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ルイズと剣狼伝説第二部-9

「何だったんだろうなあの光は」
「さあな、ただ今わかるのはてめぇがやかましかった事だけだ」
「しょうがねえよ。ションベンに行こうと思ったらいきなり街が光ったんだぜ」
「だからって俺を起こす必要はねぇだろ」
巨大な樹の一本枝の先に、突き刺さる様に船が停まっている
船の甲板の上では二人の船員が言い争っている
二人の前にワルド達が現れた
「な、なんでぇおめぇら!」
「船長はいるか?」
「寝てるぜ。ようがあるなら明日の朝、改めて来るんだな」
男は酒瓶をラッパ飲みしながら、酔いで濁った目で答える
ワルドは杖を引き抜いた
「僕は船長を呼べと言っている!」
「き、貴様!」
船員の一人は慌てて船長室に駆け込んで行き、しばらくするとその船長が現れた
「なんの御用ですかな?」
船長は胡散臭げにワルドを見つめた
「女王陛下の魔法衛士隊隊長、ワルド子爵だ」

第9話 燃える白の国

二つの月の下で、タバサ、キュルケ、ギーシュは遠くで出港する一隻の空飛ぶ船を見届けていた
「どうやら無事出発した見たいね」
キュルケは満足そうな顔で船の様子を眺めている
「さて、私達はどうしましょ」
「決まっているさ。このまま彼らを追いかける。姫様の任務を完了させなければ帰れないよ。僕は姫様のご期待に答えなければ」
ギーシュはスペアの薔薇の造型を取り出すと夜空に向けて掲げる
「そうね。私は姫様の任務なんてどうでもいいけどロムが心配だわ。あんな女に取られてたまるものですか」
キュルケが足下にある小石を蹴りながらつまらなさそうに答えるとタバサの顔を覗いた
「タバサ?あんたも手伝ってくれるでしょ?」
シルフィードに降りてからずっと本を読んでいたタバサは本をパタンと閉じる
その横で翼を休ませているシルフィードに耳打ちすると、キュルケの方を向いて顔を縦に動かした
「さすがタバサ、話が早くて助かるわ!じゃあ少し休んだら出発ね!」
手をパン、と叩いてキュルケが微笑む
(しかし彼、ロム兄さんは一体何者なんだろうか?今日はゴーレムになってしまった)
ギーシュが怪訝な顔をしてそんなことを考えていると、突然地面がモコモコモコと盛り上がった
「きゃあ!な、なに?」
キュルケが驚きながら身を退く
しかしギーシュはそれに近づいて言った
「もしかして・・・・」
地面から茶色い影が飛び出た

「アルビオンにはいつ着く?」
ワルドが尋ねる
「明日の昼過ぎには到着しまさあ」
と船長が答えた
ルイズとロムが舷側に乗り出し地面を見た
大樹の枝の隙間に見える街の光は遠のき、船はぐんぐんとかなりのスピードを出して飛んでいる
ルイズがロムに近づく
「ロム、傷は大丈夫?」
ルイズが心配そうな声で尋ねた
「大丈夫だ。手当てだけですぐに癒える」
「ごめんなさい。私のせいで・・・・・・・」
ルイズは自分に気を負っていた
自分が不甲斐ない性で仮面の男に捕まり、ロムは傷ついた
もしあの時捕まったのがキュルケかタバサならば自分で逃れることが出来ただろう
しかし自分は何も出来なかった
頭が混乱して杖を引き抜いて戦うということも考える事が出来なかった
メイジが杖を使わずして事を終えるなんて出来るわけが無い
自分はメイジとしても使い魔の主としても失格だ
そんな自分が危険な任務をこなせることができるのか?
「マスター、大丈夫か?」
ルイズはロムの声ではっとした顔になった
「顔色が悪い。酔ってしまったのなら床で横になって休んだ方がいい」
「大丈夫よ。大丈夫だから・・・・」
いつの間にか自分が心配される側になっている
ルイズは自分が情けなく思い、口の中を強く、噛み締めた
「大丈夫かい?ルイズ」
二人の前にワルドが寄ってきた
「船長の話では、ニューカッスル王軍は攻撃されて苦戦中のようだ」
「ウェールズ皇太子は?」ルイズが聞くとワルドは首を振った
「わからん、生きているようだが・・・・」
「港町は反乱軍に全て押さえられているんでしょ?」
「そうだね」
「どうやって連絡を取ればいいのかしら」
「陣中突破しかあるまいな。この先のスカボローからニューカッスルまでは馬で一日かかる」
ワルドが口笛を吹いて船の下にいるグリフォンを呼ぶ
グリフォンはそのまま甲板に着陸して船員を驚かせた
「さてと、そうと決まればそろそろ休むか」
ワルドがそう言うとロム達は舷側に座り込んだ
ロムは深く目を閉じた
(・・・・あの仮面の男と剣を交えた時・・・・)
ロムは大樹の階段で戦った男の事を思い出していた
自分は数多くの戦いをこなしてきた
その中でその相手が自分に与えてくる殺気、威圧の類は一戦交える事で覚える事が出来ていた
(悪意の方が上回っていたが、僅に感じる事が出来た。しかし、それが真実ならば何故こんな事を・・・・・・・・)
ルイズとワルドが相談している声は耳に入らない
いつの間にかロムは浅くも眠りについた

