あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの使い魔・ブルー編-01

「……《塔》!」

アルカナに秘められた意味が、放たれ、術者の全ての力を使い、雷を放つ。
強大極まりないそれは、さながら神が下した、《塔》を砕く雷そのものといえた。

その雷は、この世界の主を飲み込み、吹き飛ばした。
落雷の余波が閃光を起こす。
その閃光を眼に映して、最強の術士は意識を手放した。

~~~~

優秀な才を持ちながらも、決して完成すること無い双子。
自らの力を磨き、力を求め、力を学び、力を奪い。

本来一つでありながら、二つに分かたれた双子。
宿命の元に対峙し、殺し合う。

天国のような、地獄に踏み入った一人の双子。
子供達を救うために、不帰を覚悟して。

力を使い果たし、還らぬ双子。
その後、彼の姿を見たものはいない……


…………いや、いた。


~~トリステイン魔法学院~~

「何で出てこないのよー!」

春の使い魔召喚の儀式。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエールは、計三十二回目となる
『サモン・サーヴァント』による爆破の後、そう叫んだ。

「いやそれ以前にゲートすら出てないし」
「まぁ所詮はゼロって事だよな」
「もう諦めろよ……」

周りで少々煤を被った少年達が呆れ気味に言う。
最初の方は囃し立てていたものも、
二十回を過ぎる頃には座り込み、仲間内で雑談を始めた。

「うるさいっ!見てなさい……!
 あなたたちの使い魔なんか及びも付かないほどの強く、美しく、気高い使い魔を召喚してみせるんだから!」

系統が違うので、疲れ切った反応/Jaded Responseではルイズの行動を止めることは出来ない。
それはともかく。
ルイズは杖を構え直し、集中するためか、目を閉じ、唱え始める。

「五つの力を司るペンタゴン、我の定めに従いし、使い魔を召喚せよ!」

結果として。
『サモン・サーヴァント』による爆破は、これで計三十三回目となった。


彼が目を覚ましたとき、
周囲の雰囲気が変わっているのを感じた。
ここは『地獄』では無いようだ。
空は青く晴れ渡り、日差しが陽気を感じさせる。
心地よいと、素直にそう思った。

だが、それに浸る事はせず、まず起き上がった。
すると、なにやら妙な格好の子供達が騒ぎ立てている。

「また失敗した」
「な、何よ!こ、今度こそ成功するんだから!」
「いや、もう本気で諦めろって……芝生よりベッドの方が寝やすいのは確かだからさ」
「……後で吠え面かかせてやるんだから!」

その妙に騒がしい少女は、そう叫んでから此方に向き直った。
いや、偶然向いた方向が此方だったと言うことだけのようだが。

「……え?」

そして、何故か動きを止める。
さっき少女と話していた少年が此方を軽く見て、なにやら冷たく言う。

「……良かったじゃないかルイズ。成功したみたいだぞ」

少年の言葉に釣られて、周りにいた少年達が一斉に此方を向き、
少女と同じような反応をする。
もっとも、その後の反応は違ったが。

「……く」
「……ふふ」
「うふふ」
「うはww」
「見ろよ!ルイズが召喚したのは平民だぜ!?」
「さっすがはゼロのルイズだな!ようやく成功したと思ったら呼び出したのは平民!」
「ハーッハッハッハ!」

殆どの奴が笑い出した。
笑わなかったのは、寝転がっていたものと、本を読んでいたものと、
立っていたもの……要するに、さっきから何故か震えている少女だけだった。

「な……なんで『サモン・サーヴァント』で平民が出てくるのよ!?」
「呼び出したのはお前だろルイズ!ゼロのルイズ!」
「ゼロにはお似合いの良い使い魔じゃないか!」
「うるさいわね!」

ルイズと呼ばれた笑っている者達に叫び返し、
近くにいた禿げた男に叫ぶとは行かないまでも、強い口調で話しかける。

「ミスタ・コルベール!召喚のやり直しをお願いします!」

召喚?なんだそれは?
そう思いながらも、話しかけられた男を見やる。
まぁ、おかしいところはない。
キングダムには普通にいるような格好の男だった。

「それは駄目だ、ミス・ヴァリエール」
「どうしてですか?」
「決まりだからだよ。伝統なんだ。春の使い魔召喚は神聖な儀式。
 やり直すことは認められない」
「でも!平民を使い魔にするなんて―」

なにを騒いでいるか解らない。
平民だとか、召喚だとか何を言っているのだろうか。
空を見上げてみる。なぜここにいるのだろうか。
最後に、全ての力を放った事は憶えている。
その後のことは憶えていないのだから、気を失ったのだろう。
他にも色々考えるべき事はあったが、取り敢えずそれを口に出すことにした。

「ここは何処だ」

それを聞いてかどうかは解らないが、
ルイズとか言う少女が此方を向き、近寄ってくる。

「……あなた、感謝しなさいよね。貴族にこんな事されるなんて、普通は一生無いんだから」
「貴族?」

問いかけるが、それを聞いているのか居ないのか、
杖を振り、聞いたこともない呪文を唱え始める。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。
 五つの力を司るペンタゴン。このものに祝福を与え、我の使い魔となせ」

ゆっくりと顔を近づけてくる。

「おい、何を」

そして、唇が触れた。

