ウルトラマンゼロの使い魔
第百二十六話「輝け!ウルティメイトフォースゼロ」
根源破滅海神ガクゾム
根源破滅飛行魚バイアクヘー
宇宙海人バルキー星人 登場
第百二十六話「輝け!ウルティメイトフォースゼロ」
根源破滅海神ガクゾム
根源破滅飛行魚バイアクヘー
宇宙海人バルキー星人 登場
異常に暑い日が続き、海に涼を取りにやってきたルイズたち。しかしそれは逆襲を目論む
バルキー星人の罠だった! ルイズたちが人質にされ、才人に海の怪獣軍団が差し向けられたが、
ウルティメイトフォースゼロの力で撃退に成功。ルイズたちも救い出し、残すはバルキー星人
ただ一人かと思われた。
だがバルキー星人は切り札の怪獣を残していた! しかもただの怪獣ではない。強大な闇の
力を持つ根源破滅海神ガクゾムだ! 暗黒の脅威にどう立ち向かうか、ウルティメイトフォースゼロ!
バルキー星人の罠だった! ルイズたちが人質にされ、才人に海の怪獣軍団が差し向けられたが、
ウルティメイトフォースゼロの力で撃退に成功。ルイズたちも救い出し、残すはバルキー星人
ただ一人かと思われた。
だがバルキー星人は切り札の怪獣を残していた! しかもただの怪獣ではない。強大な闇の
力を持つ根源破滅海神ガクゾムだ! 暗黒の脅威にどう立ち向かうか、ウルティメイトフォースゼロ!
「グアァ――――――――!」
海より現れたガクゾムの威容を見上げたルイズたちは、背筋に寒いものが走って一様に震え上がった。
「な、何なのあの怪獣は……! 威圧感が半端じゃないわ……!」
冷や汗まで垂らしたルイズがそうつぶやいた。彼女たちもまた、生命としての根源的な
本能により、ガクゾムに充満する闇の力に危険を感じ取っているのだった。
そしてガクゾムの出現とともに、快晴の青空に異常なスピードで暗雲が立ち込め、辺り一帯が
暗黒に覆われていく。
「な、何だこの現象は!?」
「暗くなっただけじゃなく、急に寒くなってきたよ……!」
突然のことにギーシュがたじろぎ、マリコルヌがブルブル身震いした。暗黒が空を覆うと
ともに、熱がその暗闇に奪われたかのように気温が低下したのだ。
「あの怪獣が、この現象を引き起こしたのか……!?」
レイナールのひと言に、オンディーヌはますます震え上がった。周囲の環境にまで干渉するとは、
それだけ計り知れないパワーがある証拠。果たしてそんな力を持つあの怪獣に、ウルティメイト
フォースゼロはどう戦うのか。ここから先は、彼らの戦いを見守ることしか出来ない。
「……!」
オンディーヌが不安を覚える中、ルイズは固唾を呑んでゼロたちの背中を見上げていた。
「グアァ――――――――!」
ウルティメイトフォースゼロの四人を見据えたガクゾムは、己の両腕を彼らに向けてまっすぐ
伸ばした。
その腕の先より、怪光弾が発射される!
『うおあぁぁッ!?』
怪光弾はゼロたちの足元に着弾して凄まじい爆発を引き起こし、四人を纏めて吹っ飛ばした。
『ぐッ……すげぇ威力の攻撃だッ!』
受け身を取って起き上がったゼロがうめく。
「グアァ――――――――!」
ガクゾムはそのまま攻め手を緩めず、ゼロを狙って怪光弾を連射する。
『うおおおおッ!』
光弾の爆発の連続がゼロを襲う!
「ゼロッ!」
思わず叫ぶルイズたち。ガクゾムの猛攻の前にゼロは反撃に転じる間もなく、ただやられる
ばかりかのように思われたが、しかし、
『はぁッ!』
そこにミラーナイトが躍り出て、ディフェンスミラーを展開。光弾を防ぎ、ゼロを救った。
しかしディフェンスミラーも連続する光弾の破壊力の前にひび割れていく。
『くッ、長くは持ちません!』
『それだけで十分だ!』
ミラーナイトが時間稼ぎをしている間に今度はジャンボットが前に出て、ロケットパンチを飛ばした。
『ジャンナックル!』
高速で飛んでいったパンチはガクゾムの頭部に炸裂し、ひるませて光弾発射を途切れさせる。
「グアァ――――――――!」
『今度は俺の番だぜ! うらぁぁーッ!』
隙が出来たところにグレンファイヤーが続き、鉄拳を浴びせた。その衝撃でガクゾムは
後ろによろめいた。
『よぉしッ! てあぁぁッ!』
更に持ち直したゼロが空高く跳躍し、斜めに急降下してウルトラゼロキックを放った。
その一撃がガクゾムを大きく蹴り飛ばす。
「グアァ――――――――!」
地面の上に倒れるガクゾム。それでオンディーヌが歓声を上げた。
「おおッ、やった!」
「さすがはウルティメイトフォースゼロだ! あの怪獣相手でも引けを取らない!」
強い絆で結ばれたチームの連携は抜群で、恐ろしい闇の怪獣の力も押し返していた。
『まだまだ行くぜぇッ!』
グレンファイヤーが一気に畳みかけようと前に乗り出した。
がしかし、その瞬間に海面から新たに何かが飛び出してきた!
