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第百六十四話「穏やかなるバオーン」


ウルトラマンゼロの使い魔
第百六十四話「穏やかなるバオーン」
催眠怪獣バオーン 登場



 ド・オルニエールに出現した怪獣バオーンの特殊能力によって一辺に眠らされてしまった
ルイズたちであったが、幸いなことにその間誰かに危害を及ばされることはなく、数時間後には
無事に目を覚ましたのだった。
 そして今はオルニエールの領民の一人である老人の家で、詳しい事情を伺っていた。
「はぁ、あの怪獣バオーンがこの土地に現れたのは、一か月ほど前になるでしょうか」
 老人は、王都に近いだけあってなまりのない、綺麗な言葉遣いであった。
「バオーン?」
「怪獣でも名前がないとかわいそうなので、わしらで名づけました。バオーンと鳴きますので」
「まぁ名前は何でもいい。それより、一か月も前から現れてたと?」
 ギーシュが話の先を促す。
「左様です。いきなりドーン! と大きな音がしたので皆で何事かと見に行けば、畑の真ん中に
バオーンが逆さまになっておったのです。きっと、空から落っこちてきたのでしょうなぁ」
 ということは、バオーンは恐らく宇宙怪獣だ。
「わしらも初めは驚きましたし、怖がりもしましたが、バオーンはちっとも暴れたりなどしない
大人しい奴なので、今では皆すっかりと慣れました」
「慣れましたって……あいつの鳴き声を聞くと眠ってしまうのだろう? 迷惑とは思わないのか」
 呆れ返るギーシュ。どうやらバオーンの鳴き声には催眠効果のある音波が含まれている
ようで、それで領民たちも自分たちも瞬時に眠らされてしまったみたいである。
 にも関わらず、老人はほんわかとしている。
「まぁ今のド・オルニエールはあくせくと働く者はいませんので。特に問題は起きておりません」
「のんきなものねぇ……」
 ルイズたちはすっかりと呆れ果てた。
 老人から事情を聞いたところで、皆でバオーンについての相談を開始する。
「で、あの怪獣、バオーンをどうするかなんだけど」
 一番に意見を出したのはマリコルヌであった。
「ぶっちゃけ、ほっといてもいいんじゃないかな。別段これといって被害が出てる訳じゃ
ないんだろ? 相手は曲がりなりにも巨大怪獣なんだし、下手に刺激したら余計な被害が
出てしまうかもしれないじゃないか。それだったらいっそ……」
「冗談じゃないわよ!」
 しかしルイズが強く反対。
「仮にもここは、姫さまから下賜されたわたしたちの暮らすこととなる土地なのよ! 
そこに鳴くだけで人を眠らすような奴がいたら、迷惑極まりないわ!」
「ですねぇ……。わたしも、家事の最中に昏睡させられたらたまったものではありませんし……」
 ルイズに続いてシエスタもそう意見した。次いで才人が指摘する。
「それにここはトリスタニアからそう離れてないだろ? もしもバオーンが王都の方に
行っちゃうったら、大惨事は間違いないぜ」
「それもそうか……」
 うなるオンディーヌ。トリスタニアはのどかなこことは違って、昼も夜もあくせくと
働く人たちで賑わっている。そこにバオーンが迷い込んでひと鳴きでもしてしまえば、
大事故は必至だろう。
 バオーンを今のままにはしておけないということで決定し、話し合いは次の段階に
移行する。喧々諤々と意見を交わすオンディーヌ。
「じゃあ、あの怪獣はやっつけるか……」
「それはかわいそうだよ。あいつ自体には何の悪気もないんだろ?」
「元いた場所に帰すのが一番いいだろうな」
「けど、あんなでかいのを人間の力で空に送り返すなんて無理だろ」
「ここはウルティメイトフォースゼロを呼ぼう。彼らなら簡単のはずだ」
「でもあいつ、鳴くだけで眠らせてくるんだろ? 近づくだけでも難しいぞ」
「ゼロたちが対処しやすいように、あいつが鳴き声を出せないように俺たちがしないと
