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第百十八話「シエスタの恋」


ウルトラマンゼロの使い魔
第百十八話「シエスタの恋」
酔っぱらい怪獣ベロン 登場



 帝政ゲルマニアの首都ヴィンドボナ。この街は現在、混乱の真っ只中にあった。
『うい~! ひっくッ!』
 身長五十メイル以上もある大怪獣が、街を我が物顔で横切っているのだ。人々は皆口々に
悲鳴を発し、怪獣に踏み潰されないように必死に逃げ惑っている。
 怪獣は典型的な恐竜型。体色は緑で、下を向いたヘラジカのような角が頭部の左右から
生えている。ここまでは特に変わったところではないが、鼻はひどく赤らんでおり、目の
焦点も足取りもおぼつかない。片手で巨大なひょうたんを引きずり、裂けた口からは鳴き声
ではなく明らかな言語が発せられる。そのひと言がこれ。
『う~い! 酒持ってこ~い!』
 絵に描いたような酔っぱらい!
 この怪獣の名はベロン。名は体を表すというべきか、怪獣なのにお酒が三度の飯より大好き
という超変わり種。悪意はないのだが常日頃からべろんべろんに酔っぱらっており、酔いに
任せてふらりと惑星に降り立っては滅茶苦茶な行動を取る、これ以上ないほどの迷惑者なのだ。
 ハルケギニアに侵入したこのベロンは、ヴィンドボナで何をやっているかと言うと……。
『酒~! 酒~! ここか~!』
 千鳥足で進行しながら、酒の匂いを嗅ぎつけて一件の酒場に目をつけると、屋根を引っぺがして
貯蔵されているワインの瓶や酒樽を根こそぎすくい上げ、中身を口の中に流し込んだ。
「あぁ~! うちの商品がぁ~!」
 酒場の店主がどこかで悲鳴を上げた。
「このヤロォー! 金払いやがれーッ!」
 そんなことを言ってもベロンは聞く耳持たず。手で口を拭うと、鼻をクンクン鳴らして
次の酒を探し始めた。
 ベロンは手持ちのひょうたんに入っていた酒を呑み尽くしたため、ハルケギニアの人々から
次々酒を奪い取っているのだった! 酒場に留まらず、王宮、貴族の屋敷、小さな村にまで……
とにかく酒が置いてあるところにはどこだって現れ、片っ端から盗んでいくのだ。こんな迷惑な
怪獣が今までいただろうか!
 ベロンがヴィンドボナ中から酒を奪って飲み干す度に、人々の悲鳴が起こる。
「あぁーッ! ビール盗られたぁーッ!」
「楽しみに取っておいた年代もののワインがぁーッ!」
「林檎酒まで全部ッ!」
「こんちくしょーッ! 飲みすぎだぞお前ーッ!」
 当然ながら、そんな暴挙がいつまでも許されるものではない。ゲルマニアの竜騎士隊が出動し、
ベロンに杖を向ける。
「攻撃開始ーッ!」
 竜騎士たちの杖から次々と種々の魔法攻撃が放たれ、ベロンの鼻先を刺す。
『いてててッ! いでぇよぉ~!』
 ベロンは押し寄せる魔法に対して、頭を抱えて姿勢を下げる。
「このままヴィンドボナから追い出せッ!」
 相手の反撃がないので、竜騎士隊は勢いづいて攻撃の手を強めるのだが……。
『どろんぱ~』
 突然ベロンが白い煙を発して姿を隠したかと思うと、次の瞬間には巨体が忽然と消えていた!
「何ッ!? ど、どこへ行った!」
「隊長、我々の後ろですー!」
 慌てふためく竜騎士隊の背後で、ベロンは何食わぬ顔でまた商店から酒瓶を盗んだ。
「お、おのれ! 総員反転ッ!」
 竜騎士隊がUターンしてベロンを追いかけるが、するとベロンはまたしても煙とともに
消えてしまう。
『どろんば~』
 またも別の場所に瞬時に現れ、竜騎士隊は散々翻弄される。
「く、くっそ~! 馬鹿にしおって~!」
 これぞベロンの忍法、瞬間移動。竜騎士隊はベロンに振り回され、すぐに疲労困憊になってしまった。
 そこに駆けつけたのはグレンファイヤー! ベロンの真正面に降り立って拳を握り締める。
『こんにゃろう! 今日こそは逃がさねぇぜ!』
『おおぉぉうッ!?』
 すかさずグレンファイヤーはベロンに飛びかかったのだが、ベロンが消える方が早かった。
しかも今度はどこにも現れない。ヴィンドボナから別の場所に去っていってしまったようだ。
『あッ、くそぉ! また逃げられた! 悔しいぃ~!』
 プルプル震えて地団駄を踏むグレンファイヤー。ベロンは敵意を持たない怪獣で積極的な
破壊行動を取らないが、それが逆に厄介。このように危険を感じるとすぐに忍法で逃げて
しまうのだ。そのためウルティメイトフォースゼロもひどく手を焼かされているのであった。
 果たして、ベロンは次にどこに現れるものか……。

