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第五十七話「飛べ!ダイナ」


ウルトラマンゼロの使い魔
第五十七話「飛べ!ダイナ」
異次元人アクゾーン
巨大化怪獣ゲラ
音波怪人ベル星人 登場



 ガリア王都リュティスで、突然謎の場所に引きずり込まれてしまったタバサとイザベラ。
トドラに襲われる二人を救ったのは見知らぬウルトラマン、ダイナ、そして風来坊を自称する
青年アスカ。彼はここがベル星人の疑似空間であると語る。脱出するには、ベル星人と
その共犯の異次元人アクゾーンを倒さなければならない。敵兵士に扮して敵の城に侵入する
三人だったが、アクゾーン首領メビーズ二世には見破られていた! アクゾーンはゲラを
始めとする、メタモルシステムで巨大化させた怪獣軍団をハルケギニアに送り込むという
恐るべき計画を立てていた。阻止しなければ、ハルケギニアの人々が危ない。それにも関わらず、
首領の甘言に惑わされたイザベラが裏切る! しかもイザベラもまた、首領に裏切られて
殺されそうになる。進退窮まる大ピンチ。タバサは、イザベラは、そしてアスカという男はどうなるのか!?

「ウワーッハッハッハッハッハァッ! 実にいいザマだ、侵入者ども! 何とも愉快!」
 アスカ、タバサ、そしてイザベラを床に這いつくばらせた首領メビーズ二世は、狂ったように哄笑する。
「トドラと、我が兵士の一部を倒されたことには腹が立ったが、その原因がこれほど無様な姿を
晒しているのを見るのは、非常に気持ちが晴れ晴れとするわい!」
 下衆な嗜好を臆面もなく表し、ニヤニヤと品のない笑いを顔に張りつける首領。そして、アスカに
向けて言い放つ。
「特に貴様のような奴の醜態は最高だぞ、ウルトラマンめッ!」
「えッ!? ウルトラマン!?」
 首領の吐いたひと言に、彼に踏みつけられているイザベラが驚愕する。
「な、何を馬鹿なことを……あの風来坊とか抜かす平民がウルトラマンだなんて、そんなことは……」
 信じられずにつぶやくと、それを聞き止めた首領が鼻で笑った。
「ふんッ、このガキどもには教えていないようだな。しかし、私の目をごまかすことは出来ない。
先代の侵略計画が80にぶち壊されてから、私はウルトラマンというものを特に警戒しているのだ。
そこの男、貴様がウルトラマンの仮の姿だということは突き止めているぞ!」
 首領に対して、アスカは叫び返す。
「仮の姿じゃねぇ! アスカ・シンとウルトラマンダイナ、両方とも俺だ!」
「同じことよ! 貴様がウルトラ戦士だということはなッ!」
 アスカが否定しなかったことで、イザベラはますます絶望する。
 あの平民の男と強大なるウルトラマンが同一存在など、そんなことが本当にあるのだろうか? 
姿も大きさも、全然違うではないか……いや、ウチュウ人というものは人間に姿を変えることが
出来るという情報は聞いている。侵略者に出来ることが、ウルトラマンに出来ないなんてことも
ないだろう。ならば、本当に彼がウルトラマンダイナ……。
 ということは、知らなかったこととはいえ自分は最後の希望、ウルトラマンを裏切ったことになる。
今彼は、うつ伏せの状態で銃を突きつけられ、全く身動きの取れない状態だ。自分が、その状況に追い込んだのだ……。
(し、仕方なかったんだよ! わたしが倒さなくたって、どうしようもない状況下だったじゃないか……!)
 往生際が悪いイザベラは、自分自身に言い訳する。だが、倒れているアスカがじっと自分を
見つめていることに気づくと、後悔と罪悪感がふつふつと心に沸き上がった。
(や、やめて! わたしをそんな目で見ないでよッ! わたしを……責めないでッ!)
 ぐっと顔を歪ませ、アスカを直視できずに目を背けるイザベラ。
「ハッハハハッ! ウルトラマンめ、貴様らが命を賭してでも守る人間に裏切られた気分はどうだぁ! 
