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第百五十話「悪魔の復讐」


ウルトラマンゼロの使い魔
第百五十話「悪魔の復讐」
炎魔人キリエル人
炎魔戦士キリエロイドⅡ 登場



 ルイズ、才人、ジュリオの前に現れた人型の人魂、キリエル人。その名乗りに、ジュリオは
眉間に深い皺を刻みながらつぶやく。
「キリエル……確か終末思想を唱える異教徒が崇拝する偶像の名がそんなだった。それが実在
してて、今こうしてぼくたちの目の前にいるなんてね……。それも攻撃してくるなんて」
「何が目的!? あんたも侵略宇宙人なの!? それともガリアの刺客!?」
 杖を握り締めながら詰問するルイズ。それにキリエル人は、やや気分を害したように返答する。
『このキリエル人をそのような低俗な者どもと同一視しようとは、それだけで愚かしいほどの
無礼よ。我らは無知蒙昧なるお前たち人間を、救済へと導く存在である!』
「き、救済?」
『如何にも。人間は欲深く、愚鈍なる生物。貴様らの罪深き魂は、このキリエル人の導きに
従うことによってのみ救われるのだ』
 最早高圧的などというレベルではないことをさも当然かのように語るキリエル人に、ルイズは
怒りを通り越して引いていた。
「か、勝手なこと言ってんじゃないわよ! そういうのを侵略っていうんでしょうが!」
「やめておきなよ、ルイズ。こういう輩には何を言ったところで無駄なもんさ」
 ジュリオが知った風な顔でルイズを押しとどめた。
『こちらも、得体にならぬ話をしに来たのではない。我らの聖なる焔で浄化するのだ! この
キリエル人に逆らったという大罪をッ!』
 豪語するとともに業火を放ってくるキリエル人。ルイズたちは慌てて逃れる。
「あいつ、一体何言ってるの!? さっきから訳のわかんないことばっか!」
「ルイズ、下がってろ! 危ないぞ!」
 デルフリンガーを構えてルイズを守ろうとする才人に、ジュリオが告げる。
「いや、危ないのはきみだと思うよ、サイト」
「え? どういうこと?」
「だって奴の狙いは……きみ一人のようだから」
 目を丸くしてキリエル人に振り返った才人は、その殺気が自身にのみ向いているようで
あることに気がついた。
『我が炎によって消え失せよ、咎人よッ!』
「ええええーッ!?」
 キリエル人の火炎弾から走って逃れる才人。それを追いかけながらキリエル人ががなり立てる。
『貴様、許さんぞ! あの時の裁きを受けよッ!』
 執拗に狙われる才人にジュリオが言う。
「随分と好かれてるねぇ。きみ、何やったの?」
「知らねぇよッ! 今日初めて会ったよ!?」
 全く呑み込めない才人だが、キリエル人はお構いなしで火炎を飛ばしてくる。炎はどんどんと
周囲に燃え移っていき、このままではルイズのみならず他の関係ない人たちも危ないだろう。
「くッ……ついてこいッ!」
『逃がさんぞ!』
 咄嗟の判断で大聖堂の外へ向かって全速力で駆け出す才人。キリエル人はやはり彼を標的に
して追跡していく。
「サイトぉッ!」
「行くなってルイズ! ここはひとまず彼に任せよう」
 身を乗り出したルイズをジュリオが制止し、才人はキリエル人を引きつけながら大聖堂を
飛び出していった。

 人気のない裏路地に入ったところで才人は立ち止まり、背後から追いかけてきていたキリエル人
へと向き直る。
「お前、何なんだよ! どうして俺のことを狙うんだ!?」
『とぼけるな! 我らは忘れぬぞ、あの時の屈辱をッ!』
 問いかけた才人だが、キリエル人は怒りに駆られているためかその答えはまるで要領を得ない。
呆れ果てた才人は別の問いを投げかける。
「お前がどうして俺を目の敵にするのか、この際それはどうでもいい。けど関係ない人を
巻き込むような攻撃をするのはやめろ! お前の炎で誰かが重傷を負ったりしたらどうするってんだ!?」
 しかし、キリエル人はそれに傲然と言い返す。
『そんなことは知ったことではない! 我らの焔は聖なる炎。このキリエル人を崇めず、
ただの人間を崇拝する愚劣の極みたる者どもの罪を焼却して救済することにもなるのだ!』
 このキリエル人の言葉に、いよいよ才人も怒りが頂点に達した。
「ふざけんじゃねぇッ! 命を救おうとしない奴に、何が救えるんだ!!」
 あまりにも身勝手なキリエル人を、もう許すことは出来ない。才人はウルトラゼロアイを
取り出して装着。
「デュワッ!」
 即座にウルトラマンゼロに変身して、深夜のロマリアの市街の中心に立ち上がる。
『変身したか。ならば見せてやろう! 復讐のために、更に研ぎ澄ました炎と、戦の姿を!』
 対するキリエル人も、立ち昇る煙の柱とともに姿を変え、ゼロと同等のサイズの怪巨人となった!
