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第百四十六話「七冊目の世界」


ウルトラマンゼロの使い魔
第百四十六話「七冊目の世界」
ペットロボット ガラQ 登場



 六冊の『古き本』に記憶を奪い取られてしまったルイズ。才人とゼロはルイズを元に戻すため、
未完であった『古き本』を完結させる本の世界の旅を続けてきた。そして遂に六冊全ての本を
完結させ、ルイズもまた記憶を取り戻したのだった。……そう見えたのもつかの間、才人のこと
だけがルイズの記憶からすっぽりと抜け落ちていることが判明した。よりによって才人を思い
出せないのは明らかにおかしい……いよいよ我慢がならなくなった才人たちはリーヴルに
隠していること全てを聞き出すために、彼女を捜し始めたのだが……。

「お姉さま、駄目なのね~! あの眼鏡女、全っ然見つからないのね~!」
「パムー……」
 夜の薄暗い図書館の中を、才人たち一行はリーヴルの姿を求めて捜し回っているのだが、
杳として見つからなかった。シエスタが困惑する。
「いくら広い国立図書館とはいえ、これだけ捜して見つからないというのは変です……!」
『しかし、図書館の人の出入りはずっと監視していたのだが、リーヴルが外に出たところは
確認できなかった。だからまだ館内にいる可能性が高いのだが……』
 と報告したのはジャンボット。彼の言うことなら信用できる。
『見つからないとなると、意図的に隠れていると考えていいだろう。そうなると、やはり
リーヴルは重大な何かを秘匿している可能性が大だ』
『やっぱ、今回の件には裏があるってことだな……』
 ゼロがつぶやいたその時、一旦ルイズの様子を見に行ったタバサが額に冷や汗を浮かべて
戻ってきた。
「ルイズがいない……!」
「何だって!?」
 才人たちの間に衝撃と動揺が走る。
「ど、どういうことでしょうか……!? ミス・ヴァリエール、勝手に出歩いてしまうような
状態ではありませんでしたのに……!」
『ルイズの自発的行動ではなく、何らかの外的要因の可能性が高いだろう。……やはり、
この事件はまだ終わりを迎えてなどいなかったのだ』
 ジャンボットが深刻に述べる。
「ひとまず、図書館の中をもう一度捜そう! どこかにいるかもしれない!」
 才人の提案により、一行は手分けして館内の捜索を再開した。才人は背にしているデルフリンガーの
柄を握り締めて、いつ何が起こっても対処できるようにガンダールヴの力を発動している状態にする。
 やがて才人とデルフリンガーは、館の片隅から人の話し声が聞こえてくるのを耳に留めた。
「ふふッ、そうなの? すごく面白いお話しなのね」
「! 相棒、今の娘っ子の声じゃなかったか?」
「間違いない! 行くぞ、デルフ!」
 すぐにそちらへ駆けつける才人。彼が目にした光景は、ルイズが何者かと向かい合って
談笑しているというものだった。ルイズの相手をしている者の手には、開かれた本がある。
「もっと楽しいお話しが聞きたいわ。お願い出来るかしら?」
「もちろんだよ。君の望みとあらば、ボクは何だって聞かせてあげるよ」
 一見すると少年のようであるが、ふと見れば落ち着いた青年のようにも、また年季の入った
老人のようにも見える、何だか不確かな雰囲気を纏った怪しい人物が、ルイズに本の読み聞かせを
しているようであった。才人はすぐにその怪人物に怒鳴りつける。
「誰だお前は! ルイズから離れろッ!」
 すると怪人物は、至って涼しい表情で才人の方へ顔を上げた。
「おやおや、困るね。図書館では静かにするのがマナー。それくらい常識だろう?」
「ふざけてるんじゃねぇ! 何者だッ! 宇宙人か!?」
 いつでもデルフリンガーを引き抜けるように身構えながら詰問する才人。それと対照的に
余裕に構えている怪人物が名乗る。
「ボクの名前はダンプリメ。君はボクのことを知らないだろうけど、ボクは君のことをずっと
観察させてもらってたよ。サイト……そして君の中のもう一人、ウルトラマンゼロ」
