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第五十話「白炎の超獣地獄」


ウルトラマンゼロの使い魔
第五十話「白炎の超獣地獄」
ミサイル超獣ベロクロン
一角超獣バキシム
蛾超獣ドラゴリー 登場



 年末のウィンの月の第一週、マンの曜日に、アルビオン大陸がもっともハルケギニア大陸と接近する。
その日に、トリステイン・ゲルマニア連合軍がいよいよアルビオンへ向けて出撃をするのだ。
既に魔法学院の男子生徒は軒並みトリステイン軍に従軍し、学院にいるのは一部教師と女子生徒、
ルイズの使い魔の才人という状態。
 その才人とルイズもまた、連合軍出撃の日に学院から出立する予定だ。タルブ村から持ち帰り、
コルベールに修復してもらったゼロ戦で艦隊と合流することになっている。
 が、しかし……その寸前となったところで、またしても彼らに侵略者の魔の手が襲い掛かる。

「アニエス……食堂の状況はどうなってるの?」
 現在本塔を、魔法学院に駐留している十人ばかりの銃士隊が取り囲んでいる。本塔の食堂の入り口前では、
ルイズがアニエスに内部の状況を尋ねかけた。
 先ほどまで寝静まっていた魔法学院の静寂は、突如として破られた。どこからともなく現れた
メイジの一団が侵入し、学院を襲ったのだ。間違いなく、アルビオンからの刺客。彼ら侵入者は
瞬く間に残っている女子生徒たちや教師を捕らえ、食堂に集めて立てこもってしまった。
アニエスたち銃士隊と難を逃れたルイズ、才人はたった今、人質を奪い返そうとしているところである。
「学院の人間は、ここにいる我々と平民を除き全員人質として囚われてしまったようだ。
今のところ、賊は危害を加えていないようだが、それもいつまで続くものか分からん。
早急に手を打たねばならんな。……まずは賊と交渉を行う」
「アニエス、頼んだぜ」
 学院の仲間の命の危機に、ルイズも才人も彼らの身を案じていた。二人に託されて、アニエスは
閉じた入り口から大声で中へ呼びかける。
「聞け! 賊ども! 我らは陛下の銃士隊だ! 我らは一個中隊で貴様らを包囲している! 
人質を解放して投降しろ!」
 はったりをかまして脅すが、食堂に立てこもる賊には通用しなかった。
「投降? 今から楽しい交渉の時間ではないか。さて、ここにアンリエッタを呼んでもらおうか」
「陛下を?」
「そうだ。とりあえず、アルビオンから兵をひくことを約束してもらおう」
 賊の要求について、才人がルイズに小声で尋ねる。
「兵をひくって……今更できるのか?」
「普通なら、ないわ。でも、今は貴族の子女が何十人も人質にされてる。さすがに無視することは出来ないでしょうね」
 アニエスが返答につまっていると、賊は怒鳴って急かす。
「五分で決めろ。アンリエッタを呼ぶのか、呼ばぬのか。五分たっても返事がない場合、一分ごとに一人殺す」
 現在、賊に圧倒的有利な状況だ。時間もない。アニエスは判断に迷って、唇を噛み締める。
 その時、誰かがアニエスを呼んだ。
「アニエスくん」
 アニエスたちが振り返ると、コルベールが呆然とした様子で食堂をながめていた。
「先生! 捕まらなかったんですか」
「わたしの研究室は、本塔から離れているからね」
 才人に、食堂をにらみつけながら答えるコルベール。更に、この場に二人の人間が追加される。
「はぁい、みんなそろって。大変なことになっちゃったわね」
 キュルケとタバサだ。
「あんたたちも無事だったのね」
「タバサが異常にいち早く気づいてくれたお陰でね」
 ルイズに返すと、キュルケはアニエスに申し出る。
「ねえ、銃士さん。あたしたちにいい計画があるんだけど……」
「計画?」
 キュルケとタバサは、皆にその計画というものを伝えた。聞き終えたアニエスは、にやっと笑う。
「面白そうだな」
「でしょ? これしかないと思うのよね」
「確かに、いい計画ね。時間もないし、早速取り掛かりましょう」
 ルイズたちは賛同するが、ただ一人だけ、コルベールは反対した。
「危険すぎる。相手はプロだ。そんな小技が通用するとは思えん」
「やらないよりはマシでしょ。先生」
