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第六十三話「超獣総進撃」


ウルトラマンゼロの使い魔
第六十三話「超獣総進撃」
異次元人ヤプール人
異次元人マザロン人
恐怖の超獣軍団 登場



 遂にトリステイン・ゲルマニア連合軍はアルビオンの重要都市、シティオブサウスゴータまで歩を進めた。
連合軍はそこで新年の降臨祭を迎えることとなる。様々な想いが古都に行き交う中、降臨祭の始まりを知らせる
花火が上がる。同時にアルビオン軍主力がサウスゴータに迫り、新年早々激戦の気配が漂った。
 だがそれは大きすぎる誤りだった! シティオブサウスゴータごと、連合軍及びアルビオン軍は
ヤプールの大超獣軍団に取り囲まれてしまったのだ! 人々は、超獣に皆殺しにされるために
浮遊大陸に集められていたのである!
 これからトリステイン、ゲルマニア、アルビオンの民たちは、ハルケギニア史上類を見ない
地獄の降臨祭を経験することとなる……!

「キィ―――キキキッ!」
 異次元空間から街の一等地に直接踏み込んだ大蟻超獣アリブンタは、口から吐く霧状の蟻酸を
高級宿に降りかける。蟻酸といっても超獣アリブンタのそれは、鋼鉄をもドロドロに溶かす強力な殺人液だ。
 そしてその宿は、連合軍首脳部が司令部として使っている場所であった。
「うッ、うわぁぁぁぁ――――――――!!」
 蟻酸が宿を中の人間もろとも溶かしていく。一部の者はどうにか逃れたが、突然の襲撃であったため、
そうでない者の方が断然多数であった。
 そしてド・ポワチエとゲルマニア将軍のハルデンベルグ侯爵もその内に入っていた。
「あああぁぁぁぁぁ……!」
 つい先ほどまで意気揚々と戦の指揮を執るつもりであったド・ポワチエが最後に見たものは、
形が崩れ溶かされていく元帥杖であった。
 倒れたド・ポワチエたちは肉が全て溶けて落ち、白骨化。その骨もたちまちの内に消えて
染みだけになった。
「ギュウウゥゥゥゥゥ!」
 別の場所では、さぼてん超獣サボテンダーが口から赤い舌を伸ばし、連合軍兵士を纏めて数人巻き取った。
「た、助けてくれぇぇぇ―――――!」
 兵士たちの命乞いも虚しく、彼らはサボテンダーの口の中へ引きずり込まれてしまった。
「アオ――――――!」
 また別の場所では、信号超獣シグナリオンが頭部の球体の一つから赤い光線を放ち、アルビオン軍兵士に浴びせた。
「ぎゃああああああああ! 熱いぃぃぃぃぃッ……!」
 赤い光線は強力熱線。兵士たちは一挙に焼き殺される。
 また、シグナリオンは青い光線を連合軍兵士に放った。青い光線は血液蒸発光線。食らった者は
あっという間に全身の血液を失ってミイラと化した。
 更に黄色い光線が両軍の兵士に当てられた。
「うッ、うがあああああ――――――!」
 黄色い光線は発狂光線。兵士たちは同士討ち、もしくは平常者に銃撃をして、一層の混乱を引き起こした。
「カァァァァァコッ!」
「ガアオオオオオオ!」
「ギョロオオオオオオ!」
 これらは被害のごく一部に過ぎない。怪魚超獣ガランは殺人ガスで人間を跡形もなく分解し、
くの一超獣ユニタングは蜘蛛のような糸で絞め殺し、大蟹超獣キングクラブは眉間からの火炎で
街を焼き払う。シティオブサウスゴータのあちこちで超獣たちが大暴れし、陣営、兵士、民間人に
関係なく人間を虐殺していく。
 まさに目を覆わんばかりの地獄絵図。誰がこんな降臨祭がやってくることを想像しただろうか? 
古い街には断末魔と怨嗟、嘆きの声が充満する。
『そうだぁ! 苦しめぇ! もっと苦しめ、人間どもぉ! 嘆きのマイナスエネルギーを
我が主に捧げるのだぁーッ!』
 大量虐殺を行う超獣たちを指揮しているのは、炎の海の中にそびえ立った地獄の鬼そのものの容姿の
巨大怪人。ギロン人と同じくヤプール人に直接仕える異次元人マザロン人である。この者がナックル星人に代わり、
クロムウェルのふりをしてアルビオン軍を今まで動かし、そして用済みになった彼らもろとも人間を
苦しめながら抹殺しようとしているのだ。
 その目的は、ヤプール人の糧となるマイナスエネルギーを人間たちから搾り取ること。
そのために心を操るが同時に恐怖心も失わせる『アンドバリの指輪』は使用せずに、
人々を生きたまま奈落に叩き込んでいるのだ。その容貌に違わぬ、悪鬼羅刹の所業である。
『その調子だマザロン人、超獣軍団よ。機は熟した、最早人間どもを図に乗らせておく必要もなくなった。
一人残らず息の根を止めるのだぁーッ!』
 そして大ボスのヤプールが、虚空から手下たちに命令を飛ばす。
 なぶり殺しにされる人々の恐怖から生じるマイナスエネルギーで、ヤプールは更に強力になっていく! 
この生き地獄を止められる者はいないのか!?

