ワールドサイクル 第1話


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その部屋で目覚めたとき、私はどこにいるのかわからなくて怖かった。
煌々と照っている白色の蛍光灯が眩しい。
今、私はつるつるとした手触りの壁にもたれかけている。
どうやら気絶していたらしい。
頭が割れるように痛む。
「お目覚めだぜ」
その部屋には3人の男たちが居た。
中でも体格の大きな褐色の肌をしたタンクトップの男が何か言ったようだ。
「……」
とっさの出来事に脳が理解に追いつかない感じを受ける。
ここは、どこ?
あなたたちは、だれ?
そう言おうと試みたのだが、私は口を金魚のようにパクパクと動かしただけだった。
「あんた、何か知ってるかい?」
天然パーマで白いシャツを着ている優男が私に質問したようだが
私は恐怖に怯え、ただただ首を横に振るのみだった。
そもそも私はどうやってこの部屋に入ったのかわからない。
覚えているのは、いつものように都心にある図書館で本を借りて帰り道にデパートの近くの並木道を……
「ッ……」
思い出した、あの時、私は頭部に強烈な痛みが走り、振り返ることもできず気を失ったのだ。
ということは拉致……。
はっと男たちを見上げる。
この男たちが犯人だとしたら!
「こいつも333の人と同じ反応しやがったぜ」
「フヒヒ、サーセンwwww」
「しかし反応を見るからに犯人じゃないな」
男たちはどうやら私と同じ境遇のようだった。
犯人では無いことと、仲間であることを確認し胸をなでおろす。
本当によかった……。
いやいやいや、よくない。
「あの……これはどういうことですか?」
「わからねぇ、あんたも拉致された口だろ?俺たちもそうだ」
褐色の肌の男がそういうと、全員、肯定ともとれるような沈黙をした。
「出口とかは……」
「ないよ」
GUNDAMと書かれたダンボールに身を包んだ若者が、私の言葉を遮り否定する。
そんな……じゃあ……どうすればいいの……。
「俺は咀嚼ってもんだ、あのパーマが333の人、ダンボールを着てる奴がロボだ」
褐色の肌が突然人物説明に入った、正直何人も居たらライターが書きづらいのだろう。
333の人は私に笑いかけてくれた。ロボは完全にわたしを無視した。
「あんたの名前は?」
咀嚼が問いかける。
「私の名前は……監修。監修・ザ・グレートよ」


これが私たちの悲劇の幕引きであった。


全員で部屋を調べることになった。
会議の結果、ドアのひとつもないこの部屋に私たちを運び込むことは不可能。
どこかに出口があるはず、という結論がでたからだ。
先ほどから私は部屋のツルツルした無慈悲にも思える感触の床を調べているが(天井などは身長が足りないため)一向に手がかりさえ掴めない。
1時間ほど調べたところで、333の人が最初に根を上げた。
「休憩しようよ、それに闇雲に調べたって埒があかないだろう」
「確かにそうね」
私もほとほと疲れていたのでその意見に同意した。
「ちっ!」
咀嚼は壁を強く蹴り、黙ってあぐらをかいた。
先の見えない作業にイラついているようだ。
「……」
そういえば先ほどからGUNDAM、間違えた、ロボの様子がおかしい、体は小刻みにブルブルと震え、顔は怒りの表情に満ちている。
「だせよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!だれだよおおおおおおおおおお!」
耳が痛い。
とっさに耳をふさぐ。
「お……だれか……いるのか……」
「えっ!?」
壁の向こう側から声が聞こえる!
やった、助かった!
「ひょおおおほおおおおお剣呑だああ!」
剣呑の使い方を間違えた上、誰よりも喜ぶ333の人。
だけど私はそんな突っ込みをするような気分じゃない、嬉しくて涙が出そうな気分だ。
「警察かい!?はやいとこ出してくれ!!」
そうよ、私は家に帰ってキラ×アスのBL本を読まなきゃいけないんだから!
「たすけ……くれ」
耳を疑った。
助けてくれ?
助けて欲しいのはこっちだ。
私の脳裏に最悪のシナリオが浮かび上がる。
「まさか、拉致された!?」
「そ……だ……」
目の前が真っ暗になる。
せっかく助かったと思ったのに。
私は足に力が入らなくなり、ストンと膝をつく。
「ふざけるなあああああああああ!」
ロボが怒りのあまりまたも怒声を無機質な部屋に響き渡らせた。
そんな……
もういやよ……
助けて……

