僕の世界は壊れない・第一話


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第一話:初日、朝


<特記項目について>
: ●立ち絵
: ★BGM
: ■背景
: ▲SE
: ▼システム関連

 

: ■背景~黒

 

 カチコチ。カチコチ。
: ▲SE 時計音カチコチ・継続

 チック、タック、チック、タック。
: ▲SE 時計音チクタク・継続


 寝ぼけた頭に不規則に響く、時計の針の音。
 目を開けて、時計を眺める。

: ■背景変化~主人公部屋

 ……07:32。


大翔「……」

: ★BGM ~ 未定(日常)

 目覚ましタイマーのセット時刻より30分程早く起きた。
 これは個人的にはよくあることだ。
 起きるべき時間を自覚しているから、それに体が勝手に大体合わせてくれる、まあそんな感じで。
 しかしこの誤差は地味に凶悪だと思う。二度寝するには短いが、目覚ましをセットしているんだから大丈夫な気がしてしまう。
 そう、大丈夫……だよな?
 大丈夫です……。
 二度寝……。

 

: ▲SE 停止
: ■背景変化~黒
: ▼システム ウェイト


: ▲SE ドア開
: ▲SE 足音

美羽「兄貴ーーーっ!! いつまで寝てるんだよ、このマヌケっ! 」

: ▼システム 画面揺らし
: ■背景変化~主人公部屋
: ★BGM ~ 未定(ドタバタ)
: ●立ち絵 美羽・制服(実妹)・表情(怒り)・位置(中央)

大翔「!? うおっ、もうはち……」
美羽「―――時半だよっ! でゅえいっ! 」

: ▼システム 画面揺らし
: ▼システム エフェクト ダメージ・打撃
: ▲SE 衝撃

 強力な力で布団がはがされ―――それだけでは済まず、ベッドが横転する。
 無防備な俺の体が床に受身なしでダイブ。

: ▲SE 衝撃
: ▼システム 画面揺らし

 絨毯がなければ死んでいたかもしれない……。

 

大翔「ナイス絨毯! ナイスシルク! 」

: ●立ち絵変化 美羽・制服(実妹)・表情(呆れ)・位置(中央)

美羽「……頭を打ったみたい」

 

 呆れた顔で言う美羽。これでも俺の実の妹だ。
 声のする方に目をやると、腰に手をやりいかにも『見下げ果てた』なポーズをとっている。
 乱暴に開けたドアの向こう側には、一人の少女がガクガクと震えながら隠れているのが見て取れる。

: ●立ち絵 美優・制服(義妹)・表情(恐怖)・位置(右端)

大翔「お前な……ちょっと寝坊したくらいで毎回暴れすぎだ! 俺をいたぶるのが趣味なのか!? 」

 ここは兄としての威厳を見せておかねば、ドアの向こうの少女……義理の妹、美優との関係にも修正が入るかもしれない。

 

美羽「趣味って……兄貴が寝坊するのが悪いんでしょーが……」
大翔「フッ……甘い!蕩けるように甘いぞ美羽!俺は確かに寝坊した! だが! 」

: ●立ち絵 美優・制服(義妹)・表情(笑顔)・位置(右端)

美優「だが? (わくわく)」
大翔「一度は目覚ましが鳴る前に起きていた! そこを評価して……」

: ●立ち絵変化 美羽・制服(実妹)・表情(怒り)・位置(中央)

美優「……二度寝してんじゃねーーーっ! 」

: ▲SE 殴り
: ▼システム エフェクト パンチ
: ▼システム 画面揺らし
: ■背景 黒

 ガオンッ! (妹の鉄拳)


 威厳は崩れました。外貨で表すと50ドル分くらい。

: ▲SE チーン

 

: オールリセット
: ▼システム ウェイト
: ★BGM~未定(日常)
: ■背景~黒

 

 俺の名前は結城 大翔(ゆうき ひろと)。
 両親を早くに亡くし、歳が一つ離れた妹、結城 美羽(ゆうき みう)と、父が死の直前に引き取った義理の妹、結城 美羽(ゆうき みう)
 と一緒に、とある親切な人の助けも受けながら、この見た目は普通な二階建ての家に暮らしている。
 
 なぜ急に自己紹介を始めたのかというと。
 食卓の雰囲気に耐え切れなくなったからだ。

: ■背景変化~食卓
: ●立ち絵 美羽・制服(実妹)・表情(呆れ)・位置(左)
: ●立ち絵 美優・制服(義妹)・表情(呆れ)・位置(右)


 いわゆる一つの現実逃避? かわいい女の子に会ったときのアピールの練習も兼ねていて、実用的な逃避だ。

 

 

美羽「……大体さ、目覚まし鳴る前に起きられるなら目覚ましいらないじゃん。甘えが出るだけでしょ? 」
美優「……(同情の底に軽い軽蔑が見えそうなそんな視線)」

 現実に引き戻される。

 トースターで焼いたパンをかじりながら実の妹に言葉責め、義理の妹には視線責めされる、そんな俺の朝食。
 ……辛い。辛いけど頑張らないと、俺、男の子。


大翔「ない なら ないで不安じゃないか……」
美羽「優柔不断もいいとこね……っと」


: ▲SE チャイム複数
 チャイム音が断続的に鳴る。

: ●立ち絵変化 美羽・制服(実妹)・表情(通常)・位置(左)


美羽「一回でいいって何度言わせりゃわかるんだか……じゃ、兄貴。お先ー」

: ●立ち絵変化 美優・制服(義妹)・表情(通常)・位置(右)

