「契約書に刻印? 強化の材料なので刻印だけで良いのですが」
「……紋章を出して」
「紋章? 女神の紋章ですよね?」
「……あの子に、会ってあげて」
「『あの子』?
……熱っ! って女神の紋章消えたっ!」
「あの子を、お願い……」
「て、ちょっと、リヴァル様っ!?
……消えた?」
――右手に刻まれた刻まれた『歪み』の紋章
「ぬいぐるみ?」
「【ぬいぐるみって言うなー!】」
「えーとごめんなさい。
ということは精霊? にしては、なんか……」
「【君の一番近い存在と似たようなもの、かな?】」
「『伝説の町』
『大空村』
『朝の生まれる場所』」
「【お前たちがそう呼ぶ存在(もの)。この世界における『歪』】」
「あなた、が……?」
――見てしまった【真実】と【現実】
「うーちゃんも居てください。女性の取り調べには女性が一緒に居ないと駄目ですから」
「取り調べって、穏やかじゃないですねぇ」
「単刀直入に聞きます。
真夜さん。貴女は『何』と契約しようとしているのですか?
しかも……契約の対価は、貴女自身ですね」
「……ああ、見てしまわれましたか」
「壊してしまった扉はあとで責任を持って直します。シンギが」
「いーたん、そこは錬金術で直そうよ」
――白日の下に晒された秘密
「声が、聞こえるんです。この紋章が焼き付いてから」
「『消したくない』『消えたくない』『殺したくない』『死にたくない』って」
「だんだんその声が自分のなのか『あの子』のなのかが曖昧になってきてます。
狂ってしまえば楽になれるって分かっていても理性と契約が許してくれないんです。あーもー本当に面倒ですよね」
「何も考えたくなくて研究に没頭してたら肺炎起こして死に掛けるって、間抜けですよね。
本当にお手を煩わせて申し訳ありません。もう大丈夫ですから」
――崩れていく理性と感情
「……どう思ううーちゃん」
「真夜さんの手の込んだ冗談、だったら一番良いんだけど。そういう変な冗談言うタイプじゃないし。
なによりあの紋章と何かが繋がってるのが見える。いーたんは?」
「部屋の床に書きこまれていた陣も積まれていた資料類も空間操作系というか隔離系。外からの干渉を断って箱庭を作り出すタイプ。パンドラボックスのお家芸に似ている。
所々作りこみは甘くて効率が悪かったけど、発動したらかなりのものかな。
……ただし、人の肉体では出力に耐えられない」
「結論。事実でしかもかなり切羽詰まってる」
「最悪だ」
――導き出される結論。
「たった一言、言えば良いんですよ。
『助けて』と」
「こちらに手を出してください。
そうすれば、皆喜んで貴女の手を取ります」
――諭す言葉と、差し出された二つの手。
「…………たすけて、ください。
あの子を、けしたく、ない」
「おねがい、です。たすけて……私、だけじゃ……力が、足りないんです」
――崩れる虚勢。泣きながら縋る指先。
「さあ、共に罪を負いましょう。僕達8人は共犯者です」
「『傲慢』『嫉妬』『憤怒』『色欲』『怠惰』『強欲』『暴食』
……そして『原罪』ですか。面白い」
――それぞれに刻まれし大罪
さあ、楽園を築こう。神に見做されし罪と欲望という土台の上に。
※なお、ゲーム及び本編の内容は制作上の都合で予告なく変更される場合があります。
あらかじめご了承ください。
最終更新:2011年02月15日 23:38