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第六十二話「悪鬼ヤプール」


ウルトラマンゼロの使い魔
第六十二話「悪鬼ヤプール」
異次元人ヤプール人 登場



 ヤプール人は恐ろしい奴だ。残忍な奴だ。ハルケギニアを征服するためには手段を選ばない。
何だってやるのだ! それがまさに、ヤプール人なのだ。
 ハルケギニアに数々の侵略宇宙人を引き入れた後、ヤプール人は『レコン・キスタ』の
クロムウェルを抹消。己の手駒とすり替えて、アルビオン大陸を裏から支配することに成功した。
そしてトリステインに戦いを仕掛け、その結果トリステインとゲルマニアの連合軍がアルビオンに
攻めてくることとなった。しかし、侵攻の際にはあの手この手を駆使してトリステインを
苦しめたにも関わらず、防衛に回ったら一転、いやに消極的な態度を見せた。連合軍に大きな
打撃を与えようともせず、遂にはロンディニウムの手前のサウスゴータを明け渡した。わざわざ敵に
勝利の美酒を振る舞って、ヤプール人は何をたくらんでいるのか? 何をするつもりなのか?
『誰にも分からない……分かるはずがないんだよ! ハルケギニアの馬鹿どもめッ! 
フハハハハハハハハ!!』

 トリステイン・ゲルマニア連合軍が放棄されたシティオブサウスゴータを占領した直後、
タイミングを図ったかのようにアルビオン側から一時的な休戦の申し出があった。ヘンリーの
予想した通り、見捨てられた市民に兵糧を分け与えた連合軍はどの道動けず、これを受諾。
戦線は硬直状態のまま、始祖の降臨祭が行われようとしていた。
 始祖ブリミルの降臨祭。それは地球で言うところの、クリスマスと元旦が一緒になったような
祝日である。この日を境に年が変わり、十日近くのめや歌えのお祭りが連日開催される。
戦闘行為も、その期間は一切行われないのが通例だ。
 アルビオン大陸に上陸した連合軍も、その祭りをサウスゴータで迎えようとしていた。

