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*第一回テーマ小説大会:シーサー
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*第一回テーマ小説大会:シーサー
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**前書き
薄いです。極めて薄いです。
ペラッペラです。
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昨日のうっとうしい雨とは違い、空は雲ひとつない青空の今日の学校の帰り道。
僕は道端で百円玉を拾った。
近くのコンビニでその百円玉を使い、缶のコーラを買った。罪悪感を感じながら。
コンビニを出てコーラを一気に飲み干す。まるでその罪悪感を隠すように。
暑く火照った体の中に冷たい感覚が浸透していく。
コーラの空き缶を捨て、僕はまた歩き出す。まるでその罪悪感から逃げるように。
かなり歩いただろうか。気づけば家の近くの公園の前。
ベンチに座っていた男がこっちへ近づいてくる。
気味が悪い。僕は早足で家へと急いだ。
とにかく早く帰りたい。
しかしその思いとは裏腹に男との距離が縮まっていく。
僕は思わず走り出した。
だが男は追いついた。
男は開口一番に、
「使ったね?」
と聞いてきた。
心当たりのある僕は嘘をつくことができずにうなずいた。
そしてこう切り返す。
「見てたの?」
言葉の意味に裏はない。ただ率直に。
「私は使者です」
「シシャ?」
「使いの者、使者」
「どこからの?」
「空の世界、あるいは地底の世界」
「はは、バカバカしい」
まったく、変な人に絡まれてしまったもんだ。
僕は走って逃げ出した。
刹那、使者と名乗る男は俺の頭上を通過し、目の前に着地。
背中からは羽が生えている。
目を疑った。が、本物のようだ。
さすがにこれを見ると認めざるを得なかった。
「僕、連れてかれるの?」
俺は何かを悟ったつもりになった。
「安心してください。まだなにもしません」
「どうして?僕は悪いことをしたんだ」
小学生の時、友達と殴り合いのケンカをした。
その時に友達にケガを負わせてしまい、お母さんと一緒に友達の家へ謝りに。
お母さんは友達の母親に罵倒された。
僕はただうつむいたまま。
お母さんの顔はとても悲しそうだった。
帰り道も僕は黙っていた。
僕はお母さんに謝れなかった。
次の日にお母さんは事故で亡くなった。
僕は自分のせいでお母さんが亡くなったと思った。
きっとお母さんは僕に怒ったままこの世を去って行ったんだ。
僕は悪いことをしたんだ。
「僕は悪いことをしたんだ」
「だからといってあの世に連れて行くわけではないんです」
「え?」
「私は天国に連れて行く力はありません。地獄にもです」
「でもさっき空の世界、あるいは地底の世界からの使者だって」
「あなたにメッセージを伝えに来たのです」
「誰から?」
「あなたのお母様から。お母さんは怒っていないよ、と」
「お母さん?」
「私は死者の世界、『愛の国』からの使者。あなたが道を外したときに私は現れる」
「『愛の国』・・・」
「あなたのお母様はあなたをいつでも見守っていますよ。大きな愛を持って」
そう言い残すと使者は消えた。
空か、あるいは地底の帰るべき場所へ帰ったのだろう。
「ごめんなさい」
言えなかった「ごめんなさい」の言葉。
『愛の国』へと届いただろうか。