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第九十九話「故郷の夢」


ウルトラマンゼロの使い魔
第九十九話「故郷の夢」
暗殺宇宙人ナックル星人グレイ
夢幻怪獣バクゴン 登場



「……はッ!?」
 目を覚ました才人は、ベッドから勢いよく上体を起こした。しばしボーッとしていたが、
やがてつぶやく。
「……ああ、夢だったのか」
 才人は寝ている間に見た夢の内容を、おぼろげながら振り返った。
(何だか変な夢だったな……。明日は来るんだろうか? なんて不安なことを夢の中で思って)
「ちょっとッ! やっと起きたと思えば、何黄昏れてるの!」
「おはようございます、サイトさん」
 ぼうっと考えていたら、ルイズに強く呼びかけられた。シエスタは挨拶する。二人とも既に
着替え終えている。
「お、おはよう。……リシュは?」
「あんたが寝てる間にどっか行っちゃったわ。もう、こんな時間にようやく目を覚ますなんて、
リシュの寝坊癖が移っちゃったんじゃないの?」
 嫌味を言ってくるルイズに、ポリポリと後ろ頭をかいた才人が弁解する。
「いや、どうも最近寝つきが悪いっていうか、変な夢ばかり見るから。それで身体のリズムが
おかしくなってるのかも」
「変な夢? ……どんなの?」
 何故か、ルイズはその部分を気に留めた。尋ねられた才人は詳しく説明する。
「毎度ほとんどのところは忘れちまうんだけど、確かなことは、舞台はいつも日本……俺の故郷で、
俺は自分の学校に通ってるんだ。でも、ルイズたちもそこに通ってるみたいで……一度や二度なら
まだしも、連続で同じ内容の夢を見るなんて、普通はないよな」
 と言うと、ルイズは何やら顎に指をかけて考え込んだ。
「あの、ルイズ?」
「……サイト、実はわたしも近頃、サイトのように同じ感じの夢を見てるの」
 いきなり、ルイズはそう告白した。
「え? ルイズも?」
「ええ……。見知らぬ世界で、見知らぬ学び舎に通う夢。……それって、サイトが今言ったのと
似通ってるわよね。それにその世界の景色……一度だけ見せてもらった、あんたの世界の景色に
似てるような気がするわ」
 才人はルイズの言に驚く。それはもしかしたら、ルイズが自分と同じ夢を見ているのかも
しれない。だが、そんなことがあり得るのだろうか。
 しかもそれだけではなかった。
「あの、少しよろしいでしょうか……」
 話を脇から聞いていたシエスタが控えめに手を挙げる。
「シエスタ、どうした?」
「夢のことですが……実は、わたしも今ミス・ヴァリエールが語ったのと同じような夢を
連日見てるんです。平民のわたしが、サイトさんのいる学園に生徒として通う夢を……
それも、すごく現実感のある……」
「シエスタまでその夢を? どうなってるのかしら……」
 ますます混迷を深める才人とルイズ。複数の人間が一つの夢を見合うなんてことが、
現実に起こり得るだろうか。
 それと、同じ夢を見ている人はここにいる三人だけに留まっているのだろうか。もしかしたら、
他にもいるのかも……。
「ちょっくら、調べてみるか……」
 才人は小さくそうつぶやいていた。