船員たちの声と眩しい光でロムは目を覚ました
青空が広がり、舷側から下を覗き込むと白い雲が広がっている
「アルビオンが見えたぞー!」
鐘楼の上に立った船員が大声をあげる
ロムは目下を見たが広がるのは白い雲ばかりで陸地など見えない
隣で寝ていたルイズが起き上がる
「どこにも陸地がないじゃないか」
ロムが呟くと、ルイズは「あっちよ」と指を差した
ロムは指差す方を仰いでみると雲の切れ目からなにかが見える
「・・・・巨大な岩が?水が流れている」
「驚いた?あれがアルビオンよ」
巨大な大地、いや、大陸がそこにあった
大陸ははるか視界の続く限り延びている
地表には山がそびえ、川が流れている
「浮遊大陸アルビオン。あれでトリステインより大きいのよ?」
「凄いな・・・・」
ロムはあっけにとられた声で呟く
「通称『白の国』」
「何故『白の国』なんだ?」
ルイズが指差す方向で、大河から溢れた水が空に落ちて込んでいた
その際、それが白い霧となって、下半分を包んでいた
霧は雲となり大範囲に渡ってハルケギニアに雨を降らすのだとルイズは説明した
「右舷上方より、船が接近しています!」
船員が大声を上げると、ロムとルイズは言われた方向を向いた
確かに巨大な船がこっちに向かって近づいてくる
黒く染まった船体に舷側に開いた穴からは大砲が突き出ていた
「あの船、武装しているな」
ロムがそう呟くとルイズは眉をひそめた
「嫌だわ、反乱勢・・・、貴族派かしら・・・・」

後甲板でワルドと並んで指揮を取っていた船長の顔が青ざめていく
「あの船は旗を掲げてはいません!」
「してみると、く、空賊か!?」
「間違いありません!内乱の混乱に乗じて活動が活発になっていると聞きますから・・・・」
「に、逃げろ!取り舵一杯!」
船長は船を空賊から遠ざけようとするが、時すでに遅し
黒船は併走を始め、脅しの一発をロム達が乗り込んだ船の針路に打ち込んだ
黒船のマストに旗流信号が登る
「停船命令です。船長」
船長はワルドに助けを求めるように見つめる
「魔法はこの船を浮かべる為に打ち止めだ。諦めて停船した方がいい」
確かに船の燃料となる『風石』がなかったので風系統のワルドが魔力を注いでいた
船長はその事を思い出すとがっくり肩を落とし命令した
「・・・・ああ、これで破産だ。裏帆を打て。停船だ」
舷側では襲撃に備えているロムとそれに怯えながら寄り添うルイズ
ルイズは不安そうに黒船を見つめていた
「空賊だ!抵抗するなよ!」
「空賊ですって?」
黒船の舷側にそれぞれ飛び道具をもった男達が並び、こちらに狙いを定めている
鉤付きロープが放たれ舷縁に引っ掛かり、手に斧や刀など獲物を持った男達が次々とロープを伝ってやってくる
その数およそ数十人
「ロム・・・・」
ルイズが呟くとロムは首を振った
「駄目だ、あの船は水兵だけじゃない。大砲が狙いをつけているあれでは迂濶に戦う事が出来ない」
「そのとおりだ。おまけに向こうにはメイジがいる。見ろ、あれを」
いつの間にか現れたワルドが前甲板で、突然の襲撃に驚いて暴れているグリフォンに指を差す
グリフォンの頭が青い雲に覆われると、グリフォンは大人しくなって寝息を立て始めた
「眠りの雲、だ」
ワルドがそう言うとドスンと音を立てて空賊達が降りたってきた
その中で派手な格好の男が近づいてきた