 まるで白骨がそのまま怪物となったかのような体躯に、顔面はひどく吊り上がっていて、
凄絶な笑みを浮かべているようにも見える。そして胸部の片側には、明滅を繰り返す発光体。
殺気に溢れたこの肉体は、キリエル人の戦闘形態、キリエロイドである。
『姿を変えたか! だが如何様な姿になろうとも、必ず抹殺してくれるッ!』
『訳の分かんねぇことばっかくっちゃべってんじゃねぇぜ! 降りかかる火の粉は払うだけだ! 
行くぜッ!』
 夜の街に突如として出現した二人の巨人に、住居も持たない貧民を中心としたロマリア市民が
大騒然となる中、ゼロとキリエロイドの決闘の火蓋が切って落とされる。
「キリィッ!」
 先制したのはキリエロイドだ。風を切る飛び蹴りでゼロに襲いかかる。が、ゼロも迅速に
反応して回避。
「テヤッ!」
「キリィッ!」
 着地したキリエロイドに横拳を仕掛けようとしたが、その瞬間キリエロイドが後ろ蹴りを
見舞ってきたので防御に切り替えた。交差した腕でキックを受け止める。
「キリッ! キリィッ!」
 キリエロイドの勢いは止まらず、手技を織り交ぜた速い回し蹴りの連発でゼロを徐々に
追いつめていく。キリエロイドの高い敏捷性とフットワークの軽さから来る連続攻撃は、
反撃を繰り出す余地を与えない。
「デェヤッ!」
 しかし格闘戦ならゼロにとっても得意分野。相手のキックを捕らえて上に押し返すことで、
キリエロイドを宙に舞わせる。そこを狙って今度こそ拳を打ち込むも、キリエロイドは即座に
受け身を取って拳を打ち払った。
「シェアッ!」
「キリィッ!」
 ゼロは背後に跳びながらゼロスラッガーを投擲。それをキリエロイドは火炎弾の爆撃で
はね返した。スラッガーがゼロの頭部に戻る。
『なかなかやるじゃねぇか……』
 下唇をぬぐって精神を落ち着かせながらつぶやくゼロ。ゼロの宇宙空手の腕でも、キリエロイド
との格闘戦は互角の状態だ。また、キリエロイドの攻撃の一発一発には重い恨みの念が籠っている
ことにもゼロは気がついた。それがキリエロイドの技のキレも威力も増しているのだ。
 ここでゼロは一瞬、周囲の地表を一瞥した。街のそこかしこに、まだ避難の完了していない
人間が大勢いる。ロマリアは人口密度がハルケギニアでも一位二位を争うレベルなので、その分
避難にも手間と時間が掛かっているのだ。あまり勝負が長引けば、彼らに危険が及ぶ恐れが
比例して高まる。
『とっとと勝負を決めてやるぜッ! はぁぁぁッ!』
 ブレスレットを輝かせ、ストロングコロナゼロに変身。超パワーで格闘戦を決めてしまおうと
いう魂胆だ。
「キリィッ!」
 だがしかし、その瞬間にキリエロイドの肉体にも大きな変化が生じた!
『何!?』
 みるみる内に筋肉が盛り上がり、肉体全体がパンプアップ。腕には刃が生え、より攻撃的な
形態となる。
「向こうも変身した……!」
 大聖堂の外に出て戦いを見守っているルイズが戦慄した。ゼロのお株を奪うかのような
形態変化であった!
「キリィッ!」
『ぐッ!』
 変身を遂げたキリエロイドが飛び込んできて、ストレートパンチを見舞ってくる。ガードした
ゼロだが、盾にした腕がビリビリ痺れた。肉弾戦特化のストロングコロナの腕を痺れさせるとは、
よほどの重さだ!
「キリィッ! キリィッ!」
「セェェアッ!」
 更にキリエロイドは腕の刃を武器にして斬撃を振るってくる。ゼロは両手にゼロスラッガーを
握り締めて対抗し、火花を散らして切り結ぶ。
 一気に勝負を決めるつもりが、キリエロイド側の対応で依然として拮抗。だが、それでは
長期戦に弱いウルトラ戦士が不利となる。
『だったらこうだッ!』
 そこでゼロは戦法を再度変化。ストロングコロナからルナミラクルゼロとなり、キリエロイドの
斬撃をかわしながら高空へと飛び上がった。接近戦が駄目なら、空中戦だ。
「キリィィッ!」
 しかし、キリエロイドもまた再び変身。背面に巨大な翼を生やし、ゼロに向かって一直線に突貫!