「……そういう訳で、サイトを元気づける方法の知恵を出してほしいのよ」
 今年の終わり、始祖の降臨祭の前夜のサウスゴータの宿の一室で、ルイズがデルフリンガーと
姿見の中のミラーナイト相手に相談を持ちかけていた。
 雪山での二大超獣との戦闘後、ゼロの足を引っ張った才人は未だに塞ぎ込みがちであった。
初めは見放していたルイズも、だんだんと心配するようになって、こうして二人に相談をしているのである。
「何でえ。娘っ子、何だかんだで相棒のことがすげえ気がかりなんじゃねえか。初めっから
素直になっときゃ、こんなお祭りの目前まで険悪のまま過ごさなくてよかったってのによ」
 デルフリンガーが呆れたように言うと、ルイズは真っ赤になって否定した。
「ち、違うわよ! あんな分からず屋のことなんて、本当はどうだっていいのよ! でも、いざ決戦って時に
ゼロが本領を出せなかったら大変じゃない! だから仕方なく、ご主人さまが励ましてあげるってだけ! 
そ、それだけなんだからね! 誤解しないでよ!?」
「へいへい」
 デルフリンガーもミラーナイトも呆れ返って流した。ルイズはあまりにも分かりやすすぎるが、
天性の意地っ張りなので付き合っていたら夜が明けてしまう。
「コホン……話を戻すけれど、私はやっぱり、貴族の価値観というものをサイトに受け入れさせるのが
一番だと思うのよね。デルフ、あんたはサイトを説得できないの? 相棒でしょ?」
 まずデルフリンガーに言いつけるルイズだが、彼はあっさりと答えた。
「そりゃ無理だね。俺っちは坊さんじゃねえんだ。説教を説くなんて無理な話よ。第一、時間も
なさすぎるさね」
「そう……じゃあ、ミラーナイトはどうかしら? お願い出来ない?」
 今度はミラーナイトに頼む。理知的な彼ならば何か良い意見をもらえるかも、と思って
この場に呼んだのだ。
 しかし、彼もまた首を横に振った。
『私でも、それは難しいですね。全く異なる価値観を理解させるというのは大変困難なこと。
ましてや言葉だけでは如何ともしがたいものです』
「そうなの……残念ね」
『そもそも、その貴族の価値観というものが本当に根づいているものなのか……』
 ミラーナイトのぼやきに振り返るルイズ。
「何? あなたまでそんなことを言うの?」
『いえ……この話をここで論じても仕方ないことです。それより今はサイトのこと。そちらに注視しましょう』
 とミラーナイトが言うので、本題に戻る。すると、デルフリンガーがこんな提案を出した。
「いっそのこと、別方向から相棒を攻略してみるってのはどうだ?」
「べ、別方向?」
「相棒はお前さんを好いてる。お前さんの実家で告白されたの、忘れた訳じゃあるめえ」
 その時のことを思い出し、ルイズは耳まで真っ赤になった。
「それなのにお前さん、相棒の気持ちになーんも応えてねえじゃねえか。好きな相手から袖にされ続けて、
それなのに嫌なことに駆り出されてこき使われて。それじゃ嫌になっちまうのもしょうがねえな」
「だ、だってそれは、あれからずっと忙しかったからだし……何よりシエスタとか、他の子に
デレデレするじゃない!」
 ルイズの言い分に、はあ、とため息を吐くデルフリンガー。
「相棒がギーシュとかって坊主みてえに自分から誰かとベタベタしたってのなら話は別だが、そんなんねえよ。
俺が保証する。それなのにお前さんは、ちょっと他の女が近づいただけであーだこーだ、わがままが過ぎるよ」
「う……」
「いい女ってのは、もっと心が広いもんだぜ? そこで、だ。そろそろ相棒の気持ちに応えて
やったらどうだ。相棒も好きな女に頷いてもらえたら、頑張れるだろうよ」
 と勧められるのだが、ルイズはもじもじしてはっきりとしない。
「そ、そんなこと言えないわよ……」
「嫌いなの?」
「そ、そうじゃないけど……」
「じゃあ好きなんじゃねえか」
「そ、そうじゃないの! とにかくそんなこと言えないわ!」
 意固地なルイズは、ミラーナイトにも意見を求める。
「ミラーナイトはどう思う……?」
『あなたの気持ちの是非はともかく、サイトの心の糧を作るのはいいことだと思いますよ』
 ミラーナイトもデルフリンガーの味方なので、孤立無援のルイズは散々悩んだ挙句、こう聞いた。
「……も、もっと別の言い方ないの?」
 と言うので、デルフリンガーは代案を出した。
「そばにいて」
「なにそれ?」
「いい言葉じゃねえか。微妙に気持ちを伝え、それでいてどうとでも取れる。これならお前さんも
言いやすいだろ?」
 ルイズはふむ、と考え込んだあと、頷いた。
「……言われてみればもっともかもしれないわね。あんた、剣のくせに妙に人間の機敏に通じてるわね」
「何年生きてると思ってんだよ。さて、あとはあれだ、言い方と状況だな……」