美優「……(うつむいている)」
美羽「さ、行くよ! 」

: ●立ち絵 全消去

 妹達の女友達が迎えに来たらしい。
 ……いいなー、青春だなー。

 早々と髪型を整えて玄関に向かう二人を見送りながら、俺も鞄を持ち、机に散ったパンの残りかすを集めてゴミ箱に放り込む。
 近所に友達がいるってのはいいものだ。特に異性の友達なら本当にいいことだ。


大翔「……はぁ」


 ピンクな妄想を溜息で排出し、テレビの電源を切って出立する。
 玄関まで歩いたところで、植木鉢の中に手をやる。


大翔「鍵……あったあった」

: ▲SE ドア開
: ■背景変化~主人公宅前

 外に出て、緑に囲まれた新鮮な外の空気を吸い込む。わずかに残っていた眠気も吹っ飛んだ。
 戸締りを確認して、家のすぐ側にあるバス停に向かう。

: ■背景変化~バス停

 数分先に出た筈の妹達は既にバス停にはいない。
 目前に壁が近づいているが、周囲を見回しながらバス停を通り過ぎ、なおも歩き続ける。もう足を踏み出す場所もない。


大翔「慣れれば何でも気楽に出来るもんだな」


 それでも前に出した足が、壁の手前のドブに入った。泥濁に沈む足。

: ▲SE 水音

 だが、底に足が当たる感覚は感じない。
 ただ、沈むだけ。
 どこに沈んでいるのかは無論わかっている。
 我が学び舎、魔法学園だ。

: ▲SE ワープ
: ▼システム エフェクト ワープ

 

: オールリセット
: ▼システム ウェイト
: ★BGM~未定(幼馴染のテーマ)
: ■背景~バス停

 


 ―――大翔は周りに誰もいないことを確かめてからドブに足を沈めた。
 だが、彼は気付いていない。
 今日も、昨日も、一昨日も。大翔がドブに入るところを見ていた者はいた。


陽菜「うう……ちくしょー! また話しかけるタイミング逃したー! 」

: ▲SE シュッ

: ●立ち絵 陽菜・制服(幼馴染)・表情(悲しみ)・位置(右端)


 何もない……少なくとも数秒前までは何もなかったところから、学生服を着た少女が現れた。
 まるで、空気に擬態していたかのように。


陽菜「いい加減アタックしないと……クラスも違うし、ホントに忘れられちゃうよ」

: ●立ち絵変化 陽菜・制服(幼馴染)・表情(悲しみ)・位置(右)
: ●立ち絵変化 陽菜・制服(幼馴染)・表情(悲しみ)・位置(中央)

: ▲SE 足音・継続

 とぼとぼとバス停に足を進める少女が、ピタリと足を止める。

: ▲SE 足音・
停止
: ★BGM~停止

陽菜「……つか今の私ストーカー? 」

: ●立ち絵変化 陽菜・制服(幼馴染)・表情(焦り)・位置(中央)

 額に汗を浮かばせながら呟いた一言に、微妙に居心地が悪くなるのを感じ、慌てて取り繕う少女。

: ★BGM~再開

: ●立ち絵変化 陽菜・制服(幼馴染)・表情(泣き)・位置(中央)

陽菜「いやっ! 私は純愛だし! 例え振られたりしても鉈とか振り回さないし! ……(振られる様を想像して鬱化)」


 半泣きになりながら、彼女もまた、大翔と同じようにドブに飛び込んだ。

: ▲SE ワープ
: ▼システム エフェクト ワープ


 幼少のみぎり、大翔に惚れ、中学で離れ離れになっても一途に彼を思い続けた少女、沢井 陽菜(さわい ひな)。


 ……今日も、昨日も、一昨日も。彼女の朝は、こんな感じであった。

 

: オールリセット
: ▼システム ウェイト
: ★BGM~未定(学園)
: ■背景~学園廊下


: ▲SE ワープ
: ▼システム エフェクト ワープ

 

第一話:初日、学園

 

大翔「……着いたか」


 周囲の様子が様変わりしているのを見て、俺は歩き出した。
 ここは……北校舎の二階の『停留所』だ。
 周りに人は見当たらない。


大翔「一限は……物理だな。ラッキ、教室近い」


 少し乱れた服を整えながら、階段を昇る。

: ▲SE 足音・継続

 三階……四階。
 廊下に出て、トイレを通りすぎて最初の教室。

【物理室】とプレートが掲げられている。

: ▲SE 足音・停止
: ▲SE ドア開
: ■背景変化~教室

 がらり、と戸を開けると、そこそこの数の生徒がこちらに目を向け、ある者は会話に戻り、ある者は近づいてくる。
 教室はいつものようにざわついていた。

: ▲SE ざわめき・継続
 
: ●立ち絵 貴俊・制服(悪友)・表情(笑い)・位置(中央)

 貴俊「よっほー!  俺が遅刻してないのにお前が遅刻したらどうしようかと思ったぜ」
 大翔「よ。珍しいな、こんな朝早くいるなんて……」


 こいつは黒須川 貴俊(くろすがわ たかとし)。どちらかといえば悪友に入る俺のダチだ。
 少々ホモッ気があるところを除けば、まあ信用できるくらいの仲をキープしている。

: ●立ち絵 貴俊・制服(悪友)・表情(通常)・位置(中央)

: ▲SE ざわめき・停止
: ★BGM変化~未定(耽美)

貴俊「やらないか? 」
大翔「ブッ」


 すごく……いきなりです……。
 展開が速すぎるぞ、悪友よ。


大翔「い……いやいや……お前」

: ●立ち絵変化 貴俊・制服(悪友)・表情(拗ね)・位置(中央)

貴俊「なんだよー課題やってんのか? うらぎりものー」
大翔「あ、課題をやらないかってことか……」

 勘違いでした。

: ★BGM変化~未定(学園)

