あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

BIOHAZARD CODE:Zero-03


「ふん……恥ずかしくないのかね、ゼロのルイズ。いくら自分の非を認めたくないからと
いって、使い魔を身代わりに差し出すとは」

 突然割って入った男に、ギーシュは苛立っていた。
 いや、仮に今回の件がなかったとしても、ルイズの使い魔であるこの平民の事は最初か
ら気に入らなかった。
 正確には、クラスメイト達が彼に一目置いているという事実が気に入らない。今だって
この平民が現れただけで、決闘決闘と騒いでいたギャラリーが静まり返っている。
 確かに、この平民は見た事もない武器を使い、怪物を退治したかもしれない。
 だが、それが何だというのだ。
 あの時は咄嗟の事に動く事が出来なかったが、本来ならばあのくらい、メイジである自
分にだって造作もない事だ。少なくともギーシュは本気でそう思っていた。
「勘違いしないでくれ。お前の相手は使い魔の俺で十分だって事さ。この程度の事でご主
人様の手を煩わせるわけにはいかないだろ?」
 自分の主を庇うように、ルイズの前へと進み出たレオンと視線がぶつかる。余裕すら感
じさせるその瞳が、ギーシュを余計に苛立たせる。
「平民にしては殊勝な心掛けじゃないか。いいだろう。着いてきたまえ」
 かろうじて平静を装ってそう言うと、ギーシュは二人に背を向け歩き出した。レオンと
周りで成り行きを見守っていた生徒達が後に続く。
 ――そこまで言うなら、いいだろう。皆の前で化けの皮を剥いでやる。

「ミ、ミス・ヴァリエール……このままじゃあの人、殺されてしまいます……!」
 突然の事に口を挟む事も出来ず、呆然とその場に立ち尽くしていたルイズは、シエスタ
の声でようやく我に返った。
 シエスタもまた、ギーシュの怒りが収まる事を願いながら、ルイズの後ろで震えている
事しか出来なかったようだ。しかし、そんな彼女を責める事は出来ない。彼女は平民で、
無力な給仕にすぎないのだ。
「だ、大丈夫よ。あいつ、確かに平民だけど、凄い武器持ってるんだから。大丈夫。大丈
夫よ……」
 シエスタを安心させる為に発した言葉は、いつしか自分自身に言い聞かせる為のものへ
と変わっていた。声が微かに震えている事も、気付かれてしまっただろうか。
「ほ、ほら! 私達も行くわよ! あんただって、ギーシュのやつが吠え面かくとこ見たい
でしょ?」
 不安を掻き消すように、ルイズは皆の後を追って駆け出した。



 Chapter.3



 魔法学院の本塔を囲む五つの塔、その『風』と『火』の塔の間に位置する中庭――通称
『ヴェストリの広場』にて、レオンはギーシュと対峙していた。
 どこで噂を聞きつけたのか、食堂にいなかった生徒達までが、人だかりとなって二人を
取り囲んでいる。このような決闘騒ぎは、暇を持て余した子供達にとって、格好の退屈凌
ぎというわけだ。
「さて、では始めるとしようか」
 余裕を見せつけるように、ギーシュは大仰に宮廷風のお辞儀をしてみせると、手にした
造花の薔薇を振った。数枚の花弁が宙に舞い、ギャラリーから歓声が巻き起こる。
 そして、花弁がその姿を変えた。甲冑を着た女戦士が五人、レオンの前に立ち塞がる。
 よく見ると、それは人ではなく五体の銅像だった。青銅の肌が陽光を反射し、鈍い光を
放っている。
「改めて名乗ろう。僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。君の相手は僕の手足であ
る青銅のゴーレム『ワルキューレ』が行う。文句はあるまい?」
「手や足がたくさんあるのか。流石は貴族様だ」
「……その減らず口がどこまでもつかな」
 自分の魔法を見てもなお余裕を崩さないレオンの態度に、ギーシュは不愉快そうに眉を
ひそめる。
 ――本来なら平民の相手など、ワルキューレ一体で十分だというのに……
 レオンの右太腿、ホルスターに収められた拳銃へと視線をやる。あの武器の存在、唯一
それだけが厄介だ。
 相手の得物が剣ならば、ワルキューレで正面から捻じ伏せてやればいい。しかし、銃と
なると、遠距離からの偶然の一撃で自分が敗北する事もあり得る。
 まるで指揮者にでもなったように、ギーシュは優雅な動きで薔薇を振った。それを合図
に、銅像に生命が吹き込まれ、四体のゴーレムは主の前後左右を固めるように移動する。
 ギーシュの考えをゴーレムの配置から察したレオンは、挑発的な笑みを浮かべながら、
レッグホルスターのVP70を人差し指でトントンと叩いてみせた。
「心配しなくても、俺がこいつを撃つ事はない。弾が勿体ないからな」
 これはレオンにとっては半ば冗談ではない。
 VP70用の9mmパラベラム弾の残弾は現在装填している19発と、予備マガジンの36発。
.50AE弾は予備マガジン含めて20発しかこちらの世界に持ち込めていないのだ。
 何が起こるか分からない異世界で、弾薬を入手出来る可能性は絶望的。ならば、こんな
所で無駄弾を使うわけにはいかない。
 しかし、そんな事情を知るはずもないギーシュの顔は怒りで赤く染まっている。
「い、いいだろう……余程後悔したいらしい」
 余裕を表現しようと無理矢理に浮かべた笑みは、ぎこちなく歪んでいた。