「!!」
『どうやら、こいつがリーヴルの後ろにいる黒幕の正体みたいだな……』
 ゼロのことを簡単に言い当てたダンプリメなる男に対して、ゼロが警戒を深めた。才人は
ルイズに呼びかける。
「ルイズ、そこは危険だ! 早くこっちに来い!」
 だがルイズは才人に顔も向けない。
「ねぇ、早く次の話を聞かせて。わたし、もっとあなたのお話しが聞きたいの」
「ルイズ……?」
『才人、お前のことを思い出せないばかりか、今はお前のことが見えてすらいないみてぇだぜ……!』
 ルイズの反応を分析したゼロが、ダンプリメに向かって言い放つ。
『お前がルイズの記憶をいじってんだな。一体何者で、目的は何だッ!』
「質問が多いなぁ……。まぁこっちばかりが君たちのことを知っているというのも不公平だ。
今度はボクのことを色々と教えてあげようじゃないか。始まりから、現在に至るまでね」
 おどけるように、ダンプリメが己のことを語り始める。
「始まりは、もう二千年も前になるかな。その当時、この図書館にあった本の中で、様々な人の
魔力に晒されて、意志を持った本が生まれた。いや、己が意志を持っていることを自覚したと
いった方が正しいかな」
「意志を持った本……? 生きた本ってことか?」
「俺のようなインテリジェンスソードみてえな話だな」
 才人の手の中のデルフリンガーが独白した。
「それとは少しばかり経緯が異なるものだけどね。インテリジェンスソードは人が恣意的に
作ったものだけど、その本は自然発生したんだから。そして本は、己に触れる人の手の感触、
己を読む人の視線に関心を持ち、徐々に人のことを理解していくようになった。本は成長
するとともに、人に対する関心も大きくなり、それは人を知りたいという欲求に変化して
いった。やがては魔力の影響を受け続けた末に、人の形を取ることに成功するまでになった。
人を知るには、同じ形になるのが最適だからね」
『なるほど……それが今のテメェだってことだな』
 ゼロが先んじて、ダンプリメの話の結論を口にした。
「ご明察。すまないね、回りくどい言い方をして。ボクが本なせいか、自分のことでも他人の
ように話してしまうことがあるんだ」
「お前の正体が本だってことは分かった。けどそれとルイズにどんな関係があるんだ」
 才人はダンプリメへの警戒を一時も緩めないようにしながら、ダンプリメの挙動を監視する。
もしルイズに何か妙なことをしようものなら、即座に飛び出す態勢だ。
「本、つまりボクは人を知る内に、どんどんと人に惹かれていった。もっと人のことを知りたい、
人と交わりを持ちたい……そんな欲求は、遂には人と結ばれたいという想いになったんだ」
「人と結ばれる? 本と人が結婚するってか? そんな馬鹿な」
「まぁ普通はそう思うだろうね。だけどボクは本気さ。この想いは、馬鹿なことであきらめられる
ものじゃないんだ」
 と語るダンプリメに、才人はあることに思い至って息を呑んだ。
「……まさか、それでルイズを!?」
「如何にも。ボクは仲間といえるこの図書館の本の内容も理解する内に、この図書館そのものと
いっていい存在にまでなった。当館に保管される書籍、資料はどんなものであろうと、ボクの
知識になる」
 それはつまり、ダンプリメはトリステインの国家機密にまで精通しているということになる。
王政府の文書の数々も、この図書館に保管されるのだ。
「その中でルイズの存在を知り、生まれて一番の関心と興味を持った。そして彼女がここに
やってきた時に、その類稀なる魔力に関心は最高潮となった。そしてボクは感じた。ルイズ
こそが、ボクの伴侶として最も相応しいとね」
 このダンプリメの言葉に、才人は激怒。
「ふざけんな! ルイズの意志はどうなる! お前が人だろうと本だろうと関係ねぇ、自分の
勝手でルイズの心を好きにいじくり回そうっていうのなら……容赦はしねぇぞッ!」
 相当の怒気を向けたが、ダンプリメは相変わらず態度を崩さなかった。
「勇ましいね。流石は正義の味方のウルトラマンゼロだ。……だけど、やめろと言われて