~~~~~~

ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエールは苛ついていた。
『サモン・サーヴァント』を32回も失敗したこともだが、
呼び出されたのが平民の男であることと、
そしてそれと自分が契約しなければならないことであった。

(平民と契約しなきゃならないなんて……)

彼女はそう思っては居たが、
このまま何も現れずに退学となるよりは余程マシな結果だったし、
そもそも一応言ってみたものの、自分でもやり直しはきかないことは理解していたのだ。
だから、あっさり……とは行かないまでも、引き下がったのだ。

その召喚された平民を見る。
よく見るとなかなかに整った顔をしている青年だった。

「あ、……あなた、感謝しなさいよね。貴族にこんな事されるなんて、普通は一生無いんだから」

悪くないかも……と、一瞬浮かんだ考えを別の考えで阻害し、
その考えを口に出すことで打ち消す。いわゆる照れ隠しである。
と、実際は大して意味のないその発言に、目の前の平民は実にシンプルな言葉で返してきた。

「貴族?」

その言葉に、またルイズは苛ついた。

(私が貴族に見えないとでも言うのかしら……!?)

実際の所、それは目の前の少女が貴族かどうかの問いかけをしていたのではなく、
貴族という彼にとって余り聞き慣れない言葉に対しての純粋な疑問だったのだが。
しかし、少々不機嫌な状態にある彼女は、それを悪意のある類のものとして捉えた。
ともかく、彼女は目の前の青年に対して思った感想などは完全に消え、
冷静に『契約』のための呪文を唱え始める。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール。
 五つの力を司るペンタゴン。このものに祝福を与え、我の使い魔となせ」

それをなにやら怪訝な表情で見つめていた男も、
ルイズが顔を近づけてくると、その表情を驚きを含んだものに変え、言ってくる。

「おい、何を」

その言葉が言い切られる前に、唇で口をふさぐ……
と言うわけではなく、軽く口づけした。
だが、それでもその青年は言葉を止めた。
それを見もせず、ルイズはコルベールの方を向き、告げた。

「終わりました」
「……は?」

後ろから聞こえてくる疑問符のついて音は無視し、
前にいる先生からの言葉を待つ。
一拍おいてから、コルベールが話し出す。

「『サモン・サーヴァント』は何回も失敗しましたが、『コントラクト・サーヴァント』はきちんとできたね」
コルベールが、嬉しそうに、生徒の成功を心から喜びながら、言う。
「相手がただの平民だから契約できたんだよ!」
「ドラゴンとかだったら契約なんか出来やしないって!」
何人かの生徒は笑いながら言った。
「馬鹿にしないで!私だって成功することあるわよ!」
「つまり失敗することが多いって認めてるのね、ゼロのルイズ」
「ミスタ・コルベール!『鉱水』のモンモランシーが私を侮辱しました!」
「私は『香水』よ!……って言うか、何『鉱水』って!?『洪水』とかならまだ言われたことあるけど」
「うるさいわね!よくわからないポーション作ってはギーシュが死にかけてるじゃない!」
「な、なんで知って……じゃないよく言ってくれたわね!ゼロのルイズ!」

それをいきなり口づけをされた男は、呆然としながら眺めていた。
が、突然身体に走った熱に、意識を向けさせられる。

「熱…?」

いまだ言い争いを続ける少女達とは対照的に、
いつの間にか近づいてきたコルベールとか言われていた男が、穏和に言う。

「使い魔のルーンが刻まれて居るんです。直に収まりますよ」
「ルーン?印術か?」
「印術?何ですかそれは」

熱が収まると、コルベールが此方の左手を取った。
見ると、確かにルーンが刻まれている。

「ふむ……珍しいルーンだな」

そう言うとスケッチを取り出したコルベールに、
青年は問いかけた。

「ここは何処だ?」
「ああ、失礼しました。ここはトリステイン魔法学院です」
「トリステイン?」

その疑問には返答はなく、
コルベールは周りの少年達に対し言った。

「さてと、じゃあみんな教室に戻るぞ」

そしてきびすを返すと、宙に浮いた。
驚いては居たが、それを表情には出さずに、青年はそれを見つめた。

(空術……ではないな、あり得ない)

他の生徒達も宙に浮くと、城のような石造りの建物に飛んでいった。

「ルイズ!お前は歩いて来いよ!」
「あいつ『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともに出来ないんだぜ!」
「その平民、あなたにお似合いよ!」
口々にそう言って……最後の一人は笑ってない気がしたが、笑いながら去っていった。
残されたのは。青年とルイズの二人だけになった。

ルイズがため息をついた。
それから青年の方を向いて、大声で怒鳴った。

「あんた、なんなのよ!」

青年は……最強の術士は、答えた。

「キングダムの術士、ブルーだ」


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