 そんなギーシュとは対照的に、ルイズの顔からはみるみる血の気が引いていく。
 ――あいつ、本当に殺されちゃう。
 彼の持つ連発式の銃ならば、遠距離から比較的安全に戦う事が出来る。そう思ったから
こそ、ルイズは戸惑いながらもレオンを止めようとは考えなかった。
 それなのに、あろう事か自分の使い魔は、唯一の勝機を自ら手放したのだ。
 人混みをかき分けながら、息も整えずルイズは叫んだ。
「あんた何言ってんのよ! 平民が武器もなしに貴族に勝てるわけないじゃない!」
「心配してもらえるとは光栄だね。使い魔冥利に尽きるよ」
 自分の気も知らず平然としている使い魔に、焦りと苛立ちが募る。
 そんな中で、ようやくルイズは使い魔の余裕の理由に気付く。彼はこちらの世界に来た
ばかりで、実際に見た魔法といえば、フライと錬金、そして自分の爆発のみ。本当の魔法
の恐ろしさを、彼はまだ知らないのだ。
 何とか思い止まらせようと言葉を探すルイズを、レオンの手が制した。
「俺は君がゼロなんかじゃないと言った。それはもちろん本心だ」
 こんな時にこの使い魔は何を言っているのだ。咄嗟に言葉が出せず、何とか意思を伝え
ようと必死で首を横に振る。
 違う。私はそんな事が言いたいんじゃない。お願いだから、私の話を――
「でも、君自身は自分の力をまだ信じられない。違うか?」
 まるで全てを見透かしているかのような青い瞳に見つめられ、ルイズは言葉を失った。
「だったら、まずは俺が口だけの男じゃないって事を証明しないとな」

 彼が何を言っているのか分からなかった。
 鍛え抜かれた肉体に似合わぬ柔らかな笑み。その笑みがゆっくりとルイズの視界から消
えていく。
 レオンが決闘相手へと向き直り、応えるようにギーシュが造花の薔薇を振り上げる。今
まさに決闘が始まらんとするその時になって、ルイズはようやく言葉の意味を理解した。
 ルイズの魔法の唯一の成功例である自分が、武器も魔法も使わず貴族に勝利する。この
男はそうする事で、主の汚名を拭おうとしているのだ。

「レオン――――!!」

 気が付けば、ルイズは使い魔の名を叫んでいた。



「ふうむ、にわかには信じられんが……」
「何故です!? 証拠ならここにあるではありませんか! これは世紀の大発見ですぞ!」
「証拠と言ってものう……」
 所変わって、学院長室。泡を飛ばして熱弁を振るうコルベールを煩わしく思いながら、
オスマンは手渡された歴史書へと視線を落とした。
 開かれたままのページには、一つのルーンの図が掲載されている。
「ガンダールヴのルーン……か」
 未だに何事かを叫んでいるコルベールの声に耳を塞ぎ、オスマンは遠い歴史の彼方、始
祖ブリミルが使役したとされる使い魔へと思いを馳せた。

 伝説の使い魔『ガンダールヴ』。
 ブリミルが魔法を詠唱している間、その身を守る役割を担ったその使い魔は、あらゆる
武器を使いこなし、千の軍隊を一人で壊滅させる程の力を持っていたとされる。
 その左手に刻まれたとされるルーン。それは、ミス・ヴァリエールが呼び出した平民の
左手に浮かび上がったルーンと瓜二つだった。

