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幕間その四「開戦前夜」


ウルトラマンゼロの使い魔
幕間その四「開戦前夜」
電撃怪獣ボルギルス
浄化宇宙人キュリア星人 登場



「どうよミラーちゃん! この帽子、イカすだろ?」
『はぁ……』
 アルビオンから最も近いトリステインの港町、ラ・ロシェールの宿の一室で、グレンが机の上の鏡に
映ったミラーナイト相手に、海賊風の帽子を被った姿を自慢していた。
「さっきそこのバザーで見つけたんだよ。これ見てると、ガル船長たちを思い出してさぁ。
船長たち、今頃元気でやってるかねぇ」
『それはいいのですが……グレン』
 帽子を被って子供みたいにはしゃぐグレンに呆れ気味のミラーナイトは、こんなことを尋ねる。
『前から言おうと思ってましたが……あなた、いえ、あなたが借りているウェールズさんの身体、
随分とガッシリしましたね……。何と言うか、グレンファイヤーの肉体に少しずつ近づいているような……』
 ミラーナイトの指摘した通り、グレンの肉体=ウェールズの身体は今、皇太子だった頃と比べて
大分マッシブになっていた。露出した腕には筋肉が目立ち、肌は小麦色に日焼けしている。
直に細マッチョの段階を突き抜けそうだ。
「あッ、分かるか? へへッ、大分身体作りが出来てきたってことだな」
『身体作りって……わざとやってるんですか?』
「当ったり前だぜ! 男の魅力といやぁ何と言ってもたくましさだからな! 一時的な身体といえども、
ほっそりなのはこのグレンファイヤーには似合わないぜ」
 元のウェールズも決して鍛えてなかった訳ではないのだが、グレンファイヤーはお気に召さなかったようだ。
『そうでなくて……返事は得られないとはいえ、無断で身体を改造するような真似をするのはどうでしょうか?』
「なぁに、ウェールズさんだって喜んでくれるだろ。聞いた話じゃ、割と戦士の気質だっていうしさ」
『だといいのですが……ともかく、ほどほどにしてあげて下さいね。いつかは返す身体なんですから』
 ふぅとため息を吐いたミラーナイト。それから、語調を一新して話題を変更した。
『それで、グレン……あなたは、本当に人間の戦争に参加するつもりなのですね?』
 真剣な口調であった。グレンもそれに感応されたかのように、たたずまいを直す。
「……ああ。グレンファイヤーの姿でトリステインに肩入れするのはまずいが、今の人間の姿で、
人間として戦うんだったら問題ねぇだろ?」
『それはそうですが……』
 明日、夜が明ければ遂にトリステイン・ゲルマニア連合とアルビオンの正面戦争が開戦する。
まずは明朝に連合の飛行船団がアルビオン大陸の港を押さえ、そうしたら軍の本隊がここラ・ロシェールから
飛行大陸に上陸する作戦となっている。そのため、今のこの港町には参戦を待つ兵士や傭兵が
数え切れないほど集っている。
 そしてグレンも、その傭兵の一人に入っているのだった。ヤプールの陰謀が引き起こした
戦争の早期終結のために、何か力になりたいと心から思っての行動である。
「そう暗い顔するなよ。俺は人を殺すつもりなんてねぇ。もちろん俺の見てる範囲でそんなこともさせねぇ。
あくまで、相手を無力化して命を助けながら勝つために戦うんだ」
 と力強く宣誓するグレン。人間の力だけしか使えない状態でそれは大変難しいということは
彼も理解しているが、それでも本気でやるつもりなのは明白だった。
「ミラーナイトは、静観を貫くんだよな?」
『ええ……』
 対してミラーナイトは、人間との戦いは絶対にしないつもりであった。彼ははっきりと言う。
『私は鏡の世界の、守護の騎士。如何なる理由があろうと、攻めるための戦争に荷担することは出来ません』
 ミラーナイトは、元は惑星エスメラルダの守護騎士。そしてエスメラルダは、高い科学力を
平和のために用い続けることを誓っている惑星。侵略戦争などしたことはなく、ミラーナイトも
そのような争いはしないことを誇りとしている。彼が戦う時は、あくまで「何かを護る」時だけだ。
『これは私の矜持ですので、グレン、あなたに強要するつもりはありませんが』
「分かってるって。俺もお前を非難するつもりなんてこれっぽっちもねぇよ」
 守護騎士と元海賊の用心棒という身分の違いから来る、意見の相違。しかし二人とも、
お互いの意見を理解して尊重していた。両者の間に、どちらが正しいとか悪いとかはないのだ。
「けど……俺だって、戦争なんてない方がいいとは思ってるさ。喧嘩は好きだが、戦争はなぁ……」
『そうですね……。未然に防げないのが、口惜しい限りです……』
 ただ両者とも、その思いだけは共通していた。戦争は人が死ぬ。これは避けられないことだ。
そして二人とも、罪のない人々が戦争に駆り出されて命を散らしていく様を見るのは耐え難い思いでいる。
ベリアルがアナザースペースに攻め込み、大勢の命が犠牲になったかつての悲劇を思い出してしまう。
 これを阻止するには、裏で糸を引くヤプールを倒す以外にない。だが、ヤプールはその性質上、
こちらから攻撃を仕掛けることが出来ない。何も手を打つことが出来ないまま戦争が始まってしまい、
ミラーナイトもグレンファイヤーも悔しい気持ちでいっぱいだった。
「……ゼロとサイトは、このこと、どう思ってるだろうな……」
『……』
 ふと二人は、今ははるか空の上の才人たちに思いを馳せた。港を押さえる先制攻撃に、
才人たちは早くも参加するのだ。その時に、グレンたちよりも早くに人の死を
目の当たりにすることだろう。あんなことがあったばかりなのに……。
 宿の一室には、陰鬱とした空気が沈滞し続けた。