『なッ!? うわぁぁぁッ!』
 ジェット機をも上回るスピードで体当たりされたゼロははね飛ばされ、地表に叩きつけられてしまう!
「ゼロッ!」
 思わず絶叫するルイズ。しかも追いかけて着地したキリエロイドが翼を仕舞ってゼロの
背後を取り、首に腕を回してきつく締め上げ出した。
「キーリキリキリキリ!」
『うッ、ぐぅぅぅぅ……!』
 ゼロの苦しみを反映するように、カラータイマーが点滅して危機を報せる。しかしこんなに
密着されていては、超能力を発動する隙がない。ゼロのピンチ!
「何とかしないと……!」
 ルイズが身を乗り出しかけたが、その時に後ろから誰かに呼びかけられた。
「待った、ルイズ! ここはぼくたちに任せてくれ!」
 振り返るルイズ。そこに並んでいたのは……。
「ギーシュ! みんなも!」
 ギーシュを先頭にした、オンディーヌの隊員たちである。ギーシュは胸を張ってルイズに宣言。
「ゼロには何度も助けられている。今度はぼくたちが彼を助ける番だ!」
「い、言うじゃないの! 見直したわギーシュ!」
 驚くルイズ。こんなに頼もしいギーシュは今までにあっただろうか。
「それじゃあお願い!」
「ああ! 行くぞみんな、今こそ練習の成果を見せる時だ!」
「おおッ!」
 ギーシュの号令により、オンディーヌが一斉に杖を高々と掲げた。果たして彼らはどんな
魔法を駆使してゼロを助けるというのか、ドキドキと緊張するルイズ。
「今だッ!」
 そして彼らの杖の先端から同時に魔法の光が発せられ、ゼロの正面で弾ける!
 現れたのは……光による、ハルケギニアの文字の列。
「えッ? 文章?」
 呆気にとられるルイズ。反対側から見ているので文字が左右逆だが、ルイズはそれが「がんばれ
ゼロ」と書かれていることを理解した。
 オンディーヌが口々に叫ぶ。
「負けるなゼロー!」
「こんなことでやられるあなたではないだろう! まだやれるッ!」
「しっかりするんだ! ぼくたちがついてるぞー!」
 わぁわぁと応援の言葉を叫ぶ、だけのオンディーヌにルイズがズルッと肩を落とした。
「ちょっとあんたたちぃッ!? 期待させといて応援するだけってどういうことなのよ! 
もっとマシなこと練習しなさいよッ!」
 大声で突っ込むルイズだが、ギーシュたちは堂々と言い返した。
「何を言うかね! 所詮ドットかラインのぼくたちの魔法で、怪獣をまともに相手に出来る
はずがないだろう!」
「勇気と無謀をわきまえて、出来ることをするのが戦場で生き残る秘訣だよ!」
「無茶をして命を散らす方が、ゼロの気持ちを裏切ることになるよ!」
「そ、それはそうかもしれないけどッ!」
「あはは、面白いね彼ら」
 どうも釈然としないルイズの傍らで、ジュリオが噴き出していた。
 しかしそんなルイズとは裏腹に、オンディーヌの作り出した魔法の光に照らされたゼロは、
胸の内に勇気が湧き上がってきた!
『あいつら……よぉしッ!』
 気合い一閃、通常状態に戻ると同時にキリエロイドの腹部に鋭い肘鉄をお見舞いする。
「キリィィッ!」
 キリエロイドがひるんで拘束が緩んだ隙に脱出。ゼロは体勢を立て直すことに成功した。
「ほら見ろ! ゼロが助かったぞ!」
「ぼくたちの応援が功を奏したんだ!」
「間違ってなかっただろう!?」
「え、えぇー……まぁ、そうかもしれないけど……」
 喜ぶオンディーヌに、ルイズは反応に困った。
 それはともかくとしてゼロは、スラッガーを連結してゼロツインソードDSを作り上げた。
毅然と構え、デルフリンガーへ呼びかける。
『行くぜデルフ! あいつらに応援された手前、あんま情けねぇとこは見せられないからな!』
『その意気だぜ! さぁ、おまえさんの本当の実力を見せつけてやんな!』
 ゼロとキリエロイドが互いに肉薄。キリエロイドが腕の刃を振りかざして斬りかかってくる。
「キリッ! キリィッ!」
「シェアッ! ハァァァッ!」
 しかしゼロはツインソードを閃かせて相手の刃を弾き返し、がら空きになったボディに
斬撃を仕返ししていく。
「キッ、キリィィィッ!」
 大剣による連撃を入れられ、さしものキリエロイドもただでは済まずに大ダメージを負った。
そうして隙が生じた相手を、ゼロは思い切り蹴り上げて宙に浮かす。
「セェアッ!」
「キリィーッ!」
 空中に舞ったキリエロイドへと、ゼロがまっすぐ跳躍!
