ウルトラマンゼロの使い魔
第百六十一話「ガリア王国の大決戦」
死神
最強合体獣キングオブモンス
巨大顎海獣スキューラ
骨翼超獣バジリス
破滅魔虫カイザードビシ 登場
第百六十一話「ガリア王国の大決戦」
死神
最強合体獣キングオブモンス
巨大顎海獣スキューラ
骨翼超獣バジリス
破滅魔虫カイザードビシ 登場
「グギャアーッ! グギャアーッ!」
『はぁぁぁッ!』
『せいッ!』
『うらあぁぁぁぁッ!』
ミラーナイト、ジャンボット、グレンファイヤーの三人はカイザードビシの大群に対し、
勇猛果敢な戦いぶりを見せつける。片っ端から各々の必殺攻撃を決め、爆砕し撃破していく。
だがどれだけ倒そうとも、一向にドビシの群れが減る気配はない。屈強なる戦士たちも
徐々に疲労が見え始め、じりじりとカイザードビシに押されるようになってしまう。
「グギャアーッ!」
『ぐわああああああッ!』
複数のカイザードビシの光線の砲火がミラーナイトたちを襲い、三人は爆発に呑まれて
絶叫を発した。
『みんな! くッ……!』
「ヴォオオオオオオオオオオ!」
一瞬仲間たちの方へ振り向いたゼロだったが、助けに行くことは出来なかった。彼も
キングオブモンス、スキューラ、バジリスの三体を同時に相手していて、とても手を離せる
状態ではないのである。
「セェアッ!」
「ヴォオオオオオオオオオオ!」
ゼロの鋭い拳がキングオブモンスに打ち込まれるが、キングオブモンスはあっさりと弾き
返した。元々「ウルトラ戦士を上回る怪獣」として設計された大怪獣であるので、そのパワーは
並大抵の怪獣とは比較にもならないほどなのだ。
「キイイィィッ!」
「キ――――――――!」
キングオブモンスに押されたところにスキューラの突進と飛行するバジリスの光球爆撃を
食らい、ゼロは悶絶。
『ぐおおうッ!?』
一体だけでも手強い怪獣が三体も集まれば、ゼロの苦戦はむしろ当然の話であった。
「くッ……!」
才人もまた、ゼロたちの苦闘に顔を歪めていたが、彼も彼で全ての元凶たるジョゼフに
意識を集中しなければならなかった。
しかし、憎いほどの相手を前にしているというのに、才人は当惑を覚えていた。それは、
ジョゼフの表情があまりに空虚であるからだった。タバサを散々いたぶり、苦しませた男と
聞いて、悪魔のような人間だと想像していたのに……長身の体躯に反して、ちっぽけな人間の
ようにすら見えるのだ。
だがどんな相手であろうと、今起きていることは止めさせなくてはならない。才人は己に
活を入れ、パラライザーの銃口をジョゼフに合わせた。
「その石から手を離せ! 怪獣たちを止めろ!」
脅しを掛ける才人だったが、ジョゼフはまるで聞こえていなかったかのように才人を評し始める。
「まぶしいくらいに、まっすぐな目をしている。全く顔は違うが、どことなくシャルルに
似ているな。おれにもお前のような頃があった。大人になれば、己の中の正義が、心の中の
いやしい劣等感を消してくれると思っていた。だが、それは全くの幻想に過ぎなかった」
才人には、ジョゼフの独白につき合っている時間はない。ジョゼフの石を握る手を狙って
パラライザーを撃つ。
しかし光線は、空を切った。突然、本当に突然、ジョゼフの姿が消えたのだ。
「なッ!?」
「こんな技を、いくら使えたからと言って、何の足しにもならぬ」
ジョゼフの声は背後からした。才人は振り向きざまにデルフリンガーを一閃したが、ジョゼフの
姿はマストの上にあった。
才人は、カステルモールからの手紙の最後の一文を思い出していた。ジョゼフは、寝室から
一瞬で中庭に移動してのけたという。
「この呪文は“加速”というのだ。虚無の一つだ。なにゆえ神はおれにこの呪文を託したので
あろうな。まるで“急げ”とせかされているように感じるよ」
技の正体を、ジョゼフ自ら口にした。
しかし、原理が分かっても才人にはまるで対応が出来ない。いくら銃を撃ち、剣を振っても、
その瞬間にはジョゼフは別の場所に移動しているのだ。スラン星人を思い出す速度……いや、
それ以上だ。才人の目には、ジョゼフの残像すら映らないのだ。
ジョゼフの魔法は極めて単純だが、それ故に弱点が見当たらない。
「少年、おれにはおれの仕事があるのだ。そろそろ終わりにさせてもらう」
ジョゼフが短剣を抜いた。並みの相手ならば簡単に処理できるようなちっぽけな武器ですら、
ジョゼフが手にしたら急所を確実にえぐる最悪の凶器に変わる。
絶体絶命の淵に立たされた才人。――だが、彼もカステルモールがもたらした情報から、
何の用意もしていなかった訳ではない。
今こそゼロが施してくれた特訓の成果を見せる時だと、才人は己の両目を閉じた。
「ほう、覚悟を決めたか。潔いな」
ジョゼフは才人が降参したものと思ったが、才人は強く否定する。
「違うぜ。これはお前の虚無を破るための技だ!」
「ほう、技だと?」
「俺の生まれた世界には“心眼”って言葉があってね! 掛かってこいジョゼフ! お前の
動きなんか心の目で見切ってやるぜ!」
一瞬で移動するというジョゼフに対抗するために、ゼロが授けてくれた技。それが、フリップ
星人の分身術を破るためにウルトラマンレオが体得した奥義、“心眼”だ!
