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第九十七話「双月の夜に怪獣が踊る」


ウルトラマンゼロの使い魔
第九十七話「双月の夜に怪獣が踊る」
月の輪怪獣クレッセント
羽根怪獣ギコギラー
硫酸怪獣ホー
カプセル怪獣ミクラス 登場



 クリス発案の、平民を対象とした舞踏会はとうとう許可を得られた。なかなか理解を得られない
苦難の道のりであったが、その分喜びもひとしおというもの。才人たちは開催日までの数日間、
はりきって準備を執り行った。
 そしてハルケギニアの双つの月が夜天に輝くその日、遂に舞踏会の本番がやってきたのだ。

 舞踏会が開始されるとともに、会場のダンスホールに招待された平民たちが大勢入ってきた。
いつもはメイドのシエスタも、今日はドレスで着飾っておもてなしされる側だ。
 給仕をするのはもちろん主催のクリスたち。ギーシュとモンモランシーも仲間に戻ってきて、
ともにせっせと給仕している。が、さすがに慣れていない作業なのでどこかぎこちない。
 そんな中で一番手慣れているのは、才人とルイズだった。ルイズが接客できる事実に、
彼女を知る者はかなり意外な顔をしていたが、去年の夏に『魅惑の妖精』亭で働いた
経験が活きているのだ。
「あの時、俺たちを拾ってくれたスカロンさんに感謝だな」
 ルイズのてきぱき働く姿を見て才人がひとりごちた時、
「ああ、トレビア~ン! ルイズちゃん、ス・テ・キ!」
 当のスカロンが会場に現れて、ルイズに向けてそう告げたのだった。
「あら? そっちにいるのはサイトちゃんじゃないの」
「ど、ども、スカロンさん。お久しぶりです……」
 相変わらずの濃いキャラクターに、恩人とはいえ才人は引き気味であった。
「ちがーうでしょ! ミ・マドモアゼルとお呼びなさい!」
「は、はぁ。すいません、ミ・マドモアゼル」
「うんうん。今日はお仕事でのお招き、ありがとね~」
「お仕事でのって……」
 ルイズが才人に疑問の視線を向けた。スカロンは客ではないのか。
「ほら、舞踏会には楽団が必要だろ? 用意してもらったんだよ。そういうことはやっぱり、
その筋のプロに頼むのが一番だからな」
「あ、ああ、そういうこと」
 納得するルイズのメイド服姿を観察するスカロン。
「それにしてもルイズちゃん、お洋服よく似合ってるわよ~? ウチの制服もよかったけど、
ルイズちゃんは品があるから、こういうオーソドックスな格好も様になるわね~」
「あ、ありがとうございます……」
「でーも、もっとリラーックスしなくちゃダ・メ。妖精さんらしく、コケティッシュに舞うように
お客様をおもてなしするのよッ! 忘れてないわよね? 一番大切なのは、笑顔ッ!」
「は、はいッ!」
 スカロンからのありがたい訓示。ルイズは反射的に、『魅惑の妖精』亭時代のような返事をしてしまった。
「ルイズちゃんのご学友ちゃんたちはもっと固いわね~。それじゃいけないわ。みんなにも
笑顔でお客様をおもてなししてもらわないとねッ!」
 プロ根性に火が点いたのか、スカロンはクリスたちのところを回ってそれぞれアドバイスしていく。
彼の強烈な見た目に、クリスたちは初めギョッとしていたが、さすがに人気店の店長、的確な指導で
彼らの接客を瞬く間に改善していった。
 給仕のクリスたちの表情が明るくなったことで、舞踏会もどことなく明るさを増したようであった。
このことに、ルイズと才人は顔を見合わせて満足そうに微笑み合ったのだった。

