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暗の使い魔‐02


今日この日、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは最も混沌とした時間を過ごしていた。

2年生の使い魔召喚の儀式、それはメイジとしての資質を見る重要な機会。
そして、メイジの生涯のパートナーを呼び出す、神聖なる儀式であった。
彼女のこの儀式に掛ける思いは、半端な物ではなかった。
この機会に誰よりも、賢く、立派な使い魔を召喚し、学園の皆を見返してやるのだ。
そうすればきっと、自分のこれまでの努力は報われる。ルイズはそう信じた。
だがしかし、蓋を開けてみればどうであろう。そこに現れたのは人間の男。
それも、両腕に鉄球をくくりつけた、みすぼらしい囚人のような平民だった。

今日のこの時ほど、彼女が落胆した瞬間はなかったであろう。
オマケにコントラクトサーヴァントでは、自分のファーストキスを不本意な形で奪われる始末。
最も、契約の形はもともとキスと定められているので、結果的には大きく変わらないのだが。
彼女にとっては踏んだり蹴ったりであった。
そしてさらには使い魔の男である。
役に立ちそうに無いばかりか、自分は別の世界から来ただの、未来のテンカビトだの、よくわからない妄想をぶちまける。
そして仕舞いには、目を離した隙に逃亡を企てる始末。

「冗談じゃないわ!もう!」

なぜいつも自分はこうなるのか。なぜ努力を続けても、裏目ばかりなのか。
彼女もまた、この理不尽な現状を呪わずには居られなかった。
自分の目前で、逃げる使い魔をレビテーションで捕らえたクラスメイトが言う。
「全く自分の使い魔の管理くらいしっかりしてほしいものだね」
「(わかってるわよ……)」
この程度の嫌味など、普段は何気なく流すルイズである。
しかし、今日この時だけは、ただの言葉が彼女の心に深々と突き刺さった。
「まあいい、彼を部屋まで運べばいいんだね?」
ギーシュの言葉に頷き、そのまま力なく俯く。
なぜ自分は何も出来ないのだろう。
基礎の魔法であるレビテーションでさえ、クラスメイトに助けてもらわなければ使えない。
ただただ悔しかった。拳を固く握り締め、目を強く瞑る。と、その時だった。
「うわあっ!?」
ずどん!と地面に衝撃が走り、土埃が舞い上がった。
「きゃっ!?」
あまりの振動と吹き飛ぶ土くれに、思わずその場に尻餅をつくルイズ。
「な、何が起こったの?」
見ればギーシュも、先ほど居た位置から1メイルほど後方に吹き飛び倒れている。
だがすぐさまギーシュは飛び起き、すくりと立ち上がると、ある一方向を見定め杖を抜いた。
その杖を向けた方向には。
「え?」
自分の呼び出した使い魔の男、黒田官兵衛が立っていた。
10メイル程の距離をあけて二人が対峙する。
「いったい何をしたんだ?」
急な出来事に驚いたのか、やや警戒しながらギーシュが言う。
「なに、お前さんが余りにしつこいんで、コイツをお見舞いしてやっただけさ!」
平然とした様子で答える官兵衛。
ルイズには、状況が理解出来ないで居た。先程の衝撃は官兵衛が起こしたとでもいうのだろうか。
それはあり得ない、とルイズは考えた。
彼はまず、レビテーションにて完全に動きを封じられていた。
仮に、腕にくくりつけられた鉄球をふりまわしたところで、その距離は1~2メイルが精精だ。
その倍以上はなれた距離にいるギーシュに、ましてや空中から手出しできるはずが無い。そう思った。
「どうやら、お前さんを何とかしないと自由になれんらしい!」
官兵衛が言い放つ。
それに対して何を言っているんだ、とばかりに呆れた表情を表すギーシュ。
官兵衛は意に介した様子も無く、変わらぬ口調で言い放った。
「こうなりゃやってやる!小生は、自由だぁ!」
そういうと官兵衛は、両腕を右下段に構えた。


