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第六十五話「銀河に散った二つの星」


ウルトラマンゼロの使い魔
第六十五話「銀河に散った二つの星」
異次元超人巨大ヤプール
究極超獣ゼロキラーザウルス
カプセル怪獣ウインダム
カプセル怪獣ミクラス
カプセル怪獣アギラ 登場



「キヤアアアアアァァァァァァァァッ!!」
 ジャンボキングの亡骸を核として、数え切れないほどの侵略者、超獣の怨念と、ヤプールの象徴たる
血のような赤い雨、そして巨大ヤプールの精神そのものが混ざり合うことで完成した大怪物、その名は
ゼロキラーザウルス! ウルトラ戦士抹殺用に作り上げた超獣Uキラーザウルスの生体情報に、ゼロたちへ
向けられる怨念を組み込んだことで変異を起こし、対ウルティメイトフォースゼロ用超獣として新たに生誕した、
「最強」を超越する「究極」の超獣だ!
 かつてヤプールがアナザースペースでウルティメイトフォースゼロを攻撃した際にも、
とっておきの切り札として投入された怪獣兵器である。そのおぞましい威容を目の当たりにした、
シティオブサウスゴータの外へと避難した人々は一様に恐れおののいた。
「な、何だ、あの怪獣は……。でかい……でかすぎるぞ!」
「巨人のゼロたちが、まるで子供みたいじゃないか!」
 その言葉の通り、ゼロキラーザウルスはあまりに大きかった。その背の丈は、ゼロたちの倍近くもある。
ハルケギニアの人々は、ここまで巨大な生物は噂にも聞いたことがなかった。
 通常の怪獣でも、恐ろしいほどの破壊を振りまくことはもう知っている。それならば、あれほどの
巨体からは如何なる威力が発揮されることか……。最早計り知れない。
 この世のおしまいかと思われた、超獣大軍団を蹴散らしてからの、まさかのそれらをも上回る
大超獣の出現……。多くの人は、到底受け入れられない現実に心が折れかかっていた。
 しかしその時、ギーシュが叫んだ。
「皆の衆、心配はいらない! ゼロたちは必ず勝つさ! 彼らはこれまで、如何なる絶望も打ち砕いた! 
大きいだけの怪獣など、粉砕してくれるとも!」
 ギーシュの絶対の信頼を置いた言葉は、人々の心に強く響いた。
「そうだ……ウルティメイトフォースは、どんなに恐ろしい敵にも負けなかった! 今回だって
勝ってくれるに決まってる!」
「彼らは絶対に、俺たちの未来を導いてくれるぜ!」
 人々は思い出す。ウルティメイトフォースゼロの勇姿を。彼らの飾ってきた勝利を。
 大円盤も、宇宙人連合の軍団も、ナックル星人の大部隊も、電脳魔神も、ヒッポリト星人と大怪獣たちも、
サイボーグ超人も、最後には打ち破って人類の明日を見せてくれた。今目の前にそびえ立つ邪悪も払ってくれるに違いない!
「がんばれー! ゼロー!」
「ウルティメイトフォースゼロ! 負けるなー!」
 人々は勇者たちの勝利を信じ、精いっぱいの応援を送る。その声は、確かにウルティメイトフォースゼロに届いている。
『行くぜ、みんなッ!』
『はい!』『うむ!』『おうッ!』
 見よ! ウルティメイトフォースゼロはこの状況にも少しもひるまずに、大超獣に一直線に
挑んでいくではないか! 人々は、彼らの熱い奮闘を信じて疑わなかった。
「キヤアアアアアァァァァァァァァッ!!」
 しかしゼロキラーザウルスが刃つきの触手をひと振りすると――。
『うわあああぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――ッ!!』
 勇者四人は、一瞬にして蹴散らされた。
「えッ……!?」
 衝撃的に過ぎる光景に、人々の応援の叫びは思わず停止してしまった。
 しかもそれだけではない! 触手のひと振りは四人を紙屑か何かのように吹き飛ばすだけに
飽きたらず、ザンンッ!! とサウスゴータの大地を深々と切り裂いた!
