法則と物質(自然物)


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 やぁ、今日は酷い雨だね。あやうく滑って転びそうになっちゃったよ。
 まったく運が悪いな。
 さて、第三回の講義を始めよう。今日は法則と物質について二つの考え方を元に話を進めたいと思う。

 前々から法則、法則と連呼していたと思うが、この法則とは一体何なんだろう? って話なんだ。
 ――意味が分からないかい? まぁそうだろうね。
 君の世界じゃその概念が存在しないらしいから、どこまでいっても理解するなんてことは出来そうも無い。
 でも聞いてくれたまえ。法則を"扱うことが出来るから"、物質やエネルギーを"生み出しているのか?"という話なんだ。

 私たちの世界では二通りの考え方が出来る。
 法則を世界の中心である。法則があるから、もしくは法則によって物質が存在できているという考え方を「大法則原理」と呼ぶ。
 物質の前に法則が先にあり、法則があるからこそ物質が意味を持つ。この考え方なら、すべての法則を完璧に理解した時、人は神になれる。
 そしてもう一つ。
 物質(自然物)が中心である。物質があるから、もしくは物質によって法則が生まれたという考え方を「超自然原理」と呼ぶ。
 法則の前に物質が先にあり、物質があるからこそ法則は意味を持つ。これだと、私たちは物質から法則を拝借しているだけで、結局存在しているものをただなぞっているだけに過ぎないわけだ。

 だが、まぁこの二つが存在しなかったら、次の考え方も生まれなかっただろう。
 大法則原理主義者たちは、「外想厭離法則」と「構造物構造理解」という仮説を提唱した。
 構造物構造理解は前の講義で話したね。ソレがどういう風に作られているのか、理解することが出来れば自然物は作れる、という感じかな? 大雑把に言えば。
 もう一つ、外想厭離法則とは、魔法が必ず起きるものではないということ。私たちが作る魔法物はどこに無理があったり、想定していないイレギュラー要素に対して圧倒的に弱いと、効果が現れないこともある。"弾かれる"と私たちは言う。さらに一度効果として現れたものでも、他に質量のあるものに当てられると弾かれることもある。

 次に超自然原理の話だ。この考えの下、「自然物調和の原則」と「自然物と魔法物間での因果作用」という仮説が提唱される。
 自然物調和の原則とは、自然に存在するものでしか借りることは出来ない。ゆえに想像することが出来ても、私たちはそれを行使することは出来ない、という話。実際、理論的には可能性があっても、どうしても魔法物として生むことが出来ないものがある。大法則原理主義者の連中は、これを「まだ知らぬ法則があるからだ」とか「法則の構築が特殊なのだ」とか言ってるけど、実際はどうだか。
 もう一つ、自然物と魔法物間での因果作用がある。これは、前回の講義でも少し触れたかな? 自然物と魔法物間では基本的に淘汰される関係にあると。
 だが、それは絶対じゃない。たとえば、構造的に似たものが組み入れば逆に"癒着"という現象が起きる。つまり、魔法物が自然物にランクアップするんだ。これは後々大きな話になるんだがね。

 私たちは往々にして、魔法物を作る時は真剣に作る。基本的には片手間で出来るようなものではないから、というのもあるが、それよりも違う現象を恐れているからだ。
 十年前くらいに「暴走下位論」という論文が学会で発表された。
 さっき「外想厭離法則」の話をしたね。私たちが作る魔法物にどこか無理があったり、イレギュラー要素に対して圧倒的に弱い時、弾かれる。けどね、稀に強引に効果が現れようとする時があるんだ。法則構築の関係で無理に出現する事態になると、その「足りない何か」を自然が急速に補おうとする。これは一種の「自然物と魔法物の因果作用」に当たるだろうけど、本当の意味で分かる奴なんていないさ。暴走下位論では、癒着、剥離などのせいで、一時的にある部分が増幅、或いは消滅が起き、極端な効果が現れる、とある。
 これは怖いよ。作った魔法物に自然物が急激に組み込まれていくんだ。前にも言った通り、魔法物よりも自然物の方が強いため、魔法物を媒体にして自然物が猛威を振るいはじめることになる。ある意味、自然物を扱うという解釈も出来るかもしれない。魔法物が自然物に変わっちゃうんだ。自分の手を離れてね。それをもっと力のある魔法物でコントロールすることも出来なくはないが、とっさにそんなことが出来る人間なんてほとんど化け物だよ。で、結果、自然物の著しい暴走が起き、まず間違いなく人的被害は免れないだろうね。
 昔、幽幻魔法の暴走で相手どころか自分も巻き込んでしまって、両者共々正気には戻らなかったこともあった。最も有名な暴走の記録は、「ラルクイン町の悲劇」だろう。ラルクインという名の町に雨がずっと降らなくてね。魔法物で作った水なんかマズイ上に身体のエネルギーに変わってくれない。だから、町人全員で雨雲を呼び寄せようとしてたんだ。けど、そんな簡単なものじゃなく、一週間ほど頑張ってた。ある日、急激に雨雲が集中し始めた。彼らは喜んだ。だが、雨が降ってから翌日に町は全滅した。考えられるかい? 強烈な風と終わらない雨が町全体をたった一晩で瓦礫の山に変えてしまったんだよ。
 当時の錬金術師たちが何十日もかけて魔導力場の痕跡を読んでみると、どうやら、著しい増幅が起こったらしい。調査によると多数の人間による"雨乞い"で拙い魔法物に一定の負荷が加わり、そこに自然物が乱入するように暴走を始めたんだという。まったく怖い話さ。

 今日はこれくらいにしておこうか。なんだか取り留めの無い内容になってしまったね。
 でも、暴走下位論は次の講義の「戦争の歴史」に関わってくるから、よく復習しておいてくれたまえ。
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