『んッ!?』
それはゼロたちほどではないが、人間からしたら十分巨大な平たい魚型の怪獣だった。
そのヒレがハサミ状に変化すると、グレンファイヤーの首を挟み込む。
『ぐえぇぇッ! な、何じゃこりゃあッ!』
しかも魚型の怪獣は一体だけではなかった。何匹も海から飛び出してくると、グレンファイヤー、
ミラーナイト、ジャンボットの全身に挟みつく。
『みんなッ!』
『うわぁッ!? 何だ、この怪獣は!』
『み、身動きが取れん……!』
魚型の怪獣はガッチリと三人の身体に噛み込んでいて、動きを大きく阻害する。ゼロは魚怪獣たちが、
ガクゾムの放つ闇の波動に操作されていることに気づいた。
『この魚どもはさしずめ、あの野郎の眷属ってところか……!』
ゼロの推理した通りであった。名を根源破滅飛行魚バイアクヘー。ガクゾムに指揮される
怪獣であり、ガクゾムの武器でもあるのだ。
「グアァ――――――――!」
ミラーナイトたちの動きを封じてから、ガクゾムがまたも光弾を撃とうとする。ゼロはそれを
止めるべく、単身ガクゾムに飛びかかっていった。
『さえねぇぜ! せぇぇぇぇいッ!』
「グアァ――――――――!」
ゼロは宇宙空手の流れるような連撃をお見舞いして、ガクゾムが三人に手出し出来ないように
押し込む。
だがバイアクヘーはまだまだいた。複数のバイアクヘーが空を飛び回りながらゼロに接近し、
背筋にかすめるように斬撃を食らわせる。
『おわあぁぁッ!』
「グアァ――――――――!」
思わずのけぞったゼロに、ガクゾムが腕の打撃を浴びせる。今度はゼロがガクゾムとバイアクヘーに
追いつめられる番であった。
「あぁッ! 危ないゼロ!」
オンディーヌやルイズたちはゼロたちと怪獣の一進一退の戦闘を、ハラハラとした思いで
見守っている。
『くぅッ……!』
ガクゾムとバイアクヘーの波状攻撃に隙を見出せず、防戦一方のゼロ。そしてガクゾムの
アッパーで宙を舞う。
「グアァ――――――――!」
『ぐはぁッ!』
だがゼロは吹っ飛ばされて逆さになった姿勢から、ゼロスラッガーを投擲した。
『てぇいッ!』
ゼロは敵に殴り飛ばされた勢いを逆に利用して攻撃のチャンスに活かしたのだ。しかもスラッガーは
ガクゾムではなく、ミラーナイトたちに纏わりついていたバイアクヘーを切り裂いて三人を自由にした。
『おお、やった! ありがとうゼロ!』
『感謝する!』
『今度は助けられちまったな!』
『へへッ、ざっとこんなもんよ』
もう同じ手は食らわない。四人は飛んでくるバイアクヘーを片っ端から叩き落とし、近寄ることを
許さなかった。バイアクヘーさえ退ければ、ガクゾムを倒すのは難しいことでもない。
だが、バイアクヘーの真の能力はここからなのだった!
「グアァ――――――――!」
ガクゾムが高々と咆哮すると、全てのバイアクヘーはガクゾムの方に集まっていき……
何と、ガクゾムの身体と一体化していった!
『何ッ!?』
「グアァ――――――――!」
ガクゾムの胸部に、バイアクヘーが変化して出来た装甲が追加され、両腕はカマ状に変化した。
この姿こそが、ガクゾムの本当の戦闘形態なのである。
「グアァ――――――――!」
早速両腕のカマから怪光弾を発射するガクゾム。その威力は形態が変化したことに合わせて
向上しており、ディフェンスミラーを一撃で叩き割ってミラーナイトを吹き飛ばす!
『うわぁぁぁぁッ!』
『ミラーナイトッ!』
『こんにゃろぉぉぉーッ!』
グレンファイヤーとジャンボットが殴り掛かっていくが、ガクゾムが振り回したカマによって
弾き返されてしまった。
『おわあああッ!』
『ぐあぁッ!』
『グレンファイヤー! ジャンボットッ! このッ!』
ゼロが三人の仇討ちとばかりにワイドゼロショットを発射。
「セアァッ!」
「グアァ――――――――!」
だがガクゾムの胸部装甲が、ワイドゼロショットを全て吸収した!
