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第五十四話「共生の空」


ウルトラマンゼロの使い魔
第五十四話「共生の空」
共生宇宙生命体ギラッガス
宇宙鳥人アイロス星人 登場



 行商人と翼人の女から、宇宙生命体の正体を晒した「ギラッガス」というコンビ。人間の姿に
化け直した二人を捕らえたミラーとタバサは、尋問を続けて様々な情報を聞き出した。
「俺たちの種族は定住の地を求め、大宇宙を放浪している。地球人には「ギリバネス」という名前で呼ばれている」
「私たちは二人で一人を構成する、共生生命体よ。吸血生物の私が彼から血をもらう代わりに、
飛行能力を授ける「翼」の役割をこなすの」
 ギラッガスの二人が語った自分たちの生態に、タバサは若干関心を持った。違う種の生物同士が
足りないところを補い合って生きていく『共生』は知っているが、知的生命体でそれを行うという話は
聞いたこともない。世界にはそんな生き物も存在するのか。
 パートナーという点では、メイジと使い魔の関係に似てなくもないが、彼らの間にはどっちが
上とかは存在せず、対等の立場であるとのことだった。
「俺たちは初め、ヤプール人の誘いに乗って群れでこの星へやってきた。目的はもちろん、
ハルケギニアの土地をいただくことだ」
 ギラッガスの男は続けて語る。
「やはり、宇宙人連合の仲間だったのですね」
「ああ。だが……最初の攻勢の時に、ウルトラマンゼロがトリステイン攻撃担当を瞬く間に
撃破したところを目の当たりにした群れのトップは、早々に侵略を諦めて元の宇宙への退却を決定した」
「私たちは、この星が文明の進んでない原始的な星と聞いたから侵略に乗り出したの。以前地球に
侵攻した時は、手痛い目を見たから……。あの時と同じようにウルトラ戦士がいるというのも、
上が震え上がった理由の一つよ」
「俺はそれが頭に来た! 一度ならず二度までも怖気づきやがって! そんな弱腰じゃあ、
いつまで経っても安住の地など見つかりっこない! 一人でもこの星を奪い、腰抜けの群れを
見返してやる! そう考えて俺は群れに反抗し、追放者「ギラッガス」となってまで
この星に留まった。胸の傷は、その時に証として刻まれたものだ」
 男の胸には、変身してもなお傷跡がくっきりと残っている。
「だが……考えが甘かった。俺たちよりずっと強い連中がウルトラマンゼロに次々と敗れただけじゃなく、
奴には強力な味方までいる。お前たちのことだ、ミラーナイト……」
「どうも」
「状況は日が経つごとに悪くなるばかり。単騎での侵略は絶望的になった。しかし、群れには今更戻れない。
途方に暮れていたところに、連合の仲間の一人が独自作戦の協力を誘ってきた。それが今やっていることだ」
「その作戦というものは、どういうもの?」
 今度はタバサが尋ねた。
「人間に姿を変えて二つの集団に近づき、武器を与えて互いに争い合うよう仕向け、共倒れさせる作戦だ。
人間同士での戦いには、ウルトラ戦士は介入できないからな。ここエギンハイム村は、そのための実験場にされているのだ」
 やっぱり、そういうことだったのか。納得したミラーは、次にこう問いかけた。
「しかし、あなたたちは先ほど消極的な態度を見せてましたね。村の人たち、翼人たちに、
何か思うところがあるのでしょうか?」
 ギラッガスの男女はしばし気まずそうに黙ってから、観念したように吐露する。
「……最初は、この星の人間、亜人は、いつまでも争いを続ける野蛮な者たちと思って、
利用することに罪悪感はなかった。だが……正体を隠してエギンハイム村に入り込んでから、
それが間違いだと気づかされた。彼らは、浅慮で欲深いところもあるが、純朴で優しい部分の
大きい人たちだった。群れの仲間たちを思い出したよ……」
「翼人も、少しばかり保守的だけど本質は争いを好まない心穏やかな人たちばかりだったわ。
中には、違う種族同士で歩み寄り、愛を育んでいる者もいる。結果的に彼らを引き裂こうと
していることに、私たちは後悔しているわ……」
「何度か実験の中止を訴えたが、奴は聞く耳を持たない。奴は己の利益にしか興味がなく、
