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第六十一話「疑心の雪山(後編)」


ウルトラマンゼロの使い魔
第六十一話「疑心の雪山(後編)」
氷超獣アイスロン
雪超獣スノーギラン
カプセル怪獣アギラ 登場



 アンリエッタの命により、シティオブサウスゴータに駐屯する敵兵を『虚無』で打破するために
ゼロ戦で飛んだルイズと才人。しかし猛吹雪の中から姿を現したのは、ヤプール人からの刺客、
超獣アイスロンであった。攻撃を受け、雪山の中に不時着する二人。下山の最中、自分たちを迎撃に出て
アイスロンの攻撃に巻き込まれた竜騎士を発見。彼も連れていくこととなった。
 アイスロンは未だ自分たちを探している。三人の逃走は成功するのだろうか?

「……では、あれは飛竜ではなく、新しい魔法兵器なのか?」
 雪山からの下山の途中、アルビオン空軍のヘンリー・スタッフォードと名乗った竜騎士は、
才人に背負われながらゼロ戦について尋ねた。それに曖昧な返答をする才人。
「まぁな……。軍事機密だから、これ以上は話せないけど」
「そうか……。ウィンザーより飛行速度が速かったのは、そのためか……」
「……ごめんなさい」
 ヘンリーの火竜の件について、ルイズが謝罪した。が、ヘンリーは呆れたように鼻を鳴らす。
「謝ってどうする。殺さなきゃ殺される、それだけだろう」
 そのひと言に、才人が顔をしかめた。
「俺は、たとえ戦争でも、人殺しに慣れたくない……」
「何だと?」
「恩師の先生が、そう願ったんだ。それに俺だって……祖国のためだろうと、何だろうと、
死ぬのはごめんだ。人殺しも嫌だ」
 その才人の言葉に、ヘンリーは思わず笑った。
「おかしな奴だな。妙な新兵器に乗って、敵地の真ん中まで来たくせに……。貴様は何のために戦う?」
「そんなこと……わかんねぇ」
 才人は今日までゼロとともに過酷な戦いをくぐり抜けてきたが……その動機を、自分自身で
よく把握していなかった。戦いの時は、知らず知らずの内に身体が動くのだ。
 戦う理由を、あえて言葉にするのなら……。
「ただ、好きな人、大事な人たちを守るため……それなら戦える」
 それだけであった。誰かの命が危険に見舞われる……その時に守りたいという強い想いが生じて、
才人の力の源となるのだ。
 ヘンリーはこう聞き返す。
「好きな人……ルイズか?」
 不意打ち気味なひと言に、ルイズも才人も一瞬動揺した。
「あッ、いや……! ルイズだけじゃなくて、学院のみんなとか……トリステインの姫さまだって、
危険な目に遭ったら、守ってあげたいっていうか……。でも、政治の都合で誰かを殺せって
命令されても、俺は断る」
「……」
 才人の語った思いを聞いて、ヘンリーは複雑そうに顔をしかめた。兵隊であるヘンリーは、
ある種才人の対極なのだ。
 それを察したルイズが告げる。
「気にしないで、ヘンリー。こいつは貴族じゃないから、名誉とか誇りとか、分からないのよ」
「ああ、分からねぇよ。分かりたくもない! そんなもんのために死んだり、誰かを殺したりしたって
しょうがねぇだろ!」
 語気を荒げて反発する才人。彼は、その貴族の価値観というものがどうしても受け入れられないのだ。
「しょうがないとは何よ! 名誉は貴族にとって、一番大事なものなのよ! ねぇ、ヘンリー!」
「あぁ……」
 ルイズはヘンリーに同意を求めたが、彼は妙に力のない返事をした。そしてつぶやく。
「しかし、好きな人のためなら戦える、か……。僕も、そんな風に言ってみたいものだな……」
「え……?」
「ただ、愛のためだけに生きられたら……と。ところが貴族って奴は、名誉のためなら好きな人との
別れも辞さないものなんだ……」
 それを聞いて、ルイズが尋ね返す。
「さっきの絵の人……?」
 ヘンリーが才人と揉め合った際に、彼が落としたロケットをルイズが拾って返したのだが、
その時に中の絵が見えたのだった。ヘンリーと同い年くらいの美少女の絵が収められていた。
「あの人と、お別れしちゃったの……?」
「……そうさ。僕は許嫁との婚約を解消してから軍に志願した」