『何だとッ!?』
ガクゾムは光のエネルギーを闇に変え、暗黒光線をゼロに撃ち返す。
『うわああああ――――――――――ッ!』
あまりに強烈な一撃に、ゼロもまた大きく吹っ飛ばされて地面に叩きつけられた。大きな
ダメージを受けたことで、カラータイマーが点滅する。
「ああッゼロぉッ!」
ルイズたちの悲鳴がそろった。一方でガクゾムの背後に控えるバルキー星人は、愉快そうに
高笑いを上げる。
『ナ――――ハッハッハッハッハッ! 思った通り、いやそれ以上のパワフルさだぜぇーッ!
さぁ、ウルティメイトフォースゼロにとどめを刺すんだッ!』
「グアァ――――――――!」
すっかり気を良くしたバルキー星人が命ずると、ガクゾムはカマに闇のエネルギーを充填し、
「グアァ――――――――!」
一気に発射した!
……ただし、バルキー星人の方にだ!
『なぁぁ――――――――――――――ッ!?』
完全に予想外のガクゾムの行動にバルキー星人は対応できず、怪光弾をもろに食らってしまった。
そして瞬時に爆散して、消滅してしまう。
『なッ……!?』
あまりのことに驚愕するゼロたち。ガクゾムは強力すぎて、バルキー星人に制御し切れる
怪獣ではなかったのだ。
「グアァ――――――――!」
バルキー星人を抹消して、ますます獰猛さを駆り立てるガクゾムの様子に身を強張らせるゼロたち。
『何という凶暴性……! あんなものを野放しにしていては、ハルケギニアは滅茶苦茶に
なってしまいます……!』
『うむ……! 絶対にここで食い止めねばならんな……!』
『やるこたぁ一つだけだッ! シンプルに、ぶっ倒すまでよッ!』
『ああ! みんな行くぜぇッ!』
立ち上がったゼロたちは戦意を奮い立たせ、改めてガクゾムに挑んでいく。
『おおおおおおおッ!』
光線技は吸収されてしまうので撃つことは出来ない。そのため四人は敢然と肉弾戦を仕掛けていく。
「グアァ――――――――!」
しかしガクゾムは単純なパワーも底上げされているのだ。グレンファイヤーの拳でさえ
ガクゾムは揺るがず、カマの振り回しや蹴り上げで四人を片っ端から薙ぎ倒していく。
『ぐわぁぁッ!』
『ぐッ、ジャンミサイル!』
『であぁぁッ!』
ジャンボットがミサイルを、ゼロがスラッガーを飛ばした。しかしこれらもカマに叩き落とされ、
通用しなかった。
「グアァ――――――――!」
ガクゾムは両腕を伸ばし、カマの先端から光弾を乱射。ゼロたちを四人纏めて爆発の中に呑み込む。
『うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』
四人掛かりでも、強化されたガクゾムの前に追いつめられる。ガクゾムは戦っていく内に
消耗するどころか、どんどんと力を上昇させているようにすら見えた。
そしてガクゾムが暴れるにつれて、空を覆い隠す暗闇の濃度が上がっていくようだった。
「こ、このままではまずいぞッ! やられてしまうッ!」
「この世は闇に閉ざされてしまうのか……!?」
オンディーヌは冷や汗で汗だくになっている。周囲を覆う暗闇が、彼らの心をも弱気にさせているのか。
しかしそこに、ルイズがそんな弱気を吹き飛ばすかのような大声で唱えた。
「いいえ! そんなことにはならないわ!」
ルイズの表情には、こんな状況になっても消えずに光り輝く希望と、ゼロたちへの固い
信頼が窺えた。
「ゼロたちの光は、どんな暗闇にも負けることはない! それを何度もわたしたちに見せて
くれたじゃない!」
「ルイズの言う通りだわ。ゼロたちはあんな乱暴な奴に屈したりはしないわよ!」
ルイズの意見にキュルケを始めとして、シエスタ、タバサらが賛同を示した。
彼女たちは知っているのだ。幾度もの戦いの中から目にしてきた、ゼロたちの本当の意味での強さ。
そしてその強さに信頼を置き、それが希望につながっている。
ゼロたちを信じるルイズは、彼らに応援の言葉を叫んだ。
「がんばって、ゼロぉぉッ!」
すると爆炎の中から……ウルティメイトフォースゼロの四人が堂々と立ち上がった!