: ▲SE 時計の鐘

 そんな他愛もない会話を繰り返す内、物理室に飾られた黄金の時計が鳴り始めた。


: ▲SE ざわめき・停止
: ▲SE ドア開

 図ったようなタイミングで、物理の先生が教室に入ってくる。

: ●立ち絵 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(通常)・位置(右)
: ★BGM変化~未定(ノアのテーマ)

 プロポーション、SSS。
 性格、SSS。
 生徒受け、規格外。
 彼女の名前は苅野 乃愛(かりの のあ)。この学園の教師にして、俺の父の教え子で、何かと面倒を見てくれる親切な人だ。
 子供の頃からの付き合いだが、ここで教師をやっていると本人の口から聞いた時は驚いた。
 その時同時に、魔法の存在を聞かされたからというのもあるが。

: ●立ち絵変化 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(笑顔)・位置(右)

乃愛「はーいみなさん、おはよう! 」
生徒一同「お早うございまーす!!! 」


 普段はバラバラなクラスメイトがまとまって返事を返す。
 下心丸見えだよお前ら……男女共に……。
 本当の美人はどんな人間の心も掴むんだなぁ、と必死で先生のストッキングを凝視しながら俺は思った。
 貴俊だけは特に興味もなさそうに、課題を忘れた言い訳を考えているようだ。
 そもそもコイツ、前回来てたかどうかすら定かではないが。


乃愛「皆さん元気で大層よろしい♪ では、123ページを……」

: ●立ち絵変化 貴俊・制服(悪友)・表情(通常)・位置(中央)

貴俊「先生っ! すいません、課題忘れました! 」


 不意打ちか……やるな、貴俊!
 しかし……今思い出したが。

: ●立ち絵変化 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(疑問)・位置(右)

乃愛「課題出してないけど? 」


 ゴメン、悪友。さっきのウホッがインパクトありすぎて失念してたよ。


: ●立ち絵リセット
: ▼システム ウェイト
: ★BGM変化~未定(学園)

 

 授業も終わりに近づき、貴俊の非難の目もかなり薄れたころ、教室を周回していた先生が俺の後ろに回ってきた。

: ●立ち絵 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(通常)・位置(右)

乃愛「や。主人公君。妹さんは元気? 」
大翔「……元気すぎます」


 小声に、もちろん小声で返す。
 先生は今までの生活での経緯もあってか、うちの凶暴な方の妹と仲がいい、数少ない人間の中の一人なのだ。

: ●立ち絵変化 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(微笑)・位置(右)

乃愛「まあ……元気なのはいいことだよ」
大翔「被害がなければ、ですけどね……」


 溜息まじりに言う俺の言葉に、先生がくすりと笑う。

: ★BGM変化~未定(シリアス)

乃愛「ま……今回は彼女のおかげで君は役得なんだし、感謝してあげな」
大翔「え? 」


 何が、と聞き返す前に先生は離れていった。
 なんだろう?

 終業のチャイムと共に、先生は風のように次の受け持ち教室に行ってしまった為、結局何の事かわからなかった。
 変なの。


: オールリセット
: ▼システム ウェイト
: ★BGM~未定(学園)
: ■背景~購買


第一話:初日、学園、昼休み


 午前中の授業も終わり、1時間弱の昼休みに入る。
 悪友と購買でパンを調達した後、購買手前の自販機でコーヒー牛乳を買っていた美優も誘って、西校舎屋上に上がった。

: ■背景変化~屋上
: ●立ち絵 貴俊・制服(悪友)・表情(笑顔)・位置(中央)
: ●立ち絵 美優・制服(義妹)・表情(怯え)・位置(左)


貴俊「いやー、太陽の光が心地イイねー、美優ちゃん! 」
美優「そ、そうですね……」

 

 伸びをして大声で叫ぶ悪友に、びくっと震えて美優が肯定する。
 ……しかし美優はあいかわらずコイツのテンションに慣れないな。
 まあ、180度タイプが違うから仕方なくはあるが。

 

大翔「さて、昼食といきますか……」
美優「はーい……」

: ●立ち絵変化 貴俊・制服(悪友)・表情(通常)・位置(右)
: ●立ち絵変化 美優・制服(義妹)・表情(通常)・位置(左)

 三人で向かい合って座り、思い思いにパンに手を付け始めた。
 ……しまった。とんでもないミスに気付き、肩を落とす。

 

大翔「ジャムパンと間違えてコロッケパンを買ってしまった……」

: ●立ち絵変化 貴俊・制服(悪友)・表情(驚き)・位置(右)

悪友「どうすれば間違うんだ? ……そういや美優ちゃんって弁当作らないんだ? 家庭的なイメージあるんだけど」

: ★BGM停止

: ●立ち絵変化 美優・制服(義妹)・表情(ショック)・位置(左)


美優「!!! 」
大翔「あー……ははは」


: ●立ち絵変化 美優・制服(義妹)・表情(怯え)・位置(左)


 コッペパンを千切りながらもくもく食べていた美優が、ビクッ! と身体を震わせて、笑った俺に悲しげな目を向ける。


: ●立ち絵変化 貴俊・制服(悪友)・表情(疑問)・位置(右)


貴俊「……何? なんかトラウマ? 」
大翔「いや、大したことじゃないんだが……」


 ガシッ!