暗の使い魔 第二話 『魔法学院外の決闘』


「一体どうなってるのよ……」
ルイズは混乱していた。官兵衛をようやく捕らえたと思いきや、謎の衝撃が地を走る。
その隙に使い魔はレビテーションの拘束から抜け出て、メイジであるギーシュにむかって対峙している。
「ちょっと!何考えてるのよ!やめなさい!」
「やめるか!小生はここで一生過ごすなんざ、ご免なんだよ!」
ルイズの制止も聞かず、官兵衛はそう答えた。何が何でも抵抗をやめないつもりらしい。
そんな様子をみて、対峙していたギーシュも口を開く。
「ルイズの言うとおりだよ。無駄な抵抗はやめたまえ」
杖を向けたままで、ギーシュが言う。しかし。
「やかましい!来ないならこっちからだ!」
官兵衛は、まるで聞く耳を持たなかった。そのまま勢い良くギーシュに向かって官兵衛は駆け出す。
その時、ギーシュが構えていた造花を振るう。
造花から一枚の花びらが足元の地面に落ち、光輝いた。すると。
「何?」
なんと、官兵衛とギーシュの間に、2メイルはあろう、金属製の戦乙女の格好をした人形が姿を現したではないか。
ギーシュの目前まで迫っていた官兵衛は、急な敵の出現にあわてて距離をとる。
「何だコイツは!」
「やれやれ、少々手荒くなるけど構わないね?」
先程よりも余裕を取り戻したのか、気障ったらしい様子でギーシュはルイズに言う。
「ちょっと!何もゴーレムまで持ち出すこと無いじゃない!」
いよいよ尋常でない事態にルイズは声を荒げた。だがそれに対して答えず、ギーシュは静かに官兵衛に告げた。
「どうやってレビテーションから抜け出したかは知らないけど、これまでだよ。
まさか僕の青銅のゴーレム、ワルキューレを前にしてこれ以上抗うつもりかい?」
先程の振動について気になる事はあったが、さすがに屈強なゴーレムを前にして抵抗する平民はいないだろう。
このまま取り押さえて、さっさと連れ戻そう。ギーシュはそう考えていた。
「ハッ!言いたい事はそれだけか?」
だが官兵衛の返答は、予想とは違った。
「何だって?」
「随分魔法ってやつに自信があるみたいだな。だが小生から言わしてみれば、大した事ない。
こんな人形ひとつで満足してるようじあゃな」
官兵衛の言葉に、ギーシュの顔から表情が消える。
「いいだろう。そこまで言うなら仕方無い。ワルキューレ!」
ギーシュの合図とともに、重い青銅の塊がゆっくりと動き出した。
そのまま徐々にスピードを上げ、官兵衛に向かって駆け出す。
その勢いたるや、巨馬が地を鳴らし迫ってくるかのような迫力である。
右斜め上に構えた鉄槌のような拳が、官兵衛に迫る。
「ギーシュやめて!」
ルイズの悲痛な叫びか響く。しかしゴーレムは止まらない。ゴーレムの拳が官兵衛の顔面に届こうとしたその時。
がしん!と鈍い衝撃音が辺りに響いた。
「きゃっ!」
ルイズが思わず悲鳴を上げる。なんとゴーレムの一撃は、官兵衛の両腕を拘束する枷で受け止められていた。
ビリビリと、枷を通じて手首から肘にかけて振動が走る。
拳を振り払い、すかさず逆方向から飛んできた拳を、身を屈めて回避する。
そのまま地面を転がるようにしてワルキューレの脇を抜けると、官兵衛は背後に立ち、再び構える。
と、今度は背後の官兵衛を狙いすましたかの如く、肘鉄が飛んできた。
体重を乗せた一撃を、またも枷で受け止めると、官兵衛は地を蹴り後方へと退避。
眼前に枷を構えた状態でゴーレムと対峙した。
そして、再び迫ってくるゴーレムの一撃を枷で受けては、退避を繰り返す。
「中々やるじゃないか。だが逃げているばかりかい?先程の威勢はどうした」
余裕を崩さず、ギーシュが言う。
先程から官兵衛は、攻撃を受けるか回避するかしかしておらず、防戦一方であった。
そんな官兵衛に、ワルキューレは容赦なく攻撃を繰り出す。そしてとうとう、ゴーレムの拳が官兵衛を捉えた。
両腕ごと枷を跳ね除け、がきり、と鳩尾へ一撃がめり込む。
「うっ!」。
槌で打たれたかのような衝撃に、官兵衛の身体は1メイルほど後方へと動いた。
甲冑を着込んでいた為、ダメージはそれほどでもない。しかし。
「ぐあっ!」
すぐ目前まで接近していたワルキューレがすかさず蹴りを叩き込む。
脇腹への強烈な一撃を喰らい、官兵衛は吹き飛んだ。
「ぐっ……畜生!」
歯噛みしながら、官兵衛はその場に膝をつく。それでも、ワルキューレの攻撃は止まらない。
駆け寄り、動けない官兵衛の頬に一発。
「うげっ」
さらにもう一撃。
「げふっ!」
ワルキューレの容赦ない攻撃が続いた。
官兵衛も所々を枷で防いでいたが、攻撃を捌ききれない。
官兵衛が荒い息をつきながら、ギーシュを睨んだ。
「おや?もう終わりかね?」
そんな官兵衛の様子を見て、ギーシュが勝ち誇った笑みを浮かべる。
あれだけの防戦による疲労に加え、先程からの攻撃。もう立っているのも辛いと判断したのだろう。
息を切らす官兵衛にゆっくりと、ゴーレムが近づく。
「ギーシュもうやめて!あんたも十分わかったでしょう!?」
と、そこへ再びルイズの制止が入った。遠くはなれた箇所から見守っていたルイズが駆けつける。

