あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

つかいまのじかん-04


「ほらほら、鐘が鳴りましたよ。……こら、廊下は走らないでください」
 休み時間が終わった学院の廊下で生徒達に声をかけていたマチルダは、沈んだ表情のキュルケが溜め息を吐いている事に気付いた。
「ミス・ツェルプシュトー? どうしたのですか、そんな顔をして。何かあったのですか?」
「あ……、ミス・サウスゴータ……」
 少々躊躇していたキュルケだったが、思い切って口に出す。
「あ……、あのっ、どうやったらミス・サウスゴータみたいに、胸が大きくなるんですか?」
「そ、それで悩んでいたのですか……」
 まさかまた不登校になるような事があったのでは、と心配していたマチルダは安堵の笑みを浮かべる。
「大丈夫ですよ。給食の牛乳を飲んでいれば、そのうち大きくなりますから」

 その日の給食の時間。
「キュルケ、牛乳は?」
「要らない」
 一言だけ答えると、キュルケはりん・ルイズに自分の悩みを話し始める。
「『胸を大きくしたくない』?」
「胸押すと痛いし、胸のせいで1人だけ目立つし……。この前朝礼で(6年生)のお兄さん達にじろじろ見られて恥ずかしかった……」
「えーっ! 気が付いたらぶん殴ってやったのに!!」
「余計目立たせてどうするのよ」
 青筋を立てて拳を握ったりんにルイズはそうツッコんだが、
「確かにキュルケ、そこらの3年生より胸あるものね。……そろそろブラしたら? 薄いと透けちゃうわよね……ここ♪」
 と悪戯っぽい笑みと共に服の上からキュルケの乳首を突いた。
「やっ……、やだっ、ブラなんてまだ誰もしてないのに……。余計男子にからかわれちゃうよ!!」
「こういう柄物の服を着て、猫背っぽくしていれば大丈夫よ!」
 するとそこにマチルダが入ってきた。
「皆さーん、次の授業は体育ですから、女子は早めに着替えてくださーい」
『はあーい』
 りんが元気よく、ルイズが気の無い返事を返した中キュルケは、
「!」
 と何かに気付いたような表情になった。

「集合ー」
 マチルダの笛を合図に、生徒達が彼女の元に集合する。
「2人1組になって、準備体操始めー」
 そんなマチルダの指示を上の空で聞いていたキュルケが、
(どうしよう、体育着だと胸が……)
 と考えていたところにりんが声をかける。
「キュルケちゃん、やろー」
「う、うん」
 そう答えたキュルケがりんと背中合わせに立つと、
「いくよ。せーのっ」
 と言うが早いか、キュルケの体を背負う形で前屈を行う。
「きゃ!? リ、リンちゃん、そんなに吊らしちゃ……」
「1、2、3、4。1、2――」
 掛け声をかけ、合間にホイッスルを吹きつつ歩いていたマチルダだったが、りん・キュルケの傍を通った時、
「駄目~」
 弓なりに反ったキュルケの胸にある2つの膨らみを目にして、マチルダは思わずホイッスルを吹き出してしまう。
(ミス・ツェルプシュトーの胸……!! 2年であんなに!?)
 直視できず2人から視線を逸らしたマチルダの、
「じゅ、準備運動は終わりです。校庭10周ー!」
 との指示に、生徒達は一斉に不満を露わにするのだった。
 マチルダの指示を受けて校庭を走り始めたキュルケだったが、
「あ……!」
 かすかな痛みを感じて声を漏らした。
(胸が……、走ると擦れて――い……っ、痛……! もうやだ、こんな胸……)
 痛みに思わず瞳を閉じたキュルケが目を開けた時、彼女の足元には水溜まりがあった。
「!」
 慌てて進路変更しようとしたが、時既に遅し。キュルケは水音を立てて転倒してしまった。
「キュルケ!」
「……ミ、ミス・サウスゴータあ~」
 振り返ったルイズ・マチルダの前では、全身ずぶ濡れで目に涙を溜めたキュルケがそう声を上げていた。
(うっ……)
 水に濡れた体操服はキュルケの体の線をはっきり浮き上がらせ、マチルダは思わず心中で呻き声を漏らした。