 掴まれた、と感じて振り向くと、美優が目に涙を浮かべてふるふると首を振っていた。
 まあ、弁当を作って兄に食べさせたら病院沙汰になったなんて、女の子としては誰にも知られたくはないだろう。

: ★BGM変化~未定(ドタバタ)

大翔「こいつが弁当を作って俺に食べさせたら病院沙汰になったんだよ」
美優「! 」


 でも、せっかく思い出したので、イジるために言ってみた。
 かわいい子ほどいじめたくなるよね。

: ●立ち絵変化 貴俊・制服(悪友)・表情(悪笑顔)・位置(右)

貴俊「それはそれは……それは面白い! 」


 さすが悪友、乗ってきた。

 

大翔「米を炊く時水加減を間違えておかゆになったのをそのまま入れるのはやめたほうがいいぞ」

: ●立ち絵変化 貴俊・制服(悪友)・表情(驚き)・位置(右)

貴俊「おかゆを弁当箱に……」


大翔「火が通ってない野菜と火が通ってる野菜を一緒くたにしていたのには驚いた」

: ●立ち絵変化 貴俊・制服(悪友)・表情(焦り)・位置(右)

貴俊「ロシアンルーレットならぬベジタリアンルーレットってか! こいつは俺も驚きだ! 」


大翔「慌てて水筒を飲み干したらコーラで鼻から出そうになった」

: ●立ち絵変化 貴俊・制服(悪友)・表情(笑顔)・位置(右)

貴俊「蛇口からコーラが出るようになる俺の夢を先取りした形になるな」


大翔「洗剤を調味料にするのも感心できないな」

: ●立ち絵変化 貴俊・制服(悪友)・表情(ショック)・位置(右)

貴俊「そこまでくるとわざとじゃ……ていうかそれ全部喰ったお前って……」


: ●立ち絵変化 美優・制服(義妹)・表情(悲しみ)・位置(左)


 この調子で20分ほどイジったところで、本気で美優が泣きそうになってきたのでやめた。
 平謝りを重ね、なんとか機嫌をとる。

: ●立ち絵変化 貴俊・制服(悪友)・表情(通常)・位置(右)

美優「ひどいよ……お兄ちゃん……」

: ●立ち絵変化 美優・制服(義妹)・表情(不機嫌)・位置(左)

大翔「正直すまんかった」


 気まずい空気を払拭するため、新しい話題を考える。


大翔「そうだ、この学園どうだ? 入ってみて」

: ●立ち絵変化 美優・制服(義妹)・表情(通常)・位置(左)

美優「……思ってたほど変じゃなかった。授業も魔法関連の、二つしかないし……」
貴俊「あー、それ俺も思ったな。てっか、絶望した」
大翔「……ま、魔法っつったら普通杖振るアレを想像するよな、みんな」


 この学園は名前こそ【魔法学園】だが、実際やっている授業は一般と大差はない。
 ただ、通っている生徒が『魔法』と枠付けされた超常的な能力を各人一つずつ持っていること。
 そして、『能力制御学』と『能力活用術』という聞き慣れない科目があり、学園の全機関が大規模な超常動力で動いている。
 このくらいだろうか、他と違うのは? よく考えたら大分違う気もする。


 その調子でつらつらと雑談を重ねていると、昼休みが終わりに近づいてきた。
 あと五分ほどでチャイムが鳴るだろう。

 

美優「……じゃ、お兄ちゃん。私次体育だから……」
大翔「おう……そういや美羽はどうした? いつも一緒にいるのに」


 特に気にならなかったが、ふと聞いてみる。


美優「生徒会の仕事で、今日はずっと外に行ってるんだって……」

: ▼CG・上空から見た町

 外。
 おそらく、俺達が普段いる世界のことではなく、この学園の外、都道府県十個分くらいの広さの空間のどこかだろう。
 この地方の成人した魔法使いのほとんどが住んでいるらしいが……学生は一部を除いて入ることは出来ない。

: ▼CG消去

美優「……」

: ●立ち絵消去 美優・制服(義妹)
: ▲SE 走る足音

 三つ編みを揺らしながら走っていく妹の後姿から目を離す。

 二人きりだと何をしてくるかわからない貴俊に声を掛けて昼食を切り上げ、午後の授業に向かった。


: オールリセット
: ▼システム ウェイト
: ★BGM~未定(学園)
: ■背景~特殊教室

 

第一話:初日、学園、放課後

 

 


 さて、帰るか。
 『能力制御学』の課程で穴を開けた鉄板を教室の素材棚に放り込み、鞄をとって受け持ちの先生特製のテキストをしまう。
 他の生徒は早々に作業を終えて帰っていた。


大翔「残ってるのは俺だけか? 」


 教室を見回すと、端っこの方になにやらそわそわしている女の子を見つけた。

: ●立ち絵 陽菜・制服(幼馴染)・表情(通常)・位置(左端)

 あれは……懐かしいな、小学生の頃よく遊んだ……名前なんだっけ……?
 外側にはねた赤髪が特徴的で、割と近所だったような気もする。
 中学が別だったから疎遠になった、まあ良くある話だ。


大翔(名前なんだっけ……? 思い出したら今度話し掛けてみようかな)


 とりあえずその場を去ることにし、出口に向かった。

: ■背景変化~黒
: ▼システム ウェイト
: ■背景変化~特殊教室


: ★BGM変化~未定(幼馴染のテーマ)
: ●立ち絵 陽菜・制服(幼馴染)・表情(焦り)・位置(左端)


陽菜「ヒ……ヒロ君……」


 少女が、意を決して声を出す。
 大翔が彼女を見ていることはわかっていた。気配で。


陽菜(なんたるチャンス……! ここを逃せば! ここを逃せば、私は……!)


