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第五十五話「空間X出現」


ウルトラマンゼロの使い魔
第五十五話「空間X出現」
宇宙蜘蛛グモンガ
四次元怪獣トドラ 登場



 人口三十万を誇るハルケギニア最大の都市である、ガリアの王都リュティス。その東の端には、
ガリア王家が暮らす宮殿ヴェルサルテイルが位置している。この宮殿の中の一つ、プチ・トロワという
小宮殿の中で、一人の少女がベッドに腰掛けていた。
 すらりと伸びた肢体に整った顔立ち。美人の要素を余すところなく備えているが、高慢さが浮き彫りに
なっている目つきと、全身から発している苛立ちがそれらを台無しにしていた。彼女は絶え間なくコツコツと
かかとで床を鳴らしている。
「遅い……。あの人形娘はまだなの?」
 少女は部屋の隅に控える侍女に問いかける。侍女は苛立つ少女におびえながら、恐る恐る返答する。
「え、えっと……、その、シャルロットさまは……」
 その言葉が出た途端、少女はベッドから跳ね、侍女に詰め寄って耳をつねり上げた。
「いま、なんて言ったんだい! ええおい! こらッ!」
「も、申し訳ありません! イザベラさま!」
「あいつはただの人形なんだよ! 今じゃわたしのただのおもちゃなのさ! わかったら二度と
“さま”なんかつけるんじゃないよ!」
 侍女を叩いていじめる少女の名はイザベラ。国王ジョゼフ一世の一人娘である、要するに王女。
当然タバサの従姉妹なのだが、権力を得たイザベラは任務にかこつけて毎度タバサをいじめ抜いているのだ。
日頃の傲然とした振る舞いも重なり、彼女の評判は内外問わずに低い。
「人形七号さま! おなり!」
 その時、衛士がタバサの到着を告げた。ほどなくして扉が開かれ、イザベラの私室にタバサが姿を見せる。
 タバサはイザベラより身長が頭二つ分も小さいが、魔力は反対にイザベラよりずっと勝っている。
既にスクウェアクラスに手が届きそうなタバサに対し、同じガリア王族の血が流れているはずの
イザベラは凡人の域を出ない。その劣等感から来る嫉妬が、イザベラがタバサを虐待する理由なのだ。
「ようやく来たね、シャルロット。今回は緊急と招集状に書かせたはずだったのだけど、
まさかそれが読めなかったなんてことはないわよね?」
 厭味ったらしく問いかけるイザベラだが、タバサは何も言わず、何の感情も窺えない目でイザベラを見返すのみ。
 最初のキメラドラゴン討伐から帰ってきて以来、タバサはずっとこうだ。自分がどんな嫌がらせを
しようとも、眉一つ動かさない。それが逆にイザベラの心をますますかきむしる。
「……ふんッ、まぁいいわ。こんなことを言うために呼びつけたんじゃないのだから。お前たち、
例のものを用意するのよ!」
 侍女たちに怒鳴りつけると、彼女らは慌てて一式の服装を運んできた。それはイザベラが
普段着ているものによく似ているドレスだった。
「早速任務を伝えるわ。シャルロット、あなたにはわたしの影武者をしてもらう」
 そう伝えた瞬間……珍しく、タバサの表情に変化が起こった。眉間に皺が刻まれ、冷徹な怒気を醸し出す。
その冷たい怒りは、普段イザベラの癇癪につき合わされているプチ・トロワの使用人たちの背筋に
冷たいものが走るほどであった。
「ち、ちょっと、何を怒ってるのよ。人形娘らしくもない」
 イザベラもまた、タバサに言い知れぬ恐れを抱いて、嫌味の一つもなしに事情を説明し出した。
「まさか、わたしがまたあんたを嵌めようとしてるなんて思ってるんじゃないでしょうね。違うわよ。
わたしだって、同じことを繰り返したりはしないわよ」
 春先に一度、タバサがイザベラの影武者をさせられたことがあった。しかしそれはイザベラが
タバサを陥れるために仕組んだ策略で、タバサはインテリジェンスソード『地下水』に痛い目を見せられた。
しかし関係のない人まで巻き込んだ陰湿な仕打ちにはさすがのタバサも我慢がならず、その時ばかりは
イザベラに仕返しをした。
 無論普段のイザベラならただでは済まさなかったことだろうが、その件は彼女の独断行動ということもあり、
あんまり騒ぎ立てると自分の首を絞めてしまうので、暗黙のままになかったことにしたのだった。