人間の命がどうなろうと構わないのだろうな。……いや、それは俺たちも同じだった……」
 うなだれてつぶやく男。
「……こうなった以上、今更じたばたしない。殺すなら殺せ。いや、俺たちを皆の前に引き出して
正体を明かすといい。それで争いは止まるはずだ」
 とミラーに告げるが、当のミラーは少し考えてから、次のように返した。
「いえ、今のところは、このまま解放することにしましょう」
「な、何!?」
 ミラーの言葉に、タバサも、当のギラッガスたちも驚愕した。
「馬鹿を言うな! 俺たちはお前の敵、侵略者だぞ! ふざけてるのか!?」
 訳が分からず、男が声を荒げると、ミラーは対照的に冷静に言った。
「今はもう、違うのでしょう?」
「なッ……!?」
「今のあなた方には、侵略の意思はない。悔い改めています。そんな人を、どうして罰することが
出来ましょうか。ですから、ここは見逃してあげます」
 タバサは目を丸くしてミラーに聞き返す。
「本当に?」
「ええ。彼らの言葉に嘘はない。保証しますよ」
 穏やかに微笑んだミラーだが、途端に表情を引き締めてギラッガスに向き直る。
「ただし、この村の争いを放置することも出来ません。私は明日にでも、真実を明かすつもりです。
そうなったら、あなた方は当然、この村にはいられなくなりますね」
「……」
「もし一度は踏み外した道を改めたいと思うのなら……自分たちがどうするべきか、明日までに
考えておいて下さい。では、もう行っていいですよ」
 ギラッガスの男女を立たせるミラー。二人はしばし呆然と彼の顔を見つめていたが、
やがてフラフラとその場を離れていった。
 ギラッガスがいなくなってから、タバサがミラーに尋ねかける。
「……彼らに何をさせるつもり?」
 それに、ミラーはこう答える。
「私が何をしてもらいたいのか、ではなく、彼らがどうしたいのか、です。私は、彼らがより良き
答えを出してくれるのを願っているだけですよ」
「……あなた、優しい」
「ふふッ。強く、そして優しい者こそが真の騎士だと、私は考えているんですよ」
 もう夜はすっかり更けている。ミラーとタバサも、明日に備えて村に戻ることにした。
「どちらにせよ、明日が正念場となるでしょう。英気を養っておかねば……」

 翌日……。エギンハイム村の人々は、陽が山の向こうから顔を出してすぐの早朝に、村のはずれの
広場にギラッガスの男から招集された。
「行商人さん、こんな朝っぱらからみんなを集めて、何をするつもりだい?」
「まさかこんなに大勢で、翼人どもに攻め込もうってのか?」
「……大事な話があるんだ。ついてきてくれ」
 と言って男に案内された先の広場に待っていたのは……。
「あッ! 翼人どもじゃねぇか!」
 何と、同じく大勢の翼人たちであった。彼らはギラッガスの女に連れられて、ここへ来たのだ。
翼人たちは、女の意図が分からずに不思議そうな顔をしている。
「この鳥ども、俺たちの村に勝手に入って何様のつもりだ……!」
 喧嘩っ早いきこりが一悶着起こそうとしたのを、男がすかさず止めた。
「待ってくれ! 俺たちの話は、この土地に暮らす人間、翼人両方に聞いてもらいたいんだ!」
「落ち着いて、私たちの話を聞いて!」
「どういうことだ……?」
「どうして彼女が、人間などとあんなに親しそうに……」
 声をそろえるギラッガスに、事情を知らない人間、翼人双方が疑問を持つ。
 この様子を、ミラー、タバサ、シルフィード、それからヨシア、アイーシャは人の輪から
外れたところから見守っていた。ヨシアとアイーシャは固唾を呑んで手を握り合っている。
「率直に言おう。もう争いはやめてくれ! ここにいるみんなは、俺たちに踊らされてたんだ!」
「本当はあなたたちは、争う必要なんてないのよ!」
 突然そんなことを言われても、人々は戸惑うばかり。それまで声高々に侵攻、抗戦を唱えていた者が
急に停戦を訴えたら、そうなるだろう。
「踊らされてたって……あんたたちは何者なんだ!?」
 サムが問いかけると、ギラッガスの男は重々しくうなずいた。
「俺たちの、真の姿を見てもらえれば、すぐに分かるだろう」
 そう言って、男と女は一瞬の内に本当の姿、怪人と羽型生物の正体を晒した!
「きゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「うわあああああああああああッ!!」
 当然沸き上がる悲鳴。人間の何人かは腰を抜かし、翼人たちは開いた口が塞がらない。
「あ、あんた、人間じゃなかったのか!」
「我々の仲間を騙っていたのか! 何ということだ!」
 誰かが叫んだ言葉に、怪人と羽、ギラッガスMとFは肯定した。
『そうだ。俺たちは外の世界からやってきた侵略者だ。この村には、争いを扇動し共倒れをさせる
実験のために来たのだ。それぞれが使っていた武器は、外観を変えただけの同じもの。村の繁栄も巣の防衛も、
初めから何もかも嘘だったんだ』
『騙していてごめんなさい。あなたたちをたくさん傷つけてしまったわね。処罰なら、いくらでも受けるわ』
 人間も翼人も、明かされた真実に恐慌していた。しかし村人側をなだめたサムが、ギラッガスにこう問い返す。
「あんたたち、何で今更それを俺たちにバラしたんだ?」
 ギラッガスは、熱を込めて人間、翼人両方に呼びかけた。
『俺たちはみんなと触れ合う内に、村も森も滅ぼす気がなくなった。そして思った。人間も翼人も、
どちらも素晴らしい種族だ! 争う必要なんて、全くない!』
『むしろ、手と手を取り合って生きていけば、私たちの嘘であった繁栄が、両方にとって真実になる! 
私たちはそう確信してるの!』
 と訴えられて、人間と翼人は唖然として互いの顔を見合わせた。そんな考え、持ったことなど
なかったというように。
『人間は作物などを育てる能力に優れる。翼人は空を飛べ、空の上からいい木を探せる。
お互いにお互いのないものを持っている。それを合わせれば、村も森も、今以上に栄える! 
俺たちは見ての通り姿が全く違う生き物だが、力を合わせて二人以上の能力を発揮する
共生を行っている。みんなにも共生は出来るんだ!』
『初めは上手く行かないことも多いでしょう。けれど、必ず分かり合えるわ。この土地には、
もう互いに手を取り合う素敵な二人がいるんだもの』
 既にミラーによって、ヨシアとアイーシャが送り出されていた。二人はやや照れながら、
人々の視線を一身に浴びている。
 人間も翼人も、ギラッガスの訴えで大きくざわついていた。
「翼人と共生を……そんなこと、考えたこともなかったぞ……」
「人間とともに生きてより繁栄するなど、本当だろうか?」
「でもあいつらが言ったことは、よく考えたらもっともなことだよ」
「言うことに間違いはない。不毛に争うより、ずっといいことではないか」
 突然のことに迷いは拭い切れていなかったが、少しずつギラッガスの言葉を認めてくれていた。
ギラッガスはもちろん、ヨシアもアイーシャもそれに表情を輝かせた。
「丸く収まりそう」
「ええ……」
 様子を窺っているタバサたちも、心を改めたギラッガスの行いが村を良い方向に進めていきそうに
なっているので安心していたが、ミラーは同時に顔を険しくする。
「しかし、問題はここからです。この事態に、黙っていない者がいますよ……!」
 それはもちろん、昨晩の発光体だ!
