あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ
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あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ
ja
2021-09-29T17:29:34+09:00
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物知りな使い魔-01
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9501.html
#navi(物知りな使い魔)
サモン・サーヴァントとは、メイジが一生の内に使えるために契約する使い魔を呼び出す神聖な儀式だ。神聖な事から、よほどの事が無い限り、やり直すなんてことはあってはならない。一度契約すれば主人が死ぬまでお仕えする事を破ることは出来ない。それでも、この結果は、あんまりではないか。
同級生が様々な使い魔を呼び出す中、ついに最後となった、メイジであるルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが呼び出した使い魔は、目の前で倒れている、一人の少女だった。
由緒正しき家筋の出のルイズが呼び出したのが、目の前の白衣で体を覆われ、被っていたであろう黒い帽子を地面に転がしている少女だ。杖らしきものは周りに見当たらない。マントも見えない。少女は平民だった。
これは悪夢なのか。否、これは現実である。それは、周りの同級生たちと一人の男性教諭からの冷たい視線を後ろから突き刺さる感触が生々しくて、現実以外に考えられない。
「……ミス・ヴァリエール。これは」
口を閉ざしていた男性教諭『ミスタ・コルベール』が口を開く。無理もないだろう。なにせ、人間を、それも『平民』をサモン・サーヴァントという人生の一大イベントの一つを担うこの場で呼び寄せてしまったのだから。
「ミスタ・コルベール。やり直させてください!」
頭が認識するよりも早くルイズはコルベールに懇願した。こんな異例な事態。いくら神聖な儀式とはいえ、やり直すことは出来るかもしれない。いや、出来る。そう考えなければ、再活動を始めた頭が再びフリーズしてしまい、壊れてしまいそうだった。しかし、コルベールはルイズの予想した言葉を発さなかった。
コルベールはルイズの横をすり抜けて、真っ先にルイズが呼び出した白衣姿の少女の元へ走り寄ったのだ。いったいどうしたのだ。ルイズの後ろに回ったコルベールへ向く。コルベールは倒れている少女の前で座っていると、あろうことか少女が着ている白衣を無理やり脱がしたのだ。いくら平民とはいえ、教諭が何をしているのか。ルイズは頭に血が上るのを直に感じ、怒鳴る。怒鳴ろうとする。しかし、それよりも早くにコルベールの言葉が、辺りに響くほどの大きさで紡がれた。
「今日の『春の使い魔召喚の儀式』は終了とします! 直ちに水のメイジは集合してください!
2021-09-29T17:29:34+09:00
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物知りな使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9500.html
「魔法少女育成計画ACES」より「物知りみっちゃん」
[[物知りな使い魔-01]]
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2021-09-29T17:27:51+09:00
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ウルトラ5番目の使い魔、第三部-81
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9498.html
#navi(ウルトラ5番目の使い魔)
第81話
世紀末覇王誕生
古代怪獣 EXゴモラ
ロボット怪獣 メカゴモラ 登場!
トリスタニアへ買い物に来ていたルイズたち一行は、かつて倒したはずのEXゴモラに襲われた。
才人がいないのでウルトラマンAにはなれない。しかし、ティファニアの変身したウルトラマンコスモスがEXゴモラに立ち向かう。
そのとき、地底からゴモラが現われてEXゴモラに挑みかかっていった。
激突する二匹のゴモラ。だが、ゴモラは味方のはずのコスモスにまで攻撃を仕掛けて倒してしまう。
明らかにおかしいゴモラの行動。さらに、戦闘ではがれ落ちたゴモラの表皮の中から機械のボディが現れた。
偽物の表皮を焼き捨てて、その正体を表すメカゴモラ。
圧倒的なパワーを振りまくメカゴモラにルイズたちは戦慄し、EXゴモラを操っている宇宙人も、まさかこんなものを繰り出してくるとはと愕然としていた。
そして、メカゴモラを操っている何者かは、彼らの驚きようが実に楽しいと言わんばかりににこりと笑うと、我が子に語り掛けるようにメカゴモラに向けてつぶやいた。
「パーティをしましょうか、メカゴモラ」
今、最強の座をかけて、二体の破壊神による最終戦争が始まる。
睨み合う二体の偽物のゴモラ。その均衡を破ったのはメカゴモラのほうだった。
《ゴモラ捕捉。アタック開始》
戦闘用コンピュータが稼働を始め、メカゴモラの巨体がEXゴモラに向かってゆっくりと前進を始めた。
レーダーが照準を定め、その巨体に秘められた恐るべき武装がついに稼働を始める。
《メガバスター発射》
メカゴモラの口が開かれ、その口内から虹色の破壊光線が放たれた。極太のビームがEXゴモラの巨体を打ち、激しい爆発と火花が飛び散る。
しかし、EXゴモラの強固な皮膚は大きなダメージを受けることなく耐えきり、EXゴモラは健在を訴えるように叫び声をあげた。そしてEXゴモラは、自らの健在をアピールするかのように、大きく体を動かしながら前進を始めた。物見の鉄塔が蹴倒され、大きな火花があがる。
だが、機械の頭脳を持つメカゴモラは臆さずに、さらなる攻撃を放った。
《メガ超振動波、発射》
メカゴモラの鼻先からオリジナルを超える太さと勢いを持つ超振動波が放
2020-08-13T22:57:12+09:00
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ウルトラ5番目の使い魔、第三部-80
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9494.html
#navi(ウルトラ5番目の使い魔)
第80話
大怪獣頂上決戦
古代怪獣 ゴモラ
古代怪獣 EXゴモラ 登場!