所詮人間など、このガキのように利己的な薄汚い生き物なのだよ! それを必死に助けている貴様ら
ウルトラ族は、イカレているとしか言えんなぁ! ウワーハッハッハッハッハッハァーッ!」
 ここぞとばかりにアスカを愚弄する首領。その言葉が、イザベラの胸を余計に締めつける。
「フフフ、戯れはこの辺にしようか。いよいよ貴様らには、黄泉の国へ旅立ってもらおう! 
まずはこの愚か者の娘からだ」
 首領が手に持った光線銃を、足元のイザベラの頭に向けた。
 それを感じ取ったイザベラは、死への恐怖で一気にパニックに陥った。
「いやああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!! やめてぇッ! 殺さないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」
 火事場の馬鹿力というものか、気が動転したイザベラの暴れる力はすさまじく、首領は不意を
突かれる形になって一瞬動揺した。
「うおッ!? くそッ、無駄な抵抗はするなッ! どこまでも醜い……!」
 イザベラの必死の抵抗で、兵士たちの気も一瞬それた、その時のことである!
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ―――――――――――!!」
「何ぃッ!?」
 アスカが瞬時に起き上がり、なりふり構わずに首領に体当たりをしたのだ! 全く予想していなかった
首領はよけることも叶わず、アスカに突き飛ばされる。
「大丈夫か!?」
 アスカはそれに構わず、イザベラを助け起こす。だがそこで我に返った兵士が撃った光線が左肩に命中する。
「うッ!!」
「あ……アスカッ!」
 兵士たちはそのままアスカとイザベラを蜂の巣にしようと構える。
 だがその瞬間に、敵の意識から外れたタバサも動いた! 跳びはねるとまさしく風のように
軽やかに舞い、杖とガッツブラスターを拾い、兵士たちが反応する間もなく首領を立たせて盾にする。
ブラスターの銃口をその頭に向ける。
「やめさせて」
「ひぃッ! う、撃つな! 撃つんじゃないぞぉッ!」
 顔が引きつった首領は兵士たちに命じた。これにより敵の動きが止まる。
 その間に、アスカはイザベラの容態を確認した。
「怪我は、ないみたいだな……」
「ど、どうして……?」
 イザベラは、信じられないものを見る目をアスカに向けた。
「ん?」
「どうして、裏切ったわたしを助けたの!? あんな無茶をして! 一歩間違えてたら、死んでたのよ!? 
正気の沙汰とは思えないッ!」
 イザベラは、アスカという人間の考えが全く理解できなかった。あんなひどい裏切りをした相手を、
自分の身も省みずに、危険を冒して救い出す。どれほど誉れ高い騎士でも、ここまでする者などおるまい。
現に撃たれた。
 自分が王女ということは、アスカには関係のないこと。いやいくら王女の身分でも、誰からも
見捨てられても仕方がないことを自分はしたのだ。それなのにこの男は……聖人君子か何かか?
 するとアスカは、こう答えた。
「間違いは、誰だってするさ」
「え……?」
「あんな危険な状況だったんだ。気の迷いを起こしたって仕方ないさ。その迷いが、君を見捨てる
理由にはならないよ。ましてや、君はまだ子供だしな。子供を助けるのに、おかしいことなんて一つもないだろ?」
 本当に信じられない。どこまで心が広いのだ?
「それに間違いは、生きてれば正せる。死んだら正せられないぜ」
「正す……?」
「ああ。俺だって今日まで、ウルトラマンダイナになってばかりの頃は特に、何度も間違いを犯した。
でも、たくさんの人に支えられて、間違いを正してやってこれたんだ。だから君にも、間違いを改める
チャンスを掴んでほしい」
 アスカはじっと、イザベラの目を見つめる。その瞳を覗き見て、イザベラはアスカが自分を
さっきも今も責めていないことを理解した。自分をどう助けようか考え、今は心の底から安心し、
かつ案じている温かい眼差しだ。
 醜い姿を見せた自分のことを、本気で考えてくれているのだ。
「イザベラ、君がどんな人間なのか、どんな生き方をしてきたのか、俺は全然知らない。
でも、君にも人として正しい道を歩んで、立派な大人になってほしい。たくさんの人に対して、
俺はそう思ってる。だから俺は、ウルトラマンとして戦ってるんだぜ」
 ニカッと気持ちよく笑うアスカ。その腕に抱かれて……イザベラは頬を赤らめた。
 しかしその時、城の外から耳をつんざく怪音波が発生。タバサ、イザベラ、アスカの三人の頭を締めつける!
