あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのルイズとオラクルレイ 01


 わたしことルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは
 キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・ フォン・アンハルツ・ツェルプストー……
 と表記するのは長いので、以下はルイズとキュルケでお送りします


 などと誰に言っているのかわからない心の声にうんざりとしつつも
 わたしは前日キュルケとの間で賭けをしていた。

「ねえルイズ、賭けをしない賭け」
「キュルケ、またどうせ大したこともない賭けなんでしょう?」
「うっふっふー、まあそれもいいけどね、でも明日はサモン・サーヴァントの試験」
「なに、どっちが大きな使い魔を呼べるかどうかでも争うつもり?」
「自信満々ね、ルイズ」
「なんですって」
「いーっつも失敗ばかりのあなたが使い魔なんて召喚できるわけ無いでしょう!」
「おいまていまなんて言ったこのおっぱい色情魔」

 閑話休題。

「ぜぇ、ぜぇ……要するにわたしが何らかの使い魔を召喚すればゼロのルイズと呼ばれることはなくなるということね」
「ええ、まあ、あたしだけだけど」
「で、わたしがもしも負けたら……」
「小間使いとして学園に残らせてあげても良いわよ」

 そうなのである。
 二年に進級するための使い魔召喚試験、いわゆるサモン・サーヴァントで失敗をすると
 わたしは荷物をまとめて実家に強制連行されてしまうのである。
 そこでお姉さまやお母様のお小言を言われるだけならまだいいけれど
 ちい姉さまに悲しげな表情をされてしまうのは絶対に嫌だった。

「まままままあ、よもやわたしが失敗するなんてありえないけど!」
「その動揺を少しは察せられないように努力しなさいよ」
「うるさいわね! やってやろーじゃん!」
「あなた貴族とは思えない口の悪さね」

 どう反応せいと。


 そして現在にいたる。

「何度失敗をする気だね」

 ミスタ・コルベールもちょっと怒りを抑えきれなくなってきている。
 わたしはそんな姿を眺めながら。

「お待ちくださいミスタ・コルベール、呪文名は間違っていない、しかし爆発が起きて失敗をしてしまうということは」
「ということは?」
「今日は女の子の日ということで調子が悪いというのはいかがでしょう」
「君は先日の実技試験もそんなことを言っていなかったかね」

 さすがに言い訳をするには苦しかったか。

「では、これが最後の呪文だ、ミス・ヴァリエール。集中して使い魔を召喚しなさい」
「えー」
「えーじゃない、どれほど時間を取っていると思っているんだ、次の授業の時間が差し迫っているんだ。これ以上君のために試験を行っている場合じゃない」
「うー! にゃー!」
「ねこの真似はいいから、さっさと呪文を詠唱しなさい」

 ごまかせなかった。
 さすがに優柔不断気味とはいえまっとうな教職者であられるミスタ・コルベールが、融通を利かせるなんて手段をとってくれるわけがなかった。

「我が名はルイズ。五つの力を司るペンタゴン。我の運命(さだめ)に従いし、使い魔を召還せよ!」

 ――手ごたえを感じた。
 何かが引っぱり出されるような、そんなフィッシングに似た感覚が左手に伝わっている。
 まあ、タクトを持っているのは右手なんだけどね。

「お、おお……ミス・ヴァリエール、これはやったのではないかね!」

 心なしかミスタ・コルベールも嬉しそうだ。
 そうだやったのだ、私は賭けに勝ったのだ!
 これでキュルケからゼロのルイズと呼ばれることはなくなるのだ!
 って、ちっちェーなこの賭け!


「キマシタキマシタキマシタワー! さあ、わたしの使い魔ちゃん! サラマンダーかなあ、それでもウィングドラゴンだったりして? それとも大陸全土を包み込むようなガーゴイルだったりして!」
「ルイズ、嬉しいのはわかるけど、少し落ち着きなさい」
「さあ、さあ! 姿を成せ! 姿を成すんだ! ジョー!」
「ジョーって誰なのよ……」

 はしゃいでいると光の粒子になっていた使い魔がどんどん人の形と成していく。
 ……人の形に?

「我が名はルイズ……」
「待ちなさいミス・ヴァリエール」

 そうして人の形をした使い魔というのは……女の子だった。
 一言で言うと白い。
 大きな帽子にマントをしている。

「あ、あ、どうしましょう、ミスタ・コルベール! き、貴族を拉致……!」
「う、うむ……交渉事は私に任せなさい」
「ああ……こんな時だけ頼りに思えますミスタ・コルベール」
「……君一人で交渉をするかね?」

 そそくさと生徒の人垣まで撤退。
 私はキュルケのおっぱいに向かって話しかける。

「ねえキュルケ、オチとしてはどうよ」
「まさか人を呼びだしちゃうとはねえ……さすがのあたしも予想外だったわ」
「ドレスのような衣装に頭には大きなバケツみたいな帽子、髪の毛はふわふわでスタイルもあたしと同じくらいでいい感じだし、あんた女の子を使い魔にする趣味でもあったの?」
「そんなインモラルな教育はヴァリエールでは行ってません!」


 そう話している間でも、使い魔として呼び出された少女とミスタ・コルベールの折衝交渉はまだ続いているらしい。
 とは言っても女の子の方は自分に何が起きたのかわからないという印象で、首を傾げたりぽつんと空を見上げてみたりをしている。
 ちょっとのんびりとした女の子なのかな? 

