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第十話「火山怪鳥ゼロに迫る!」


ウルトラマンゼロの使い魔
第十話「火山怪鳥ゼロに迫る!」
銀河皇帝カイザーベリアル
火山怪鳥バードン 登場



『絶対に許さねぇッ!』
『地獄へ叩き落してやるッ!』
 二つの声で、ルイズはゆっくりと目を開いた。
「え……!?」
 一番に目に入ったのは、業火に包まれる見慣れぬ巨大な部屋であった。
「な、何これ!? 私、アルビオンに向かうために船に乗ったんじゃ……」
 一瞬混乱するが、目の前に広がる光景をよく見ることで、それが一昨日の夢で見た部屋と
同じ場所であることに気がついた。
「それじゃあこれは、あの夢の続き……?」
『エヤァッ!』
『ウリャァッ!』
 二人分の掛け声と激しい打撃音の繰り返しが耳に入って、振り返ると、姿だけでルイズを震撼させた
漆黒の巨人「ベリアル」と、彼女のよく知るウルトラマン「ゼロ」が格闘をしていた。
「ゼロ! 変身できたのね……」
 あの後どうなったのかは分からないが、ゼロは囚われの状態から脱し、ウルトラゼロアイを
取り返すことに成功したようだ。そのことに安堵を覚える。
『ウオオオオオ!』
 ゼロとベリアルは取っ組み合ったまま走り、壁を突き抜けて外の草木が全くない荒野へと飛び出た。
ルイズの視点も彼らについていって移動する。
『俺のしもべにしてやる!』
 ベリアルは両手の赤く鋭い鉤爪を更に伸ばして、ゼロに斬りかかっていく。
「ゼロ! 危ない!」
 意味のないことだと分かっていても、ルイズは思わず叫んだ。
 しかし彼女の心配は杞憂で、ゼロは鉤爪をさばき切り、距離が開いたところでウルトラゼロキックを決めた! 
だがしかし、
『そんな技、効かねぇなぁ』
 防御したベリアルは平然としていた。必殺技の域に達している飛び蹴りを受けて何ともないその姿に、
ルイズは驚きを禁じえなかった。
『へッ……!』
 だがその程度で動じるゼロではない。ゼロスラッガーを手にしてベリアルの鉤爪に対抗し、斬り合いを演じる。
『テヤッ!』
 余波で周りの柱が吹き飛ぶほどの斬り合いの末にゼロがエメリウムスラッシュを発射する。
それを回避したベリアルだが、ゼロはその隙を突いて相手の頭上を跳び越えると、
腰を捕らえてベリアルを仰向けに倒した。
『まだまだぁぁぁッ!』
 攻撃はそこで終わらない。相手を逆さにして捕まえたまま跳び上がり、垂直に落下して頭から地面に叩きつけた! 
ゼロドライバーだ!
『ウギャアーッ!』
 この一撃はさすがに効いたようで、ベリアルはもがき苦しんでいる。
「す、すごい戦い……」
 ルイズは戦いの迫力にすっかり圧倒されていた。それまで見てきたゼロのどんな戦闘よりも、
ゼロは激しく戦っていた。
『これで終わりだッ!』
『ヘアアアアアーッ!』
 そしてゼロはとどめを刺すべく必殺光線、ゼロツインシュートを発射した。対するベリアルは腕を十字に組み、
暗黒光線デスシウム光線を発射する。
「ゼロツインシュート! これで決まりね……!」
 二つの光線は真っ向からぶつかり合うが、ルイズの予想を反して、何とデスシウム光線の方が
競り勝ちゼロを張り倒した!