「うぅッ……!?」
「きゃああああッ! こ、この音は!」
「ベル星人……!」
 いつの間にか、城の外にはベル星人が現れていた。タバサがひるんだことで、首領が逃げ出す。
「ハハハハハ! 形勢逆転だぁー! やれぃッ!」
 兵士たちに命ずる首領。だがそれより早く、アスカが動いていた。
「タバサ! ブラスターを俺に!」
 タバサが投げ渡したガッツブラスターを、アスカはジャンプしてキャッチ。そのまま宙を
舞いながら光線を発射し、兵士を数人纏めて射抜いた!
「何だとぉ!?」
「ていッ! おりゃあぁぁッ!」
 怪音波のダメージを受け、肩に傷を負い、何人もの兵士たちに狙われながらも、アスカは敢然と
切り込んでいった。兵士たちの間に飛び込み、素手の格闘で周りの二三人を一気にノックアウト。
他の兵士が銃を撃ってくるが素早くかいくぐり、兵士たちは流れ弾で同士討ちする。
「ば、馬鹿者! 何をやっとるか!」
 首領が怒鳴りつけるが、もう遅い。兵士はバッタバッタと倒され、最後の一人にアスカの
回し蹴りが炸裂した。兵士は全員バッタリと倒れる。
 更にタバサが魔法で、兵士たちの手足を凍りつかせた。これで生死を問わず、もう立ち上がれなくなった。
「見たかッ! 俺の超ファインプレー!」
「おのれぇー! アクゾーンッ! をなめるなぁ!」
 堂々と見得を切るアスカだが、首領は最後の手段を用いる。メタモルシステムの装置に飛びつき、
転送アンテナを地面に向ける。そしてスイッチを押し、ゲラを電送してアンテナから射出した!
 実体化したゲラは、城よりも巨大な怪獣へと変貌していた!
「ギャオオオオオオオオ!」
 ゲラは城に腕を振り下ろし、破壊を始める! その震動が、アスカたちを襲った。
「きゃあぁッ!?」
「うおおぉぉッ!? ヤロォー……!」
 アスカたちがよろめいた隙に、首領は窓から外へ逃げ出した。すぐにタバサが追いかけようとしたが、
アスカに制止される。
「タバサ! 城には大勢の人が残ってる。君たちは彼らを連れて脱出するんだ!」
「アスカは……!?」
「俺は、あいつらと戦ってくるぜ!」
 城を破壊するゲラをにらんだアスカが、懐から手の平サイズの何かを取り出した。ウルトラマンの顔が
彫刻されている、レリーフのようだ。
「本当の戦いは、ここからだッ!」
 アスカがレリーフを掲げる。すると上部の一部分が開き、青く輝く細長いクリスタルが現れた。
そのクリスタルから眩い光が発せられ、アスカの全身を包む。
 光となったアスカは外へ飛び出し、ゲラに激突して城から突き飛ばした。
「ギャオオオオオオオオ!」
「ジュワッ!」
 光はあっという間に大きくなり、人型となる。そして光が、赤と青と銀色のウルトラマンへと変わった。
先ほどトドラを倒し、タバサとイザベラを救った光の戦士、ウルトラマンダイナその人だ!