「ミス・ヴァリエールの使い魔が、現代に蘇ったガンダールヴか。確かに真実ならば世紀
の発見かもしれんが……しかし、ルーンが同じというだけで結論を出すのは、ちと早計す
ぎやせんか?」
「そ、それは……そうかもしれませんが」
 コルベールとしてはこの素晴らしい発見についてまだまだ語り足りないというのが本音
だが、学院長にそう言われては口を閉じるしかない。
 オスマンはようやく訪れた静寂に、安堵の息を漏らした。しかし、その静寂は次の瞬間
には破られる事となる。
「……誰じゃ?」
 無遠慮なノックの音。次いで扉の向こうから聞こえてきた声は、先程退室したはずの自
身の秘書のものだった。
「私です、オールド・オスマン。ヴェストリの広場で決闘をしている生徒がいるようで、
大騒ぎになっていますが……」
「こっちはそれどころじゃないんじゃがのう……それで、誰と誰が暴れておるんじゃ?」
「ギーシュ・ド・グラモンと、ミス・ヴァリエールの使い魔のようです」
 思いもよらぬ偶然に、オスマンとコルベールは顔を見合わせる。
「オールド・オスマン? どうされました?」
「あー、いや。決闘とはいえ、所詮はただの喧嘩じゃ。放っておきなさい。一応何かあっ
た時の為に、水属性の教師に一言、声だけは掛けておいてくれ」
「分かりました。伝えておきます」
 オスマンの態度を怪しむ風もなく、淡々とした事務的な返事だけを残し、ロングビルは
去って行った。
 足音が聞こえなくなったのを確認し、コルベールはオスマンへと視線を向ける。分かっ
ておるというように頷くと、オスマンは手にした杖を振った。
 壁にかかった鏡――『遠見の鏡』に、ヴェストリの広場の様子が映し出されていた。



 ルイズの叫びは、金属の擦れる音と歓声に掻き消された。ワルキューレが青銅の短槍を
レオンに向かい振り下ろしたのだ。
 当然レオンも、その瞬間を黙って待ってはいない。余裕を持って斬撃を躱すと、ワルキ
ューレの顔面を目がけ、得意の回し蹴りを放つ。
「っ……!」
 軍靴に伝わる硬い感触に、とっさに片足で後方に跳ねる。
 青銅の刃が鼻先を掠めた。
「はははっ、僕のワルキューレにそんな攻撃が通じると思っていたのかね?」
 ヴェストリの広場にギーシュの高笑いが響く。
 蹴撃の際に響いた音からワルキューレの内部は空洞だと推測されるが、ギーシュの言葉
通り、その表面にはひび一つ入っていない。
 ――これならB.O.W.の方がまだ可愛げがあるかもな。
 怯んだ様子も見せず繰り出されるワルキューレの斬撃を巧みに躱しながら、レオンは舌
打ちした。
 B.O.W.は人によって生み出された歪な存在ではあるが、生物には違いない。どれだけ強
大な力を持っていても、生物であるからには必ずウィークポイントが存在する。少なくと
も、これまでレオンが戦ってきたB.O.W.はそうだった。
 しかし、目の前の相手は生物ですらない。痛みを感じる事もなく、破壊されるまでその
動きを止める事もないのだ。



「ねえねえ、見てよタバサ! やっぱり彼、ただ者じゃないわ」
 興奮した様子のキュルケに肩をガクガクと揺さぶられ、タバサは面倒臭そうにレオン達
の方へと視線を向けた。
 が、すぐにその視線は手に持った本へと吸い込まれてしまう。
「何よー。ここまでついて来たって事は、あなたも少しは興味あったんじゃないの?」
「時間の無駄」
 不満そうなキュルケに、短く答える。
 正確にはついて来たのではなく、無理矢理引っ張ってこられたのだが、その事をとやか
く言うつもりはない。興味があった事は事実なのだ。
 しかし、興味の対象はルイズの使い魔ではない。
 ありとあらゆる文献を読み漁っている自分ですら知らない、彼の持つ武器。その性能を
知りたくて、タバサはヴェストリの広場にいる。

 あの平民の持つ銃、それは威力、有効射程、命中精度、全てにおいて彼女の知る銃――
火縄銃やマスケット銃と比べて別物と言えた。何処で作られた物かは分からないが、あれ
だけの技術レベルがあれば、銃の最大の欠点である装填に時間がかかるという点も改善さ
れていると考えるべきだ。
 これまでのタバサには、銃とは平民の使う攻撃魔法の粗悪な代用品にすぎないとの認識
しかなかった。
 しかし、あの銃ならば。
 詠唱を必要としない分、状況によっては魔法以上の力に――自分から全てを奪った仇敵
を打ち倒し、大切なモノを取り戻す為の力になり得るのだ。

 それを使わないと宣言された時点で、もはや見るべきものはない。
 確かにルイズの使い魔はゴーレムの嵐のような猛攻を見事に避け続けている。ただの平
民ではなく、それなりに優秀な戦士なのだろう。
 しかし、攻撃の隙を縫って繰り出される蹴り技がゴーレムに傷一つ付けていない事もま
た事実。こうなるともはや彼に打つ手はない。スタミナ切れによる敗北を待つだけだ。
 ――?
 周囲から歓声が上がり、つい顔を上げてしまう。
 僅かな期待は瞬時に失望へと変わった。何の事はない、業を煮やしたギーシュが六体目
のゴーレムを呼び出したのだ。これではスタミナ切れを待つまでもないかもしれない。
 やはり時間の無駄だった。タバサは小さく溜息を吐いた。