 大翔が作業していた方を一気に振り向き、目を閉じて大声で気持ちを伝える。


陽菜「大翔くんっ! 久しぶりに一緒に帰りませんかっ!? 」
乃愛「あはは……沢井さん、大翔君はもう帰ったよ?」
陽菜「ウダラーーーっ!!? ノッ、ノア先生!? 」

: ●立ち絵変化 陽菜・制服(幼馴染)・表情(驚き)・位置(左端)
: ●立ち絵 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(微笑)・位置(中央)

 意中の人がいると思っていた所には、美人女教師が立っていた。


乃愛「へえ……そうなんだ、沢井さんが大翔君をねえ……大丈夫、誰にも言わないから」
陽菜「ちっちっちっちがっがっがっが……」


 取り乱す少女を微笑ましげに見遣り、女教師は窓から向こう側の廊下に目を向ける。
 そこには、走る大翔の姿が見えた。


陽菜「い、いや違うんですy……? 」

: ●立ち絵変化 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(微笑・影)・位置(中央)

 言い訳をしようと試みた少女に、一瞬女教師の目が艶やかに光っているように見えた。

: ●立ち絵変化 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(微笑)・位置(中央)

 瞬きすると、既に光は消えていたので、気のせいだと考え直し、言い訳を再開する。

: ●立ち絵変化 陽菜・制服(幼馴染)・表情(赤面)・位置(左端)


乃愛「わかったわかった、もう遅いから帰りなさい」


 始まりかけた言い訳を一刀両断し、女教師は部屋を出て行った。


陽菜「わ、わたしの密かな想いが……でも、ノア先生なら大丈夫かな……」

: ●立ち絵変化 陽菜・制服(幼馴染)・表情(通常)・位置(左端)

 少女も、少々疲弊した体に喝をいれ、帰路についた。

 

: オールリセット
: ▼システム ウェイト
: ★BGM~未定(学園)
: ■背景~廊下

 


大翔「さて、トイレも済ましたし帰るか……」


 人気のない校舎でぼそりと一人ごち、廊下を走る。
 早く帰らなければ、もしあの凶暴な方の妹が先に帰っていたらどんな嫌味を言われるか分かったものではない。
 曲がり角を一気に……。

: ●立ち絵 ユリア・ドレス(姫)・表情(驚き)・位置(中央)
: ●立ち絵消去

ユリア「きゃっ!? 」
大翔「うおっ!? 」

 ドンッ!

: ▼システム 画面揺らし
: ▼システム エフェクト・衝撃
: ▲SE 衝撃

 誰かにぶつかった……声からすると女の子か。
 ぶつかった勢いで閉じた目を開けて、倒れた女の子に謝ろうとする。

: ●立ち絵 ユリア・ドレス(姫)・表情(泣き)・位置(左)

ユリア「うえええ~~~痛い~~~レン、助けてー! 」

: ★BGM変化~姫のテーマ

 息を呑んでしまった。
 日本では珍しい金髪にでも、気品のある美貌にでもない。

 ドレス。
 ドレスだ。ドレスを着た女の子が学園を歩いている。


大翔「仮装祭りはまだ先だよな……? 」

: ●立ち絵変化 ユリア・ドレス(姫)・表情(怒り)・位置(左)

ユリア「仮装!? 」


 思わず口を突いて出た言葉に女の子が反駁する。


ユリア「これは由緒正しい正装ですよ! 我が王家に代々伝わる技術家の……」


 王家? キングダム?
 あ、これやばいかも知れない。なんか事件というか電波に巻き込まれる、そんな予感?
 早く謝って切り上げるか……。


大翔「あー、あの、色々すいません……」
ユリア「わかればいいんですー」

: ●立ち絵変化 ユリア・ドレス(姫)・表情(笑顔)・位置(左)

 謝った途端、打って変わって温厚な言葉遣いに変わった。
 何だこの子は……初めてみるタイプだ。

: ●立ち絵変化 ユリア・ドレス(姫)・表情(疑問)・位置(左)

ユリア「……えと、お願いしたいことがあるんですけど」
大翔「はっはい! なんでしょう!? 」


 何故か敬語になってしまった。
 もし「火星に連れて行ってもらえませんか? 」とか来たらすぐに逃げられるよう、半歩身を引く。

: ●立ち絵変化 ユリア・ドレス(姫)・表情(笑顔)・位置(左)

ユリア「校長室に案内してもらえませんか? 」


 案外普通だった。

 

: オールリセット
: ▼システム ウェイト
: ★BGM~未定(学園)
: ■背景~校長室前

: ●立ち絵 ユリア・ドレス(姫)・表情(笑顔)・位置(左)


大翔「あ、ここです……では、俺はこれで」
ユリア「ありがとうございますー」


 校長室の前に辿り着き、別れの言葉を交わす。
 校長室ということは転入生か? 話しぶりからしてどこか王制みたいな国からの……じゃあお姫様?


レン「姫ェェェェェ!! ご無事で!? 貴様曲者かーーー!!! 」

: ●立ち絵変化 ユリア・ドレス(姫)・表情(きょとん)・位置(左)

: ★BGM~未定(ドタバタ)

 考え事をしていると、後ろから凄い怒号が聞こえてきた。
 あー……もうなんかこれからの事態が予想できてしまった。
 振り向くと、いつの時代だよってな鎧を着ている精悍な顔つきの騎士? が細身の剣を抜いている。

: ▲SE 抜刀

: ●立ち絵 レン・鎧(メイド騎士)・表情(怒り)・位置(右)

 銃刀法違反に引っかかるあの剣です。

: ●立ち絵変化 ユリア・ドレス(姫)・表情(焦り)・位置(左)


ユリア「違いますよぉ、レン、その方は私を……」
レン「……なんと! こんな貧相な顔つきの下郎がッ! 姫に手を出そうなどッ! 」


 なにやらあの人、頭に血が上っているようです。ていうか今、下郎言われたぞ俺。
 とりあえず、逃げるか……。
 すぐ近くに停留所があったので、一足飛びで飛び込む。

: ■背景変化~黒

 怒鳴り声と小さい声を後ろに聞きながら、自分の家の地区を思い浮かべる。


大翔(なんか今日は、色々あったな……)


 ぶつん、と視覚が途切れる。
 それとほぼ同時に触覚以外の五感が消え去り、渦に呑まれる様な感覚が俺を包んだ。

: ▲SE ワープ
: ▼システム エフェクト ワープ

 

: オールリセット
: ▼システム ウェイト
: ★BGM~未定(日常)
: ■背景~夕方主人公宅前


第一話:初日、夜中、実妹が姫を連れてくる

 

 家に着くと、予想通り妹がドアの前で待っていた。

: ●立ち絵 美優・制服(義妹)・表情(通常)・位置(中央)

 だが、何故か美羽はいない。まだ生徒会の仕事をこなしているのか?