 果たして発光体の正体、巨大な皿型の円盤が村の上空に突如として現れ、人々の頭上に影を差した。
「うわぁぁぁぁッ! ありゃあ侵略者のフネだぁ!」
『裏切り者めぇッ! 蛆虫と羽虫どもに寝返るというのなら、この下らん集落と森ごと灰になるがいいわぁーッ!!』
 星人の怒声が鳴り響き、円盤の側面の四方に備えられた砲口が火を噴いた! ロケット弾が
村に、家に、森に降りかかり、瞬く間に火災が巻き起こる。人々は当然大絶叫を上げた。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁ! た、大変だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
「いけない! ――むッ!」
 ミラーが前に出るが、その瞬間に彼らの元にもロケット弾が発射される。
「危ないッ!」
「うッ!」
「きゅいきゅいー!」
 ミラーが咄嗟にタバサを押し倒す形でかばった。近くに着弾したロケット弾の爆風に、
二人とシルフィードは身体を大きく煽られる。
 円盤の発射口は、広場に集まっている人たちにも向けられる。
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
『みんな、逃げてくれ!』
 悲鳴の合唱を起こす人々に、ギラッガスMが叫んだ。
『この事態は俺たちが招いたものだ。俺たちが始末をつける! 行くぞッ!』
『ええ!』
 MとFが光に包まれたかと思うと、一瞬の内に巨大化。そしてMがその身を使って円盤の砲撃からの盾となる。
「ウオォッ!」
「あいつ……俺たちのために、あそこまで……!」
 Mが身を盾にしたことで、人々は皆砲撃から守られた。そしてFがその間に飛翔し、円盤に向かって光線を放った。
 だが円盤は砲撃を中止して回避行動を取ると、Fの方へ集中砲火を繰り出した。旋回して逃げるFだが、
濃い弾幕の前に瞬く間に追い詰められる。
「ウオォォンッ!」
 Fの窮地に、Mが地を蹴って跳び上がる。そしてFはMの背中に張りつき、両者は合体を果たした。
「おぉッ!? 何だあれ、すげぇ!」
 合体したギラッガスはロケット弾の雨を突っ切り、両腕と翼からの四条の光線で反撃。
円盤は内一本がかすめ、フラフラと高度を落としていく。
「やったッ!」
 悲鳴が歓声に変わるが、それはまだ早かった。円盤は上下、小と大の二機に分離して、
無傷の小円盤がレーザーでギラッガスと撃ち合う隙に、大円盤は野原に不時着して自動修理機能を働かせる。
 その間に大円盤からロボットアームが伸び、野原の上にカプセルを設置した。
「ウオォォンッ!?」
 速やかに修理を済ますと、小円盤が大円盤とドッキング。飛び上がった円盤は、レーザーを
カプセルへと発射した! カプセルは爆破し、中から鳥のようで鳥に似つかない、フクロウの
異形のような大怪物が出現する。
「ギャアアァァァ――――!」
 卑劣なるアイロス星人! アイロス星人は離陸すると、円盤とドッグファイトしている
ギラッガスに背後から襲い掛かって噛みついた!
「ウオォォォォォッ!」
「あぁッ! 汚ねぇぞ!」
 そしてアイロス星人は口から高熱を発し、ギラッガスの翼を焼く。ギラッガスは耐えられず、
野原の上に腹ばいに墜落した。
「ギャアアァァァ――――!」
 アイロス星人は口から光弾を連射し、ギラッガスを容赦なく追撃する。更にその上にのしかかり、
彼らを執拗に蹂躙する。
「ウオォォォォ――――――――!」
 もがき苦しむギラッガス。彼らは元々ハルケギニアの環境では巨体を長く維持できないことに加え、
アイロス星人の猛攻を前にして息も絶え絶えな状態となっていた。
「や、やめろぉー!」
 あまりにむごいアイロス星人の攻撃に、ヨシアが叫んだ。だが当然アイロス星人は止まらず、
それどころか分離した円盤が彼を狙っていた!
「危ない! とぁッ!」
 タバサに手を貸しながら起き上がったミラーは、近くに飛び散ったガラスの破片に映った己を見た。
その瞬間に彼はミラーナイトに変身し、飛び出しながら巨大化する!
『はぁッ!』
 腕を伸ばし、脚を折りたたんだ姿勢で飛び込んだミラーナイトは着地と同時にディフェンスミラーを展開。
ロケット弾からヨシアや人々を守る。
「あッ! 巨人だ!」
「ミラーナイトだ!」
 ミラーナイトはディフェンスミラーで人々の盾となるが、二機の円盤が交互に巧みに砲撃を
仕掛けてくるので、反撃の糸口を掴むことが出来ない。その間にも、ギラッガスは打ちのめされる。
「お姉さま、向こうの二人がピンチなのね!」
 タバサを乗せて飛翔したシルフィードが叫ぶが、彼女たちの体躯では巨人同士の戦いに
割って入ることはとても出来ない。ギラッガスはこのままやられてしまうのか!?
『ジャンファイト!』
 いや、ヒーローはこの場の者たちだけではない。空を見れば、彼方から紅白の鋼鉄の戦士が
こちらへ向かって急行していた!
