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第百四十一話「五冊目『ウルトラCLIMAX』(その2)」


ウルトラマンゼロの使い魔
第百四十一話「五冊目『ウルトラCLIMAX』(その2)」
装甲怪獣レッドキング
古代怪獣ゴモラ
機械獣サテライトバーサーク 登場



 『古き本』もいよいよ残りが二冊。そして五冊目の本は、ウルトラマンマックスが守っていた
地球が舞台の物語だった。ある夜突然街を襲った怪ロボットの出現を始まりとして、人類は謎の
地底人デロスから脅迫を受けることになる。人類の文明放棄を求めるデロスに対し、血気に逸った
某国が地底貫通ミサイルで攻撃しようとしたが、怪獣レギーラとヘイレンによって阻止された。
そのまま人間を襲おうとした怪獣たちはゼロによって倒され、ゼロと才人はその足でマックスに
変身するトウマ・カイトと接触した。才人たちは、地上人と地底人の争いを解決に導けるのだろうか。

 ベースタイタンを臨む海岸線。東京湾に浮かぶ、今まで幾多の怪獣や宇宙人と戦ってきた
DASHの本拠地をながめながら、才人はカイトとの会話を始めた。
「単刀直入に言います、カイト隊員。デロスは宇宙人や侵略者ではありません。元々から
この星の地下に存在していた地底人……紛れもなく、この地球で人知れず栄えていたもう
一つの『人間』です」
「……やっぱり、そうなのか」
 才人から報告されたことを、カイトはよく噛み締めながらつぶやいた。
 才人とゼロは独自調査により、デロスがノンマルトのような、正真正銘地球の生物が進化した
末に誕生した種族である確証を得ていた。そのことを踏まえて、才人はカイトに告げる。
「そして、同じ星の文明同士の争いには、原則としてウルトラ戦士は干渉できません。それが
宇宙のルールなんです」
「……!」
「だから、デロス相手だとたとえどんな事態が起きたとしても、マックスの助けは得られない
ものだと考えて下さい」
 忠告する才人。そんな彼に、カイトは聞き返す。
「でも君たちは、さっき地球人……いや、地上人を助けてくれたじゃないか」
「あれはあくまで人命救助です。地上人の地底攻撃作戦に加担した訳じゃありません」
 現に、やろうと思えばもっと早くに怪獣たちに戦いを挑むことが出来た。それをしなかったのは、
ミサイルの破壊を阻害することは地上人に宇宙の掟を破って肩入れすることになってしまうからだ。
それをしては物語が破綻してしまう恐れがある。
「繰り返しますが、デロスとの間に決着をつけることに、ウルトラ戦士は手を貸せません。
あなたたち『地球人』が全てやらなくちゃいけないんです」
「俺たちが……」
 才人の言葉を受けたカイトの表情に陰りが見える。
「……不安ですか?」
「ああ……正直言うとね。これまでも俺たちは力いっぱい戦ってはきたけど、ほとんどの場合
最終的にはマックスに手助けしてもらってた。そのマックスの助けなしに事に当たらなければ
いけないということが、これほど心細いことだとは……」
 不安の色が抜けないカイトではあるが、内心で己を鼓舞しながら顔を上げた。
「いや……これからはそれをしなければいけないんだ。マックスも、自分の国に帰る時が
近づいてると言ってた。いつまでも頼っていられないってのは、とっくに考えてたことだ。
地球の未来は、俺たち自身で変えていかなればいけないんだ……!」
 固い使命感を顔に窺わせるカイトに、才人はこの部分で心配はいらないだろうと判断した。
話は次に移る。
「もう一つ、デロスの真意は俺たちもまだ掴んでませんが、地上人を滅ぼしたいとかそういった
無法が目的じゃないはずです。それをするつもりなら、事前に警告をする必要はありませんから」
 過去のM78ワールドの地球にはゴース星人という、デロスのように地中からの攻撃に目を
つけた侵略者がいたが、彼らは降伏勧告はしたものの実際の攻撃の際には警告など一切発さず、
世界中の格都市に甚大な人命被害をもたらした。それと比較したら、デロスは今のところ被害を
最小限に留めようとしているように見える。
「つまり、デロスには悪意はないものと思われます。悪意がないのなら、きっと……いや、
必ず分かり合うことが出来る! 勝ち負けじゃない解決法があります。カイトさん、どうか
頑張ってこの地球全体を救って下さい」
 才人の心からの応援に、カイトは謝意を示す。
「ありがとう。……けど、どうして君はそんなにも親身になってくれるんだ? 君からしたら、
俺はどこの誰とも知らない人間だろう」
「いえ……いつでも、どんな場所でも、人の平和を願うのがウルトラ戦士ですから」
 最早言うまでもなく、それは才人自身にとっての願いにもなっていた。これまで数多くの
人間から見せてもらった奇跡……この世界でも起こるものと信じている。

