これからどんどん生長しても、 少年たちよ、容貌には必ず無関心に、 煙草を吸わず、お酒もおまつり以外には飲まず、 そうして、内気でちょっとおしゃれな娘さんに 気永に惚れなさい
なぜ生きていなければいけないのか、 その問に悩んでいるうちは、私たち、 朝の光を見ることができませぬ。 そうして、私たちを苦しめているのは、 ただ、この問ひとつに尽きているようでございます
過ぎ去ったことは、忘れろ。 さういっても、無理かもしれぬが、 しかし人間は、何か一つ 触れてはならぬ深い傷を背負って、 それでも、堪えてそしらぬふりをして 生きているのではないのか。 おれは、さう思う
人間三百六十五日、何の心配も無い日が、一日、いや半日あったら、 それは仕合せな人間です。
人間は不幸のどん底につき落とされ、ころげ廻りながらも、 いつかしら一縷の希望の糸を手さぐりで捜し当てているものだ。
私には、誇るべき何もない。 学問もない。才能もない。 肉体よごれて、心もまずしい。 けれども、苦悩だけは、その青年たちに、 先生、と言われて、だまってそれを 受けていいくらいの苦悩は、経て来た。 たったそれだけ。 藁一すじの自負である
最終更新:2010年12月04日 11:15