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第九十五話「悪魔の住む学院」


ウルトラマンゼロの使い魔
第九十五話「悪魔の住む学院」
宇宙細菌ダリー 登場



「サイト! サイトったら!」
 寮塔の自室で、ルイズがいつにも増して荒い語調で才人を呼んだ。
「何だよ?」
「何だよ、じゃないわよ! そこ、見てみなさい!」
 ルイズが指し示した先は、部屋の一角に敷かれた畳。その縁が少々埃を被っている。
「そこ、埃まみれじゃない! あんた、タタミの上で招待状書いてるんでしょ? よく埃だらけの
とこで作業できるものね!」
「えぇ? 別に、まみれてるってほどじゃないだろ」
「口答えしないッ!」
 反論するときつく叱られ、才人は思わず首をすくめた。
「ちゃんと掃除しなさいよ! 不潔ね!」
「掃除ならシエスタがしてくれてるじゃないか。あー……でも、最近は俺たちの手伝いで
忙しくさせてるから、そっちに手が回り切ってないのか」
「だからこそ、あんたがしっかりしないと駄目なんでしょ!? 最近忘れてるみたいだから
はっきりさせておくけど、あんたはわたしの使い魔よ! シュヴァリエになっただか何だか
知らないけど、その領分を忘れるんじゃないわよ!」
 あまりにルイズが一方的に叱りつけるので、才人はむっと目くじらを立てた。
「おい、そんなきつく言うことないだろうが。ちょっと埃が残ってるってだけのことで」
「うるっさい! 口答えするなって言ったでしょ!?」
「何だとぉ!? 偉そうにしやがって!」
「偉いのよ! わたしはあんたの主人なんですからねッ!」
 ギャアギャアと喚き合うルイズと才人。その様子を傍からながめているリシュがつぶやく。
「ルイルイ、何だか荒れてるね……」
 そのひと言にデルフリンガーがこう返した。
「まぁな。ここのガキどもの説得が失敗して、焦りからイライラしてんだろ。期限ももう明日だしなぁ」
 中止の危機にある舞踏会をどうにか開催させようと、ルイズは生徒たちを説得して回ったのだが、
それは失敗に終わったのだった。当の生徒たちからの反応が芳しくなく、とても反対を取り消して
もらえそうにない。そんな状況だというのに、期限となる虚無の曜日がもう明日にまで迫っているのだ。
解決の目途も一向に立たない現状のままでは、せっかく色々準備をしてきた舞踏会が水の泡となってしまう。
今日のルイズは、焦りが募るあまりにひどく不機嫌なありさまなのだ。だから、才人に厳しく当たっている。
「気持ちは分からなくもねーけどよ、何も相棒に当たらなくてもとは思うぜ。全く、娘っ子は
性格がきついのが欠点だよな」
「……」
 呆れて息を吐くデルフリンガー。リシュの方は、ルイズと才人の口喧嘩をじっと見つめている。
「ちっこいの、あのしょうもねぇ争いは観察するもんじゃねぇぜ」
 デルフリンガーが諭したが、それでもリシュは二人を――特にルイズの方をじっくり見続けていた。

