あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

第九十話「ハイスクール危機一髪!」


ウルトラマンゼロの使い魔
第九十話「ハイスクール危機一髪!」
オイル怪獣ガビシェール 登場



「……おにーちゃーん! お・き・てー!」
 ……俺がぐっすり寝ていると、不意に甲高い声音での呼び声が聞こえた。
 しかし、「お兄ちゃん」とは妹が兄を呼ぶ言葉だ。弟の場合もあるだろうがそれは考えないものとする。
 そして俺に妹はいない。つまり起こされているのは俺ではない。なーんだ、まだ寝てよっと。
「もう! お兄ちゃんたら、起きなさーい!」
「ぐえッ!?」
 そう思ったのだが、急に腹に衝撃が来た! だ、誰かが俺の上に飛び乗ってきたみたいだ……。
「おはよ、お兄ちゃん!」
 目を開けると、俺の腹部の上に、ツーテールの小さい女の子が跨っているところを目にすることとなった。
「……は? おにい……ちゃん?」
「うにゅ、寝ぼけてる? 駄目だよー、もうお日様も元気なんだからね?」
 女の子は元気に俺に話しかけてくる。けれど……こんな子に見覚えはないぞ。一体誰なんだ……?
「……あの、どちらさまでしょう? 俺に妹はいなかったと思うんですが」
 そう言うと、女の子は唇をとがらせた。
「ぶー! いるよー! ひどいよ、サイトお兄ちゃん!」
「は? え? ちょ、え? 俺がお兄ちゃん? お兄ちゃん?」
 事態が全く呑み込めずに混乱していると、部屋にシエスタが入ってきた。
「あら、リシュさん。今日は先越されちゃいましたね」
「おっはよー、シーちゃん! 今日はリシュの勝ちだね、えっへん!」
 シエスタは女の子と親しげに言葉を交わした。ということは、シエスタはこの女の子を知っているのか?
「シ、シエスタッ! この子、知り合いなのか!? 俺の部屋に勝手に入ってきてたんだ!!」
 女の子をどかして跳ね起きた俺が聞くと、シエスタはきょとんとした顔になった。
「知り合いって……そんなの当たり前じゃないですか。サイトさんの妹なんですから」
「え? いも、うと……。俺の?」
「そうですよ。どうしたんですか、サイトさん?」
 至極当然といった風に言うシエスタ。
 そう言われると……確かにそうだったような気がしてくる……。
 うん、そうだ。俺とリシュは兄妹。幼馴染のシエスタも入れて、楽しく暮らしてきたんだった。
どうしてそのことをすっぽりと忘れてたのか……自分で自分が不思議だ。
「もうご飯できてるよ! 早く食べに行こう、お兄ちゃん」
 気を取り直して、俺は呼びかけたリシュに返答する。
「そうだな。んじゃ俺着替えるから、先行ってろ」
「手伝ってあげよっか?」
「妹に着替え手伝われる兄なんていねーよ! ほら、さっさと出てけ!」
 からかうリシュの首根っこを掴み、ドアの方へと押しやった。
「あーん、お兄ちゃんの意地悪」
「ふふッ! じゃ、サイトさん、また後で」
 シエスタと一緒にリシュが退室してから、俺はもう一度確認する。
「そうだった、俺には妹がいたんだっけ。……うん、そうだった」