人間は外部の情報の大部分を視覚から得る生き物であるが故に、目で捉えられないものには
極めて弱いし、視界とは己の前方しかカバーしていない。しかし視覚以外の感覚を研ぎ澄まし、
かすかな音や空気の流れなどを捉えられるようになれば、相手がどこにいようと幻覚を用いよう
とも、一切惑わされることはない。常に真実の姿を捉える。これこそが心眼の極意だ!
(まぁ論理としちゃあ理には適ってるのかもしれんが、本当にこれが上手くいくのか……?)
しかし、才人に握られるデルフリンガーは内心戦々恐々としていた。才人自身も極度に
緊張していることが、柄を包む手の平から伝わってくる。
心眼は、口で言えば簡単に聞こえるかもしれないが、実際にそこまでのレベルに到達するには
それこそ超人的な身体能力と精神力が必要となる。ましてや、才人の心眼はこの一日二日程度で
こしらえた付け焼き刃だ。更には、超高速で動き回るジョゼフの接近に完璧に合わせたタイミングで
剣を振らないと結局意味がない。依然として才人は圧倒的不利のままだった。
様々な凶悪能力を駆使する敵に、その度に急ごしらえの対応策で立ち向かっていたという
レオも、今の自分のような極度の緊張状態にあったのだろうか……と、才人は一瞬感じていた。
「面白い。ならばやってやろう」
ジョゼフが動いたのを感じ取った! その瞬間、才人は己の本能が命ずるままに剣を振り下ろす!
『はぁぁぁッ!』
『せいッ!』
『うらあぁぁぁぁッ!』
ミラーナイト、ジャンボット、グレンファイヤーの三人はカイザードビシの大群に対し、
勇猛果敢な戦いぶりを見せつける。片っ端から各々の必殺攻撃を決め、爆砕し撃破していく。
だがどれだけ倒そうとも、一向にドビシの群れが減る気配はない。屈強なる戦士たちも
徐々に疲労が見え始め、じりじりとカイザードビシに押されるようになってしまう。
「グギャアーッ!」
『ぐわああああああッ!』
複数のカイザードビシの光線の砲火がミラーナイトたちを襲い、三人は爆発に呑まれて
絶叫を発した。
『みんな! くッ……!』
「ヴォオオオオオオオオオオ!」
一瞬仲間たちの方へ振り向いたゼロだったが、助けに行くことは出来なかった。彼も
キングオブモンス、スキューラ、バジリスの三体を同時に相手していて、とても手を離せる
状態ではないのである。
「セェアッ!」
「ヴォオオオオオオオオオオ!」
ゼロの鋭い拳がキングオブモンスに打ち込まれるが、キングオブモンスはあっさりと弾き
返した。元々「ウルトラ戦士を上回る怪獣」として設計された大怪獣であるので、そのパワーは
並大抵の怪獣とは比較にもならないほどなのだ。
「キイイィィッ!」
「キ――――――――!」
キングオブモンスに押されたところにスキューラの突進と飛行するバジリスの光球爆撃を
食らい、ゼロは悶絶。
『ぐおおうッ!?』
一体だけでも手強い怪獣が三体も集まれば、ゼロの苦戦はむしろ当然の話であった。
「くッ……!」
才人もまた、ゼロたちの苦闘に顔を歪めていたが、彼も彼で全ての元凶たるジョゼフに
意識を集中しなければならなかった。
しかし、憎いほどの相手を前にしているというのに、才人は当惑を覚えていた。それは、
ジョゼフの表情があまりに空虚であるからだった。タバサを散々いたぶり、苦しませた男と
聞いて、悪魔のような人間だと想像していたのに……長身の体躯に反して、ちっぽけな人間の
ようにすら見えるのだ。
だがどんな相手であろうと、今起きていることは止めさせなくてはならない。才人は己に
活を入れ、パラライザーの銃口をジョゼフに合わせた。
「その石から手を離せ! 怪獣たちを止めろ!」
脅しを掛ける才人だったが、ジョゼフはまるで聞こえていなかったかのように才人を評し始める。
「まぶしいくらいに、まっすぐな目をしている。全く顔は違うが、どことなくシャルルに
似ているな。おれにもお前のような頃があった。大人になれば、己の中の正義が、心の中の
いやしい劣等感を消してくれると思っていた。だが、それは全くの幻想に過ぎなかった」
才人には、ジョゼフの独白につき合っている時間はない。ジョゼフの石を握る手を狙って
パラライザーを撃つ。
しかし光線は、空を切った。突然、本当に突然、ジョゼフの姿が消えたのだ。
「なッ!?」
「こんな技を、いくら使えたからと言って、何の足しにもならぬ」
ジョゼフの声は背後からした。才人は振り向きざまにデルフリンガーを一閃したが、ジョゼフの
姿はマストの上にあった。
才人は、カステルモールからの手紙の最後の一文を思い出していた。ジョゼフは、寝室から
一瞬で中庭に移動してのけたという。
「この呪文は“加速”というのだ。虚無の一つだ。なにゆえ神はおれにこの呪文を託したので
あろうな。まるで“急げ”とせかされているように感じるよ」
技の正体を、ジョゼフ自ら口にした。
しかし、原理が分かっても才人にはまるで対応が出来ない。いくら銃を撃ち、剣を振っても、
その瞬間にはジョゼフは別の場所に移動しているのだ。スラン星人を思い出す速度……いや、
それ以上だ。才人の目には、ジョゼフの残像すら映らないのだ。
ジョゼフの魔法は極めて単純だが、それ故に弱点が見当たらない。
「少年、おれにはおれの仕事があるのだ。そろそろ終わりにさせてもらう」
ジョゼフが短剣を抜いた。並みの相手ならば簡単に処理できるようなちっぽけな武器ですら、
ジョゼフが手にしたら急所を確実にえぐる最悪の凶器に変わる。
絶体絶命の淵に立たされた才人。――だが、彼もカステルモールがもたらした情報から、
何の用意もしていなかった訳ではない。
今こそゼロが施してくれた特訓の成果を見せる時だと、才人は己の両目を閉じた。
「ほう、覚悟を決めたか。潔いな」
ジョゼフは才人が降参したものと思ったが、才人は強く否定する。
「違うぜ。これはお前の虚無を破るための技だ!」
「ほう、技だと?」
「俺の生まれた世界には“心眼”って言葉があってね! 掛かってこいジョゼフ! お前の
動きなんか心の目で見切ってやるぜ!」
一瞬で移動するというジョゼフに対抗するために、ゼロが授けてくれた技。それが、フリップ
星人の分身術を破るためにウルトラマンレオが体得した奥義、“心眼”だ!