選択肢A「助けて!さーか!」
選択肢B「助けて!ヨロシク仮面!」
選択肢C「もうダメ……」

「助けて!さーか!」
さーかは私の友人であり、親友だ。
私はさーかが助けにくるはずが無いことを知っていて呼んだ。
「おしゃべりはそこまでです」
部屋中に無機質な声が響き渡る。
変声機を使っている…….
突然、壁に映像が映った。
「皆様、マーダーゲームへようこそ」
キノコのドクロを模したキャラクターが声に合わせて口を動かす。
ていうか、キノコにドクロはないだろう。
「私は主催者でありゲーム進行役のピノコオです」
ピノコとピノキオ混ざってるよ!
そういう突っ込みをしそうなぐらいには私は混乱していた。
「さて、マーダーゲーム、即ち、人殺しゲームのルールは簡単です。
 部屋には3人の人間がいるでしょう。
 誰か一人を決めて殺してください」
は……?
いま、なんて……?
「ふざけんな!はやくここからだせ!」
ロボが映像に向かってどやしかける。
「マーダーゲームの勝利者はここから出る権利を与えられます」
無機質な声は無機質に、私たちに暗に殺し合いを命じた。
誰も殺さなければ、この部屋に留まり続ければ、死は逃れられない。
誰かを殺して、誰かが生きる。
そういうことだ。
悪質で劣悪で、何よりも非道なゲームの始まりだった。





部屋にいる全員が互いを見合わせた。
恐らく探っているのだろう、殺すのか殺さないのか。
「あの……まさか、みんな本気にしてないよね?」
最初に口を開いたのは333の人だ、この人は何故か沈黙が耐えられない。
「バカバカしいよ、出られるってことは出口があるってことじゃないか」
それはそうだ、だが、恐らく出られないだろう。
「相手は殺し合いを求めてる、逃げ道は無いと考えたほうがよさそうよ」
酷く、小さな声だったと思う。
人が人を殺すのはその人が窮地に立ったとき。
逆に言えば人殺しを求めるということは窮地に立っていることを暗に知らせているのだ。



「じゃあ、殺し合うっていうのか!?」
咀嚼が怒声を上げる、だんだんムカっぱらが立ってきた。
「反論するなら具体案を言いなさいよ!ただ吼えても何も変わらないわ!」
「グ……」
咀嚼が黙る。
正論だからだ。
しかし正論は時に人を傷つける。
そのとき私は失敗したことを自覚した。
「じゃあやってやる!俺が指名するのは監修、あんただ!」
やってしまった。
殺し合いをするのなら、仲間を作ることが大事だと言うのに。
「僕は咀嚼を指名するよ」
え?どうして?
今、私を指名すれば私が死ぬ確立が2分の1になり、自分が死ぬ確立がかなり減るはずだ。
一体どうして……。
「女の子を殺すのは忍びないからね」
「はっ!フェミニストを気取ってる場合じゃないぜ!」
咀嚼の言うとおりだが、私にとっては僥倖だった。
だが、私の運命は残されたロボに握られてしまうことになってしまう。
ロボが私を指名すれば2対2で引き分け、ロボと咀嚼と戦うことになる。
もちろん結果は死。ヒョロイ優男と女の私とでは実力差が違う。
逆に、ロボが咀嚼を指名すれば一気に勝率は高くなる。
3対1。
プロの格闘家が素人相手でも勝てる見込みは二人までだという話を聞いたことがある。
女の私でも足止めぐらいはできるだろう。
そして、ロボと優男が二人がかりで攻撃すれば……。
……私、どうしちゃったんだろう。
もう、咀嚼を殺すことしか考えていない。
自己嫌悪に陥りそうになる。
しかし、生きるためには殺すしかないのだ。
弱肉強食。
ここは平和な私たちの世界とは違うことを認識しなければならない。
「ロボは誰を指名するの?」
なかなか動かないロボに意を決して聞いてみる。
もし、ここで私なら死は決定する。
咀嚼なら、まだチャンスがある。
お願い……咀嚼を選んで!
「俺は――」
ロボが口を開く。
お願い!お願い!お願い!
「俺は333の人だ」
は?
今、なんて?
「……」
333の人は黙ってロボを睨んだ。
しかし、その指名はあり得ないはず、ロボが一番出たがっていたのではないか
何故、そんな勝率のひくい……。
……そうか!
見るからに筋肉の無い333の人と女の私では、例えロボが加勢したとしても咀嚼に勝つには多少の傷を覚悟しなければならない。
333の人を指名するということは、咀嚼に力を貸すというわけではないのだ。
むしろ、333の人と私VS咀嚼の構図が出来るから、残ったほうを潰すという戦略だろう。
くっ、あれだけ取り乱していたのに、今この状況でそんなに頭が回るとは……。
変な格好をしているが、ロボは侮れない。
となると、私はもう宣言をしてしまった。
333の人と一緒に戦い、勝機を見出さなければならない。
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