「ウワアッ!」
「ヌオォッ!」
ここはトリステインのさる地方都市。首都トリスタニアからも馬で丸一日かかるほど離れ、特に繁栄も寂れもしていないという穏やかな街である。
しかし今、街は怪獣の出現により大混乱に包まれ、さらに駆けつけたガイアとアグルの二人のウルトラマンも、予想もしていなかった事態の発生によって大ピンチに追い込まれていた。
「なんて強力な怪獣なんだ。僕たちの攻撃がまるで効かないなんて」
「我夢、気をつけろ。あれはもう自然の怪獣じゃない。全力でいかないと、こっちがやられるぞ」
ガイアとアグルに強烈な一撃を与え、なお彼らの眼前に立ちはだかる一匹の巨大怪獣。それは、古代怪獣ゴモラに酷似しながらも岩石のように刺々しく強固な体を持ち、白目に狂暴性を満ちさせた巨影。以前、エルフの国ネフテスを滅亡寸前に追い込んだ、あのEXゴモラそのものであった。
だが、奴は確かに倒されたはずなのに、何故?
事のおこりは数分前。ガイアとアグルは、この町に出現した変身怪獣ザラガスを食い止めようとし、フラッシュ攻撃に手を焼きながらも二対一で有利に戦いを進めていた。しかし、そこへあのコウモリ姿の宇宙人が突如として現れ、宇宙同化獣ガディバをザラガスに融合させてしまったのだ。
すでに何度もヤプールが使って見せた通り、ガディバは他の怪獣に乗り移ってその肉体を変異させて、別の怪獣に作り変えてしまう能力を持つ。そして、このガディバにはヤプールがネフテスで使った、あのゴモラの情報が組み込まれていた。
「フフフ、知ってますよ。このガディバから生まれた怪獣が、ウルトラマンたちを追い詰めたことを。だからわざわざこいつを蘇らせたのです。そして私の力を持ってすれば、たとえヤプールほどのマイナスエネルギーが無かったとしても!」
ザラガスの肉体にゴモラの遺伝子が組み込まれ、更に宇宙人の手が加わったことにより、ザラガスはEXゴモラへと変貌した。しかし、さすがにスペックの完全再現までは無理なようだった。
「ふむ、ヤプールが生み出したときの、ざっと七割、いや八割ほどのパワーですか。まあ仕方ありませんが、これでも十分ですね」
残念そうな口
2020-02-22T04:22:29+09:00
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ウルトラ5番目の使い魔、第三部-79
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9493.html
#navi(ウルトラ5番目の使い魔)
第79話
アナタはアナタ(後編)
集団宇宙人 フック星人 登場!
