■第三階層
通路から十数メートル離れた場所、そこには迂回できない程の規模の--地底湖とも思えるような水が、行く手を塞いでいた。
水面上には点々と『島』のようなものがあるが、一番近いものは水を飛び越えて進める間隔ではない。 水深も均一ではなく、最大で腰の深さ程度はある。また、水面は水の流れがなく静かである。
岸の縁は草なんかが積もった腐葉土になっており、抜け落ち易くなっているようだ。
隠された通路・迂回ルートを探すべく通路側の壁を調べたが、これといった仕掛けは見つからなかった。
飛び石のように水面へ突き出している陸地が幾つか浮かんでおり、その大きさはまちまち。形状も山状の物もあれば、平らな物もある。共通するのは表面がなだらかという事。光がないせいで樹木の様なしっかりとした植物が生えず、岩盤も露出してはいない。
ゆらゆらと上下に漂いつつも、位置を変えない浮島。細く四角い柱が浮島の真ん中に突き出し、それが島を流さないように固定していた。
『動かない浮島』は一つではなく、正方形の角に配置されたように四つ。そのどれにも、楔のように四角柱が突き立てられていた。ちなみにそこは、第三階層の中心付近と目される。
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四つの柱
四角柱の仕掛けが解かれる。
文様が刻まれた四つの柱が区切った空間へ、柱を伝う振動と共に浮島をも押し上げ、柱に囲まれた石の台座が水上へと姿を現す。台座の中央付近には装飾品‥‥四種類のブローチが集まって転がっていた。
★サファイアの付いた『アクアブロ-チ』
★アンバ-があしらわれた『ガイアブロ-チ』
★クリスタルをはめ込んだ『エアロブロ-チ』
★ルビ-が輝く『フレアブロ-チ』
いずれもオーパーツである。 ※以前、崑崙商会で販売している福袋にも入っていたらしい。
そして。
重い振動と共に水中から次々と伸びてくる何本もの細い柱、それらは全て平行に二列に並んでいた。石の足場は水面に連なり、それは一本の細い『橋』となる。だが、手すりはなく幅も2mほどしかない‥‥。
橋を渡り、辿り着いた『向こう岸』で見たもの、それは高さ3mほどの両開きの石扉だった。力を込めて押したり引いたりするものの、ビクとも動かず。
そして、石の表面に刻まれた溝。よく見ると、全く同じ大きさの正方形を二つ組み合わせた、正八角形。二枚の石扉をまたぐ様に描かれた八角形の角ごとに、何かをはめ込む為の『窪み』が彫られていた。
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八つの鍵
八つの鍵が全て窪みにはめ込まれると、八角を繋ぐ細いラインが一瞬淡く光り、重い地響きと共に扉は真ん中からゆっくりと左右にスライドしてその口を開いた。
最終更新:2007年06月27日 20:59