: ●立ち絵変化 美優・制服(義妹)・表情(悲しみ)・位置(中央)

美優「おそいよお兄ちゃん……お腹すいた……」
大翔「すまんすまん……美羽は? 」
美優「朝からずっと会ってない……」


 俯く美優を尻目に、ドアを開けて中に入る。

: ▲SE ドア開

 夕食の準備でもするか……。

: オールリセット
: ▼システム ウェイト
: ★BGM~未定(日常)
: ■背景~食卓

: ●立ち絵変化 美優・制服(義妹)・表情(通常)・位置(左)

美優「ごちそうさまでした」
大翔「小食だな……野菜を残すなって何度言わせるんだ。大きくなれないぞ? 」

: ▲SE チクタク
: ▲SE チクタク
: ▲SE チクタク

 夕食を終えても美羽は帰ってこない。
 流石に少し心配になり、携帯にメールしようかと自分の携帯を取り出した、丁度その時。

: ▲SE チャイム
 チャイムの音、そして。

: ▲SE ドア開

美羽「たーだーいーまー」


 気だるげな声と鞄を下ろす音が玄関から聞こえた。
 やっと帰ってきたか……。

:立ち絵消去 美優・制服(義妹)

 出迎えにいった美優を追い、俺も玄関に向かう。


: ■背景変化~黒
: ▼システム ウェイト
: ■背景変化~玄関


: ●立ち絵 美羽・制服(実妹)・表情(通常)・位置(左端)
: ●立ち絵 美優・制服(義妹)・表情(驚き)・位置(右端)

大翔「おい、随分遅いじゃない……か……」


 声が尻下がりになるのを自分でも感じる。
 玄関に、色々と問題がある珍客が立っていたのだ。そりゃ尻下がりにもなる。


乃愛「やっほー、美優ちゃん、大翔君」

: ●立ち絵 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(通常)・位置(左)

 先生。先生はそこまで珍しい客ではない。もちろん問題もない。
 わけあって週に一度、俺達の生活の様子を見に来るのだ。


レン「……」

: ●立ち絵 レン・鎧(メイド騎士)・表情(通常)・位置(右)

 はい、おかしい。あの銃刀法違反の危ない人が家に来ています。
 追っかけてきたのだろうか? 俺の人生ここで終わりか?


ユリア「こんにちは……あら、貴方は! 駄目なお兄様って貴方だったんですね!? 」


: ●立ち絵 ユリア・ドレス(姫)・表情(笑顔)・位置(中央)


 これまたおかしい。近所の人に見られていないか心配です、な服装の、先ほど出会った女の子だ。
 しかも実妹の自分に対する歪んだ評価を教わっているようだ。駄目ってちょっと……。

: ●立ち絵変化 美羽・制服(実妹)・表情(苦笑)・位置(左端)

美羽「携帯で言おうとは思ったんだけど、乃愛さんが驚かそうって……」


 なるほど、驚いた……なんだこの状況 ?
 一番説明が出来そうな先生に助けを求める子猫のような視線を向ける。

: ●立ち絵変化 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(微笑)・位置(左)

乃愛「ま、中で話そうか……あ、大翔君、お茶ヨロ」


 お茶を準備させられた。

 


: オールリセット
: ▼システム ウェイト
: ★BGM~未定(日常・アップテンポ)
: ■背景~居間

: ●立ち絵 美羽・制服(実妹)・表情(通常)・位置(左端)
: ●立ち絵 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(通常)・位置(左)
: ●立ち絵 ユリア・ドレス(姫)・表情(通常)・位置(中央)
: ●立ち絵 レン・鎧(メイド騎士)・表情(睨み)・位置(右)
: ●立ち絵 美優・制服(義妹)・表情(通常)・位置(右端)

乃愛「―――とまあ、こんな感じ。二人とも、自己紹介したらどうかな? 」


 リビングで全員を集めて行われた説明が終わり、張り詰めた空気が幾分薄れた。
 なるほど……予想通り、彼女は某国のお姫様らしい。留学生……という事だそうだ。
 それにしても何故騎士ルックの人は俺を睨んでいるのだろう。怖い。

: ●立ち絵 ユリア・ドレス(姫)・表情(笑顔)・位置(中央)

ユリア「これからしばらくお世話になります、ユリア・ジルヴァナです。名前はヒロト様とミユ様にはお教えしていませんでしたね? 」
大翔「あ、はい……」


 様付けで呼ばれたくすぐったさを感じつつ、返す。


ユリア「こちらは私のメイド兼守衛騎士の、レンです」


レン、と呼ばれた騎士は先生の説明中もずっとこちらをねめつけていたが、ようやく目を逸らして立ち上がった。

: ●立ち絵 レン・鎧(メイド騎士)・表情(通常)・位置(右)