『うっはぁッ!?』
「え!? う、嘘!?」
 うめき声を上げるゼロの姿に大ショックを受けるルイズ。ゼロツインシュートは、悪魔のような巨大円盤を
一撃で粉砕した絶大な威力を持つことを知っている。それが上回られるなど、微塵も思っていなかった。
『フッハッハッハッ! 本当の恐怖はこれからだ!』
 一方、ベリアルは何故かそれ以上ゼロを攻撃せず、身体を急速に前転させて地中に潜っていった。
『待て! ベリアル!』
 ゼロがそれを追い掛けていくと、ルイズの身体が自然に彼に引っ張られていった。

 そしてゼロがたどり着いたのは、地下の緑色に輝く鉱石が大量に保管された空間だった。
「これは……? 綺麗……」
 鉱石の美しい輝きに、ルイズは一瞬状況を忘れて見惚れた。同時に、何だか風石に似ているな、と思った。
『はッ!?』
 辺りを見回していたゼロは、鉱石の山の上にベリアルが仁王立ちしているのを発見した。
そしてベリアルは、
『ウアアアアアアアー!!』
 何と、全ての鉱石の輝きとエネルギーを、口の中に吸い込み出した!
『ベリアル!?』
「えぇッ!? 何をするつもり!?」
 ゼロもルイズも驚愕する。そしてエネルギーを吸収するベリアルの肉体が、どんどん巨大に、
より強靭で禍々しく変化していく!
『うわぁッ!?』
「ゼロ!?」
 気がつけば、ゼロの身体が巨大すぎる手に掴まれていた。そのまま地下から地上へ引きずり出されたところに
ベリアルが、怖気が立つほどおぞましい声を響かせる。その声は、先ほどまでの何倍も大きかった。
『ハーッハッハッハッハッハッ! 身体の底から力がみなぎってきやがる……! これで全ての宇宙は、俺のものだ……!』

「……ルイズ! おいルイズ!」
 才人の名前を呼ぶ声で、ルイズはハッと目を覚ました。そして汗だくのまま上半身を起こす。
寝ている間に、どっと冷や汗をかいていたようだ。
 周りを見れば、そこはアルビオンへ向かう空飛ぶ船の甲板。昨夜寝ついた場所と、変わりない場所だった。
 才人とワルドの決闘後、一行は船が出航される次の日を待っていたのだが、そう言っていられない事態が起きた。
ルイズたちが捕らえて牢獄にいるはずのフーケが、何者かの手により脱獄を果たし、傭兵の一団を引き連れて復讐に来たのだ。
戦おうにも多勢に無勢ということで、タバサ、キュルケ、ギーシュの三人がフーケたちを引きつける囮となり、
ルイズたちはその間にアルビオンへ急いで向かうことになった。その作戦は、途中で白仮面の男の襲撃を受けたが
どうにか成功し、『桟橋』に到着したルイズたちは、一隻の商船をワルドの交渉ですぐに出航してもらうことになったのだった。
そして今はその船の上でひと晩を明かしたところであった。
「大丈夫か? 何かうなされてたけど」
 舷側で目を覚ましたルイズは、心配して顔を覗き込む才人に首を振って答えると、嫌な寝汗を拭い去った。
 またゼロの記憶を、夢という形で垣間見ていたようだ。しかもまた半端なところで中断された。
それだけではない。この前はまだ救いのある展開になったところで途切れたが、先ほどの夢は、
あの恐ろしき『ベリアル』が途方もなく強大化するという、絶望的な状況になったところで終わった。
あの後ゼロは、どうなったのだろうか。いくらゼロが強くとも、あそこまで追い込まれて切り抜けられるとは思えない……
いや、何を馬鹿なことを考えているのだ。あそこで負けていたのなら、そもそもゼロが生きて
ハルケギニアに来たりしていないだろう。そうだ、どうやったかは知らないが、最終的にゼロは逆転したのだ。
それに間違いはない……。
「アルビオンが見えたぞー!」
 悶々と考えていたら、見張りの船員の大声で現実に引き戻された。
「どこにも陸地なんてないじゃないかよ」
「あっちよ」
 下を覗いている才人に、ルイズは上を指差した。