 タバサの読みは当たっていた。
 例え数が二体に増えようと、レオンは驚異的な運動神経により、その攻撃を避け、いな
し、時には蹴りで斬撃の軌道を変え、一つ一つ確実に捌いていく。
 しかし、対するギーシュも馬鹿ではない。
 ワルキューレを巧みに操り、敵の逃げ道を制限する。そうやって、獲物を徐々に追い詰
め、そして仕留める。これは戦闘手段をワルキューレしか持たぬ最下級のドットメイジで
あるが故に、彼が身につけた戦法だった。
 レオンはすぐ後ろにギャラリーの気配を感じ、立ち止まる。これ以上後ろに下がる事は
出来ない。
 身動きの取れなくなったレオンを挟むように、左右から青銅の刃が迫っていた。

「――いい加減にしてよ!!」
 すぐ後ろから響く悲鳴にも似た叫び声に、一人と二体は動きを止める。
 巻き起こる歓声と罵声の中でも一際よく通る声。レオンにはそれが自分の主となった少
女の声だと分かった。
「私が謝ればいいんでしょ!? 謝るから、だからもうやめてよ!」
 声が掠れている。
 後ろを振り向く余裕はないが、おそらく泣いているのだろう。
「いや、この決闘はもはや僕と君だけの問題ではない。君も見ていただろう? この平民
がどれだけ僕を侮辱したか」
「根が正直なものでね。思った事がつい口に出てしまう性質なんだ」
「あんたは黙ってて!」
 こんな状況でも軽口を飛ばすレオンを見て、ギーシュは呆れたように鼻を鳴らした。そ
の表情からは、怒りというよりも侮蔑の感情が見て取れる。
「だいたい何で銃使わないのよ!? 私が何を言われようと、昨日来たばかりのあんたに
は関係ないじゃない!!」
 当然の問いかけに、レオンは苦笑する。
 関係ないか。確かにその通りだ。
 突然異世界に呼び出され、縁もゆかりもない少女の為に、同じく縁もゆかりもない男と
戦っている。何とも、馬鹿馬鹿しい話じゃないか。
 それでも、その少女は苦しんでいて、自分には何かしてやれる事がある。
 強いて言えばそれが理由で、レオンにはそれだけで十分だった。
 エージェントとなって心身共に大きく成長したレオンだが、その強い正義感は新米警官
だった頃から何一つ変わっていない。
「あんたなんかの手を借りなくたって、ゼロの汚名は私の力で晴らすんだから! だから
……命令よ! どんな手使ってでもいいから、勝ちなさいよ!!」
 しんと静まり返った広場にルイズの声が響いた。その声に呼応する様に、レオンはレッ
グホルスターへと手を伸ばす。
「OK、ご主人様にそう言われちゃ、逆らえないな」
 レオンの左手に刻まれたルーンが光を放っていた。



 ――まずい。
 銃を使われては厄介だ。ギーシュは慌ててワルキューレに指示を飛ばす。
 命じたのは、「平民ならば、少し傷をつけるだけで降参するだろう」という思いから封
じていた刺突。銃を抜く隙を与えず、最短距離で確実に相手を仕留める。
 ザクリ、という不快な音。
 聞く者によっては耳を塞ぎたくなるその音が、ギーシュには勝利を讃えるファンファー
レのように聞こえた。
 ――勝った!
 そうだ。やはり平民が貴族に勝てるはずがないのだ。
 それなのに。
 何故、あの男はまだ動いている?
 勝利のファンファーレに遅れて、広場に轟音が鳴り響いた。

 それは、発砲音ではなかった。
 VP70を引き抜いたレオンは、体を捻り刺突を躱すと、そのまま一回転しながらグリップ
エンドをワルキューレの無防備な顔面に叩き付けたのだ。
 遠心力を加えた一撃により、戦乙女の勇ましくも美しい表情は、巨大な穴へと塗り替え
られる。
 レオンの背後に立つもう一体のワルキューレもまた、銅像の役割を思い出したかのよう
に沈黙していた。レオンが躱した短槍がその身を貫いている。
 二体のワルキューレは支えを失ったかのようにゆらりと倒れ、そして、粉々に砕けた。