 その件を想起させるような任務を与えるイザベラの真意とは。
「実は近頃リュティスでは、人間が連続して蒸発する事件が相次いでいるの。それも、貴族平民関係なく。
……これ、何かを思い出さないかしら?」
 イザベラが言っているのは、外宇宙からやってきた宇宙人たちの最初の侵攻計画のことだ。
彼らはハルケギニアの主要都市の同時攻撃に先立って、トリステインの首都トリスタニアで
人間をさらい、人質にした。その時と状況が酷似している。
「もし今回の蒸発騒ぎがあの事件の時と同じなら、王女のわたしといえども安全とは言い切れないわ。
むしろ、最も狙われる危険があるかもしれない。そこで、騒動が収束するまであんたはわたしの
身代わりとなるの。もちろん、嫌とは言わせないわよ」
 イザベラの指示で、タバサは侍女たちの手で王女の姿に着飾られた。次いで、顔を変化させる
『フェイス・チェンジ』の呪文でイザベラそっくりの顔立ちとなる。それから身体つきの差異を
埋めるための細工を施して、影武者は完成した。
 タバサは今一度、イザベラの身代わりとなった。

 さて、イザベラの影武者を務めることとなったタバサだが、これといってやることがなく
プチ・トロワでじっとしているだけであった。
 イザベラは父王に官職を頼んだ結果、北花壇警護騎士団の団長の椅子を与えられている。
しかし公式には存在しないことになっている北花壇騎士は平常時には仕事が少なく、
イザベラはその少ない管理業務などもほぼ部下に任せっきりにしている。そのため、
何か特別なことでもない時には、宮殿で暇を持て余しているのが常なのだ。
 大体はゲームなどをして退屈しのぎをしているが、タバサはもちろんそんなことに興味を示さない。
ただ、何をするでもなく、イザベラの振りをするばかりだった。
「ほら! この窓枠のところ、汚れが残ってるじゃない! あなたたちは掃除もまともに出来ないの!?」
 本物のイザベラはこの間、侍女に扮している。そしてここぞとばかりに宮殿内をうろつき、
侍女いびりに精を出していた。どれも言い掛かりに近いものだが、侍女たちは変装しているとはいえ
イザベラに頭が上がらず、ひたすらに頭を下げるばかり。
「……おいたわしや、シャルロットさま。またもあの王権の簒奪者の娘に、良いように弄ばされなさるとは……」
 椅子に座ってじっとしているタバサに、一人の若い騎士が近づいて、誰にも聞かれていないことを
確かめてからタバサに囁きかけた。
 彼は東薔薇騎士団のバッソ・カステルモール。表向きはジョゼフとイザベラに忠を捧げているように
見せているが、その胸の内は亡きシャルルに忠義を向けており、タバサの味方になることを決めている者なのだ。
彼のみならず、東薔薇騎士団は全員シャルル派であり、タバサのひと声でもあれば決起する心積もりでいる。
 しかしタバサには、そのつもりはない。敵討ちは、一人でやるつもりなのだ。
「シャルロットさま、お気をつけを。イザベラの申したことに間違いはありませぬ。犯人がいつ如何なる時に
あなたさまの御身を狙うものか、計り知れません。我々も目を光らせますが、一時たりとも気を緩めなさらぬよう
お願い致します」
 それは言われるまでもない。タバサが小さく首肯すると、カステルモールはそっと彼女の側を離れた。
 タバサはその後もじっとしたまま。しかし警戒だけは、一瞬でも緩めることはなかった。

「お姉さま、またあの憎らしい従姉姫の姿になんかされちゃって……」
 窓の外からは、シルフィードはこっそりと隠れながらタバサの様子をハラハラと見守っていた。
「従姉姫は、今回は裏はないみたいなこと言ってたけど、そんなこと分かりっこないのね。
またあいつの悪だくみかもしれないの。このまま、何事もなく終わるといいんだけど……」
 シルフィードはイザベラへの猜疑心が強いので、彼女の謀略の可能性を捨て切れないでいた。
そのため、部屋の端で未だに侍女たちに難癖つけて困らせているイザベラを恨めしくにらむ。
 そしてタバサに視線を戻したところ――ほんの数秒前まであったはずの彼女の姿が、忽然となくなっていた!
「えッ!?」
 唖然とするシルフィード。さっきまでタバサが座っていた椅子の上には、まるで彼女が
幻だったかのように何もなくなっていた。このほんの短い間に、タバサはどこへ消えた? 