 それから放課後。ルイズたちは現状の打開のために、皆で集まって話し合いをしたのであった。
「はぁ……これが最後のチャンスね」
 話し合いを済ませてからの解散後、ルイズはとぼとぼとした足取りで寮塔に戻る道すがら、
ため息混じりにひと言つぶやいた。
 彼女らはどうしても舞踏会を行うために、タバサの提案した最後の博打に賭けることにした。
それは、生徒たちを一箇所に集めて、一挙に説得――舞踏会への想いを語りかける演説。
個々に説得しても効果が薄いのならば、演説という演出を用いて一度に全員の感情に訴えかけるのだ。
 実際に演説をする役目は、クリス自身。王族なので演説の心得もあると、自ら志願したのだ。
ルイズたちは明日まで出来るだけサポートをするが、本番では見守ることしか出来ない。
 当然、これが成功する保証などどこにもない。この演説も失敗に終わったら、その時こそ本当に
舞踏会は中止だ。そのためルイズは、非常にやきもきした気分になっているのだった。
「このチャンスを物に出来なかったら、今度こそどうしようもなくなるわ。でも、成功するか
どうかなんて全然わかんない。はぁ、心配だわ……」
 不安にまみれながら自室の前までたどりつくルイズ。と、その時、
「あら……?」
 自室の扉の前に、何やら花のようなものが落ちているのが目に入った。それを拾い上げるルイズ。
「何かしら、これ。見たことないような花だけど、誰がこんなところに……」
 銀色の、茎のない花弁。それを顔に近づけてながめたり、香りを嗅いだりと観察するルイズだが……。
「あッ……」
 唐突に、その身体がぐらりと傾いて、その場に崩れ落ちた。
 後から戻ってきた才人が目にしたのは、倒れたままのルイズの姿だった。
「!? ルイズ! おい、どうしたんだ!」
 気が動転した才人がルイズに駆け寄り、揺り動かそうとするのをゼロが制止した。
『動かすんじゃない、才人! 頭を打ってるかもしれねぇ! ひとまず落ち着いて、俺の指示に従え!』
「あ、ああ……」
 ゼロの呼びかけで、才人はいくらか冷静さを取り戻した。
 それからルイズの側に、銀色の花のようなものが落ちていることに気がつく。
「こいつは……? こいつのせいでルイズは倒れたのか?」
『! そいつに迂闊に触るな!』
 手を伸ばしかけたら、またもゼロに止められた。
 ゼロは銀の花を注視し、焦燥した声を出した。
『こいつは……!』