そして口々に語る。
『まだまだこんなものでは負けませんよ……!』
『我らを応援する声がある。その期待は裏切らん!』
『いい気になってんじゃねぇぜぇ! こっからが俺たちの底力が発揮する時だッ!』
『闇の化身め。見せてやるぜッ! 俺たちの光をッ!!』
ゼロが叫ぶと、四人の身体から光が溢れ出始めた。その光は徐々に高まるとともに、四つが
合わさって大きな一つになっていく。
「グアァ――――――――!?」
これを見たガクゾムは己にとっての危険を感知したのか、先ほどまで以上の勢いで怪光弾を
放って四人を攻撃する。だが彼らの光はガクゾムの攻撃によっても消えることはなかった。
『よぉし、行くぜぇみんなッ!』
『はい!』『うむ!』『おぉッ!』
ゼロの号令により、四人は同時に地を蹴った。そうして四人が星の如き輝きの巨大な光の
弾丸となって合体する。これぞウルティメイトフォースゼロの力と心、そして光が一つに
なった時に使用することが出来るとっておきの切り札、ウルティメイトフォースゼロアタックだ!
相乗効果によって増幅された光の威力は、闇の存在に対して計り知れない効果を発揮する!
『うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!』
合体した四人は流星さながらの勢いで飛んでいき、怪光弾をはねのけてガクゾムに正面から激突した!
「グアァ――――――――!!」
最大威力の体当たりを食らったガクゾムは、四人の光を吸収することも出来ず、木端微塵に
なって吹っ飛んだ!
「おおおおおッ!」
あっと驚かされるオンディーヌ。ガクゾムを見事粉砕したゼロたちは元の状態に分かれ、
砂浜の上に着地した。
『やったな……!』
『ええ。見て下さい、空も晴れていきます』
ミラーナイトの言う通り、ガクゾムの撃破とともに暗黒に包まれていた空に太陽の明かりが戻り、
元の青空が帰ってきた。
まばゆい日差しを浴びたことで、全ての危険が去ったことを実感したオンディーヌが大歓声を上げた。
「おぉッ! 太陽の光だぁッ!」
「やったぞぉー! ゼロたちの勝利だぁーッ!」
「ありがとう、ウルティメイトフォースゼロ!」
ゼロたちに向かって大きく手を振るギーシュたち。ルイズ、シエスタ、タバサ、キュルケの
秘密を知る者たちも、ゼロたちを見上げてうなずいた。
彼らに向かってうなずき返したゼロたちは、まっすぐに空高くに向かって飛び上がり、
この場から引き上げていった。
「……おぉーい! みんなー!」
そして才人が大きく手を振りながら、波打ち際を走ってルイズたちの元に戻っていった。
振り返ったギーシュが言う。
「あッ、きみ、今戻ってきたのかい! 全く、何というか、きみはいつも間が悪いな! 一番いい
ところにいないのだから」
「ああ、ゼロたちはもう帰ったのか。いやぁ、今度はどんなすごい戦いしたのか見たかったなぁ」
すっとぼける才人に、ルイズが近寄っていって呼びかけた。
「サイト、ありがとう。また助けてもらっちゃったわね」
才人はルイズにニッと笑い返した。
「いいってことだよ。何たって、俺はお前の使い魔なんだからな」
戦いが終わり、才人も戻ったところで、オスマンがホッホッと笑いながら言葉を発した。
「いやはや、全くとんだ慰安旅行になってしもうたが、諸君が無事でひと安心じゃわい。
さて、これで暑さともお別れじゃから、着替えて学院に帰ろうではないか。皆、忘れ物の
ないようにするんじゃぞ」
「分かりました、オールド・オスマン!」
オスマンの後に続いて宿に戻ろうとするオンディーヌの背中に、キュルケが呼びかける。
「あらあなたたち、何か忘れてるんじゃないかしら?」
「えッ、何か忘れてるって……」
ギーシュたちは、女子が一様に自分たちに冷たい眼差しを向けていることに気がついた。
「あたしたちを着せ替え人形みたいにして弄んだ罰がうやむやになったままだわ」
「学院に帰ったら、先生たちに掛け合ってあんたたちの奉仕活動の期間を伸ばしてもらうからね!