用を足しに席を立ったなんて訳では断じてあるまい。シルフィードが目を離していた間は
たったの数秒。普通に席を立ったなら、まだ部屋のどこかにいなければならないはずだ。
「お、お姉さま! た、た、大変なのね! お姉さまが――さらわれちゃった!?」
 思わず身を乗り出して、そう叫んでいた。

 部屋の中ももちろん、大騒ぎになっていた。カステルモールを始めとして、騎士や使用人らが
タバサの消滅に大混乱を起こしている。
「し、シャルロットさまが本当に消えてしまわれた!」
「おい! 誰かその瞬間を見ていた者はいないか!? 衛士、人形七号がどこへどうやって
さらわれたか、見ていなかったのか!」
「わ、分かりません! 本当に、何の前兆もなく消えてしまって……!」
 カステルモールはこの世の終わりかのような顔をしている。他の者たちも腰を抜かす者、
現実が受け入れ切れずに立ち尽くす者、狂ったようにわめき立てる者と様々な反応だが、
全員がタバサの身を強く心配していた。皆、心の底ではタバサを慕っているのだ。
 そしてイザベラは、周りの喧騒が耳に入っていないかのように呆然としていた。
「ほ、本当に、消えてしまった……」
 実はイザベラは、言うほど真剣に人間消失の危険を重大に受け止めてはいなかった。街の不穏な空気とは
縁遠い場所にいるので、自身の周りにそんな事件が発生するとは本気で考えていなかったのだ。それでも一応
念のためにと、タバサを呼びつけたのだったが……。
「まさか、本当にシャルロットがさらわれるなんて……」
 とつぶやいてから、ハッと我に返って自分に言い聞かすように発する。
「ふ、ふん。あの“人形娘”も、所詮は人の子だったってことかしら」
 と強がってみせるも、その顔からは、複雑な感情の色が強く表れていた。
 しかし……その時に、自分の視界がいきなりグルグルと回転するのを感じた。
「えッ!? な、何!?」
 突然の事態に驚愕するイザベラ。だが自分の身に起こっていることを呑み込む暇すらなく、
どこか別の場所に身体を投げ出された。
「あいたッ! な、何なのよ、一体……」
 したたかに打った腰をさすりながら立ち上がって、周りを確認する。
 ここは、プチ・トロワの室内ではなくなっていた。雑木林の真ん中のような、同時にジャングルの
真っ只中のような……不気味な雰囲気の森林の中であった。少なくとも、ヴェルサルテイルの周辺には
こんな森はない。そして周りには、人の影一つない。完全に孤立していた。
「う、嘘でしょう!? まさか、わたしまでどこかへ連れさらわれたの!?」
 イザベラの問いに答える者はいないが、彼女はそれが正しいと実感した。
「ど、どうしてこんなことになるのよ! これじゃあ、シャルロットを影武者に仕立てた意味が
ないじゃない! 衛兵は何をやってたのよッ!」
 身に降りかかった理不尽に憤慨するが、それに取り合う人間もいない。やがて虚しいことに気づいて、
仕方なくトボトボと歩き出す。
「はぁ……とにかく、ここがどこかだけでも確かめないと……」
 力のない様子で森の中を彷徨うが……その時に、身体のそこかしこに妙な違和感を覚えた。
「ん? 何かしら……」
 ふと自身の身体を見下ろすと……いつの間にか身体に、巨大なダニのような虫が何匹も張りついていた!
「いッ、いやあああぁぁぁぁぁぁぁッ!?」
 イザベラも女の子。こんなおぞましいものには耐えられない。半狂乱になりながら虫を払いのけ、
一匹を手で叩き潰す。
 弾けた虫の後には、赤い血がベットリと付着していた。吸血生物なのだ。
「ひぃッ……!」
 顔が引きつるイザベラだが、どうにか冷静になって杖を引き抜くと、魔法の光を払った
吸血虫たちに放ち、一匹残らず焼き尽くした。
「はぁ、はぁ……ど、どうなってるのよ、この森は……」
 虫を死滅させると、イザベラは大きく息を切らした。狂乱のあまり、必要以上に精神力を削ってしまったのだ。
 ともかく、これで安心……と思いきや、急に足が引っ張られてその場で転倒した。
「きゃあッ! な、何!?」
 今度は何だと足を見れば、両足首に蔓のような植物が巻きついて彼女を引き倒していた。
「こ、このッ、植物なんかがわたしに触れるんじゃないわよ……!」
 イザベラは魔法で植物を切ろうと思うも、虫相手に魔法を使い過ぎて、うまく発動することが出来なかった。
「ギャアアアアァァァァ!」
 更には茂みの中から、人間ほどの大きさがある蜘蛛のような怪物が、三つの鼻の穴から
青黒い煙を噴出しながら出現した。人食いの小型怪獣、グモンガだ!