『これでフィニッシュだぁッ!』
 空にZ型の斬撃が刻まれ、キリエロイドは体内の火炎が暴走して爆散! 紅蓮の灯火を
バックに、ゼロが颯爽と着地した。
「やったぁ! ゼロの逆転勝利だ!」
「練習の甲斐があったぜ!」
「うおおぉぉーッ!」
 大空の彼方へと飛び去っていくゼロを見送りながら、一気に沸き立って大喜びするオンディーヌの
面々。その様子を一瞥したルイズは、ふぅと息を吐いていた。
「まぁ、勝ったし良しとしましょうか……」

 キリエロイドを撃退し戻ってきた才人は、新しくあてがわれた客室でルイズを相手につぶやいた。
「それにしても、さっきの奴は何だったんだろうな。どうして俺のこと、あんなに敵視してた
のかな……」
「やっぱり誰かと勘違いしてたんでしょ。そうでもなきゃ説明がつかないわ。あんた、あれとは
会ったことなかったんでしょ?」
「当然だよ。あんなけったいな奴、どこかで会ってたら忘れたりしねぇよ」
 しかし、このハルケギニアに自分に似た人間などいるのだろうか? 人種から違うのに……
と考える才人だったが、キリエル人を撃破した今、真実を確かめることは出来なくなった。
「まぁいっか。それよりこれからのことだ。さっきのはガリアとは無関係だったみたいだけど、
三日後には必ずガリアが何らかの動きを見せるはずだ。きっとまた何か怪獣を送り込んでくる
はず……。今度こそガリアをとっちめて、タバサを解放してやらなきゃ」
 と使命に燃える才人だったが、そこにゼロが尋ねる。
『けど、いいのか才人? 本当にガリアと事を構えて。そう簡単には決着がつかないと思うぜ』
「もちろんだよ。何度も言ってるだろ?」
『けどな……せっかく帰れるようになったってのに。ズルズルとここに留まることになるかも
しれねぇんだぜ』
 今のゼロの言動に、ルイズは反射的に振り返った。
「えッ、今のどういうこと!? サイトが……帰れる!?」
『ああ。才人には先に言ったんだけどな』
 ゼロがルイズに告げる。
『一度死んで、命の再生がやり直しになってた訳だが、思ったよりも早く完了してな。つい
昨日のことだ』
「命が再生したってことは……ゼロとサイトが分離できるってことよね?」
『そういうことだ。そいつはつまり、才人を地球に送り返せるってことだ』
 少なくないショックを覚えるルイズだったが、話の流れはその方向に進んでないことに気づく。
「そ、それなのにサイト、まだこっちにいるつもりなの?」
 才人はあっけらかんと答えた。
「ああ。だって今の中途半端な状況を投げ出すなんて、目覚めが悪いよ。最低でも、タバサを
ガリアから完全に救い出して安全を確保する! それが済むまではな」
「で、でも……いいの? もう一年以上もこっちにいるじゃない。その……ご家族が心配
されてるはずよ。また危ない目にも遭うでしょうし……確実に帰れる内に帰って、後のことは
わたしたちに任せるのだって……」
 自らの負い目もあり、才人を説得するルイズだったが、それでも才人の気持ちは変わらなかった。
「いいんだ。そりゃあ本音を言えば、母さんたちの顔を見られないのは寂しいけどさ……。
でも、ただの高校生だった俺がウルトラマンだぜ? そして一つの星を救ったなんてことを
土産話にすれば、みんなひっくり返るよ! 母さんも、俺のことを誇りに思ってくれるはずさ! 
それまで我慢するよ」
 その時のことを想像して瞳を輝かせる才人。そんな彼の様子にルイズは思わず肩をすくめた。
「もう、すっかり英雄気取りね。でも……」
 ルイズは、いけないことだとは思いつつも、才人がハルケギニアに留まる道を選んだことに、
喜びと幸せが心の中に溢れて仕方なかった。顔がにやけるのを堪えるのが大変であった。
 才人の家族には申し訳ないと思いながら、この時間が一分一秒でも長く続けばいいのに……
そんな考えまで抱いていた。


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