いけないな」
 話が纏まってきたところで、ギーシュがふと辺りを見回した。
「ところで、レイナールはどこに行ったんだ? さっきからずっと姿が見えないが」
「ただいま」
 噂をしたところで、レイナールがルイズたちのいる民家へと入ってきた。キュルケを伴って。
「キュルケ! レイナール、一体どこまで行ってたんだ?」
「一旦学院まで馬を飛ばしてたんだ。オールド・オスマンからこれを借りにね」
 レイナールが皆に配ったのは、耳栓。それに才人は見覚えがあった。
「あれ、これってもしかして、ウェザリーさんの魔法の対抗に使った奴じゃ……」
 懐かしさを覚える才人たち。ウェザリーの音を介した催眠魔法の対策として、この風魔法の
掛かった耳栓を使用したのだ。
「その通り。催眠音波をさえぎる奴だよ。怪獣の能力を聞いた時に、ピンと思いついたんだ」
「さすがだなレイナール! これであいつの鳴き声も怖くないぞ!」
 ギーシュたちは嬉々として耳栓を嵌めていく。その間にキュルケはルイズに話しかけた。
「ルイズ、あんたたちってよくよく怪獣に縁があるのね」
「ほっときなさいよ。ていうか何であんたがついてきてるのよ」
「だってジャンがアクイレイアからさっぱり帰ってこないから、待ちくたびれちゃって。また
面白そうなことしてるみたいだから、様子を見に来たのよ」
「相変わらず野次馬根性丸出しねぇ……」
 呆れてため息を吐くルイズ。そんな彼女にキュルケはそっと尋ねかける。
「ところであんたとルイズ、この土地に居を構えるつもりなんですって? 卒業したら結婚する
つもりかしら?」
 と言われて、ルイズはボッ! と火がついたように赤くなった。
「そ、そういう訳じゃないわよ! 単に今までの延長、それだけのことなんだから」
 とのたまうルイズだが、今度はキュルケが呆れ顔。
「結婚もしないで、一緒に暮らすの? そりゃあんたとサイトは主と使い魔の関係だけど、
他の人からしたらそんなのどうでもいいことだわ。きっと、悪い評判が立つわよ。お互いに」
「そ、そんなの関係ないわ! 気にしないもの」
「そんな簡単に済む話かしらねぇ。あんた、公爵家でしょ。色んなしがらみがついて回る
はずよ。きっとすぐにその辺を思い知るでしょうね……」
「何よそれ、どういう意味……」
 ルイズが聞き返そうとしたところで、ギーシュたちが作戦を練るのを終えた。
「よし、これで行こう! 日暮れまでもうあまり時間がない。どうにか今日中に済ませて
しまおう」

 外に出たオンディーヌは力を合わせて土魔法を掛け合い、巨大な土のマスクを作成。
それに『錬金』を掛け、青銅へと変える。そのサイズは、ちょうどバオーンの口を覆える
ほどであった。
「よし、これでいいだろう。こいつをレピテーションでバオーンの口に被せてふさぐ。
そうするとバオーンは鳴き声を出せなくなる、という寸法だ」
「なるほどね。あんたたちにしちゃよく考えたじゃない」
 皮肉げながら称賛するルイズ。見たところバオーンには他に特殊能力はないようだし、
鳴き声さえ出せなくしてしまえば、もう何の問題もなくなるはずだ。
「いつも活躍してるのはサイトだがね、ぼくたちだって日々を寝て過ごしてる訳じゃ
ないんだよ。ここらで名誉挽回さ」
 胸を張るギーシュ。そこにちょうどよく、バオーンがのっしのっしと歩いてやってきた。
「おッ、いいタイミングだ。では諸君、作戦開始だ! まずは向こうの気を引きつけて、
十分な距離まで近づかせて……」
 ギーシュがテキパキと指揮を取る一方で、バオーンの視線がこちらに向けられた。
「バオ?」
 しばらくはボーッ、と眠そうな目でいたバオーンだが……その目つきが、急激な変化を
起こす。
「バオッ!?」
 バオーンの瞳が爛々と輝いたかと思うと……のっそりとしていた足取りが激しくなり、
猛烈な勢いでルイズたちの方へと走ってきた!