オールド・オスマンにも処罰を受けてもらいますよ!」
モンモランシーが憤然として言いつけた。それでギーシュたちはガビーン! とショックを受ける。
「そ、そんなモンモランシー! 勘弁してくれ! ぼくらはきみたちを助けたじゃあないか!」
「何が助けた、よ! サイト以外は何もしなかったでしょ!?」
「そ、それはなりゆき上そうなっただけだよ! 助けたい気持ちはぼくたちにもちゃんとあったさ!」
「言い訳しないッ!」
「わしは学院長で、しかも老体じゃぞ!? ちょっとは労わってほしいのう……」
「学院長でも老体でも、何をしてもいいことにはなりませんよ! そもそもの元凶はあなた
でしょうが!」
モンモランシーにきつく叱られ、しょんぼりと肩を落とすオスマンだった。
才人の方も、ルイズにこう言いつけられる。
「あんたも帰ったら、わたしたちにご奉仕をしてもらおうじゃない。メイドの格好して働いて
もらおうかしら」
「えぇッ!?」
「あッ、それいいですね! ミス・ヴァリエール!」
シエスタはノリノリで乗っかったが、当の才人はルイズに抗議。
「そりゃあんまりだろ! 俺、お前たちのために命懸けで頑張ったのに!」
「それとこれとは別よ! いい加減すぐ調子に乗る癖、ちゃんと反省して改善しなさい!」
ルイズにきつく叱りつけられ、負い目のある才人は反論できずにがっくりうなだれた。
その様子にシエスタたちは思わずアハハハとおかしそうに笑う。
そうして一行は、肩を落とす者と笑う者を交えながら、魔法学院へと帰っていったのであった。
海より現れたガクゾムの威容を見上げたルイズたちは、背筋に寒いものが走って一様に震え上がった。
「な、何なのあの怪獣は……! 威圧感が半端じゃないわ……!」
冷や汗まで垂らしたルイズがそうつぶやいた。彼女たちもまた、生命としての根源的な
本能により、ガクゾムに充満する闇の力に危険を感じ取っているのだった。
そしてガクゾムの出現とともに、快晴の青空に異常なスピードで暗雲が立ち込め、辺り一帯が
暗黒に覆われていく。
「な、何だこの現象は!?」
「暗くなっただけじゃなく、急に寒くなってきたよ……!」
突然のことにギーシュがたじろぎ、マリコルヌがブルブル身震いした。暗黒が空を覆うと
ともに、熱がその暗闇に奪われたかのように気温が低下したのだ。
「あの怪獣が、この現象を引き起こしたのか……!?」
レイナールのひと言に、オンディーヌはますます震え上がった。周囲の環境にまで干渉するとは、
それだけ計り知れないパワーがある証拠。果たしてそんな力を持つあの怪獣に、ウルティメイト
フォースゼロはどう戦うのか。ここから先は、彼らの戦いを見守ることしか出来ない。
「……!」
オンディーヌが不安を覚える中、ルイズは固唾を呑んでゼロたちの背中を見上げていた。
「グアァ――――――――!」
ウルティメイトフォースゼロの四人を見据えたガクゾムは、己の両腕を彼らに向けてまっすぐ
伸ばした。
その腕の先より、怪光弾が発射される!
『うおあぁぁッ!?』
怪光弾はゼロたちの足元に着弾して凄まじい爆発を引き起こし、四人を纏めて吹っ飛ばした。
『ぐッ……すげぇ威力の攻撃だッ!』
受け身を取って起き上がったゼロがうめく。
「グアァ――――――――!」
ガクゾムはそのまま攻め手を緩めず、ゼロを狙って怪光弾を連射する。
『うおおおおッ!』
光弾の爆発の連続がゼロを襲う!
「ゼロッ!」
思わず叫ぶルイズたち。ガクゾムの猛攻の前にゼロは反撃に転じる間もなく、ただやられる
ばかりかのように思われたが、しかし、
『はぁッ!』
そこにミラーナイトが躍り出て、ディフェンスミラーを展開。光弾を防ぎ、ゼロを救った。
しかしディフェンスミラーも連続する光弾の破壊力の前にひび割れていく。
『くッ、長くは持ちません!』
『それだけで十分だ!』
ミラーナイトが時間稼ぎをしている間に今度はジャンボットが前に出て、ロケットパンチを飛ばした。
『ジャンナックル!』
高速で飛んでいったパンチはガクゾムの頭部に炸裂し、ひるませて光弾発射を途切れさせる。
「グアァ――――――――!」
『今度は俺の番だぜ! うらぁぁーッ!』
隙が出来たところにグレンファイヤーが続き、鉄拳を浴びせた。その衝撃でガクゾムは
後ろによろめいた。
『よぉしッ! てあぁぁッ!』
更に持ち直したゼロが空高く跳躍し、斜めに急降下してウルトラゼロキックを放った。
その一撃がガクゾムを大きく蹴り飛ばす。
「グアァ――――――――!」
地面の上に倒れるガクゾム。それでオンディーヌが歓声を上げた。
「おおッ、やった!」
「さすがはウルティメイトフォースゼロだ! あの怪獣相手でも引けを取らない!」
強い絆で結ばれたチームの連携は抜群で、恐ろしい闇の怪獣の力も押し返していた。
『まだまだ行くぜぇッ!』
グレンファイヤーが一気に畳みかけようと前に乗り出した。
がしかし、その瞬間に海面から新たに何かが飛び出してきた!