「――撃ってはいないから、セーフだよな?」

 それが決闘再開の合図となった。
「わ、ワルキューレ!!」
 先程まで呆けたような表情で固まっていたギーシュが悲鳴をあげ、四体のワルキューレ
が陣形を解く。
 同時に、レオンはギーシュを軸に周るように駆け出していた。四体の敵に囲まれては、
流石に攻撃を避け続ける自信はない。
 ――何だ?
 不意に浮かぶ違和感。
 四体のワルキューレの動きが先程の二体と比べ、明らかに遅い。
 いや、違和感は先程もあった。ワルキューレの繰り出した突きが、一瞬スローモーショ
ンに見えたのだ。そうでなければ、流石のレオンにもあれ程までに完璧なタイミングのカ
ウンターを決める事は出来なかっただろう。
 ――俺の動きが、速くなっているのか?
 走りながら、周囲に目を配る。
 自分を追う四体のワルキューレ。その動きは指揮官の動揺を表しているかのように、て
んでバラバラだ。先程までの見事な連携は、いまや見る影もない。
 ――これなら、律儀に相手をしてやる必要もないな。
 スピードを維持したまま、ギーシュに向けて方向転換する。二人を結ぶ直線上に、障害
となる物は何一つ存在しない。
 レオンは大地を蹴りつけ、跳躍した。

 ――しまった!
 失策に気付いたギーシュは、七体目――最後のワルキューレを召喚せんと薔薇の杖を振
り下ろした。
 振り下ろしたはずだった。
 視線の先に、空中に静止した薔薇が映る。杖を持つ手を掴まれている事に気付き、ギー
シュは信じられないものを見るように、目の前に立つ平民を見上げた。
 ――馬鹿な。あれだけの距離を一瞬で移動したとでも言うのか……!?
 混乱するギーシュとは対照的に、レオンは冷静に掴んだ右手首を捻り上げると、そのま
まギーシュを後ろ手に拘束する。ハンマーロックと呼ばれる関節技だ。
「そろそろタオルを投げる頃合だと思うが?」
 背後から聞こえる平淡な声。
 この状態では、杖を振る事は出来ない。仮に出来たとしても、それよりも自分の腕が折
られる方が先だろう。
 全てを理解したギーシュは、ゆっくりと右手の力を緩めた。
「……降参だ」
 造花の薔薇が音もなく地面に落ちていった。



「ありがとうございます、ミス・ヴァリエール! 本当にありがとうございます!」
「は、はえ? あ、いや、えと……」
 自分の手を握りしめ、何度も頭を下げるシエスタを見て、ようやくルイズは自分の使い
魔が命令を果たした事を悟った。
 いつの間にかあんなにいたギャラリーもまばらになっている。レオンが銃を抜くと同時
に張り詰めていた糸が切れてしまったかのように、それからの事がよく思い出せない。
「べ、別にいいのよ。平民を守るのは貴族の義務だし……って言うか、私何もしてないし
……」
 ルイズのしどろもどろの返答を聞いているのかいないのか、シエスタは相変わらず感謝
の言葉を繰り返している。
 そのシエスタの表情が一瞬にして青ざめた。小動物のような機敏な動きでルイズの背後
に回ると、その影に隠れるかのように体を縮こませ、ブルブルと震え始める。
「ギーシュ……」
 彼女の怯える瞳の先には、いつの間にか自分と決闘するはずだった少年が立っていた。
 俯いている為にその表情は分からないが、結果に納得しているとは考え難い。本来の対
戦相手であるルイズを相手に決闘のやり直しを要求してくる事も十分にありえる。
 ――上等じゃない。今度こそ、逃げるつもりはないわ。
 ルイズは迷う事なく、しっかりと杖を握りしめた。
 瞬間、ギーシュの影が動いた。ルイズも弾かれたように杖を引き抜く。
 ルイズの杖の先には、体を直角に折り曲げたギーシュの頭頂部があった。
「……へ?」
「本当にすまなかった!!」
 ヴェストリの広場中に響く大声で謝罪の言葉を述べるギーシュ。咄嗟の事に、ルイズは
ただ、そんなギーシュを眺めるしか出来なかった。
「やはり、許してはもらえないだろうか」
 ルイズの顔をギーシュは不安そうに覗き込む。
 敗北がよほど応えたらしい。キザの塊のような普段の彼からは考えられないしおらしい
態度に、ルイズも毒気を抜かれてしまった。
「も、もういいわよ! あんたの吠え面も見れたし……っていうか、あんたが謝る相手は
私じゃないでしょ!」
「ああ、その通りだ」
 そう言うと、ギーシュはルイズの背後へと視線を送る。視線がぶつかり、シエスタは思
わず顔を背けてしまう。
 ――僕は八つ当たりで、彼女をここまで怯えさせてしまったのか。
 改めて自分の愚かさに気付かされたギーシュは、何とか彼女の誤解を解こうと、その場
に膝をついた。
「ミス・シエスタ、僕は自分が情けない。全て自分が蒔いた種だというのに、ちっぽけな
プライドを守る為に、君を傷つけてしまった」
 これにはシエスタの方が慌ててしまった。
 いくら同年代とはいえ、ギーシュは貴族なのだ。貴族が平民に跪くなど本来ならばあっ
てはならない。少なくともシエスタはそう言い聞かされてきた。
「あ、頭を上げてください、ギーシュ様! 私のような給仕などに頭を下げては、それこ
そグラモン家の名に傷がついてしまいます!」
「いいや! 今のままでは、僕に貴族を名乗る資格はない! 君が許してくれるというまで
僕はいつまでだってこのままの体勢でいよう!」
「ゆ、許します! 許しますから、どうか頭を上げてください!」
 そうか、と案外あっさりギーシュは立ち上がったが、それでもシエスタはほっと胸を撫
で下ろした。
「名前……」
「ん?」
 安堵のせいか、思っている事がそのまま口に出てしまっていたようだ。シエスタは恥ず
かしそうに目を逸らした。
「あ、いえ……その……まさかギーシュ様が私の名前をご存じだったなんて思わなかった
もので……」
「君は何を言っているのだね。僕はこの学院内に咲く美しい花の名は、全て知っているつ
もりだが」
 さも当然だと言わんばかりに首を傾げるギーシュに、シエスタは頬を染めて俯いてしま
う。
 ――いやいや。あんたがそんなだから今回の騒動が起こったんじゃない。こいつ、全然
懲りてないわ……
 そんな二人を眺めながら、一発ぶん殴ってやろうかと握り締めた拳を何とか下ろしたル
イズは、自分が意外と空気を読める性格である事を知った。