 それからも舞踏会は盛況が続き、双月が空に輝く頃に、最後の演奏が始まる。
「ふー……さすがに疲れてきたな。リシュはもう寝てる時間だろうかな」
 才人はふとリシュのことを気に掛けた。自分も舞踏会に出たがっていたリシュだが、さすがに
大勢の人が集まるところに出しては目立つなんてものではないので、生憎ながら留守番をさせたのであった。
 思いを馳せていると、才人の側にルイズがやってくる。
「……サイト」
「んあ、ルイズか。どーした?」
「……曲、始まったわね」
「ああ、そーだな。これが最後の演奏かなぁ」
「そ、そうね。多分、最後よね。ええ、最後だわ」
 何かを言いたそうに、もじもじとするルイズ。と、才人はこんなことを言った。
「そういえば、舞踏会といやぁあの時のことを思い出すよな。確か、『フリッグの舞踏会』だったっけ。
アントラー倒した後の」
「『フリッグの舞踏会』? ああ、懐かしいわね。あんたを召喚してまだ日が浅い時のことだったわね」
 二人はその時のことを思い返す。あれから結構な時間が経った。夏が来て、冬を迎えて、
年をまたぎ……その間に、本当に色んなことがあった。当時の自分たちに、才人がハルケギニアの
貴族になると言ったら信じるだろうか。
 懐かしんでいる才人に、ルイズがすっと手を差し伸べる。
「踊ってあげても、よくってよ」
 あの時と同じ台詞に、才人は思わずニヤッとなった。
「踊ってください、じゃねえのか」
 才人が返すと、ルイズも微笑を浮かべる。
「わたくしと一曲踊ってくださいませんこと。ジェントルマン」
 笑い合う二人。才人はゆっくりとルイズの手を取ろうとしたが……。
「ギイイイイイイイイ……!」
 突然、外から何かのうなり声が聞こえた。才人たちは弾かれたようにバルコニーの方へ振り向く。
演奏も中断し、会場は騒然となる。
 果たして、空の一画が唐突にスパークし、雷が集まって巨大怪獣が出現した!
「ギイイイイイイイイ!」
 学院のすぐ側に怪獣が出現したことで舞踏会の招待客は一斉に悲鳴を上げ、なだれ込むように
ホールから逃げ出していく。
「皆さん、落ち着いて下さい! 出口に一辺に押し寄せないで、怪我をします!」
 クリスたちやスカロンは招待客の避難誘導に当たる。才人は怪獣をにらんでつぶやいた。
「あいつは月の輪怪獣クレッセント……!」
 と言ってから、はたと変な顔を作った。
「ん? 何で今、一発で言い当てたんだろ。端末のデータも見ないで」
「サイト! 怪獣がもうそこまで迫ってるわ! どうにかして!」
 しかしルイズの呼びかけで我に返った。
「あ、ああ、そうだな。けどここじゃ変身できねぇ……!」
 ホールは大勢の人で混雑しており、その前で変身することは無理だ。しかしクレッセントは
今にも学院を攻撃しそうで、悠長に変身できる場所を探している余裕はない。
 となれば、カプセル怪獣の出番だ。
「頼んだぞ、ミクラス!」
 素早くカプセルを投げ飛ばす才人。外へと飛び出していったカプセルからミクラスが現れ、
クレッセントにタックルをかます。
「グアアアアアアアア!」
「ギイイイイイイイイ!」
 不意打ちを食らったクレッセントは突き飛ばされ、ひとまずの学院の危機は回避された。
「よし、今の内にお客さんたちをここから逃がそう!」
「ええ!」
 ミクラスが時間稼ぎをしてくれている間に、才人たちも避難誘導に加わる。
「グアアアアアアアア!」
「ギイイイイイイイイ!」
 ミクラスは持ち前のパワーでクレッセントを足止めする。クレッセントは両眼から熱線を
照射して攻撃するが、ミクラスは回避の直後に相手の懐に踏み込んで、突進で仰向けに転倒させる。
「グアアアアアアアア!」
 ミクラスは倒れたクレッセントに馬乗りになって、顔面にパンチを浴びせかける。このまま
押し切ることが出来るか。
 いや、そう上手く事は運ばないようだった。夜空の彼方から、新たな怪獣が飛来してきたのだ。
「ギャオオオオオオオオ!」
 羽根怪獣ギコギラーだ! ギコギラーはクレッセントの仲間のようで、ミクラスにフライングキックを
浴びせて蹴り飛ばした。
「ウアアアアアアアア!」
 更には青い怪光が瞬き、三体目の怪獣がこの場に出現した。硫酸怪獣ホーだ!
 ミクラスはたちまちの内に三体の怪獣に襲われ、袋叩きにされる。このままではミクラスが危ない。
「グアアアアアアアア!」
「ミクラスが! けど、避難はあらかた完了したぜ!」
 招待客はミクラスが戦っている間に、ほぼ全員逃がすことが出来た。ここからはウルトラマン
ゼロの活躍だ!
 才人はバルコニーの物陰に隠れて、ウルトラゼロアイを装着した。
「デュワッ!」
 たちまち姿が変わる才人。そして変身を遂げたゼロは巨大化の勢いで怪獣たちに飛びかかっていき、
三体纏めて突き飛ばした。
「あッ! ウルトラマンゼロだ!」
「ゼロが俺たちを助けに来てくれたぞぉー!」
「がんばれー! ウルトラマン!」
 避難中の平民たちも、ゼロの姿を認めると一転して喜色満面となり、わいわいとゼロの応援を飛ばした。
 ミクラスをカプセルに戻したゼロは、下唇をぬぐって怪獣たちに啖呵を切る。
『へッ、性懲りもなく現れやがって! このウルトラマンゼロがきっちり引導を渡してやるぜッ!』
 だが、自分の発言にはたと疑問を抱いた。
『……ん? 何言ってるんだ、俺。こいつらと戦うのはこれが初めてじゃねぇか。……何と
勘違いしてるんだ?』
「ギイイイイイイイイ!」
「ギャオオオオオオオオ!」
「ウアアアアアアアア!」
 しかし自問の答えを求めている時間はなかった。怪獣たちが一気に押し寄せてきて、
ゼロは突き飛ばし返される。
『おわぁッ! いけねぇいけねぇ、戦いに集中しないとな!』
 意識を切り換えたゼロは、宇宙空手の構えを取り直して三体の怪獣に立ち向かっていく。
『せぇぇいッ!』
「ギイイイイイイイイ!」
 まずは鋭い爪を振りかざして迫ってきたクレッセントの引っかき攻撃をいなし、首を抑え込む。
ギコギラーとホーを後ろ回し蹴りで牽制しながら、クレッセントを首投げで地面に叩きつけた。
『おりゃあッ!』
「ギャオオオオオオオオ!」
 ギコギラーが飛びながらキックを繰り出してくるが、バク転で見事に回避。姿勢を戻すと
ゼロスラッガーを投擲し、ギコギラーの翼を裂いて地上に落とした。
「ウアアアアアアアア!」
『はぁッ!』
 ホーが接近しながら硫酸の涙を飛ばしてくると、ウルトラゼロディフェンサーで防御。
そしてエメリウムスラッシュで胸を撃ち、ひるませて硫酸を止めさせた。
 三体の怪獣が同時に攻めてきても、ゼロは大立ち回りで互角以上の戦いを見せる。……というより、
どういう訳か怪獣たちの手が事前に予測できるのだ。それに合わせることで返り討ちにしているのだが、
何故初めて見たはずの怪獣の動きが読めるのかは、ゼロ自身にも分かっていなかった。実に不思議だ。
『どうにも変だが……まぁ怪獣をやっつけるのが先決だ! 行くぜッ!』
 ゼロは左腕を横に伸ばし、ワイドゼロショットを発射! クレッセントに綺麗に命中し、爆散させる。
「ギイイイイイイイイ!!」
 次の狙いはギコギラーだ。ウルティメイトブレスレットを輝かせ、赤く燃え上がって二段変身。
『ストロングコロナゼロッ!』
 ギコギラーの身体をむんずと捕らえて空高くに放り投げる!
『ウルトラハリケーンッ! からのガルネイトバスターッ!!』
「ギャオオオオオオオオ!!」
 高熱光線が炸裂して、ギコギラーも撃破。
 最後に残ったホーには、ノーマルの状態に戻ってからスラッガーを胸部につなぎ、最大の光線を
お見舞いしてやる。
『ゼロツインシュートォォッ!!』
「ウアアアアアアアア!!」
 ホーは光の奔流に呑まれ、たちまちの内に大爆発を起こした。
 かくして、三体の怪獣は全てゼロの流れるような連続攻撃によって完全に退治されたのであった。
「やったぁー! ゼロの大勝利だ!」
「やっぱりウルトラマンゼロは強いなぁ~」
「ゼロの戦いが間近で見られるのも、そう悪いものじゃあないな!」
 戦いの結果に平民たちも大喜び。安堵とともに、喜んだりゼロを称えたりしている。
 そしてゼロから戻った才人の元に、ルイズが駆け寄ってきた。
「お疲れさま」
「ああ、ありがとう」
「まさか最後にこんなことになっちゃうなんてね……。でも、舞踏会がどうにか成功してよかったわ……」
 そのルイズの言葉に、才人は力を込めてうなずき返した。
「ああ、本当だな……。これでクリスも、この学院でのいい思い出が出来たかな」
 元々はクリスのために始めたこと。才人の言葉を、ルイズが肯定した。
「出来たに決まってるわよ。みんなで協力して、大きなことをやり遂げたんだもの」
「そっか。そうだよな……」