 キュルケが軽蔑を隠さずに切り捨てた。アニエスなどは、コルベールをはっきり無視している。
「あいつらはあたしたちメイジが他にいることを知らないわ。奇襲のカギはそこよ」
 キュルケたちがコルベールを置いて、計画に取り掛かる。才人は若干コルベールに引け目を感じたが、
それでもルイズの後に続いていった。

 食堂の内部では、中央に人質の生徒や教師、オスマンたちが後ろ手を縛られた状態で集められていた。
その周囲を賊が取り囲む。
 その内、恐怖に耐え切れなくなったか、女子生徒の一人が泣き出した。その途端に、賊のボス、
“白炎”の二つ名を持つメンヌヴィルがギロリと濁った白眼をそちらへ向ける。
「静かにしろ」
 と命ずるが、生徒は泣き止まない。そのためメンヌヴィルは近づき、杖を突きつけた。
「消し炭になりたいか?」
 メンヌヴィルが本気だということが伝わり、女子生徒はひきつけを起こしたように泣き止んだ。
 すると見かねたかのように、オスマンが口を開く。
「あー、きみたち。か弱い乙女に乱暴を働くものではないよ。交渉のカードが欲しいのならば、
このおいぼれだけにして、他の皆は解放してくれんかね」
 と呼びかけると、メンヌヴィルは明らかに馬鹿にしたように笑い飛ばした。
「馬鹿を言え。じじい一人のために、アンリエッタが動くか。自分の価値を考えろ」
 更に、こんなことまで言い出す。
「それに、人質は一人たりとも欠かす訳にはいかんのだ。オレのためにな」
「何? それはどういうことかね?」
 賊の一人がメンヌヴィルを諌めようとする。
「隊長、それを今言うのは……」
 だがメンヌヴィルは耳を貸さない。
「何、構わんだろう。遅かれ早かれ、こいつらは焼け死ぬのだからな」
 そのひと言で、食堂内の人質は一気に騒然となった。メンヌヴィルは部下に脅しを掛けさせ、黙らせる。
「……どういうことかね? わしたちを人質に、兵をひかせるのではないのかね。殺してしまったら、
逆効果になることが分からんのかね?」
 メンヌヴィルの真意を図りかねて問うオスマン。それに、メンヌヴィルは嘲笑を浮かべながら答えた。
「それはアンリエッタを呼び出すための方便さ。今回のオレの雇い主は最高なお方でね、
オレに魔法学院を中心に、好きな人間を好きなだけ焼いて構わないとおっしゃってくれたのだ。
せっかくの機会、ここのガキどもでは飽き足らん。一度国家元首を焼き殺してみたいと思っていたのだ」
 さぞ楽しいことであるかのように、愉悦の笑みを満面に浮かべるメンヌヴィル。それを見て、
オスマンは彼の精神の正常を疑った。
「……きみは、そんなに人殺しが好きなのかな?」
 メンヌヴィルは、自身に一切の疑問を挟むことなく肯定する。
「ああ、そうだ。あの肉の焼ける音と、人間が発する断末魔こそが、オレの心を何より癒してくれる。
オレにとっては何よりの享楽なのだ。早く、お前たちの死に際の鳴き声を聞いてみたい。二十年前のあの村以来、
久しく聞いていない絶叫の合唱をな」
 何人かの女子が、メンヌヴィルの狂気に当てられて気を失った。だがメンヌヴィルは自分の世界に
すっかり没頭し、一人語りを続ける。
「一番焼いてみたいのは、あの時の隊長どのなのだがなあ。所在が全然掴めんせいで、呼び出すことも出来ん。
隊長どのは今どこで何をしてるのやら。まだ生きているといいのだがな」
 オスマンはもう、メンヌヴィルの言葉を聞いていない。アルビオン、ひいては裏にいる侵略者の意図を考えている。
 メンヌヴィルが異常者であることはもう分かった。しかし、侵略者は何故こいつを送り込んで、
好きに殺戮を行わせようとしているのだ? 人質を取って連合軍の出撃を止めさせるのならば分かる。
しかし、殺してしまったら貴族たちの怒りを買い、ますます戦意を向上させてしまうのではないか。
戦争を煽るのが目的なのか? 仮にそうとしても、どうしてこんな回りくどいことをする。
戦争を起こしたいのならば、そちらから攻める方がずっと手っ取り早いはず。何故こちらの進軍を待っているのだ。
 もしや……何としても連合軍をアルビオンに誘き出すのが目的か? だが、それにどのような
意図を抱いているのだ?