じゃあやめますと撤回するようだったら、初めからこんなことはしないんだよ」
 不敵な笑みを張りつけているダンプリメの顔面に、やおら迫力が宿った。
「ボクは何としてでもルイズを手に入れてみせる。君が何者であろうとも、邪魔をすることは
許さないよ」
 ダンプリメがサッと一冊の本を取り出すと、その瞬間にダンプリメ自身と、ルイズの身体が
強く発光する。
「うわッ!?」
『まずいぜ才人! 止めろッ!』
 ゼロが忠告したが、その時にはもう遅かった。ダンプリメとルイズの姿は閃光とともに
忽然と消え、後に残されていたのはダンプリメが持っていた本だけであった。
「ル、ルイズッ!!」
『やられた……連れ去られちまったな……』
 床に放置された本へと駆け寄って拾い上げる才人。
「まさか、ルイズはこの中に!?」
『奴が生きた本だっていうのなら、リーヴルがやってたのと同じことが出来ても何ら不思議
じゃねぇだろうな』
「く、くそう……!」
 才人はまんまとルイズを奪い取られたことを悔しんで唇を噛み締めた。そこに騒ぎを聞きつけた
タバサたちが集まって来たので、落胆している才人に代わってゼロとデルフリンガーが経緯と現状を
説明したのであった。

 ひとまず、才人たちはゲストルームに戻って今後の対応を講じることとした。才人らは
テーブルに置いた本を囲んで、話し合いを行う。
『簡潔に言うと、そのダンプリメが今回の件について裏から糸を引いてた輩だ。こいつを
どうにかしないことには、ルイズは取り戻せないと考えていい』
「娘っ子に直接危害を加えるつもりはねえってのが不幸中の幸いだが、どちらにせよ早いとこ
娘っ子を奪い返さねえと色々とまずいだろうな」
 と言うデルフリンガーであるが、するとシルフィードが意見する。
「だけど、本の中に引っ込まれたらここにいるシルフィたちだけじゃどうしようもないのね」
「少なくとも、ミス・リーヴルの手助けがなければいけませんね……」
 シエスタがつぶやくと、才人はリーヴルのことを思い出して顔を上げた。
「そのリーヴルは結局どこに……」
「みんなー」
 と発した直後、才人たちの元にガラQがひょこひょこと現れた。しかも、後ろにリーヴルを
連れている!
「ミス・リーヴル!」
「ガラQ、お前と一緒にいたのか!」
「うん。説得してた」
 リーヴルは皆の視線を受けて気まずそうにしていたが、やがて観念したかのように口を開いた。
「話はガラQより伺いました……。遂にダンプリメが行動を起こしたのですね」
「……全て話してくれる?」
 タバサの問いかけにうなずくリーヴル。才人が一番に彼女に尋ねる。
「まず初めに聞いておきたい。この図書館で起きた事件の初めから終わりまで……リーヴル、
あんたがあのダンプリメという奴に指示されて仕組んだことなのか?」
 その質問に、リーヴルは変にごまかさずに肯定した。
「はい、幽霊騒ぎの件から『古き本』をルイズさんが手に取るように設置するまで、ダンプリメに
言われた通りに……。ですが、それらは図書館を守るために必要なことだったのです」
「図書館を守るために? どういうことなのね?」
「パム?」
 シルフィードとハネジローが首をひねった。リーヴルは答える。
「……ルイズさんを本の世界に取り込む計画を持ちかけられた私は、初めは当然断りました。
そんなことは出来ないと。ですが……ダンプリメは、協力しなければ図書館の本を全て消して
しまうと言ったのです」
「え? 図書館の本を……?」
 呆気にとられる才人たち。
「ダンプリメは本に関しては万能といっていいほどの力を持っています。当館には、他にはない
貴重な図書もいくつもあります。それを盾にされたら、どうしようもなく……」
「ま、待って下さい。いくら貴重だからって……本のために、ミス・ヴァリエールを犠牲に
したってことですか!?」
 いくらか憤りを見せるシエスタであったが、リーヴルははっきりと返した。
「他の人にとってはたかだか本という認識でしょう。ですが、早々に親を亡くし、親戚の元でも
冷遇され、頼る人のいなかった私にとって、この図書館は何より守るべきものなのです」