『ジャンナックル!』
「ギャアアァァァ――――!」
 発射された鉄拳が、アイロス星人を殴り飛ばした。ジャンボットだ! ジャンボットがギラッガスの
側に着地し、彼らを助け起こす。
『大丈夫か!』
 間一髪間に合ったようで、ギラッガスはふらふらになりながらもうなずいた。しかし、
アイロス星人もまた宙を浮遊しながら舞い戻ってくる。
「ギャアアァァァ――――!」
『ジャンボット!』
『ミラーナイト、村は任せたぞ! 私はこの不埒者を討つ!』
『はい!』
 円盤の相手は引き続きミラーナイトに託すと、ジャンボットは空を飛びながら逃げるアイロス星人を追いかけていく。
 一方、村の人々にも大きな動きがあった。彼らは村や森を呑み込もうとしている火災に立ち向かおうとしている。
「俺たちもボサッとしてられねぇぞ! みんな、火を消し止めるんだ!」
「しかし、どうやって……。人工の火では、我々は操ることは出来ない」
 先住魔法は事前に自然の中の精霊と契約を交わさないと使用できない。また、翼人のそれは
エルフなどと比べると幾段か劣る。人為的に起こされた火を操作して鎮火することは出来ないのだった。
 しかし村のきこりは、ニヤッと笑った。
「人間の知恵を甘く見るなよ。ついてこい!」
 果たして村人たちが翼人を案内した先は、村の共用井戸であった。
「火を消すには水って、相場が決まってらぁ! 総出で掛かれば、こんな火事がなんぼのもんだ!」
「なるほど! すぐに取り掛かろう!」
 すべきことが分かると、翼人の行動は早かった。井戸の中の水の精霊と素早く契約し、
地下水を井戸から引っ張り上げて火災を起こしている家屋に浴びせかける。
「はぁ~、やっぱり魔法ってのはすげぇもんだ」
「おーい、この桶にも水を入れてくれ!」
 村人たちは役に立たない光線銃を捨てて桶に持ち替え、水を満たしてもらうとバケツリレーで
火を消し止めていく。手が余っている翼人も桶を貸してもらい、空から水を火へ被せる。
「えっほ! えっほ! えっほ!」
「ヨシア!」
「うん! アイーシャ!」
 全ての村人、翼人、ヨシアにアイーシャも、協力し合って火災に対応する。タバサも水と氷の魔法で
片っ端から火の手を弱めた。
「騎士さまも手を貸してくださってるぞ!」
「この調子だ! 鎮火はもうすぐだぞー!」
 人間、翼人、両方の共同作業により、村と森を焼き尽くそうとしていた火災は完全に消し止められた。
種族に関係なく、人々の間から歓声が沸き上がった。
「やったぁー!!」
 一方、全ての元凶であるアイロス星人はジャンボットと、森の中で激しい戦いを演じていた。
アイロス星人が吐き出す光弾の連射を、ジャンボットは肩の盾で防ぐ。
『ビームエメラルド!』
「ギャアアァァァ――――!」
 反撃のビームエメラルドを発射したが、アイロス星人は瞬時に翼を閉じて、真剣白刃取りのように光線を受け止めた。
『ジャンミサイル!』
 続けてジャンボットはミサイルを乱射。しかし、アイロス星人は翼を閉じた姿勢で高速回転。
その勢いで飛んできたミサイルを全て破壊した。
「ギャアアァァァ――――!」
 回転を止めて、翼を開いたアイロス星人は無傷だ。ジャンボットは下手な攻撃は効かないと見て、
腕を下ろしてじっと敵を見据える。
 互いに、迂闊な行動を見せない。ジリ、ジリ、とすり足で少しずつ間合いを計りつつ、相手の出方を窺う。
「……ギャアアァァァ――――!」
 痺れを切らしたのは、アイロス星人だった。再び光弾の連射を仕掛けたが、ジャンボットは
片膝を突いてしゃがむことで、すれすれで光弾をかわす。
 そして相手が防御態勢を取れないところに、ビームエメラルド!