タバサとイザベラはフック星人の基地の中を連行されていた。
フック星人の作戦によってすり替えられてしまったポーラポーラの街。タバサはそこからイザベラを助け出し、さらにフック星人の兵器工場も発見した。
しかし、罠にはめられて二人とも捕らえられてしまい、牢への道を歩かされている。
杖は取り上げられ、背中には銃を突き付けられた最悪の状況。けれどタバサはまだあきらめず、虎視眈々と反撃のチャンスを狙っていた。
「わたしたちを、どうするつもり?」
「知りたいか? うちのボスはせっかちだからトークマシンでお前たちの頭を根こそぎかき出すつもりだろうぜ。まあ、トークマシンのフルパワーで頭をいじられたら廃人確定だろうから、いまのうちにせいぜい怯えてるがいいさ」
タバサの質問に、彼女たちを連行しているフック星人の一人が答えた。今、タバサとイザベラの背中にはそれぞれ銃が突き付けられ、銃を持ったフック星人と、その上司らしいフック星人の計三人のフック星人がいる。
対して、タバサとイザベラは杖を取り上げられて完全に丸腰。状況はまさに最悪と言えた。
おまけにフック星人たちは、こちらを無事にすますつもりはまったくないようだ。トークマシンがなんのことだかはわからないけれど、話からして自白剤のようなものらしい。
イザベラのほうを見ると、完全に血の気を失ってしまっている。無理もない……事実上の死刑宣告を受けてしまったら、普通の神経では耐えられないものだ。
「お、おい……わ、わたしたち、どうなるんだい?」
怯え切った声でイザベラが問いかけてきても、タバサにはそっくりそのままを言ってやるしかできなかった。それを聞いて、さらにイザベラの顔が絶望に染まるが、嘘を言ったところでどうにかなるものでもない。
「ど、どうにかしてくれよ。お前、北花壇騎士だろ。いままで、わたしのどんな難題もこなしてきたじゃないか」
「無理、杖を取り上げられていてはどうにもならない」
タバサはそっけなく答えた。その答えにイザベラがさらに青くなると、フック星人たちはおもしろそうに笑い声をあげる。
だが実際、タバサの杖は少し離れた位置にいるフック上司が持
2020-02-22T04:21:12+09:00
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ウルトラ5番目の使い魔、第三部-78
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9492.html
#navi(ウルトラ5番目の使い魔)
第78話
アナタはアナタ(前編)
集団宇宙人 フック星人 登場!
ハルケギニアの五大国の中で、ガリア王国はその最大の国として知られる。
国力、領土面積、いずれも随一を誇り、大国として認めぬ者はいない。
しかし、地方に目を向ければ、貧しい町村や、領主から見放されて荒れ果てた土地も多く、中央の富の届かない影の姿を見せていた。
そして、首都リュティスから百リーグばかり離れた街道沿いに、そんなさびれた町のひとつがあった。
町の名前はポーラポーラ。かつてはロマリアとの交易の結地として人口数万を誇ったこともあったけれど、さらに大きな街道の開通と同時にさびれはじめ、今では人口はわずか千人ばかり。荒れ果てた空き家ばかりが軒を連ねる悲しい幽霊街に成り果ててしまっていた。
そんな町中に一軒の薄汚れた教会があり、固く閉ざされた戸を無遠慮にノックする者がいた。旅装束に、それに見合わぬ節くれだった大きな杖を抱えた小柄な少女。タバサである。
「誰だい?」
中から返事があった。しかし、扉は固く閉ざされたままであり、明らかに歓迎されてはいない。だがタバサは顔色を変えずに、独り言のように扉に向かってつぶやいた。
「この春は暖かで、王宮の花壇は北も南もきれいでしょうね」
「……ヴェルサルテイルの宮殿には、北の花壇はないんだよ」
暗号めいたやり取りの後、ガチャリと鍵の開く音がして、扉の奥からフードを目深に被った修道服姿の女が現れた。
「よくここを突き止めたね。腕は鈍ってないようだ。ええ? 北花壇騎士七号」
「思ったより手間はかかった。王女であるあなたが、こんなところでの生活を続けられているとは思えなかったから……けど、ようやく見つけた。イザベラ」
互いに鮮やかな青い髪をまとった顔を見せあい、タバサとイザベラは再会を果たした。
けれどイザベラは、招かざる客が来たと露骨に渋い顔をしている。その顔からは、王女として宮廷にいた頃の化粧は消えているが、気の強そうな目付きはそのまま残っていた。
「まあ立ち話も何だ。どうせ、帰れと言ったって帰らない気で来たんだろ? 入りなよ、茶ぐらい出してやる。出がらしだけどね」
渋々ながら、イザベラはタバサを教会の中に招き入れた。
「お邪魔します」と、タバ
2020-02-22T04:19:50+09:00
1582312790
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暗の使い魔‐23
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9491.html
#navi(暗の使い魔)
ぶしゅっ――!