「ウルトラマン……! 本当にアスカが、ウルトラマンなのね……!」
 ダイナの雄大な背中を見つめてつぶやくイザベラに、タバサが呼びかける。
「早く、脱出を!」
「わ、わかってるわよ!」
 タバサの後を追いかけて、イザベラが天守閣から脱け出していった。

「デヤッ!」
 城を背にかばい、大地に立ったウルトラマンダイナ。背中を若干かがめ、平手の形で両腕を
前に出して敵に面と向かう。
「ギャオオオオオオオオ!」
 それに対するは、威嚇するように高々と咆哮する巨大化怪獣ゲラ。そしてその背後にたたずむ、
不気味な雰囲気を纏う宇宙人、ベル星人。
「ギャオオオオオオオオ!」
 一番に動いたのはゲラだ。口を大きく開き、火炎放射を繰り出す。まだタバサたちのいる城を
背にしているダイナは、よけることは出来ない。
「フッ!」
 するとダイナは両手を構え、円形のウルトラバリアを張った。火炎は光の盾にさえぎられ、
ダイナはその間に右側へ回り込む。
「ギャオオオオオオオオ!」
 ダイナの動きを目で追ったゲラは、火炎放射をやめて突撃を仕掛ける。だがダイナのカウンターパンチが
その鼻先に炸裂!
「ダァッ!」
「ギャオオオオオオオオ!」
 その一撃でひるむゲラ。ダイナはすかさずチョップの連撃を叩き込んでからの回し蹴りを決めた。
首を蹴り飛ばされ、倒れるゲラ。
「デヤァァァッ!」
 ダイナの攻勢は止まらない。尻尾を鷲掴みして、一回転しながらゲラを投げ飛ばした! 
宙に舞ったゲラは地面に叩きつけられる。
「ギャオオオオオオオオ!」
 ダイナは更に追撃を掛けようとしたが、そこでベル星人が怪音波を強烈に発し出した。
「グゥゥゥゥ!?」
 脳をギリギリ締めつける凶悪な攻撃に、さしものダイナもたまらず苦しむ。ベル星人に向き直り、
光線技を放とうとするも、
「ウゥッ!」
 動かした左肩に激痛が走り、手が止まった。アスカの時に撃たれたダメージが響いたのだ。
 うめいたダイナにベル星人の方から接近、側頭部をしたたかに殴って彼を転倒させる。
「ウワァッ!」
 倒れたダイナを無惨にストンピングする。ダイナは後ろ蹴りを打って反撃するが、ベル星人はすかさず
後退してキックをかわした。
 起き上がるダイナだが、そこに持ち直したゲラが迫ってくる。
「ギャオオオオオオオオ!」
「ウワアアアアッ!」
 お返しとばかりに散々に殴るゲラ。更にベル星人の怪音波攻撃も重なり、ダイナはなすままにやられる。
 前衛のゲラと後衛のベル星人のコンビネーション攻撃に、歴戦の戦士、ウルトラマンダイナも
反撃の糸口を掴めずに追い詰められる。危うし、ダイナ!
 その時、タバサとイザベラがアクゾーンにさらわれた人々を引き連れて城から脱出してきた。
彼女らは苦戦するダイナの姿を見上げる。
「! アスカ、頑張れぇッ!」
 イザベラが、思わず叫んだ。その応援が、ダイナの耳に届く。
「フッ! デヤァッ!」
「ギャオオオオオオオオ!」
 後方へ飛び込むように転がりゲラの攻撃から逃れると、即座に体勢を立て直して両腕から大型の光刃、
フラッシュサイクラーを飛ばす。その攻撃はゲラとベル星人の両方に降りかかり、二者の動きを止めた。
 その隙にダイナが構えを取って精神を集中すると、額のクリスタルが渦巻く光の粒子を放出した!
「ンンンンン……デヤァッ!」
 そしてダイナの体色が、青と銀の二色に変化した!
「姿が、変わった!?」
「あれは……」
 驚くイザベラたち。タバサは今のダイナの姿が、ゼロのルナミラクルに似ていると感じた。
 似ているのは当然である。この力はゼロのタイプチェンジ能力の元の一つとなった、ダイナの特殊能力。
青い姿は超能力に特化した、ミラクルタイプだ!
「ギャオオオオオオオオ!」
 ここで立ち直ったゲラが再度ダイナに突進を掛けようとしたが、ダイナは残像が残るほどの
超スピードで動き回り出す!