「ギギャ――――――アアア!」
「陛下、こちらへ! 立ち止まっていては危険です!」
 家屋を次々踏み倒しながら人々を蹴散らす鈍足超獣マッハレスが迫り、アニエスがアンリエッタの手を
引いてどこか安全なところへと逃がそうとしている。だが、今のサウスゴータのどこに安全な場所があろうものか?
 アンリエッタは逃げながら今の惨状を目の当たりにして、美しい顔を真っ青に染め上げていた。
「ああ、ああ……! わたくしは、何ということをしてしまったのでしょうか……! よもや、
このようなおぞましい事態に民を巻き込んでしまうとは……!」
 アルビオン上陸を決定した己の判断を後悔し、絶望するアンリエッタ。それを必死に励ますアニエス。
「陛下、まだ希望は残っております。既に待機させていた空軍がフネを飛ばし、敵の足止めと
人命の救出のために動いているとのこと。まだ全滅と決まった訳ではありません!」
 だが、ヤプールはそれを当然の如く許さないのだ。
「グロオオオオオオオオ!」
 ミサイル超獣ベロクロン二世が胸を開き、全身の突起を逆立てる。全ての突起からは、
大量のミサイルが一斉発射された!
 ドゴォォォォ――――――――ンッ! と各地から凄絶な爆音が鳴り渡り、ミサイルの雨あられは港を発った
軍艦を一隻残らず爆破、撃墜する。それどころか飛んでいないフネまでも、アルビオン軍のものも含めて全て爆砕した。
 それを目の当たりにした者たちはそろって絶望した。ここは浮遊大陸。フネがなくては、人間は脱出不可能。
つまりアルビオン大陸は、超獣軍団の狩り場と化してしまったのである!