 その日の放課後。
(どうしましょう……。女同士とはいえ、『ブラジャーを着けなさい』だなんて言い難いですし……)
 と思案しつつマチルダが廊下に出た時、
「せんせー、バイバーイ」
 りんが彼女に気付いて手を振ってきた。
「ミス・ココノエ!」

「ブラ? ……先生、キュルケちゃんの胸ばっか見て……。エッチ!」
「そっ、そんなのではありません!!」
 話を切り出されたりんは途端に不満気な表情になったが、彼女の言葉をマチルダは否定する。
「じゃ、何であたしには『ブラしろ』って言わないの」
「必要無いでしょう」
「ひっどーい! あたしだってちょっとあるもん!!」
「あ、わ、わかりましたから見せなくていいです!!」
 シャツのボタンを外し始めたりんを、マチルダは慌てて制止した。
「ミス・ココノエでしたら、さりげなく注意してあげられるでしょう? お願いしますよ」
「………」
 りんはしばらく考えていたが、
「……いいよ。その代わり--」
 そこまで言って、りんは上目遣いでマチルダの瞳を見つめる。
「……ぎゅって、抱き締めて……」
 そう言った次の瞬間、
「……大人をからかうのではありません!」
 りんはマチルダからデコピンを浴びせられた。
「それでは頼みましたよ」
 そう言って去っていくマチルダの背中を見送りつつ、りんはぽつりと呟く。
「……からかったんじゃないのにな……」
「リンちゃーん、一緒に帰ろー」
 そこへ教室から出てきたキュルケが声をかけてきた。

 それからしばらく経って、魔法学院近くの量販店にキュルケの姿があった。
「………」
 下着・婦人服売り場のトルソーに飾られた色とりどりの刺激的な下着に赤面しつつも下着の1つを手にしたものの、
「? ?」
 タグに書かれている、『ストラップレス』『フルカップ』『サイドサポート』『パワーネット』……という文字の羅列に首を傾げるばかりだった。
「いらっしゃいませー」
 突然店員から声をかけられ、キュルケはその場にいづらくなって手にしていたそれをレジに持っていった。
「あ……、あの、これ、くださいっ」

 翌日の教室。背負っていたランドセルを下ろしたキュルケの背中にうっすら浮かぶ線を見て、クラスの男子生徒達が囁き合う。
「……おい、見ろあれ」
「うっそ、ブラジャーしてね?」
「エローい」
 男子生徒達の心無い発言と嘲笑に、キュルケは思わず教室から飛び出していってしまう。
「キュルケ?」
 キュルケと入れ違いで教室に入ってきたルイズが振り返った声をかけたが、耳に届いていない様子だった。
 一方、振り返ったのはルイズだけではなかった。
『はっ!』
 背後から伝わってきた凄まじい重圧に思わず振り返った男子生徒達は、憤怒の形相のりんに思わず声を上げた。

「やっぱりブラなんてやだ……」
 教室を飛び出したキュルケは、女子トイレに駆け込み涙をこぼしていた。
「きついし苦しいし……。これならしない方がいいよ……」
 そう言いつつ涙を拭うキュルケの頭部をりんはそっと撫でていたが、ルイズは訝しむような視線を向ける。
「キュルケ、ちょっとそのブラ見せて」
「え?」
「これってどこで買ったの?」
「お母さんにお金貰って、近所のお店で……」
「1人で?」
「うん。どれがいいか全然わかんなくて」
「やっぱり……。サイズが合ってないのよ。ブラ買う時はちゃんと測らないと」
 キュルケが着用しているブラジャーをひとしきり弄り回していたルイズがそう言うと、りんが提案する。
「じゃあさ! みんなで新しいの買いに行こうよ」
「でも……、お金が……」
「!」
 するとルイズが何やら思いついた表情になって、
「キュルケ、そのブラちょっと貸して」
 黒い笑みを浮かべてそう言ったのだった。