 舞踏会は大盛況で終了した。怪獣の襲撃も、ゼロの大活躍が見られたことでむしろ皆満足感を覚え、
客たちは口々に「楽しかったよ」と言ってくれたのだった。そのことでクリスは感動し、目尻に
涙さえ湛えていた。
「あああああ~、疲れたああああ!」
 片づけも終えて、部屋に戻った時には肩の荷が下りる。才人は背筋を思いっきり伸ばして、
どっと息を吐いたのだった。
「おう、お疲れさん相棒」
「サイトさん、お疲れさまです。今日はとても楽しかったです」
 デルフリンガーとシエスタは特に気にしなかったが、ルイズは才人を咎める。
「サイト! そんな大声出さないで。リシュが起きちゃうじゃない!」
「ああ、悪い」
 ベッドの上では、リシュが横になってかわいい寝息を立てているのだった。
「くー……すー……」
「おー、よく寝てら。デルフ、リシュは大人しくしてたのか?」
 才人の問いかけに答えるデルフリンガー。
「それがよ、最初はプンスカして『舞踏会に乗り込むー!』とか言ってた訳よ」
「何ー!?」
「そこでだ! 『んなことしたらお兄ちゃんに嫌われちまうぞ』って俺が諭してやったら、
ムスーッてしちゃいたが大人しくなったぜ?」
「そうだったのか。デルフにも苦労かけるな」
「なあに、子供の躾けぐらいは朝飯前よ。俺ぁ飯は食わねえんだけどな」
 冗談を飛ばすデルフリンガー。苦笑した才人は、リシュの寝顔へ視線を戻した。
「クリスの件はこれでひと段落着いたし、そろそろリシュの件もどうにかしないとな。いい加減、
リシュがどうして地下にいたのかとか、はっきりさせなきゃ」
 と語る才人。結局彼らは、リシュが一体何者なのか、最近の学院周辺での怪獣頻出と関係
しているのかなどを、まるで突き止められていないのだ。
 ルイズとシエスタもうなずくが、直後にあくびを浮かべる。
「でも今日はとにかく疲れたわ……」
「わたしもです……。さすがに踊り疲れました……」
「わたし、もう寝るわ。サイト、あんたも疲れてるでしょ? そういうのはもう明日からにして、
早く寝なさいよ」
「へーい。おやすみルイズ、シエスタ」
「おやすみなさい」
「おやすみなさい、サイトさん」
 三人は就寝の挨拶を交わすと、明かりを消してベッドに潜り込んだのだった。
 ……そして三人が完全に寝ついてから、リシュはパチリと目を開いた……。