人間は外部の情報の大部分を視覚から得る生き物であるが故に、目で捉えられないものには
極めて弱いし、視界とは己の前方しかカバーしていない。しかし視覚以外の感覚を研ぎ澄まし、
かすかな音や空気の流れなどを捉えられるようになれば、相手がどこにいようと幻覚を用いよう
とも、一切惑わされることはない。常に真実の姿を捉える。これこそが心眼の極意だ!
(まぁ論理としちゃあ理には適ってるのかもしれんが、本当にこれが上手くいくのか……?)
しかし、才人に握られるデルフリンガーは内心戦々恐々としていた。才人自身も極度に
緊張していることが、柄を包む手の平から伝わってくる。
心眼は、口で言えば簡単に聞こえるかもしれないが、実際にそこまでのレベルに到達するには
それこそ超人的な身体能力と精神力が必要となる。ましてや、才人の心眼はこの一日二日程度で
こしらえた付け焼き刃だ。更には、超高速で動き回るジョゼフの接近に完璧に合わせたタイミングで
剣を振らないと結局意味がない。依然として才人は圧倒的不利のままだった。
様々な凶悪能力を駆使する敵に、その度に急ごしらえの対応策で立ち向かっていたという
レオも、今の自分のような極度の緊張状態にあったのだろうか……と、才人は一瞬感じていた。
「面白い。ならばやってやろう」
ジョゼフが動いたのを感じ取った! その瞬間、才人は己の本能が命ずるままに剣を振り下ろす!
ほんのかすかな時間が、永遠とも思える空白に思えた。そして――。
「ぐうおぉッ!?」
「ジョゼフさまッ!!」
短い悲鳴と、ミョズニトニルンの叫び声が耳に入った。才人が目を開くと――短剣を握っている
ジョゼフの腕だけが、甲板に落ちているのが見えた。
才人のひと太刀は、見事ジョゼフを捉えたのだ!
「やったッ!」
「よくやった相棒! いやほんとにおでれーたよこれは! 大金星じゃねえか! 虚無に
打ち勝つなんてよ!」
才人もデルフリンガーも歓声を抑え切れなかった。しかしまだ勝った訳ではない。才人は
気を引き締め直して、ジョゼフの足をパラライザーで撃った。これでもういくら加速しよう
とも無意味だ。
「お前の負けだ。もう一度言う、怪獣を止めろ。そしてタバサに謝ってもらうぞ」
身体が麻痺して片膝を突いたジョゼフに言いつける才人。最早、どんな愚者が見てもはっきり
しているくらいに勝敗は決している。
それでも、ジョゼフは才人に耳を貸さなかった。
「止められん……今更止まれるはずがなかろう。おれは最期の一瞬まで、絶望に向かって進み続ける」
「まだそんなことをッ!」
「ああ、そうだ……。こんなことになってしまうくらいだったら、初めからこうしていれば
よかったのだろうな。おれの迷宮に出口がないのならば……おれごと壊してしまえば」
ジョゼフが残った腕で、麻痺していても手放そうとしない赤い球が禍々しく光り出した。
しかもその閃光は、フリゲート艦を覆っている。
才人は途轍もない悪寒に襲われた。
「自爆する気かよ!?」
ジョゼフの反対の腕も切り落とし、無理矢理にでも阻止する!