「ギャアアァァァ――――!!」
 顔面に必殺技の直撃を食らったアイロス星人は炎上。爆散した。
 アイロス星人が倒れても、村を狙う円盤は飛び続けていた。しかしそちらにも、終わりの時は近づいていた。
ミラーナイトはナイフを投げつけながら、密かに鏡を張り巡らせていたのだ。
『そこだッ!』
 タイミングを見計らったミラーナイトが何度目かのミラーナイフを放った。円盤二機はさっとかわすが、
空に固定されていた鏡でナイフが反射。
 その結果、はね返ってきた光刃は回避できずに円盤は両方とも真っ二つ。粉々に爆発して消滅した。
 人間、翼人、そして巨躯の戦士たちが持てる力を合わせたことにより、エギンハイム村も翼人の巣も
破滅を免れることが出来たのであった。

 人間と翼人を皆殺しにしようと目論んでいた悪しき侵略者は倒れ、ジャンボットは宇宙へと帰還していった。
ミラーナイトはこっそりとミラーの姿に戻り、タバサの隣に並んだ。
「それじゃあ、人間も翼人も、これからは手に手を取って生きていくんだな」
「みんな無事で……共生することが出来るようになって、本当に良かったわ」
 人間と翼人の姿に再変身したギラッガスM、Fは、森の人々の宣言を受けて満足そうにうなずいた。
 これまで長い間、同じ土地に暮らしながら互いに理解を示さなかった人間と翼人の両種族。
しかしこれからは、異種族の男女の魂の説得と、一大危機をともに乗り越えたこと、そして両種族の
若いカップルが架け橋となり、共生して繁栄していくことだろう。
「ところで、ギラッガス……さん、でしたっけ。お二人はこれからどうするんですか?」
 ヨシアがギラッガスに尋ねかけ、アイーシャがこう申し出る。
「帰る場所がないと言ってましたが、それが本当なら、私たちの本当の仲間になるのはどうでしょうか?」
「え? いいのですか?」
 Fが驚いて聞き返す。
「ええ。初めは私たちの敵だったかもしれませんが、今のあなたたちは身を張って私たちを
救ってくれたじゃないですか。それを迎えるのに、問題があるでしょうか。みんなも、そう思うでしょう?」
 アイーシャの問いかけに、翼人たちが次々うなずく。
「アイーシャさまのおっしゃる通り。それに、ある意味ではあなたたちが我々と人間の和解の立役者だ。その礼もある」
「これから翼人と一緒に生きてくんだ。もう一人、別の亜人が増えたって同じことだ!」
 サムたち村人も歓迎する。それにギラッガスの二人は嬉しそうに微笑んだが、顔を見合わせると、彼らに返答した。
「ありがとう。しかし……俺たちは、元の群れに帰ることにするよ」
「あなたたちを見ていて、考え直したの。私たちもやり直そうって。まだ他人の土地を奪おうと
さすらっている群れも正しい方向へ導きたいの。だから、名残惜しいけど、さよならを言わせてもらうわ」
 と言うが早いや、ギラッガスは元の姿に変身し、すぐに村から飛び立って大空の彼方を目指す。
「あっ……!」
『皆さん、さようなら! いつまでも助け合って、より良い村を作ってね!』
『俺たちは、この大空の果てから見守っているぞ!』
 ギラッガスが大きく手を振りながら、ガリアの大地から遠ざかっていく。
「さよーならー!!」
 森の住人たちは、手を振り返してそれを見送った。
「……一件落着ですね」
 この明るい未来を示唆する光景を、ミラーたちが温かく見守っていた。

 エギンハイム村の事件は綺麗に片づいた。タバサも人々のお礼の言葉を受けながら村を発って、
報告のために王都リュティスを目指す。
「お姉さま、今回はとっても素敵な結末でしたわね! 違う種族で理解し合うなんて、わたしと
お姉さまみたい! きゅいきゅい!」
 自分の背の上に跨るタバサに上機嫌で話し掛けるシルフィードだが、タバサはもう本に
没頭していて返答しない。それでも構わずシルフィードは話し続ける。
「特にあの人間の男の子と翼人の女の子は、すぐに結婚式を挙げそうなくらい熱々だったのね! 
お姉さまも誰かと結婚なさればいいのに! ああ、まずは恋人ね! 恋人ってすてき! お姉さまも
早くおつくりになって! 誰がいいかな? でも、トリステイン魔法学院にいる魔法使いたちは
みんな気取ってるからシルフィ好きじゃないの。となると誰がいいかなー、うーん……」
 一人で盛り上がるシルフィードは頭をひねった末に、何かを思いついた。
「ああ! あの桃色の髪の子が呼び出した、不思議な感じのする平民の男の子! なんか気さくで、
陽気で、シルフィあの人好きよ。お姉さまがはじめてお付き合いをするにはぴったりじゃない? 
きゅいきゅい! そうと決まったら早速、今度デートに誘いなさい!」
「ばか」
 とうとうタバサに頭を小突かれた。
 しかし、魔法学院に戻ればシルフィードは楽しくおしゃべりできない。だから文句を言われながらも、
いつまでもいつまでもしゃべり続けていた。


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