「美しい花の忘れ物だ」
 胸元めがけ飛んできた薔薇を、ギーシュは慌ててキャッチした。それが決闘の際に落と
したままになっていた自分の杖だと分かり、思わず苦笑する。
「結局僕はワルキューレに武器まで使わせておきながら、君に傷一つ付ける事が出来なか
ったんだな。完敗だよ。ええと、ミスタ……」
「レオン・S・ケネディだ。レオンでいい」
「君の勝利を讃えよう、レオン」
 ギーシュの右手が差し出される。レオンは微笑み、その手を握り返した。
「――やあやあ、雨降って地固まるだね」
 不意に声が掛けられた。
「どうやら、そのようだ」
 レオンは当たり前のようにその声に反応するが、その声の主の方へと首を向けたギーシ
ュの顔はみるみる崩れ、しまいには泣きそうな表情へと変わってしまう。
 不思議に思いルイズを見ると、彼女もまた眉間に皺を寄せて難しい顔をしていた。
 レオンはわけも分からず、声の主に視線を向ける。頭の禿げ上がった男がにこやかに笑
みを浮かべていた。



「違うんです、ミスタ・コルベール! 彼は使い魔として私の代わりに戦っただけなんで
す! 罰ならば、主であるこの私が――」
 レオンとルイズは火の塔の隣に建てられた掘っ立て小屋――もとい、コルベールの研究
室にいた。
 必死に弁明するルイズを見て、レオンは貴族間の決闘が禁止されている事を思い出す。
今回は貴族同士ではないとはいえ、冷静に考えればそんな屁理屈が通るはずもない。
「いや、今回の件は俺の独断だ。ルイズは関係ない」
 この部屋の主であるコルベールは、互いに庇いあう二人を微笑ましく思いながらも、困
ったような表情を浮かべていた。
「ああ、いや、別に君達を咎めようというわけではないんだ。まあ、確かに決闘はよくな
いが、貴族と平民の決闘に関する規則を定めていなかった我々にも責任はあるし、今回は
幸い怪我人もいないようだしね」
「はあ……では、その、どのような用件で……?」
 尋ねたルイズの瞳からは、未だ疑いの色が見て取れる。
「いや、本当に大した用ではないんだ、ミス・ヴァリエール。ただ、君の使い魔に少しば
かり聞きたい事があってな」
「俺に?」
「うむ。ミスタ・ケネディ、昨日あなたと一緒に召喚された生物がいましたな。あのよう
な生物はこの辺りでは見た事がない。それで、どのような生物なのか気になりましてな」
 それを聞いて、ようやくルイズは安堵の表情を浮かべた。
 決して広くはない室内に、ぎっしりと書物が押し込まれた棚や試験管や標本が所狭しと
並べられた自称研究室からも分かるように、この教師が研究と発明のみを生きがいとして
いる事は学院内では周知の事実だ。
 彼が異世界の獣に興味を持つのは、むしろ当然の事のように思える。
「リッカーの事か……」
 一方のレオンはルイズと違い、険しい表情を浮かべている。
 どのような生物かと尋ねられても、まさか真実をそのまま語るわけにもいかないし、そ
もそも信じてもらえないだろう。
 かといって、コルベールの意図が分からない以上、適当な事も言えない。
「そう、確かリッカーと呼んでいましたな。あれは、その……人為的に作り出された生物
ではないのですか?」
 コルベールは声を潜めた。
 人為的に作られた。確かに間違いではないが、ハルケギニアの住人であるコルベールが
想像しているものは別のものだと考えられる。
 彼はリッカーがその“人為的に作り出された生物”である事を危惧しているのだ。それ
ならば、余計な心配を与える必要もない。
「いや、そんな大層なものじゃない。あれは、俺のいた世界の生物だ。危険な生物ではあ
るが、この辺りで出会う事はまずないだろう」
「ほう。そういえば、あなたはいったいどこの国より召喚されたのですか?」
「ミ、ミスタ・コルベール! 彼は、その……東方の……そう! ロバ・アル・カリイエの
方からやって来たんです!」
 突然ルイズが声を張り上げた。異世界から来た事を喋るなという事だろうか。ルイズの
視線を感じ、レオンは軽く頷く。
「ほう、ロバ・アル・カリイエ! なるほど、あの恐るべきエルフの住まう地の近くであ
れば、あのような生物がいても不思議ではないか……」
「そのようだな」
 レオンとしてはこの教師からも異世界についての情報を得たいというのが本音だが、ル
イズが自分が怪しまれないよう配慮してくれたであろう事も分かる。
 リッカーについても納得してもらえたようだし、ここは素直に従っておくのが得策に思
えた。
「それともう一つ、聞きたい事があるのですが……」
「まだあるのか……何だ?」
 うむ……と一拍置いて、コルベールは口を開く。
「先程の決闘の最中、何か変わった事はありませんでしたか?」

