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第七十八話「風の竜のともだち(後編)」


ウルトラマンゼロの使い魔
第七十八話「風の竜のともだち(後編)」
凶悪怪獣ギャビッシュ 登場



 ジャンボットが取り逃がした凶悪怪獣ギャビッシュの行方を追うグレンが見たのは、
シルフィードがしゃべっているところ。これによりグレンは、シルフィードが伝説の
風韻竜であることを知ったのだが、彼女の正体を公言しないという約束を取り交わしたことで、
シルフィードの秘密は守られることとなった。
 そのシルフィードは、ちょうど悲しい経験をしたところであった。森の中で小さな女の子、
ニナと知り合ったのだが、彼女の村の人たちが恐ろしい竜の姿のシルフィードを拒むので、
ニナもシルフィードを恐れてしまったのだ。せっかく友達になれそうだったのに……と、
シルフィードは落ち込んでいた。グレンが取り成そうとも提案したが、シルフィードはニナの
これからのために身を引くことを決めたのだった。
 シルフィードはそれから、グレンのギャビッシュ捜索を手伝う。だが、悪魔のような怪獣の魔の手は、
既にハルケギニアの人間に忍び寄っていたのであった。そう、他ならぬニナの元に……。

 シルフィードは背の上にグレンを乗せ、上空から森を見下ろしていた。シルフィードが尋ねかける。
「でも、小さくなれる怪獣をこんな空の上からで、捜し出せるのね?」
 小動物のようなサイズになれる怪獣を見つけ出すのは、地上からでも至難の業というのは容易に想像がつく。
それなのに空から捜して、発見できるのだろうか。地上には木々に茂る葉しか見えないのだが。
 だがグレンは自身ありげに答えた。
「そこんところは大丈夫だぜ。怪獣のパワーの波長は焼き鳥が記録した。空からでも、近くまで行きゃあ
どんだけ小さくなろうと、その波長から居場所を探知できる。だからお前は、この辺をとにかく飛び回って
くれりゃそれでいいのさ」
「ふーん? よくわかんないけど……怪獣は確かにこの辺にいるのね?」
「テレポート能力があるとはいえ、手負いの状態じゃ遠くへは逃げれないはずだ。絶対近くに
いるはずなんだが……とにかく、早えぇとこ見つけ出さなきゃなんねぇぜ。発見が遅れりゃ遅れるだけ、
危険の度合いが増してく手合いだからな……」
 そう話し合いながら森の上を飛び回っていくシルフィードとグレン。
 そしてニナの村の近くまで差し掛かった。
「あッ、あの村は……」
 先ほどのことを思い出して一瞬悲嘆に暮れるシルフィード。しかしその時に、グレンが叫んだ。
「やべぇ! 怪獣はあの村の中だ!」
「えぇッ!?」
 その言葉の直後に、一軒の家が突然内側から破られ、青い毛皮の大怪獣が飛び出してきた! 
この怪獣の正体は当然ギャビッシュだ!