そのために身を乗り出していた才人だったが……いきなりの事態の変化に、思わず足を
止めてしまった。
どこまでも虚ろだった顔のジョゼフが、急にどこか遠い場所に意識を向けたかと思うと……
その目から、ぼろぼろと涙がこぼれて止まらなくなったからだ。
「な……何であんた、泣いてるんだ……?」
訳が分からずについ尋ねかけると、ジョゼフはそれで自分が泣いていることに気がついたようだった。
「泣いてる……? おれは泣いているじゃないか。ははは……。あれほど疎ましく思っていた
虚無が出口を見つけるとは、あっけなく、何とも皮肉なものだ」
才人にはやはり、ジョゼフに何が起こったのかは分からなかった。ただ……誰かの虚無の力が、
ジョゼフの顔に、人間らしい感情をよみがえらせたということは理解した。
ルイズではないだろう。ティファニアも違う。であれば、ジョゼフに魔法を掛けたのは……。
その時に、守備のガーゴイルを破ってタバサたちが艦上に乗り込んできた。聖堂騎士団は
すぐさまジョゼフを取り囲んで杖を向けたが、ジョゼフは力なく座り込んだままで、最早反撃の
意志すら見せなかった。
ジョゼフの正面にタバサが立つ。それで顔を上げたジョゼフは、己の被っていた冠を脱いで、
彼女の足元に置いた。
「シャルロット。長いこと、大変な迷惑を掛けた。詫びのしるしにもならぬが……受け取ってくれ。
お前の父のものになるはずだったものだ。それと……お前の母のことだが。ビダーシャルという
エルフが、おれの動向の監視のためにまだガリアにいるはずだ。そいつに薬を調合してもらえ。
おれからの最後の命令……いや、頼みだと言ってな」
「……何があったの?」
「説明はせぬよ。お前の父の名誉に関わることだからな。だがもう、終わった。全ては終わったのだ。
おれはもう、地獄を見る必要はなくなった。後は、お前がおれを気の済むように扱えば、それでよい」
ジョゼフは笑みを浮かべて、タバサに首を差し出した。
「この首をはねてくれ。それで、本当に全て終わりだ」
タバサはもちろんのこと、この場の全員が、ハルケギニアを恐怖と混沌で呑み込もうとしていた
悪の権化と思われていたジョゼフの、あまりにも穏やかな様子に、理解が追いつかずに立ち尽くしていた。
そしてタバサは、父を殺した憎い仇の首を前にして、
「ジョゼフさまッ!!」
短い悲鳴と、ミョズニトニルンの叫び声が耳に入った。才人が目を開くと――短剣を握っている
ジョゼフの腕だけが、甲板に落ちているのが見えた。
才人のひと太刀は、見事ジョゼフを捉えたのだ!
「やったッ!」
「よくやった相棒! いやほんとにおでれーたよこれは! 大金星じゃねえか! 虚無に
打ち勝つなんてよ!」
才人もデルフリンガーも歓声を抑え切れなかった。しかしまだ勝った訳ではない。才人は
気を引き締め直して、ジョゼフの足をパラライザーで撃った。これでもういくら加速しよう
とも無意味だ。
「お前の負けだ。もう一度言う、怪獣を止めろ。そしてタバサに謝ってもらうぞ」
身体が麻痺して片膝を突いたジョゼフに言いつける才人。最早、どんな愚者が見てもはっきり
しているくらいに勝敗は決している。
それでも、ジョゼフは才人に耳を貸さなかった。
「止められん……今更止まれるはずがなかろう。おれは最期の一瞬まで、絶望に向かって進み続ける」
「まだそんなことをッ!」
「ああ、そうだ……。こんなことになってしまうくらいだったら、初めからこうしていれば
よかったのだろうな。おれの迷宮に出口がないのならば……おれごと壊してしまえば」
ジョゼフが残った腕で、麻痺していても手放そうとしない赤い球が禍々しく光り出した。
しかもその閃光は、フリゲート艦を覆っている。
才人は途轍もない悪寒に襲われた。
「自爆する気かよ!?」
ジョゼフの反対の腕も切り落とし、無理矢理にでも阻止する!
そのために身を乗り出していた才人だったが……いきなりの事態の変化に、思わず足を
止めてしまった。
どこまでも虚ろだった顔のジョゼフが、急にどこか遠い場所に意識を向けたかと思うと……
その目から、ぼろぼろと涙がこぼれて止まらなくなったからだ。
「な……何であんた、泣いてるんだ……?」
訳が分からずについ尋ねかけると、ジョゼフはそれで自分が泣いていることに気がついたようだった。
「泣いてる……? おれは泣いているじゃないか。ははは……。あれほど疎ましく思っていた
虚無が出口を見つけるとは、あっけなく、何とも皮肉なものだ」
才人にはやはり、ジョゼフに何が起こったのかは分からなかった。ただ……誰かの虚無の力が、
ジョゼフの顔に、人間らしい感情をよみがえらせたということは理解した。
ルイズではないだろう。ティファニアも違う。であれば、ジョゼフに魔法を掛けたのは……。
その時に、守備のガーゴイルを破ってタバサたちが艦上に乗り込んできた。聖堂騎士団は
すぐさまジョゼフを取り囲んで杖を向けたが、ジョゼフは力なく座り込んだままで、最早反撃の
意志すら見せなかった。
ジョゼフの正面にタバサが立つ。それで顔を上げたジョゼフは、己の被っていた冠を脱いで、
彼女の足元に置いた。
「シャルロット。長いこと、大変な迷惑を掛けた。詫びのしるしにもならぬが……受け取ってくれ。