 しばらく後、ルイズはデルフリンガーの指導により、宿屋の召使に買ってこさせた品々を前に並べていた。
「ちょっとぉ! ふざけないでよ!」
 が、ルイズはデルフリンガーを怒鳴りつけていた。
「なんで黒ネコの格好しなきゃいけないのよ! しかもこんないやらしい! わたし貴族よ貴族! 
わかってんの?」
 ルイズの前にあるのは、黒ネコの仮装。しかも際どい。
 そのことについて、デルフリンガーはこう弁解する。
「その高飛車がなあ、いけねえんだ。甘えた感じで、下手に出るのが一番効果的ってもんよ」
「そんでわたしが使い魔のフリするっていうの?」
「そうだよ。いい作戦じゃねえか。祭りの席で『サイト、今まで意地悪言ってごめんね。
今日は一日わたしが使い魔になってあげる』それから『そばにおいてください』なんて言ってみ? 
たぶん相棒は単純だから、舞い上がってお前さんにメロメロになっちまうだろうなあ」
 と囁かれて、単純なルイズはすっかり舞い上がってしまった。
 そしてデルフリンガーに焚きつけられるまま、ポーズと台詞の練習をする。
「き、今日はわたしが使い魔になってあげるッ!」
「うーん、もちっとネコっぽく言ってみた方が愛嬌があるな。後、思い切ってご主人さまって
言ってみたらどうだ?」
『あ、あの……』
 そこにミラーナイトが何かを言おうとするのだが、熱中しているルイズたちには聞こえていなかった。
「そ、そこまで言わないとダメなの!?」
「せっかくのお祭りなんだからよ、一日だけバカになってみ。女にはな、そういう愛嬌が大事だよ。うん」
『ルイズ、そこまでサイトと……』
 才人の名前を出して、やっとルイズの耳に入った。
「サイトが戻ってきてるの!? よ、よぉーし……思い切ってやってやるわよッ!」
『そ、そうではなく、サイトとシエ……』
 だが才人以外の言葉は耳に入っていなかった。ドアががちゃりと開くと同時に、ルイズは
思い切って言い放った。
「きょきょきょ、きょ、今日はあなたがご主人さまにゃんッ!」
 そして……返ってきたのは、
「な、なにやってんだ? お前……」
 才人の驚き顔と……シエスタとスカロン、ジェシカの面々。唖然としている。ジェシカなんか
笑いをこらえている。
「……え? な、何でシエスタたちがここに……」
「慰問隊とか何とかってので、ここに来たそうで……ついでにルイズに挨拶しに……」
 才人が説明した。
 恥ずかしい姿を思い切り他人に見られたルイズは、絶叫した。
「いやぁああああああああああああああああああああああああああああああッ!」

 街の一等地に位置した、シティオブサウスゴータの最高級の宿屋のいわゆるスイートルームで、
アンリエッタが窓の外を眺めた。
「今、遠くから悲鳴が聞こえたような……。まさか、敵の攻撃でしょうか? すぐに銃士隊を向かわせましょう」
 神経質そうにつぶやくと、同じ部屋にいるグレンが肩をすくめた。
「いや、今のは敵とは関係ねぇよ」
「そうでしたか? それならいいのですが……」
 視線をグレンの方に戻したアンリエッタが、今話していた内容に意識を戻す。
「それで、わたくしたちを何度も苛ませた侵略者たちの元締め……ヤプール人というものたちは、
それほどに恐ろしい敵ということでしたね」
「ああ、そうだ。奴らはこれまでの連中とは訳が違うんだ。あんまり恐怖したら逆効果だから今までは
話してなかったけど、決戦の手前、どういう連中かアンリエッタ姫さんは知っておくべきってことになってな」
 ヤプール人は表舞台に出てきたのが一度きりなので、ハルケギニア人にはその存在が知られていない。
しかし今、遂にグレンがその存在をアンリエッタに明かしたのだった。
「ヤプール人はとにかく卑怯な連中だ。手段という手段を選ばねぇ。生誕祭の人間が一番油断する期間を
狙わないはずがないぜ。たとえば、飲み水に毒を投げ込むくらいのことは平気でやる。だから祭りの最中でも、
絶対に警戒を緩めないでほしいってお願いしに来たんだ」
 グレンたちが最も危惧していることは、ヤプールもしくはその手の者が連合軍の間に入り込み、
内部から崩壊させられることであった。ヤプール人は超獣を使った大規模な攻撃以外にも、
そういう卑劣な破壊工作を得意とするのだ。
 しかし、アンリエッタに恐れの色はなかった。
「ご忠告感謝いたします。しかし、ご心配には及びませんわ。わたくしもその危険性を考慮し、
厳重に対策しております」
 と語って、内容を説明する。
「停戦の期間中は、わたくしの信頼する銃士隊を中核とした警備網をこのシティオブサウスゴータ全土に
隙間なく張り巡らせ、怪しい動きを見せる者は逐一捕縛して正体を確かめるよう徹底して指示しています。
ネズミ一匹の謀とて見逃しません。また、いつ何時に怪獣の攻撃があっても対抗できるように、魔法衛士隊他の
対怪獣部隊を常時待機させています。わたくしたちの出来得る最善の対策を取っておりますわ」
 一分の隙もない防備態勢。何度も怪獣、宇宙人の脅威を目の当たりにしたアンリエッタは
既にそれを敷いていた。さしものヤプール人も、突破は容易ではないレベルだ。
 その力の入れようには、絶対に侵略者に勝利して平和を取り戻すのだという決意が表れていた。
「そっか、ならいいんだ。安心したぜ」
 グレンはそう言ったが、それでも相手が相手なだけに、安堵とまではいかなかった。人間がどれほど頑張ろうと、
敵は力に物を言わせて強引に押し潰そうとしてくるだろう。そしてヤプール人はそれが可能な相手なのだ。
 しかし、そんな時にこそ自分たちがいる。人間の努力を無為にしてはならない。ヤプールめ、来るなら来い! 
俺たちウルティメイトフォースゼロは絶対に負けねぇぜ! グレンは胸の内に、そんな熱い思いを抱いていた。