 それを断固として許さない者たちもいた。ウルティメイトフォースゼロである。
「何ということに……。これ以上の暴挙は許しません!」
「行くぜ! 変身だぁッ!」
 ミラーとグレンは超獣軍団が暴れ出してすぐに変身し、大軍勢にも恐れず立ち向かおうとしていたのだった。が……。
「パオ――――――――!」
 二人がミラーナイトとグレンファイヤーに変身して飛び出した瞬間、それを待ち受けていたかのように
変身超獣ブロッケンが二本の触手から怪光線を発射し、不意打ちを食らわせたのだった。
『くおおぉぉッ!?』
『ぐわあああああ――――――!』
 さしもの二人も、変身直後の無防備な瞬間を狙われてはただでは済まなかった。二人そろって
地面に激しく転倒する。すぐに体勢を立て直そうとしたのだが、
「キャオォ――――――!」
 超獣人間コオクスが指先から赤い光を発する。これは生き物の動きを止めてしまう麻痺光線だ! 
ミラーナイトたちも金縛りに遭ってしまった。
『うぐぅぅぅッ! し、しまった……!』
 身動きが取れなくなったミラーナイトとグレンファイヤーに、満月超獣ルナチクスと犀超獣ザイゴンが
容赦なく襲い掛かる!
「ゴオオオオォォォォ!」
「バ―――オバ―――オ!」
 ルナチクスは何と眼球を発射して爆弾とし、ミラーナイトを爆発で吹き飛ばす。ザイゴンは自慢の
角による突進でグレンファイヤーをはね飛ばした。
『うわぁぁぁぁぁぁ――――――――――!』
「キャアァ――――――!」
「キョキョキョパキョパキョ!」
「ギギギギギギ!」
 倒れ伏す二人を更に、虹超獣カイテイガガン、夢幻超獣ドリームギラス、騒音超獣サウンドギラーが袋叩きにする!
 何ということだ! いつもは人々を救うヒーローが、今は逆に悪にねじ伏せられている!
『ミラーナイト、グレンファイヤー、今行くぞッ!』
 そこへ天の彼方から、ジャンバードが遅ればせながら駆けつけてくる。追い詰められる
ミラーナイトたちを救出する勢いだ。
 しかし、そこに大鳩超獣ブラックピジョンと古代超獣カメレキングが差し迫る!
 ヤプールが命令する。
『ブラックピジョン! 光線を吐けぇー! 吐くんだぁー!』
「ホォ―――!」
 ブラックピジョンは口から高熱火炎を吐き出し、ジャンバードに食らわせた!
『ぬおぉッ!?』
「ギ―――!」
 バランスを崩したジャンバードを、カメレキングが腹の丸鋸で切りつける!
『ぐわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!』
 ジャンバードは機体から火花を散らし、山の中腹へと落下していってしまった。
 ジャンバードまでもが返り討ちにされてしまった! これで残るヒーローはウルトラマンゼロだけだ。だが……!

「……」
 才人は超獣たちに追われ、ひたすら逃げ惑う軍隊の姿を、冷めた目でながめるだけであった。
「どこが名誉の戦だよ」
 口について出た言葉は、たった一言だけだった。ルイズは、歯を食いしばってうつむいている。
「どいつもこいつも、自分が生き残ることしか考えてない。昨日まで、王軍の勝利万歳だの、
我らの正義は絶対に勝つだの、名誉の戦死を遂げてやる! とか息巻いてた連中がだぜ?」
 軍隊は、最早その体を成していなかった。誰も彼もが武器を捨て、なりふり構わず、己が生き残るという
生存本能のままに逃げるばかりだった。その誰もが、市民や慰問隊などの非戦闘員を助けようともしていない。
名誉など、どこにも見られなかった。
 そして才人は、その彼らに失望し切っていた。あまりに醜い、人間の姿。自分がこれまで守ってきた
人間たちとは、こんなものだったのか? 自分は何をやってきたのだ? 今の才人には、彼らを助けるために
立ち上がる気力がひとかけらもなかった。
 ああ……才人はもう二度とウルトラマンゼロとなって立ち上がることがないのか?
 そんな時だった……。
「助けてー!」
 超感覚による聴力が、聞き覚えのある声を聞き止めた。それは、スカロンの店『魅惑の妖精』亭の
女の子の悲鳴であった。
「!」
 才人はようやく顔を上げた。『魅惑の妖精』亭の子が悲鳴を出しているということは、スカロンやジェシカ、
そしてシエスタの身も危ないに違いない。彼女たちは本来戦争には関わりのない者たちであり、大変世話になった、
もしくはなっている人たちだ。
 シエスタたちだけは、助けたい。その思いが沸き上がった才人は声の聞こえた方向へ走ろうとしたが、
残念ながら焼け落ちた瓦礫が道をふさいでいて、それは出来なかった。
「……!」
 しばし考えた才人は、急にルイズに小箱を押しつけた。カプセル怪獣の箱だ。
「えッ!? サイト!?」
「少し離れる! もしもの時は、そいつらに守ってもらってくれ!」
 才人はそれだけ言い残し、街の外れへ向けて駆け出した。
 果たして才人は、何をしようとしているのだろうか?

