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マジシャン ザ ルイズ 2章 (5)

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マジシャン ザ ルイズ (5)海無き港町ラ・ロシェール

ラ・ロシェール近くに無事不時着した羽ばたき飛行機械。
ウルザがそれを手際よくと折りたたみ、待つこと暫し。
空に二つの影。グリフォンとワイバーン。


「ミスタ・ウルザ!彼女達がついて来ていることをご存知だったのですか!?
 なぜ追い返さなかったのです!」
「落ち着きたまえワルド子爵。
 私も気付いたのは少し前のことだ。確信したのは奇襲後だがね。」

トリステイン魔法学院からつけて来たというタバサとキュルケ。
その処遇をどうするかで、ワルドとウルザの言い争い。
ワルドは追い返すべきだと主張。
一方のウルザは奇襲を受けた以上、タバサとキュルケの存在が敵に察知されたのは確実。それならば戦力として期待出来る以上、連れて行っても構わないと主張。
真っ向から対立する意見。


ルイズがグリフォンに騎乗するときもそうであったが、なぜこの二人はこんなにそりが合わないのだろう。
ウルザ、ワルド、共に普段は他人との軋轢を起こすタイプの人間ではない。
その二人が話を始めると、どうしてこうなってしまうのだろう。
ルイズは首を傾げるばかりである。

結局タバサとキュルケは連れて行くが、旅の目的を伝えない、という形で決着がついた。


ラ・ロシェールで一番上等な宿『女神の杵』亭に宿泊することにした一行は、その一階の酒場で、この後どうするかと話し合っていた。
別にアルビオンへ行ってどうする、といった話ではない。
空路を取った為、予定よりもかなり早くラ・ロシェールに到着したので、買い物にでも出ようかという算段である。

そこへ『桟橋』へ一人、乗船の交渉へ行っていたワルドが帰ってくる。
ワルドは席につくと困ったように、話を切り出した。
「アルビオンに渡る船は明後日にならないと、出ないそうだ」
「ええ!?急ぎの任務なのに……」
「つまり!今日一日はフリーってことね!おじさま、ショッピング、ショッピングに参りましょう!?」
「ふむ、なぜ船は明日にならないと出ないのかね?」
キュルケを無視してウルザ。応えてワルド。
「明日の夜は月が重なるだろう?『スヴェル』の月夜だ。その翌日の朝、アルビオンが最も、ラ・ロシェールに近づく」
山中の港町、月夜に関係して距離を変える陸地、果たしてアルビオンとはいかなる場所であるか、ウルザは考える。

「さて、それでは先に宿を取ってしまおう」
ワルドがそう口に出すと、ウルザが声をかける。
「そのことだがね、ワルド子爵。君が桟橋へ向かっている間にこちらで手続きを済ませておいた。
 部屋割りは、ミス・タバサ、ミス・キュルケが相部屋。ミス・ルイズ、ギーシュ君が相部屋。
 ……そして私と君が相部屋だ」
石膏のように固まるワルド。
「私は、ルイズの婚約者なのだが?」
「私もそういったのだがね、ミス・ルイズが君と自分はまだ結婚前だと言うのでね」
ワルドがギ、ギ、ギと首を動かしルイズを見る。
「………ルイズ?」
「子爵様、やはり、いけないわ、そんな…」
「そういうことだ、ワルド子爵。夜は年長者同士、仲良くしようではないか」
この時、淡々と話していたウルザの口元がにやりと笑ったように、ワルドは感じた。


その後、夜までの時間は各々自由時間という形で解散することとなった。
しかし、危険な任務ということもあり、自然と集団で行動するというのが暗黙の了解であったのだが、
「大事な話があるんだ。二人きりで話したい」
とのワルドの言で、ワルドとルイズだけは別行動をとるということとなった。

まだ日が残っている、しかし、暫くすれば夜の闇に包まれるであろう、桟橋。
「覚えているかい?あの日の約束……。君のお屋敷の中庭」
「あの、池に浮かんだ小船?」
あの夢の小船。
「君は、いつもご両親に叱られたあと、あそこで丸くなっていたね。まるで捨てられた子猫のように…」
「ほんとに、もう、変なことばかり覚えているのね」
「そりゃ覚えているさ。僕にとっては昨日の日のことのように思い出せるよ。
 君はいつもお姉さんと魔法の才能を比べられて、出来が悪いなんて言われていたね」
ルイズは恥ずかしそうに俯くことしか出来ない。
それでもワルドは楽しそうに続ける。
「でも僕は、それはずっと間違いだと思っていた。
 確かに君は不器用で、失敗ばかりだったけれど…誰にも無いオーラを放っていた。
 それは君の魅力だった。君が他人にはない特別な力を持っているからさ。
 僕だって並みのメイジじゃない、だからそれが分かるんだ」
「まさか…」
言いながら思い出す、以前、キュルケとどちらが買った剣をウルザが使うかを賭けて行った勝負。
その時に始めて成功した魔法、あの高揚感。不思議な感覚。
――――――そして、手のぬくもり。
「まさかじゃない。例えば、そう、君の使い魔」
「ミスタ・ウルザのこと?」
「そうだ。彼が武器を掴んだときに、左手に浮かび上がるルーン、あれはただのルーンじゃない。伝説の使い魔の印さ」
「伝説の?」
「そうさ、あれは『ガンダールヴ』の印だ。始祖ブリミルが用いたという、伝説の使い魔の印だ」
ワルドの目が、鋭く、妖しく光る。
「誰でも持てる使い魔じゃない。君はそれだけの力を持ったメイジなんだよ」
「………信じられないわ」
「君は偉大なメイジになるだろう。そう、始祖ブリミルのように、歴史に名を残すような、素晴らしいメイジになるに違いない。
 僕はそう予感している」
ワルドの熱病に冒されたような熱っぽい口調、ルイズの中に、小さな、棘の様な違和感。
「この任務が終わったら、僕と結婚しようルイズ」

突然のプロポーズ。
一瞬、何を言われたのかを理解出来ないルイズ。

「え……」
「僕は魔法衛士隊の隊長で終わるつもりは無い。
 いずれは、国を、このハルケギニアを動かすような貴族になりたいと思っている」
ルイズの顔を覗き込むように、距離を近づけるワルド。
「確かに、君をずっと放っておいたことは謝るよ。婚約者だなんて、言えた義理じゃないことも分かってる。
 でもルイズ、僕には君が必要なんだ」
ワルドがすっと、距離を離す。
「今、返事をくれとは言わないよ。
 でも、きっとこの旅が終わったら、君の気持ちは僕に傾むいているはずさ」


夕焼けの中、ワルドが背を向けて去ってゆく。
その背中を見ながら、ルイズはいつも見ている背中を思い出した。
どうしてワルドは優しくて、凛々しいのに……。ずっと憧れていたのに……。
結婚してくれと言われて、嬉しくないわけではない。
けれど、何かが心に引っかかる、引っかかったそれが、ルイズを前に進ませないのであった。


                     『人を殴る時は、せめて椅子をお使いください』
                          ―――荒くれの港町ラ・ロシェール 『金の酒樽亭』の張り紙


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