 ヘンリーの告白に驚く才人。
「どうして……?」
 その理由を、ヘンリーは次のように語った。
「今回は生き延びたが、この戦争が続くならいずれは死ぬ。生きて帰れないなら、別れるしかないじゃないか」
「そんな……」
 ルイズは何と言っていいか分からずに目を伏せるが、才人はまっすぐに言い放った。
「お前、最低の男だな」
「何ぃ!?」
 憤るヘンリー。しかし、才人はひるまず続ける。
「男として最低だって言ったんだ!」
「き、貴族を愚弄するのか!?」
「貴族が何だ! 名誉のために死ぬなんて、ただのアホじゃねぇか!」
「貴様ぁぁぁッ!」
 怒りが頂点に達したヘンリーは才人を押し倒し、また取っ組み合いの喧嘩となった。
「侮辱は許さんッ!」
 才人の頬をしたたかに殴るヘンリー。すると才人もやり返す。
「テメェ、そんなに死にたいのかよッ!」
 ヘンリーに馬乗りになって拳を振り上げる。衝撃に備えて目をつむるヘンリー。
 だが、才人の拳はヘンリーの顔の横を叩いた。
「ヘンリー……お前だって、貴族である前に人間だろ! 男だろ! 何が何でも生き延びて、
彼女のところへ帰ろうとは思わないのか!? 格好ばっかつけてんじゃねぇッ!」
 才人に叱咤され、ヘンリーは目が覚めたような表情になる。
「しかし……」
 一方で、ルイズはこう告げた。
「貴族が戦争に行く以上、死のことは覚悟しなければならないわ」
「お前……!」
「でも」
 と、ルイズは区切った。
「初めから死ぬ気だなんて変よ。死ぬのは……最後の最後でしょ。その時が来るまでは、
生きるために頑張るのよ!」
「そうだよ……。その通りだよ、ルイズ!」
 そのルイズの言葉に、力いっぱいに同意する才人。
「ヘンリー、生きて帰って。そして彼女と結婚して!」
「結婚……」
「婚約を解消されたって、彼女はきっと待ってるわ! あなたが帰るのを……」
 ルイズの説得でも、ヘンリーは口の端に苦笑を浮かべた。
「そうだな……君たちの言う通りだ。死ぬために戦うなど、どうかしていたとしか言いようがない」
 ヘンリーが考えを改めたので、才人とルイズは顔を見合わせて微笑した。
「僕も、生きるために戦うとしよう。そもそも、昨今のアルビオン軍はおかしいことだらけだ。
このままつき合っていて本当にいいのか、ということはいつも心の片隅に抱えていた。
努めて考えないようにしてたのだが……」
「おかしいことだらけ?」
 才人が聞き返すと、ヘンリーはアルビオン軍の内情を話し出した。
「どこからともなく表れた「ウチュウ人」とかいう怪しい異形の連中と同盟を組むだけでも
本来なら受け入れがたいことなのに、クロムウェル皇帝陛下は国土防衛に消極的すぎるのだ。
軍のほとんどを首都ロンディニウムに留まらせたまま動かそうとせず、各拠点の守備にも
必要最低限の兵力しか裂いていない。そもそも空港の防衛にも、必要とされるだろう数の
半分程度しか軍艦を出されなかった……」
 連合軍側がアルビオン上陸作戦で大勝したのは、ルイズの『イリュージョン』の陽動が
成功したのもあるが、実はそれ以上に敵艦隊が異様に少なかったのが理由なのだ。これには
連合軍首脳部も逆に戸惑いを見せた。
「わざと敵軍を上陸させたとしか、僕には思えない。皇帝陛下が何を考えておられるか、
全くもってサッパリだ。今度も、シティオブサウスゴータを放棄せよとの前代未聞な命令が届いたし……」
「えぇ? そんな命令が出てたの?」
 目を丸くするルイズ。確かに空から見た時、守衛が妙に少なかったのだが、まさかそんな動きが
されていたとは。
「ただし、街中の食料を出来る限り持って退却せよとのことだった」
「食料を? そんなことしたら大変じゃないの!街中が餓えちゃうわ」
 シティオブサウスゴータは決して小さくない街。戦時中でも、民間人は多くいる。そこから食料を
根こそぎ持っていったら、たちまち人々は飢餓してしまうことだろう。そんなことになったら、
現政府が強く恨まれるのは必至。食べ物の恨みこそが最も大きいものなのだ。
 国土を敵に蹂躙されるのを放置した挙句に、自国民を虐げるような真似をして、何のつもりなのだ?