「デヤッ!」
「ギャオオオオオオオオ!?」
 ゲラはその動きを目で追うことも出来ず、混乱して右往左往する。ベル星人もまた困惑しているようで、
しきりに首を振っている。
「ダァァッ!」
 立ち尽くすベル星人に、ミラクルタイプのダイナの飛び蹴りが炸裂した! ベル星人は思い切り
吹っ飛んで倒れ伏す。
「ギャオオオオオオオオ!」
 立ち止まったダイナを狙い、ゲラが火炎放射を繰り出す。しかしダイナは手の平を突き出すと、
火炎を全て受け止め始める。
「デヤッ! アァァァァ……!」
 手の平に集まる炎が青色に変色していき、火炎放射が途切れたところでゲラに投げ返す。
ミラクルタイプの必殺技、レボリウムウェーブ・リバースバージョンだ!
「デヤァッ!」
「ギャオオオオオオオオ!」
 自分の炎を返されたゲラは、棒立ちになって動かなくなった。その隙に、ダイナはリング状の
光線を作り出し、ゲラに投げつけた。
 リング型の光線が、その内にゲラを入れながら降りていく。それに合わせてゲラの肉体も
たちまち縮小し、元の大きさまで戻った。超能力で、メタモルシステムの効果を打ち消したのだ。
 これを見たベル星人は、すぐに空へ飛び上がって逃げようとし出した。最早勝ち目はないと
悟ったのだろう。しかし、ここで逃がしてはまた疑似空間の犠牲者が出てしまう。
「シュワッ!」
 そこでダイナも飛び立ち、ベル星人を追跡する!
 ベル星人は最高速度を出して、右へ左へ、上へ下へと複雑に曲がってダイナの追撃をかわそうとする。
だがミラクルタイプはスピードにも長ける。本気を出すと、その速度は亜光速にも達するのだ! 
ベル星人が逃げ切れるはずがなく、ピッタリと追いかける。
「フッ! デヤァッ!」
 ダイナは両手先から青い光線、ハンドシューターを発射。見事ベル星人の背面に命中し、
ベル星人はフラフラと地面へ墜落していった。
 しかしまだ倒れた訳ではなく、グロッキーになりながらも立ち上がる。そこで着地したダイナは、
とどめの一撃を仕掛ける!
「デヤァァァァッ……ジュアッ!」
 額のクリスタルに添えた右手を中心に、空間が圧縮されていく。そして生じた衝撃波を、
まっすぐにベル星人へ放った! レボリウムウェーブ・アタックバージョンだ!
 衝撃波を食らったベル星人はくの字に折れ曲がり、更に背後にマイクロブラックホールが出現。
それに吸い込まれたベル星人は、音もなく圧殺されて消滅した。
 ベル星人の消滅を見届けたダイナだが、その時に森から円盤が一機飛び上がる。逃走したアクゾーン首領の
乗る機体だ。これで逃亡しようというつもりのようだ。
「デヤッ!」
 しかしそれも叶わなかった。ダイナの投げ放った光刃、ビームスライサーが吸い込まれ、
円盤は一瞬の内に爆散した。疑似空間の悪しき侵略者は全て滅びたのだった。
「やったわッ!!」
 大歓喜するイザベラたち。が、タバサが喜んでいられないことを告げる。
「待って! 森が……消えていってる!」
「えぇッ!?」
 見れば、自分たちを取り囲む風景の森が、一部分ずつ切り取られていくように消滅していくのだ。
ベル星人が倒されたことで、その力で作られていた疑似空間が消え去ろうとしているのである。
「も、森が完全になくなったら、わたしたちはどうなるの!?」
「わからない……。最悪、死ぬかも」
「嘘でしょ!? だ、誰か助けてぇーッ!」
 大慌てするイザベラだが、それは杞憂だった。ダイナが脱出した人間たちに、ひと筋の光線を浴びせたのだ。
「デヤッ!」
 すると全員が、どこかへと転送されていく。テレポーテーション能力を光線化して当てることで、
人間たちを消えゆく疑似空間から脱出させているのである。
「ま、待って……!」
 イザベラは思わずダイナに手を伸ばす。しかし、ダイナも早く逃げなければ危ない。彼は元に戻った
ゲラを拾い上げると、両腕を空へ伸ばし、天高く飛び上がる。
「ジュワッ!」
 その光景を最後に視界が暗転し、疑似空間も誰も巻き込むことなく消滅したのであった。

