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第百三十七話「四冊目『THE FINAL BATTLE』(その1)」


ウルトラマンゼロの使い魔
第百三十七話「四冊目『THE FINAL BATTLE』(その1)」
スペースリセッター グローカーボーン 登場



 『古き本』も遂に三冊、半分を完結させることに成功した。するとそれまでずっと眠り続
けていたルイズが目を覚ました! 喜びに沸く才人たちであったが、現実はそう甘くはなかった。
目覚めたルイズは、全ての記憶を失っていたのだ。自分の名前すら思い出せないありさま。
ぬか喜びだったことが分かり、才人たちは思わず落胆してしまった。
 やはり、『古き本』の攻略は最後まで進めなければならないようだ。

 三冊目攻略の翌朝、ルイズの看護を担っているシエスタが、ルイズのいるゲストルームに入室する。
「おはようございます、ミス・ヴァリエール。お加減は如何ですか?」
 ルイズは既に起床していた。ベッドの上で上体を起こしている彼女は、シエスタの顔を
見返すと清楚に微笑んだ。
「シエスタさん、おはようございます」
「おはよう……ございます……!?」
 ルイズの口からそんな言葉が出てくることに激しい違和感に襲われるシエスタ。本来の彼女は、
平民のシエスタに絶対に敬語を使ったりはしない。
「はぁ……ほんとに記憶の一切を失っちゃったんですね、ミス・ヴァリエール……」
「……ごめんなさい……」
 ため息を吐いたシエスタに、ルイズは悲しげに眉をひそめて謝罪した。
「えッ?」
「どうやら、わたしが記憶を失っていることで、みんなを悲しませているようですね。さっき
サイト……さん、だったかしら。彼も、どこか落ち込んでいられたようでした」
 ルイズはルイズなりに、自身の状況を憂いているようだ。
「それでも、みんな笑顔を見せてくれる。それが、とっても悲しいの……。わたしを心配
してくれた人たちのことを、何も覚えていないなんて……」
「ミス・ヴァリエール……」
 悲しむルイズの様子に胸を打たれたシエスタは、懸命に彼女を励ました。
「大丈夫ですよ! 必ず、サイトさんがミス・ヴァリエールの記憶を取り戻してくれます!」
 そうして看護を行うシエスタは、密かにジャンボットにルイズのことを尋ねかけた。
「ジャンボットさん、ミス・ヴァリエールの記憶を他の手段で戻すことは出来ないんでしょうか?」
 ルイズの脳を分析したジャンボットが回答する。
『難しいな……。記憶中枢が不自然に失活している。無理に回復させようとしたら、余計に
悪化させてしまうことだろう。最悪、一生障害が残る身体になってしまうかもしれない。
やはり、原因たる『古き本』をどうにかしなければならないだろう』
「そうですか……」
 ジャンボットたちの力でもどうにもならないことを知って落ち込むシエスタ。彼女は同時に、
才人が残り三冊分も危険な戦いをしなければならないことに胸を痛めていた。
「……ところで、問題のサイトさんはどこに行かれたのでしょうか?」
『リーヴルのところへ行ったようだな』