「五分たったぞ」
 時計の針が動き、最初の要求から五分が経過したことを知らせた。メンヌヴィルは本当に、
人質を殺すために立ち上がる。生徒たちが震え上がる。
「わしにしなさい」
 オスマンが言うが、メンヌヴィルは拒否する。
「あんたは交渉のカギとして必要だ。おい、誰がいい? お前らで選べ」
 人質の間で犠牲者を選ばせる、あまりに残酷な質問。唖然として、誰も答えられない。
「わかった。じゃあオレが選ぶ。恨むなよ」
 とメンヌヴィルが言った瞬間に、食堂に小さな紙風船が飛んできた。場違いな物体に、賊の視線が集まる。
 その瞬間に紙風船は爆発。激しい音と光を放つ。中にはたっぷりと黄燐が仕込まれていたのだ。
 これがタバサとキュルケの考えた作戦。紙風船で視線を集め、その瞬間に閃光で賊の目を
潰してしまおうという魂胆だ。
 果たして作戦は成功し、賊のメイジが顔を押さえてうずくまった。
「うおおおおおッ!」
 そして窓と扉を破り、才人やキュルケ、タバサ、アニエス、銃士らが飛び込む……そうしようとした。
 しかしその瞬間に、才人たち全員に炎の弾が何発も飛んできた! 炎の弾は油断していた
才人たちの寸前で炸裂し、その際の衝撃で返り討ちにした。
「がはッ!?」
「サイト!」
 直接の魔法攻撃ではないので、才人もデルフリンガーで吸い込めずに弾き返される。ルイズが声を荒げた。
「くッ……」
 扉から飛び込もうとしたキュルケは、外に弾き出された際の衝撃で立ち上がることが出来なかった。
タバサは近くで、頭を打って失神している。
 硝煙の中からメンヌヴィルが現れ、キュルケの前にそびえ立った。キュルケは落とした杖を
拾おうと手を伸ばすも、メンヌヴィルに踏みつけられてしまった。
「おしかったな……。光の弾を爆発させて視力を奪うまではよかったが……」
「どうして……」
 どうしてメンヌヴィルだけ平然としているのか。その答えはすぐに分かった。メンヌヴィルの眼球には、
生ものの質感がない。作り物の飾りであった。
「オレは昔、目を焼かれていてな。光がわからんのだよ」
「じゃあ、どうして……」
 目が見えないのならば、メンヌヴィルの正確な魔法攻撃はどういうことか。音の方向で
判断したにしては精密すぎる。
 それについて、メンヌヴィルはこう説明した。
「蛇は、温度で獲物を見つけるそうだ。オレは炎を使ううちに、随分と温度に敏感になってね。
距離、位置、どんな高い温度でも、低い温度でも数値を正確に当てられる。温度で人の見分けさえつくのさ」
 戦慄するキュルケ。火のメイジは数いれど、そんな人間がいるなんて話は聞いたことさえない!