 いよいよカイトとミズキがデロスとの交渉のために、モホロビチッチ不連続面へ向けて
出発する時がやってきた。地中潜行用のドリルモードに換装したダッシュバード三号を
機動母艦ダッシュマザーが海上へと搬送していくのを、地上から才人が見上げている。
「作戦が始まったか……」
『話し合いが上手く行くといいんだけどな……』
 と願うゼロだが、才人は別のことを気に掛けていた。
「地中の世界に行って、無事でいられるかな……。地底戦車って事故が多いし」
 M78ワールドの歴代の防衛隊では、ベルシダーやマグマライザー等様々な種類の地底戦車が
試作されたが、実際に地中に潜ると何らかのトラブルに見舞われて搭乗員が命に危機に瀕する
嫌なジンクスが存在していた。そのため現在では、地底戦車そのものが開発されなくなって
久しい。ダッシュバード三号もそうならないといいのだが……。
『とにかく俺たちも後についていこうぜ。カイトにはああ言ったが、万が一のことも考えられる』
「ああ……」
 才人はゼロアイを装着して、光となるとダッシュマザーの後をつけていく。そしてダッシュマザー
からダッシュバード三号が発進し、海中に潜って海底からデロスの国へ向かっていくのを、ダッシュ
バードが作る地中の道からこっそりとついていく。
 そしてしばらくの間、地中を延々と掘り進んでいったダッシュバードが……岩盤を貫いて
開けた空間の中に飛び出した! 才人とゼロもまた、地底に存在する広大な空間へと躍り出る。
『ここが……デロスの世界……!』
 直径は何キロあるのだろうか。端が見えないほどの広さの空洞に、淡く発光するキノコの
ようなものが無数に点在している。中央には、地上のどんな建物も及ばないような丈のタワーが
集中していた。あれは何だろうか?
 そしてダッシュバードはこの大空洞のちょうど天井から飛び出してしまっていた。そのまま
真っ逆さまに転落していく。ドリルモードでは飛行は出来ないのだ!
『ダッシュバードが危ない!』
『待て! 下手に手を出さず、様子を見るんだ……』
 落下していくダッシュバードの姿に慌てる才人だが、ダッシュバードはホバー噴射を駆使して
どうにか安全に着地しようとしている。このまま何事もなく空洞の底に着陸できるだろうか。
「……ピッギャ――ゴオオオウ!」
「ギャオオオオオオオオ!」
 だがその時、空洞の底を突き破って二体の怪獣が出現した! 目を見張る才人。
『あれはレッドキング、ゴモラ!』
 装甲怪獣レッドキングと古代怪獣ゴモラ。デロスが自分たちの都市の防衛用として放し飼いに
している怪獣だろうか。
「ピッギャ――ゴオオオウ!」
 そしてレッドキングは口から岩石を大量に吐き出し、あろうことかダッシュバードを攻撃
したのだった!
『ああ!?』
 岩石がかすめたダッシュバードはホバーが途切れ、地面に墜落してしまう。その衝撃はひどく、
機体は一瞬にして半壊、しかも上下逆に落下したので搭乗しているカイトとミズキが押し潰される
形になっている!
『大変だ!』
 才人は慌てふためくが、カイトの方は奇跡的に無事のようであった。
「ミズキ、大丈夫か!? ミズキ!!」
 しかしミズキの方は負傷が深刻であった。意識を失い、生命反応が弱っているのが遠くからでも
見て取れるほどであった。
「ピッギャ――ゴオオオウ!」
「ギャオオオオオオオオ!」
 しかも墜落したダッシュバードへと、レッドキングとゴモラが迫っていく。このままでは
話し合いをする暇もなく、カイトたちが叩き潰されてしまう!
『まずいぜ! ゼロッ!』
『ああ! 行くぞ!』
