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第三十七話「ゼロが死ぬ時!トリステインは壊滅する!」


ウルトラマンゼロの使い魔
第三十七話「ゼロが死ぬ時!トリステインは壊滅する!」
電脳魔人デスフェイサー
異次元宇宙人イカルス星人
四次元ロボ獣メカギラス
ロボ怪獣メガザウラ
侵略変形メカ ヘルズキング
反重力宇宙人ゴドラ星人
サーベル暴君マグマ星人 登場



 ネオフロンティアスペース。それはマルチバースに存在する宇宙の一つであり、ウルトラマンティガと
ウルトラマンダイナの故郷である。この宇宙の地球は、超古代怪獣との戦いに勝利した七年後、宇宙進出をして
ネオフロンティアと呼ばれる時代を築いた。その時代こそが、その地球の最も繁栄した黄金期である。
 しかしそんな黄金期にも――いやだからこそと言うべきか――負の面が存在していた。
宇宙進出を果たした人類に、それを快く思わない宇宙生命体スフィアが侵攻を掛けてきたことを
始めとして、凶悪怪獣の出現や敵性宇宙人の侵略行為が相次ぐようになった。
ネオフロンティアスペースの人類はそれに対抗すべく軍事に傾向していき、それが行き過ぎて
自らの首を絞めてしまう事態が発生したこともあるのだ。
 デスフェイサーの存在こそ、それの証明である。ネオフロンティアスペースの地球平和連合TPCの
過激派が、侵略者の陰謀が絡んでいたこともあったが、「完全無欠の防衛兵器」として、不安定な心を
一切持たない、電脳制御の無人宇宙戦艦プロメテウスを建造した。過激派はプロメテウスを
「新たな人類の希望」にするつもりだったが、プロメテウスは完成直後に侵略者に奪取され、
心を持たない冷酷無比の、悪夢の巨大ロボットに改造されたのだ。
 心を持たない力は、人間の敵にしかならない。そしてその力は、今この瞬間も、ウルトラマンゼロと
トリステインに牙を剥く。電脳魔人デスフェイサーが蘇ったのだ。

『デ、デスフェイサーだと……!』
 自分とイカルス星人の間に降り立ったデスフェイサーの威容を目の当たりにしたゼロは、
思わず言葉を失った。デスフェイサーは静かにたたずみながらも、言い知れぬ不気味な
威圧感を放っている。
『イカカカカカカカ! 驚いてるようだなぁ~、ウルトラマンゼロぉ!』
 イカルス星人は動揺しているゼロの姿で、心底愉快そうに笑い声を上げた。
『デスフェイサーイカ、あいや以下のロボット怪獣たちは、ヤプールが怪獣墓場に眠ってたのを
解析、その科学力で再現したものだ。パワーはオリジナルとほぼ同じ、あるいはヤプールの改造で
それ以上になってるじゃなイカ! いくらお前でも、ビルガモを倒した直後で、この恐るべき
最強ロボ、デスフェイサーに勝つことは出来ないじゃなイカぁ~!』
 怪獣墓場。それはあらゆる宇宙で死亡した怪獣たちの魂の行き着く超常の世界。そこには
生物の怪獣だけではなく、宇宙人やロボット怪獣の魂も眠っている。ロボットに魂があるのか? 
という疑問もあるかもしれないが、実際にキングジョーブラックの魂が漂っていたのが
観測されたという実例がある。
『ちッ……そんなの、やってみなけりゃ分かんねぇぜ!』
 ゼロは下唇をぬぐって精神を落ち着かせると、イカルス星人に言い返した。それにイカルス星人は
こう応じる。
『だったら、やってみようじゃなイカ! ロボット怪獣たちよ、暴れ出せ~!』
 命令により、デスフェイサーたちロボット怪獣が各々動作を開始する。そして本格的に
暴れ出す直前に、イカルス星人は足の先から透き通るように消え出した。異次元空間を介した
空間移動により、どこかへ去っていこうとしているのだ。
『我輩はひと足先に行かせてもらおうじゃなイカ~』
『待て! どこに行く気だ!?』
 ゼロが問いかけると、イカルス星人は不気味な笑い声とともに告げた。
『イカカカカ! お前もよく知ってる、トリステイン魔法学院じゃなイカ!』
『何だって!? 学院に何をするつもりだッ!』
『それは自分の目で確かめに来るんだなぁ。もっともぉ、出来たらの話だけどぉ~! 
