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《読み切り3》

 

この世界は腐ってる。 そう思い初めて6年がたった。 俺が小学生高学年になったころ、これまでは楽しく過ごしていた日常が一気につまんない物に変わった。 別に日常が変わったわけではないのになぜなのか。 それはあのときに・・・・・

「学校前の桜並木がきれいに満開になった今日この日に私立鏡花学園に入学された新入生のみなさん………」

めんどくせ、なんで入学式はずっと立ち聞きなんだよ。
などと考えながら校長の話を聞き流していると、近くのやつの話し声が聞こえてきた。

「ねぇ、知ってる? この学校って今の三年生が一期生でしょ」

「うん 確か設立された年の問題が難しすぎて、一期生のクラスが2クラスしか出来なかったってすごいうわさになってたもん」

「そうよ、そんな中でテスト5教科で500点満点中495点を取った人が今生徒会長をやってる臣 由姫(おみ ゆめ)さんなのよ」

(へぇーそんなすごい人がいるのか面白そうだな、少し関わってみるのも悪くないな)


「ええー!! 495点!!」

「そこ! 静かにしろ!」

先生が喋っていた生徒を注意した少ししてから校長の長ったらしい挨拶は終わり
そしてうわさの生徒会長の登場となった。

「新入生のみなさんご入学おめでとうございます。鏡花学園へようこそ これから………」
うわさの生徒会長こと臣 由姫は長い黒髪をサラサラと流し、壇上の上に上がり挨拶をし始めた。

フーン 495点をとった天才だからどんなガリベン野郎かと思ったら、すごい美人じゃん。
ああいう人は俺と違って日常をつまんないと感じることがまず無いだろうと勝手な想像をしていたらいつの間にか挨拶も終わって新入生代表の挨拶に移ろうとしていた。

生徒会長のインパクトが強かったから、新入生代表にもみんな興味を持ったのか視線が新入生代表の方に向いて、そして固まってしまった。

俺はそんな周りの様子に気付き、そして顔を上げ新入生代表を見た。
それが俺の日常を変えるものだとは思いもせず…。

「私たち新入生はこの鏡花学園に……」
新入生代表は何のためらいもなく普通に挨拶を始めている。

いや、待て! 何だあれは! おかしいだろ、なんであの新入生代表はセーラー服の上に
黒いローブなんて着てるんだよ!!

「……新入生代表、臣 美羽(おみ みう)」
え? 今、臣ってもしかして生徒会長の
ここで俺は考えるのを中断した。なぜなら…

「この世界は腐っている。だから日常も腐っている。」
そんな言葉がマイクを通して聞こえてきたからだ。

その瞬間、俺は思ってしまった。
こいつと関わりたい。こいつは絶対に日常をつまんないなんて考えてない。

 


俺は本を読むのが好きだ。 最初は普通にただただ面白いから読んでいただけだったが、
ふとあることを考えてしまった。
「こんなのはありえない」って
本は面白い。 なぜなら普通のことは絶対に無いからだ。
ノンフィクションの本もあるが、それでも普通のことではない。
良い意味でも悪い意味でも選ばれないと、絶対にありえない。
そして選ばれるということは努力すればどうにかなるものではない。

俺は本の主人公が大好きだった。 悲劇でも喜劇でも嘆きでも哀れみでもなんでも良かった。
たとえ周りから厨二病だと罵られても、全然構わない。
でもいくら望んでも俺は主人公にはなれなかった。


中三の時に俺は一人の親友に全てを話し心の内をさらけ出した。
その時アイツが何を思ったのか俺にはわからないが、ただ俺は聞いてほしかっただけだった。
自分の中だけで考えるのが困難になってきているのは分かっていたけど
それでも誰かに否定されるのが怖かった。 非日常を望んでいるのに心の奥では怖かったんだと思う。
でもアイツのおかげで何とか変わらずに生きていられる。
だから俺は自分の生きたいように生きることに迷いはない。

 

 


マイクを通した声の主はやはり新入生代表の臣 美羽だった。
美羽は校長に背中を向け、新入生がいる方を見ながら話をしている。

「この世界は腐っている。だから日常も腐っている。そんな考えをもっている人間がいるなら私とともに来い!すばらしい世界をみせてやる!!」

そして満足な顔で壇上から降りて行った。

 

そして入学式が終わり、自分たちの教室に戻るとき、ものすごいざわめきが起こった。
もちろん原因は新入生代表の臣 美羽だ。
だがその当人は新入生の塊の中にはいなかった。

「美羽、あなたやってくれたわね」

「ハハハ、ごめんごめん姉さん」

やっぱり生徒会長と臣 美羽は姉妹だったんだ。
俺は入学式の会場の舞台袖にいる2人の会話を盗み聞きしていた。

「こんなことを早々にやってくれるなんて、おかげでこれから私が面倒なことになっちゃうじゃない。」

「でも楽しくなりそうだからいいじゃない。」
美羽は本当にワクワクしている感じだ。

「楽しくなるのはあなた一人でしょ! 全く……」

「でも姉さん、すでに興味を持ってる子がいるみたいよ。」

「どういうこと?」

「だってこの会話を盗み聞きしてる子がいるんだもん。」

ビクッ!
やばいばれてたのか、逃げるか いやここで逃げたら意味がない。

「そこにいる子でてきなさいよ」
美羽はいる場所までわかっているらしく、俺のいる方向に視線を送りつつ喋っていた。

俺はおとなしく臣姉妹のもとに顔出した。


「あらあら、盗み聞きなんてたちわるいわね」

「すいません」

「まぁいいじゃない姉さん、私に興味を持ってくれたのよ ねぇそうでしょ?」

「はい まぁそんな感じです。」

「はぁ、全く困ったわね とりあえずあんまり変なことはしないようにね じゃあ私は仕事があるから」
由姫さんはスタスタと歩いて外に行ってしまった。

「フフッ あなた、相当変わってる子ね」

「いや、あなたほどではないですよ」

「そうかもね そろそろ戻らないとHRが始まっちゃうよ 続きはまた明日、放課後に体育館に来てくれる? そこでいろいろと話をしましょう。」

「わかりました。 ではまた明日」
俺は久々に感じる日常の楽しさに心の奥から感動しながら去って行った。