「お前、恐いな? 恐がってるな?」
 メンヌヴィルはキュルケの恐怖の感情を読み取って、愉悦に顔を歪めた。
「感情が乱れると、温度も乱れる。なまじ見えるより温度の変化はいろんなことを教えてくれる」
 絶望的な状況下のキュルケに、メンヌヴィルはおもむろにメイスを兼ねた杖を向けた。
「嗅ぎたい。お前の焼ける香りが、嗅ぎたい」
 杖から炎が噴出する。キュルケに打つ手は全くなく、覚悟して目をつむった。絶対的強者の
立場にあるメンヌヴィルの炎を、もう止めることは出来ない。
 そう思われたが、メンヌヴィルの炎を、別の炎が押し戻した。それを肌で感じて、恐る恐る
目を開けるキュルケ。彼女が見たものは、
「……ミスタ?」
「わたしの教え子から、離れろ」
 杖を構えて、自分の横に立つコルベールの姿であった。
 その瞬間に、メンヌヴィルの様子が一変する。興奮し出したのだ。
「おお、お前は……。お前は! お前は! お前は!」
 その時に、塔の外壁を回り込んで、アニエスとルイズに肩を貸してもらっている才人が
ほうほうの体でやってきた。どちらも、メンヌヴィルの様子を訝しむ。
「何あいつ? 急にどうしたのかしら?」
「先生を向いてるようだけど……」
 メンヌヴィルはルイズたちが来たことにも構わず、コルベールにのみ意識を向けていた。
「捜し求めた温度ではないか! お前は! お前はコルベール! 懐かしい! コルベールの声ではないか! 
まさかこんなところにいようとは!」
 コルベールは固い表情のまま、メンヌヴィルをにらんでいる。
「オレだ! 忘れたか? メンヌヴィルだよ隊長どの! おお! 久しぶりだ!」
「貴様……」
「何年ぶりだ? なあ! 隊長殿! 二十年だ! そうだ!」
 隊長殿? 誰もがコルベールとメンヌヴィルの関係を掴めない。あの温厚なコルベールと、
狂人メンヌヴィルとの接点を誰が想像できるだろうか。
「先生、どういうこと……」
 才人のひと言を聞き止めて、メンヌヴィルは大笑いする。
「なんだ? 隊長殿! 今は教師なのか! 貴様が教師とな! いったい何を教えるのだ? 
“炎蛇”と呼ばれた貴様が……、は、はは! はははははははははははッ!」
 散々笑った後、メンヌヴィルは場の全員に聞こえるように語った。
「説明してやろう。この男はな、かつて“炎蛇”と呼ばれた炎の使い手だ。特殊な任務を行う隊の
隊長を務めていてな……、二十年前は、ダングルテールという地方で女子供構わずに焼き尽くしたものよ。
そしてオレから両の目を……光を奪った!」
 アニエスに、ルイズたちに衝撃が走った。
「う、嘘でしょう!? じゃあ先生が、アニエスが追ってた仇……!」
「先生が、まさかそんな……!」
 現在のコルベールの姿と、アニエスが語ったような無慈悲にダングルテールを焼き払った
男のイメージは全く一致しない。
 しかし……才人たちはすぐに、今のコルベールの纏う空気で、それが真実であることを理解させられた。
今のコルベールは、誰の目からも分かるほどの濃厚な殺気が、全身から発せられているのだ。
戦いを知らない者では絶対に出すことの出来ない殺気。
 コルベールが突き出した杖の先端から、華奢な体格とは正反対の巨大な炎の蛇が躍り出た。
蛇は復活したメンヌヴィルの部下の杖を一瞬で灰に変えた。
 呆然と自身を見上げるキュルケに、コルベールが尋ねる。
「なあミス・ツェルプストー。『火』系統の特徴をこのわたしに開帳してくれないかね?」
「……情熱と破壊が、火の本領ですわ」
「情熱はともかく『火』が司るものが破壊だけでは寂しい。二十年間、そう思ってきた」
 コルベールは、いつもの声でつぶやいた。
「だが、きみの言う通りだ」
 そう言った時に、コルベールとメンヌヴィルの決闘が始まった。
 メンヌヴィルの発した炎と、コルベールの発した炎が相殺されて激しく爆発を起こす。
その瞬間にキュルケはタバサを抱えて走り出すが、食堂に潜むメイジが氷の矢で追撃する。
「させるかッ!」
 そこに飛び込む才人。デルフリンガーで氷の矢を全て消し去る。そしてルイズとアニエスとの連携で、
メンヌヴィルの部下をたちまち殲滅した。ガンダールヴの力の前では、一端のメイジがたかだか十数人程度、物の数にならない。
 しかし、そんなガンダールヴでもコルベールとメンヌヴィルの決闘には立ち入ることが出来なかった。
他の誰もが、二人を仇とするアニエスでさえ同じだ。それほどに激しい戦いであった。
 火と火がぶつかり、二人のメイジが夜の闇に舞う。この苛烈な決闘と比べたら、かつての
才人とギーシュの決闘など子供のままごとに等しいだろう。
「隊長殿! 二十年前、あんたの炎に惚れ込んだオレはあんたを焼こうとして、負けた! 