それじゃおさらば~!』
 挑発を残してから、イカルス星人の姿が完全に消える。と同時に、ロボットたちが遂に
トリステインへの攻撃を始めた。
「キィ――――――!」
「ギャアアァアアアアァ!」
「ゴオオオオオオオオ!」
 メカギラスとヘルズキングが足を前に出し、家屋を蹴り飛ばして破壊。メガザウラは宙に飛び上がり、
機首の三連ビーム砲から地上へレーザーを発射し、爆発を起こした。一度はやんだ人々の悲鳴が再び巻き起こる。
『はぁッ!』
『ジャンファイト!』
『おらぁぁぁぁぁぁッ!』
 破壊活動を始めたロボット怪獣たちの前に、ウルティメイトフォースゼロの仲間がすかさず駆けつけた。
ガラスの反射光からミラーナイトが飛び出し、空の彼方から飛んできたジャンバードがジャンボットに変形、
グレンファイヤーが街中から立ち上がって、それぞれメカギラス、メガザウラ、ヘルズキングの前に立ちはだかった。
『これ以上の狼藉は許さんッ!』
『おうよ! こんな危ないもんはスクラップにしてやるぜ!』
『こちらは私たちが引き受けます。ゼロはそのロボットを!』
『あぁ!』
 ミラーナイトたちが三機のロボットの相手を始めると同時に、ゼロもデスフェイサーとの
戦闘の火蓋を切った。
「みんな、頑張って……!」
 ルイズは地上から、ウルティメイトフォースゼロの戦いを見守っている。
 初めは、ゼロがビルガモを難なく倒したことで、今回も侵略者のたくらみを無事にくじいたものだと
安心していた。が、それ以上の数の敵が現れた。ハルケギニア上では長く戦えないゼロの状態に
一抹の不安があるが、きっと大丈夫だろう。これまでもゼロは、いくつものピンチを切り抜けた。
相手は強力そうだが、単純な力の勝負で、凄腕の戦士のゼロを上回るとは思えない。
『はぁぁぁぁッ!』
 そして、ゼロが気勢を上げてデスフェイサーに挑んでいく。正面から飛び込んで間合いを取り、
正拳突きを繰り出す。
 しかしデスフェイサーは機敏にシザーつきの右腕を盾にして、正拳を受け止めた。ゼロは
すぐに上段蹴り、チョップなど電光石火の連撃を仕掛けていくが、デスフェイサーは全ての
打撃を見切り、腕を回してさばき切った。その上でシザーの刺突でゼロを突き飛ばす。
『ぐわぁッ! 何だと……!?』
 自分の宇宙空手の動きがさばかれたことに驚くゼロ。技を見切るのは、力があるだけでは不可能。
同じレベルの格闘の技量がなければいけない。それをロボットの身でやってのけるとは。
 おまけに、デスフェイサーは非常に機敏で精緻な動作を見せている。ロボット怪獣は、
たとえばキングジョーのように、その超重量のせいで動きが鈍くなりがち。しかしデスフェイサーには
その欠点がなかった。さすがに、ダイナが忘れられない敵に選ぶだけのことはある。
 デスフェイサーは電子音と駆動音を鳴らしながら、左腕のガトリングガンを前に突き出して、
弾丸の雨をゼロに浴びせた。
『ぐッ……! 動きが速いなら、こっちはもっと速く動いてやるぜッ!』
 弾丸を耐えたゼロは、ルナミラクルゼロに変身。その念力による高速移動で、デスフェイサーの
周囲を動き回って撹乱を狙う。
 だがデスフェイサーは少しも動じなかった。しばしゼロの動きを観察してから、右腕を振り上げる。
『レボリウムスマ……ぐあぁッ!?』
 そしてゼロが右方で立ち止まってレボリウムスマッシュを決めようとした瞬間に、シザーの
鋭い一撃でカウンターを食らわせた。不意を突かれたゼロは大きく弾き飛ばされて倒れ込んだ。
『なッ……ルナミラクルの動きまで、完璧に見切られてる!?』
 立ち上がりながらもショックを受けるゼロ。彼の動揺が表れたかのように、カラータイマーも点滅し出す。
 デスフェイサーは、TPCの技術の粋を集めて開発された超高度な電子頭脳を搭載している。
その頭脳が、ゼロの挙動を完璧に捉え、攻撃の軌道を計算するのだ。その上に、ゼロのこれまでの
戦闘データも電子頭脳に記録されている。そのためあらゆる攻撃に対処可能。先にビルガモと
戦わせたのも、データの補充が目的の一つだったのだ。
 ゼロが苦戦しているのと同じように、他の三人も、ロボット怪獣たちに苦戦を強いられていた。
『せやッ! ……くぅッ!?』