 あのあと、ルイズがものすごい勢いでへこんで閉じこもってしまったので、才人とシエスタは
彼女が落ち着くまでわざわざ別の部屋を借りて、そこで時間を過ごしていた。そしてゼロ、
ジャンボット、ミラーも交えて話をする。
『なるほど、ルイズのあの珍妙な振る舞いは、そういう理由だったのか』
 ミラーから説明を受けたジャンボットがつぶやくと、ミラーが取り成す。
「珍妙とか言わないであげて下さい。ルイズも、サイトのためを思って必死だったんですよ。
サイト、ルイズのその想いだけは分かってあげて下さい」
 ミラーに続いて、ゼロも才人を説得する。
『才人、お前もあれこれ複雑な気持ちだと思うけどさ、何もルイズも悪気があって厳しいこと
言うんじゃないんだぜ。この戦が終われば、いつものルイズさ。だからそう思い悩むなって』
「うん……」
 それは分かっているけど……と才人が思った時、シエスタが口を開いた。
「わたしは……ミス・ヴァリエールや貴族の言い分の方が、納得できません」
「シエスタ?」
 シエスタは才人の目をじっと見つめながら語った。
「サイトさんの言う通りです。どんなに言葉を飾っても、結局貴族は自分たちの欲のために
人を殺すんです。そんな殺し合いに、サイトさんを巻き込むなんて……。本来サイトさんは、
この世界に何の関係もない人なのに……ひどすぎますッ! サイトさんが、死んでしまうかもしれないのに!」
 あまりにシエスタに熱が入っているので、才人はむしろ戸惑ってしまった。おどおどとした様子で
彼女をなだめる。
「し、シエスタ、気持ちは嬉しいけどさ……俺にはゼロがついてくれてるんだし、滅多なことには
ならないよ。ヤプールだって、ウルティメイトのみんながいればきっと勝てるから」
 シエスタは少々落ち着いたが、小刻みに震えていた。
「すみません……。でもわたし、心配なんです。すぐ下の弟も参戦してるから、他人事じゃないですし……
何より、嫌な予感がするんです」
「嫌な予感?」
「はい……。サイトさんに、なにかよくないことが起こるんじゃないかって。そんな嫌な思いが
してならないんです……。今連合軍が勝ってるのも、何か悪いことが起こる前触れとも思えて……」
 それは、ゼロたちも考えていることだ。むしろ、確信を持っていると言ってもいい。ヤプールは絶対に
何か謀略の用意をしている。今の快進撃は、その嵐の前兆でしかないと。
 しかし彼らは、シエスタのためにこう呼びかける。
『シエスタ、安心するのだ。サイトの言った通り、我々がいる。こんな勇敢な少年を、ヤプールの餌食に
させたりはしない。我々が何としてでも助け、守り抜く! 鋼鉄武人の名に懸けて誓おう』
「その通りです。私たちが命の盾となります。そのためのウルティメイトフォースゼロです」
『俺たちは何があろうと、絶対に負けねぇ! シエスタ、俺たちを信じてくれ!』
「皆さん……」
 ジャンボット、ミラー、ゼロに続いて、才人もシエスタを軽く抱きしめて、彼女に囁きかけた。
「シエスタ、ありがとう。君を守るためだけでも、俺は存分に戦える気がしてきた」
「サイトさん……」
「どんな敵が相手でも、俺は必ず帰ってくるよ。そして学院に帰ろう。絶対に」
「……はい……!」
 いつしか、窓の外には雪がはらはらと降り始めていた。銀の降臨祭といったところか。
 幻想的な背景の中、サイトとシエスタは約束を交わした。