 放課後、有名洋服店が軒を連ねる一角に集合したりん・キュルケに、ルイズは10エキュー金貨を見せる。
「はいっ」
「ええっ、どうしたの、これ?」
「あのブラ、リサイクル店で買い取ってもらったのよ」
「凄ーい、ルイズちゃん頭いいーっ」
 感心していたキュルケだが、そこでふとすまなそうな表情になる。
「……でもあれ、元々3エキューだよ?」
 一方、高価買取の理由に思い当たったりんは、ルイズを連れてキュルケから少々離れる。
「ルイズちゃん、まさかリサイクルってブルセラ……」
「エコっていうかエロ? いいじゃないの、恥丘に優しくて」
「地球だ!」

 ルイズ御用達の下着専門店に入った途端、キュルケは多種多様多彩な下着の数々に目を奪われた。
「ミス・ヴァリエール、いらっしゃいませ」
「メジャーを貸してちょうだい」
「はい」
 店員からメジャーを受け取り、ルイズはりん・キュルケを連れて試着室に入る。
「下も脱ぐの?」
「お尻を測るから。せっかくだから上下セットのにしようよ! キュルケちゃんに似合う可愛いの見立ててあげる♪」
 キュルケが脱いだ制服をハンガーに掛けたりんが言うと、メジャーを手にしたルイズが笑みを浮かべる。
「バストを正確に測る時は、ブラをした状態になるように1人が胸を持ち上げてもう1人が測るのよ」
「きゃ!」
「こう?」
 ルイズが言い終えるが早いか、りんは背後から上半身裸になったキュルケの胸に手を回す。
「うわ、キュルケちゃんのぷにゅぷにゅ~」
「や……、リンちゃん、くすぐったい……」
「柔らか~い♪ いーなあ、あたしもこれくらい欲しい~」
 りんに胸を揉まれ、キュルケは思わず荒い息を漏らす。
「あ……、あ」
「ほらキュルケ、じっとしてなさい!」
「だ……、だって、リンちゃんが……あっ、はあっ」
 りんがキュルケの胸に回した手を止めないため、やむをえずルイズはすぐの計測を断念して2人と距離を置く。
(あー、もう。リンがいじるからトップのサイズが変わっちゃったわ)
「い……、嫌、あう……。駄目……、あ……あ……!!」
 次の瞬間、キュルケは声にならない叫びを上げると全身を脱力させて崩れ落ちた。
「えっ、何、キュルケちゃん?」
 慌てて声をかけたりんをよそに、ルイズはこの隙にとばかり計測を再開するのだった。


 数日後の体育の時間、キュルケは前回が嘘のように軽快に校庭を駆け抜けていた。
「どう、キュルケ?」
「うん! 走ってもずれないし痛くないよ」
 そんなルイズ・キュルケの会話を微笑ましげに眺めていたマチルダの元に、りんがおもむろに近付き……。
「……このロリコン女!」
「ミス・ココノエーっ!」

「2年生って微妙ですよね。1年生みたいに小さい子もいれば、大きい子は3年生みたいですし」
 職員室に戻ったマチルダは、書類仕事の手を止めてコルベールの話を聞いていた。
「精神的にも自我が強くなったり、性差も出てきますしね。大人っぽさと子供っぽさの振れ幅が大きくて、我々にとっては1番扱いづらいかもしれませんね」
(体が早熟なミス・ツェルプシュトーと、心が早熟なミス・ココノエ……。胸はブラジャーをすればいいでしょうけれど、心は……?)
 と考えつつ職員室を後にして教室の前まで来た時、
「リン、そのベビードール可愛い♪」
「お小遣いで買っちゃったー」
 教室内からルイズ・りんの会話が聞こえてきた。
(ベビードール? 赤ちゃん人形?)
 聞き慣れない単語にしばし首を傾げるマチルダだったが、言葉通りの意味なのだろうと結論付ける。
「(人形なんて……。ミス・ココノエも子供らしいところがあるではないですか)ミス・ココノエ――」
 そう言いながら入った教室の中では、女子生徒達が着替えの真っ最中だった。
 特にりんは、ショーツ1枚の上に着用する意味がわからないほど薄い肌着を纏っているという有様だ(ちなみにベビードールというのは、その肌着の事)。
「きゃあああ! せんせーのエッチー!!」
「うわあああ、すいません!!」


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