 倒れたルイズはベッドの上に寝かされたら、一向に目を覚ます気配がない。彼女の寝顔を
心配そうに見下ろす才人とシエスタ。
「ねぇ、ルイルイ、どうしちゃったの? まだお休みには早いよ?」
 リシュは事態を呑み込めていないようで、あどけない口調で尋ねた。すると、才人が諭すように
言い聞かせる。
「リシュ、ルイズはちょっと病気みたいなんだ……」
「えッ、そうだったの……? ルイルイ、大丈夫なの?」
「いや、大丈夫さ。俺たちが看病するからな。でも、リシュに病気が移ったらいけないから、
少しの間別のところに行っててくれ。何、病気が治ったらすぐに呼びに行くから」
「分かった……。お兄ちゃん、ルイルイのことお願いね。病気、早く治してあげてね」
 うなずいたリシュは、才人の言う通りに退室していった。
 それを確認してから、才人がテーブルの上に置いた銀の花についてゼロに問いかける。
「それでゼロ、あの花のようなのは何だ? ルイズは、一体どうしちまったんだ?」
『才人もシエスタも、あれに顔を近づけるなよ。あの中にいる奴を吸い込んじまったら、
お前たちもルイズのようになってしまう』
 シエスタが首を傾げる。
「あの中にいるもの、ですか? わたしには何もないように見えますが……」
『目に見えないほど小さい奴がいるんだよ。その一匹をルイズは吸い込んじまったから、
こうなったんだ』
 そう語ったゼロは、花の正体を告げる。
『あれは花じゃねぇ。卵の殻だ。宇宙細菌ダリーの卵のな』
「宇宙細菌!?」
『ああ。親父から聞いたことがある。生物の体内に潜り込んで、血液を根こそぎ奪っちまうってな。
ジャンボット』
 ゼロがジャンボットに呼びかけると、ルイズの容態を検査したジャンボットは次のように報告した。
『ゼロの言う通り、ルイズの血中のフィブリノーゲンが急激に減少している。また、肺の中に
ハルケギニア外の生物が潜伏している。確かにルイズはダリーに寄生されてしまっている! 
このままでは、ルイズは失血死してしまうぞ』
 シエスタの腕輪から立体映像が浮かび上がった。映っているのは、ピンク色のダニのような
怪物の姿。拡大したダリーの写真だ。
「ミス・ヴァリエールの体内にこんな怪物が……! 退治する方法はないんですか!?」
『その手段はたった一つだけだ』
 ゼロがそれを告げる。
『ミクロサイズまで縮小した俺と才人がルイズの体内に乗り込んで、直接ダリーをやっつけることだけだ!』
「ええ!? ゼロさんって、大きくなるだけじゃなく小さくなることも出来るんですか!?」
 初めて知る事実に、シエスタは驚愕した。もっとも、大きくなれるのだったら反対に小さくなることが
出来ても不思議ではないのかもしれないが。
『普段はやらないことなんだがな。それに、この手段は大きな危険が伴う。当たり前だが、
人の身体の中じゃいつものような戦い方は出来ねぇ。力のほとんどをセーブする、非常に大きな
ハンデを背負うことになるんだ。才人、その危険の中に飛び込んでもお前は構わないか?』
 問われた才人は、力を込めて即答した。
「ああ! ルイズは何だかんだ言って、これまでずっと苦楽をともにしてきた大事な仲間だ! 
命を救うためだったら、どんな危険だって怖かないぜ!」
『ふふ、今更聞くまでもねぇことだったな。よぉし、それじゃあ行こうぜ!』
 才人は即座に顔にゼロアイを装着し、ウルトラマンゼロに変身。そしていつもとは反対に、
肉体を縮小化させる。
「ジュワッ!」
 パンくずよりも更に小さくなったゼロは飛翔し、ルイズの鼻の穴から体内に飛び込んだ。
その一部始終を見守っていたシエスタが、不安を抱えてジャンボットに尋ねる。
「サイトさん、ゼロさん、無事にミス・ヴァリエールを助けられるでしょうか……?」
『心配無用と言いたいところだが、さすがに不確定要素が大きい。だが、今回ばかりはさすがに
我々も助太刀することは出来ない。人の内部に入っていけるのはゼロだけだ……』
 ジャンボットは元より、ミラーナイトもグレンファイヤーも縮小化までは出来なかった。
そのためゼロがどんなピンチに陥ったとしても、彼らには助ける術がないのだ。
『せめて、二人の無事の帰りを祈ろう……』
 シエスタとジャンボットに出来るのはたったそれだけで、そのために二人はゼロの帰還を
強く祈ったのだった。

 ルイズの体内に飛び込んでいったゼロは、そのまま器官を抜けて一直線に肺の中まで。
そこで肺胞の壁に張りついているダリーの姿を発見した。毛細血管にハサミ型の牙を突き刺し、
血液を吸い上げている。
「キィィィッ!」
『見つけたぜ! せぁッ!』
 着地したゼロはビームランプから、ルイズの肺を傷つけないようギリギリまで威力を落とした
エメリウムスラッシュでダリーの背面を射撃した。驚いたダリーは壁から剥がれ、ボテッと落下する。
「キィィィッ!」
 しかし威力を出せないために、ダリーにさしたるダメージはない。ガチガチと牙を鳴らして
ゼロを威嚇する。
「セアァッ!」
 ゼロはダリーに飛びかかり、チョップの連打を食らわせるが、あまり効果は見られずに
ダリーに振り払われた。
『くッ……やっぱ力を出せねぇと、大してダメージを与えられねぇぜ……!』
 今いる場所は、臓器でも特に重要なものの一つ、肺。もし傷つけてしまったら、ルイズは
まともな呼吸が出来なくなって命に危険が生じる。そのため打撃だけでも、周りの細胞を
壊さないように細心の注意を払わなければならない。
 ゼロがこんなにも苦心しているのに、ダリーの方はそんなことお構いなしと言わんばかりに
容赦なく反撃してくる。口から溶解液を吐き出して、ゼロを攻撃してくる。
『ぐわあぁぁッ……!』
 溶解液をまともに浴びて、泡だらけになって苦しむゼロ。普段の戦い方が全く出来ない環境下では、
彼も大いに苦戦を強いられるのである。
『ぐッ……親父はどうやってこいつを倒したんだ……。もうちょっと詳しく話を聞いておくんだった……』
 そんな後悔をしても遅い。ゼロはなす術なくダリーに追い詰められていく。