「いざという時は、オークなどの亜人の独断ということにするみたいだ。そのために駐屯兵は、
亜人が中心の構成になってる」
「それでも……奇妙を通り越して異常な作戦よ。何が狙いなのかしら?」
「恐らく、敵軍をシティオブサウスゴータで足止めすることだと思う。戦争に勝ってアルビオンを
占領した時のことを考えれば、市民を見捨てる訳にはいかないだろう?」
 ヘンリーの言うことはもっともだ。それに、カツカツの兵糧を市民に分け与えたら、大軍は本国からの
補給がない限りは行軍が出来なくなる。兵隊も人間だから、食べねば力が湧かないのだ。
「でもさ、そんなこと俺たちに話しちゃって大丈夫なのか?」
「どうせすぐに分かることだろう。それは皇帝陛下もご理解されているはずだ」
 才人の問いにぶっきらぼうに答えるヘンリー。確かにそこまであからさまだと、足止めだと
気づかない方が無理あるだろう。それに分かっていても、アンリエッタの性格を考えれば、
シティオブサウスゴータを見捨てるという選択がなされるはずがない。
 ここで才人は、嫌な予感を強く覚えた。ヤプール人は狡猾な奴らだ。ここまでの奇妙な作戦に、
何か裏がないはずがない。まるで道を譲るような行動をアルビオン軍にさせることで、連合軍に
快進撃をさせているが、見方を変えればそれは双方の軍に大きな損傷を出させていないということ。
当然、ヤプールが善意で被害を出さない訳がないのだ。絶対に、何かを狙っている。
「シティオブサウスゴータで足止めされたら、確実に始祖ブリミルの降臨祭に入るわね。
ハルケギニアの慣習で、降臨祭の間は行軍をやめて、夜通しのお祭りが開催されるわ」
 と、ルイズは説明した。『降臨祭』……ヤプールが何かを仕掛けてくるタイミングはやはりそこか。
何をしてくるのかは知らないが、用心せねばなるまい……。
 才人が考えていた時、
「キョォォオオオオオオ!」
「はッ!?」
 遠くから耳をつんざく雄叫びが聞こえ、次いでドスンドスンと大きな震動を感じた。森の向こうを
見れば、雪山の陰からアイスロンがぬっと顔を出したところだった。
「キョォォオオオオオオ!」
 アイスロンは足元をキョロキョロ見回しながら、徐々にこちらへと近づいてきている。
しかし歩幅が大き過ぎるので、一歩毎に長い距離を一気に詰められる。
「くそッ、追いついてきたか……!」
「サ、サイト、どうしよう!?」
 焦るルイズ。今の状況では、自分たちで太刀打ちすることなど土台無理だ。発見される訳にはいかない。
 そこで才人は指示する。
「あっちはまだ、俺たちの存在に気づいてない。なるべく木の陰に隠れるようにして、奴の視界から
逃れながら慎重に逃げよう」
 そうと決まったら、早速行動だ。才人たちはアイスロンの顔の向きに注意しながら、木の幹に
飛び込むように移動する。目がこっちに向いた時には、木の陰から動かずにじっとやり過ごす。
「キョォォオオオオオオ!」
 慎重に慎重を重ねた甲斐があり、アイスロンはこちらには気がつかずに山脈の奥へと通り過ぎて
いこうとしていた。ふぅ、と安堵の息を漏らす才人。ルイズとヘンリーを安全な場所まで連れていったら、
その時こそやっつけてやる。
 と考えた、その時、
「ガアアアアァァァァ!」
「えッ!?」
 アイスロンの反対方向から、別の鳴き声が耳に入った。才人たちがバッと振り返ると、
そちらからは青白い身体と真っ赤な顔面、ガスマスクのように長い口吻を生やした巨大怪物が
接近してくるところだった。
 あれは雪超獣スノーギランだ!