「船長はどこでい」
どうやらこの派手な男は空賊の親分のようだ
「わたしだが」
震えながらも威厳を保とうと努力しながら船長がやってくる
「船の名前と積み荷は」
「トリステインのマリー・ガラント号。積荷は硫黄だ」
「船ごと買った。料金はてめえらの命だ」
男がそう言うと船員は恐怖と屈辱で震える、それから男はルイズとワルドに気付いた
「おや、貴族の客まで乗せているのか」
ルイズに近づき顎を手で持ち上げた
「こりゃあ別嬪だ。お前俺の船で皿洗いやらねえか?」
男達が下卑た笑い声を上げるとルイズはびしゃりとはねた
「下がりなさい!下郎!」
「驚いた!下郎と来たもんだ!」
男達は笑い声をあげる
「やめろ貴様等!」
「あん?なんだおめえは?」
男達は突然声を上げたロムを睨み付け、罵声をあげる
「てめえ・・・・自分の身をわきまえているのか?おい?」
親分かと思われる男はロムに近づき、睨みをきかせる
ロムは強い眼差しで男を見る
睨みあいが続くと、親分の方は黙って一歩づつ退いていった
「・・・・てめえら。黙ってこいつらを運べ」
「親分?どうしたんですかい?」
「早くこいつ等をつれていけ。なるべく早くだ」

空賊に捕らえられたロム達は船倉に閉じ込められた
ロムはデルフリンガーを、ワルドとルイズは杖を取り上げられた
「ねぇロム?ケンリュウを呼んでどうにかできないの?」
ルイズがロムに尋ねた
「駄目だ。もっと広い所に出てからでは・・・・つっ!」
ロムが顔をしかめるとルイズは不安げな顔になった
「・・・・やっぱり怪我が痛むんじゃないの」
「・・・・大丈夫だ。この位自然に直る」
ロムはそういうがルイズには辛そうに見えた
ロムの左腕の鎧は黒く焦げている
傷は見えなかったがそれだけでも痛々しさが伝わってくる
ルイズは大声を出した、立ち上がりドアを叩いて
「誰か来て!」
看守の男はむくりと立ち上がった
「なんだ?」
「水を!水系統のメイジはいないの?怪我人がいるのよ!治して!」
「いねえよそんなもん」
「嘘言って!いるんでしょ!」
ワルドは呆気に取られて取り乱したルイズを見つめている
ロムはそんなルイズの肩を押さえた
しばらくしてルイズが落ち着く
落ち着いたルイズは唾を飲み込んで涙を溢れるのに耐えた
「なんでそうやって我慢するのよ。痛ければ痛いって言えばいいじゃない。その方が私も楽になれるのに」
「・・・・泣かないでくれマスター」
「泣いてなんかないもん。使い魔の前でなく主人なんかいないもん」
ルイズはその場に立つと壁際まで歩いて行き、そこでまたしゃがんだ