「ミス・ヴァリエール」
「はい!」
「彼女は使い魔となることを了承してくれたようだ」

 ……ようだ?

「はじめまして、ルイズさん、私は美国織莉子、あなたに使い魔として呼び出された者です」
「ああ、これはご丁寧に、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと申します、その、ご趣味は?」
「唐突にお見合いを始めるんじゃない」

 この場の空気を軽くしてあげようとしただけじゃないかよぅ。

「趣味はお菓子作りを少々……不器用なんですけどね」
「まあ、お菓子作りなんですの、そういうのは使用人にやらせなければよくって?」
「はい、ミス・ヴァリエールがミス・オリコにコントラクトサーヴァントをするまで3秒前」

 君とキスをする3秒前!?

「それではオリコ、私ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、あなたにコントラクトサーヴァントをいたします」
「使い魔の刻印が身体に刻まれるんですね、ああ、まるでこれではルイズさんの所有物になってしまうかのようですね」
「我が名はルイズ。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

 オリコの話を聞いているととても長いことになりそうだったので、さっさと口づけを交わしてしまう。女の子同士という気安さもあってなのかここまではスムーズに済んだ。

「終わりました」
「ふむ……サモン・サーヴァントは何回も失敗したが、コントラクトサーヴァントは一度で成功をした様子だね」
「あの、ルイズさん……私ファーストキスでした」

 そんな報告はわたしもだからいい。
 ……いや、いいってことはないんだけれどもね! こっちも相当恥ずかしい思いしているんだけどさぁ。


「いたっ、いたっ、えぅぅぅぅぅ!?」

 そうだ、使い魔には刻印が刻まれてしまうんだと思った時にはもうすでにオリコは悲鳴を上げている最中だった。

「オリコ! 女の子の痛みよ! これで一つあなたは大人になった!」 
「ミス・ヴァリエール、誤解をさせるようなことを言わない。ミス・オリコ、それは使い魔のルーンが身体に刻まれているんだ、だが心配はいらない、長い間続く痛みではないから」
「男の人はそういって先っぽだけとか言って女の子に挿入しようとするから注意するのよオリコ!」
「ミス・ヴァリエールは退学がお望みらしい」

 すみませんでした。

「本当、鋭い痛みが身体の中に違和感を生じさせたと思ったら、すぐに済んだわ」
「そうなのよ、経験則じゃないけど男の人は……痛いのは一瞬だよ……なーんちゃって!」
「まあ、この痛みをお与えになられたのはルイズさんなんですけどね」
「すんませんでしたー!」

 さっきから謝り通しである。

「珍しいルーンだね」
「あら、そうなんですか?」
「うむ、教師をして長くなるが、このようなルーンを見るのは初めてだ、少し恥ずかしいね」
「いえいえ、人間が使い魔として召喚されたんですもの、古今東西ありえない形を持ったルーンがあっても仕方がないです」

 わたしもオリコの左手の甲に刻まれたルーンを眺めてみるけど、たしかに知識の中では該当するものがなかった。

「さて、待たせてしまって申し訳なかったね、皆も次の授業が始まる、教室に戻ろう」

 多くの生徒達が飛ぶときにわたしに嫌味を言いながら去っていく。
 それを見ながらオリコはぼんやりとした様子で。

「メイジっていうものは飛ぶものなんですねえ……」
「……え?」


 オリコと詳しい話をしていくと、彼女は貴族ではなくて平民であることが判明した。
 何だもう、と思う時にはもうすっかり彼女と話友達になっていて、

「ところでルイズ、使い魔って何をすればいいのかしら?」
「ああ……そういえばそんなことも考えないとねえ……」

 オリコの話は面白くてついつい長い間話していたものだから頭がぼーっとし始めていた。

「身の回りのお世話でもすればよろしいでしょうか?」
「うーん、せっかくの友達にそんなことをさせるのもねえ……かと言って……あ」
「あ?」
「ベッドが一つしかないわ! 使用人に言って……ああ、駄目だベッドを置くスペースがないわ」

 部屋の中にあるテーブルや棚を片付ければもう一人分のベッドも置けそうだけれど、片付けさせるのに時間はかかるし、わたしにも勉強をするスペースが必要になる。
 どう考えても教科書やノートをしまうスペースは必要で、図書室から借りてきた本なども置かなくてはいけなかった。

「客間などがあればいいんですね」
「うん……ただ、あなたは使い魔ってことになるから、貴族の客室には泊められないし、かと言って使用人達の眠るところには置きたくないし」
「いえいえ、眠るスペースがあれば文句はありませんよ、さすがに雑魚寝は勘弁ですけど」

 まったくだ。
 そんなことをさせるのはわたしのプライドが許さなかった。

「仕方ないわ、使用人達の一番いい部屋をオリコ専用にさせてもらいましょう」
「そんなことができるの?」
「できるできる。ヴァリエールの名前を出せば一発よ、家名っていうのは重いものがあると思っていたけれど、まさかこんなところで有効活用ができるなんてね」

 さっそく使用人の部屋に赴き、オリコに上等な部屋を与えた。
 彼女はどことなく恐縮している様子だったけれど、わたしの中ではいいことをしたと胸を張って言えるのであった。


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