快天BOOKS
日本人作家:な行
最終更新:
books69
-
view
中上健次/枯木灘
評価 | ★★★ | |
ジャンル | 小説 | |
出版年 | 2000 | |
出版社 | 河出文庫 | |
コメント | 特に難解なテクストというわけでもなく、思っていた以上に読みやすい文体。複雑な血の繋がりがあって、登場する何人もの人間の心情もかなりややこしいのだが、洗練された構築のおかげで小説世界にすんなり入り込める。読後の圧迫感というか、読者から「物語」を奪わせないような印象。つまり「物語」が「現実」を反芻させる力を持っているように思う。 |
中島らも/ガダラの豚
評価 | ★★★★ | |
ジャンル | 小説 | |
出版年 | 1993 | |
出版社 | 実業之日本社 | |
コメント | オカルトを主題にした物語展開が面白く、長編ながら飽きずに読んでいられる。中盤でのケニア探訪のくだりは見事。呪術師バキリとの最終対決にリアリティ・緊張感がないのが残念。主要人物のほとんどが死ぬのは画期的でもあるが、それまでのストーリーに入り込んだ読者にとっては見苦しくもある。アフリカ呪術という要素が非常に新鮮で、興味深く読むことができた。 |
野村喜和夫/現代詩作マニュアル―詩の森に踏み込むために
評価 | ★★★ | |
ジャンル | ノンフィクション | |
出版年 | 2004 | |
出版社 | 詩の森文庫 | |
コメント | 現代詩のシーンにおいて、かなり精力的に詩人活動を行っている野村喜和夫による、わりと初歩的な詩論。ここ50年の現代詩の歴史の紹介から始まり、詩とはどういうものなのか、という原理をわかりやすく紐解いている。ただ、ある程度「現代詩シーン」に傾倒していないと、やはり理解しにくいだろうか。「詩とは何か」ということを考えたこともない多くの自称「詩人」に、詩の知識・技法・良質な作品への理解・詩を書くことの意義や必要性を確認させる意味では、良い書物だと思う。 |