 その方向を振り仰いで、才人は息をのんだ。雲の切れ間から、黒々と大陸が覗いていた。
「驚いた?」
「ああ、こんなの、見たことねえや」
 才人は口をぽかんとあけて、間抜けのように立ち尽くした。ゼロの方は、怪獣墓場に似てるな、と思った。
「浮遊大陸アルビオン。ああやって、空中を浮遊して、主に大洋の上をさ迷っているわ。
でも、月に何度か、ハルケギニアの上にやってくる。大きさはトリステインの国土ほどもあるわ」
 ルイズが説明したとき、鐘楼に上った見張りの船員が、大声をあげた。
「右舷上方の雲中より、船が接近してきます!」
 才人は言われた方を向いた。その目に、黒くタールが塗られた旗を掲げていない船が、
二十数個も並んだ砲門をこちらに向けているのが映った。
 空賊の船だった。

 商船には空賊と戦うだけの戦力はなく、あっけなく投降した。空賊は積み荷が硫黄だと知ると、
船ごと奪うことを決定した。そしてルイズたちも、空賊に目をつけられて空賊船へと移された。
 しかしここで事態は意外な進展を見せた。空賊の頭の前に通されたルイズたちが、トリステインの大使で
王党派の立場を貫くと、頭はその場で荒くれ者の変装を解いて正体を現したのだ。そしてその正体とは、
「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」
 あまりのことに、ルイズたちは言葉をなくした。
「その顔は、どうして空賊風情に身をやつしているのだ? といった顔だね。いや、金持ちの反乱軍には
続々と補給物資が送り込まれる。敵の補給路を絶つのは戦の基本。しかしながら、堂々と王軍の軍艦旗を掲げたのでは、
あっという間に反乱軍のフネに囲まれてしまう。まあ、空賊を装うのも、いたしかたない」
 ウェールズはイタズラっぽく笑って、言った。
「いや、大使殿には、誠に失礼をいたした。しかしながら、きみたちが王党派ということが、
なかなか信じられなくてね。外国に我々の味方の貴族がいるなどとは、夢にも思わなかった。
きみたちを試すような真似をしてすまない」
 ウェールズからの説明を受けて、ルイズたちは用向きを伝えた。しかしルイズが肝心の密書を渡しかけたところで、
躊躇うように尋ねた。
「その、失礼ですが、ほんとに皇太子さま?」
 ウェールズは笑った。
「まあ、さっきまでの顔を見れば、無理もない。僕はウェールズだよ。なんなら証拠をお見せしよう」
 ウェールズは自分の薬指に光る指輪を外すと、ルイズの手を取り、指に嵌まる水のルビーに近づけた。
二つの宝石は、共鳴しあい、虹色の光を振りまいた。
「この指輪は、アルビオン王家に伝わる、風のルビーだ。きみが嵌めているのは、アンリエッタが嵌めていた、
水のルビーだ。そうだね?」
 ルイズは頷いた。
「水と風は、虹を作る。王家の間にかかる虹さ」
「大変、失礼をばいたしました」
 ルイズは一礼して、手紙をウェールズに手渡す。
 手紙を一読したウェールズは、顔を上げて尋ねかけた。
「姫は結婚するのか? あの、愛らしいアンリエッタが。私の可愛い……従妹は」
 ワルドは無言で頭を下げ、肯定の意を表した。再び、ウェールズは手紙に視線を落とす。
最後の一行まで読むと、微笑んだ。
「了解した。姫は、あの手紙を返して欲しいとこの私に告げている。何より大切な、姫から貰った手紙だが、
姫の望みは私の望みだ。そのようにしよう」
 ルイズの顔が輝いた。
「しかしながら、今、手元にはない。ニューカッスルの城にあるんだ。姫の手紙を、空賊船に
連れてくるわけにはいかぬのでね。多少面倒だが、ニューカッスルまでご足労願いたい」
 一時はどうなることかと思われたが、思わぬ形で任務は達成される運びとなった。ルイズは安心してほっと息を吐く。
 だがその時、ゼロが異常事態を報せた。
『おい大変だ! 怪獣がこっちに近づいてる!』
「えッ!?」