オレの炎は負けた! しかし、今は違うぞ! 今のオレの炎は、昔とは比べものにならないものと
なったのだ! 今度は、オレがあんたの肉を焼く番だ!!」
 豪語するメンヌヴィル。実際、メンヌヴィルの炎はコルベールに劣らぬほどで、かつ状況はメンヌヴィルに
有利であった。夜の闇はコルベールの視界を制限するのに対し、温度でものを見るメンヌヴィルに
そのハンデは存在しない。少しずつ、コルベールが押されていく。
「どうした! どうした隊長殿! 逃げ回るばかりではないか! うわはははははは!」
 メンヌヴィルはその利点を活用して、闇の中を動き回る。コルベールはなかなか手出しできずに駆け回る。
その内に、身を隠すものが何もない野原まで誘き出された。
「最高の舞台を用意してやったよ、隊長どの。もう逃げられない。身を隠せる場所もない。観念するんだな」
 コルベールから、闇の中のメンヌヴィルの姿は見えない。メンヌヴィルはコルベールの姿がはっきり見える。
絶体絶命の状況下で、コルベールは口を開く。
「なあメンヌヴィルくん。お願いがある」
「なんだ? 苦しまずに焼いてほしいのか? なに、あんたは昔馴染みだ。お望みどおりの場所から焼いてやるよ」
 落ち着き払った声で、コルベールは言った。
「降参してほしい。わたしはもう、魔法で人は殺さぬと決めたのだ」
「おいおいボケたか? 今のこの状況が理解できんのか? 貴様のどこに勝ち目があるってんだ」
「それでも曲げてお願い申し上げる。このとおりだ」
 コルベールは膝をついて頭を下げた。メンヌヴィルは軽蔑しきった声を上げる。
「オレは……、オレは貴様のような腑抜けを二十年以上も追ってきたのか……、貴様のような、能なしを……、
許せぬ……、自分が許せぬ。じわじわと炙りやいてやる。生まれてきたことを後悔するぐらいの時間をかけて、指先からローストしてやる」
「これほどお願いしてもダメかね」
「しつこいヤツだな」
 メンヌヴィルは呪文を唱える。対してコルベールは哀しそうに首を振り、杖を振って小さな火炎の球を打ち上げた。
「なんだ? 照明のつもりか? あいにくとその程度の炎では、辺りを照らし出すことなど適わぬわ」
 メンヌヴィルの言う通りであったが、火炎の球は照明などでは断じてなかった。
 メンヌヴィルを確実に殺す兵器であった。
 火が二つに、土が一つ。『錬金』により空気中の水蒸気を気化した燃料油に変え、空気と撹拌する。
そこに点火して、火球を一気に膨れさせる。巨大化した火球はあたりの酸素を燃やし尽くし、範囲内の生き物を窒息死させる。
 それが『爆炎』と呼ばれる、必殺の攻撃魔法だ。
「がッ……!」
 呪文を詠唱するため口をひらいていたメンヌヴィルは、灰の中の空気を全て奪われて、窒息した。
背後に倒れ、全く動かなくなった。
 口を押さえて身を伏せていたコルベールは身体を起こした。
「蛇になりきれなかったな。副長」
「先生ー!」
 『爆炎』が収まると、才人とルイズ、キュルケが駆け寄ってくる。あらかじめ、唇の動きで絶対に近づかないように
指示しておいたのだ。目が見えないメンヌヴィルは、微細な動きまでは気づくことが出来なかった。
「良かった、勝てたんですね」
 才人は興奮しているが、コルベールは反対に沈んでいた。
「良くはない。結局、わたしは自身に掛けた禁を破ってしまった」
「……仕方ないですよ、相手が相手だったんです。それより、問題はアニエスのこと……」
 ルイズが言及しようとした、その時、
「ははははははははははッ!」
 突然、窒息死したはずのメンヌヴィルから笑い声が発せられた。コルベールはギョッと驚き、ルイズたちをかばう。
「さすがだ、隊長殿! ものの見事に出し抜かれた! 腑抜けといったのは取り消そう! 