「みんな、おはよう! 朝のホームルームを始めるぞ」
 今日も学校に登校。教室に矢的先生が入ってきて、ホームルームを開いた。
 そう言えば、昨日はルイズとキュルケの仲を取り持つための手段に、ミスコンでの勝負を
持ちかけたんだったな。ひと晩明けて、その二人はどうしているか……そっと目を配らせる。
 ルイズは特に変わりなし。……いや、昨日よりも何かツーンとした顔してるように見えるのは、
俺の気のせいか?
 キュルケはキュルケで、先生の話を聞きながら爪の手入れをしている。ちゃんと聞けよ、たまには。
「えー、今日の連絡は以上だ。それから……みんなも聞いてると思うが、近々、学園伝統の
ミスコンテストが開催される。そして、このクラスから何と二人も立候補者が出た!」
 先生がちょうどミスコンの件に触れた。
「一人はキュルケ」
「はぁい」
「もう一人はルイズだ」
「はい」
 二人の名前が呼ばれると、クラスがざわめいた。まぁ、当然か。転校してきたばっかの
ルイズがいきなりミスコンだもんな。しかもキュルケ相手に……。
「ほら、静かに。同じクラスの仲間だ。当日、どっちに投票するかは別として、平等に応援
してあげるように」
 それを最後に、先生のお話しは終わりとなった。
「じゃあ、これでホームルームはおしまいだ。一時間目の支度をするように」
 ホームルームが終わってすぐ、落語、スーパー、ファッション、博士の四人組が話をする声が聞こえた。
「なぁ、どうする? どっちに投票する?」
「そりゃキュルケだろ。他に誰が立候補するのか知らないけどさ、あのスタイルだぜ? 
どう見たって決まりさ」
「そうかしら? あたしはルイズさんに投票するわよ! 女の子からしたら、ルイズさんの方が
好感持てるわ」
「僕もだよ。キュルケさんはちょっと派手すぎるし、授業に不真面目なところがあるからね。
その点ルイズさんは、静かにしてたら清楚だからね」
「だよな。俺もルイズに一票!」
 ……へぇ。正直、勝負になるか若干不安でもあったけど、ルイズも案外いい線行きそうだな。
 けど……男がルイズをもてはやすのを聞いてると……何か面白くないな。妙にイライラするというか……。
何なんだよ、この気持ち……。
 どうにももやもやしていたら、先生が教室からの去り際に、俺に呼びかけた。
「あッ、そうだった。平賀、放課後に少し残っててくれ。先生から、少し話がある」
「えッ? はい……」
 先生から話が? また何か面倒事でも引き受けさせられるのだろうか……。