 才人は本件に対して、重要な鍵を握っているだろうリーヴルに直接話を聞きに行っていた。
リーヴルはおっとりした雰囲気に反して用心深いようで、何かを隠していることは確実なのだが
それが何なのかは、タバサの調査でも解き明かすことが出来ないでいた。それ故、本人から
探り出そうと突撃したのだった。
 しかし真正面から「何を隠しているんだ?」と問うたところで正直に答えるはずがない。
そこで才人は若干遠回しに攻めてみた。
「リーヴル、あんたは俺たちに随分協力的だよな。何日も図書館の部屋を貸してくれたり……」
「当図書館で起きた問題ならば、司書の私に責任がありますから」
「そうかもしれないけど……実は、リーヴルにも何か得することがあったりするのか? 
だからやたら親身になってくれるんじゃないかなって」
 と聞くと、リーヴルはこんなことを話し始めた。
「……少し、私の話を聞いていただけませんか? ちょうど相手が欲しかったんです」
「え? 話って……?」
 リーヴルは、昔話のような形式で話を語った。それは、小さな王国の民を愛する女王が、
可愛がっていた娘の患った重い病を治すために、悪魔と契約したという内容だった。
 悪魔は女王の娘の病を治す見返りとして、女王の大切にしていたものを要求した。そして娘が
回復すると同時に……王国中が炎に巻かれ、悪魔の契約によって国民全員、果ては世界中の国々が
滅んでしまった。
 その様子を見た女王は、娘に告げた。「あなたの病気が治って本当によかった」と……。
「……嫌な話だな。作り話にしたって、その女王様はわがまま過ぎるだろ」
 聞き終えた才人は率直な感想を述べた。するとリーヴルが反論する。
「そうでしょうか? 悪魔以外に娘の病気を治せる者はいなかったんですよ? 娘が治るなら、
どんな代償だって……」
「でも、罪のない人たちを巻き込むのは間違ってるって」
「他人は他人。大事な人と世界……天秤に掛けるまでもなく、どちらが重いかは明白じゃないですか。
大事な人がいなければ、世界なんて何の意味も……」
 そう語るリーヴルに、才人は返した。
「いや……俺は大事な人だけがいればいいなんて、それが正しいなんて思えない」
「……?」
「その女王様の話だってさ、世界に娘と二人だけしかいなくなって、それからどうやって
生きていくんだ? 多分、すぐ不幸になるさ。俺の経験から言うと、現実の世界ってそんな
甘いものじゃあないからな。それじゃあ、娘を治した意味なんてないじゃないか」
「……それはそうかもしれませんが……」
 才人の指摘に戸惑うリーヴルに、才人は続けて語る。
「それにさ……大事な人、大事なものって言うのは、案外その辺りにたくさん転がってるものだよ。
俺は今シュヴァリエの称号を持ってるけど、それは今助けようとしてるルイズがいただけで得られる
ものじゃなかった。シエスタやタバサ、魔法学院で出来た友達や先生の教え、他にも行く先々で
出会った人たちが俺に教えてくれたものがなければ、今の俺は確実になかったし、どっかで野垂れ
死んでたかもしれない。だから俺は、一人を助けられたらそれでいいなんてのは間違いで、みんなを
助ける! それが正しいことだと思う」
 ハルケギニアに召喚される以前の才人ならば、リーヴルの言うことにある程度は納得した
かもしれない。だが今は違う。多くの出会いと経験を積み重ねて、成長した才人はもっと
大きな視点から物を考えられるようになったのだ。
 才人の意見を受けたリーヴルは、しかし彼に問い返す。
「みんなを助ける、と言いますが、あなたにはそれが簡単に出来るのですか? たとえば
先ほどの話ならば、悪魔にすがる以外に方法などありません。それとも、娘を見捨てろとでも?」
 それに才人ははっきりと答えた。
「もちろん、簡単に出来ることじゃないだろうさ。失敗してしまうかもしれない。……だけど、
俺だったら最後まであきらめないし、妥協しない! どんなに苦しくたって、みんな助かる道を
最後まで探し続けるぜ!」
「……」
 才人の言葉を聞いて、リーヴルはうつむいて何かを考え込んでいたが、やがてすっくと立ち上がった。
「少し、話し込んでしまったようですね……。本日の本の旅の時間です。準備は整っていますので、
あなたもご用意を」
「あ、ああ」
 背を向けて立ち去っていくリーヴルを見送って、才人はゼロに呼びかけた。
「ゼロ、さっきのリーヴル話には何か意味があったのかな」
『わざわざあんな話をしたってからには、伝えたいものがあったんじゃないかとは思うな』
「じゃあ、さっきの話の中に真実が……もしかして、リーヴルは誰かを人質にされて俺たちを
本の世界に送ってるのかな?」
『そんな単純な話でもないと思うがな……。何にせよ、全ての本を完結させることについての
リーヴルのメリットが分からないことには、何の断定も出来ないぜ』
 話し合った二人は、それでも念のため、リーヴルの周囲に誰か消えた人がいないかということを
タバサに調べてもらおうということを決定した。

 そうして四冊目の本を選ぶ場面となった。
「それでは始めましょう。サイトさん、本を選んで下さい」
 残るは三冊。それぞれを見比べながら、才人はゼロと相談する。
『ゼロ、次はどれがいいかな』
『次は……なるべく知ってる奴が主役の本を片づけていこう。ってことでその本だ』
 ゼロが指定したのは、青い表紙の本であった。
「この本ですね、分かりました。では、良い旅を……」
 『古き本』の攻略も折り返し地点。才人とゼロは四冊目の世界へと入っていった……。