「……えっ」
岬のニューカッスル城を照らす月夜が、曇天で覆われてまもなく。
今しがた、レコン・キスタ軍を漏らさず監視していた、見晴らし塔のそのメイジは、自分の背後から不意に聞こえた噴水のような音を妙に思い、振り返ろうとしてその場に崩れた。
首をかしげたまま、目を見開いた死体がそこに転がる。
二つも数えぬうちにその首筋から鮮血がしたたり、侵食するように石畳にしみを作る。
その光景を、目下足元にあるその出来事を、その男はにごり切った眼でぼうっと見つめていた。
「……ああ」
間を置かずに、かすれ声の気のないため息がそこに吐き出される。
感嘆とも落胆ともつかぬ、それは何に対してのものか。
実のところ、発した本人にもわかりかねるものであった。
手にした細長い得物からぴちゃりと液がしたたるが、ひゅん、と得物が振るわれ血糊がそこらに払われる。
切っ先が鈍色の刃の輝きを表すと、男は迷いなくあゆみ出た。
塔の縁に足をかけ、辺りに目をこらす。そして、周囲よりもひとしきり高く、いかにも厳重な一区画の建物に目を付ける。
王族の住まう居館だ。
そこに灯りがともったままであることを見るや否や。
「あそこか」
たった一言そう呟き、男は塔から身を投げた。
否、跳んだのだ。
ニューカッスルの数々そびえる塔より、何メイルも高い見晴らし台である。
人が落ちれば、いかなことがあっても助からないことが容易に想像できる、そんな高さだ。
小さな影がかもめのように急降下する。彼の目前にぐんぐんと、地面の石畳が迫る。
だがその激突寸前、男は頭上に腕をかかげ、懐に構えた細長い得物を、器用にも片手で旋回させる。
見る者が見れば、それは曲芸師のバトン回しのように思えただろうか。
その竹とんぼのようなその旋回が、彼の落下の速度を急激に緩めさせた。
とん、と軽い足音がニューカッスルの中庭に着地する。
降り立った彼の目前には、無防備にも開け放たれた扉が、ぽかりと口を開くようにあった。
「王党派の居城、こうも容易いとは。いや、それとも私がこの地において異質なのか……」
ぼそぼそと生気のない声が漏れる。
「私は、一体……」
そこまで喋ると、男は目をつむり押し黙る。
が即座に見開き、男は目前の戸の中へと消えていっ
2019-11-10T13:41:13+09:00
1573360873
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ルイズと無重力巫女さん-100
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9490.html
#navi(ルイズと無重力巫女さん)
トリスタニアのローウェル区に、その倉庫街は存在している。
巨大な四棟の倉庫と、そこを囲うようにして建てられている古めかしい住宅街だけの寂しい場所。
住宅街には主に日雇いや工房の使い走りに、王都の清掃会社に勤めている人々等が利用している。
丁度ブルドンネ街とチクトンネ街に挟まれるよう位置にあるが、この時期に増える観光客は滅多にここを通らない。
ガイドブックなどに治安があまり良くないと書かれている事が原因であったが、主な原因は倉庫の周辺にあった。
一本道を挟み込むようにして左右に四棟ずつ建設されている倉庫は、王都の商会や大貴族などが利用している。
彼らは主に家に置ききれない財産や商売道具などをここで保管しており、当然それを警備する者たちがいる。
しかし彼らはちゃんととした教育を受けた警備員ではなく、金さえ詰めば喜んでクライアントの為に戦う傭兵たちであった。
粗末な鎧や胸当てを身を着けて、槍や剣で武装して倉庫周辺をうろつく彼らの姿はそこら辺のチンピラよりもおっかない。
トリステイン政府直属の警備員を雇う代金が高い為、少しでも倉庫の維持費を浮かせる為の措置である。
傭兵たちも相手が権力のある連中だと理解している為、倉庫から財宝をくすねよう等と考えて実行に移す者はまずいない。
クライアント側も仕事に見合うだけの給料をしっかりと渡しているため、互いに良好な関係をひとまず築けているようだ。
しかしその傭兵たちに倉庫街全体を包む程の寂れた雰囲気が、この地区を人気のない場所へと変えていた。
今では観光客はおろか、別の地区に住んでいる人々も――特に子連れの親は――ここを通らないようにしている程だ。
多くの人で賑わう華やかな王都の中では、旧市街地や地下空間に匹敵するほどの異質な空間となっていた。
そんな人気のないローウェル区の一角を、ルイズ達四人の少女が歩いていた。
「ここがローウェル通り、名前だけは知ってた分こんなに静かな場所だなんて思ってもみなかったわ」
『確かに、別の所なんかだと多少の差はあれどここまで寂れてはいなかったしな』
通りに建ち並ぶ飾り気のないアパルトメントを見上げながら、先頭を行くルイズは半ば興味深そうに足を進めていく。
その人気
2019-02-28T23:32:26+09:00
1551364346
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ルイズと無重力巫女さん-99