「キョキョキョキョキョキョ!」
 『魅惑の妖精』亭の天幕には、タイム超獣ダイダラホーシがその巨体による地響きを轟かせながら
迫りつつあった。しかしシエスタたちの周りは火の手で包まれていて、とても全員そろって逃げられる状況ではなかった。
 そのためスカロンは、シエスタは女の子たちへ向けて指示する。
「みんな、怪獣はどうにかわたしが注意を引きつけて時間稼ぎをするわ。その間に逃げてちょうだい」
「そんな!? 伯父さんを犠牲にして逃げるなんて、出来ません!」
 この状況で囮になどなったら、助かる見込みなどない。シエスタは反対するが、スカロンは皆を諭す。
「わたしは店長として、伯父として、父として、あなたたちの命を守らなければいけないのよ」
 そしてそれ以上の反論を許さずに飛び出していく。
「怪獣! こっちよこっち! 捕まえられるものなら捕まえてごらんなさーい!」
「キョキョキョキョキョキョ!」
 だが……ダイダラホーシはスカロンを無視して、シエスタたちの方へ向かっていくではないか!
「ち、ちょっと!? こっちって言ってるじゃない! そんなでかい図体して、ちっぽけなわたし一人
捕まえる自信がないっていうの!? こっち向きなさいッ!」
 いくらスカロンが喚こうが、ダイダラホーシは見向きもしない。
 恐ろしいことに、ダイダラホーシはスカロンの思惑を見抜き、その上でシエスタたちから先に
殺そうとしているのだ! これほど残酷なことがあるだろうか! これぞヤプールという悪魔の
おぞましい所業である!
 そしてとうとう、シエスタたちが踏み潰される……!
「きゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
 その時である。ダイダラホーシの顔面に、マジックミサイルが炸裂した!
「キョキョキョキョキョキョ!?」
 目に爆発を食らったダイダラホーシはさすがにひるみ、よろめいた。そのお陰でシエスタたちは助かる。
しかし、ミサイルは誰が撃ったのか?
 シエスタが見上げると……ゼロ戦が炎のサウスゴータの空を飛んでいた!
「あれは『竜の羽衣』……!? サイトさん!?」

「シエスタ、みんな……早く逃げてくれ!」
 シエスタの叫んだ通り、ゼロ戦を駆るのは才人だ。アイスロンの攻撃で不時着したゼロ戦は
修理を受けたのだが、場所がシティオブサウスゴータに近かったので、軍艦ではなくそちらの倉庫に
運ばれていたのだ。そのお陰で、ゼロ戦は難を逃れていた。そして今、超獣たちを足止めするために
引っ張り出してきたのである。
 才人はガンダールヴの能力を駆使し、ゼロ戦のスピードを活かした巧みな操縦で、マッハレスを始めとした
超獣たちを翻弄する。しかし、そんなものがいつまで持つか……飛び出したはいいものの、才人の心の中は
恐れでいっぱいであった。
 しかし、ふと地上に目をやって……彼は驚くべき光景を目の当たりにした。