お前の父のものになるはずだったものだ。それと……お前の母のことだが。ビダーシャルという
エルフが、おれの動向の監視のためにまだガリアにいるはずだ。そいつに薬を調合してもらえ。
おれからの最後の命令……いや、頼みだと言ってな」
「……何があったの?」
「説明はせぬよ。お前の父の名誉に関わることだからな。だがもう、終わった。全ては終わったのだ。
おれはもう、地獄を見る必要はなくなった。後は、お前がおれを気の済むように扱えば、それでよい」
ジョゼフは笑みを浮かべて、タバサに首を差し出した。
「この首をはねてくれ。それで、本当に全て終わりだ」
タバサはもちろんのこと、この場の全員が、ハルケギニアを恐怖と混沌で呑み込もうとしていた
悪の権化と思われていたジョゼフの、あまりにも穏やかな様子に、理解が追いつかずに立ち尽くしていた。
そしてタバサは、父を殺した憎い仇の首を前にして、
ザンッ、と鈍い音が響き、ジョゼフの首が甲板に転がった。
「……!?」
噴き出た鮮血が、ジョゼフの正面に立っていたタバサの頬を濡らした。しかしジョゼフの
首を落としたのは、彼女ではなかった。
禍々しい光刃がギロチンとなって降ってきたのだ。驚愕した才人たちが見上げると、崩れ落ちた
ジョゼフの胴体の上方には、死神が浮遊していた。
「何だあいつ……!?」
「気をつけて! あれこそが、ジョゼフの裏にいた真の敵……真の悪ですッ!」
既に死神の底知れない敵性を見抜いているアンリエッタが警告を飛ばした。
その死神は、アンリエッタに向けていた侮蔑はそのままに、表情を憤怒に染めてジョゼフの
遺体を見下ろしていた。
『下らないッ! 実に下らない! 我々が世界を滅する力を与えてやって、望みを叶えてやろうと
したというのに! ここまで来ておいて、終わっただと!? やはり人間なんぞに任せたのが間違い
だった! 肝心なところで役に立たんッ!』
「ジ……ジョゼフ様ぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
麻酔が薄れてきたミョズニトニルンがあらん限りの絶叫を発した。死神は彼女も含めて、
この場の人間たちに汚物でも見るかのような冷え切った目を向けた。
『人間ッ! 宇宙の病原菌ども! ゴミ屑! 見るも汚らわしい汚泥風情がッ! 貴様らが
吐息をする度に虫唾が走るッ! 最早貴様らの悪臭には我慢がならんッ!』
「な、何言ってやがんだ、あいつ……」
死神が怒濤のように発する侮辱の言葉の数々に、才人たちはむしろたじろいでいた。恐怖の
視線を集める死神は両の腕を掲げ、諸手に暗黒の力を宿す。
『こうなれば我々が直々に貴様らをこの世から残らず消してくれる! 一匹たりとも、生かしては
おかんッ!!』
そして死神から闇の波動が飛び、それがカルカソンヌを襲う怪獣たちに浴びせられ――
怪獣たちの勢いが強まった!
「ヴォオオオオオオオオオオ!」
「キ――――――――!」
「キイイィィッ!」
「グギャアーッ! グギャアーッ!」
怪獣たちは急激に高まった暴力によって、ゼロたちをはね飛ばす。
『ぐわあぁぁぁぁッ!?』
キングオブモンスのぶちかましで地に叩きつけられたゼロのカラータイマーが赤く点滅し出した。
「ぜ、ゼロッ!」
死神の力によって強力化した怪獣に窮地に追い込まれた仲間たちの姿に、才人が叫び声を上げた。
噴き出た鮮血が、ジョゼフの正面に立っていたタバサの頬を濡らした。しかしジョゼフの
首を落としたのは、彼女ではなかった。
禍々しい光刃がギロチンとなって降ってきたのだ。驚愕した才人たちが見上げると、崩れ落ちた
ジョゼフの胴体の上方には、死神が浮遊していた。
「何だあいつ……!?」
「気をつけて! あれこそが、ジョゼフの裏にいた真の敵……真の悪ですッ!」
既に死神の底知れない敵性を見抜いているアンリエッタが警告を飛ばした。
その死神は、アンリエッタに向けていた侮蔑はそのままに、表情を憤怒に染めてジョゼフの
遺体を見下ろしていた。
『下らないッ! 実に下らない! 我々が世界を滅する力を与えてやって、望みを叶えてやろうと
したというのに! ここまで来ておいて、終わっただと!? やはり人間なんぞに任せたのが間違い
だった! 肝心なところで役に立たんッ!』
「ジ……ジョゼフ様ぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
麻酔が薄れてきたミョズニトニルンがあらん限りの絶叫を発した。死神は彼女も含めて、
この場の人間たちに汚物でも見るかのような冷え切った目を向けた。
『人間ッ! 宇宙の病原菌ども! ゴミ屑! 見るも汚らわしい汚泥風情がッ! 貴様らが
吐息をする度に虫唾が走るッ! 最早貴様らの悪臭には我慢がならんッ!』
「な、何言ってやがんだ、あいつ……」
死神が怒濤のように発する侮辱の言葉の数々に、才人たちはむしろたじろいでいた。恐怖の
視線を集める死神は両の腕を掲げ、諸手に暗黒の力を宿す。
『こうなれば我々が直々に貴様らをこの世から残らず消してくれる! 一匹たりとも、生かしては
おかんッ!!』
そして死神から闇の波動が飛び、それがカルカソンヌを襲う怪獣たちに浴びせられ――
怪獣たちの勢いが強まった!