 ガンダールヴの存在を確かめる為、学院長室にて決闘の様子を見守っていたオスマンと
コルベールだったが、結論から言うと、答えは出なかった。
 なるほど、確かに結果はレオンの圧勝と言える。レオンが並の平民であれば、それはガ
ンダールヴの証明として十分だったかもしれない。
 しかし、あの鍛え抜かれた肉体は、果たして並と呼んでよいものか。あれ程の体の持ち
主であれば、ガンダールヴでなくともあのくらいはやってのけるのではないか、という疑
問がどうしても残ってしまう。
「コルベール君、この件もついでにあの使い魔に聞いといてくれ」
 こうしてコルベールの仕事がまた一つ増えたのだった。

「変わった事か……そうだな……」
 思いつくような事は一つしかない。戦闘中に感じたあの違和感だ。
「決闘の途中でこのルーンってやつが光ったんだ。それから体が普段より軽くなったよう
な気がしたんだが……」
「ほう! 体が!?」
 興奮したように身を乗り出すコルベールを見て、レオンは慌てて付け加えた。
「いや、気がした程度だ。気のせいかもしれない」
「そうですか……」
 今度は露骨にがっくりと肩を落として見せる。
 この年齢の割に落ち着きのない教師は、しばらくそのまま落ち込んでいたが、やがて思
い出したように口を開いた。
「ああ、そうだ。こちらから質問をしておいて何ですが、体の異変についてはあまり他言
しないほうがいいかもしれませんな」
「元よりそのつもりだが……どうしてだ?」
「使い魔はメイジと契約した際に、特殊な能力を得る事があります。例えば、動物が人語
を話せるようになる、というように」
「なるほど、いかにも使い魔って感じだな」
 人語を話す黒猫やカラス。御伽話の魔女の使いそのものである。
 レオンとハルケギニアの人間との間で意思疎通が可能なのも、その辺りが関係している
のかもしれない。
「しかし、これまで確認されている限りでは、歴史上、人間を使い魔とした例はないので
す。もし人間が使い魔となり、特殊な能力を得たなどと知られれば……」
「恵まれし子らの学園にスカウトされるかな?」
「は? いや、連れて行かれるのはそのような素晴らしい場所ではありません。おそらく
王室直属の研究機関『アカデミー』で様々な実験を受ける事となるでしょう」
 コルベールの顔が苦々しげに歪んだ。それは決してレオンの冗談が理解出来なかったか
らではないだろう。その口ぶりから、アカデミーとやらにあまりよい感情を抱いてはいな
い事が窺える。
 ――人体実験って事か。何処の世界も変わらないな。
 ルイズが異世界から来た事を隠そうとしたのも、その為だろう。レオンは暗澹たる思い
で首を振った。
「やれやれ、ウェポンXの方だったか。OK、気を付けるよ。俺も骨を金属に変えられた
くはないからな」
「はあ……まあ、分かってもらえたならよいのですが」
「あの、ミスタ・コルベール、もうよろしいでしょうか?」
 どうにも噛み合っていない二人の会話を呆れたように聞いていたルイズだったが、自分
達がこのボロ小屋にいる理由を思い出し、おずおずと口を開く。
「待ってくれ。俺からも一つ、質問してもいいか?」
 その言葉を遮ったのは、彼女の使い魔だった。