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9489.html
#navi(ルイズと無重力巫女さん)
「―――……ん、んぅ~……――ア、レ?」
少年――トーマスが目を覚ました時、まず最初に感じたのは右の頬から伝わる痛みであった。
ヒリヒリと微かな熱を持ったその痛みは目を覚ましたばかりにも関わらず、彼の目覚めを促してくる。
「……くそ、イッテなぁ――――って、あ?」
余計なお節介と言わんばかりに目を細めながら、ついでトーマスは自分の体が今どういう状態に陥ってるのか気づく。
両手を後ろ手に縛られているらしく、両手首から伝わる感覚が正しければロープ……それも新品同然の物で拘束されているようだ。
まさかと思い慌てて頭だけを動かして何とか足元を見てみると、手と同じように両足首もロープ縛られている。
幸い頭だけは動かせたが、不幸にも彼の窮地を救う手立てにはならない。
「クソ、マジで監禁されちまってるのかよ……」
悪態をつく彼が頭を動かして見渡しただけでも、今いる場所が何処かの屋内だという事は嫌でも理解できた。
自分の周りには古い棚や木箱が乱雑に置かれており、少なくとも人が寝泊まりする様な部屋ではないのは明らかである。
窓にはしっかりと鉄格子が取り付けられており、そこから入ってくる太陽の明かりが丁度トーマスの足を照らしていた。
(どこかの建物の中にある物置かな?……それも廃棄されて相当経ってる廃墟の)
妹と共に色々な廃墟で寝泊まりしてきたトーマスは部屋の雰囲気からしてここが廃墟ではないかと、推測する。
確かに彼の推測は間違ってはいない。ここはかつて、とある商人が街中に作らせた専用の倉庫であった。
主に外国から輸入した家具や宝石を取り扱っており、当時のトリステイン貴族たちにはそこそこ名が知られていた。
しかし、ガリア東部での行商中にエルフたちと麻薬の取引をしたことが原因でガリア当局に拘束、逮捕された後に刑務所入りとなってしまった。
今はエルフから麻薬を購入したとしてガリアの裁判所から終身刑が言い渡され、トリステイン政府もそれを了承した。
今年で丁度九十歳になるであろうその商人の倉庫だった場所は、今や少年を閉じ込める為の監獄と化している。
上手いこと予想を的中させていたトーマスはそんな事露にも気にせず、とりあえずここから脱出する方法を模索しようとする
2018-12-31T18:23:35+09:00
1546248215
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ルイズと無重力巫女さん-98
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9488.html
#navi(ルイズと無重力巫女さん)
その日、王都トリスタニアにはやや物騒な恰好をした衛士たちが多数動き回っていた。
夏用の薄いボディープレートを身に着けた彼らは、市街地専用の短槍や剣を携えた者たちが何人も通りを行き交っている。
それを間近で見る事の出来る街の人々は、何だ何だと横切っていく彼らの姿を目にしては後ろを振り返ってしまう。
街中を衛士たちが警邏すること自体何らおかしい所はなかったが、それにしても人数が多すぎた。
いつもならば日中は二、三人、夜間なら三、四人体制のところ何と五、六人という人数で通りを走っていくのだ。
イヤでも彼らの姿は目に入るのだ。しかも一組だけではなく何組も一緒になっている事さえある。
正に王都中の衛士たちが総動員されているのではないかと状況の中、ふと誰かが疑問に思った。
一体彼らの目的は何なのかと?そもそも何かあってこれ程までの人数が一斉に動いているのかと。
勇敢にもそれを聞いてみた者は何人もいたが、衛士たちの口からその答えが出る事はなかった。
それがかえってありもしない謎をでっちあげてしまい、人々の間で瞬く間に伝播していく。
曰く王都にアルビオンの刺客が入り込んだだの、クーデターの準備をしている等々……ほとんどが言いがかりに近かったが。
とはいえありもしない噂を囁きあうだけで、誰も彼らの真の目的を知ってはいない。
もしもその真実が解決される前に明かされれば、王都が騒然とするのは火を見るよりも明らかなのだから。
朝っぱらからだというのに、夜中程とはいえないがそれなりの喧騒に包まれているチクトンネ街。
ここでもまた大勢の衛士たちが通りを行き交い、通りに建てられた酒場や食堂の戸を叩いたりしている。
一体何事かと目を擦りながら戸を開けて、その先にいた衛士を見てギョッと目を丸くする姿が多く見受けられる。
更には情報交換の為か幾つかの部隊が道の端で立ち止まって会話をしている所為か、それで目を覚ます住人も多かった。
煩いぞ!だの夜働く俺たちの事を考えろ!と抗議しても、衛士たちは平謝りするだけで詳しい理由を話そうとはしない。
やがて寝付けなくなった者たちは通りに出て、ひっきりなしに走り回る衛士たちを見て訝しむ。
彼らは一体、何をそんなに必死になって探し
2019-10-14T00:10:00+09:00
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