 放課後。教室に残った俺の側には矢的先生と、何故かルイズとキュルケがいる。どうしてこの二人が
ここに……。この組み合わせは大体ろくなことにならないから、今から何事があるものかと不安でならない。
「平賀、まずは聞いてくれ。今朝も触れたミスコンテストなんだが、実は立候補をする場合、
必ず推薦者を立てる必要があるんだ」
「はぁ、推薦者ですか」
「簡単に言うと、その立候補者を応援する人の代表だな。ある意味、最大の責任者といえる」
 そんな重要な役割の話を、俺にするってことは……。
「あのー、まさかとは思うんですけど。俺が……それに選ばれたんですか?」
「そういうことなんだ」
「やっぱりですか! ど、どっちのですか!?」
 聞き返すと、先生はすごく困った顔を作った。
「そこが問題なんだがな……」
「え?」
「ルイズとキュルケ、その両方がお前を推薦者に指名してるんだよ」
 えッ、えええぇぇぇぇぇ!? り、両方が俺をぉ!?
 キュルケが目くじらを立ててルイズに視線を向けた。
「困っちゃうでしょ? ルイズったら、図々しいんだから」
 それに言い返すルイズ。
「どっちがよ! サ、サイトは、あ、あんたのものじゃないんだからね!」
 俺は喧嘩腰の二人の間に割って入った。
「待て待て待て! 何で俺なんだよ、しかも二人そろって!」
「わわわ、わたしは別にあんたを選んだ訳じゃないんだからね! ほ、他にいないから、
仕方なくなんだからね!」
 そっぽを向いたルイズと対照的に、キュルケは俺にすり寄る。
「あたしはその点、ダーリンしかいないって思ってお願いしてるのよ?」
「……とまぁ、見ての通り、二人は本気でお前を指名してるんだ」
 先生が再度口を開いた。
「しかし、推薦者の役割を考えれば当然のことだが……一人が二人の推薦者を兼任した前例はない」
 まぁ、そうだろうな。優勝者が一人だけの以上、二人の応援の代表になるなんてありえないよ。
「こうなった場合は、どっちかに譲ってもらわなくちゃならないんだが、二人ともそのつもりは
ないの一点張りだ」
「当然です」
「ツェルプストーに譲るものなんてありません!」
 どうしてこういういらない時だけ気が合うんだよ、お前たちは……。
「それで、平賀自身にどっちかを選んで、それで決めようということになったんだ」
「お、俺が決めるんですか!?」
「他に適任はいないだろう?」
 か、勘弁してくれよ! 仲直り作戦が本当に上手くいくのかどうかも心配なのに、しょっぱなから
俺を振り回そうだなんて! 何で俺、こうやってどこまでも巻き込まれるんだよ!
「それじゃあ、平賀。ルイズかキュルケか、正直な気持ちで選んでくれ」
 そ、そう言われても……どっちを選んだとしても、余計に大変な思いをするのは避けられ
なさそうなんですが……。
「これ……辞退するってのはなしですかね……?」
 先生にひそひそ問いかけると、先生は眉をひそめて却下した。
「それはちょっと駄目だな。二人とも、真剣にお前にお願いしてるんだ。それでどっちも
選ばないんじゃ、二人とも納得しないだろう。どっちかの推薦者には必ずなってくれ」
 うそー! 逃げ場なしかよ!
 そ、それじゃあ……。俺はひどく悩んだ末に、先に頭の中に浮かんだ顔の方を選択することにした。
「ルイズを……」
 言いかけたその時、キュルケが俺の腕を掴んで、ぐいっと自分の方へ引っ張った!
「ああん、手が滑っちゃった」
「おぶッ!?」
 そのまま俺の顔が、キュルケの胸に谷間に押しやられた!
 ぐぐッ……口がふさがれて声が出せない……!
「ち、ちょっとキュルケ!? 何で手が滑ったらサイトを抱きしめることになるのよ!」
「おいおい、キュルケ! 平賀が意見を言えないぞ。放してあげなさい」
「あら、そうですわね」
 キュルケは俺を放しながらも、身体をぴったりとくっつけ、胸を押し当ててくる!
「それで、ダーリン? さっきは何と言いかけたのかしら? も・ち・ろ・ん、あたしの名前よねぇ?」
「えッ、あッ、そ、その……!」
 と、とっても柔らかい感触が俺の思考をかき乱すが……それ以上にキュルケからの異様な
圧力を感じて、回答できなかった。ここで下手なこと言ったら、後が怖そう!
 ルイズがキュルケを非難する。
「卑怯よキュルケ! 強引に自分を選ばせようとしてるんでしょ! そうはいかないんだから!」
「あーらぁ、何のことかしらぁルイズ? 言いがかりはやめてちょうだい!」
 互いに詰め寄ったルイズとキュルケがぎゃんぎゃんと言い争う! け、結局こうなるのかよぉ!
「やめろ、お前たち! こんな調子じゃ、いつまで経っても終わらないぞ!」
 先生が制止しようとするけれど、対抗心に火が点いた二人はさすがに簡単に止まりそうにない。
ああもう、どうしたらいいんだよぉ!?
 俺が思わず天を仰いだその時……突然教室を大きな揺れが襲い、俺たちはバランスを崩して
転げそうになった。これにはさすがのルイズたちも驚いて、口論を途絶えさせる。
「い、今の揺れは……!」
「このパターンって……!」
 嫌な予感を覚えた俺が窓の外に目を向けると……風景の地面が下から砕かれ、その中から
一体の大型怪獣が地上に這い出てきた!
「キャアアアァァァ!」
 全身の皮膚がデコボコとしていて、肩から細長い触手のようなものを生やしている。キノコみたいな
菌類が動物になったかのような怪獣だ!
 端末のデータによると、名前は……オイル怪獣ガビシェール!
「怪獣だ! みんな、早く避難を!」
 先生は怪獣の姿を目にすると、即座に俺たちの避難誘導を始めた。そんな中で、俺はガビシェールの
情報をもっと確認する。
「オイルを求めて暴れ回る上、満腹になったらなったで破壊衝動に目覚めて辺りを破壊し尽くす
危険な怪獣だ! ……でも、何でそんな奴が何の変哲もない市街地にわざわざ現れたんだ?」
 もっとオイルがありそうな場所……油田とか空港とかに現れそうなものだが。
『今はそんなこと考えてる暇はないぜ! 才人、変身だ!』
「ああ、そうだった!」
 ゼロに促され、俺はこっそり先生たちから離れると、人のいない場所でウルトラゼロアイを装着!
「デュワッ!」
 変身したゼロが、ガビシェールの前に立ちはだかって街を守る!
『よぉし、行くぜぇッ!』
「キャアアアァァァ!」
 戦闘開始するゼロとガビシェール! まずはゼロの先制パンチが決まる!
「セアァッ!」
 ひるませたところで素早く相手の腕を捉え、一本背負い!
『うらぁぁぁッ!』
「キャアアアァァァ!」
 出だしからいい調子でダメージを与えたゼロだが、ここでガビシェールからの反撃が来る。
奴の口から一本の管が伸び、そこから火炎放射攻撃が繰り出されたのだ!
『ぬおッ!』
 火炎をまともに食らったゼロが、皮膚をあぶられて苦しんだ。オイルを食らう怪獣だけあって、
吐き出す炎の熱量はそこらの奴とはひと味違う!
『けど、まだまだこんなもんじゃないぜ! ふッ!』
 ゼロは持ち直すとウルトラゼロディフェンサーを展開し、火炎を遮断。その一瞬の隙に
敵の懐に飛び込んでいった。
「セェェェアッ!」
「キャアアアァァァ!」
 ゼロのチョップ、キック等の連撃がガビシェールに叩き込まれていく。ガビシェールも
腕を振り回して反撃してくるが、ゼロは相手の打撃をその都度いなす。
 ガビシェールはこの前のアブドラールスとは違って、格闘能力はそこまでのものではなかった。
インファイトだったら、ゼロに大きな分がある。この勢いだ!
『よしッ、このまま勝負を決めるぜ!』
 ガビシェールを十分に弱らせたところで、ゼロが左腕を横に伸ばし、とどめのワイドゼロショットの
構えを取った。
「キャアアアァァァ!」
 しかしその瞬間を狙ったかのように、ガビシェールの口の管が先ほどの比ではないくらいに
長く伸び、ゼロの首に巻きついた!
『何ッ!? くッ、しくったッ!』
「キャアアアァァァ!」
 ガビシェールは管を引っ張ることで、ゼロを滅茶苦茶に引きずり回す! 首を絞められて
上手く力を出せないゼロは抵抗できない!
『ぐおぉッ!』
 赤く点滅して鳴り出すカラータイマー。くッ、前半飛ばしすぎたか!
「がんばれー! ウルトラマーン!」
「立って! ウルトラマーン!」
 この窮地に、学校の方から応援の声が届いた。
 見れば、博士たち四人がルイズらと一緒に応援してくれている。あいつらもまだ学校に残っていたのか。
「がんばれー! ウルトラマンゼロー!」
「俺たちの、ウルトラマンゼロ……」
 けれど、途中でその応援の叫び声がしぼんでいった。ど、どうしたんだ?
「みんな、どうして途中で応援をやめるの?」
 ルイズも疑問に思ったようで問いかけると、落語、スーパー、ファッション、博士の順に答えた。
「……なーんか、違和感があるんだよな」
「うん、何かが違うような気がしてならないんだよなぁ」
「そうよね。あたしも前々からそう感じてるのよ」
「上手くは説明できないんですが……どうもしっくり来ないというか、これが正しいのか? 
みたいな気がするんですよね」
 おいおい! 何かひどいこと言われてるよ! 何かが違うって……どういうことだ、一体!
『気にしてる場合じゃないぜ! こんなもんじゃ、俺は負けねぇッ!』
 どうにも煮え切らないが、それでもゼロは発奮し、反撃に転ずる。額のランプからエメリウム
スラッシュを放ち、ガビシェールの管を撃ち抜いた。
「キャアアアァァァ!」
 管が根本から弾け飛び、これでゼロは自由となった。よし、流れをこっちに戻したぜ!
「シェアッ!」
 ゼロは更にゼロスラッガーを投擲し、ガビシェールの肩の触手を同時に切り落とした。
肉体の部位を失っていくガビシェールはみるみる力も失う。
 そこにゼロが、今度こそとどめのワイドゼロショットをお見舞いした!
『これでフィニッシュだぁぁぁぁッ!』
「キャアアアァァァ!」
 ワイドゼロショットは綺麗にガビシェールに決まった! 直撃を受けたガビシェールは
前のめりに倒れ、そのまま完全に動かなくなった。
「ジュワッ!」
 今回も無事に怪獣をやっつけたゼロは、大空に飛び上がってこの場から去っていった。