「ヴォオオオオオオオオオオ!」
「キ――――――――!」
「キイイィィッ!」
「グギャアーッ! グギャアーッ!」
怪獣たちは急激に高まった暴力によって、ゼロたちをはね飛ばす。
『ぐわあぁぁぁぁッ!?』
キングオブモンスのぶちかましで地に叩きつけられたゼロのカラータイマーが赤く点滅し出した。
「ぜ、ゼロッ!」
死神の力によって強力化した怪獣に窮地に追い込まれた仲間たちの姿に、才人が叫び声を上げた。
その頃、マルチバースの一つの内にある地球では、藤宮博也が再び高山我夢の研究施設を
訪ねていた。
「藤宮!」
「我夢……俺が来た理由は、もう分かってるだろう」
格納庫で我夢の前へとやってきた藤宮のひと言に、我夢はうなずき返す。
「ああ。君のアグレイターも、これと同じように光り出したんだろう?」
我夢が取り出したのはエスプレンダー。それと同じ変身アイテムである藤宮のアグレイターも、
ランプ部分が明滅を繰り返した。
「この反応は、遂に僕たちが必要とされる時が来たということだ。このアドベンチャーもね」
照明に照らし出されているアドベンチャー二号を見上げる我夢。アドベンチャーは既に
完成しており、整備も万全だ。いつでも発進できる状態にある。
「すぐに行こう。時間の猶予はないみたいだ。この光が、俺たちを導いてくれる」
「ああ。でも藤宮、玲子さんには挨拶してきたのかい?」
二人乗りに改造しておいたアドベンチャーに乗り込みながら尋ねた我夢に、藤宮は苦笑
しながら返した。
「すぐに帰るとだけな。俺たちは死にに行くんじゃないからな」
それに我夢も苦笑を浮かべた。
「それはそうだ。僕たちは、世界を救いに行くんだからね!」
我夢と藤宮が乗り込むと、アドベンチャーが機動。機体両脇のホイールを高速回転させて
時空間のひずみを作り出し、時空と時空の境の超空間に入り込む準備を行う。
『行ってらっしゃいませ、ガム、フジミヤ』
時空を超えた旅に出る二人を見送るのはPALのみ。しかし我夢たちにはそれだけで十分であった。
彼らは、必ずこの世界に帰ってくるのだから。
「行ってくるッ!」
我夢の返事を合図として、アドベンチャーは空間の壁を超えて別世界へと移動していった。
訪ねていた。
「藤宮!」
「我夢……俺が来た理由は、もう分かってるだろう」
格納庫で我夢の前へとやってきた藤宮のひと言に、我夢はうなずき返す。
「ああ。君のアグレイターも、これと同じように光り出したんだろう?」
我夢が取り出したのはエスプレンダー。それと同じ変身アイテムである藤宮のアグレイターも、
ランプ部分が明滅を繰り返した。
「この反応は、遂に僕たちが必要とされる時が来たということだ。このアドベンチャーもね」
照明に照らし出されているアドベンチャー二号を見上げる我夢。アドベンチャーは既に
完成しており、整備も万全だ。いつでも発進できる状態にある。
「すぐに行こう。時間の猶予はないみたいだ。この光が、俺たちを導いてくれる」
「ああ。でも藤宮、玲子さんには挨拶してきたのかい?」
二人乗りに改造しておいたアドベンチャーに乗り込みながら尋ねた我夢に、藤宮は苦笑
しながら返した。
「すぐに帰るとだけな。俺たちは死にに行くんじゃないからな」
それに我夢も苦笑を浮かべた。
「それはそうだ。僕たちは、世界を救いに行くんだからね!」
我夢と藤宮が乗り込むと、アドベンチャーが機動。機体両脇のホイールを高速回転させて
時空間のひずみを作り出し、時空と時空の境の超空間に入り込む準備を行う。
『行ってらっしゃいませ、ガム、フジミヤ』
時空を超えた旅に出る二人を見送るのはPALのみ。しかし我夢たちにはそれだけで十分であった。
彼らは、必ずこの世界に帰ってくるのだから。
「行ってくるッ!」
我夢の返事を合図として、アドベンチャーは空間の壁を超えて別世界へと移動していった。
死神の魔力によって怪獣の暴威が激化したことで、タバサはジョゼフから転げ落ちた赤い
球へと駆け出した。
(あの球は……!)
見覚えがある。大きさや形は違えども、ファンガスの森を怪獣だらけにしたという、あの球と
同じものに違いない。ならば、あの時のように怪獣を倒す勇者――ウルトラマンを呼ぶことが
出来るはずだ。ゼロたちのピンチを救うには、それ以外方法がない。
しかし、タバサの手が触れるその寸前に――赤い球は死神の魔力をぶつけられ、消滅してしまった。
「あッ……!?」
『思い通りにさせるものか、馬鹿めが! 一度出したものを消す機能はないが、『奴ら』を
呼び出されるようなことは絶対にあってはならんからなッ!』
タバサの希望を消し去ってしまった死神は、地上のキングオブモンスに向かって命令を飛ばす。
『そして貴様らにこれ以上余計な真似はさせん! さぁ、やれぃッ!』
「ヴォオオオオオオオオオオ!」
バジリスとスキューラがゼロを抑えつけている間に、キングオブモンスがフリゲート艦に
向けてクレメイトビームを発射! フネは一瞬にして木端微塵にされた!
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――ッ!!」
当然才人たちは空中に投げ出される。シルフィードや聖堂騎士のペガサスらが慌てて放り
出された人たちを受け止めていくが、そこにバジリスが光球を撃ち込もうとしている。
『やめろぉぉッ!』
「ヴォオオオオオオオオオオ!」
必死に止めようとしたゼロだが、キングオブモンスの尻尾に殴り飛ばされた。
『ぐわぁぁッ!』
バジリスは光球を発射! 才人たちを受け止めたところのシルフィードたちは、とても
かわす余裕がない!