 それをさせてはならない。ゼロは遂に辛抱ならなくなって、ウルトラマンゼロの姿に変身して
二体の怪獣に背後から飛びかかる。
『待て! あいつらには手出しさせねぇぜッ!』
「ピッギャ――ゴオオオウ!」
「ギャオオオオオオオオ!」
 ゼロはレッドキングとゴモラの首に腕を回して捕らえると、ストロングコロナに二段変身して
怪力を発揮。力ずくで引っ張ってカイトたちから遠ざけていく。その間にカイトはミズキを抱えて
ダッシュバードから脱出した。
「ウルトラマンゼロ……! ありがとう……」
 カイトは自分たちを助けるゼロの姿を見上げると礼を告げ、手近な場所にミズキの身体を横たえる。
「しっかりしろミズキ!」
 必死に呼びかけるカイトだが、ミズキは目を覚ます気配を見せない。そしてデロスの指定した
タイムリミットまで、もう残り三分しかなかった。
「くそ……! ミズキ、待っててくれよ!」
 カイトはやむなく使命を優先し、無人の大空洞に向かってあらん限りの声量で叫び始めた。
「おーい! 地上から話をしに来たー! 無茶な要求をしないでくれー! 地上には、平和を
望む人間が、大勢暮らしているんだー!」
 だがデロスからの返答はない。……その代わりかのように、乱立している巨大なタワーが
ミサイルのように飛び上がっていく!
「攻撃を始めたのか!? よせー!!」
 カイトの叫びも虚しく、タワーは次々と発進していく。ゼロはレッドキングの岩石攻撃を
かわしてヘッドバッドを決め、ゴモラのみぞおちに横拳を突き入れてひるませると飛んでいく
タワーを見上げる。
『ゼロ、タワーが! 地上への攻撃が始まっちまったぜ!』
『ああ……! だが俺たちには、それを止めることは出来ねぇ……!』
 悔しいが、ゼロにはなす術なく見ていることしか出来なかった。ここでタワーを撃墜することは、
宇宙からの来訪者としての領分を侵すことになってしまう。
「ここまで来て、何も出来なかったのか……!? バカヤロー!! 何故こんなことをー!!」
 無力さに苛まれて絶叫しているカイトの背後からは、ずんぐりとしているが人型のロボットが
接近していた。地底の警備ロボット、サテライトバーサークだ……!
「うわッ!?」
 振り返ったカイトの首をサテライトバーサークは鷲掴みにして吊り上げる。
「俺は戦いに来たんじゃないんだぁ……!」
 とカイトが訴えても、サテライトバーサークはまるで反応を見せない。サテライトバーサーク
自身は感情を持たない、与えられた命令を実行するだけの機械なのだ。
『ぐッ……!』
「ピッギャ――ゴオオオウ!」
「ギャオオオオオオオオ!」
 レッドキングとゴモラを押さえ込んでいるゼロは、カイトが襲われているのを目にして
うめき声を発する。本心では彼を助けてあげたい。しかし同じ星の文明同士の直接的な諍い
には、どんな形でさえ干渉することはならない。
 もどかしい思いを抱えていると……。
「放しなさーいッ!」
 ミズキが目を覚まし、サテライトバーサークに向かって叫んだ。傷ついた肉体を必死で
支えながら、脅しを掛ける。
「カイトを放さないと……バードスリーをここで自爆させるわ! 密閉されたこの空間で
バードスリーが爆発したら……この都市ごと消滅するわよ!?」
 ミズキがダッシュパッドのスイッチを押すと、ダッシュバードのノズルからジェット噴射が
発せられ、機体が急加熱していく。ミズキが本気である証明だった。
 これを受けてか、サテライトバーサークから声が発せられる。
『我はバーサーク。デロスを保護するシステム……』
 カイトとミズキが驚きで目を見開いた。