「ピィ――――――――!」
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
 村の人たちは、いきなり出現した怪獣に度肝を抜かれ、大慌てで逃げ惑い出した。
「くっそ、遅かったか! 誰かあいつに捕まってねぇだろうな……!」
 グレンは冷や汗を垂れ流し、超感覚で人質の有無を探る。
 出来ればいてほしくなかったが、残念ながらギャビッシュの右眼の奥に子供の姿があることを
捉えてしまった。
「まずいぜ、もう小さな子供が奴の目の中に閉じ込められてる……!」
「小さな子供!? まさか……!」
 シルフィードは最悪の想像をした。そしてその想像も的中した。
 破壊された家から逃げ出していた女性の叫びが聞こえたのだ。
「ああ! あんな小さな生き物が怪獣だったなんて……! ニナが、ニナがあいつに捕まった!」
 顔面蒼白になるシルフィード。やはり、ギャビッシュに捕まった子供とはニナのことだったのだ。
「ピィ――――――――!」
 ギャビッシュは村の破壊は行わず、代わりに進行方向を魔法学院のある方へと向けて森に踏み込む。
「もっと人質を増やして、誰からも攻撃されねぇようにするつもりか!」
 そんな悪行を許してはならない。だが、ニナが目の中に囚われている以上、ギャビッシュに
攻撃することが出来ない。
 戸惑うグレンたち。と、そこにジャンバードが大空から駆けつけてきて、ジャンボットに変形し
ギャビッシュの前に立ちはだかった。
『待て! ここから先へは行かせんぞ!』
 ジャンボットは早速ギャビッシュに飛びついて進行を食い止めるが、攻撃は加えない。
彼も人質がいることに気がついているのだった。
「ピィ――――――――!」
 それをいいことに、ギャビッシュは容赦なくジャンボットを攻め立てる。鋭い牙で肩に噛みつき、装甲を砕く。
『ぐわぁッ!』
 ひるんだところを爪で切り裂き、突き飛ばして尻尾の先端からの電撃光線を浴びせた。
『うぐわぁぁぁぁッ!』
 防戦を余儀なくされるジャンボット。このままではやられるのも時間の問題だ。
「ど、どうにかニナちゃんを助けられないの!?」
 泡を食って問いかけるシルフィード。それに対し、グレンは険しい表情で告げた。
「方法は一つだけだぜ……」
「あるのね!? 早く教えて! シルフィードも力になるのね!」
 もう会わないと決めたが、こうなっては話は別だ。何としてでもニナの救出に尽力する所存だ。
 そうしてグレンが、その方法を語った。
「焼き鳥の転送光線で俺たちがあいつの目の中に入り込んで、ニナを連れて脱出するんだ!」
「そんな単純なことなのね? だったら早く……!」
「だが入る時はよくても、脱出する時が問題だぜ。目の中から飛び出すんだから、文字通り奴の
目と鼻の先に出るんだ。とんでもなく危険だ」
 ギャビッシュも馬鹿ではあるまい。人質を救い出したら、その瞬間に目先の彼らに襲いかかるはず。
対するグレンたちは、どうしても抜け出た瞬間は無防備にならざるを得ない。
「下手したら、命を落とすことだってあり得るぜ。シルフィード、お前それでもやれるのか?」
「……!」
 問われて、一瞬返答に窮するシルフィード。怪獣の恐ろしさは彼女ももう知っている。
グレンの言葉が確かな現実になり得るものであることは、重々理解している。
 いくら何でも、そこまでする必要があるのだろうか? ニナは今日会ったばかりの子供。
本当ならシルフィードとは何の関わりもないのだ。命を賭すほどの価値があるのだろうか。
「……やるのね!」
 それでも、シルフィードはそう答えた。
「本気だな?」
「うんッ! ニナちゃんはちょっと会っただけだし、言葉も交わせないけれど……シルフィの
ともだちなのね! ともだちは大事なものだって、お姉さまもそう思ってる! 命がけでも
助けるには、十分なのね!」
「よぉし分かったぜ! 絶対に俺たちでニナを救い出すぞッ!」
 シルフィードの回答を気に入ったグレンは、すぐに行動に移った。ジャンボットの転送光線の
範囲内に入り、呼びかける。
「焼き鳥! 俺たちを奴の目の中に送ってくれ! 人質を救出する!」
『ジャンボットだ! って、それどころではないな! 頼んだぞ!』
 もたもたしている暇はない。ギャビッシュがこちらの意図に気がつく前に、ジャンボットの
転送光線がグレンとシルフィードを包んで、一気にギャビッシュの目の奥へと二人を送り込んだ。
 飛び込んでいったギャビッシュの眼球の中では、ニナがめそめそと泣いていた。