誰もが絶望する、そんな状況であったが、ルイズは決してあきらめなかった。
「こんなところで、わたしたちは終われない! 奇跡よ起きてッ!」
呪文の一文字目すら詠唱する暇もないが、それでもルイズは自分の杖を振り下ろした。
「光よぉぉぉぉぉッ!!」
その刹那、杖にまばゆい光が生じた――。
球へと駆け出した。
(あの球は……!)
見覚えがある。大きさや形は違えども、ファンガスの森を怪獣だらけにしたという、あの球と
同じものに違いない。ならば、あの時のように怪獣を倒す勇者――ウルトラマンを呼ぶことが
出来るはずだ。ゼロたちのピンチを救うには、それ以外方法がない。
しかし、タバサの手が触れるその寸前に――赤い球は死神の魔力をぶつけられ、消滅してしまった。
「あッ……!?」
『思い通りにさせるものか、馬鹿めが! 一度出したものを消す機能はないが、『奴ら』を
呼び出されるようなことは絶対にあってはならんからなッ!』
タバサの希望を消し去ってしまった死神は、地上のキングオブモンスに向かって命令を飛ばす。
『そして貴様らにこれ以上余計な真似はさせん! さぁ、やれぃッ!』
「ヴォオオオオオオオオオオ!」
バジリスとスキューラがゼロを抑えつけている間に、キングオブモンスがフリゲート艦に
向けてクレメイトビームを発射! フネは一瞬にして木端微塵にされた!
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――ッ!!」
当然才人たちは空中に投げ出される。シルフィードや聖堂騎士のペガサスらが慌てて放り
出された人たちを受け止めていくが、そこにバジリスが光球を撃ち込もうとしている。
『やめろぉぉッ!』
「ヴォオオオオオオオオオオ!」
必死に止めようとしたゼロだが、キングオブモンスの尻尾に殴り飛ばされた。
『ぐわぁぁッ!』
バジリスは光球を発射! 才人たちを受け止めたところのシルフィードたちは、とても
かわす余裕がない!
誰もが絶望する、そんな状況であったが、ルイズは決してあきらめなかった。
「こんなところで、わたしたちは終われない! 奇跡よ起きてッ!」
呪文の一文字目すら詠唱する暇もないが、それでもルイズは自分の杖を振り下ろした。
「光よぉぉぉぉぉッ!!」
その刹那、杖にまばゆい光が生じた――。
エスプレンダーとアグレイターの光の波長が導く先へと目指しているアドベンチャーの機内で、
我夢と藤宮の手にしているその二つのランプが、完全な輝きを発した。
「! 我夢ッ!」
「ああ! 行こう藤宮ッ!」
二人は本能的に、変身アイテムを手にする腕を伸ばして、持てる限りの声と力で叫んだ。
「ガイアアアアァァァァァァァァァァッ!!」
「アグルルウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」
我夢と藤宮の手にしているその二つのランプが、完全な輝きを発した。
「! 我夢ッ!」
「ああ! 行こう藤宮ッ!」
二人は本能的に、変身アイテムを手にする腕を伸ばして、持てる限りの声と力で叫んだ。
「ガイアアアアァァァァァァァァァァッ!!」
「アグルルウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」
バジリスの光球が才人たちへと飛んでいく、まさにその時、空の一角にワームホールが開かれた。
『何ッ!?』
驚愕する死神。そのワームホールからは、彼にとって忌々しい赤と青の二つの光が飛び出して
きたからだ。
二つの光は光球にぶつかることで消し去り、才人たちを救った。
「あの光は!?」
赤と青の光に、才人たちも、ゼロたちも一瞬目を奪われた。
二つの光は破壊される街の中心に急降下していき、二人の巨人へと変身する!
「デュワアッ!」
「オアァァッ!」
盛大に土砂を巻き上げながら、大地に力強く立ち上がった赤と青の巨人。タバサはその
赤い方の姿を、今になってもしかと記憶に刻み込んでいた。
「あの時の……ウルトラマン……!」
『ウルトラマンガイア! ウルトラマンアグル!』
ゼロが名前を叫んだ。彼らは、死神が属する宇宙の悪魔、根源的破滅招来体から地球という
命の星を護り抜いたウルトラ戦士たち。我夢と藤宮が今一度変身を遂げたガイアとアグルである!
「赤い球がなくても……助けに来てくれた……!」
タバサは再び遠い世界から助けに駆けつけたガイアに、強い感動を覚えた。
「デュワッ!」
ハルケギニアの地に降り立ったガイアとアグルは、即座にクァンタムストリームと青い光球、
リキデイターをカイザードビシに繰り出した。
「グギャアーッ!!」
二人の攻撃は、数体もいたカイザードビシを瞬く間に燃やし尽くして全滅させた!
『すげぇ……!?』
ガイアとアグルの攻撃の威力に仰天するグレンファイヤーたち。だが二人の力は、こんな
ものではなかった。
『行くぞ、藤宮!』
『ああ!』
ガイアとアグルは互いの手の平を重ね合わせ、エネルギーを統一させる。そして反対側の手を
ピンと伸ばし、ドビシが埋め尽くす空に光線を発射した。
二人の絆の象徴、合体光線タッチアンドショットが、一発でドビシの群れを焼き払って
空に本来の青い色を取り戻した!
「そ、空が晴れた! すごい!」
ルイズたち人間は皆、ガイアたちの想像をはるかに超えるパワーに驚嘆する他なかった。
奇跡の巨人ウルトラ戦士といえども、一瞬にして空を取り返すほどだとは!
