■第四階層
  • 開かれた扉の向こうへ
 扉を潜り、四つ目の階段‥‥暗く細い通路を下りていくと、開けた空間へと出る。
 そこは、上層とはまた違った湿っぽく冷たい空気とそれが含む臭気に満ち、足元には苔むした石がごろごろと転がっていた。
 眼前には大きな黒く丸い物体、そしてその周囲に四速の獣にも似た複眼の群れがいた‥‥。

  • 黒い塊
 最初の大規模な探索で発見されたものと同じ。直径4mはある。
 その表面は手で触れると冷たくざらりとしている。また、鳥の卵の様に硬い殻ではなく、押せば押し返す程度の弾力があり、刃物類による薄い傷がついても表面を剥ぎ取るまでに至らぬ程の強度があるのが判った。自重や重力の影響が大きいのか、全くの球体ではなく上下に少し潰れている。
 内部の音は「鋭敏聴覚」でも聞き取れなかった。

 尚、味見は『食あたり』を起こすのでオススメできない。

 完全獣化に三つの錠剤(『躍動する獣脚』『流麗なる体躯』『音捉える耳』)服用、加えて『金剛力増』で筋力を増強し勢いよく回し蹴りを叩き込むと‥‥あっさりと(?)蹴り破られた。
 すると瞬く間に無数の亀裂が表面に入り、そこから『ナニカ』がシミのように溢れ出してきた。

 広がるシミを構成しているのは、体長20~90cmの蟲の群れであり、その数は数百単位に達しているとされる。
 孵化した小さな蟲達は、まず卵の表面に広がり『殻』を食み、最初の糧を得た蟲は、喰った分だけ急激に身体が大きく成長する。

 NWの卵‥‥『黒い卵』とも呼ばれる。

  • 掃討後、調査継続
 小型NW掃討作戦時の大量のNWの屍骸がそのままになっている為、腐臭が酷い。
 天井はデコボコしており『足場』はあまり良くないが、穴や亀裂のようなものはない。 第二階層と比べて『奥行き』の点ではあまり変わらないが、『横幅』はかなり狭い。
 金属探知機によるオーパーツ反応はなし。

 ギリシャの遺跡に使われるモチーフとしては目新しくも奇怪でもなく、どこにでもありそうな『壁画』を発見。<第一、第二階層でも存在が確認されている>
 ⇒掃討から時間もそれなりに経過している為、情報体となって潜り込んでいる可能性が高いが、軽く壁を叩いてみたところ、空洞があるような音はせず壁面自体にも変化はなかった。

  • 先行者
『卵』があった場所で足跡を確認。苔の削れた箇所や石の表面の汚れ具合からここ数日に出来たもので、その痕跡が奥へ続いてる事から別の探索者の存在が浮上。
しかし、痕跡を追って行き当たった『壁』とその周囲には、通路や穴といった隠れるような場所はなく。ただ岩に何かを擦ったような、まだ新しい傷で、英文が刻まれていた。
謎の英文

 再度の探索で遭遇した男、名をヘルメスという。勿論、本名ではなく。
 彼曰く、何者かの指示により岩に英文を残したと自ら告げた。だが、その意味は知らないという――
 彼はDSなのだろうか?
 そして。彼‥‥ヘルメスは、『先』の情報と引き換えに『とある協力』を探索者達に持ちかける。
ヘルメス
最終更新:2007年06月26日 13:43