   ‐THE FINAL BATTLE‐

 宇宙の悪魔サンドロスが撃退されてから数年、壊滅してしまった遊星ジュランの復興とともに、
怪獣と人間の共生する世界のモデルを築く『ネオユートピア計画』の始動の時が近づいていた。
その第一歩として怪獣をジュランへ輸送する大型ロケット『コスモ・ノア』が建造され、その
パイロットには春野ムサシが選ばれた。どんな苦難にも夢をあきらめなかった青年の奇跡が、
実現しようとしているのだ……。
 しかし、宇宙開発センター上空に突然謎の円盤が出現。円盤から投下された巨大ロボットが、
コスモ・ノアを狙う! それを阻止したのは、ムサシとともに数々の脅威に立ち向かった英雄、
ウルトラマンコスモス! コスモスはロボットを破壊するものの、円盤からは次々にロボットが
現れる。コスモスの窮地にムサシは今一度彼と一体となり、ロボットの機能を停止させた。
 これで当面の危機は凌げたように思われたが……そこに現れたのは、サンドロスとの戦いの時に
コスモスを助けてくれたウルトラマン、ジャスティス。しかもジャスティスはロボットを再起動
させたばかりか、コスモスに攻撃してきたのだ!

 赤いモノアイのロボット、グローカーボーン二体を張り倒したコスモス・エクリプスモードに、
ジャスティスは右拳からの光線、ジャスティススマッシュで攻撃する。
『ジャスティス、何故だ!?』
 ムサシの問いにジャスティスは、駆けてきての蹴打で答えた。
「デアッ!」
 かわしたコスモスにジャスティスは容赦なく蹴りを打ち続ける。何かの間違いではなく、
ジャスティスは明白にコスモスに対する攻撃意思を持っている!
『待て!』
 訳が分からず制止を掛けるムサシに構わず、ジャスティスはコスモスの首を鷲掴みにして締め上げる。
「ウゥッ!」
『どうして……ウルトラマン同士が戦うんだ……!』
 混乱するムサシ。ジャスティスはやはり何も言わないまま、コスモスをひねり投げた。
「デアァッ!」
「ウアッ……!」
 反撃せず無抵抗のままのコスモスに対して、ジャスティスは容赦なく打撃を浴びせ続ける。
その末にコスモスを力の限り蹴り倒す。
「デェアッ!」
「ムサシーッ!」
 コスモスが倒れると、ムサシのチームEYES時代の先輩であり、新生チームEYESのキャップに
就任したフブキが絶叫した。本来ムサシに個人的に会いに来ただけであり、非武装の今では
コスモスを助けることは出来ない。
「ゼアッ!」
 よろよろと起き上がるコスモスに、ジャスティスは再びジャスティススマッシュを食らわせた。
その攻め手に慈悲はない。
「グアァッ!」
「ムサシ! コスモス立てー!」
 一方的にやられ、カラータイマーが赤く点滅するコスモスを、フブキが駆けていきながら
懸命に応援する。
「ジュッ……!」
「立て! コスモス! ムサシー!」
 コスモスがやられている間に、グローカーボーンが起き上がって、両腕に備わったビームガンから
コスモ・ノアに向けて光弾を発射した!
『やめろぉッ!』
 叫ぶムサシ。コスモ・ノアが危ない!
 ――その時、空の彼方からひと筋の流星が高速で迫ってきて、コスモ・ノアの前に降り立った!
「あれは……!?」
「セェアッ!」
 驚愕するフブキ。コスモ・ノアの盾となって、光弾を弾き飛ばしたのは、三人目のウルトラマン……
ウルトラマンゼロだ!
「ジュッ!?」
 ゼロの登場に、コスモスも、ジャスティスも目を見張った。
「あのウルトラマンは……味方なのか、敵なのか……?」
 訝しむフブキ。彼はジャスティスの行いで、それが分からなくなっていた。
「セアァッ!」
 そんな彼の思考とは裏腹に、ゼロは瞬時にグローカーボーンに詰め寄って、鉄拳を浴びせて
片方を殴り倒した。
「キ――――――――ッ!」
 ゼロを敵と認識したもう片方のグローカーボーンが即座に光弾を放ったが、ゼロはバク転で
かわしながら接近し、後ろ回し蹴りで横転させた。
「ジュアッ!」
 グローカーボーンと戦うゼロにもジャスティスは攻撃を仕掛けようとしたが、そこにコスモスが
飛びかかり、羽交い絞めにして阻止した。
「セェェェアッ!」
 コスモスがジャスティスを食い止めている間に、ゼロはグローカーボーン一体をゼロスラッガー
アタックで切り刻んで爆破し、二体目にはワイドゼロショットを撃ち込んで破壊した。
 だがいくらグローカーボーンを破壊しても、大元の円盤、グローカーマザーから新たな機体が