 その後学院を回って聞き込みをした結果、「見たこともない場所の学校の夢を連続して見る」
という質問に肯定を返した人間は、才人の予想以上の数がいた。彼らに、通信端末に記録されている
日本の街の風景を見せると、そろってこんな感じの景色だったと答えたのだった。
 これで、同じ夢を見ている人間が他にもいるのはほぼ確定だ。それも相当数。明らかに異常だ。
「まさか、こんなにも多くの人が同じ夢を見てただなんて……。何か、怖いな……」
 独りごつ才人。もし全ての人間が同一の夢を見るようになったとしたら……その時は、現実と夢、
どっちが本当の世界か分からなくなってしまうのではないだろうか。考えが飛躍しているかも
しれないが……そんな漠然とした不安を抱いてしまう。
 そうやって学院の廊下を歩いていると、後ろから誰かが駆け寄ってきた。
「ああ、サイト! こんなところにいたのか」
「クリス? どうしたんだよ、そんなに慌てて」
 クリスであった。彼女は軽く息切れするくらいに走り回っていたようだ。そのことを怪訝に思う才人。
「お前、色んな人にどんな夢を見ていたのかと聞いて回っているらしいな」
「あ、ああ。うん、そうだけど」
「何故だ? 何故、夢のことなど聞くのだ?」
 妙に凄みながら問うクリス。その反応に、才人は彼女が何か知っているのか、と思い、
事情を打ち明けることにした。
「……なぁ、クリス。少し不思議なことなんだけど、真面目に聞いてくれるか?」
「当然だ。わたしはいつも、人の話は真面目に聞いている」
「あはは、そうだよな。それじゃ……」
 そして才人は、奇妙な夢のことを洗いざらいクリスに説明した。
「……ってこと」
「なるほど、大勢の人間が一つの夢を……」
 クリスは眉間の皺を一層深くする。彼女の様子を窺って、才人は尋ね返す。
「なぁ、クリス。お前にはこの事態に、何か心当たりがあるのか?」
「い、いや! これは……そう、ただの好奇心だ。サイトの様子が変だというから……」
 途端に口ごもるクリス。ごまかそうとしているのは明白だった。
 それに才人は些か機嫌を害した。デバンは、クリスが何かの使命を帯びて学院にやってきた、
必要だと思ったのならクリスから事情を話してくれると言っていたのに……自分は信用されて
いないのか、と思ってしまったのだ。
「もういい。夢のことは、もう少し調べてから話す。クリスは何か隠しているみたいだし」
「え? あ、いや。隠してなどいない!」
「いいよ、話したくないなら無理しないで。じゃあな!」
 少しきつめの口調でクリスから離れる才人。するとゼロが呼びかけてくる。
『おい、いいのか? 十中八九、クリスは何か知ってるだろうに』
「……どっちにせよ、クリスから話してくれるのを待つさ。友達相手に、無理に聞き出すこともしたくない」
 冷静になってから、今の態度を反省しつつも、ルイズの部屋へと帰ってくる。
「あ、お兄ちゃん。お帰りなさーい!」
 部屋にはデルフリンガー以外は、リシュしかいなかった。
「ああ、リシュ。ルイズとシエスタは?」
「知らなーい」
「さっき、おめえさんを捜しに行ったんだが、すれ違ったみてえだな」
 リシュの代わりにデルフリンガーが回答した。
「ありゃ、そうなのか? まぁいいか、戻ってくるのはここだし」
 畳に上がって腰を下ろす才人。それから夢の件を頭の中で整理するのだが、その最中に
リシュが呼びかけてきた。
「ところでお兄ちゃん。お兄ちゃんは、自分の故郷に帰りたいって思う?」
「ん……? どうしたんだ、急に」
「いいから。……お兄ちゃん、こっちに来てから危ない目、苦しい目に遭い続けだよね」
 リシュは、奇妙なことを話し出す。が、才人は徐々に意識が朦朧としてきて、反応が鈍くなる。
「ん……何か、妙に眠いような……」
「家族から、友達から、故郷から勝手に切り離されて、いつもいつも働かされ続けて……
ニホンに帰って、平和な世界に戻りたくはない? お兄ちゃんが危険な敵と戦う必要なんて、
ないじゃない……」
「おい、相棒! しっかりしろ! おーい!」
『才人! 目を覚ませ! こいつはやべぇぞッ!』
 デルフリンガーとゼロの声もするが、才人は今にもまぶたが落ちそうで、鋭い反応を返せなかった。
「……何で? ここには敵なんていないだろ? リシュしか、いなくて……」
『目を開けろ才人ッ!』
 寝ぼけ眼を支え、ようやくリシュを見つめ返す才人。
 そこには、小さく幼いリシュの姿はなかった。代わりに、妖艶な大人の美女がいた。
 ただし……角と黒い羽が生えている。