 あまりの出来事に、一斉に絶句する人々。大いなる古都の土地は、半ばから真っ二つになっていた。
とても信じられないが、幻覚ではない。
 地割れでも起きたのか……? いや、地割れではあんなに綺麗に割れる訳がない。しかし……
実際にその目で見ても、人々は信じたくなかった。
 まがりなりにも一個の生物が、大地を両断するなどという事実を……!
『くっ……! まだまだぁッ!』
 弾き飛ばされた四人の内、グレンファイヤーがいち早く立ち上がって再びゼロキラーザウルスに
突っ込んでいく。胸のファイヤーコアと全身に炎をたぎらせた、彼の最大出力の状態だ。
 が、ゼロキラーザウルスは扇状の腕を振るい、手の甲でグレンファイヤーを払いのける。
『ぐわあぁぁぁぁぁぁッ!』
 ベチンッ、と軽く叩いただけで、グレンファイヤーは大きく吹っ飛んで地面に真っ逆さまになった。
 パワーとタフネスなら誰にも負けない炎の戦士が……羽虫か何かのようだ……!
『グレンファイヤー! おのれ、よくもぉ!』
『はぁぁぁぁぁッ!』
 ジャンボットとミラーナイトが地を蹴って、ジャンミサイルとシルバークロスを放った。
 しかし刃つきの触手が伸び、ミサイルと光刃を一瞬で粉々に砕いた上に、ジャンボットたちも空中から叩き落とす。
『がっはぁッ!!』
 触手はそれに飽きたらず、二人を真っ二つにしようと狙っている!
『させるかぁぁぁぁッ! おおおおぉぉぉぉぉぉぉッ!』
 それを食い止めようと飛び出したのがウルトラマンゼロ! カラータイマーはとっくに点滅しているが、
ゼロツインソードDSを固く握り締め、消耗をものともしない勢いで触手の刃を受け止める。
 ガガガガガッ! と激しく火花を散らしていたが……ゼロまでもが弾き飛ばされ、大地に沈んだ。
『うおあぁぁぁッ!!』
 ゼロと才人、そしてデルフリンガーの絆の象徴の武器も……呆気なく破られてしまった……!
『愚か者どもめぇッ! この究極超獣の前には、貴様らの力など塵芥に等しいわぁッ!』
 ゼロキラーザウルスの中からヤプールが傲然と豪語する。そしてゼロキラーザウルスが
ゼロたち四人にとどめを刺そうとする……!
「グワアアアアアアア!」
「グアアアアアアアア!」
「キギョ――――――ウ!」
 それを阻止しようとカプセル怪獣たちが立ち向かっていく。超巨大超獣と比べて幼獣のような彼らだが、勇気は満点だ。
『よ、よせ! 駄目だ、戻れぇッ!』
 だがゼロは慌てて制止をかける。それも間に合わなかった。
『雑魚どもがッ! 目障りなんだよぉぉッ!』
 ゼロキラーザウルスの触手が、カプセル怪獣たちも石ころか何かのように弾き飛ばした! 
たった一瞬の出来事だった。
「グワアアアアアアア!!」
「グアアアアアアアアッ!!」
「キギョ――――――ウ……!」
 蹴散らされた三体は、あまりのダメージの深さに立ち上がることも出来ず、自動でカプセルに戻っていった……。
『ゼロキラーザウルス、やれぇいッ! 連中を消し飛ばせぇぇぇぇぇッ!』
「キヤアアアアアァァァァァァァァッ!!」
 ヤプールの命令により、ゼロキラーザウルスの頭部から莫大な歪んだ光がほとばしる! 
超絶破壊光線、ゼロキラービームが放たれた!
 着弾したビームは、ゴガアアアァァァァァァァァンッ!! と耳をつんざく轟音とともに、
ハルケギニアの誰もが目にしたことのないきのこ雲を巻き起こす!
『うああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――――――!!』
 壮絶な大爆発に呑まれるウルティメイトフォースゼロ!
 そしてきのこ雲が晴れると……人々は完全に言葉を失った。
 シティオブサウスゴータの街が、土地が……そのままの意味で、半分消えてなくなっていた! 
残ったのは、ぽっかりと開いたクレーターだけだ! こんな光景、誰一人として想像したことすらない!