扉が開くと太った男がスープが入った皿を持ってきた
「飯だ」
ロムがそれを受け取ろうとすると男は皿をひょいっと持ち上げた
「質問に答えてからだ」
目が真っ赤のルイズが立ち上がった
「いってごらんなさい」
「お前たち、何の用でアルビオンに?」
「旅行よ」
「トリステイン貴族が今時のアルビオンに旅行?何を見学するんだ」
「そんな事あんたに言う必要ないでしょ」
「泣いていた癖に随分強がるな。ほらよ」
空賊が笑うと皿と水の入ったコップをロムに渡す
すると太った空賊の後ろから痩せぎすの男が現れた
「話は聞いたぜ。お前等はもしかしてアルビオンの貴族派かい?」
ルイズはピクリと反応を見せた
「いやねぇ。俺達実は貴族派の連中と組んでいてねぇ。王党派に味方しようとする酔狂な連中がいてな。
そいつ等を捕まえる密命を帯びていてなぁ。
・・・・わかるか?答えによっちゃきちんと港まで送ってやるよ」
それを聞くとロムはホッとした、これで貴族派と答えれば事なきを得る
しかし
「誰が薄汚いアルビオンの反乱勢ですか。私達は王党派の使いよ!私達が用があるのは正統な政府、アルビオン王室なの!
私はトリステイン代表!つまり大使ね!だから、大使としての扱いを要求するわ」
・・・・ロムは額に手を当てて首を振ってワルドは呆気に取られていた
「マスターこういうのは時と場合を!」
「うるさいわね!あんたは怪我人だから静かにしてなさいよ!」
そんな様子を見て空賊達は笑った
「正直なのは良いことだ。だけどな、使い所っていうのは何処にいっても大切なんだぜ。ちょっと待っとけよ。頭に報告してくる」
空賊は去っていくとロムは剣狼を出して構えた
「・・・・こうなったら強行突破も考えなければ」
「そうよ、最後の最後まで私達は諦めないわ」
「いいぞルイズ。流石は僕の花嫁だ」
ワルドがルイズの肩を叩きながらそう言うとルイズは突如複雑な表情を浮かべた
再び、扉が開く。先程の痩せぎすの空賊だった

「頭がお呼びだ」




痩せぎすの男に三人が連れていかれた先は立派な部屋だった
ガチャリとドアを開けると、そこには大きな水晶のついた杖ををいじっている空賊達の頭が居た
「おい、お前たち、頭の前だ。挨拶しろ」
痩せぎすの男につつかれる
ルイズは前に出て頭を睨んだが、頭はニヤッと笑った
「気の強い女は好きだぜ。さてと、名乗りな」
「その前に大使としての扱いを要求するわ。そうじゃなかったらあんた達なんか口をきくもんですか」
ルイズはとんがったとした態度と口調で言った
「王族派と言ったな」
「ええ、言ったわ」
「何しに行くんだ?」
「あんたらなんかに言うことじゃないわ」
頭はヒュウっと口笛を鳴らすと楽しそうな声で言った
「貴族派につく気はないかね?あいつらメイジを欲しがっている。礼金弾んでくれるだろうぜ」
「死んでもいやよ」
ルイズはそう言うとロムに寄り添った
この時、ルイズの体が震えていることにロムは気付いた

恐いのだ

ロムはルイズが弱い女の子だということを知っている
しかしそれでも困難に堂々と誇りを賭けて立ち向かおうとしている
自分の心の中にある大切な物を守ろうと戦っている
ロムはそんなルイズの姿が何時もより気高く見えた
「もう一度言う。貴族派につかねぇか?」
ルイズが顔を上げ、胸を張る
そして口を開こうとした所でロムが前に出た
「生憎だが、マスターはどうしても付かないと言っている。そっちから引いてもらおうか」
頭はじろりと鋭い眼光で睨んだ
「・・・・昼の一件といい、何なんだ?貴様は」
ロムは言った
「使い魔だ」
「使い魔?」
「そうだ」
すると頭は大声で笑い始めた
「トリステインの貴族は、気ばかり強くってどうしようもないな。まあ、どこぞの国の恥さらしよりは何百倍よりはマシか」

頭が笑いながら立ち上がる
ルイズ達は頭の豹変ぶりに驚き戸惑った
「失礼した。貴族に名乗らせるならこちらから名乗らなくてはな」
周りで控えていた空賊たちが一斉に直立になる
頭は突然カツラと思われる髪を剥ぎ、眼帯を取り外し、付け髭をはがした
そこに立っていたのは、海賊の頭ではなく凛々しい金髪の若者であった
「私はアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官。いや、今は無力に等しいこんな肩書きよりこちらの方が通りがいいだろう」
男は威風堂々と名乗った
「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダー。アルビオン王国へようこそ大使殿」
ロムは目を見開いて驚き、ルイズは口をあんぐりと開けた

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