「ひッ!? い、いやあああああぁぁぁぁぁぁぁッ!」
「ギャアアアアァァァァ!」
 命の危険を感じて絶叫するイザベラだが、足に植物が巻きついていて逃げることが出来ない。
グモンガは恐慌する彼女の遠慮なくにじり寄っていく。
「い、いやぁッ! 誰かッ! 誰か助けてぇぇぇ――――――――――!」
 恥も外聞もなく喚くが、グモンガは無情にも大口を開いてイザベラに食いつこうとする……!
 その瞬間に、一陣の突風が巻き起こった。風はグモンガを吹き飛ばし、イザベラから引き離す。
仰向けに倒れるグモンガ。
「ギャアアアアァァァァ!」
「えッ、今のは……」
 グモンガの反対側から飛び出してきたのは、タバサだった。プチ・トロワから離れたからか、
『フェイス・チェンジ』が解けて元の顔に戻っている。彼女は隠し持っていた杖に魔法の刃を纏わせて、
それで植物を切り払ってイザベラを助けた。
「し、シャルロット……」
 まだ腰が抜けているイザベラを、タバサは背にかばう。その時にグモンガがひっくり返って再び迫り出した。
「ギャアアアアァァァァ!」
「……『ウィンディ・アイシクル』」
 呪文を唱えるタバサ。杖の先から氷の槍が飛び、グモンガの脳天を貫いた。グモンガは最後のあがきに
ガスを噴き出したが、すぐに目の光が消えてガクリと倒れ伏した。
「……怪我は?」
 一旦危険が去ると、タバサはイザベラに短く問いかけた。
「な、ないわ……」
「そう」
 それだけ確認して、正面に向き直る。そのそっけない態度に、イザベラはむかっ腹が立った。
「人形七号! いるならさっさと助けに来なさいよ! 主のわたしの危機に真っ先に駆けつけるのが、
北花壇騎士のあんたの仕事でしょうが! ……って、それより、その格好はどうしたのよ?」
 タバサの服装は先ほどのドレスのままだが、袖が肩から千切れていて、スカートの裾は膝の上まで
切り下とされていた。このことについて、タバサは短く答える。
「動きづらかったから、千切った」
「ち、千切ったって……冠もどこへやったのよ!?」
「重いから置いてきた」
「お、置いてきたぁ!? 信じられないッ! あの冠はわたしのものなのよ!? 何てことしてるのよ!!」
 ガミガミとタバサを叱りつけるイザベラ。だがタバサはいきなり顔色を変えると、イザベラの
口を手でふさいだ。
「んぷッ!? な、何を……!」
「静かに! ……駄目、気づかれた……!」
「パア――――――オ!」
 木々の向こうから、獣の雄叫びが聞こえた。
 直後に森にはふさわしくないような、長い牙の海獣型の巨大生物がメキメキと木々を踏み倒しながら、
タバサとイザベラの方へと進撃してきた! 四次元怪獣トドラだ!
「か、怪獣……!」
「早く、こっちに!」
 タバサがイザベラの手を引き、トドラとは反対方向へ駆け出す。二人を追いかけるトドラ。
 しかし、小柄な体躯に見合わず全身を鍛え抜いているタバサと違い、日頃寝そべってばかりの
イザベラに体力はない。すぐに息切れを起こす。
「はぁ……はぁ……ち、ちょっと待って……」
「待てない」
「で、でも足が……あぁッ!」
 イザベラは足がもつれて転倒する。焦るタバサ。トドラはなおも執拗に追いかけてきている。
 こういう時に頼れるシルフィードはいない。仕方なく『レビテーション』でイザベラを
持ち上げようとするが、トドラはもうすぐそこまで迫ってきていた!
「パア――――――オ!」
「きゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
 絶叫するイザベラ。最早魔法を発動している暇もない。二人の命運は、こんなところで
おしまいになってしまうのか!?