一体なんでこんな事になってしまったのだろう。
自分はただ、逃げ出した使い魔を連れ戻してくれ、と頼んだだけだった。
元はといえば、逃げ出したこの男が悪い。先程も騒ぎを起こしていたようだし、非があるのは官兵衛だ。
だがそれにしても、ここまでする必要があったのだろうか?相手はただの平民である。
ゴーレムまで持ち出して、一方的に痛めつけて良い筈はない。
呼び出したばかりとはいえ、自分の使い魔がいたずらに傷つく様を、ルイズはこれ以上見たくはなかった。
「いい?落ち着いて。平民はメイジには絶対勝てないのよ。」
ルイズは官兵衛に説得を試みる。これ以上は無駄である、と。
「なんだってんだ?」
「聞いて。あんたがどうしたいのか知らないけど、あんたの衣食住は私が保証するわ。
帰りたい場所があるのなら、帰る手段だって探してあげる。だからもうやめて!」
ルイズの悲痛な願いだった。
「一体どういう風の吹き回しだいルイズ。捕まえてくれと頼んだのは君じゃないか。」
ギーシュがやれやれといった様子で言う。
「だからってこんなにすることないじゃない!」
ルイズが叫んだ。
「とにかくこれ以上はもうやめて。こいつも十分わかったわよ」
ルイズがギーシュに必死で訴えかけた、その時。
「何がわかったって?」
息を切らし、膝をついていたはずの官兵衛がすくりと立ち上がった。
「あ、あんた……」
「あんたじゃない。小生は黒田官兵衛だ。さっき名乗っただろうが」
官兵衛は苦々しい顔でルイズにそう言うと。
「頃合か……」
再びギーシュに向き合った。そして。
「金髪の!お前さんの人形はやっぱり出来損ないだな。そんなんじゃ人っ子一人殺せない」
仰天するセリフを吐いた。流石のルイズも顔を青くして、官兵衛を見やる。
「ちょ!ちょっとアンタなに言ってるのよ!!」
彼女は思わず官兵衛に食って掛かった。
「あんたさっきまでコテンパンにやられてたじゃない!これ以上ギーシュを挑発して――」
「出来損ないだと……!」
その声にハッとすると、ルイズは声の主を見やった。
そこにはわなわなとふるえ、薔薇の杖を固く握り締めたギーシュがいた。
「そうだ出来損ないだ。悔しいならもっとスゴイやつを出してみろ!それとももう店じまいか?」
そのセリフで、ギーシュの中の何かが切れた。
「この平民め!こっちが手を抜けばいい気になって!もう許さないぞっ」
ギーシュは激高した。即座に杖を振るうと、花びらが1枚2枚と地面に落ちて行き。
「ワルキューレッ」
なんと一気に6体もの戦乙女が姿を現した。
「(来た来た来たっ!)」
官兵衛は内心ほくそ笑んだ。
「なんじゃ!数が増えただけか!芸のない!」
「黙れっ!いけワルキューレッ!その生意気な平民の奴隷をもっと痛い目にあわせてやれ!」
新しい6体のゴーレムと先程の1体。合わせて7体のゴーレムが、ギーシュの合図と共に津波のように押し寄せた。
「ばかぁっ!何考えてるのよっ!」
ルイズが官兵衛にむかって叫ぶ。
しかし、ガシャガシャと押し寄せるゴーレムの群れの音にかき消され、ルイズの声は届かなかった。
ゴーレムの群れが官兵衛に一斉に攻撃を加えようとした。
「いやあッ!」
ルイズは目を覆った。だが次の瞬間。
「うおらっ!」
ガキン!と金属を弾くような音が辺りに響いた。
「なっ、何だと!?」
ギーシュが驚きの声を上げる。
ルイズが恐る恐る目を覆っていた手を開く。するとそこには、全身をゴーレムに打ちのめされる官兵衛――はいなかった。
代わりに見えたのはもっと別の光景。官兵衛を中心に、7体のゴーレムが地面に倒れ伏しているではないか。
ある物は尻餅をつくような格好で。あるものはもんどりうって転んだような格好で。
当の官兵衛自身はまったくの無傷。それどころか、コキコキと首を回しながら、自分の鉄球に座り込んでいる。
一体何が起こったのだろうか。
「お前っ!一体何をしたんだ!?僕のゴーレムが一瞬で……」