 才人に助けられても、周りが火の海でなかなか身動きを取れないでいたシエスタたちだが、いきなり炎が
かき分けられて道が切り開かれた。その道を作ったのは、青銅のワルキューレ……ギーシュであった!
「ミスタ・グラモン!?」
「そこな君たち、あっちへ行けばひとまずこの街から脱出できる! 早く、走るんだ!」
 ギーシュは己の危険も顧みず、シエスタたちの救出のために駆けつけたのだ。それというのも、
ゼロ戦を駆って単身超獣に立ち向かう才人の姿を目の当たりにしたからである。
 彼もまた先ほどまでは、この事態に恐怖し切って我を忘れた哀れな者の一人であった。
しかし才人の勇姿に一番に勇気をもらい、貴族としてすべき本当のことに気がついたのである。
「サイト……きみの頑張りは、ぼくが無駄にはしない。ぼくたちは……友なのだからね!」
 シエスタたちを救いながら、大空を飛び交う才人へ向けて、ギーシュはそう告げた。その眼差しには、
確かな輝きが宿っていた。
「諸君! 街の外へは我々第二竜騎士中隊が誘導する! 焦らず、しかし迅速に避難してくれ!」
 市民救出に動き出したのはギーシュだけではなかった。風竜に跨って空から逃げ惑う人々の誘導を
始めたのは、ルネ・フォンク率いる少年竜騎士隊。彼らは上陸作戦の際に才人とルイズを守り、
奇跡の生還を果たして才人らと親交を深めた一団である。
 そして彼らも、才人の戦う姿に感化されたのだ。
「平民のサイトが頑張っているんだ。貴族のぼくたちが逃げてばかりでいられるものか!」
 更にギーシュやルネたちの勇気と希望は、他の貴族や兵士にも伝播していった。
「見ろ! あの若者たちの姿を!」
「私たちを、皆を救おうとしているのか……」
「それなのに、我々は何をしているのか! 少年を働かせながら尻尾を巻いて逃げたとあっては、
末代までの恥だ!」
「ウルトラマンゼロたちは、いつも我らの命を助けるために戦ってくれた。その想いを無碍にすることは、
恥知らずもいいところだ!」
「皆の者、隊を整えよ! 力を合わせ、一人でも多くの命を救うのだ!」
 初めは超獣の恐るべき暴力の前に恐怖し切るばかりだったが、一人、また一人と人命救助のために立ち上がる。
空を飛ぶ竜騎士は超獣の気を引きつけ、地上の兵は手分けして女子供から町の外へ逃がし、負傷者を担いでいく。
才人の行動は、図らずも彼らの心に光を灯したのであった。
 そしてそれは、連合軍だけではなかった。
「あの飛行機械を中心に、連合軍は救助活動を始めているのか。この地獄のような状況で……!」
 アルビオン軍指揮官のホーキンス将軍は、連合軍が勇気を取り戻していく様子を、呆然とながめていた。
 彼は歴戦の将軍であり、実際有能な指揮官であった。しかし、全軍が丸ごと国から切り捨てられるという
異常にも程がある事態を前にしては、どうしたらいいのか全く見当がつかず、混乱する哀れな人間の一人に過ぎなかった。
 だが……今の光景を目の当たりにして、軍人としての、いや人間としてのあるべき姿を、徐々に思い出してきていた。
 そこに、彼に近づいて敬礼する少年が。雪山で才人たちが助けた騎士、ヘンリーであった。
指揮系統が滅茶苦茶になったので、最高指揮官の元に直接来たのだ。
「ホーキンス将軍! 恐れながら、単独行動の許可をお願い致します!」
「単独行動? 何をするつもりだ」
「連合軍に混ざって、救助活動を行いたい所存です!」
 ホーキンスは目を見開いた。ヘンリーは続けて話す。
「あの飛行機械を駆るのは、ぼくの命の恩人です。ぼくは貴族として……いえ、一人の人間として、
その恩に報いたいのです。将軍、どうかお願いします」
 それを聞いたホーキンスは――。
「いや、救助活動に当たるのは貴官だけではない」
「は……?」
「これより我が軍は、連合軍と協力し、怪獣に襲われている人間全てを救出する! 直ちに伝令を
飛ばして、全軍に伝えよ!」
 ホーキンスの下した命令に、周りはギョッと驚く。
「し、将軍、相手は敵ですぞ!?」
 問い返した誰かに、ホーキンスははっきりと説いた。
「この惨状を見よ。これが戦と呼べるか? それに皇帝陛下は我々を捨てた。最早敵も味方もないのだ。
その時に軍人がすべきことは……一人でも多くの命を救うことだ」
 更に唖然としている部下たちに、毅然とした態度で呼びかける。
「逃げたい者は構わず逃げるとよい。責めることはせん。しかし、真に誇りある軍人であらんと
する者は、この私に続けッ!」
「――イエス・サー!」
 ほぼ全ての兵士が敬礼を見せ、迅速な行動を開始した。最早混乱はなくなり、秩序が取り戻されていた。
 そしてホーキンスは、ヘンリーに告げた。
「礼を言うぞ、若いの。お陰で大切なものを思い出すことが出来た」
「……き、恐縮ですッ!」
 指揮官から直々に礼を言われたヘンリーは、緊張でガチガチの敬礼を返した。