 怪獣のことはそれでいいんだが、平賀才人の方の目下の問題は何の解決にも至っていない。
ルイズとキュルケはその後も、俺がどっちか片方の推薦人となることを頑として認めなかったのだ。
 その末に、矢的先生は言った。
「分かった。それじゃあ仕方ない。特例として、平賀を両方の推薦人とすることを認めよう」
「認めちゃうんですか!?」
「このままじゃいつまで経っても話は平行線だし、ミスコンは生徒主導の行事だ。その生徒の希望に、
僕は先生として出来得る限り応えるとしよう!」
 と宣言する先生。半ばやけっぱちになってませんか!?
「平賀、二人分の推薦人は大変だとは思うが、ルイズとキュルケ、平等に応援してあげてくれ」
「えええ……」
 これから先が思いやられて心労気味な俺に、キュルケが囁きかける。
「大丈夫よ、ダーリン。あたし、あなたの応援があれば、こんな平面な子に負けたりしないわ」
 それに噛みつくルイズ。
「そ、それは、こ、ここ、こっちの台詞よ! ああ、あんたみたいに、男漁りしか取り柄の
ない人に負けたりしないんだから!」
「……言ってくれるじゃない」
「……」
 互いの間でバチバチと火花を散らす二人。まだ始まってもいない段階でこれなんて、本当に
この先どうなっちまうんだよ……。
 ああ、俺は生きてミスコン開催日を迎えられるんだろうか。ゼロは快調に活躍してるというのに、
俺の方は何でこんなことになってしまうんだぁー……!


新着情報

取得中です。