「くッ、うぅッ……!」
 体内での戦闘は、ルイズの容態にも影響を与えていた。ダリーの吐く溶解液がルイズ自身にも
ダメージを与えて、彼女はひどくうなされる。
「み、ミス・ヴァリエール……! しっかりして下さい……!」
 ルイズの手を握って呼びかけるシエスタだが、彼女に出来るのはその程度。見ているだけしか
出来ずにもどかしさを感じる。
 この時、外から扉がノックされた。
「ど、どなたでしょうか?」
 入ってきたのは、意外にもモンモランシーであった。
「ミス・モンモランシ! どうしてこちらに……?」
「ルイズが急病って聞いたの。それで、ルイズの様子はどうなの?」
 部屋の前で倒れていたからか、噂は既に学内に広まっているようであった。ルイズの容態を
軽く確かめたモンモランシーは眉をひそめる。
「大分良くないみたいね……。これが効くといいんだけれど……」
 と言って、モンモランシーは液体の満ちた小瓶を取り出す。
「ミス・モンモランシ。こちらは何でしょうか?」
「身体の抵抗力を高める水の秘薬よ。我が家に伝わる魔法薬の一つで、わたしも熱を出した時は
よくお世話になったわ」
 それをわざわざ持ってきてくれたようだ。シエスタはモンモランシーの厚い友情に内心感動を覚える。
「ありがとうございます、ミス・モンモランシ! 早速ミス・ヴァリエールに飲ませて差し上げましょう」
 モンモランシーは小瓶の蓋を開けると、ルイズの頭を少し起こして、かすかに開いた口に
秘薬を注いでやった。

 飲まされた秘薬はすぐに効果を発揮し、ルイズの体内に魔法の輝きが満ちて免疫力が上昇していく。
「キィィィッ……!」
 するとどうだろう。ルイズの身体に害を為すダリーは生命の反撃を受け、その力が徐々に
鈍っていった。これにより溶解液も途切れ、ゼロは攻撃から解放される。
 反対にゼロは秘薬の恩恵を受け、力を取り戻していった。
『ルイズの病原体への免疫が増していってる……そうだ、これだ!』
 秘薬の効果を見たゼロは、ダリーを撃破する方法を閃いた。
 そして両手の平を合わすと、その隙間よりシャボン玉のような泡を飛ばし始めた。これはゼロの肉体の
免疫細胞を泡の形で発射する、ウルトラバブルだ。
 これを食らったダリーは瞬く間に肉体が溶け、崩壊していく。先ほどとは正反対の状態だ。
「キィィィッ!!」
 結局ダリーはこの攻撃にまるで太刀打ちできずに、ほどなくして完全に溶解、殺菌されたのであった。
『やった! これでルイズは助かるんだな!』
 才人が安堵の息を吐いたが、次いで疑問の声を発した。
『けれど、ダリーの卵を学院内に持ち込んだ奴は誰なんだ? 誰かがたまたま持ってきて、
たまたまルイズの部屋の前に落としていったなんてことはないよな……』
『……』
 ゼロはその疑問に、意味深に黙したまま答えなかった。

 こうしてルイズの身体からダリーは駆逐され、ルイズは助かったのだが、失った血液を取り戻すまでは
安静にしていなければならなかった。このためにルイズはしばらくの間大人しくなり、この間才人が
怒りの感情をぶつけられることはなかった。
 ルイズの件はそれで片づいたとして、肝心の演説である。この翌日にクリスは集められた
生徒たちを相手に己の想いの丈をぶつけた。その際の反応は、今一つ芳しいものではなかったので、
才人はいよいよ駄目かと一時は覚悟もした。
 しかし演説が終わってから、風向きが一変した。ギーシュとモンモランシーがここぞとばかりに
舞踏会の賛成を訴えかけると、生徒たちがチラホラと二人に感化され、反対を撤回する声が次々と
上がったのだ。クリスの想いはちゃんと彼らに届いていて、ギーシュたちの行動で彼らの迷いが
払拭されたのだ。この時ほど、才人が友情の尊さを感じたことはなかった。
 そうして生徒たちの多くが賛成に転向したことで、オスマンも中止を取り消してくれた。
期限ギリギリの、本当に瀬戸際であったが、舞踏会は遂に開催の運びとなったのだ。それが
決まった時の才人やクリスらの喜びといったら、ひと言ではとてもではないが言い表せない
ほどのものであった。