「怖いよぉ、ママぁ……」
 そこにゆっくりと近寄っていくグレンたち。シルフィードが鳴き声を出す。
「きゅい」
「え……?」
 振り返ったニナはグレンと、シルフィードの存在を確かめる。
「あなたは……さっきの竜さん? どうしてこんなところに……」
「こいつ、シルフィードは君を助けにここまで来たんだぜ」
 と教えるグレン。それを聞いて、ニナは泣き止んでシルフィードの顔をまじまじと見つめた。
 人間の感覚からしたら、厳つくて恐ろしい竜の顔。しかし、今のニナはその瞳の中に、
温かい優しみを見出していた。
「竜さん……ありがとう……」
 ニナはシルフィードの首にそっと抱きつき、つぶやきかけた。
「きゅい……」
 シルフィードは目をつむり、小さく鳴く。
 しかし今は穏やかな時間を過ごしている暇もないのだ。
「ニナちゃん、礼を言うのはまだ早いぜ。ここから脱出だ! さぁ、シルフィードに乗るんだ」
「うん!」
 グレンがニナを抱え上げてシルフィードの背の上に乗せ、シルフィードにはこう囁きかける。
「シルフィード、心の準備はいいな? ここから出たら、一気に森の中に飛び込んで隠れるんだぜ!」
「きゅい!」
 グレンの指示に、決意を固めた面持ちでうなずくシルフィード。先ほども説明したが、
ギャビッシュが目の中で行われていることに気がつかないはずがない。脱出した瞬間に、
彼らに牙を剥いてくるはず。シルフィードはそれから逃げ切らないといけないのだ。
大変危険なことだ。
 それでも、シルフィードはそれをやる覚悟があるからこそ、ここに来たのである。
「よし……行けぇッ!」
 グレンの合図で、二人を乗せたシルフィードが一直線に飛び立った!
 ギャビッシュの水晶体と角膜をぬるりとすり抜け、シルフィードが外の世界に脱け出した! 
そこは当然ながら、ギャビッシュのすぐ眼前。
「ピィ――――――――!」
 この瞬間に、ギャビッシュがシルフィードたちに食らいつこうと首を伸ばす!
「危ねぇッ!」
「きゅいい!」
 あわや食い殺されるかというところで、シルフィードは急降下した。その甲斐あって、
すんでのところでギャビッシュの牙から逃れられた。牙はガチン、と空を切る。
 ギリギリ攻撃をよけられたが、ギャビッシュはすぐに追撃を行おうとする。
『させんぞッ!』
 しかしジャンボットがすかさず飛びついて、追撃を阻止した。彼のお陰で、シルフィードは
ぐんぐんと森に近づいていく。
「いいぞ! あと少しだぜ!」
 興奮して声を張り上げるグレン。このまま森に紛れてニナとシルフィードを逃がせば、
そこからはギャビッシュを一気に仕留めてくれる。
「ピィ――――――――!」
『ぐわッ!』
 だがギャビッシュも甘くはなかった。長い尻尾を横から叩きつけてジャンボットを弾くと、
シルフィードめがけ針状の光線を吐き出す!
「きゅいぃ!」
 必死に光線をかいくぐるシルフィードだが……避け切れずに、針の一本が胴体をかすめた!
「きゅいー!」
「シルフィードッ!」
「竜さん!?」
 シルフィードはバランスを崩し、森の手前、村の入り口の付近へと不時着した。
「シルフィード! おい! しっかりしろ!」
「竜さん、しっかりしてー!」
 シルフィードが最後まで力を振り絞ったお陰で、背の上のグレンとニナに負傷はなかったが、
その代わりにシルフィード自身の息が絶え絶えだ。グレンが慌てて応急手当てを行い、ニナが
必死に呼びかける。
「ピィ――――――――!」
 ギャビッシュは冷酷無情にそこへ攻撃しようとする。が、
『やめろぉッ!』
 体勢を立て直したジャンボットの鉄拳が突き刺さり、殴り飛ばされた。
『この卑劣漢め! 貴様は最早万死を免れんぞ! ジャンファイトだ!』
 小さな少女を人質にし、更に彼女を命がけで救出した竜を撃ち落とすような悪質な怪獣への
義憤にジャンボットは燃えていた。そしてギャビッシュとの間合いを詰め、格闘戦を行う。
「ピィ――――――――!」
 応戦するギャビッシュだが、人質が助けられた以上はジャンボットも遠慮がない。相手の鋭い爪を
鉄の拳が弾き返し、ギャビッシュを何度も殴り飛ばす。自慢の牙で噛みつこうとしても、顎を掴まれ
大きく投げ飛ばされた。
「ピィ――――――――!」
 肉弾戦では分が悪いと見てか、ギャビッシュが尻尾を持ち上げて先端から電撃光線を放射しようと構えた。
『させるものか! ジャンブレード!』
 しかしそれより早く、ジャンブレードを出したジャンボットが跳ぶ。そして刃が一閃し、
ギャビッシュの尻尾を切断した!
