あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの守護月天 6

「うわ~、とっても広いですね」
錬金爆破された教室の修繕が終わり、ルイズの後ろを付いて歩いていたシャオが感激の声をあげる。
「そっか、今日は部屋で朝食を食べたから教えていなかったわね。
ここは『アルヴィーズの食堂』って言って、そこに飾ってある小人の彫像が食堂の名前の由来なの」
鳶色の瞳をイタズラっぽく輝かせたルイズが説明を続ける。
「トリステイン魔法学院は魔法だけでなく、貴族としての教育も教えているの。
だからここも、それにふさわしいようにできているのよ。」
そう言うと、二年部の席へとルイズは腰を下ろした。
「本当は貴族以外は入っちゃダメなんだけど、シャオはわたしの使い魔だから特別。一緒にティータイムにしましょ」
そう言い、シャオを自分の座っているテーブルにシャオを招いた。


 ルイズとシャオがティータイムを過ごしていると、パーン!!という威勢のいい音が食堂内に響き渡った。
音のしたほうを見てみると、ギーシュが一年の女子に引っ叩かれて右ほほに赤い紅葉を作っていた。
「そこの給仕の持っている香水が、あなたのポケットから落ちたことがなによりの証拠ですわ。さようなら!」
そう言い残してその一年は食堂を出て行き、入れ替わるように今度はモンモランシーがギーシュに近寄っていく。
無論、顔は鬼の形相だ。
「ま、待ってくれモンモランシー。これは誤解だ。君はなにか勘違いをしている」
ギーシュは青ざめた表情でモンモランシーに言い訳をしようとしたが徒労に終わった。
今度は右ほほに紅葉を作られたからだ。
「うるさい。黙れ。この万年欲情バター犬。さ・よ・う・な・ら!!」
そう怒鳴りつけ去っていった。
 はたから見ていると哀れをマッハで通りすぎて滑稽でしかないが、このときはまだ笑いを零す者は誰もいなかった。

「なんだか可哀想ですね、あの人」
 その一連の光景を遠くから見ていたシャオが思ったことをそのまま零す。
「同情なんてしちゃダメよ、シャオ。あーいうのを自業自得って言うの。彼氏を作るときには気をつけなさい」
ルイズは呆れ顔で今後のシャオのためにも、同情心を否定する。
 そんな会話をしていると、今度は別の意味でギーシュのいたほうが騒がしくなる。
再びそちらの方向を見てみると、なんとギーシュが近くにいた給仕にあろうことか八つ当たりをしているのだ。
「ったく、あんのバカは!!」
いきり立ったルイズは席を立ち、ギーシュの方へ向かった。

「ちょっとギーシュ、やめなさいよ!」
 二股がばれた原因を全部シエスタのせいにしようと八つ当たりをするギーシュに、ルイズは怒鳴りつけた。
「さっきのはどっからどう見ても、二股してたアンタが悪いんじゃない」
ルイズの的を射た正論に、ギーシュの友人達が笑いを上げる。
「その通りだギーシュ、二股してたお前が悪い!」「二股なんてするから天罰が下ったんだよ」「っつーか彼女を二人も作ってんじゃねぇ!一人よこしやがれ!!」
そんな笑い声に、ギーシュの顔がますます赤く染まる。
「ふん!ろくに魔法もが使えない『ゼロ』のくせにずいぶんと言ってくれるじゃないか」
頭に血の上ったギーシュは実に安い挑発をすると、まるで池の鯉の勢いでルイズは喰らい付いた。
「な、なんですって!自分の二股がばれたのを平民のせいにするような恥知らずに言われたくないわ!」

 さて、こうなってしまうともう止まらない。双方怒りによってまともな判断ができなくなっていた。
そしてその場の勢いもあったのだろう。ギーシュはとんでもないことを口に出す。
「君はどうやら礼儀がなっていないようだね。貴族の誇りに懸けて決闘だ!」
その一言で、食堂内が湧き立つ。
だがその一方で、ルイズは酷く慌てた。貴族同士の決闘は禁止されているからだ。
「ちょ、ちょっとギーシュ。自分がなにを言ったのか理解しているの?貴族間での決闘は禁止されているのよ」
その反応に、勝ち誇ったかのようにギーシュは宣言する。
「決闘を受けないんなら今すぐ謝ることだね。『あなた様の名誉を侮辱して大変申し訳ございませんでした、ギーシュ様』とね」

 そのセリフに、ルイズは苦虫を噛み潰したかのような表情で奥歯をかみ締める。
ここで謝ってしまえば、全てはそれで済む。
だが自分はなにも悪いことはしていない。
なのになんでこんなヤツに頭を下げなくてはいけないのだ。
そんな葛藤が彼女の脳裏で展開される。

「ほらほら、どうするんだい?早く決めたまえ」
ギーシュが返事を催促してくる。
 彼にはわかっているのだ。ルイズが決闘を受けることがないことを。
ルイズは貴族としての体面に酷く忠実なのだ。故に自分からそれをやぶることはない。
それに、彼女には魔法が使えない。
これはメイジと1対1の決闘をするのに、とてつもなく広い差だ。
後はルイズが謝るのを待つだけだ。

 否、ギーシュは返事を待たずにもっと催促をすべきだったのだ。
なぜなら、一昨日まで彼女にはいなかった、彼女の守護者がいるのだから。

「待ちなさい。その決闘は私が引き受けます」
月の精霊の声が静かに響き渡る。
シャオの顔にはほんわかとした笑顔はなく、あらゆることから主人を守る『守護月天』としての凛々しくもあり、どこか儚げな表情があった。
「は?」
流石にギーシュも唖然となる。なにかの聞き間違いであると思いたかった。
だが、その願いは無常にも砕かれる
「その決闘は私が引き受けると言ったのです。守護月天は常に主人と共にある存在。
主人に申し付けられた決闘は、私に申し付けられた決闘と同じです」
シャオはそう、高らかに宣言した。
「お、おもしろい。ではヴェストリの広場で待っているぞ」
多少引きつった顔でそう言い残し、ギーシュは食堂を出て行った。

「ちょ、ちょっとシャオ。なんで貴女がギーシュの決闘を受けちゃうのよ」
ルイズは慌てながらも自分の使い魔に問う。
あの瞬間、非常に不服ではあるがその場を収めるために謝ろうとしたからだ。
シャオはそんなルイズに、いつもの優しい笑顔で答える。
「昨日も言いましたが、私は守護月天。あらゆることからあなたを守ることが役割です。
たとえそれが、世界中の人間でも。あなたの心を傷つける言葉からでも」
 そう言うと、シャオは近くで震えていたシエスタに広場の場所を聞き、食堂を出て行った。

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