 その頃、地上では……ベースタイタンを始めとする、世界中のDASH基地が、地下から
突き出てきたデロスの巨大タワーによって全壊していた。その領地を乗っ取るように
地上に現れたタワーの先端がスパークしている。
 臨時基地としてUDFハンガーに退避していたDASHのメンバーに対して、ルイズがタワーの
分析結果を報告した。
「あの塔は膨大なアルファ粒子発生システムで、空気中の窒素と二酸化炭素を変換しています。
このまま世界各国の塔が酸素変換を続けると、八週間で地球全体の大気組成が変わります」
 続いてショーンが告げる。
「高濃度の酸素があの塔に充満してる! 攻撃デキナイ!」
「このまま手も出せないのかよ! くそぉッ!」
 コバが憤懣やるせなく司令室のコンソール台を叩いた。
「このまま地球の大気を変え、地上の生き物を絶滅させようとしているのかもしれない!」
 ヒジカタの推測を、ヨシナガ博士が否定した。
「そうではないわ。むしろ、地球の大気を、太古の時代に戻そうとしてるのよ!」

 ミズキはカイトを吊り上げたままのサテライトバーサークに訴えかける。
「同じ地球に住んでる者同士、どうして争わないといけないの!? そんなに私たちに滅んでほしい!?」
 それに対するサテライトバーサークの回答は、
『地球に生まれた生物を滅ぼしたいと、デロスは考えていない。しかし、地上の人間が地球の
環境を変えてしまったため、デロスは滅びようとしているのだ』
「えッ……!?」
 今の言葉に、カイトもミズキも、ゼロもまた衝撃を受けていた。

 ルイズはオートマトンのコアからデロスの情報を解読していた。
「デロスは滅びようとする種族。地球を取り巻くオゾン層が人間の産業によって薄くなり、
太陽からの有害放射線が地中にまで届くようになってしまった」

『デロスは太陽の有害放射線により滅びつつある。デロスはバーサークシステムに、デロスの
保護を命じた。バーサークは、止められない』
 ゼロは怪獣たちと戦いながらつぶやく。
『そういうことだったのか……!』
 デロスは自分たちの命の危機という後がない事態のために行動を起こしている。しかし、
地上の人間とて今更全ての文明を放棄することは不可能。それほどまでに人間の数は増えて
しまったのだ。これを解決する手段があるのだろうか……。
「そんな……もう間に合わないの……!? 人間は滅びるしかないの……?」
 そして絶望したミズキの気力が途切れ、その場で前のめりに倒れ込んだ。
「ミズキ!?」
「やっぱり……未来なんて……」
「ミズキーッ!!」
 再び倒れたミズキを目にして、カイトは馬鹿力を出し、サテライトバーサークの拘束を
振りほどいてミズキの元へ駆け寄った。
「ミズキ! ミズキ、しっかりしろ!」
 懸命に呼びかけるカイトだが、ミズキの呼吸は既に途絶えつつあった。
「ごめんね、カイト……! 私、やっぱり……」
「何言ってんだよ……あきらめるなよミズキッ!」
 カイトの呼びかけも虚しく、ミズキは彼の腕の中で力を失う。
『なッ……!!』
 レッドキングを押し返したゼロは、ミズキからの生命反応が消えたことに、言葉を失った。
「ミズキいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!」
 カイトの絶叫が、広大な地底世界の隅にまで轟いた……。


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