『ぐッ……うぅぅ……!』
 それでもゼロたち四人は健在……。
 いや、果たしてこれが健在と呼べるのであろうか……? 四人ともが等しく身体に無事なところがなく、
立つどころか身を起こすだけで精一杯であった……。
「キヤアアアアアァァァァァァァァッ!!」
 対してゼロキラーザウルスは全くの無傷! わずかでも消耗した様子すらない! その上で、無情にも
死にかけているゼロたちの息の根を完全に止めようとしている!
「――やらせない! ゼロたちを……才人をやらせなんてしないわ!」
 そこに立ち上がったのは、ルイズだ! 一人、避難民の中から脱け出し、杖を握り締めて半壊した街の側に立つ。
 ここまで彼女は、自身の『虚無』の魔力を温存していた。ヤプールは恐ろしい相手だ。
万が一の時のために……と、戦闘中は使用をこらえて、ひたすら感情を高めて魔力を蓄えていた。
そしてそれは正解であったようだ。
「私の一番の武器で……ゼロたちを、トリステインを、ハルケギニアを救ってみせるッ!」
 世界を救う使命に強く燃えるルイズの魔力は、最高潮に達していた。その魔力量は、タルブの時と同等であるほどだ!
 朗々と呪文を唱え上げて――最も得意とする、究極の攻撃呪文を発動する!
「『爆発』!!」
 カッ――!
 再び、大地に太陽の輝きが生じる! その輝きは完全にゼロキラーザウルスの巨体を覆い、
壮絶な爆発の中に閉じ込める。
 その爆発は、まさしくタルブの時の再来であった。
「あれは、タルブの時の奇跡の光!」
「我らの勝利の光だぁッ!」
 トリステインの人々は、『虚無』の爆発がタルブ戦で勝利をもたらした輝きだと理解し、歓喜に打ち震えた。
あの輝きは今一度、人間の勝利を授けてくれると、固く信じている。
「ルイズ……!」
 アンリエッタはルイズの働きに感動し、感謝の念を胸に抱いた。

『効かぁぁぁんッ! 効かんわぁぁぁぁぁぁッ!!』

 ――光が収まり、再び姿を現したゼロキラーザウルスは、依然として全くの無傷であった。
 ルイズは、杖を取り落とした。
「う、嘘……」
 誰しもが、これは夢を見ているのではないか、と錯覚した。
 不完全でもアントラーに致命傷を負わせ、キングジョーとブラックキングの大軍団をも一撃で滅した
『爆発』ですら……ゼロキラーザウルスには微塵も通用していなかったのだ!
『馬鹿な人間どもがぁッ! 貴様らの明日など、最早どこにもありはしないのだぁぁぁ――――――ッ!』
「キヤアアアアアァァァァァァァァッ!!」
 ゼロキラーザウルスの無数のトゲが発射され、ゼロたちに迫る。トゲミサイルだ。
『ぐぅッ……!』
 ゼロとミラーナイトがウルトラゼロディフェンサーとディフェンスミラーを重ね合わせた
ディフェンスミラーゼロを展開。ジャンボットとグレンファイヤーも支えて防御を固めたが……
トゲミサイルは協力バリアを易々と粉砕した。
『ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!』
 四人が爆発の嵐にもてあそばれ、転げ回る。
 惨劇! 最早そうとしか言いようがない……。これはもう戦いとは呼べない。一方的な蹂躙……
処刑の有り様であった!
「もう、もうやめてくれぇッ!」
 誰かが現実を直視できずに目を背け、叫んでいた。その気持ちは、全員が同じであった。
 先ほどまでは確かに存在していた、ゼロたちが、才人が灯した希望は……もうひとかけらも残っていなかった。
彼らの心の支えすら、ゼロキラーザウルスの圧倒的な暴力は蹂躙してしまったのだ。
 人々の心が……闇に囚われようとしている。
「どうして!? どうしてなのッ!? 何でこんなことになってしまったの!? わたしたちが何をしたというの!?」
 誰かが忍び寄る闇に耐え切れず、泣き崩れた。誰しもがそうしたいところであった。
 人々の努力を、奮闘を軽く叩き潰す、絶望的なまでの理不尽。人々はゼロキラーザウルスから
その理不尽を感じている。
 しかしヤプールは、そんな人間たちの心情も嘲笑する。
『どこまでも愚かな生き物どもよ。この究極超獣を生み出したのは、我ら闇の化身の怨念だけではない。
貴様らの心からも生じたのだッ!』
 人々は、その意味が理解できなかった。自分たちの心が、あんな化け物を作り出した? そんな馬鹿な!