「何、余りにも大振りな攻撃なんで、こいつで弾き返させてもらったのさ」
そう言うと、官兵衛はジャラリと鎖ごと自分の枷を持ち上げて見せた。
どういうことだろう。まさかあの枷一つで、7体のゴーレム全ての攻撃を弾いて見せたとでもいうのだろうか。
ルイズもギーシュもにわかには信じ難かった。
「どうした!まだ人形は動かせるんだろう?もっと激しく打ち込んで来い!」
「くっくそっ!この青銅のギーシュをなめるなよっ」
ゴーレムたちはよたよたと立ち上がると、再び官兵衛に向かって突進を始めた。
今度は大振りな一撃ではなく、両腕を用いたラッシュ攻撃が官兵衛を襲う。
ルイズが危ないと思った時、彼女は再び信じられないものを目にする。
なんと、官兵衛は受け切っていた。全てのゴーレムの攻撃を、あの小さな枷で。
「ば、馬鹿な!」
ギーシュの顔から余裕の表情は完全に消え去っていた。
それは目にも留まらぬ早業。
両の腕を封じられているとは思えない動きで、あらゆる方向からの拳を、完全に捌き切っていた。
「うそ……」
ルイズもこれには驚きを隠せずにいた。
「くっ!なぜ当たらない!」
「連携がなってないな、お前さん」
なお攻撃を激しくするも、その拳はまるで当たらない。
「(いいぞ!この調子ならこの枷も……)」
「おらぁっ!」
再び激しい金属音が鳴り響く。
官兵衛が左下より枷をかち上げると、官兵衛を囲んでいたワルキューレ達が放射状に吹っ飛んだ。
「すごい」
ポツリと言葉が漏れる。ルイズはただただ、目の前の光景に見惚れていた。
しかし当の官兵衛は。
「だーーー畜生!何故じゃ!」
なぜか、ガシンガシンと鉄球に枷を叩きつけ、何かを悔しがっていた。
「こ、こんな。こんなことがあってたまるか!ワルキューレェッ!」
ハッとしてルイズは再びギーシュを見る。見れば薔薇の花びらによって、次々と地面に武器が練成されていくではないか。
それは剣であったり、ハルバートであったりと多種多様な武器が練成されていた。
7体のゴーレムが、次々と練成された武器を手に官兵衛に迫った。
「いけない!」
ルイズが叫ぶ。
「なっ!なんて便利なんだ!」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
暢気な感想を述べてる官兵衛に、思わずツッコミを入れるルイズ。
今はそれ所ではない。
いくら先程の早業があるとはいえ、リーチの長い武器相手に果たして枷ひとつでそれを捌き切れるのか。
今度こそまずい。ルイズはそう思った。
「カンベエ!危ない!」
ルイズは官兵衛の名を呼ぶ。しかし、官兵衛は枷を鉄球に叩きつけているのみで、前を見ようともしない。
「何故じゃ……何故じゃっ」
「何やってるのよバカッ!」
武器を持ったワルキューレたちが円陣を組んで、官兵衛を取り囲んだ。もうだめだ、とルイズは思ったその時。
「なーぜじゃあああああああああっ!」
官兵衛が一際大きく、自分の枷を地面の鉄球に叩き付けた。
ズドン!と官兵衛を中心に巨大な振動が発生した。
「きゃっ!」
「うわあっ!」
官兵衛から離れていた、ルイズもギーシュも、あまりの振動に体制を崩しその場に倒れこんだ。
周囲を囲んでいたワルキューレたちが、青銅の塊が、木の葉のように宙を舞った。
高さにして3~4メイル以上。そして――
がしゃり!
地面に叩きつけられた戦乙女達は衝撃でバラバラに砕け、一体残らず動かなくなった。
「ぼ、僕のワルキューレ達が……」
倒れたままの姿勢で、その様子を見ていたギーシュは、力なくうなだれ、地面に杖を落とした。
「私の使い魔が……ギーシュに。メイジに勝った?」
ルイズは驚きのあまり、倒れた体勢から立ち上がれずに居た。
そして官兵衛は。
「何故……何故こんだけやって外れんのじゃ!この枷は!」
静かにうなだれていた。ゴーレムの攻撃でも傷一つつかない枷を、恨めしく睨みながら。