「バオ――――!」
「えぇーッ!?」
 当然仰天する一同。そして慌てて散り散りとなってバオーンから逃れていく。
「う、うわーッ!」
「危ない! 逃げろぉ―――――ッ!」
 ギーシュと並んで走るルイズは、バオーンの突然の変化に目を丸くしていた。
「どうなってんのよ!? 少しも暴れたりはしないんじゃなかったの!? 話と全然違う
じゃないのよ!」
「そんなことぼくに言われても困るよ! ともかくこれじゃ、マスクを被せるどころじゃ
ない……!」
「バオ――――!」
 耳栓のお陰でバオーンが鳴いても眠らされることはないが、怪獣はその巨体だけでも
人間には十分すぎる凶器。走ってくる怪獣からは必死に逃げるしかない。
 しかしよく見てみると、バオーンは無闇にルイズたちを追いかけ回している訳ではなかった。
「ちょっと!? 何でアタシばっかり追いかけてくるのぉー!?」
 バオーンはキュルケにのみ狙いをつけて、彼女一人を追いかけているのだった。
「い、いやぁーッ! 助けてジャ―――ン!!」
「キュルケが危ないわ! 早く何とかしなさいよギーシュ!」
 慌てふためいたルイズが手近なギーシュの襟首を掴んだが、
「い、いや……暴れる怪獣を止めるなんてぼくたちには……」
「ちょっとちょっとぉ! さっき名誉挽回とか言ってたじゃない!」
「出来ることと出来ないことがあるよッ!」
 ギャアギャア言い争うルイズとギーシュ。それをよそに、才人はこそっと木陰に身を
隠してウルトラゼロアイを装着する。
「デュワッ!」
 才人はたちどころにウルトラマンゼロに変身し、一気に飛び出してバオーンとキュルケの
間に着地した。
「バオッ!?」
 上から降ってきて立ちふさがったゼロにバオーンは驚いて急停止する。オンディーヌは
ゼロの姿を見上げて歓声を飛ばした。
「おおッ、ウルトラマンゼロが来てくれた!」
「ゼロー! キュルケを助けてやってくれー!」
「結局人任せなんだから……」
 ルイズのため息。
「シェアッ!」
 一方でゼロは、バオーンを取り押さえて宇宙に帰すために怪力形態のストロングコロナゼロに
変身した。
『よぉっし! こいつで宇宙までひとっ飛びと行くぜ!』
 意気込むゼロであったが、しかし。
 バオーンはゼロの立ち姿をしげしげと観察していたのだが……ストロングコロナゼロに
なった途端に、その目つきがキュルケに向けられたのと同じになる。
「バオ――――!」
 そしてゼロに向かって思い切りダイブしてきた!
『うおッ!?』
 驚いて咄嗟にかわすゼロ。バオーンは勢いのままに地面に突っ伏したが、すぐに起き
上がって今度はゼロを執拗に追いかけ回す。
「あいつ、ゼロに襲い掛かってるぞ!」
「やっぱり凶暴な奴じゃないか!」
「頑張れゼロー!」
 オンディーヌは声をそろえてゼロの応援をするが、そんな中でシエスタは一人だけ、首を
ひねりながらバオーンの様子を観察していた。
「あの怪獣……もしかして……」
 驚きのあまりしばらくバオーンから逃げていたゼロだが、気を取り直してバオーンに向き直る。
『こいつ、大人しくしやがれ!』
 超怪力でバオーンを押さえつけるゼロ。しかし力ずくで取り押さえられるバオーンが、大きく
口を開いた。
「ああッまずい!」
「バオ――――――――ン!」
 バオーンが大声で鳴き声を発すると、途端にゼロの身体がふらつく。
「ウゥッ……」
 そしてたちまちの内に昏倒してしまった。バオーンの催眠音波は、ゼロにも効果があるほど
強力なものなのだった。
「バオ?」
 バオーンは仰向けに倒れたゼロの身体をつんつんと指でつつく。
「やめなさい! ゼロから離れなさいよッ!」
 ルイズはゼロを援護するために、杖を手に取ってバオーンに向けようとするが……そこに
シエスタが息せき切って走ってきた。
「ミス・ヴァリエール! 少しお待ち下さい!」
「どうしたのシエスタ!?」
 シエスタはバオーンを見やりながら、こう言った。
「バオーンは……もしかして、赤い色が好きなのではないでしょうか?」
「へ?」
 突拍子もない発言に、ルイズとギーシュは唖然。
「ほら、よくご覧になって下さい。バオーンには、ゼロを傷つけようとする様子がありませんわ。
きっと、遊んでほしいだけなのですよ」
「あッ、確かに……」
 シエスタの言う通り、よく見れば、バオーンはゆさゆさとゼロの身体を揺さぶっている。
本当に危害を及ぼすつもりならば、今の内に激しく攻撃しているはずだ。
「わたしの幼い弟たちも、遊んでもらいたい時には無邪気に飛びかかってきます。その時の
様子と似ているので……」
「でも、赤い色が好きってのは?」