 その頃ルイズとシエスタは、才人の戻りが遅いので学院中を捜していた。
「もう、ご主人様にこんな手間をかけさせて。世話の焼ける使い魔ね!」
「まぁまぁ。今日のサイトさん、どこか様子がおかしかったですし。もしかしたらわたしたちが
見た夢のことで、何か掴んだことがあるのかもしれませんよ」
 ぷりぷり怒るルイズをなだめるシエスタ。二人はどうやら才人とすれ違ってしまったようだと分かり、
一旦部屋に戻るところであった。
 しかし、どういう訳か今日はやたらとその道のりが長いように感じる。
「おかしいわね……。こんなに時間が掛かる距離だったかしら?」
「確かに変ですね……。何だか、同じところで足止めをされてるような気が……」
 ルイズとシエスタがつぶやいた時、ジャンボットが叫んだ。
『気をつけろ、二人とも! 空間の歪みを検出した! むッ! そこにいるのは誰だッ!』
「えッ!?」
 すると、廊下の暗がりから一人の怪人がぬっと現れた!
『あぁ~ら、バレちゃったわねぇ~』
「あッ! う、宇宙人!」
 咄嗟に身構えるルイズたち。目の前に現れたのは明らかに宇宙人、それも見たことのある
タイプであった。顔は違えども、タルブ村を襲撃した者と同じ特徴を有する……ナックル星人だ!
 ジュリ扇をはためかせて、低い声質なのに女口調のナックル星人へ、ルイズは杖を突きつけた。
「学院に侵入して、今度は何をたくらんでるの!? 答えないと、爆発を食らってもらうわよ!」
『あらヤだ、怖いわ~。そんなかわいい顔してカッカしないでちょうだい』
 脅しても、ナックル星人はこっちを舐めているのか、おどけた態度のままであった。
『今日は何もあなたたちに危害を加えに来たんじゃないのよぉ。用があるのは、あなたたちの
お友達の男の子の方』
「! サイトに何かしたの!?」
『してるのはアタシじゃないわよ。アタシのお友達! アタシはお邪魔が入らないように、
ちょっとあなたたちを足止めさせてもらっただけなのよ』
 どうやらナックル星人には、他に仲間がいるらしい。それが才人を狙っているところなのか。
才人が危ない!
「今すぐわたしたちを解放しなさい!」
『言われなくてもそうするわぁ~。何故なら、もう十分時間は稼いだから! 向こうで何が
起きてるかは、自分の目で確かめてちょうだいッ! それじゃ、さよならッ♪』
 ナックル星人は投げキッスと、毒々しいハートマークを飛ばすと、一瞬にして姿をかき消した。
それと同時に空間が元に戻る。
「ミス・ヴァリエール!」
「分かってるわ! 急ぎましょう、サイトのところへ!」
 ルイズとシエスタは全速力で駆け出して、部屋へと向かい出した。