 しかしそれは、紛れもない真実なのである。
『我らヤプールは、貴様らの争いを求める心、目先の欲に走る心、薄っぺらな虚栄を得ようとする心、
全ての醜い心から発生するマイナスエネルギーによって生きる。我らが作り出す超獣もまた、貴様らの
醜さを食って強くなった。名誉などという言葉だけの空虚な幻影を欲し、同胞同士でひたすらに殺し合う
貴様らが、終末を招く無敵の超獣の親なのだぁぁッ!!』
 ヤプール人は負の心の具現化。人間の醜さの象徴だ。延々と繰り広げられた貴族と平民の確執、
目先の富と欲に溺れる姿勢、命の奪い合いの意味をろくに考えないで争いをやめない暴力性が、
巡り巡ってゼロキラーザウルスという終わりを作り出すものを産んだ。
 また、人間たちの心の暗闇こそが、世界を終わらせる。世界の守り神であり、人間を信じた
ウルティメイトフォースゼロという希望を、人間自身が殺す。そういう意味での『ゼロキラー』でもあるのだ……。
「そ、そんな……」
「他ならぬ俺たちが、破滅の原因だったなんて……」
 ヤプールの突きつけた残酷な真実に、人間たちは今度こそ打ちのめされた。皆がもう希望を
見出すことが出来ない。いや、知らず知らずの内に、自分たちで壊してしまっていたのだ……。
「わ、わたくし……わたくしは……」
 こんな時にこそ心の支えとなるべきアンリエッタまでも……絶望に呑まれていた。何を隠そう、
アルビオンへの侵攻を推し進めたのが彼女だ。自分があんなことを言い出さなければ……
まさかこんなことになってしまうなんて……。今の彼女の心にあるのは、後悔の念だけだ。
「あ……あぁ……」
 ルイズも、絶対の絶望に沈んでいた。彼女が輝かしいと信じた「貴族の名誉」は……
真逆の暗闇だった……。ルイズの光も、暗闇に覆い隠されてしまった……。
『ウルティメイトフォースゼロッ! 貴様らは貴様らの愛した人間の暴力によって死ぬッ! 
恨むなら、醜い人間どもを信じた己らを恨むんだなぁッ! グハハハハハハハッ! 
グハハハハハハハハハハハハ―――――――――ッ!!』
 いよいよゼロキラーザウルスがゼロたちの命を終わらせる……! その次は人間、そして世界そのものだ……!
 今日が、世界の終わりだ……。

『――そいつは違うぜ……』
 その終わりに、この状況に至っても、ノーを突きつける者が一人。
 ウルトラマンゼロだ。満身創痍、全身がボロボロになってもなお立ち上がる。
 だがひたすらに諦めないゼロを、ヤプールは嗤うばかり。
『まだ立ち上がるというのか? 全て無駄なのだよッ! 今の貴様のどこに、逆転の芽がある!? 
そんなものは全て摘み取ってやったわぁッ!』
 かつて出現したゼロキラーザウルス。それもゼロたちの攻撃をことごとくはね返し、彼らをギリギリまで追い詰めた。
 それは、ゼロキラーザウルスがゼロたちに向けられた怨念の結晶だからだ。ゼロたちがどんな攻撃をしようとも、
底なしの恨みから無尽蔵に生じる負のエネルギーが必ず攻撃の威力を上回ったので、ゼロキラーザウルスは
ゼロたちに対して無敵だったのだ。
 だがウルティメイトフォースゼロは勝った。それは、四人の絆、心の光を一つに合わせ、相乗効果で
一層強めた光を纏った体当たりで、底なしの怨念を打ち砕いて浄化したからである。負の闇で生まれた怪物は、
心の光で照らすことが出来る。
 が、しかし……今の四人は、先の超獣軍団を倒すために、体力を消耗し切っていた。もうあの時と同じ、
四人の合体攻撃はとても出来ない。ゼロたちは、ヤプールの罠に完璧に嵌まっていたのだ。
 ――それでも、ゼロにはたった一つだけ、究極の闇を消す手段があった!
