ウルトラマンゼロの使い魔
幕間その九「学院の仲間たち」
岩石怪獣サドラ 登場
幕間その九「学院の仲間たち」
岩石怪獣サドラ 登場
王立図書館の幽霊騒動の解決をアンリエッタから頼まれたルイズと才人。何のことはない
事件だろうと思っていたのだが、ルイズが突如として倒れて目を覚まさなくなってしまう!
司書のリーヴルの語ることには、ルイズは自らの完結を望む、魔力を持った『古き本』の中に
精神を捕らわれてしまったというのだ。才人はルイズを救うため、『古き本』の中へ旅立つ
ことを決意する。
だが六冊の『古き本』はどれも、ウルトラ戦士の戦いを題材とした作品だった。才人とゼロは
一冊目『甦れ!ウルトラマン』だけでも、その中に現れた怪獣軍団とEXゼットンに大苦戦。辛くも
完結させることは出来たが、ひどく消耗したために連続して本の世界に入り込むことは不可能だった。
才人が身体を休めている間、彼を支援するタバサは一旦魔法学院に戻っていた……。
事件だろうと思っていたのだが、ルイズが突如として倒れて目を覚まさなくなってしまう!
司書のリーヴルの語ることには、ルイズは自らの完結を望む、魔力を持った『古き本』の中に
精神を捕らわれてしまったというのだ。才人はルイズを救うため、『古き本』の中へ旅立つ
ことを決意する。
だが六冊の『古き本』はどれも、ウルトラ戦士の戦いを題材とした作品だった。才人とゼロは
一冊目『甦れ!ウルトラマン』だけでも、その中に現れた怪獣軍団とEXゼットンに大苦戦。辛くも
完結させることは出来たが、ひどく消耗したために連続して本の世界に入り込むことは不可能だった。
才人が身体を休めている間、彼を支援するタバサは一旦魔法学院に戻っていた……。
「な、何だってー!? ルイズがそんなことになっちまったのか!?」
学院の寮塔の、ルイズの部屋。タバサとシルフィードは荷物を取りに来たとともに、ゼロの
秘密を共有する仲間、ウルティメイトフォースゼロの三人とシエスタ、キュルケに、ルイズたちの
身に降りかかっている事態を打ち明けた。
ちゃぶ台を囲みながら大仰に驚いたグレンに、シルフィードが首肯する。
「そうなのね。それでゼロとあの男の子が、本の中に入って『古き本』っていうのを終わらせてる
ところなのね」
「ルイズとサイトったら、よくよく厄介事に巻き込まれるわねぇ……」
キュルケが頬に手を当ててため息を吐いた。シエスタはルイズたちの身を案じて目を伏せた。
「ミス・ヴァリエールはもちろんですが、サイトさんも大丈夫なのでしょうか……。『古き本』と
いうものを完結させるのは、相当大変なようですし……」
『うむ……どうにか手助けしたいところだが、さすがに本の中の世界では手出しのしようがないぞ……』
参ったようにうなるジャンボット。如何に超人の集まりのウルティメイトフォースゼロと
いえども、本の中に入る術は持ち合わせていないのだ。
「ミラーナイト、お前はどうにか出来ねぇのかよ。二次元人とのハーフだろ?」
「残念ながら、無理です。正確には鏡面世界の人間ですので、鏡の中には入れても、さすがに
本の中というのは……」
グレンが聞いたが、ミラーはそう答えたのだった。
「本の中に入る術を扱えるのは、そのリーヴルさんという人のみ。その方が、一人だけしか
本の中へ送れないと言うのでしたら、歯がゆいですが私たちには見守ることしか……」
とミラーが言った時、何かを思案したキュルケが意見した。
「そのリーヴルって人、全面的に信用していいのかしら?」
「どういうことなのね?」
シルフィードが聞き返すと、キュルケは己の考えを口にする。
「だって、始まりはほんの些細な幽霊の目撃談だったんでしょ? それまではたったそれだけの
ことだったのに、ルイズたちが図書館を調べ出してからいきなりそんな大事に発展するなんて。
ちょっと話が出来過ぎてるんじゃないかしら?」
『確かに……。事態が急変しすぎてるように思えるな』
ジャンボットが同意を示した。タバサもまた、口には出さないものの内心ではキュルケと
同様の考えと、リーヴルへのかすかな疑念も抱いているのであった。
『古き本』の視点から考慮してみれば、“虚無”の力を持った人間が図書館にやってくると
いうことなど事前に分かる訳がないはず。だからそれ以前に違う人間の魔力が狙われても
よさそうなものなのに、ルイズが最初の被害者になったというのはただの偶然だろうか。
それにタバサは、才人が一冊目の本を攻略している間、図書館に来館した人たちを当たって
情報収集をしたのだが、誰も図書館で幽霊が目撃されたという話を知らなかった。では、何故
幽霊の目撃談などが王宮に上がったのだろうか?