「ああ、別に構いませんぞ。私に答えられるかは分かりませんが」
「今日、あんた達の使う錬金の魔法ってやつを見せてもらったんだが……その魔法でこれ
と同じ物は作れるか?」
 ホルスターからVP70を引き抜くと同時にマガジンを外し、そこから弾薬を一つコルベ
ールへと放る。何という事もない動作ではあるが、その流れるような素早い動きに、ルイ
ズは感嘆の声をあげた。
「あんた、器用なのね」
「慣れれば君にだって出来るようになる」
 コルベールは手にした9mmパラベラム弾とレオンとを交互に見つめる。
 確かに、慣れている。慣れすぎている。
「これはその銃の弾、ですかな?」
「ああ。多分、あんた達の知っている弾とは全然違うと思う」
「ただ鉛をこのような形にしたという物ではありませんな。それも東方で作られた物なの
ですか?」
 コルベールの穏やかな眼差しが、一瞬、鋭く光ったように見えた。
「そんなところかな」
 レオンは曖昧に答える。疑われる可能性もあるが、すぐに元の世界に戻れないのであれ
ば、これだけは確認しておく必要があると思った。
 アカデミーについて忠告してくれたこの人の良さそうな教師ならば、そう悪い事態には
ならないだろう。そう考えての行動だったが、早計だったかもしれない。
「……正直に申し上げると、難しいでしょう」
 それでも、コルベールはレオンにも分かるよう丁寧に説明してくれた。
 それによると、錬金はあくまで物質の組成を変える魔法らしい。つまり、薬莢や弾芯を
作る事は出来ても、いきなり実包を作る事は不可能という事だ。
 また、ハルケギニアにはまるっきり同じ物を作るという概念が存在しない。仮に似たよ
うな物を作り出す事が出来ても、弾詰まりか暴発を起こすのがオチだろう。
「まあ、そうだとは思ったよ」
 レオンは特にがっかりした風もなく答えた。ある程度は予想していた事だし、何より今
はこの話題を早めに切り上げたかった。
 しかし、その祈りは天に届かなかったようだ。コルベールの視線は鋭さを増し、未だレ
オンに向けられている。
「そのような連発式の銃が、ロバ・アル・カリイエでは作られているのですか?」

 コルベールはその男から視線を逸らす事なく、なるべく自然に見えるように自身の杖へ
と手を伸ばした。
 彼は気付いている。男の持つ武器がどれ程危険な物かを。
 後装式とでも呼ぶべき構造。そして、複数の銃弾を装填可能な特殊な銃把。これが量産
されれば、誰しもが訓練次第で戦闘においてはトライアングルクラスのメイジと肩を並べ
る事となるだろう。
 それだけではない。あまりに簡易に人の命を奪う事の出来るこの兵器は、罪の意識を希
薄にする。その結果生み出されるのは、何の覚悟も信念も必要とせずに人の命を奪う事が
出来る存在――かつての自分達のような存在ではないだろうか。
 武器を見るまで気付けないとは、自分の勘も随分と鈍ってしまったものだ。それでも、
かつて軍の実験部隊で鍛えられた自分の勘が確かに告げている。目の前の男は、自分の同
類なのだと。
 命を奪っているのだ。それも、数えきれない程の。
 この東方からの訪問者は学院に、いやハルケギニアにとって害を為す存在となる可能性
がある。ならば、子供達に危険が及ぶ前に彼を止める事が、教師となった今の自分の使命
ではないだろうか。

 眼前の男の放つ殺気を感じながら、レオンもまた、その男の本質に気付けなかった自身
の甘さを恥じていた。
 ゆったりとしたローブのせいで分かり難いが、その下にある肉体は年齢とは不相応に引
き締まっている。教師と生徒という事を差し引いても、ギーシュとは別物と考えるべきだ
ろう。
 覚悟を決め、ホルスターに収めかけていたVP70を素早く持ち上げる。反応したコルベ
ールが、杖を構えた。
 瞬間。レオンの手の中で、銃が半回転した。

「興味があるなら、貸してやってもいい。延滞金はサービスにしておくよ」

 張り詰めていた空気が弛緩する。
 差し出された拳銃のグリップを見て苦笑いを浮かべつつ、コルベールは行き場を失った
その杖を掲げてみせた。
「いや、私は銃の方はからきしでしてな」
「どうやら、そのようだ」
 改めて目の前の男を眺める。
 ――不思議な男だ。
 猛禽類を思わせる鋭い眼光。しかし、その瞳に狂気は宿っていない。かつて嫌になる程
目にした、“死”に慣れてしまった者の暗く淀んだ瞳とはまるで異なる青く澄んだ瞳。
 そうだった。この男は先の決闘の際も傷を負わないだけでなく、対戦相手にも傷一つ付
けずにその場を収めてみせたのだった。
 ――我々とは違う人間という事か。
 答えを出すのは、もう少し様子を見てからでもいいのかもしれない。コルベールは、ゆ
っくりと杖を下ろした。

 ルイズだけが何が起きたか分からず、きょとんとした顔で二人を見つめていた。




新着情報

取得中です。