 ミラーナイトはメカギラスにチョップを仕掛けるが、メカギラスの前方には目に見えない
バリアが展開されており、それに阻まれてしまう。身体全体でぶつかりに行っても、弾き返された。
 メカギラスのバリアは元々異次元空間でのみ使えるものであったが、ヤプールの手によって
改造された結果、三次元空間でも使用できるようになっていた。それが今、ミラーナイトを苦しめている。
『とぁッ! シルバークロス!』
 ミラーナイフやシルバークロスも試みるが、それらも呆気なく反射されてメカギラスに届かなかった。
「キィ――――――!」
『うわぁぁッ!』
 それでいて、メカギラスの放つロケット弾はバリアをすり抜け、ミラーナイトを爆撃する。
バリアは、メカギラスの攻撃だけは都合よく透過するのだ。
『くッ……! こんな、こっちは手出し出来ないのに、向こうは自由に攻撃出来るなんてことが
起きるなんて! 一体、どうやれば勝てるんだ、こいつに……!?』
 圧倒的に不利な状態に、ミラーナイトは思わずそうつぶやいた。
「ギャアアァアアアアァ!」
『うぐぅッ!』
 ジャンボットは、空を自在に動いてレーザーを絶え間なく撃ってくるメガザウラに、なかなか
反撃に転ずることが出来ずに追い込まれていた。メガザウラはエネルギーに底がないのではないかと
思わせるくらいの怒濤の攻撃を続けている。
『くぅッ……ジャンミサイル!』
 このままではやられるのを待つだけ。ジャンボットは懸命に攻撃を耐え、ミサイルの連発を
繰り出した。だがそれらは、即座にメガザウラに撃ち落とされた。
「ギャアアァアアアアァ!」
『ぬぅッ……! 何て奴だ……!』
 反撃の一手があっさりとはねのけられ、ジャンボットはたじろぐ。相手は常に離れた位置から
レーザーを撃ってくるので、ジャンブレードやバトルアックスは届かない。しかしこちらの射撃武器は、
簡単にかわされるのだ。
『あの動き……奴も、高度な感情回路を積んでいるな!』
 メガザウラの動きから、そう判断するジャンボット。事実、それは的中していた。
 侵略者の兵器としては珍しいが、メガザウラはジャンボットのように人工の心、感情回路を
組み込まれている。それにより、普通ロボットが出来ない、直感的な反応を可能としている。
その効果で、より素早い攻撃への対処を実現しているのだ。だから、ジャンボットも反撃の糸口を
掴めずに手を焼いている。
「ギャアアァアアアアァ!」
『ぐわぁぁぁぁッ!』
 そしてメガザウラの感情に、情け容赦はない。ひたすらレーザーを撃って、ジャンボットの
動きを封じ込める。
「ゴオオオオオオオオ!」
『おわぁぁぁッ! いっでででッ!』
 グレンファイヤーも、ヘルズキングが手の甲の装甲から出したビーム砲の光弾の連射を
食らって一方的に追い詰められていた。ヘルズキングは凄腕のガンマンの如き早撃ちで
彼を追い立てる。
『くっそぉ! なめんじゃねぇぜ! うおおおぉぉぉぉッ!』
 だがそこは熱血漢のグレンファイヤー。光弾の雨を強引に突っ切り、ヘルズキングに接近して
パンチを仕掛けようとする。
「ゴオオオオオオオオ!」
 するとヘルズキングは手の甲の装甲を閉じ、腕を振り上げてグレンファイヤーに逆にパンチを食らわせた。
『んなぁぁぁッ!?』
 文字通りの鉄拳を顎に食らい、グレンファイヤーは返り討ちに遭う。
『くっそぉ! 殴り合いも出来んのかよッ!』
「ゴオオオオオオオオ!」
 頭を振って毒づいていると、ヘルズキングは拳を胸の前に持ち上げ、ボクシングのような
ファイティングポーズを取った。
『受けて立つってか? 生意気なッ! やってやろうじゃねぇか! うおおおおおぉぉぉぉぉぉッ!』
 グレンファイヤーは間合いを詰めてひたすら相手のボディを殴りつけるが、鋼鉄のボディは
彼の怪力でもびくともしない。逆に、ヘルズキングの反撃のラッシュで叩きのめされる。
『うぐおぉぉッ! くそ、遠近と攻守、どっちもイケるって、どうすりゃいいんだッ!』
 一方的な戦いの運びに、グレンファイヤーは怒鳴るように吐き捨てた。
「なッ……! みんながッ!」
 ウルティメイトフォースゼロ全員が追い詰められている様を目の当たりにして、ルイズは