「……学院も、大分寂しくなってしまいましたね……」
 魔法学院ではシエスタが、ジャンボットの腕輪に話し掛けていた。
 学院はほとんどの教師や男子生徒が徴兵されたことで、すっかりがらんどうのありさまとなっていた。
そして残った女子生徒や平民の使用人の間にも、ずっと重い空気が流れている。
 それは、昨晩にコルベールが超獣の襲撃の犠牲となったからだ。普段は昼行燈な奇人変人で
知られていたコルベール。それが本当は勇敢な戦士で、その上この学院で命を落とすことになるとは、
一体誰が予想していただろうか。
 人の死を目の当たりにしたことで、男子の徴兵からふさぎ込みがちだった女子たちは余計に意気消沈していた。
『私たちがもっとしっかりとしていれば、教諭が犠牲になることはなかったのだ……。私ともあろうものが、
何たる不覚……! 故郷の姫さまに顔向けできぬ……!』
「ジ、ジャンボットさん、そんなに自分を責めないで下さい! 皆さんは、必死に戦って
わたしたちを守ってくれたじゃないですか! あれは、どうしようもないことだったんですよ……」
 責任感の強いジャンボットが己を責めるので、シエスタは懸命に慰めた。そしてふと、あることを気に掛けた。
「サイトさんに、ミス・ヴァリエール……ご無事で帰ってくるでしょうか……。心配です……」
 戦争に出掛けた二人。その安否を案ずるシエスタ。何でも二人は前線に立つ役割ではないので、
そうそう危険があるとは思わないが……。
『あの二人であれば、無事であるだろう……と言いたいところだが、実際どうなるかは、
私にも分からない。もしかしたらという可能性は、常に考えておくべきだろう』
「そんな……!」
『厳しいことを言うが、事実だ。戦争は、どれほど腕の立つ者であろうと死の危険をぬぐい去ることは出来ない。
ゼロも、戦争に身を投じる者を助けることは許されないからな……』
 もし才人かルイズが戦場で、人の手で命を落とすような事態になったとしても……その時ゼロは、
二人を助ける行動を取ってはならない。非情なようだが、それが大宇宙の決まりごとなのだ。
『戦場に立たない私たちに出来るのは、二人の無事を祈ることのみだ。ロボットの私が神頼みというのも
奇妙かもしれないが……せめて、祈りを捧げることだけはやっておこう。本当に何もしないのは寂しすぎるものだからな』
「そうですね……。始祖ブリミルよ、どうかサイトさんとミス・ヴァリエールをお見守り下さい……」
 シエスタは手を組み、空の果ての神と才人たちに思いが届くように、真剣に祈った。