「ふふふふ……」
 寮塔の屋根の上。何者かが、ここで夜空の双つの月を見上げて、怪しい笑いを発していた。
「サイト、ねえサイト。もうすぐよ……」
 月明かりに照らされる、屋上の何者か――女性のような人影だが、コウモリ型の羽が背中から
生えている――が、上機嫌に独りつぶやく。
「もう十分よね? これだけいいものをたくさんたくさん、見せてあげたんだから……。
あと少しで、サイトはあたしのものになってくれるんだよね?」
 謎の人影は、誰も聞いていないのをいいことに、不穏なことを語っている。
「サイトはあたしのもの! あたしのものよ! あーはははははは!」
 高笑いする人影であったが、その時に誰もいないはずの屋上で誰か別の者の気配を感じ取り、
バッと振り返った。
『あーらぁ。ここ最近、この辺りで奇妙な力の波長が感じられると思ったら……どうやら
その正体は、あなたみたいねぇ~』
 その方向から声が発せられた。口調は女のものであるが、声質はかなり野太いという、
アンバランスな声だ。
『どうも見たところ、ただものじゃないみたいねぇ、あなた』
「……誰? あたしに何の用かしら? もし良からぬことを考えているのなら……!」
 初めの人影は強い敵意を向けるが、後から現れた方はそれをなだめるように呼びかけた。
『そう焦らないでッ! かわいい顔が台無しよぉ? アタシは何も、危害を加えようだなんて
ちっとも思ってないんだから。ホントよぉ?』
「……どうかしら」
『むしろ、あなたにご協力できるんじゃないかと思うの。ちょっと話を聞かせてもらったんだけど、
あなたの方も何か良くないことをするおつもりなんでしょ? でもあのお邪魔虫がいるからには、
そう簡単には行かないわよぉ。そう、ウルトラマンゼロ! 知ってるでしょ?』
 ウルトラマンゼロの名前が出てきて、人影はピクリと震えた。
『彼がいる以上は、あなたが目的を達成するのもかなり難しいわ。けどダーイジョウブ! 
アタシったら悪いことに詳しいの。きっとお力になれるわぁ~。ネネ、アタシたち、
お友達になりましょうよ』
 人影は、その申し出に思案しているようだ。
『二人の力を合わせれば、あのゼロだってどうとでも出来るわよ。そういうことだから……
手を結びましょぉう?』
 誘いを掛ける声に、返答は――。


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