 それはひとまず置いておいて、場所は変わり魔法学院のルイズの部屋。畳の上に正座して
ちゃぶ台に肘をつき、物憂げにため息を吐いているのは、最近出番がご無沙汰のシエスタ。
その視線の先には、ちゃぶ台の上に置かれたハート型の壜がある。紫色というのが絶妙にいかがわしい。
 この壜の中身は、何と惚れ薬。これを飲んだ者は一日の間、最初に見た相手にぞっこんに
なるという代物。それを何でシエスタが持っているのかと言うと、実家家からの春野菜を
『魅惑の妖精』亭に届けに行った際、従妹のジェシカから、貴族の客から取り上げたこれを
無理矢理押しつけられたのだ。ルイズと才人の関係に配慮して最近一歩引き気味のシエスタに対し、
そんなことではいけない、既成事実作ってでも才人をものにしなさいと叱咤されたのだった。
「うーん……惚れ薬かぁ……」
 ぼやくシエスタ。正直に言うと、才人が自分に、いつだったかのルイズみたいな感じで
メロメロになるというのは、すごく魅力的ではある。
 しかし迷っていると、ジャンボットに咎められた。
『シエスタ、一応言っておくが、そんなものを使うことは断じてならないぞ。薬で人の心を
操作しようなどと、言語道断! 惚れ薬など、今すぐ捨ててしまうのだ』
「そ、そうですよね。魔法で好きにさせようなんて考えが、そもそもの間違いですよね」
 ジャンボットの忠告により、シエスタは惚れ薬を捨てるために手を伸ばす。
 しかし指が壜に触れる前に、扉がものすごい勢いで開かれた。そしていつになくキツい顔の
ルイズが、大きなボロ雑巾みたいなものを鎖で引きずりながら入ってきた。
 シエスタは面食らって尋ねる。
「ミス・ヴァリエール! それ、何ですか?」
「使い魔よ」
 言われてみて、よく確認すれば、それは才人だと分かった。逆に言えば、よく確認しないと
分からないような状態に才人はなっていた。
「何したんですか?」
「一昨日、あんたが出かけた日に、お風呂を覗いたのよ」
「まあ」
「その上、ちち、ちちち、小さい子に……。わたしより、小さい子に……」
「まあまあ」
 ここで、ティファニアをトリステインに連れ帰ってから今日までの経緯をざっと説明する。
 トリステインに到着したティファニアは子供たちとミーニンをアンリエッタに預かってもらうと、
自分はアンリエッタの口利きで魔法学院に編入した。彼女の美貌と、何より大きな胸は学院中の
男子を魅了したが、ベアトリスというクラスメイトの嫉妬を買い、ハーフエルフという素性を晒す
羽目になった挙句に彼女に異端審問に掛けられそうになった。それはルイズたちの活躍で阻止されたが、