 才人もルイズも仰天する。そして間を置かずに、見張りの大声が響いた。
「異常事態発生! と、鳥、あまりに巨大な鳥がこっちへ飛んでくる!」

 ルイズたちにウェールズが慌てて甲板に出ると、乗組員が恐慌した様子で空の一点に目を向けているところを目撃した。
そして同じ方向を見やると、確かに鳥としかいえないものが空賊船、いや、『イーグル』号とそれが曳航する
『マリー・ガラント』号へと猛スピードで接近しつつあった。
「ケエエオオオオオオウ!」
 その鳥は、空を飛ぶ生き物としてはいささかずんぐりとした体型をしていた。赤と青の毒々しい体色と、
頬についたこぶのような袋が目立つ。頭に生えたトサカは、鶏を想像させる。そして今は離れているので小さく見えるが、
60メイル級の巨体であることが観測で判明した。
「あいつはまさか……あのバードン!?」
『間違いねぇぜ。バードンだ……!』
 才人もゼロも、鳥型の怪獣のことを知っていた。火山怪鳥バードン。最初に存在が確認された際の個体は、
何とウルトラ戦士を二人も下した、信じがたい強さを見せつけた。このために地球産の怪獣では最強と呼ばれることもある、
有名な怪獣なのだ。ゼロも、バット星人が改造した怪獣兵器としてのバードンと一戦を交えたことがあり、
その時はバット星人の卑劣な罠のせいもあったが、ゾフィーが救援に来てくれなかったら危なかったまでに追い詰められたのだ。
 だがここでゼロが疑問を抱く。
『しかしあいつ、どこから現れたんだ? 陸地から飛んできたんだったら、俺がもっと早く気づくはずなんだが……』
 『イーグル』号はバードンを追い払おうと全ての大砲を撃つが、それくらいの砲撃では大怪獣バードンは
びくともしない。体表で弾が破裂しても平気な顔で、こちらへ突き進んでくる。
『バードンの前じゃ、木造の船なんかあっという間にバラバラにされちまう。空を飛べるカプセル怪獣はいないし……
ここは俺が行くしかねぇな! 行くぜ才人ッ!』
「ああ!」
「頑張ってね。頼んだわよ……!」
 ルイズに皆の命運を託され、才人は周りがバードンに気を引きつけられている内に物陰に隠れ、
ウルトラゼロアイを装着して変身をした。
「デュワッ!」
 ゼロは光になったまま『イーグル』号の船底をくぐっていき、バードンに十分接近したところで巨人の姿を現す!
「ダリャァァァー!」
「ケエエオオオオオオウ!?」
 今にも『イーグル』号にクチバシから火炎を放とうとしていたバードンは、顎に不意打ちのアッパーを食らって、
後転しながら吹っ飛ばされる。
「あれはッ!? あれが噂の、ウルトラマンゼロというものか……!」
「その通りです、殿下。彼が来たからには、もう安心です」
 初めてゼロを目にして驚嘆するウェールズに、ルイズが誇らしげに語った。

「ケエエオオオオオオウ!」
 クルクル回りながら飛ばされていたバードンだが、制止すると狙いの矛先を『イーグル』号からゼロに移し、
矢のように突っ込んでいく。
『気をつけろゼロ! バードンのクチバシには猛毒があるんだ!』
 才人は通信端末に載っていたバードンの情報をゼロに伝える。バードンの頬袋には毒が詰まっており、
クチバシを介して敵に流し込む。この毒は非常に強力で、ウルトラマンタロウとゾフィーが敗れる直接の原因となり、
メビウスも二度目の変身の時に最初からカラータイマーが点滅しているほどの重体となった。
毒の流れるクチバシの方も、ウルトラ戦士の強固な皮膚を軽く突き破るほどの鋭さだ。
『元から、あんなものを食らうつもりはないぜ!』
 ゼロはバードンの体当たりを、身をひねってかわす。よけられたバードンだが、すぐに旋回して
再度ゼロに向かっていこうとする。
「ゼアァッ!」
 敵が来る前に、旋回したばかりで細かい機動が取れないところを狙ってワイドゼロショットが撃ち込まれた。
だが、必殺光線を受けてもバードンは大したダメージを負っていない!