レン「レン・ロバインだ……ヒロト殿、先ほどはすまなかったな……」
ユリア「反省はしているので、許してあげてくださいますか? 」


 ……この人、照れていたのだろうか?
 ん? 待てよ……いまメイドって言ったな? 中世的な顔立ちだから……男の人だと思っていた。
 でも言わない方がいいだろうな。


大翔「いえ、気にしてませんよ……」

: ●立ち絵 美羽・制服(実妹)・表情(笑顔)・位置(左端)

美羽「ユリさん、そうですよ。兄貴は鈍感だから! どんな目にあっても気にしませんし! 」
ユリア「そのようですね! よかった、ミウ様のお話どおりの御方で! 」


 …………。
 今少しだけ気にしました、お姫様……。


: ●立ち絵リセット
: ■背景変化~黒
: ▼システム ウェイト
: ★BGM~未定(ノアのテーマ)
: ■背景変化~居間

 


 自己紹介も終わって。
 やたら広い家を妹達が姫様とレンさんに案内している間、なんとなく先生とソファに座って話をしていた。

: ●立ち絵 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(通常)・位置(中央)

乃愛「悪かったね……驚かそうと思ってたんだが、まさかあの二人ともう会っていたとは思わなかったよ」
大翔「あんまりいい出会いじゃなかったから、驚くには驚きましたけどね……」


 火のついていない煙草を咥えながら話す先生。
 先生とはもう10年来の付き合いになるのだろうか……昔から外見が殆ど変わっていないのは驚異的だ。
 最初に会ったのは、先生が母の葬儀に母の教え子として参列していた時だった。
 それから四年後に父が亡くなった後も何かと面倒を見てくれる、妹達にとっては母親にも近い存在だろう。
 もちろん、俺も恩義を感じている。

: ●立ち絵変化 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(微笑)・位置(中央)


乃愛「君の驚く顔はなかなか魅力的でね……二年前、魔法学園の話をしたときが最高だった」
大翔「あれは本当に驚きました……教えてくれたのが先生じゃなかったら信じませんでしたよ」


 無論、自分に妙な能力があることは昔から勘付いていた。
 時たま座っていた座布団に穴が開いたり、開けようとした鍵がかかった箱を穴ぼこだらけにしてしまったり。
 妹達も同じだろう。いや、大抵の学園の生徒は能力を発現済みの状態で入学の年齢を迎えるらしい。
 貴俊なんかは自分の『分離』の能力を使って相当荒れた少年時代を送っていたという。


大翔「ところで、異国からのホームステイ……ってのは分かりましたけど、何故うちに? 」

: ●立ち絵 美羽・制服(実妹)・表情(通常)・位置(右)

美羽「それはね、兄貴」
大翔「うおっ、もう案内終わったのか? 」


 だが、突然現れた美羽は一人だ。


美羽「ホラ、美優って人見知りするじゃない? だから慣らすために、一人で案内させてるの」
大翔「そうか……サボってるのかと思ったぞ」


: ●立ち絵変化 美羽・制服(実妹)・表情(焦り)・位置(右)


美羽「で、何故家に来ることになったのかというとね」


 何故か慌てて話を逸らす美羽。サボっているという自覚はあるようだ。

: ●立ち絵変化 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(通常)・位置(中央)

 先生はライターを弄り、煙草に火をつけるかどうか迷っている。

: ●立ち絵変化 美羽・制服(実妹)・表情(通常)・位置(右)


美羽「ほら、私って生徒会じゃん? 書記だけど」
大翔「それなら会長……いやあの人は駄目か。副会長辺りでもいいんじゃないか? 」
乃愛「副会長はアパート暮らしだし、会長は人格以前に男だからね。あんなかわいい子は預けられないよ」
大翔「一応この家にも俺がいるんですが……」
乃愛「君はそんな甲斐性は持ち合わせてない」
美羽「うん……あ、やっぱり美優だけじゃ無理か。行ってくるね」


 結局煙草をしまった先生と、携帯にメールが着た美羽に同時に馬鹿にされた気がした。
 今日は厄日だな……。

: ●立ち絵変化 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(笑顔)・位置(中央)

乃愛「ま、信用してるってことさ。それにこの家には色々と便利な機能があるしね」
大翔「親父の道楽のアレですか……」
美羽「ま、確かに便利は便利だよね」
乃愛「あとコレ。二人の生活費……。レンさんは料理にはうるさいらしいから、調理の材料は一杯揃えておくといい」
大翔「……多すぎません? 」


 トランクにぎっちり金が詰まっている。


乃愛「そりゃお姫様とその従者だからね、お金はたくさんいるさ」
大翔「お姫様ならお金一杯持ってる気が……」
乃愛「外貨の変換は色々仔細に問題があるのさ」


 為替相場は大変なのだろうか……。
 そんなことを考えた直後に妹達と居候になる二人が帰ってきた。

: ●立ち絵 ユリア・ドレス(姫)・表情(通常)・位置(左)
: ●立ち絵 レン・鎧(メイド騎士)・表情(通常)・位置(左端)
: ●立ち絵 美優・制服(義妹)・表情(通常)・位置(右端)


ユリア「ありがとうございました、お二人とも……」
美羽「いえいえ」
美優「はい……」

: ●立ち絵変化 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(通常)・位置(中央)

乃愛「さて、もう夜も遅い。私はおいとましましょうか。みなさん、また明日」

: ●立ち絵消去 乃愛・スーツ(邪気眼)

 席を立った先生を見送りに美羽が玄関に歩いていく。

: ●立ち絵消去 美羽・制服(実妹)

 テレビをつけてドラマを見始めたユリア様達を眺めながら、俺は暗然と考えた。

大翔(明日から、大変そうだなぁ……)