ティファニアは男性の視線が自分の胸にばかり向くことに戸惑いを覚え、自分の胸が他の人のものとは
違うのではないかとズレた疑いを抱き、才人にこう頼んだ。
「わたしの胸がホンモノか――触って、確かめて」
 思わずその言葉に飛びついてしまった才人だったが、ティファニアの胸に触っているところを
ルイズに目撃された。ルイズは過去最大に憤怒し、信じられないくらい才人を痛めつけて反省を
強要したのだった。
 自分も悪かったとはいえ、今度ばかりはルイズの無慈悲な仕打ちに逆上した才人はルイズと
大喧嘩したのだが、それが後から哀しくなって落ち込みに落ち込んだ。するとオンディーヌの
仲間たちが才人を励まそうと、何と女子風呂の覗きにつき合わせた。励ましとはほぼ名目で、
八割以上は自分たちの欲望のための行動だった。
 だがちょうど覗きをしている時にルイズが入浴中だということに気づいた才人が、彼女の
生まれたままの姿を他の男たちが見ないように妨害した。その際の騒音で覗きが気づかれてしまい、
才人は制止したにも関わらず自分が窮地に。が、そこを救ったのは服を着る暇すら惜しんだタバサ。
彼女のお陰で、怒り狂う女子生徒たちから逃れることは出来た。
 しかし、神はつくづく才人に厳しいらしい。裸のタバサといるところを、よりによって
ルイズに見られた。そしてお察しのことが起こり、今に至る。
 ルイズの才人への仕打ちに、ジャンボットが苦言を呈する。
『ルイズ、またもサイトにこのようなことを! 君は、少しは寛容さを身につけるべきだと
何度も言っているだろう! 相変わらず分からないな』
「何よ! こいつだって悪いでしょうが! 何かにつけては、他の女の子にセクハラを働いて……
今回は特にひどかったわよ!」
『確かに覗きは犯罪ではある。しかしさすがにこれはやりすぎだろう! いくら何でも、
こんな惨い私刑は初めて見るぞ!』
「それもこれも、こいつがまるで学習しないからよッ!」
 叱るジャンボットに、感情の昂るままに言い返すルイズ。一方で、シエスタはボロ雑巾の
ような才人、略してボロ才人を見下ろして、彼が不憫になってきた。
 才人はいつもルイズのために命を張っているのに、ルイズのお返しはあまりにひどい。
才人とルイズの間に深い絆があるのは認めるが、さすがにこれを見せつけられては、ここまで
やらかすルイズに才人を任せていいのか? という疑念が湧いてきた。
 そこでシエスタは神妙な顔でルイズに告げた。
「ミス・ヴァリエール」
「何よシエスタ」
「そろそろサイトさんの一日使用権を行使させていただきます」