「……幽霊の件を報告したのも、リーヴルさんという話でしたね……」
ミラーが腕を組んで考え込んだのを見て、ジャンボットが尋ねかける。
『ミラーナイト。お前は一連の事態を、リーヴルという人物が仕組んだものだと考えている
のではないか?』
「何!? そいつは本当か!?」
「サイトさんたちは、罠に掛けられたと!?」
グレンとシエスタが過敏に反応したので、ミラーは二人をなだめた。
「落ち着いて下さい、何もそこまで言うつもりはありません。ただ……この一連の事態、
偶然が重なったとするよりは、何者かの意思が働いてると考える方が自然ではないかと
いうだけです。今のところ、その候補に挙がるのはリーヴルさんですが、まだ彼女がそう
だと決定する明確な根拠もありません」
『要するに、判断材料がまだ足りないということか』
「ええ。……ともかく今は、リーヴルさんの手を借りて本の世界を攻略していく以外に手段は
ありませんね」
結論づけたミラーは、タバサに向き直って託した。
「タバサさん、引き続きサイトとゼロを支援してあげて下さい。それと、リーヴルさんは
きっと何か、あなた方に話していないことがあると思われます。彼女の動向にも目を光らせて
下さい」
「分かった」
「シルフィたちにお任せなのね!」
「パム!」
タバサたちが返事をした後で、シエスタが名乗り出る。
「わたしも図書館に行きます! わたしはサイトさんの専属メイドです。身の回りのお世話なら
わたしの仕事です。それに……ミス・ヴァリエールの介護をする人も必要でしょうし……」
いつもルイズと才人を巡った恋の鞘当てを展開しているシエスタだが、今回は本心でルイズの
ことを心配して申し出た。ルイズとは立場を越えた心の友でもあるのだ。
「ではシエスタさんにもお願いします。そして私たちは……」
ミラーが言いかけたところで、ジャンボットが鋭い声を発した。
『ミラーナイト、グレンファイヤー! トリステイン西部の山岳地帯から怪獣の群れが出現し、
人里に接近している! すぐに出動だ!』
「分かりました!」
「よぉっし! すぐに行くぜッ!」
ミラーとグレンはすぐに立ち上がり、姿見の前に並ぶ。二人にシエスタとキュルケが応援した。
「頑張って下さい! このトリステインの人たちのこと、お願いします!」
「ゼロが動けない分も頼んだわね!」
「ええ、お任せを」
「すぐに片をつけてくるぜ!」
ミラーとグレンは姿見から鏡の世界のルートを通り、怪獣出現の現場へと急行していった。
学院の寮塔の、ルイズの部屋。タバサとシルフィードは荷物を取りに来たとともに、ゼロの
秘密を共有する仲間、ウルティメイトフォースゼロの三人とシエスタ、キュルケに、ルイズたちの
身に降りかかっている事態を打ち明けた。
ちゃぶ台を囲みながら大仰に驚いたグレンに、シルフィードが首肯する。
「そうなのね。それでゼロとあの男の子が、本の中に入って『古き本』っていうのを終わらせてる
ところなのね」
「ルイズとサイトったら、よくよく厄介事に巻き込まれるわねぇ……」
キュルケが頬に手を当ててため息を吐いた。シエスタはルイズたちの身を案じて目を伏せた。
「ミス・ヴァリエールはもちろんですが、サイトさんも大丈夫なのでしょうか……。『古き本』と
いうものを完結させるのは、相当大変なようですし……」
『うむ……どうにか手助けしたいところだが、さすがに本の中の世界では手出しのしようがないぞ……』
参ったようにうなるジャンボット。如何に超人の集まりのウルティメイトフォースゼロと
いえども、本の中に入る術は持ち合わせていないのだ。
「ミラーナイト、お前はどうにか出来ねぇのかよ。二次元人とのハーフだろ?」
「残念ながら、無理です。正確には鏡面世界の人間ですので、鏡の中には入れても、さすがに
本の中というのは……」
グレンが聞いたが、ミラーはそう答えたのだった。
「本の中に入る術を扱えるのは、そのリーヴルさんという人のみ。その方が、一人だけしか
本の中へ送れないと言うのでしたら、歯がゆいですが私たちには見守ることしか……」
とミラーが言った時、何かを思案したキュルケが意見した。
「そのリーヴルって人、全面的に信用していいのかしら?」
「どういうことなのね?」
シルフィードが聞き返すと、キュルケは己の考えを口にする。
「だって、始まりはほんの些細な幽霊の目撃談だったんでしょ? それまではたったそれだけの
ことだったのに、ルイズたちが図書館を調べ出してからいきなりそんな大事に発展するなんて。
ちょっと話が出来過ぎてるんじゃないかしら?」
『確かに……。事態が急変しすぎてるように思えるな』
ジャンボットが同意を示した。タバサもまた、口には出さないものの内心ではキュルケと
同様の考えと、リーヴルへのかすかな疑念も抱いているのであった。
『古き本』の視点から考慮してみれば、“虚無”の力を持った人間が図書館にやってくると
いうことなど事前に分かる訳がないはず。だからそれ以前に違う人間の魔力が狙われても
よさそうなものなのに、ルイズが最初の被害者になったというのはただの偶然だろうか。
それにタバサは、才人が一冊目の本を攻略している間、図書館に来館した人たちを当たって
情報収集をしたのだが、誰も図書館で幽霊が目撃されたという話を知らなかった。では、何故
幽霊の目撃談などが王宮に上がったのだろうか?