「怪獣め! これ以上好きにはさせないぞ!」
「こっちだ! 足元が崩れているから気をつけて進め!」
「しっかりしろ! もう大丈夫だからな!」
 才人の視界の下では、救助活動の輪がもう大分広がり、大勢の兵士たちが老若男女、立場関係なく
命を無慈悲な強奪者から救いつつあった。そしてそれを目の当たりにした才人の心にも……明かりが灯ってきていた。
「みんなが……手に手を取って、助け合っている……!」
 才人からは、戦争に来てからの陰鬱とした気持ちが吹き飛んでいた。
 そうだ。今まで何をうじうじと悩んでいたのだ。人間は誰しも、一つの顔だけで生きている訳ではない。
醜い攻撃的な一面もあるが、その心から輝きが失われている訳ではない。嫌なものを、受け入れがたいものを
見たからと、それだけで人間を見限るなど浅はかなことだ。
 ルイズも、シエスタも、ギーシュも、アンリエッタも、他の大勢の人たちだって……自分の大切な人たち。
初めから、全く変わりのないことだ。自分が忘れていただけのことだ。助けなければ……大切な人たちを守らなければ!
 才人の左手のルーンが強く輝き、ゼロ戦の飛行が一層軽やかになった。

 恐怖をはねのけ、希望を見出し始めた人間たち。しかしそれを歓迎しない者がいた。
 当然、ヤプールだ。
『おのれ! 人間どもが恐怖しなくなった! 忌々しい!』
 ヤプールは異次元から、その発端となった才人を見下ろす。
『あのウルトラマンゼロの変身者が原因か! 人間のまま我らの邪魔をしようというのか? 我々への侮辱かッ!』
 激しく逆恨みするヤプールは、配下の軍勢に指令を下す。
『超獣ども! あのガキを殺してしまえッ!』

「キャ――――――オォウ!」
「キュウウウウッ!」
「グゴオオオオオオオオ!」
 超獣たちが命令通り、才人に狙いをつけ始めた。大蛍超獣ホタルンガ、河童超獣キングカッパー、
古代超獣スフィンクスが溶解液、ロケット弾、火炎放射をゼロ戦に浴びせようとする。
ゼロ戦は波打つように飛行し、集中攻撃からどうにか逃れる。
「くッ、俺を狙ってるのか……!」
 必死に攻撃を避けるゼロ戦だが……その主翼にフックが引っ掛かって、動きを止められた!
「うわッ!?」
「キィィ――――――!」
 殺し屋超獣バラバの飛ばしたフックロープだ。その周りには吹雪超獣フブギララ、鬼超獣オニデビル、
水瓶超獣アクエリウスが集まってゼロ戦を叩き落とそうとしている。
「くそッ、負けるもんか……!」
 どうにかフックを振り払おうとあがく才人なのだが……最強超獣ジャンボキングが両眼から
光線を放つ構えを取っている!
「ギギャアァァァ――――――!」
 回避は間に合わない! ゼロ戦はすぐにも木端微塵となるだろう!
 しかし……! 才人はそれでも諦めないのだ!
「負けるもんかぁぁぁ―――――――!」
 最後の瞬間まで抗う覚悟を見せる才人の左腕のブレスレットから……ウルトラゼロアイが飛び出した! 
今まで見たことがないくらいに、強く輝いている!
 才人はすぐに、ゼロアイを装着した!
「デュワッ!」