 様々な人たちの、様々な想いが行き交う中、新年の始まり、始祖の降臨祭は幕を開けようとしていた。
 しかし……異次元の悪鬼ヤプールは、そんな人々の想いを嘲笑うかのように、彼らの想像を絶する
おぞましき奸計を張り巡らしているのだった!

 夜空に満開の花火が打ちあがる。シティオブサウスゴータに並ぶ人々は、連合軍、町民関係なしに
一様に歓声をあげた。
 遂に一年の始まりを告げるヤラの月、第一週の初日である、降臨祭の初日が始まったのである。
 しかしそれとほぼ同時に、連合軍首脳部には凶報が飛び込んできた。ロンディニウムにいるはずの
アルビオン軍主力が、突如としてサウスゴータのすぐ側に出現したと。
 ヤプールの手引きである。異次元人の力をもってすれば、その程度の奇襲は容易いことなのだ。
 だがしかし、通常なら恐るべきことであるこの事態も、アンリエッタたちにはさほど驚くべき
ことではなかった。何故なら、相手は神出鬼没の侵略者。十分予想できたことであり、実際そのための
厳重な防備態勢である。迎撃態勢はすぐに完了した。
 これ以上何も起こらなければ、問題なく迎撃できる計算であった。そのため、連合軍には余裕すらあった。
「侵略者の犬どもめ、その程度で聡明なる女王陛下を出し抜いたつもりか。貴様らを一人残らず
返り討ちにして、我々の大々的な勝利で降臨祭の最初の夜明けを飾ってやろうではないか」
 連合軍総司令官のド・ポワチエは冷笑を浮かべながら、黒檀にトリステイン王家の紋章を金色で
彫り込んだ元帥杖を振るった。彼はつい先程、元帥昇進が決定したばかりなのであった。最後の決戦を、
元帥杖で指揮させてやろうという財務卿の計らいであった。
 そして今にも両軍の激突が始まろうとしたその時、それは起こったのだ!