『んッ!?』
それはゼロたちほどではないが、人間からしたら十分巨大な平たい魚型の怪獣だった。
そのヒレがハサミ状に変化すると、グレンファイヤーの首を挟み込む。
『ぐえぇぇッ! な、何じゃこりゃあッ!』
しかも魚型の怪獣は一体だけではなかった。何匹も海から飛び出してくると、グレンファイヤー、
ミラーナイト、ジャンボットの全身に挟みつく。
『みんなッ!』
『うわぁッ!? 何だ、この怪獣は!』
『み、身動きが取れん……!』
魚型の怪獣はガッチリと三人の身体に噛み込んでいて、動きを大きく阻害する。ゼロは魚怪獣たちが、
ガクゾムの放つ闇の波動に操作されていることに気づいた。
『この魚どもはさしずめ、あの野郎の眷属ってところか……!』
ゼロの推理した通りであった。名を根源破滅飛行魚バイアクヘー。ガクゾムに指揮される
怪獣であり、ガクゾムの武器でもあるのだ。
「グアァ――――――――!」
ミラーナイトたちの動きを封じてから、ガクゾムがまたも光弾を撃とうとする。ゼロはそれを
止めるべく、単身ガクゾムに飛びかかっていった。
『さえねぇぜ! せぇぇぇぇいッ!』
「グアァ――――――――!」
ゼロは宇宙空手の流れるような連撃をお見舞いして、ガクゾムが三人に手出し出来ないように
押し込む。
だがバイアクヘーはまだまだいた。複数のバイアクヘーが空を飛び回りながらゼロに接近し、
背筋にかすめるように斬撃を食らわせる。
『おわあぁぁッ!』
「グアァ――――――――!」
思わずのけぞったゼロに、ガクゾムが腕の打撃を浴びせる。今度はゼロがガクゾムとバイアクヘーに
追いつめられる番であった。
「あぁッ! 危ないゼロ!」
オンディーヌやルイズたちはゼロたちと怪獣の一進一退の戦闘を、ハラハラとした思いで
見守っている。
『くぅッ……!』
ガクゾムとバイアクヘーの波状攻撃に隙を見出せず、防戦一方のゼロ。そしてガクゾムの
アッパーで宙を舞う。
「グアァ――――――――!」
『ぐはぁッ!』
だがゼロは吹っ飛ばされて逆さになった姿勢から、ゼロスラッガーを投擲した。
『てぇいッ!』
ゼロは敵に殴り飛ばされた勢いを逆に利用して攻撃のチャンスに活かしたのだ。しかもスラッガーは
ガクゾムではなく、ミラーナイトたちに纏わりついていたバイアクヘーを切り裂いて三人を自由にした。
『おお、やった! ありがとうゼロ!』
『感謝する!』
『今度は助けられちまったな!』
『へへッ、ざっとこんなもんよ』
もう同じ手は食らわない。四人は飛んでくるバイアクヘーを片っ端から叩き落とし、近寄ることを
許さなかった。バイアクヘーさえ退ければ、ガクゾムを倒すのは難しいことでもない。
だが、バイアクヘーの真の能力はここからなのだった!
「グアァ――――――――!」
ガクゾムが高々と咆哮すると、全てのバイアクヘーはガクゾムの方に集まっていき……
何と、ガクゾムの身体と一体化していった!
『何ッ!?』
「グアァ――――――――!」
ガクゾムの胸部に、バイアクヘーが変化して出来た装甲が追加され、両腕はカマ状に変化した。
この姿こそが、ガクゾムの本当の戦闘形態なのである。
「グアァ――――――――!」
早速両腕のカマから怪光弾を発射するガクゾム。その威力は形態が変化したことに合わせて
向上しており、ディフェンスミラーを一撃で叩き割ってミラーナイトを吹き飛ばす!
『うわぁぁぁぁッ!』
『ミラーナイトッ!』
『こんにゃろぉぉぉーッ!』
グレンファイヤーとジャンボットが殴り掛かっていくが、ガクゾムが振り回したカマによって
弾き返されてしまった。
『おわあああッ!』
『ぐあぁッ!』
『グレンファイヤー! ジャンボットッ! このッ!』
ゼロが三人の仇討ちとばかりにワイドゼロショットを発射。
「セアァッ!」
「グアァ――――――――!」
だがガクゾムの胸部装甲が、ワイドゼロショットを全て吸収した!
『何だとッ!?』
ガクゾムは光のエネルギーを闇に変え、暗黒光線をゼロに撃ち返す。
『うわああああ――――――――――ッ!』
あまりに強烈な一撃に、ゼロもまた大きく吹っ飛ばされて地面に叩きつけられた。大きな
ダメージを受けたことで、カラータイマーが点滅する。
「ああッゼロぉッ!」
ルイズたちの悲鳴がそろった。一方でガクゾムの背後に控えるバルキー星人は、愉快そうに
高笑いを上げる。
『ナ――――ハッハッハッハッハッ! 思った通り、いやそれ以上のパワフルさだぜぇーッ!