 才人の一日使用権とは何か。それは仮装舞踏会の時の賭けで、シエスタが得たものである。
あの時シエスタは、才人がルイズを見つけられたらすっぱりあきらめる、見つけられなかったら
一日だけ才人を好きにさせてもらう、という賭けをしていたのだ。
「舞踏会は不測の事態で中断されたんだから、賭けも無効よ!」
「賭けの勝敗の決定は見つけられるか見つけられないかという部分だけで、舞踏会の中断とかは
元より考慮されません」
 ルイズの訴えを論破し、シエスタは権利を手に入れた。そして今、とうとうそれを使用したのだった。

 こうしてシエスタは一日の間、才人を好きに出来ることになった。シエスタは才人に『新婚さん
ごっこ』をやる、と宣言した。元々寝泊まりしていた使用人宿舎で、その新婚さんごっこなるものを
行うのだ。
 しかしジャンボットが抗議の声を上げたので、才人を宿舎に連れていく前にルイズの部屋で
二人きりの状態になって、話し合いを行っていた。
『いかん! いかんぞシエスタ! 遊びでも結婚の真似事をしようなどとは……君とサイトには
早すぎるッ!』
「そんなうるさく言わなくてもいいじゃないですか。単なるお遊びなんですから」
『いや、君のことだ。これを機に、サイトに何かふしだらなことをしようなどと考えてるのではないか?』
 うッ、とシエスタは言葉を詰まらせた。そういう意図がない訳ではない。
『図星だな! 全く、君は変なところで才人に対し過激なことをする。ルイズもルイズだが、
シエスタ、君も淑女(レディ)なら慎みを持たねばならんと何度も』
「わ、わたしは貴婦人(レディ)じゃないですよ。平民のメイドです」
『そういうことを言ってるんじゃない。いや百歩譲ってそれをよしとしても、よもや惚れ薬を
サイトに飲ませようとたくらんでいるのではあるまいな』
 シエスタは再度言葉を詰まらせた。ルイズがあまりに才人にひどいことをするので、薬を使ってでも
才人を自分のものにしようという悪い考えが鎌首をもたげていたところだったのだ。
『そうなのか! ああ、何と嘆かわしい! 君がそんな悪い娘になってしまうとは、私はササキに
顔向け出来ん!』
「そ、そんな大袈裟な! いいじゃないですか! ミス・ヴァリエールがあんなにサイトさんを
好き勝手にするんだから、わたしだってたまにはサイトさんの目を釘づけにしても!」
『いや、許さん! 恋路を薬に頼ろうなどという情けない考えは! いいかねシエスタ、
何も私は君の恋の邪魔をしようというつもりではないのだ。だが安易な手段で得る愛など、
長くは続かないものだ。本当にサイトを愛するというのなら、もっとじっくりと時間を掛けて、
自身の本当の魅力で勝負をだな……』
 ジャンボットがあまりにくどくど説教するので、シエスタはいい加減イライラしてきた。
一日という時間には限りがあるのだから、ジャンボットにばかり構っているつもりもない。
 そのためシエスタは、しゃべり続けるジャンボットを無視して腕輪を外し、ちゃぶ台の上に放置した。
『お、おい! ずるいぞシエスタ、置いていくんじゃない! おーいッ!』
 焦るジャンボットに振り返りもせず、シエスタはルイズの部屋から飛び出していった。
 一連の様子を立てかけられた壁から見ていたデルフリンガーがぼやく。
「相棒と娘っ子も大概だが、こっちもめんどくさいもんだねえ」

 しばらくしてから、ルイズが部屋に戻ってきた。かなり不機嫌そうに、ぶつぶつとつぶやき続けている。
「全く、あの犬め……。テファやタバサに留まらず、メイドにまでセクハラしようってなら、
今度こそ命の無事を保証しないわよ」
 何とも危険なことを独白していたルイズは、ちゃぶ台の上の腕輪に気がつく。
「あらジャンボット。シエスタに置いていかれたの? そうよね、あなたこそ堅物すぎて
口うるさい時があるし。自分こそ慎ましやかさを覚えたらどうかしら?」
 イライラのままにきつい言葉を投げかけるルイズだったが、ジャンボットはそれには構わずに
ルイズに告げた。
『ルイズ、大変だぞ! シエスタが惚れ薬を持ってサイトのところに行った!』
「へ? ほ……惚れ薬ぃ!? 何でシエスタがそんなの持ってるのよ!?」
 ジャンボットはシエスタがジェシカから惚れ薬を渡されたことを話す。それを聞いたルイズの
顔色が青になったり赤になったり忙しなく変化した末に、怒髪天を突いて踵を返した。
「メイドぉぉぉぉぉぉ――――――――ッ! そこまで許した覚えはないわよぉぉぉぉぉぉぉ
――――――――――――ッ!」
 大絶叫して、使用人宿舎へ向けて全力疾走していく。
『あッ! だから、私を置いていかないでくれーッ! おーいッ!』