 切り落とされた尻尾が地面に落下し、ビタンビタンと跳ねる。
「ピィ――――――――!?」
 ここに至って、ギャビッシュは最早勝ち目なしと見たか、なりふり構わず背を向けて全力の逃走を始める。
 だが、今更そんな真似を許すジャンボットではない。ジェットで飛んでギャビッシュの前方に
回り込み、すかさずとどめの光線を撃ち込む。
『ビームエメラルド!』
 緑色の光線はギャビッシュの胸に直撃! ギャビッシュの全身は青い炎に包まれ、そのまま完全に燃え尽きた。
 こうして卑劣極まる凶悪怪獣は天誅を受けたのであった。

 しかしギャビッシュを倒せても、地に伏せたシルフィードは目を開かなかった。
「うえーん! 竜さーん!」
 伏したままピクリとも動かないシルフィードに覆い被さり、ニナはわんわんと泣きじゃくる。
そこに、怪獣が倒されたことで戻ってきた村人たちが集まる。
「その竜は、今朝の……」
「俺は見たぜ。ニナちゃんは、その竜が怪獣から救い出したんだ」
「でも、どうして竜がそこまでして……」
 ざわつく村人たちに、グレンが説明する。
「その竜、シルフィードは、ちょっとの間だがニナちゃんと仲良くしたんだ。そのニナちゃんを
見捨てることは出来ねぇと、危険をかえりみずに怪獣に立ち向かってったんだよ」
 それを聞いて、ニナの母親が一番ショックを受けた。
「ああ、うちのニナのためにそこまで……。あんな仕打ちをしたってのに、申し訳ない気持ちでいっぱいだわ……」
 ニナの母親を始めとして、村人たちは次々とバツの悪い表情となった。
「こいつは竜だけど、心優しい奴だったんだな……」
「わたしたちは見かけだけで判断して、いい竜を追い出して、悪魔を呑気に受け入れた……。
なんて愚かだったんだろうね……」
「この竜には感謝してもし切れない。本当に、ありがとう……」
 心から反省した村人たちは、せめてシルフィードの優しさと勇敢さを称えようと、一斉に黙祷を捧げた。
「うう、竜さん、こわがってごめんなさい……。竜さぁん……」
 ニナもまた謝罪し、シルフィードの死にさめざめと涙を流したのだった。

 ……現在のシルフィードが生きているのだから、ここで死んでいるはずがない。
 シルフィードは単に意識を失っていただけで、数時間後にしっかり目を覚ましていたのだった。
「きゅーい!」
「わぁ、たかーい! すごーい!」
 ニナを乗せて宙を舞うシルフィード。ニナは肌で風を感じ、きゃっきゃっと楽しそうに笑う。
 あの事件を経てシルフィードは村の人たちに受け入れられ、ニナとも本当に友達になることが出来た。
言葉を交わすことは出来ないものの、暇な時はともに遊ぶような関係になったのであった。
 本来の生息地から遠く離れた場所に召喚されて、タバサといない時は孤独であることが
多かったシルフィード。しかしもう孤独ではなくなった。大事な友達が出来て、シルフィードは
とても気持ちよさそうに空を自在に飛んでいる。
 その様子を地上からながめたグレンもまた、快活な笑顔を浮かべていたのであった。


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