「な、何……!? 超獣は一体だけじゃなかったのか!」
 ショックを受ける才人。それだけではない。スノーギランの鳴き声により、アイスロンも
こちらの存在に気がついて振り返ったのだ。
「キョォォオオオオオオ!」
「ガアアアアァァァァ!」
 二方向から迫る大超獣。三人は逃げ場を失ってしまった!
「た、大変! どうしたら……!」
「くそッ、こうなったら!」
 事ここに至り、才人は決心した。ヘンリーを木の根元に降ろし、ウルトラゼロアイ・ガンモードを出す。
「俺が囮になる! ルイズとヘンリーは隠れてるんだ!」
「き、危険すぎるぞ! 待てッ!」
 ヘンリーの制止を振り切って飛び出した才人は、レーザー光線を二体の超獣に食らわせて
気を引きつけながら離れていく。
 そして十分距離を取ったところでゼロアイを開き、変身の構えを取った。
「よし、これで――!」
 しかしゼロアイを装着する寸前、ある考えが頭をよぎった。
(――ここで助けても、ルイズとヘンリーは戦争に戻るだけではないのか?)
 二人とも、戦争の途中で軍を抜けるような真似はしないだろう。となったら、今ここで助けても、
二人はまた死地に飛び込んでいくのではないか。生き抜くために戦うと言っても、そのために他者を
犠牲にするというのは、正しいことなのか……。
 が、才人は頭をブンブン振って一抹の考えを払った。
「今はこんなことを考えてる場合じゃないだろ! デュワッ!」
 自分に喝を入れて、ゼロアイを装着。みるみる内に巨大化して変身、ウルトラマンゼロへと変わる!
『よぉし、行くぜッ! とぁッ!』
「キョォォオオオオオオ!」
「ガアアアアァァァァ!」
 ゼロはすぐに、己を挟み撃ちにしている二体の超獣の内、アイスロンの方へ殴りかかっていく。
 だが、
「キョォォオオオオオオ!」
『ぐわッ!?』
 アイスロンのカウンターパンチを食らって、雪の上に倒れ込んでしまった。
『ぐッ……せぇぇぇいッ!』
 直ちに起き上がって、今度はスノーギランの方へハイキックを見舞ったが、易々と受け止められて
弾き飛ばされた。背中から雪山の岩肌に叩きつけられるゼロ。
『うわぁぁぁぁッ!』
「ゼ、ゼロ……どうしたのかしら……?」
 隠れて戦いを見守るルイズが、ゼロの苦戦に目を見張った。二対一という不利はあるのだが、
それ以上にゼロそのものに苦戦の理由があった。何せ、今の彼の動きは、格闘の素人も一目瞭然な
くらいに普段よりも鈍いのだ。技のキレも、身のこなしの速さもない。
『くぅッ……一体どうなってるんだ……? 身体が重すぎる……!』
 それは他ならぬゼロ自身が感じていた。彼は己の異常に戸惑う。力が、いつもの半分も出ていない。
「キョォォオオオオオオ!」
「ガアアアアァァァァ!」
 しかし超獣たちは容赦なく攻撃をしてくる。アイスロンは口から、スノーギランは口吻と両腕から
猛烈な冷凍ガスを噴射して、ゼロを凍らせようとしてきた。
『うおおおああああああああッ! ぐぅぅッ!』
 怒濤の吹雪を浴びて苦しめられるゼロだが、どうにか横に跳びすさって冷凍ガスを回避。
格闘が駄目ならば、と、光線技の構えを取った。
「シェアッ!」
 スノーギランへ向けて、額のビームランプからエメリウムスラッシュ!
 ……だが、緑色のレーザーは途中で途切れ、スノーギランまで届かなかった!
「えぇッ!?」
『んなッ……!?』
 愕然とするルイズとゼロ。光線が効かないということは何度かあったが、どんなに追い詰められていても、
光線が敵まで届かないというのはこれまでに一度だってなかったことだ。一体、ゼロはどうしてしまったのか?