 ズシン……ズシン……。
「?」
 さしものタバサも青ざめたその時、何か重いものの足音がかすかながらも聞こえた。トドラの
ものではない。トドラはもう立ち止まっている。
「な、何……まさか、新しい怪獣……!?」
 ますますおびえるイザベラ。最早地響きのような足音は、徐々に大きくなっていく。どうやらこちらに
近づいてきているようだ。
「パア――――――オ!」
 トドラがタバサたちから目を離し、その足音の主の方向へと身体の向きを変えた。
 そして、タバサとイザベラの目にも、足音の主の姿がはっきりと映った。
「あれは……!」
 それは怪獣とは異なる、巨人であった。銀と赤と青の体色。トサカ状になっている頭部の額には
クリスタルのようなものが埋め込まれている。胸には金色のプロテクターと、青い輝きの発光体……。
「あ、あれが噂の、ウルトラマンゼロ……?」
 ゼロを見たことのないイザベラがつぶやくが、タバサは否定する。
「違う……新しい、ウルトラマン……」
 実物を知るタバサは、ゼロとは別人だとすぐ分かった。『ファンガスの森』で目撃したウルトラマンの
方に似ている。しかし彼、ウルトラマンガイアとも異なる戦士であることも明白だった。
「シュワッ!」
 二人にとって未知のウルトラマンは、やや前かがみのファイティングポーズを取ってトドラと対峙した。
「パア――――――オ!」
 トドラは自分よりも巨躯の巨人に対し闘争心を駆り立てられたのか、一直線にウルトラマンへ
突撃していく。ウルトラマンはどっしりと足を開いて構え、それを待ち受ける。
 そして、トドラが激突! 舞い上がる膨大な量の砂埃!
 だが、ウルトラマンは微動だにせずに突進を受け止めた!
「す、すごい力……!」
 イザベラがあんぐりと口を開いた。ウルトラマンの強さというのを伝聞でしか知らない彼女にとっては、
巨大怪獣を物ともしないウルトラマンの超パワーは新鮮だった。
「ンンンンンッ! デヤァァァッ!」
 ウルトラマンは受け止めたトドラをそのまま抱え込み、モリモリと腕の筋肉を際立たせて、
トドラの巨体を持ち上げヒコーキ投げ! トドラが重力を無視しているかのように軽々と空へ飛ばされていく!
「パオ――――――――!?」
「ジュアッ!」
 投げ飛ばしたトドラへ向けて、ウルトラマンは両腕を十字に組んだ。その右手から青白い光線が
ほとばしり、日輪の如き光の輪を発しながらトドラに直撃。トドラは一瞬で、空中で跡形もなく爆散した。
「強い……!」
 新たなウルトラマンの実力に感服するタバサ。目にした光の戦士は三人目の彼女だが、
今目の前のウルトラマンは何の苦もなく怪獣を圧倒した。何ともパワフルな、凄腕の戦士だと見受けられる。
 トドラを瞬殺したウルトラマンは振り返って、タバサとイザベラの方を見下ろした。ウルトラマンを
見慣れていないイザベラは思わずたじろぐ。
「フッ!」
 するとウルトラマンは、安心させるかのようにサムズアップをしてみせた。
「……?」
 ハルケギニアにはサムズアップがないので今一つ意味は伝わらなかったが、敵意がないことは
イザベラにも感じ取れた。
 そしてウルトラマンは光を発しながら、スゥッと消えていった。その後二人がしばし立ち尽くしていると、
森の奥から人影が駆けてくる。
「おーい! そこの君たち! 怪獣に襲われてたみたいだったけど、大丈夫だったか?」
 灰色と赤色を基調とした、身体にピッチリとくっつく、ハルケギニアにはないタイプの服装で
固めた青年だ。爽やかというより、熱血という雰囲気を放っている。袖には大きな「S」の上に
「GUTS」という形の模様を描いた紋章が縫い込まれている。
「大丈夫……」
 タバサが思わず返答すると、青年は安心したようにうなずいた。
「よかった。危ないところだったな。怪獣はダイナが倒してくれたし、しばらくは安全だろう」
「ダイナ……あのウルトラマンは、ダイナという名前……?」
「ああ。ウルトラマンダイナだ!」
「ち、ちょっと待ちなさい!」
 気さくにタバサと話している青年に、イザベラが問いかける。
「あんたは一体誰なの? いきなり話し掛けて、名前も名乗らないなんて失礼だわ!」
「俺か? 俺はいわゆる風来坊さ」
 自身をそう称する青年は、ニカッと笑いながら名乗った。
「名前はアスカだ。よろしくな!」


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