「……幽霊の件を報告したのも、リーヴルさんという話でしたね……」
ミラーが腕を組んで考え込んだのを見て、ジャンボットが尋ねかける。
『ミラーナイト。お前は一連の事態を、リーヴルという人物が仕組んだものだと考えている
のではないか?』
「何!? そいつは本当か!?」
「サイトさんたちは、罠に掛けられたと!?」
グレンとシエスタが過敏に反応したので、ミラーは二人をなだめた。
「落ち着いて下さい、何もそこまで言うつもりはありません。ただ……この一連の事態、
偶然が重なったとするよりは、何者かの意思が働いてると考える方が自然ではないかと
いうだけです。今のところ、その候補に挙がるのはリーヴルさんですが、まだ彼女がそう
だと決定する明確な根拠もありません」
『要するに、判断材料がまだ足りないということか』
「ええ。……ともかく今は、リーヴルさんの手を借りて本の世界を攻略していく以外に手段は
ありませんね」
結論づけたミラーは、タバサに向き直って託した。
「タバサさん、引き続きサイトとゼロを支援してあげて下さい。それと、リーヴルさんは
きっと何か、あなた方に話していないことがあると思われます。彼女の動向にも目を光らせて
下さい」
「分かった」
「シルフィたちにお任せなのね!」
「パム!」
タバサたちが返事をした後で、シエスタが名乗り出る。
「わたしも図書館に行きます! わたしはサイトさんの専属メイドです。身の回りのお世話なら
わたしの仕事です。それに……ミス・ヴァリエールの介護をする人も必要でしょうし……」
いつもルイズと才人を巡った恋の鞘当てを展開しているシエスタだが、今回は本心でルイズの
ことを心配して申し出た。ルイズとは立場を越えた心の友でもあるのだ。
「ではシエスタさんにもお願いします。そして私たちは……」
ミラーが言いかけたところで、ジャンボットが鋭い声を発した。
『ミラーナイト、グレンファイヤー! トリステイン西部の山岳地帯から怪獣の群れが出現し、
人里に接近している! すぐに出動だ!』
「分かりました!」
「よぉっし! すぐに行くぜッ!」
ミラーとグレンはすぐに立ち上がり、姿見の前に並ぶ。二人にシエスタとキュルケが応援した。
「頑張って下さい! このトリステインの人たちのこと、お願いします!」
「ゼロが動けない分も頼んだわね!」
「ええ、お任せを」
「すぐに片をつけてくるぜ!」
ミラーとグレンは姿見から鏡の世界のルートを通り、怪獣出現の現場へと急行していった。
「キョオオオオォォォォ!」
トリステインの山岳地から現れ、人間の村に向かって進行しているのは十数体もの怪獣の群れ。
全身が蛇腹状の身体に、両腕の先はハサミとなっている。岩石怪獣サドラだ。
そのサドラの群れの進行方向に、ミラーナイト、ジャンボット、グレンファイヤーが空から
降り立って立ちはだかった。
『これが私たちの役目。ゼロがルイズを救出している間、私たちでハルケギニアを防衛します!』
『怪獣たちよ、ここから先へは行かせんぞ!』
『どっからでも掛かってこいやぁ! 今日の俺たちは、一段と燃えてるぜぇッ!』
戦意にたぎる三人を前にしてサドラの群れは一瞬ひるんだものの、すぐに彼らに牙を剥いて
突貫していった。
「キョオオオオォォォォ!」
『よし、行くぞッ!』
迫り来る怪獣の群れを、ゼロの仲間たちは勇み立って迎え撃ったのだった。
トリステインの山岳地から現れ、人間の村に向かって進行しているのは十数体もの怪獣の群れ。
全身が蛇腹状の身体に、両腕の先はハサミとなっている。岩石怪獣サドラだ。
そのサドラの群れの進行方向に、ミラーナイト、ジャンボット、グレンファイヤーが空から
降り立って立ちはだかった。
『これが私たちの役目。ゼロがルイズを救出している間、私たちでハルケギニアを防衛します!』
『怪獣たちよ、ここから先へは行かせんぞ!』
『どっからでも掛かってこいやぁ! 今日の俺たちは、一段と燃えてるぜぇッ!』
戦意にたぎる三人を前にしてサドラの群れは一瞬ひるんだものの、すぐに彼らに牙を剥いて
突貫していった。
「キョオオオオォォォォ!」
『よし、行くぞッ!』
迫り来る怪獣の群れを、ゼロの仲間たちは勇み立って迎え撃ったのだった。