「……いやぁ、サイトくん、本当にありがとう。お嬢のために色々と働きかけてくれて。
これでお嬢も、この学院でいい思い出を作ることが出来そうだよ」
「いや、いいんだよ。俺も何かと大変だったけど、楽しくもあったしさ。それに、舞踏会は
これからが本番なんだ」
 この日の晩、才人は中庭でデバンにお礼を言われていた。ルイズの部屋に帰る途中で彼に捕まって、
今こうして話をしているのだ。
「サイトくんには、前にお嬢が周りと馴染もうとしない理由とか話したよね。あれはお嬢のためを
思って言ったんだけど……どうやら、サイトくんの方がお嬢の気持ち、よっぽど分かってたみたいだね」
「分かってたのは、デバンも一緒だろ。ただ俺の方が、この世界のしがらみとか関係ないから
無茶できるだけでさ」
「その無茶のお陰で、あんなに嬉しそうなお嬢の顔を見られた訳だ。これ、ちょっと自慢しても
いいことだと思うよ?」
「そ、そうかな?」
 称賛されて少しばかり照れる才人。と、デバンはそこまでで話題を切り換えた。
「ところで、さっき君たちの部屋から小さな女の子が出てくるのを見たんだけどさ、ありゃ誰だい?」
「あッ、そういえばリシュのこと、知らなかったっけ」
「へー、リシュっていうの。あの子、何者なんだい。まさかこの学院の生徒じゃあないよね」
「えっと……」
 才人はリシュのことを、分かっている限りでデバンに打ち明けた。クリスのことを色々
教えてくれたのだから、こちらからも情報を提供しても構わないだろうという判断だ。
「……地下室にねぇ」
 頻りにうなずいてつぶやいたデバンは、才人にこう尋ね返す。
「その子、何かおかしなこと言ったりしない?」
「おかしなこと?」
「そうさねぇ、たとえば夢がどうのこうのとか」
 才人は、デバンが何故そんなことを聞くのかがよく理解できなかった。
「別にそんなこと言ってないけど」
「ふーん、そう……」
「何か知ってるのか? もしかして、前に言ってたクリスの使命に関係ありそうとか?」
 クリスが本来、何らかの使命を帯びて学院にやってきたとデバンが説明したことを思い出す
才人であった。が、デバンは否定する。
「いやいや、それは考えすぎだよ」
「でも……」
「仮にあったとしても、私はあくまで使い魔だからね。前にも言ったけれど、そういう重大な
ことは勝手には話せないよ。お嬢が必要だと感じた時には、お嬢から君に打ち明けるさ」
 それでデバンの話すことは終わりであった。
「ちょっと話し込んじゃったかな。ともかく、今回はお嬢のこと、本当に感謝してるよ。
それじゃあ、また明日ね」
 別れの挨拶を告げて、デバンはひょこひょことクリスの下へ帰っていく。その後ろ姿を
見送った才人は、ゼロにそっと呼びかけた。
「なぁゼロ、デバンの奴、ホントはリシュのこと、何か知ってるんじゃないかな。夢のこと聞いてきたし」
 ここのところ、どうにも奇妙な夢を連続して見るので、尋ねられた際には少しばかりドキッとしたのだった。
『……さぁな。俺にも分からんね』
 ゼロはそう返したが、語調には何か含みがあるようでもあった。


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