大ショックを受けた。これまでも敵の策略で窮地に陥ることはあったが、まさか正面切っての
対決であの四人が苦しめられるとは、今まで思いもしていなかった。
「こうなったら……『虚無』を使うわ! みんなを助けるのよ!」
 ルイズは発奮して杖を掲げた。タルブ村で起こした規模の『爆発』を今一度発動すれば、
キングジョーの軍勢のように、今のロボット怪獣たちも纏めて吹き飛ばせるはずだ。
 精神力を極限まで高めて、呪文を詠唱する。
「ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル……」
 しかし、呪文の途中で一瞬気が遠のき、ふらついた。詠唱も途切れ、『爆発』は起こらない。
「だ、駄目……。とてもじゃないけど、精神力が足りない……」
 何とか踏みとどまったルイズがうめく。あの時は、それまで『虚無』に目覚めていなかったので
精神力がありあまっている状態だったから、あれだけの爆発を起こせた。だが今は、度々『虚無』の
魔法を使っていることもあり、十分な精神力が残っていなかった。半端な威力で撃っても、ロボットたちには
通用しないだろう。
「『ディスペル』は意味ないし……何か、この状況を打破できる魔法はないの!?」
 他の魔法を求めて祈祷書のページをめくるが、生憎、敵は新しい魔法の発見を待ってくれなかった。
 相変わらずゼロを追い詰めていたデスフェイサーが突如ジェット噴射で空に飛び上がり、
胸部の蓋を開帳したのだ。その下からは、巨大な砲口が迫り出してきて、地上に照準を向ける。
『あ、あれは……あそこを中心に、とんでもねぇエネルギーが集まってる……!?』
 デスフェイサーの大砲にエネルギーが充填されていくと、それを察知したゼロがおののいた。
彼の戦士の勘が、あれは非常にまずいものだと告げている。
『くそッ! 撃たせるかぁッ!』
 ゼロは発射を阻止しようと、足に力を込める。
「キィ――――――!」
 その時、ミラーナイトに向けて進撃していたメカギラスが、歩きながらその姿をかき消した。
ミラーナイトは驚く。
『なッ! どこへ行った!?』
 その答えはすぐに出た。メカギラスは虚空から、ゼロの背後に出現し、飛び上がろうと
しているところの彼にロケット弾を浴びせたのだ。メカギラスは空間を跳躍する機能も持っていて、
このような奇襲も出来るのだ。
『うおおぉぉッ!?』
 完全に不意を突かれたゼロは前のめりに倒れ込む。
『し、しまった!』
 ミラーナイトが慌ててミラーナイフを発射してメカギラスに攻撃するも、メカギラスは
また空間移動し、ミラーナイトの背後から彼を殴り倒した。
『く、くそ……!』
 フラフラと立ち上がるゼロだが、デスフェイサーのエネルギー充填はもう終わり、砲口が激しく輝き始めた。
『ま、まずい! 間に合わねぇッ! くそぉッ!』
 ゼロは咄嗟に通常状態に戻ると、ゼロスラッガーをカラータイマーにつないでゼロツインシュートを
発射した。狙う先はもちろん、デスフェイサー。
 だがデスフェイサーも、とうとう大砲から絶大な光の奔流を発射した。ネオマキシマ砲。
デスフェイサーの搭載する中で最も強力な破壊兵器で、その威力は、最大で星を砕くほど。
 ゼロの最大の光線と、星を抹消する超絶破壊光線が、真っ向からぶつかり合った。
『うッ……ぐッ……ぐうううぅぅぅぅ……!』
 ネオマキシマ砲が直撃すれば、間違いなくトリスタニアは消し飛ぶ。大勢の人間が死ぬ。
それだけはさせまいと踏ん張って光線を放ち続けるゼロなのだが、彼の必死の思いとは裏腹に、
ネオマキシマ砲はゼロツインシュートをどんどんと押していく。それほどの威力なのだ。
 そして遂に、ゼロは押し切られた。
『うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――――!!』
『ゼロぉぉぉぉぉぉッ!?』
「サイトぉぉぉぉ―――――――!?」
 ゼロの絶叫が巻き起こり、爆発が彼を呑み込む。大勢のトリステインの民が絶句し、仲間たちが、
ルイズが、悲鳴を上げた。
 爆発が収まると、ゼロの立っていた場所に、ポッカリとクレーターが開いた。ゼロの姿は、
なくなっていた。