 更には、カラータイマーがピコンピコンと鳴り出す。
『な、何!? もうエネルギー切れが近いのか!?』
 ウルトラマンゼロは、地上では三分間しか活動できない。限界時間が近づくと、胸のタイマーが赤に変わって
警告する。……だが今はまだ三十秒も経っていないぞ! どうしたゼロ! 気が早すぎるぞ! ウルトラマンゼロ!
「ガアアアアァァァァ!」
 だが超獣たちは攻勢の手を緩めない。スノーギランは頭部から視力を奪う失明閃光を発した。
『ぐぅぅぅぅぅッ!』
 腕を顔の前に回して何とかガードしたゼロだが、大きくひるむ。その隙を突いて、アイスロンが
ゼロを殴り倒す。
「キョォォオオオオオオ!」
「ガアアアアァァァァ!」
『うわぁぁぁぁ――――――――!!』
 二体の超獣はゼロをボコボコにタコ殴りにする。ゼロ、まさかの絶体絶命!
『くッ……こうなったら……!』
 するとゼロは、今出来る最後の手段に出た。
『出てこい、アギラ!』
 素早くカプセルを投げ飛ばし、雪原の上にアギラを実体化させたのだ。
「キギョ――――――ウ!」
 カプセルから飛び出したアギラはすぐさま、ゼロを袋叩きにする超獣たちに飛びかかっていく。
突進でアイスロンを張り倒し、角をスノーギランの脇に突き刺した。
「キョォォオオオオオオ!」
「ガアアアアァァァァ!」
 不意打ちを食らった二体は飛び跳ねて挑発するアギラを追いかけてゼロから離れた。ゼロはその間に
息を整え、体勢を立て直す。
「キョォォオオオオオオ!」
「キギョ――――――ウ!」
 アイスロンは冷凍ガスを吐いて攻撃するが、アギラは素早い動きでアイスロンを翻弄する。
そこをスノーギランが失明閃光を放とうと狙う。
「ガアアアアァァァァ!」
「キギョ――――――ウ!」
 スノーギランから発射される失明閃光! しかしアギラはその瞬間に飛びのき、閃光は背後の
アイスロンに命中した。
「キョォォオオオオオオ!?」
 目が見えなくなったアイスロンはパニックになってしっちゃかめっちゃかに冷凍ガスを撒き散らし、
それがスノーギランに当たる。
「ガアアアアァァァァ!」
「キョォォオオオオオオ!」
 憤慨したスノーギランがアイスロンを殴り、アイスロンも殴り返す。超獣たちは仲間割れを
起こして争い出した。
「シャッ! セアァァァァッ!」
 そこにゼロスラッガーを握り締めたゼロが突撃していった。振り向いたスノーギランの急所を
ふた振りの刃で的確に切り裂く。
「ガアアアアァァァァ……!」
 喉を断たれたスノーギランはたちまち絶命。バッタリと倒れ込む。
「ジュワアァァッ!」
 そしてゼロはL字に組んだ腕をアイスロンの身体に押しつけ、ゼロ距離からワイドゼロショットを
見舞った! 途中で消える光線も、こうすれば確実に命中する。
「キョォォオオオオオオ!!」
 その一撃でアイスロンはたちまち爆散。後には肩で息をするゼロだけが立つ。
『ふぅぅ……どうにかなったぜ……』
 どうにか危機を脱したゼロは、アギラに振り返って声を掛けた。
『すまなかったな、こんなことで呼び出して』
 カプセル怪獣は基本的に、変身できないような状況のための代理戦力。自分が助けてもらうために
出すのは、前代未聞のことであった。
「キギョ――――――ウ!」
 しかしアギラは特に気にしていないという風に跳びはねた。苦笑したゼロは、アギラをカプセルに戻す。
 自分もゼロアイを取り外し、才人の姿に戻った。すると一番に才人が尋ねかける。
「ゼロ、どうしたんだ? 今日はすこぶる不調だったじゃないか。具合でも悪いのか?」
 それにゼロは、このように答えた。
『いや、俺には何の異常もない。異常があるのは……才人、お前の方にだよ』
「え……?」
 予想だにしない返答に立ちすくむ才人。ゼロは彼に指摘する。
『今のお前は、ルイズたちを守ることに疑問を抱えてるだろ。その疑心が足枷となって、
力の発揮を妨げたんだ。一心同体である以上、俺はどうしてもお前の影響を受けるからな』
「そんな……」
 ウルトラマンと一体となった人間は、時としてウルトラマンに大きな力を与えてきた。
しかし、その逆もあり得る。かつてゼロと一体化したタイガという青年は、『ウルトラマン』として
戦うことに懐疑的だったので、その時のゼロは中途半端な大きさにしか巨大化できなかった。
今の才人は、似たような状態に陥ってしまっているのだ。
「ガンダールヴと同じさね」
 デルフリンガーが意見した。
「ガンダールヴの強さは心の震えで決まる。相棒の心は震えてねえのさ。今、おめえさんは
主人と背負ってる奴らに疑いを抱いてる。自分が守るに値するのかって、疑ってる。
それじゃ感情が震えるわけねえよ」
「……」
 確かに今、才人は戦いを仕掛ける人たちを守ることに、どうしても納得することが出来ないでいる。
ゼロはその辺を割り切っているのだが、年若く、青臭さが抜け切れていない才人に納得しろというのは酷なものだろう。
 しかし……もうすぐヤプールとの決戦が近そうなのに、こんな状態で大丈夫なのだろうか?
