あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの使い魔・ブルー編-03

ルイズは一つの目的と、企みを持っていた。
目的は使い魔と主人の関係を、はっきりと教えつけることである。
そのための企みの一つ。

(無駄に貧相な食事――)

生きるのに必須とも言える食べ物の差で、
単純に立場の差を示す。
更に、わざわざ食堂に連れてきて、
その差をはっきりと自覚させる。

(――完璧ね)

ルイズはそう考えていた。
事実、ブルーはあのスープっぽいものと、パンの欠片を見つめている。

「どうしたのブルー?早く食べないと冷めるわよ?」

などと、ちょっと馬鹿にするような口調で話しかけてみたりもする。
が、特に反応はない。と言うか、普通に食べている。

(……あれ?)

予定と違う。
本来なら、少し文句を言ってきたところに、
お情けで鳥の皮でも与えてやろう、位に思っていたのだが。
出来るだけ動揺を前に出さずに、話しかける。

「……ブルー、それで足りるの?」
「無い物は仕方がない」

予想していたものと違う反応が返って来て、
ルイズはちょっと焦りながら、

「いや、食事とか寝床を提供するとは言ったけど、
 これはちょっと酷いかな、なんて……あははは」
「クーロンの宿屋は金を取る割には飯は出ないし
 床で寝るのとそう変わらないベッドだったな」
「そ、そう……」

クーロンと言うところは知らないが、
これ以上待遇を悪くするのは流石に躊躇われたので、
ルイズは食事で立場の差を教え付けるのは諦めた。
ルイズの企み、失敗。


食事を終えると、ブルーはルイズの後に付いて教室にむかっていた。
教室に入ると、多種多様な生き物が居た。
恐らく、全て使い魔なのだろう。
ブルーはそう考えながら、周りを見回した。

「犬じゃないよ!クーンだよ!」

……何か聞こえた気がしたが気のせいだろう。
そうこうしているうちに、教師と思わしき女性が、扉を開けて入ってきた。
席に着こうとすると、

「ここはメイジの席。使い魔は座っちゃ駄目」

そうルイズに言われたが、ブルーは無視して座り込む。
ルイズは何も言ってこなかった。

「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね
 このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、
 様々な使い魔達を見るのがとても楽しみなのですよ」

シュヴルーズと言うらしい教師の声が響く。
そう言うと、辺りを見回し、ルイズとブルーを見てから、続けた。

「……おや、変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」

瞬間、生徒達が笑い出す。

「ゼロのルイズ!召喚できないからって、その辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」

その言葉に対し、ルイズは立ち上がり、澄んだ声で返した。

「ブルーは確かに私が召喚した使い魔よ」
「嘘つくな!『サモン・サーヴァント』が出来なかったんだろう?」

何が面白いのかは解らないが、教室中の生徒が笑い出す。
が、ルイズはその嘲笑を意にも介せず、返した。

「そう思いたいなら思えばいいわ」

いつもと違う反応に、笑っていた生徒達はお互いに顔を見合わせ、
疑問と驚きを含んだ表情を互いに見せ合う。

「……何があったんだルイズの奴」
「妙なものでも食べたんじゃないか?」

が、何故かそれには

「私は野良犬じゃないわよ!」

と返すルイズ。それを聞いて、
馬鹿にするような様子は抜きで、暖かい笑みを浮かべる生徒達。

「ああ、いつものルイズだ」
「やっぱルイズはこうじゃなくちゃな」

そんなことを言うクラスメイト達に、ルイズは怒りを爆発させた。

「どうゆう意味よっ!」

そんな様子を眺めていたシュヴルーズは、こんな事を呟いていた。

「良いクラスですねぇ……」

そう言いつつも、授業を進めるために杖を振り、
話を止めない生徒達のく口に粘土を押し付ける。

「仲が良いのは良いことですが、授業は静かに受けて下さい」

……笑っていた生徒達とは対照的に、キュルケはルイズの使い魔をじっと見つめていた。

「それでは、授業を始めますよ」

そう言い、杖を振ると教壇の上にいくつかの石が現れる。
ルイズは姿勢を正し、授業を受ける姿勢になった。
横を見ると、自分の使い魔も似たような姿勢で居るので、何かおかしかった。

「さて、私の二つ名は『赤土』。赤土のシュヴルーズです。
 『土』系統の魔法を、これから一年皆さんに教えることになります。
 魔法の四大系統はご存じですね?えー……ミスタ・マリコルヌ」