さぁ、ウルティメイトフォースゼロにとどめを刺すんだッ!』
「グアァ――――――――!」
すっかり気を良くしたバルキー星人が命ずると、ガクゾムはカマに闇のエネルギーを充填し、
「グアァ――――――――!」
一気に発射した!
……ただし、バルキー星人の方にだ!
『なぁぁ――――――――――――――ッ!?』
完全に予想外のガクゾムの行動にバルキー星人は対応できず、怪光弾をもろに食らってしまった。
そして瞬時に爆散して、消滅してしまう。
『なッ……!?』
あまりのことに驚愕するゼロたち。ガクゾムは強力すぎて、バルキー星人に制御し切れる
怪獣ではなかったのだ。
「グアァ――――――――!」
バルキー星人を抹消して、ますます獰猛さを駆り立てるガクゾムの様子に身を強張らせるゼロたち。
『何という凶暴性……! あんなものを野放しにしていては、ハルケギニアは滅茶苦茶に
なってしまいます……!』
『うむ……! 絶対にここで食い止めねばならんな……!』
『やるこたぁ一つだけだッ! シンプルに、ぶっ倒すまでよッ!』
『ああ! みんな行くぜぇッ!』
立ち上がったゼロたちは戦意を奮い立たせ、改めてガクゾムに挑んでいく。
『おおおおおおおッ!』
光線技は吸収されてしまうので撃つことは出来ない。そのため四人は敢然と肉弾戦を仕掛けていく。
「グアァ――――――――!」
しかしガクゾムは単純なパワーも底上げされているのだ。グレンファイヤーの拳でさえ
ガクゾムは揺るがず、カマの振り回しや蹴り上げで四人を片っ端から薙ぎ倒していく。
『ぐわぁぁッ!』
『ぐッ、ジャンミサイル!』
『であぁぁッ!』
ジャンボットがミサイルを、ゼロがスラッガーを飛ばした。しかしこれらもカマに叩き落とされ、
通用しなかった。
「グアァ――――――――!」
ガクゾムは両腕を伸ばし、カマの先端から光弾を乱射。ゼロたちを四人纏めて爆発の中に呑み込む。
『うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』
四人掛かりでも、強化されたガクゾムの前に追いつめられる。ガクゾムは戦っていく内に
消耗するどころか、どんどんと力を上昇させているようにすら見えた。
そしてガクゾムが暴れるにつれて、空を覆い隠す暗闇の濃度が上がっていくようだった。
「こ、このままではまずいぞッ! やられてしまうッ!」
「この世は闇に閉ざされてしまうのか……!?」
オンディーヌは冷や汗で汗だくになっている。周囲を覆う暗闇が、彼らの心をも弱気にさせているのか。
しかしそこに、ルイズがそんな弱気を吹き飛ばすかのような大声で唱えた。
「いいえ! そんなことにはならないわ!」
ルイズの表情には、こんな状況になっても消えずに光り輝く希望と、ゼロたちへの固い
信頼が窺えた。
「ゼロたちの光は、どんな暗闇にも負けることはない! それを何度もわたしたちに見せて
くれたじゃない!」
「ルイズの言う通りだわ。ゼロたちはあんな乱暴な奴に屈したりはしないわよ!」
ルイズの意見にキュルケを始めとして、シエスタ、タバサらが賛同を示した。
彼女たちは知っているのだ。幾度もの戦いの中から目にしてきた、ゼロたちの本当の意味での強さ。
そしてその強さに信頼を置き、それが希望につながっている。
ゼロたちを信じるルイズは、彼らに応援の言葉を叫んだ。
「がんばって、ゼロぉぉッ!」
すると爆炎の中から……ウルティメイトフォースゼロの四人が堂々と立ち上がった!
そして口々に語る。
『まだまだこんなものでは負けませんよ……!』
『我らを応援する声がある。その期待は裏切らん!』
『いい気になってんじゃねぇぜぇ! こっからが俺たちの底力が発揮する時だッ!』
『闇の化身め。見せてやるぜッ! 俺たちの光をッ!!』
ゼロが叫ぶと、四人の身体から光が溢れ出始めた。その光は徐々に高まるとともに、四つが
合わさって大きな一つになっていく。
「グアァ――――――――!?」
これを見たガクゾムは己にとっての危険を感知したのか、先ほどまで以上の勢いで怪光弾を
放って四人を攻撃する。だが彼らの光はガクゾムの攻撃によっても消えることはなかった。
『よぉし、行くぜぇみんなッ!』
『はい!』『うむ!』『おぉッ!』
ゼロの号令により、四人は同時に地を蹴った。そうして四人が星の如き輝きの巨大な光の
弾丸となって合体する。これぞウルティメイトフォースゼロの力と心、そして光が一つに
なった時に使用することが出来るとっておきの切り札、ウルティメイトフォースゼロアタックだ!