 このときはまだ、俺はその『大変』を甘く見ていた。
 本当に、甘く見ていた。


: ●オールリセット
: ■背景変化~黒
: ▼システム ウェイト
: ★BGM~未定(ミステリアス)
: ■背景変化~玄関

 

 玄関で靴を履き揃えた乃愛は、見送りに着た美羽に笑顔で手を振る。

: ●立ち絵 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(笑顔)・位置(中央)

 そして、乃愛がドアを開けようと背を向けた時―――。

: ●立ち絵変化 美羽・制服(実妹)・表情(心配)・位置(右)

美羽「あの……やっぱり、兄貴達には二人の素性、話さなくてもいいんですか? 」
乃愛「うむ~、それが本当の事かどうかもまだ未確認だしね。まあ、私は本当だと思うけど」

: ●立ち絵 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(背面)・位置(中央)

 背を向けたままで答える乃愛。表情は見せない。


乃愛「余計な心配はさせないほうがいいだろう。この家は安全だし、学園からこの周囲に護衛も付けてるし、ね」
美羽「そんなことしていいんですか? 『敵』へのカモフラージュの為に民家に預けたんじゃ……」
乃愛「有能な護衛は護る対象にさえ『護られている』って事を気付かせないものさ、じゃあね」

: ▲SE ドア開
: ▲SE ドア閉
: ■背景変化~主人公宅前、夜


 ドアを開け、外に出る乃愛。

: ●立ち絵 乃愛・スーツ(邪気眼)・表情(影)・位置(中央)

 美羽に見せなかった表情は、誰にも見せることなく、そのまま静かに引っ込んだ。

 

 

 


: ●オールリセット
: ■背景変化~黒
: ▼システム ウェイト
: ★BGM~未定(バイオレンス)
: ■背景変化~夜の砂漠

 

 見渡す限り黄色い砂塵。死の大地、砂漠にて。
 時は零時、太陽も完全に沈み、闇に包まれた、そんな状況で。

: ●立ち絵 ガーガー(敵)・表情(影)・位置(右端)

 凍える夜の真ん中で、ボロキレを身にまとった野生的な男がサソリをガジガジとかじっている。
 砂嵐をも全く意に介さず、低い声で唸りながら。
 男は一人ではなかった。同じマントを巻きつけた人間が五人、呆れてその様子を見ている。


 五人は髪の色も服装も、外見で判断した場合の人種さえも違う。
 ただ、マントだけが同じだった。

: ●立ち絵 バードック(敵)・表情(影)・位置(左)

バードック「こちらに着いて早々食事とは……しかもなんだそれは? 虫じゃないのか? 」

 大柄な、しかし弱気な表情の男が似合わない高い声でたしなめる。
 野人は耳を貸さない。

: ●立ち絵 ガザベラ(敵)・表情(影)・位置(右)

ガザベラ「こんな人ッ気のないとこに飛ばされたんじゃー無理もないわよ。いい男探しもできやしない」

 長身の女が乱暴な口調で吐き捨て、砂を踏みしめた。
 赤髪赤目、健康的な褐色の肌の美貌が、少し歪んで見える。

: ●立ち絵 ポーキァ(敵)・表情(影)・位置(左端)

ポーキァ「滅びる世界でパートナー探しかよ。あんたそろそろ枯れてきてるんじゃねえのか? 」

 座り込んだニット帽を被った少年が嘲り、直後女に蹴り飛ばされた。

: ▼システム 画面揺らし
: ▼システム エフェクト ダメージ・打撃
: ▲SE 衝撃


: ●立ち絵リセット
: ▼システム ウェイト

: ●立ち絵 ファイバー(敵)・表情(影)・位置(右)
: ●立ち絵 エラーズ(敵)・表情(影)・位置(左)


 残された二人は、罵りあう少年と女、必死で仲裁する男、そして今度はサボテンに目を付けた男を見て舌打ちする。
 彼らだけが冷静なようだ。

 

ファイバー「……で? どうなんだ、目当ては一年以内に見つかりそうか? 」


 冷え切った声を放った男は中世的な鎧を着込み、白く短い髪を冷たい風になびかせている。
 その青い双眸には、名状しがたい濃度の光が宿っている。
 冷静なもう一人の男が肩をすくめる。
 こちらは、犬の仮面で顔全体を覆っている。
 感情が見えない仮面の下、胴体には白衣をまとう。
 病的に痩せた体型には、その白衣はよく似合っていた。
 すこし間をおいて、返答する。


エラーズ「難しいですねぇ。この世界には能力を持ってない人間がいますから、比較的捜索は簡単そうですが……」
ファイバー「こいつらには全員能力持ちの方が存分に楽しめてよさそうだがな……」

 溜息のように呟いた二人の視線の先には。
 いよいよ派手になってきた少年と美女の争い、説得むなしく砂漠に半分埋められた大男、鳥を捕まえようとジャンプを始めた野人がいた。


ファイバー「ま……能力持ちが多くいる地域から分担して当たっていくしかないか。能力持ちの総数は? 」
エラーズ「総合値の平均が我々の世界と同じと仮定すると、六十万人ってとこ……それなりに数が集まってるとこは4、50箇所ほどです」
ファイバー「最悪一人十万か……戦う相手は最低限にしろ、と言い聞かせねばならんな。この世界の魔法体系もわからんし」
エラーズ「私がお姫様に会ったことがあれば簡単なんですがねぇ……」


 鎧の男が喧嘩を止め、計画を全員に説明し、意見を募った。
 五人のマントと一人の野人はその後数十分程話し込んだ後、散らばって思い思いの方向に歩き始める。
 いくつかクレーターが出来たその場には、サソリとハゲワシ、サボテンの残骸だけが残されていた。


: ▲SE 風音


: オールリセット
: end

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