「は、はい。ミセス・シュヴルーズ。『火』『水』『土』『風』の四つです!」

その言葉を受けて、シュヴルーズは軽く首を縦に振った。

「今は失われた『虚無』を合わせ、全部で五の系統があることは、
 その五つの系統の中でも、『土』は重要な位置を占めると私は考えます。
 それは私が『土』の系統のメイジだから、と言うわけではありません」

彼女は一度咳払いをし、間を取ってから続ける。

「『土』は万物の組成を司る、重要な系統なのです。
 この魔法がなければ、金属の精製は出来ませんし、
 石を加工して家を建てることも難しくなるでしょう。
 農業などにも利用されており、私達の生活にとって最も重要な系統であると言って、間違いはないと思います。
 ……さて!今から皆さんには、土系統の基本である、『錬金』を学んでもらいます。
 既に出来る人もいるでしょうが、その人達は再確認の意味を込めて、もう一度学んで下さい」

そう言うと、彼女は杖を振り上げ、短くルーンを唱えた。
すると石ころが光に包まれ、暫くたち光が収まると、
石ころは黄金色に輝く金属になっていた。
それを見て、キュルケが思わず少し大きな声で言う。

「ゴ、ゴールドですか先生」
「ただの真鍮ですよ、金を錬金出来るのは『スクウェア』クラスのメイジだけです。
 私はただの『トライアングル』ですから」

『土』系統については解った――少々誇張が入っていることもだが、
そもそもの基本的なことが全く解らないので、
ブルーは少し悪いと重いながらも隣にいるルイズに聞くことにした。

「ルイズ」
「何よ?」
「『スクウェア』とか『トライアングル』とはなんだ?」
「系統を足せる数の事よ。それでメイジのレベルが決まるの」
「それだけ解れば今は良い。後で詳しく教えてくれ」
「解ったわ」

その後暫く授業が続いている内に、シュヴルーズが発した一言によって空気が変化する。

「では、実際にやってもらいましょうか。……えーと、ミス・ヴァリエール?」

具体的には、緊張が張り詰めた。
生徒達がざわめき始める。

「はい」
「この石ころをあなたの望む金属に変えてみて下さい」

ざわめきはどよめきになり、
キュルケが先生に対し発言をした後でも、収まることはなかった。

「先生」
「なんですか?ミス・ツェルプストー」
「止めた方が良いです」
「どうしてですか?」
「危険です」

キュルケははっきりと、確信を持って言った。
この時だけは全員が黙り込み、その言葉に頷き同意する。

「危険?どうしてですか?」
「ルイズを教えるのは初めてですよね?」
「ええ、ですけど彼女が努力家だと言うことは聞いています。
 さぁ、ミス・ヴァリエール、失敗を恐れずにやってご覧なさい」
「解りました」

ルイズには自信があった。
間違いなく優秀な使い魔を召喚したこと。
言うことはあまり聞かないが、彼が優秀であることは間違いはない。

使い魔の召喚、『サモン・サーヴァント』に成功したという事実が、
彼女に自信を与えていた。
自分でも成功するんだと。

だから、この錬金も成功するはずだと、彼女は信じ切っていた。

まぁ、客観的に見ればそれほど論理だった自信ではない。
その召喚でさえ、十回単位の失敗を経てようやく成功したのだから。

「……何だ?」

ブルーは教室の雰囲気が変わったのを感じ取り、疑問に思った。
ルイズが錬金を行うと何かまずいことでも起きるのだろうか?

ルイズが席にたち、教壇にむかっていく。
生徒達の悲鳴が聞こえてくる。
それは、ルイズが教壇に近づくほど、大きくなっているようだった。

(何が起こるんだ?)

ルイズが教壇の上に立つと、先ほどシュヴルーズがやったように、杖を振り上げる。
そして、ルーンを唱え……危険を察知したブルーが、『盾』の秘術を密かに使い、
ルイズが杖を振り下ろし、石ころが爆ぜた。

予め使われていた『盾』のおかげで、それほどの被害はない……と言いたいところだが、
爆音に驚いた使い魔達がなんか凄いことになっていたし、
『盾』を貫通したがれきや爆風で何人かの生徒が怪我をし、
『盾』が間に合わなかったシュヴルーズは黒こげになって昏倒し、痙攣を起こしていた。

がれきの中から煤だらけになったルイズが起き上がり、
周囲を見回すと、軽く言った。

「ちょっと失敗したわね」
「……そりゃまぁ、いつもに比べればちょっとだけど」

意外と冷静に被害を計っていたキュルケが言った。


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