「グイイイイイイイイ!」
「ふふッ、いい子ね」
 ラ・ヴァリエール領の屋敷の林では、カトレアがボルギルスの頭を撫でていた。と言っても、
ボルギルスが大きすぎるので実際は顎の辺りだが。
「カトレアお嬢さま、こんなところにいらっしゃいましたか」
 そこに彼女を探しにやってくるヤマノ医師。彼は小言を告げる。
「いつも言いますが、遅い時間まであまり出歩かないで下さい。お嬢さまに万一のことがありましたら、
私は旦那さまにお顔向けが出来ません」
「ふふ、ごめんなさい。お食事後のこの子と戯れていたら、つい時間を忘れてしまって」
「そうやっていつも笑ってごまかされるんですから……」
 にっこり微笑むカトレアに、ヤマノは肩をすくめてため息を吐く。だが彼も彼でカトレアの笑顔に弱く、
いつもなし崩し的に許してしまうのであった。
 ちなみにボルギルスの食料は、電気。持病のせいで魔法を使うとひどく消耗するカトレアに代わり、
母カリーヌが雷の魔法でボルギルスに食べさせている。そのお陰でボルギルスは空腹に困ることなく、
常に大人しくしている。
 もっとも、ボルギルスの食す電力は発電所でも賄うのが難しいほどに膨大。それを人の身で発電するとは……
いや、それを言ってもしょうがない。“烈風”カリン。それはトリステインの伝説なのだ。
「グイイイイイイイイ!」
 ボルギルスがドスンドスンと林の奥へ去っていく。手を振って見送ったカトレアは、
ヤマノにこんなことを尋ね掛ける。
「ヤマノ先生、ルイズと彼女の使い魔くんは、今頃空の上でしょうか?」
「は? えぇ……そうですね。作戦が予定通り進んでいるのなら、そのはずです」
 ヤマノは公爵づてに耳に挟んだ情報を思い返し、肯定した。
「……あの可愛いルイズが、本当に戦争に行ったのですね……。わたしも後押ししたとはいえ……」
「……」
 ぼんやりと空を見上げていたカトレアは、ヤマノに向き直って頼む。
「先生。少し、先生の本当のお姿を見せてもらっていいでしょうか?」
「え!? お、お嬢さま、それは……」
「大丈夫、何の問題もありませんわ。わたしたちの屋敷に、あなたのことを知らない人は
いないことはもうご存知じゃないですか」
 戸惑ったヤマノだが、説き伏せられて観念し、その姿を歪ませて、別の姿を晒した。
 人間でも、ハルケギニアに存在するあらゆる生物とも似つかぬ異形の姿。それがヤマノの真の姿。
彼は外宇宙からこの星に迷い込んだキュリア星人なのだ。
『見ていて気持ちのいいものではないでしょう。お嬢さま方にとって、この姿は気味の悪いもののはずだ……』
 居心地の悪そうなキュリア星人に、カトレアは苦笑を向ける。
「確かに、あまり見慣れない姿ではあります。けれど、それが何でしょうか。先生がとてもいい
お方であることは、よく知ってます。姿形なんて、その前ではどうでもいいことですわ」
『お嬢さま……』
 微笑んでいたカトレアだが、そこで表情を歪ませる。
「そう、別の世界からいらした先生とわたしたちがこんなに分かり合えているのに……
どうしてわたしたち人間同士で、戦争をしなければならないのでしょうか……。戦争さえなければ、
あの子も危険を冒さずによかったのに……」
『アルビオンの人たちが悪いのではありません。彼らを操り、戦争を煽る者の仕業です』
 アルビオンを庇うキュリア星人だが、カトレアは同意しなかった。
「わたしは、そうは思いません。たとえ誰が裏につこうと、平和を愛する当たり前な心があるのならば、
侵略戦争を拒否することは出来ると思います。それなのに……どうして身分のある方には、命を最も
大事とする方が少ないのでしょうか……」
『……お嬢さま……』
「わたし、いつもそれだけが残念でなりません……」
 辛そうに目を伏せるカトレアに、キュリア星人は何の言葉も掛けることが出来なかった。
何を言ったところで、彼女の慰めにはなるまい。
「……ルイズ、どうか、必ず帰ってきて……」
 優しくはあっても、力を持たないカトレアは、そう祈ることだけしかなかった。


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