「……誰だ?」
 いきなり現れた美女を見上げた才人の口から疑問がこぼれると、ゼロがそれに答えた。
『信じられないかもしれねぇが、そいつはリシュだ……! お前が背を向けてる間に、
大きくなりやがった……! いや、こっちが本当の姿なのか……』
「え? じゃあ、あれ、リシュ?」
『だんだん呑み込めてきたぜ……。才人、気をしっかり持て!』
 強く呼びかけるゼロだが、才人の意識ははっきりしない。その間に美女――リシュが朗々と語る。
「うふふふ……。ねぇサイト、あたしはあなたを平和な世界に連れてってあげられるわ。
もう何にも苛まれることなく、楽しく生きていける世界にね……。あたしの力とあなたの
記憶が合わされば、無敵。誰であろうと邪魔はさせないわ……」
「……」
 才人の催眠状態はどんどんと深くなっていく。意識が、リシュの方にしか向いていない。
『俺の声も聞こえてないのか……! くッ、こうなりゃ最終手段……!』
 ゼロは強制的に意識を入れ替えようとしたが……ゼロの声まで急激に弱り出す。
『うッ、な、何だ……! 力が出ねぇ……! まさか、俺まで奴の術中に……!』
「……サイトの中にいるもう一人、ウルトラマンゼロ。あなたにだって邪魔はさせない。
命を共有してるからサイトと切り離すことは出来ないけど……代わりに、永遠に眠っててもらうわ」
 才人に詰め寄ったリシュは、ウルティメイトブレスレットを手の平で抑え込んだ。同時に
怪しい力の波動が流し込まれ、ゼロはそれ以上言葉を発せられなくなる。
「ねぇサイト、平和な世界に行きたい?」
「……ああ、行きたい。平和な世界に行きたいから、俺は夢を見続けてたんだ……」
 最早才人は、リシュの言葉を繰り返すレコーダーのようになっていた。
「うふふッ! 素直なサイトのお願い、聞き届けたわ」
「相棒! 起きろって! おーいッ!」
 デルフリンガーが叫ぶが、動けない彼ではこの事態を止めることは出来なかった。
「ねぇ、サイト。あたしたちは、ずーっと一緒になるの。ニホンでね」
 そしてリシュは、才人の顔に口を寄せて……。
「サイトッ!」
「サイトさん! ご無事ですか!?」
 ルイズとシエスタが駆け込んだちょうどその時に、リシュは己の唇を才人のそれに重ね合わせた!
「えぇぇッ!?」
 予想外の光景を見せつけられて仰天するルイズたち。そしてルイズは真っ赤になって怒り狂う。
「さ、サイトぉぉぉぉぉッ! 人が心配して駆けつけてみたら、わたしの部屋で知らない女と
ななな何やっちゃってくれてるのよぉぉぉぉ~ッ!!」
 思いっきり勘違いして杖を振り上げるルイズだったが……その手がいきなり凍りついたように停止した。
「えッ? な、何……? 身体が、動かない……」
「ミス・ヴァリエール……! わたしもです……!」
「うふふ。あたしを怒らないでサイトを怒るなんて、ほーんと、ルイズらしい」
 全く動けなくなったルイズたち、特にルイズに笑みを向けたリシュは、急に表情を怒りに染めた。
「サイトをさんざん自分のもの扱いして、ひどい女。ああ、可哀想なサイト。だから……
サイトはあたしがもらってあげる」
「ま、待って! 何するつもり!?」
 焦るルイズだが、どんなに力を込めてもやはり身体の自由は利かなかった。まるで自分の
ものではなくなってしまったかのようだ。
『大変だ! こうなれば私が……!』
 ジャンボットがここへ急行しようとするが、リシュは才人を引き寄せてクイッと顎を上げる。
「サイトはあたしの世界へ連れていくわ。そして……身も心もあたしのものにするの」
『くッ、間に合わん……!』
 そしてリシュは、再び才人の唇に口づけした。
「んッ……ちゅ……」
 その瞬間に、リシュと才人を中心にまばゆい閃光が発せられた!
「きゃあああッ!」
 あまりにまぶしくて直視することが出来ず、目を閉ざすルイズとシエスタ。そして目を開けると……。
「えッ、サイト……!?」
「い、いません……! どこにも……!」
 才人の姿は、リシュとともに部屋のどこからもなくなっていた。扉の前にはルイズたちが
立っているし、窓が開かれた様子もない。それなのに、完全に消えてしまっていた。
「デルフ! サイトがどこへ連れてかれたか分からない!?」
「わからねえ。相棒は女と一緒に、光の中で消えちまったよ。文字通りな」
「あ、あの女は何者なんですか!?」
 問いかけるシエスタ。デルフリンガーはそのまま答える。
「ありゃ、ちっこいのだよ。ちっこいのがでかくなったんだ」
「な、何言ってんのよッ! ちっこいのってリシュよね? あれのどこがリシュなの?」
 まるで体格が異なっていたのでルイズは信用しなかったが、ジャンボットがデルフリンガーを擁護する。
『いや、デルフリンガーの言う通り、あれはリシュだ。生体の波長が全くの同一だった。
恐らく、さきほどのが本来の姿で、外見年齢を変えていたのだろう』
「あれがリシュさんの正体……!? それにさっきのウチュウ人の言うことを考えたら、
リシュさんがあのウチュウ人の仲間……!? 何のためにわたしたちを欺いてて……
サイトさんをさらっていったんですか!?」
「そこまではわかんねえよ、本人に聞いてくれ。……って、もう消えちまったんだった」
 デルフリンガーが息を落とした。
「一体、何が起きてるの……!?」
 まるで事態が呑み込めず、ルイズは戦慄するばかりであった……。

 そして才人が消失してからほどなくして、トリステインの各所で異常が発生していた。
その一箇所のこと。
「グアアァァァ――――!」
 突然、どこからともなく、一体の怪獣が出現したのだ。顔面は般若のようで、右腕には
赤い蛇のような、左腕には緑の犬のような首があり、体色は異様にカラフルで非対称的。
およそ自然に生まれた生物とは思えない、奇怪すぎる容姿であった。
 まるで、夢のようにデタラメな風貌の怪獣であった……。


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