「ケエエオオオオオオウ!」
 バードンはパワー、スピードのみならず、防御力も並以上の恐ろしい怪獣なのだ。あの宇宙警備隊長
ゾフィーのZ光線が直撃しても、有効打にならなかった記録がある。
『また効かねぇなんて! 鳥のくせに頑丈な奴だ!』
 呆れたように吐き捨てたゼロに、バードンの火炎放射攻撃が飛んでくる。この火炎の威力も相当なもので、
鋭利なクチバシと並ぶバードンの主力武器なのだ。
「シェアッ! シャッ!」
 上に飛んで火炎をかわしたゼロが、すかさずゼロスラッガーを放つ。だがふた振りとも、
バードンのクチバシに弾かれてゼロの頭に戻ってきた。
「ケエエオオオオオオウ!」
 バードンはしつこく炎を吐きながら、ゼロを追いかけ回す。どうにか隙を探るゼロだが、
バードンはどっしりとした体型とは裏腹に飛行速度が彼と互角。おまけに今の戦場は、
怪鳥バードンが最も力を発揮できる空中。不利な状況もあって、ゼロはてこずっていた。
『全く、この前の怪獣といい、立て続けに厄介な奴が向こうからやってくるもんだ! 
……何か、原因があるのか?』
 今までハルケギニアの怪獣の出現は散発的なものだったのに、一日しか間を置かずにこれだけの大怪獣が、
またも自分たちに襲い掛かってきたことに疑問を抱くゼロ。しかしその考えている間に、バードンの火炎の飛び火が
『イーグル』号に向かう。乗っている者たちは大慌てだ。
『いけねぇッ!』
 我に返ったゼロは『イーグル』号へエネルギー光線を照射し、そこにウルトラゼロディフェンサーを張った。
それにより、火炎は危ういところで遮られた。
「ケエエオオオオオオウ!」
 だが『イーグル』号を助けたことでわずかな隙が出来ていた。バードンはそれを逃さず、
一直線に突進してくる!
『ま、まずい! うおおおぉぉぉッ!』
 咄嗟にゼロはクチバシをキャッチして、相手の突撃を受け止めた。しかしバードンはしつこく、
ゼロの手を振り払おうと大暴れする。
『くッ! 何て馬鹿力だ!』
 ゼロが抑え込もうとするが、相手の筋力はすさまじく、逆に振り払われそうになる。もしクチバシから
手を離してしまえば、相手はすかさずそれをゼロに突き刺すことだろう。
『ゼロ! 大丈夫なのか!?』
 ルガノーガーの時と同じように、才人がゼロのことを案ずる。しかし今回も、状況とは反対にゼロに焦りはなかった。
『何、任せてろ! 相手が怪力なら、こっちもそれに合わせてやる! うおおおぉぉぉッ!』
 ゼロが叫ぶと、ウルティメイトブレスレットが強く輝き、同時にゼロの全身が燃え上がり赤く変色する!
「ウオオオオオオオオッ!」
「ケエエオオオオオオウ!」
 変化が終わると、それまで食い止めるのに精一杯だったバードンのクチバシを一気に押し返した! 