 シティオブサウスゴータの夜空の一画が、バリィィンッ! とガラスのように割れた。
そして真っ赤な空間の中から、大怪獣が空の縁をまたいで出てくるところを大勢の人間が目撃した。
「キィ―――キキキッ!」
 緑の怪しく輝く眼球を持った虫型の超獣、アリブンタだ。ヤプールの刺客である。さすがに方々から
悲鳴の叫びが起こる。
「超獣が現れやがったか!」
「ええ。私たちの出番ですね!」
 そこに駆けつけたのがグレン、ミラー、そしてシエスタと才人だ。ウルティメイトフォースゼロは、
これより超獣撃退のために出撃する。
 それと同時に、ヤプールとの決着をつけるつもりであった。その手段は、ヤプールの潜む異次元に
直接乗り込むこと。通る道は、超獣を送り込むためにヤプール自身がつなげるあの空の穴だ! 危険はあるが、
強引にでも入り込んでヤプール自体を叩く。虎穴に入らずんば虎児を得ず。その覚悟で挑まなければ倒せない相手である。
『超獣を撃破したら、俺たちの力を合わせて空の穴を固定する。そして一挙に乗り込むぞ!』
「はい!」『了解した!』「おうッ!」
 ゼロの呼びかけに三人が応答し、一斉に出撃しようとする。
 しかしそれを制するかのように、別の方角で空がバリィィンッ! とまた音を立てて割れた。
「ギ―――!」
 今度は腹に丸鋸を、背に翼を生やした直立するトカゲのような超獣、カメレキングである。
「二体目ですか!」
 ミラーが叫んだが、そうではなかった。更にバリィィンッ! と別方角の空が割れ、また別の超獣が出現する。
「カァァァァァコッ!」
 緑色の鱗で全身を覆った魚に似た超獣、ガランである。
 更に別方向からバリィィン! と音が響いた。
「パオ――――――――!」
 ワニの顔面を持った特に巨体の超獣、ブロッケンだ。
「四体出てきたか……! けど俺たちは負けねぇぜ!」
 一気に現れた四体の超獣。だが予想できなかった訳ではない。元より一体二体だけが出てくるとは
思っていない。複数の超獣を相手にする気概は既に出来上がっている。
 だが――。
 バリィィンッ! バリィィンッ! バリィィンッ!
『えッ!?』
 バリィィンッ! バリィィンッ! バリィィンッ!
「なぁッ……!?」『ま、まさか……!』
 バリィィンッ! バリィィンッ! バリィィンッ!
「お、おいおい……! これって……!」
 空の割れる音が止まらない。
 ゼロが、ミラーが、ジャンボットが、グレンが、大勢の人間が……その光景に絶句した。
 たちまちの内に、シティオブサウスゴータを超獣が取り囲んだのだ!
「ガガガガガガ!」「バ―――オバ―――オ!」「ガアオオオオオオ!」「ギュウウゥゥゥゥゥ!」
「キィィ――――――!」「ギョロオオオオオオ!」「キャ――――――オォウ!」「ホォ―――!」
「キュウウウウッ!」「キョーキョキョキョキョキョ!」「グオオオオッ!」「グゴオオオオオオオオ!」
「ゴオオオオォォォォ!」「ギャア――――――――!」「カアァァァァァァ!」「キャオォ――――――!」
「ブウルゥッ!」「キャアァ――――――!」「キョキョキョパキョパキョ!」「ギギギギギギ!」
「ギギャ――――――アアア!」「キュルウ―――!」「グオオオォォォ!」「ゲエエゴオオオ!」
「キャア――――オウ!」「キョキョキョキョキョキョ!」「グロオオオオオオオオ!」「キャアアアアア!」
「アオ――――――!」「キュルウウウウ!」
 ガマス、ザイゴン、ユニタング、サボテンダー、バラバ、キングクラブ、ホタルンガ、
ブラックピジョン、キングカッパー、ゼミストラー、ブラックサタン、スフィンクス、
ルナチクス、ギタギタンガ、レッドジャック、コオクス、バッドバアロン、カイテイガガン、
ドリームギラス、サウンドギラー、マッハレス、カイマンダ、フブギララ、オニデビル、
ガスゲゴン、ダイダラホーシ、ベロクロン二世、アクエリウス、シグナリオン、ギーゴン……!
「ギギャアァァァ――――――!」
 そしてジャンボキング! 総勢三十五体もの超獣にシティオブサウスゴータを囲まれる状態と
なってしまった!

 ウルティメイトフォースゼロは……一つの思い違いをしてしまっていた……。それは、ヤプールの
軍勢の規模である。
 今日までに多くの侵略宇宙人を撃破したことで、無意識の内に敵を追い詰めているという考えを
持ってしまっていた。また、魔法学院襲撃の際、刺客として差し向けられた超獣が四体だったので、
控えの超獣もそう多い数ではないと思い込んでしまった。あの場面で出し惜しみするはずがない、と……。
 だが事実は全くの逆だった! ヤプールは軍団の規模を隠すために、あえて少ない数を出してきたのだ! 
宇宙人やベロクロンらは犠牲を前提として送り出されたのだった!

 そしてアルビオン軍出現を知る者たちは、恐ろしい考えに行き当たっていた!
 これだけの数の超獣がいるのだったら、アルビオン軍は必要ない。むしろ戦いの邪魔となる存在のはず……。
それをわざわざ送り込んできたということは……。
 ああ、何ということだ! 彼らは戦いのためではなく……超獣の贄にされるためにここへ来たのだ!

『フハハハハハハハハハハ! 人間どもめぇ、絶望したかぁ!!』
 ヤプールは、異次元の虚空の中でけたたましい哄笑を上げていた……。
『これから始まるのは戦ではない……。貴様らの処刑なのだぁッ! 貴様らは殺されるために、
浮遊大陸まで来たのだよぉッ! ハハハハハハハハハハハハハァ―――――――――――!!』

 これから、ハルケギニア史上最悪の降臨祭が始まる……!


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