相乗効果によって増幅された光の威力は、闇の存在に対して計り知れない効果を発揮する!
『うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!』
合体した四人は流星さながらの勢いで飛んでいき、怪光弾をはねのけてガクゾムに正面から激突した!
「グアァ――――――――!!」
最大威力の体当たりを食らったガクゾムは、四人の光を吸収することも出来ず、木端微塵に
なって吹っ飛んだ!
「おおおおおッ!」
あっと驚かされるオンディーヌ。ガクゾムを見事粉砕したゼロたちは元の状態に分かれ、
砂浜の上に着地した。
『やったな……!』
『ええ。見て下さい、空も晴れていきます』
ミラーナイトの言う通り、ガクゾムの撃破とともに暗黒に包まれていた空に太陽の明かりが戻り、
元の青空が帰ってきた。
まばゆい日差しを浴びたことで、全ての危険が去ったことを実感したオンディーヌが大歓声を上げた。
「おぉッ! 太陽の光だぁッ!」
「やったぞぉー! ゼロたちの勝利だぁーッ!」
「ありがとう、ウルティメイトフォースゼロ!」
ゼロたちに向かって大きく手を振るギーシュたち。ルイズ、シエスタ、タバサ、キュルケの
秘密を知る者たちも、ゼロたちを見上げてうなずいた。
彼らに向かってうなずき返したゼロたちは、まっすぐに空高くに向かって飛び上がり、
この場から引き上げていった。
「……おぉーい! みんなー!」
そして才人が大きく手を振りながら、波打ち際を走ってルイズたちの元に戻っていった。
振り返ったギーシュが言う。
「あッ、きみ、今戻ってきたのかい! 全く、何というか、きみはいつも間が悪いな! 一番いい
ところにいないのだから」
「ああ、ゼロたちはもう帰ったのか。いやぁ、今度はどんなすごい戦いしたのか見たかったなぁ」
すっとぼける才人に、ルイズが近寄っていって呼びかけた。
「サイト、ありがとう。また助けてもらっちゃったわね」
才人はルイズにニッと笑い返した。
「いいってことだよ。何たって、俺はお前の使い魔なんだからな」
戦いが終わり、才人も戻ったところで、オスマンがホッホッと笑いながら言葉を発した。
「いやはや、全くとんだ慰安旅行になってしもうたが、諸君が無事でひと安心じゃわい。
さて、これで暑さともお別れじゃから、着替えて学院に帰ろうではないか。皆、忘れ物の
ないようにするんじゃぞ」
「分かりました、オールド・オスマン!」
オスマンの後に続いて宿に戻ろうとするオンディーヌの背中に、キュルケが呼びかける。
「あらあなたたち、何か忘れてるんじゃないかしら?」
「えッ、何か忘れてるって……」
ギーシュたちは、女子が一様に自分たちに冷たい眼差しを向けていることに気がついた。
「あたしたちを着せ替え人形みたいにして弄んだ罰がうやむやになったままだわ」
「学院に帰ったら、先生たちに掛け合ってあんたたちの奉仕活動の期間を伸ばしてもらうからね!
オールド・オスマンにも処罰を受けてもらいますよ!」
モンモランシーが憤然として言いつけた。それでギーシュたちはガビーン! とショックを受ける。
「そ、そんなモンモランシー! 勘弁してくれ! ぼくらはきみたちを助けたじゃあないか!」
「何が助けた、よ! サイト以外は何もしなかったでしょ!?」
「そ、それはなりゆき上そうなっただけだよ! 助けたい気持ちはぼくたちにもちゃんとあったさ!」
「言い訳しないッ!」
「わしは学院長で、しかも老体じゃぞ!? ちょっとは労わってほしいのう……」
「学院長でも老体でも、何をしてもいいことにはなりませんよ! そもそもの元凶はあなた
でしょうが!」
モンモランシーにきつく叱られ、しょんぼりと肩を落とすオスマンだった。
才人の方も、ルイズにこう言いつけられる。
「あんたも帰ったら、わたしたちにご奉仕をしてもらおうじゃない。メイドの格好して働いて
もらおうかしら」
「えぇッ!?」
「あッ、それいいですね! ミス・ヴァリエール!」
シエスタはノリノリで乗っかったが、当の才人はルイズに抗議。
「そりゃあんまりだろ! 俺、お前たちのために命懸けで頑張ったのに!」
「それとこれとは別よ! いい加減すぐ調子に乗る癖、ちゃんと反省して改善しなさい!」
ルイズにきつく叱りつけられ、負い目のある才人は反論できずにがっくりうなだれた。
その様子にシエスタたちは思わずアハハハとおかしそうに笑う。
そうして一行は、肩を落とす者と笑う者を交えながら、魔法学院へと帰っていったのであった。