『見せてやるぜ、ヤプール……! 俺の光はぁッ! テメェなんかにッ! 絶対に消されないってことをなぁッ!!』
 気合い一閃。ゼロはまっすぐ上に飛び立ち、ウルティメイトブレスレットを展開して本来の銀色の鎧の形にした。
 その鎧、ウルティメイトイージスを装着したゼロの姿は――人々の目に、神々しい輝きを焼きつけた。
「あ、あの姿は……」
 降臨、ウルティメイトゼロ。
 それはアナザースペースの人たちの心の光が生み出した、まさしく希望の光。宇宙のどこからでも駆けつけ、
闇を追い払う力を持った、究極の光輝だ。
 しかしゼロキラーザウルスという闇は、その光すらも呑み込んでしまいそうだ。
『何かと思えば、貴様も底抜けの愚か者だなぁ、ゼロッ! その威力もゼロキラーザウルスには
通用せんこと、忘れたのかッ!』
 そう、ウルティメイトゼロの力までもが、ゼロキラーザウルスには届かなかった。その怨念は、
一人の力では祓いがたいほどに大きくなっているのだ。
 だが、ゼロが行うことは――攻撃ではないのだ。
『これからすること、俺はちっとも恐れてなんかいない。だが、才人……お前まで巻き込んで
しまわなければならないこと、それだけが心残りだ』
 ゼロはヤプールの嘲りには構わず、己の中の才人に呼びかけていた。
 それに才人は、達観したような声音で応える。
『大丈夫だよ、ゼロ。怖くない訳じゃないけど……嫌って訳じゃない。むしろ嬉しい気持ちさ』
『本当か?』
『ああ。ただの高校生だった俺が、この絶望をひっくり返して世界を救うんだぜ? こんなにすごいことはないよ』
 それからひと言、こう語った。
『ルイズが言った、守るための名誉。今なら分かる気がする』
『そうだな。――行くぜッ!』
 ゼロは飛び出す。右腕の剣を前に突き出し、一直線に――ゼロキラーザウルスへ目掛けて!
『何ッ!?』
 まっすぐ突っ込んでくるとは思っていなかったヤプールは、反応が遅れた。その一瞬が勝負を決する!
『おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉあぁッ!!』
 銀色の鋭い弾丸と化したゼロは、ゼロキラーザウルスの体表を突き破って体内に潜り込んだ! 
そしてカラータイマーより、自身の光の「全て」を解放する!
『うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!』
『な、何をする!? まさか……やめろぉぉぉ―――――――――!!』
 焦るヤプール。しかしもう遅い。ゼロキラーザウルスの肉体から、溢れるように光が漏れていく。
何が起こっているのか?