そしてゼロの身体は、赤と金、銀の三色の彩りとなっていた。
『うおぉッ!? ゼロ、その身体はどうしたんだ!? 何が起きたんだ!?』
『モードチェンジしたのさ! これはある二人のウルトラ戦士から授けられた力、超パワー戦士の
ストロングコロナゼロだッ!』
 ストロングコロナゼロは、バードンの頭を掴みつつ、自らを高速回転させる。
『ウルトラハリケーン!』
「ケエエオオオオオオウ!」
 回転の勢いで、バードンは竜巻の如き大旋風に巻き込まれながら投げ飛ばされる。更にゼロは
ウルティメイトブレスレットを叩くと、飛んでいくバードンへととどめの攻撃を繰り出す。
『ガルネイト、バスタぁぁぁ―――――!!』
 右腕から放たれた炎状の光線がバードンにぶち当たり、たちまち木端微塵にした。
『す、すげぇ威力……。やっぱり、ゼロは強いな……』
 興奮したようにつぶやく才人だが、その声音には落ち込みの色も含まれていた。すると、
ゼロはいつものようにすぐに空の彼方へは飛び去っていかず、才人に語りかける。
『確かに戦いの強さも大事なもんだ。けどな、もっと大事なのは心の強さだぜ』
『え? いきなりどうしたんだ?』
『まぁ聞け。どんなに力を持ってたって、心がそれに見合うほど強くなけりゃ、その力は悪い方向に突き進んじまう。
俺はそのことをよく知ってる』
 ゼロの脳裏によみがえるのは、今日まで戦ってきた強敵の姿。最も縁の深い、故郷光の国を裏切った同族は、
宇宙警備隊の長に選ばれた友に嫉妬したあまりに光を失った。鋼鉄の天球の支配者は、恐怖に呑まれて暴走した。
一片の良心すら持たず、宇宙に死をもたらす悪しき神になろうとした者までいた。
『心の強さは何ものにも勝る。ウルトラ戦士の強さの秘訣も、最後まで諦めない心にあるんだ』
『諦めない心……』
『ワルドは確かに強いが、その言葉はどうも白々しいように思えてならねぇ。あいつには心を許すな。
何か裏がありそうだ。だから才人、ルイズのことを最後まで守ってやれるのはお前だって、俺は思うぜ』
 「きみではルイズを守れない」とワルドに突きつけられた才人は、精神的にショックを受けていた。
そのことにゼロは気を病み、せめてもの慰みと励ましを、忠告とともにしてくれているのだった。
『……分かった。ゼロがそう言うんだったら、気をつけた方がいいんだろう。アドバイスありがとなッ』
 それでも心が軽くなった訳ではないが、才人はありがたく忠告を受け取った。
 ゼロはうなずくと、今度こそ高度を上げて空の彼方へ飛び去っていった。

「ゼロが勝った……良かった……」
 命が助かったことに安堵が湧き上がる『イーグル』号の中で、ルイズもほっと息を吐いた。
一時押されていただけに一瞬よもやと思ったが、ゼロは自分の想像の上を行く能力をまた披露して、
今回も勝利を収めた。
(そうよ……。ゼロが負けるなんてこと、ある訳ないわ……)
 最近、ゼロが苦しめられる夢を立て続けに見ているので、何かの予兆かと思ったりもしたのだが、
単なる気にしすぎだとルイズは改めて思った。そうだ、ウルトラマンゼロはあんなに強いんだ。
過去に苦戦することはあったかもしれないが、彼をそこまで追い込む敵がそうそういるとは思えない。
現にハルケギニアに来てからは、戦いで本当にどうしようもないような状況になったところは
一度だって見ていない。ゼロが敵に敗北するなんてこと、あるはずがない……。
「いやぁ、助かって良かった良かった。またゼロに助けられちゃったな」
 考えに耽っていたところに、才人が最初からいたようにひょっこりと顔を出した。しかしワルドは
彼の姿がなかったことに気づいているので、尋ねごとをする。
「きみ、一体どこに行ってたのかね? 大事だというのに」
「そ、それが……恥ずかしい話だけど、ションベンちびりそうになったからトイレに……」
「全く……相手が相手だったから仕方なかったかもしれんが、同じことがないように気を引き締めたまえよ? 
本当の戦いには、用を足してる暇などないのだから」
 苦しいごまかしだったが、ワルドは深く考えなかった。とそこに、ウェールズが口を開く。
「何にしても、全員が無事に助かって良かった。ウルトラマンゼロには深く感謝しなければ。
……だがその前に、早くニューカッスルへ向かおう。今の騒ぎで、貴族派の連中が
集まってくるかもしれないからね」
 すぐに乗組員に指示を出すと、『イーグル』号と『マリー・ガラント』号は急いでその空域を離れていった。

 ……ゼロとバードンの空中戦は、ルガノーガーの時と同様に四人の影に監視、分析されていた。
『とうとうウルトラマンゼロが浮遊大陸にやってくる。しかし、奴の戦闘データはこれで粗方収集し終わった……』
 細身の影が、腕を大きく広げて宣言する。
『それでは、計画を第三段階へ移行する! ウルトラマンゼロ暗殺計画の本番だ!』


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