 その頃、シエスタは以前自分が使っていた部屋で、惚れ薬とワインの瓶を両手にして
うんうんうなっていた。
 先ほどまでシエスタは、ここで才人を相手に「新婚さんごっこ」を行っていた。使用人仲間の
友人たちにはやし立てられる形で、エプロン一枚とニーソックス、カチューシャだけという過激な
格好になって才人を誘惑した。シエスタのすさまじい攻勢にすっかり頭が茹で上がった才人は、
一旦クールダウンするために席を立ってトイレに行っている。
 彼の目がない間にシエスタは、惚れ薬をワインに盛ろうとしたのだが……壜を手にしたところで、
思い直したのである。
 ルイズの所業で頭に血が昇り、ついこんなことをしてしまったが、やはり惚れ薬なんてものを
使うのは卑怯だ。さすがにルイズに申し訳ないし、才人にも軽蔑されるかもしれない。
「やっぱり、これは捨てよう」
 そしてジャンボットの言った通り、正真正銘自分の魅力で勝負しよう。シエスタは改めて
惚れ薬を捨てる決心をした。
 だがその時! 窓の外にぬっと巨大な影が現れる!
『酒ぇ~!』
「えッ? きゃあああッ!?」
 思わず悲鳴を上げるシエスタ。窓の外に、巨大怪獣がいて部屋の中を覗き込んでいるのだ!
 怪獣の正体はベロン。グレンファイヤーに追われてゲルマニアからトリステインまで逃げてきて、
酒の匂いを嗅ぎつけて忍法でこの魔法学院に音もなく侵入してきたのだった。
「どうしたシエスタ!? うわぁッ!?」
 シエスタの悲鳴を聞きつけて戻ってきた才人も、四角い窓の中にベロンの顔がどアップに
なっているのを目にして仰天した。
 当のベロンは窓から宿舎の部屋の中に手を突っ込み、指でシエスタの手に持っているワイン瓶を
ひったくった。
「きゃッ!? ワインを取られた……!」
 ハッと青くなるシエスタ。なくなっているのが、ワイン瓶だけでないことがすぐに分かったからだ。
 もう片方の手で持っていた、惚れ薬もなくなっている。
「まさか……!」
 窓に駆け寄ってベロンを見上げるシエスタ。ベロンは、シエスタから奪ったワイン瓶の中身を
口に流し込んでいる。
 同時に惚れ薬も流し込んでいた! ワインと一緒に持っていたので、酒と勘違いされたのだ!
「あぁーッ!?」
 惚れ薬を飲んだベロンは視線を落とし、シエスタの顔をじっと見やった。
 一気に血の気が失せるシエスタ。ま、まさか……。いや、相手は人間の何倍もある巨体の怪獣だ。
人間用の魔法薬の効果が全身に行き渡るとは思えない。きっと何事も起こらないだろう。いや、
起こってほしくない……。
 そんなシエスタの思いとは裏腹に、ベロンの目の形がドキーン! とハートマークになった。
『好き~♪』
「きゃあああああああ―――――――――――ッ!?」
 そして再び手を窓に突っ込んで、手早くシエスタを捕まえたのだ!
 効果は覿面だった。
「シ、シエスター!?」
「いやぁぁ―――――――! 放してぇ―――――――!」
 シエスタを捕らえられて絶叫する才人。シエスタはベロンの手の中で必死にもがくが、
惚れ薬のせいでシエスタにすっかり惚れ込んでしまったベロンは絶対手放そうとはしなかった。

 怒り狂った様子で中庭を突っ切っていたルイズだが、ベロンが出現すると彼女も驚愕させられて
我に返った。
「か、怪獣! こんなところに、いきなり!」
 その上ベロンがシエスタを片手に握っていることに気づくと、反射的に杖を抜いた。
「こらー! シエスタを放しさなーい! さもないと爆発を食らわせるわよッ!」
 杖を振り上げてベロンを脅すルイズ。つい先ほどまではシエスタに大激怒していたが、
それとこの状況は別だ。シエスタは才人を取り合うライバルではあるが、友人であり恩人
でもある。彼女を助けない訳にはいかない。
 しかしベロンの方はシエスタを放そうとせず、かと言ってルイズに攻撃しようという素振りもなかった。
『どろんぱ~!』
 代わりに全身から煙幕を発すると、この場から忽然と消え失せた。ルイズが何かする前に、
忍法で魔法学院を立ち去ったのだ。
 シエスタも連れて。
「あぁぁ―――――――ッ!? シ、シエスタぁぁぁ―――――――――――!!」
 絶叫するルイズ、才人。シエスタがベロンに誘拐されてしまった!
 果たしてシエスタの運命や如何に!


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