『ま、まさか……!』
『ゼロ、やめて下さい! そんなことをしたら、あなたがッ!』
『ゼロぉぉぉぉ――――――――――!!』
 ジャンボット、ミラーナイト、グレンファイヤーが気づいて叫んだが、ゼロは止まらない。
 ウルトラゼロレクター。怨念の闇をかき消す浄化技だ。しかしゼロキラーザウルスのそれは
あまりに莫大すぎて、普通にやってはまるで通用しない。
 そのためゼロはウルティメイトイージスを展開し、その上で最大出力を超えた、限界突破の光を
相手の体内から解き放って、この絶大なる邪悪を消し去ろうとしているのだ。
 ……自身の「命」までも光に変換して。
『ぐッ、がぁッ! ぬああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――!!』
「キヤアアアアアァァァァァァァァッ!!」
 二つの邪悪が断末魔を残し――。

 二つの星の輝きが、闇を破裂させた。

 その時、人々も直感で理解した。ゼロは……命と引き換えに、自分たちを救ってくれたのだということを。
『おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!! ウルトラマンがああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!』
 光によって破裂したゼロキラーザウルスの残骸から、巨大ヤプールの怨霊が立ち上って怨嗟の声を上げた。
その怨嗟も、直に光によって消されるであろう。
 それまでの間に、ヤプールはミラーナイトたちへ向けて言い放った。
『こ、これで勝ったつもりか!? 馬鹿めがッ! この星には俺の他にも、邪悪がまだ潜んでいるというのにッ!』
『何ッ!?』
 驚愕するミラーナイトたち。彼らは、M78ワールドからハルケギニアに侵入した巨悪が
ヤプールのことだと信じて疑っていなかった。
『俺はその悪の波動に導かれて、この星を発見しただけだ! 貴様らが遠からず、姿の見えない邪悪に
滅ぼされるのが見えるようだわ! クハハハハハハハッ!』
 負け惜しみを込めた呪いの言葉を、ヤプールは遺す。
『破滅の未来で待っているッ!!』
 そして、光がヤプールの怨霊を消滅させていく。
 二つの星の輝きも――ヤプールを消し去ったすぐ後に……消え失せた。
『なッ……あッ……ゼロ……』
『ぜ、ゼロ……』
『うあああぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――! ゼロぉぉぉぉぉぉぉぉ―――――――――――――――――!!』
 三人の仲間が名を呼んだが……それに応じるべき者は、いなくなっていた。

「……はい。ヤプールの敗北、この目でしかと確認しました」
 シティオブサウスゴータを一望する山の頂上で、一人の女性が人形に向かって話しかけていた。
クロムウェルの秘書であったシェフィールドだ。
 こんなところで、一人で何をやっているのか?
『そうか。余のミューズ、これまでご苦労だった。褒美をとらそう』
 人形からは人の声がする。人形に見せかけた、通信機の役割を果たす魔法の道具なのだ。
「もったいなきお言葉です、陛下……」
 そしてその声を聞いたシェフィールドは、うっとりと陶酔しているようだった。
 シェフィールドは、本当にクロムウェルの秘書だった訳ではない。実はクロムウェルは元々、
今の彼女の話し相手に祭り上げられたお飾りの皇帝で、人形の声の主がシェフィールドを通して
アルビオンを操っていた。アルビオンがヤプールたちの巣窟とされてからは、人形の声の主は
彼らの存在にいたく興味を示し、その動向をシェフィールド越しに観察し楽しんでいたのだ。
『外世界からの侵略者たちも、手を変え品を変えウルトラマンという巨人たちを苦しめ、
なかなかに楽しかった。しかしそれももうおしまいか』
 残念そうな口ぶりだが、実際には惜しむ色は全くなかった。玩具が壊れたので違うのを買おう、
そんな感じのひと言であった。
 あろうことかヤプールの行いを間近から観察し、彼らを玩具同然に見なすこの者は、一体何者なのだ? 
どんな力を有しているというのか?
『これからは余自身でゲームの盤を動かすとしよう。余のミューズ、お前にはもっと働いてもらわねばならなくなる。心してくれ』
「元よりそのつもりでございます、我が陛下!」
 ヤプールという巨悪を打ち倒したばかりだというのに……新たな暗雲は、遠くないところまで来ているようであった。

 激戦の影響により、更地同然となってしまったサウスゴータ。その中を、ルイズが一人ヨロヨロと歩いていた。
「ぜ、ゼロ……どこへ行っちゃったの? 敵を倒したのなら、いつものように、私たちの前に姿を見せてよ……」
 ルイズは真っ青な表情で、一人ブツブツとつぶやいていた。誰にも問いかけは届いていないが、
現実を受け止められない気持ちが問いかけという形で表れているのだ。
「ゼロ……サイトをどこへ連れていっちゃったの? こんな時に、冗談はやめてよ……。
どこかに隠れてるだけなんでしょ? 私が意地悪なことばっかり言ってたから……からかってるだけなんでしょ……?」
 そんな訳がないということ、ルイズは理解していた。しかし感情が認めていなかった。
ゼロが戻ってこないということ、それはつまり、一心同体の才人も……。
「サイト……サイト……。
 サイトぉぉぉぉぉ――――――――――――――――――――!!」
 ルイズの呼び声は――朝焼けに染まりつつある、何もない焦土に虚しく響くだけだった。


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