 リーヴルの身辺を洗っても何も出てこないはずだ、とタバサは思った。本が人質など、
常人の感性では理解できるものではない。
「私も、どうにか説得しようと試みました。ですがダンプリメの意志は強く……」
「押し切られたって訳か」
 静かにうなずくリーヴル。才人は腕を組んでしばし沈黙を保ったが、やがて口を開く。
「事情は分かった。話してくれてありがとう」
「どんな事情にせよ、私がダンプリメの片棒を担いだのは紛れもない事実です。サイトさんに
どう罰せられようとも、異論はありません」
「いや、今リーヴルを責めたってルイズが戻ってくる訳じゃない。それより、ダンプリメ自身の
方をどうにかしないと」
 と言って、才人はリーヴルの顔をまっすぐ見つめて告げた。
「リーヴル、俺をもう一度本の中に送り込んでくれ。ルイズを助けに行ってくる!」
 決意を口にする才人だが、リーヴルは聞き返してくる。
「本気ですか……? 一応、もう一度言いますが、ダンプリメは本に関しては万能です。
特に本の中では、神に等しい能力を発揮できます。そこに乗り込んでいくのは、今までの
六冊の旅よりも危険であることは必至です」
 その警告も、才人にとっては無意味なものであった。
「相手が神だろうが何だろうが、そんなのは関係ない。俺はやる前からあきらめるようなことは
したくないんだ!」
 才人の強い働きかけに、リーヴルも応じたようであった。
「考えは変わらないみたいですね……。分かりました。では少しだけ時間を下さい。準備をします」
「頼む」
「その前に一つだけ、訂正することがあります。最初、私の魔法では本に送り込める人数は
一人だと言いましたが、それは虚偽です。あなたを可能な限り不利な状況に置くようにと、
ダンプリメに指示されましたので」
「そうだったか……。まぁ今更それにとやかく言ってもしょうがない。それよりもこれからのことだ」
 リーヴルが魔法の準備をする間、ジャンボットが才人とゼロに申し出た。
『複数人が本の中に入れるのならば、私たちもともに行こう。皆で力を合わせれば、きっと
ルイズを取り戻せる!』
 ジャンボットの言葉に才人は苦笑を浮かべた。
「ありがとう。……だけど、それは遠慮するよ」
『ああ。ダンプリメも、俺たちがそうしてくるのは予想済みだろうからな。奴が本当に本の中では
万能だってのなら、人数を増やすのは逆に首を絞めることになっちまうかもしれねぇ』
 ダンプリメの能力の範囲はまだまだ未知数。いたずらに複数で挑んだら、最悪同士討ち
させられる恐れもある。
『みんなは外の世界で応援しててくれ。なぁに、心配はいらねぇぜ。俺たちは、あらゆる死線を
突破してきたウルトラマンゼロなんだからな! 本の中の引きこもりぐらい訳ねぇぜ!』
 おどけるゼロの言葉にシエスタたちは苦笑した。
「ええ。それではお帰りをお待ちしています、サイトさん。必ず、ミス・ヴァリエールと
ともに戻ってきて下さい」
「頑張って」
「シルフィ、あなたの勝ちを信じてるのね! きゅいきゅい!」
「パムー!」
 もうここには、才人たちを引き止める者はいない。そんなことをしても意味はないことを
十分理解しているし、何より才人たちを強く信頼しているのだ。
「相棒、俺は持っていきな。正直ずっと置いてけぼりで退屈だったぜ」
「ああ、分かった。頼りにしてるぜ、デルフ」
 才人がデルフリンガーを担ぎ直したところで、彼らの元にリーヴルが戻ってきた。
「お待たせしました。いつでも本の世界へ入れます」
「ありがとう。もちろん今すぐに行くぜ!」
 才人が魔法陣の真ん中に立ち、仲間たちに見守られる中リーヴルに魔法を掛けられる。
向かう先は、ダンプリメが待ち受けているであろう七冊目の世界。
(待ってろよ、ルイズ。すぐに助けに行くぜ!)
 固い意志を胸に秘めて、才人とゼロは今度こそルイズを取り返す戦いに挑んでいくのだった……!


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