送り出されようとしている。
『させるかよッ!』
 するとゼロはストロングコロナゼロに変身して、上空のグローカーマザーに対してガルネイト
バスターを放った!
『ガルネイトバスタぁぁぁ―――――ッ!』
 灼熱の光線が直撃し、その猛烈な勢いによってグローカーマザーを押し上げ、大気圏外まで
追放した。
『ちッ、破壊は出来なかったか。頑丈だな……』
 ゼロが舌打ちしていると、ジャスティスがコスモスを振り払ってジャスティススマッシュを
撃ってきた。
「デアッ!」
「! ハッ!」
 すぐに気がついたゼロは光線を腕で弾く。そのままジャスティスとにらみ合っていると、
ジャスティスが、『聞き慣れた声で』問うてきた。
『お前は何者だ。何故お前も人間に味方するのだ』
「ッ!」
 一瞬動きが固まったゼロだったが、気を取り直して、背にしているコスモ・ノアを一瞥
しながら答える。
『あれは地球人たちの夢の砦だ。そいつを壊していい道理がある訳ねぇ』
 と告げると、ジャスティスはやや感情を乱したように言い放った。
『夢だと……お前もそんな曖昧なものを、宇宙正義よりも優先するというのかッ!』
 ジャスティスがゼロへ駆けてきて殴り掛かってくるが、ゼロはその拳を俊敏にさばく。
『夢を奪うことが、正義なものかよッ!』
 言い返しながら肩をぶつけてジャスティスの体勢を崩し、掌底を入れて突き飛ばした。
 それでもジャスティスはゼロとの距離を詰めて打撃を振るってくる。
『奪う? 地球人こそがいずれ、略奪者となるのだ! それを未然に阻止することこそが正義だッ!』
 荒々しい語気とともに放たれるパンチ、キックの連打。しかしゼロはそれら全てを受け流した。
『どんな事情があるか知らねぇが、まるで説得力がねぇな!』
『何!?』
『お前の拳がどうして俺に当たらないか分かるか? 感情的になりすぎてがむしゃらだからだ! 
技はそのままお前の心の状態を表してるぜ』
 ゼロの指摘を受け、心に刺さるものがあったかジャスティスが一瞬たじろいだ。
『何かの後ろめたさを強引に振り切ろうって感じの拳だ。そんな半端な拳は、俺には通用しねぇ。
コスモスだって、その気だったら今のお前なんか敵じゃなかっただろうぜ』
『……知った風な口を……!』
 ゼロの言葉に何を感じたか、怒りを見せたジャスティスが光線を繰り出そうと構え、ゼロも
身構える。
 だが二人の争いに、ムサシの叫び声が割り込んだ。
『やめてくれ! ウルトラマン同士で争い続けて、何になるんだ!? 話せば分かり合えるはずだッ!』
『……!』
 それにより、ジャスティスは構えた腕を下ろした。ゼロもまた、これ以上戦おうとはせずに
構えを解く。
 そしてジャスティスとゼロが同時に変身を解除し、光に包まれて縮んでいった。少し遅れて
コスモスも、ムサシの身体に変わっていく。
「うッ……!」
「コスモス! 大丈夫ですか!?」
 ジャスティスからもらったダメージが響いて倒れているムサシの元に才人が駆け寄ってきて、
彼に手を貸して助け起こした。
「君は……さっきのウルトラマンか……」
 才人に肩を貸されたムサシが問いかけた。
「君は何者なんだ……? あの赤い姿からは、コスモスの光が感じられた……。どうして君が
コスモスの光を持っている?」
「……」
 才人は無言のまま答えなかった。ストロングコロナはダイナとコスモスから分け与えられた
光によって生まれた形態だが、この世界のコスモスにはあずかり知らぬこと。だがそれをどう
説明したらよいものか。
 才人が黙っていたら、フブキが二人の元へと駆けつけてきた。
「ムサシ! 大丈夫だったか!?」
「フブキさん……」
「……そこの子供が、三人目のウルトラマンか……」
 フブキは見ず知らずの才人を一瞬警戒したが、すぐにそれを解く。
「何者かは知らないが、ムサシとコスモスを助けてくれてありがとう」
「いえ……」
 フブキが話していると……四人目の人物がコツコツと足音を響かせて現れた。
「コスモス、そしてもう一人のウルトラマンよ。お前たちがどうあがいたところで、デラシオンの
決定は覆らない」
「!」
 振り返った才人の顔が、苦渋に歪んだ。
 新たに現れた人物……状況的に、ジャスティスの変身者は……ルイズの姿形となっているのだ。


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