「すげぇぜ、ガイアとアグル……! 『俺たち』も、負けてられねぇ!」
感動した才人はシルフィードの背の上で、ゼロが置いていったウルトラゼロアイを自分の
顔面に取りつける。
「今行くぜゼロ! デュワッ!」
才人の身体も光に変わり、ゼロの元へと飛んでいって彼のカラータイマーと融合する。
その瞬間、才人のエネルギーによってカラータイマーの色も青に戻った!
『助かったぜ、才人!』
一気に力を取り戻したゼロはまず、カイザードビシを延々抑え込んで満身創痍のミラーナイト
たちのところに回る。
『ありがとうな、お前ら! ここから先は任せてくれ!』
『分かりました……! ウルトラマン、あなた方に託します!』
『我々の分も頼んだぞ!』
『これで負けたら承知しねぇからな!』
ミラーナイトたちはゼロたちウルトラ戦士を信じて撤退していく。そしてゼロは、ガイアと
アグルの元へと駆け寄って二人と並んだ。
『よく来てくれたな、ほんと助かる! ガイア、アグル、一緒にこの星を救ってくれ!!』
ゼロの呼びかけにガイアたちはしっかりとうなずいて応じ、キングオブモンス、バジリス、
スキューラに向けて構えを取る。
「ヴォオオオオオオオオオオ!」
「キ――――――――!」
「キイイィィッ!」
三大怪獣は正面からウルトラ戦士を迎え撃つ姿勢だ。
計り知れない闇の力によってどうにも、こうにも、どうにもならない状況だったのを見事
逆転したガイアとアグル。しかしハルケギニアの明日を巡るガリア王国の大決戦は、まだ
始まったばかりなのであった!
『何ッ!?』
驚愕する死神。そのワームホールからは、彼にとって忌々しい赤と青の二つの光が飛び出して
きたからだ。
二つの光は光球にぶつかることで消し去り、才人たちを救った。
「あの光は!?」
赤と青の光に、才人たちも、ゼロたちも一瞬目を奪われた。
二つの光は破壊される街の中心に急降下していき、二人の巨人へと変身する!
「デュワアッ!」
「オアァァッ!」
盛大に土砂を巻き上げながら、大地に力強く立ち上がった赤と青の巨人。タバサはその
赤い方の姿を、今になってもしかと記憶に刻み込んでいた。
「あの時の……ウルトラマン……!」
『ウルトラマンガイア! ウルトラマンアグル!』
ゼロが名前を叫んだ。彼らは、死神が属する宇宙の悪魔、根源的破滅招来体から地球という
命の星を護り抜いたウルトラ戦士たち。我夢と藤宮が今一度変身を遂げたガイアとアグルである!
「赤い球がなくても……助けに来てくれた……!」
タバサは再び遠い世界から助けに駆けつけたガイアに、強い感動を覚えた。
「デュワッ!」
ハルケギニアの地に降り立ったガイアとアグルは、即座にクァンタムストリームと青い光球、
リキデイターをカイザードビシに繰り出した。
「グギャアーッ!!」
二人の攻撃は、数体もいたカイザードビシを瞬く間に燃やし尽くして全滅させた!
『すげぇ……!?』
ガイアとアグルの攻撃の威力に仰天するグレンファイヤーたち。だが二人の力は、こんな
ものではなかった。
『行くぞ、藤宮!』
『ああ!』
ガイアとアグルは互いの手の平を重ね合わせ、エネルギーを統一させる。そして反対側の手を
ピンと伸ばし、ドビシが埋め尽くす空に光線を発射した。
二人の絆の象徴、合体光線タッチアンドショットが、一発でドビシの群れを焼き払って
空に本来の青い色を取り戻した!
「そ、空が晴れた! すごい!」
ルイズたち人間は皆、ガイアたちの想像をはるかに超えるパワーに驚嘆する他なかった。
奇跡の巨人ウルトラ戦士といえども、一瞬にして空を取り返すほどだとは!
「すげぇぜ、ガイアとアグル……! 『俺たち』も、負けてられねぇ!」
感動した才人はシルフィードの背の上で、ゼロが置いていったウルトラゼロアイを自分の
顔面に取りつける。
「今行くぜゼロ! デュワッ!」
才人の身体も光に変わり、ゼロの元へと飛んでいって彼のカラータイマーと融合する。
その瞬間、才人のエネルギーによってカラータイマーの色も青に戻った!
『助かったぜ、才人!』
一気に力を取り戻したゼロはまず、カイザードビシを延々抑え込んで満身創痍のミラーナイト
たちのところに回る。
『ありがとうな、お前ら! ここから先は任せてくれ!』
『分かりました……! ウルトラマン、あなた方に託します!』
『我々の分も頼んだぞ!』
『これで負けたら承知しねぇからな!』
ミラーナイトたちはゼロたちウルトラ戦士を信じて撤退していく。そしてゼロは、ガイアと
アグルの元へと駆け寄って二人と並んだ。
『よく来てくれたな、ほんと助かる! ガイア、アグル、一緒にこの星を救ってくれ!!』
ゼロの呼びかけにガイアたちはしっかりとうなずいて応じ、キングオブモンス、バジリス、
スキューラに向けて構えを取る。
「ヴォオオオオオオオオオオ!」
「キ――――――――!」
「キイイィィッ!」
三大怪獣は正面からウルトラ戦士を迎え撃つ姿勢だ。
計り知れない闇の力によってどうにも、こうにも、どうにもならない状況だったのを見事
逆転したガイアとアグル。しかしハルケギニアの明日を巡るガリア王国の大決戦は、まだ
始まったばかりなのであった!