 ……気がつけば、タバサとイザベラ、そして大勢の人たちは、森を臨む草原の上に寝転がっていた。
「こ、ここは……?」
「……リュティスの森」
 起き上がったイザベラに、タバサが答える。この場所は見覚えがある。疑似空間の不気味な世界とは違う、
静かな自然の中。イザベラも狩りで訪れたことのある、プチ・トロワの近くの森の入り口だった。
「……あ、アスカは? ダイナはいるの?」
 イザベラは辺りを見回して、アスカの姿を探す。しかし、タバサが無言で首を横に振った。
救出した人たちは皆いるが、アスカの姿だけはこの中に混じっていなかった。
 まるで、そんな人間は初めからいなかったかのようだ。
「……夢だったのかしら」
 つい、そんな言葉が口から突いて出るイザベラ。だが、タバサはそれも違う、と否定した。
「今拾った」
 タバサが差し出したもの。それは、アスカの服に縫われてあった、SとGUTSの紋章のパッチだった。
アスカが、最後に渡したのか。
「……」
 無言で受け取ったイザベラは、黙ったままそれを見つめた。

 その後、ベル星人とアクゾーンによる人間誘拐事件の事後処理はつつがなく進行し、事件はそっと
幕を閉じた。助けられた人々の口伝により、ガリアで新たなウルトラマンの噂が流行したのだが、
その後学院へ直帰したタバサには関わりのないことであった。
 しかし数日後、賊の学院襲撃とウルティメイトフォースゼロ対超獣軍団の戦いがあった後で、
タバサは再びイザベラに呼び出されて、プチ・トロワへ急行することになった。
「全く、あの従姉姫は人遣いが荒すぎるのね! お姉さまが大変な目に遭ったのは、ついこの間なのよ。
自分は一歩も動かないで人のことは事情もお構いなしで、本当いい御身分なのね!」
 シルフィードが飛びながら不平不満をまくし立てる。それに対して、タバサはいつもの如く無言。
「ああ、かわいそうなお姉さま。またあいつにいびられるのね……」
 シルフィードが嘆く。それもいつものこと。そしてタバサは、いつも通りにプチ・トロワに到着して、
イザベラの前に通された。
「……来たね、シャルロット」
 だがここからがいつも通りではない。イザベラは気だるげにベッドに腰掛けて、ぼんやりと明後日の
方向を見やっている。その反応に、タバサは珍しく目を見開くほど驚いた。
 何故なら、イザベラはタバサが来る度にわざわざ趣向をこらして、虐待したり嫌味を
散々言い放ったりするのだ。それなのに、今回はいやに大人しいではないか。
「……ガリアの軍港、サン・マロンは知ってるね。そこで爆破未遂事件が相次いでるみたいなの。
今のところ実害は出てないけど、異常事態には違いないわ。あんたは、その原因の究明と解決に行きなさい」
 やはり何の前置きの一つもなく、イザベラは淡々と用件だけを伝えた。
「わかった」
 タバサはなるべく驚きの感情を出さずに、ひと言返事をして立ち去ろうとした。が、そこで
イザベラに呼び止められる。
「待った。これから返事は……これで返すこと」
 イザベラがタバサに見せたポーズは……サムズアップだった。
「わかった?」
 タバサはやや戸惑いながらも、親指を立てて応じた。それにイザベラは満足した様子を見せる。
 踵を返そうとしたタバサだが、またもイザベラに止められた。
「あっ、ちょっと。……シャルロット……その……」
 イザベラはもじもじと、何かを言いかけている。タバサが内心疑問に思っていると、イザベラは
意を決して、こう告げた。
「……今まで、悪かったわね。いじめたりして」
「……!」
 本当にどうしたというのだ。今日はウィンディ・アイシクルでも降るのではないか?
 大袈裟なことをタバサが思っていると、イザベラが片手で、何かをいじっていることに気がついた。
 目をこらして見てみると……先日渡した、エンブレムのパッチであった。


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