは事実らしいのだけど、自殺は無かったらしいのよ。」
「でもそれっておかしくない。 自殺がなかったのなら、なんで階段が封鎖されたのよ。」
「それはね……言えない」
「え~ なんでよ言いなさいよ」
「自分で確認しに行ったらわかるよ、階段は無いけど行く方法はあるからさ」
「めんどくさいなー」
「そんなこと言わずに、行き方教えてあげるからさ まず図書館に行って、それから古書のいっぱいある倉庫にいって」
「ストップ めんどくさいからパスで」
「え~ まだ話し終えてないのに~~」
図書館から倉庫か…昼休みにでも行ってみるか。
そして昼休みに俺は飯も食わずに図書館に向かった。
図書館は本館ではなく、外にポツンと建っている。
さすがに昼休み始まってすぐだからなのか、人影はなく、俺はそのまま扉を開けた。
中には誰もいなく、司書の先生すらいなかった。
そのことに違和感を覚えながらも倉庫を探す。
倉庫の扉はすぐに見つかり、地下へとつながっているのが見て取れる。
そして俺は扉を開けた。 これまでのことが全て仕組まれていたなんて思いもせず……