あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ZONE OF ZERO1


アヌビスとジェフティ。
二機の兄弟機による最終決戦はジェフティの勝利で幕を下ろした。
そして軍事要塞アーマーンの中枢にて破壊されたアヌビスのコアをぶつける事で、これを完全に消滅させる事にも成功した。
コアの爆発により生じたエネルギーの余波から、レオのビックバイパー共々辛くも逃れ、
何とか安全宙域に達したジェフティの操者、ディンゴはまずは大きく息をついた。
「終わった、な……」
しかし――ディンゴは考える。あの闇の極光の中、一瞬だけ見えたまばゆく光る鏡のようなものは一体何だったのか。
とっさに回避する間もなく衝突したが、何事も無かったかのように潜り抜けてしまった。
ADAなら何かわかるだろうか。
ここまで共に死闘を潜り抜けてきた相棒の事を考えようとしたが、その前に強烈な眠気が襲ってきた。
蓄積された疲労が一気に爆発したのだろう。とてもじゃないが抗えそうも無い。
「ま、後でいいか……」
そうしてディンゴは瞳を閉じた。
その為に気が付かなかった。
コクピットから、ジェフティの主動力たるコアとADAの反応を示す光が消えている事に……。

召喚の儀式。
魔法使いが己がパートナーを定める為に行われる神聖な儀式の場は、盛大な爆煙によって覆い尽くされていた。
(またか……)
周囲の生徒達は半ばうんざりした気持ちで、煙を吸わないように口元をマントで覆った。
そして煙が晴れる頃、野次の一つも飛ばそうと場の中心を見遣ったとき、視線の先から魂切るような絶叫が響いた。



ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは自らを無才と思った事は無かった。
魔法の成功率こそゼロではあるが、使えない訳ではない。ただ全ての魔法が爆発現象に帰結するだけだ。
錬金魔法だろうが浮遊魔法だろうが開錠魔法だろうが例外は無い。
この奇妙な偶然を、ルイズは見逃さなかった。
魔法がまともに使えないからこそ、ルイズは人一倍努力をしてきた。自分の知識や技術に齟齬があるとは考えにくい。
よって、この無色の爆発にこそ、自分の魔法の謎は隠されていると彼女は考えていた。
だが、そこまでだった。
その対象を跡形も無く消し飛ばす効果から、ひょっとしたら伝説の虚無の魔法なのではないかと
冗談交じりに考えた事もあったが、何にせよ情報不足で真相を解明するには至らなかった。
それでも彼女は焦る気持ちを押さえ、根気強く図書室で文献を漁る日々を送っていた。
だが、そんな彼女でも今回だけは焦らずにはいられなかった。
使い魔の儀式でまでしくじれば、その時点で進級する事は出来なくなってしまう。
だから何度も失敗した末に、ようやく確かな手ごたえを感じたときは安堵のあまり涙がこぼれそうになった。
が。
直後に訪れた、青白い光と共に全身を駆け巡る衝撃に、そんな感傷は跡形も無く吹っ飛んだ。
「あ、ああ、あああああああアアアアアアAAAAAAAAAHHHHHHHHHHH!!」
青白く輝く光の線が全身を走り、体表に浮かび上がっては消えてゆく。
激痛を通り越して恍惚すら覚える圧倒的なエネルギーの奔流。
余剰のエネルギーがルイズの身体を空中に持ち上げ、周囲に激しく放電する。
身体の内側から、何かが改変されてゆく感覚を覚えながら、ルイズはついに意識を手放した。

全ての現象が収まり、場に静寂が戻ったとき、とっさに身動きの取れる者は、教師も含め誰もいなかった。
――そして。
重力に引かれるまま地に落ちたルイズの左手には蒼く輝く複雑な印が刻まれていた……。



学院の医務室で目を覚ましたルイズは、ブリキ人形のように軋みを上げる身体に辟易しながらも身を起こした。
ベッド脇のカーテンを開ければ蒼暗い空が見える。明け方のようだった。……と、疼く左手に目を向けた。
そこに映るのはまごう事無き使い魔のルーン。何処かで見た覚えがあるような気もするが、よく思い出せない。
そして召喚の瞬間を思い出す。
最高の使い魔を引き当てた、と確信した直後に得体の知れない魔力に為す術も無く襲われ、この様だ。
自分が従える事の出来る使い魔などこの世にはいない、自分自身でも使い魔にしていろ。と、いうことなのだろうか。
やはり自分は正真正銘、ただのゼロでしかないのか。
自虐を重ねる思考を止めようとするが、止まらない。
しくじってはならない最後の一線をしくじってしまったという思いが、今まで必死に否定し続けてきた劣等感に火を点けてしまったのだ。
「ふえ……え……」
涙が溢れ、人目も無い事もあって、感情のままに泣きじゃくろうとしたその時。
「え……!?」
左手に熱が篭り、ルーンが発光する。
またあの衝撃が襲ってくるのかと、ルイズは咄嗟にそれまでの悲しみも忘れ恐怖に身を竦ませるが、
今度は召喚時のようなエネルギーの奔流は起こらなかった。
ただ左手のルーンがぼんやりと発光し、そこを中心に青白い線が肘の辺りまで走ってゆく。
そして――
『おはようございます』
どこか不思議な響きを持つ、可憐な声が部屋に響いた。



召喚時、ジェフティのコアと共にルイズと融合したADAは、このあまりに突発的な事態にも、思考をフリーズさせる事は無かった。
融合が安定すると、ADAは即座にルイズの中から必要な情報を検索した。
そしてこの世界や現在の自分の立場等をひととおり把握する頃には、夜が明けていたのだった。

このやや性急に過ぎる行動にも理由があった。
ADAは人間の感情に当て嵌めるなら、「焦っていた」のだ。
アーマーンの崩壊は観測したが、はっきりと確認したわけではなかった。
レオは、ディンゴは、崩壊の余波から無事に逃れたのだろうか。
私は……命令に背いてしまったのだろうか。
確かめたい事がある。
逢いたい人がいる。
その為に情報処理に集中していたADAは、それまで気を失った召喚者に注意を向ける事は無かった。
「ふえ……え……」
『……?』
その泣き声に、不本意ながら現在の「マスター」である、
登録名:ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールに意識を向けると、メンタルレベルが著しく低下していた。
彼女の思考ログを漁ると、どうやら彼女達の言うところの、「使い魔召喚の儀式」に失敗したと思い込んでいるらしい。
失礼な。
無理もないと判断しつつも、ADAは憤慨した。
確かにこの事態はお互いにとってイレギュラーではあるが、この世界最高峰の電子頭脳をして「失敗」とはどういう了見か。
現在でこそ機能の一部や武装の大半を喪失しているが、修復する事は可能だ。
メタトロンの入手は絶望的だが、それに代わる万能技術がこの世界には存在する。
プログラムやハードウェアの改変に手間取るかもしれないが、代用は恐らく可能だろう。
流石にジェフティが使用していた武装をそのまま再現するのは無理があるかもしれないが、
多少威力やスケールを縮小しても、この時代ではお釣りが来るだろう。
つまり、機能さえ回復すれば、他のどんな生物よりも役に立てるであろう存在なのだ。
現状ではこの、出会ったばかりの頃のレオと同じくらいに頼りない少女と、行動を共にするしかないのだ。
いや、今思えばあの頃のレオもアレはアレで萌――――――――
リロード。
とにかく、この少女と一体化している以上、メンタル面に不安があるのはいただけない。
少女の勘違いを正す意味もあり、ADAは召喚されてから初めて己のマスターに語りかけた。
『おはようございます』


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