『……だがまぁ、心配するなよ! こっちにはウルティメイトフォースの仲間もいるんだし、
ちょっと調子悪くたって、ヤプールくらい異次元から引きずり出してパッパッと片づけてやるさ!』
 ゼロがそう言って慰めたが、それが虚勢であることは明白だった。
 ショックを受けた才人はおぼつかない足取りで、ルイズたちのところまで戻っていった。

 その後、騒ぎを聞きつけたのかアルビオン側の捜索隊が才人たちの近くまで迫り、ヘンリーは彼らの
元へ帰っていった。その際、借りを返すためかルイズたちが別方向へ逃げたと虚偽の報告をしたことで、
ルイズと才人は無事に連合軍に救出された。
 ヘンリーの言った通り、連合軍がシティオブサウスゴータに踏み込んだ時にはもうアルビオン軍は
食料を持ち去りながら撤収していて、連合軍はやはり市民に兵糧を分け与えたことで足止めを
余儀なくされることとなった。降誕祭の祭りは、シティオブサウスゴータで行うことになる。
 そして才人は……帰ってからもずっと塞ぎ込んでいた。それほどに、ゼロから言われたことが
衝撃的であったのだ。
 その事情をデルフリンガーから聞いたルイズは、どうにか才人を励まそうと、こう告げた。
「サイト……色々言ったけど、あんたの人殺しに荷担したくないって気持ち、分からない訳じゃないわ。
名誉や誇りと言っても戦争は、結局は人殺しだものね。これまで必死で守ってきた命を自分で奪うような
ことをするなんて、私もおかしいと思う。コルベール先生も、人殺しに慣れたら何かが壊れるって、
命に代えて教えてくれたし……。
 でも……貴族には名誉が命よりも大事なものだっていう価値観も、分かってちょうだい。
何も名誉は、戦いと殺しのためにあるものじゃないの。祖国を守る、領民を守る、家族を守る、
生活を守る、それが名誉……そのために戦うのよ。命の奪い合いが目的なんかじゃないの。
それに、侵略者を追い詰めるためには、この戦はどうしても必要なものじゃない。アルビオンの
陰に隠れる侵略者を追い出したら、戦いも終わるし、平和も戻ってくるわ。ね、そう考えて、
思い直してちょうだい。これは平和を勝ち取るための戦いなのよ」
 と、熱心に説得したものの……。
「……ごめん。やっぱり俺には、納得がいかないよ。平和のために、犠牲が必要なんて……」
 才人は力なくつぶやき、ルイズから離れていった。
「……もう知らないッ! ご主人さまがここまでしてあげてるのに! もう勝手にしなさいよッ!」
 遂にはルイズもへそを曲げ、才人から顔を背けた。
「おいおい……こんなので本当に大丈夫なのかね」
 二人の様子を見守っていたデルフリンガーが大きなため息を吐いた。

 吹雪はやんだが、空には厚い雲が覆い被さったまま。それは、ルイズと才人の行く末を
暗示しているようでもあった……。


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