 ジャンボキングが撃った光線が、ゼロ戦を跡形もなく吹っ飛ばした!
「サイト!」「サイト!?」「サイトぉー!!」
 ルイズが、ギーシュが、ルネが、ヘンリーが、アンリエッタが……息を呑んだ!
 しかし、その時……ゼロ戦の爆破跡から、青と赤の光が飛び立っていた。その光は空を飛び交いながら、
戦士の勇姿となっていく。
 ウルトラマンゼロだ!
「ゼロだ! ゼロが来てくれたぞぉー!!」
 途端に地上では、大歓声が悲鳴を塗り替えた。絶望の暗黒地獄に、まばゆい希望が遂に駆けつけたのだ!
「ジュワッ!」
 ゼロは彼らの声に応えるように、空からエメリウムスラッシュを発射して超獣軍団に先制攻撃を仕掛けた!
「ギャア――――――――!」
 エメリウムスラッシュは地底超獣ギタギタンガに命中。たったの一撃で爆散した!
「ホォ―――!」
「ギ―――!」
 ブラックピジョンとカメレキングがゼロに迫るが、ゼロは急降下で敵の真ん中に突撃しながら、
熱く燃え上がるウルトラゼロキックの姿勢を取った。
「デェェェヤァァァァァァァァァァァッ!!」
「カアァァァァァァ!」
 キックは黒雲超獣レッドジャックを穿ち、爆発四散させる!
『ルナミラクルゼロ!』
 着地したゼロは瞬時にルナミラクルゼロに変身、超能力でゼロスラッガーを増やし、ミラーナイトと
グレンファイヤーを追い詰めているブロッケンらに向けて飛ばす!
『ミラクルゼロスラッガー!』
「パオ――――――――!」
「キャオォ――――――!」
「キャアァ――――――!」
 六枚のスラッガーがブロッケン、コオクス、カイテイガガンを滅多切りにして消滅させた!
「キャア――――オウ!」
 獅子奮迅の活躍を見せるゼロに、背後からガス超獣ガスゲゴンが腕のムチを振り回しながら迫っていた。
更に上空からはブラックピジョンとカメレキングが。逃げ場はない!
『ストロングコロナゼロ!』
 しかしゼロは高くバク宙しながらストロングコロナゼロに変身し、ガスゲゴンの背後を取り返すと
羽交い絞めに。そのまま天高く投げ飛ばす!
『ウルトラハリケェーンッ!!』
「キャア――――オウ!」
「ホォ―――!」
「ギ―――!」
 大竜巻はガスゲゴンのみならずブラックピジョン、カメレキングも巻き込んで、三体を成層圏の
更に上まで飛ばしていく。そこへ向けて、ゼロの破壊光線がうなる!
『ガルネイトォ、バスタァァァ―――――!!』
 追撃の灼熱光線がガスゲゴンに突き刺さり、宇宙空間で大爆発。ブラックピジョン、カメレキング
もろとも宇宙の塵となった。
 今のゼロは、雪山の時とは正反対であった。才人のたぎる闘志と勇気を受けて、これまでとは
比較にならないほどの超パワーで溢れているのだ!
『ヤプールッ! この星をテメェらの好き勝手にしようなんて、二万年早いんだよッ!!』
 ビシィッ! と啖呵を切るゼロ! その迫力に、無情な殺戮マシーンであるはずの超獣軍団も
たじろいでいるように見えた!
 しかしボスのヤプールはさすがなもの、今のゼロにもひるみを見せない!
『とうとう現れたなぁ、ウルトラマンゼロッ! 貴様の相手は強化改造を施し、より強力となった
バキシマムだぁーッ!』
「ギギャアアアアアアアア!!」
 空間を割り、新たな超獣がゼロの正面に出現。それは以前の戦いで逃亡したバキシムが、
より赤く、より強く、より鋭く、そしてより禍々しくなった一角紅蓮超獣バキシマムである!
「ギギャアァァァ――――――!」
『ウルトラマンゼロめぇ、調子に乗るなよ! この大軍団の中心に、お前の墓を立ててくれるわぁッ!』
 バキシマムの反対側からは、ジャンボキングとマザロン人が回り込んだ。ゼロは挟み撃ちの状態になる。
それに怒濤の攻撃で八体もの超獣を一気に破ったとはいえ、敵はまだまだ大勢。ゼロは劣勢なのだ。
 しかし、今のゼロの勢いはそれすら吹き飛ばしそうだ!
『誰が来ようと俺は、俺たちは負けねぇぜ! 本当の戦いはここからだぁぁぁッ!!』
 勇者ゼロが、仲間たちとともに、アルビオン大陸を覆う絶望を打ち壊すために立ち向かう!


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