「そ、そんな……嫌ぁぁぁッ!?」
 ルイズは最悪の想像をして、顔面蒼白となった。
 ゼロがいなくなると、デスフェイサーは勝利したと判断したのか、そのまま高度を上げて
空の彼方へ飛び去っていく。メカギラスは空間移動で瞬時に消え、メガザウラはデスフェイサーの
後を追い、ヘルズキングはテトラポッド状に戻って、メガザウラ同様空の彼方へ消えていった。
『ま、待て……うッ……!』
 引き上げていく敵を追いかけようとしたミラーナイトたちだが、満身創痍の状態のため、
それは叶わなかった。仕方なく、彼らもトリスタニアから退散していった。
 後に残されたのは、未だ火の手が各地でくすぶっているトリスタニアの街並み。それが全て
更地になることは、ゼロの尽力で食い止められたが……彼のいた場所に開いたクレーターが、
痛々しく街の真ん中に晒されていた。

「サイト! サイトッ! どこに行ったの!? 返事してッ!」
 ルイズは脂汗を滝のように垂らして、なりふり構わない様子でクレーターへと走っていた。
ゼロが消えたということは、同化している才人も……。
 考えたくない考えが頭の中に浮かび続けるが、幸いそれは裏切られた。クレーターの方から、
才人がボロボロになりながらも歩いてきたのだ。
「サイト! だ、大丈夫!?」
 慌てて彼を支えるルイズ。ひどい状態に心配するが、同時に安堵もしていた。とりあえず、
生きてはいるのだ。
「くッ……ル、ルイズ……」
 才人は意識もはっきりしていた。何とか身体を支える彼は、ルイズに告げる。
「学院が、危ない……! すぐに、帰らなきゃ……!」
「えッ!? 学院が!?」
 目を見張るルイズだが、才人が一人で歩いていこうとするのを慌てて制止した。
「ま、待って! そんな身体で学院に戻るなんて無茶だわ! せめて、ひと晩でも身体を
休ませないと……」
「でも、イカルス星人が言ってたんだ……。学院に向かうって……。宇宙人たちなら、今こうしてる間にも、
学院を襲ってるはず……。俺が行かなきゃ、みんなが……!」
 焦る才人を、デルフリンガーが諌める。
「相棒、気持ちは分かるが、ここは我慢の時だぜ。そんな身体で行ったって、学院にたどり着く前に
どっかで倒れるのがオチさ。娘っ子の言う通り、せめて普通に馬に乗れるようになるまで休みな」
「けど……!」
 気持ちが急く才人なのだが、身体は追いつかず、ガクリと膝を折ってしまった。
「ほら、そんなんじゃとても学院まで行けないわ。ゼロだって、傷だらけのはずよ。とりあえず、
トリスタニアから敵は引き上げたし、姫さまに頼んで治療を受けさせてもらいましょう」
「ご、ごめん……」
「謝る元気があるなら、早く回復するのよ」
 ルイズは才人を気遣いながら、ともに王宮へと足を向けた。

 その頃、魔法学院では、才人の懸念通りのことが起きていた。宇宙人連合が、学院に侵入、
襲撃を掛けていたのだ。
「きゃああああああああッ!」
「うわああああああああッ!」
 学院のあらゆる場所に、エビに似た頭部を持つ宇宙人の軍団が踏み込み、生徒や教師らを
捕獲していた。種族はゴドラ星人。反撃を試みようとする者もいたが、ハサミから発射する銃撃、
ゴドラガンの早撃ちには、詠唱に時間の掛かる魔法では太刀打ち出来なかった。
 そして学院長室では、マグマ星人がオールド・オスマンにサーベルを突きつけていた。
「……学び舎を制圧して、一体何が目的かね?」
 オスマンは切っ先を喉に向けられても、毅然とした態度で尋ねかけた。それにマグマ星人が
口の端を吊り上げて答える。
『なかなか肝が据わってるじゃねぇか。それに免じて教えてやるよ。ここを我らの作戦の
最後の仕上げ、ウルトラマンゼロの墓場にするのさ!』
 と宣言すると、自身の背後に控えている女性に呼びかけた。
『作戦はいよいよ大詰め。成功すりゃ、その次は約束通り、お前の復讐を手伝ってやるぜ。
それまでは、もうひと働きしてくれよ。なぁ、ウェザリー!』
「……えぇ。分かったわ」
 頭に獣の耳を生やした女性、ウェザリーは落ち着いた声音で応えた。


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