あんたはオレよりずっと優秀な蛇だ!」
 メンヌヴィルはゆっくりと身体を起こす。確実に生きている。
「馬鹿な! 確かに窒息した。今ので、人間が生きていられるはずが……!」
「『人間』はな! だが残念なことがある。さっき言っただろう。オレの『炎』は! 『昔』とは
『比べものにならないもの』になったのだと!」
 メンヌヴィルが言外に語ることを察して、コルベールはまさか、と思った。
「人間の戦いは、残念ながらオレの負けだ。だが、これからが本番なのだ! 
次は絶対に負けんぞッ! さぁ、来るがいい! 依頼主から授かった、究極の『炎』よ! 
この地を全て焼き尽くそうではないか!」
「グロオオオオオオオオ!」
 メンヌヴィルが豪語すると、不意に獣の凄まじい鳴き声が響いた。ルイズたちはその方向を見上げ、驚愕する。
「か、怪獣が! いつの間に、こんなに近くに!?」
 何と、魔法学院のすぐ側、一同のすぐ近くに、濃紺の巨体と後頭部、肩、背面にビッシリと
突起を無数に生やした巨大生物がそびえ立っていた。ルイズは怪獣と呼んだが、それを才人が否定する。
「ち、違う! あいつはヤプール人の生み出した怪獣兵器、怪獣を超えた怪獣……超獣だ! 超獣ベロクロン!」
 ベロクロンにだけ驚いてはいられなかった。唐突に、夜空の一部がバリ―――ン! と
音を立てて粉々に『割れた』のだ。
「は、はぁッ!? 空が……割れた!? どういう現象!?」
 魔法世界のハルケギニアといえども、『空を割る』ことは絶対に不可能。ルイズたちメイジは訳が分からなくなる。
「ギギャアアアアアアアア!」
 そして割れた空の向こうに見える真っ赤な空間には、一本角を生やしたオレンジと青の体色が
派手な超獣が存在し、割れた空から地上へ降り立った。
「あいつは……超獣バキシム!」
「ギギャアアアアアアアア!」
 相当の重量級なのか、バキシムが歩いた部分は地面が足の形に陥没した。
「ギョロロロロロロロロ!」
 またも空が割れ、蛾と肉食獣とロケットを足したような巨大生物が出現する。これで三体目だ。
「超獣ドラゴリー! 何てこった……!」
 戦慄する才人。魔法学院は一瞬の内に、三体もの超獣に囲まれてしまった!

『行けぇッ! 超獣たちよ! 人間どもを焼き払えぇッ!』
 異次元空間では、メンヌヴィルの要請でハルケギニアに解き放たれた超獣たちに、ヤプール人が指令を飛ばしていた。
『クックックッ、人間どもめ、我らヤプールの誇る生体兵器、超獣に腰を抜かしているようだな。
しかし、これで終わりではないのだぞ』
 ほくそ笑むヤプール。その後方には、巨大な人型の何かが直立していた。
『ウルトラマンゼロよ、早く出てくるといい。その時にこいつを送り出してくれる。貴様と我らの傑作、
異次元超人とどちらが強いか、確かめさせてもらうぞッ!』
 ヤプールの背後の、戦国武将の兜の如き頭部と左腕に巨大なハサミを持った巨大超人が、緑色の両眼に光を灯した。


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