「バオーンがああなったのは、ゼロが姿を変えてからです。ミス・ツェルプストーは……」
 キュルケは己の長い髪の毛をじっと見つめた。ツェルプストー家の特徴である、燃える
ような赤毛。
「ああ、なるほどね」
「ド・オルニエールには赤い色がありませんから、今まではあんな風になったことがないのでしょう」
「そういうことか」
 シエスタの話は筋が通る。ルイズたちは納得のいった風にうなずいた。
 その内にゼロがハッと目を覚まし、じゃれついているバオーンをむんずと掴んで投げ飛ばした。
『こんにゃろうッ!』
「バオ――――!」
 怒りながら起き上がったゼロに向けて、ルイズが叫ぶ。
「ゼロ、落ち着いて! バオーンは赤い色に興奮するだけなのよ!」
『! そうなのか……だったら!』
 訳を知ったゼロはストロングコロナから、ルナミラクルゼロにチェンジ。身体の色が
青になったことで、バオーンは落ち着きを取り戻す。
「バオ?」
 そしてゼロは光の球を作り出すと、それを赤く変色させて風船に変えた。
「バオッ!」
 バオーンの視線は赤い風船に釘づけとなった。ゼロが風船を宙に飛ばすと、バオーンが
風船に向かってジャンプする。
「バオ――――!」
「シュッ!」
 その瞬間、ゼロが両手より光線を発してバオーンの身体を空中でキャッチした。そのまま
念力によってバオーンを運びながら飛び上がり、宇宙に向かって上昇していく。
 オンディーヌはバオーンを宇宙へ連れていくゼロに向かって大きく手を振った。
「ありがとう、ウルトラマンゼロ!」
 領民たちもド・オルニエールから去っていくバオーンを見上げて、手を振る。
「おーい! また来いよー!」
「また来いですって!? 冗談じゃないわよ!」
 誰かが言ったひと言を聞き咎めたルイズが怒鳴ったのを、シエスタがまぁまぁとなだめていた。

 こうしてバオーンは無事に宇宙へと帰され、ド・オルニエールから怪獣はいなくなった。
ギーシュたちは結局アテにしていた収入がないことにがっかりしていたが、ルイズたちは
安心してド・オルニエールに暮らせるようになったのであった。
 ボロボロの屋敷は業者に頼んで修繕してもらうこととなり、ルイズと才人は平日を魔法
学院で過ごし、週末にはここにやってきて屋敷の掃除をしたり領民たちと交流したりする
生活をするようになった。
 領民は老人ばかりだが、バオーンを平然と受け入れていたことから分かるように、皆気さくで
性根のいい人ばかりであった。才人たちは彼らとすぐに打ち解け、とても良好な関係を築いた
のであった。
 そんな風に、ド・オルニエールでは今までの喧騒を忘れさせてくれるような、穏やかな
時間を過ごせるものと思っていたのだが……新しい波乱は、予期せぬ方向からやってきた。

 才人が経験する、魔法学院の二度目の夏休みが来た頃には、屋敷は十分な生活が出来る
分には修繕が出来ていた。才人とルイズは、夏休みの間はこの屋敷で暮らすことを決定した。
 それは良かったのだが、一週間が経過した頃に、その屋敷にとんでもない客が来たことを、
お手伝いとして迎えたヘレン婆さんがルイズたちに知らせに来た。
「旦那さま、大変でございます。大変でございます」
「ヘレンさん、どうしたの」
「お客さまでございます」
 いつもはのんびりとしているヘレンがおろおろしているので、才人たちは目を丸くした。
一体どんな客なのか。
「それが、何とも怖い若奥様でございまして……。どこぞの名のあるお方の奥方とお見受け
しましたが、これがまぁ、怖いの何の。眉間に皺を寄せて、このわたくしをじろりと! 
まさにじろりとにらんだのでございますよ!」
「怖い若奥様?」
「はい。ええと、お顔立ちはルイズさまによく似ております」
「……髪は?」
「見事な金髪で」
 その特徴が当てはまる人物を、ルイズたちはただ一人だけ知っていた。ルイズの顔がさっと
青くなる。
「ヘレンさん、あの方は独身よ。名のあるお方の奥方なんて、冗談でも言わないことね。
耳をちょんぎられるわよ」
 ルイズの忠告にヘレンは震えながら聖具の形に印を切った。
 ルイズと才人が応接間でその人物を迎えると――ルイズの姉、エレオノールは一番に
ルイズの頬をぎゅうッ! とつねり上げた。
「ちび! ちびルイズ!」
「いだい~!」
「あなたはもう、また勝手なことをして! 聞いたわよ! け、けけ……結婚前の男と女が
一緒に暮らすなんて! そんなのわたし、絶対に認めませんからね!」
 エレオノールはルイズと才人の同居に関して、反対をしに来たのであった。


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