「一体なんの騒ぎ!?」
ふと唐突に、塔のほうから声が聞こえてきた。
見れば紫色のローブに帽子をかぶったふくよかな女性が、こちらに駆けてくるのが見えた。
「ま、まずい!」
官兵衛は焦った。これだけの騒ぎを起こしたのだ。
見れば自分の周りにはバラバラに壊れたゴーレム。自失呆然となった生徒二人。
そして見るからに怪しい自分。何かと追求されても言い逃れは出来まい。
「こうなったら!これじゃあ!」
官兵衛は咄嗟に足元の鉄球に全身で抱きついた。そして――
ぎゅおおおおお!
なんと官兵衛をしがみ付けたまま、鉄球が高速で回転し始めたではないか。
黒い鉄球が、官兵衛の服の色と同じ色の球体に見えるほどまで、その場で高速回転し、その次の瞬間。
「うおおおおおおっ!」
ぎゅおん、と超高速で林の方角へと疾走した。
馬以上のスピードで疾走する球体は、あれよあれよという内に見えなくなり、林の中へと姿を消した。
その一部始終を、未だ地面に座り込んだままの二人の少年少女は、唖然として見ていた。
「わ、私……何者を召喚してしまったの?」
「な、何なんだ彼は一体……」
二人はそれぞれ、ポツリとそんな言葉を漏らした。


    機略重鈍
           黒田官兵衛
                   勝 利

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